「「「「「う〜・・・」」」」」

何処からか唸り声が聞こえる。

シャリシャリシャリ・・・・・

「・・・・・・・・ははは」

ついでに5つの視線がアキトの背中に突き刺さる。

トントントン・・・・・・・

「〜♪」

ホウメイは相変わらずそちらには無関心だ。

とっても先行き不安な食堂だった。

 

 

 

 

 

 

伝説の3号機

その4

 

 

 

 

 

 

『さぁて皆さん!未だナデシコはその目的地を明かしていませんでした!これは妨害者の目を欺く必要があった為です!!』

食堂のモニターにブリッジにて何処か吹っ切れたプロスが意気揚揚と語っている。

「ん?プさんか。何か異様に元気だな」

お前が言うな。

『我々の目的地は火星だ!』

フクベがいい感じでモニターにアップで写っている。

「火星か・・・・・・・・・・・・・・ってなにぃ!火星!?

「ど、どうしたんだいテンカワ?いきなり大声を出したりなんかして?」

「何言ってんですか!火星ですよ!火星!この艦、火星に行くんですよ!?」

「へぇ火星かい。そういやテンカワは火星出身だったよねぇ?」

「え?ええ、そうですが・・・」

「じゃあさ火星の料理を教えてくれないかい?火星の料理ってのにも興味があってね」

「・・・・・・わかりました!このテンカワ・アキト、例えこの身が砕けようとも教えてしんぜましょう!!」

異様にやる気満々だ。

「・・・あ、ああ。頼んだよ」

ホウメイは焦っている!

「・・・・・・って違いますよ!」

「え?そうなのかい?」

ホウメイはとぼけている!

「この艦、火星に行くんですよ!」

「それは聞いたよ」

「ですから!オレ故郷に帰れるんですよ!」

「ああ、なるほど」

『ポン』と手を叩きホウメイ納得。

「で?」

「いや、『で?』って言われても・・・」

アキトは困惑している!

しかし他に無いのかホウメイよ。

 

『悪いけど、この艦はアタシが戴くわ』

『血迷ったか、ムネタケ!』

もちろんモニターに写ってることなんぞ知ったこっちゃない。

 

 

 

 

 

 

「動くな!この艦は我々が占拠した!」

「無駄な抵抗はするなよ!」

突然連合軍の兵士達が食堂になだれ込んできた!

「だーかーらー!故郷に帰るってことはそれなりの意味ってものが・・・!」

「ほうほう、で?」

「「「「「う〜」」」」」

しかし誰も聞いちゃいなかった!

「「「・・・・・・」」」

連合軍の兵士達は寂しそうだ。

 

 

 

 

 

 

「それじゃここでおとなしくしててね?」

そう言い残しムネタケと呼ばれた軍人は去っていった。

「・・・あ〜あ、一日にして夢終わるか」

「・・・あ〜あ、一日にしてユミ・カオルか」

「・・・・・・・・・何言ってんだ?お前」

「いや、なんとなく」

ナデシコの大半のクルーは食堂に閉じ込められたようだ。

でもアキトは相変わらずだった。

 

 

 

「何だ何だ何だみんなぁ、元気ないぞぉ!」

突然熱血バ・・もといヤマ・・もといガイが騒ぎ出した。

「よぅし!オレが元気の出るものを見せてやる!」

「元気の出るもの?何だ?リポビ○ンDのCMでも見るのか?」

「ちがぁーう!んなもん見ても元気なぞ出るかぁぁぁっ!!!」

全くだ。

「さぁコレだぁ!とくと見よ!!」

軽快な音楽と共にソレは始まった!

『ゲキガンガー3!』

「・・・・・・・何だコレは?」

ゴートは呆れている、と言うより全員呆れている。

「あ〜!ゲキガンガーね、知ってる知ってる!確かゲキガンガーとかいうロボットがやってる囲碁番組だろ」

どんなだソレ。

「ちぐわぁーう!!と言うより貴様さっきから何なんだ!!!」

「いや、気にするな。コンビニ店員Aの戯言だ」

お前は何時からコンビニ店員になった。

「・・・・・・」

流石のガイも呆れたようだ。

「・・・・・・と、とにかく、これこそが熱血なんだよ! 魂の迸りなんだよ! わかるだろう!?」

「オレの魂は迸ったことなどないぞ?と言うより迸りとはなんぞや?」

「なぁみんな!この燃えるシチュエーションに何も感じないのか!?奪われた秘密基地!軍部の陰謀!残された子供たちだけでも事態を打開してやろうたぁ思わねぇのかぁ!!?」

どうやらガイはアキトの言葉を聞かないようにしたようだ。

賢明である。

「誰だよ子供たちって・・・」

「・・・・・・よぉし!わかった!!」

突然叫んだアキトは『高枝切りばさみ』を片手に入り口へ歩き出した!

と言うよりどっから持ってきたソレ?

 

シュッ

 

「どぅぇりゃああぁぁぁ!!!!」

 

チョキン

 

掛け声は凄いが武器の音が情けない・・・。

「ぐぉ!?」

パタッ

軍人Aをやっつけた!・・・・・ってアキト何処切った?

「さぁて、行くか!おい、そこのゲキガンガー馬鹿こと『ヤジ』!

どうやらガイはヤジになったようだ。

「だぁれがヤジだ!」

「お前以外に誰がいる?んな事より、ほらさっさと行くぞ?」

「い、行くって何処に?」

「決まってんだろうが!残された子供たちだけでも事態を打開するんだろう?だったらその子供達の俺らがやらなきゃいかんだろ!」

言ってることは立派だが何時からお前も含めて全員子供になった?

「そ、そうだな!こんな燃えるシチュエーションは中々無いもんな!よぅし、ヤロウ共行くぞぉぉ!!!

ズドドドドド・・・・・・・

ガイは先走りした!

「・・・あ〜あ、あのバカ。・・・・・・・まあ良いか。このまま捕まってるってのもシャクだしな、お前に乗ってやるよ感謝しろ!」

「おお!ありがとう!『タイヤ班長』!!

ウリバタケ・セイヤは『タイヤ班長』になった!

「・・・・・・コレが噂のアキトの変なあだ名か?」

コクコク

そこに居た全員が頷いた。

「変って何処がだ?」

だがアキトにはわからなかった!

「はぁ・・・・・とにかく行くぞ!お前ら!

「「「「「「「「「「うす!」」」」」」」」」」

「うむ、オレも行こう」

「じゃあワタシも」

「アタシも行こうかね」

「「「「「私たちも行きまーす!」」」」」

「わ、私はどうしようかな・・・?」

「私は少女ですから」

全員が何故かやる気になった!

「よぅし!全員がやる気になっている所で武器を進呈しよう!」

と、物陰から色々出してくるアキト。

「こ、これは・・・」

「そう!プさん御用達!打撃系武器だ!」

そこには例の角材、鉄パイプ、木槌、釘バット、木刀、棍棒、そして丸太が鎮座していた。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・プロスの旦那って何者だ?」

コクコク

全員同意権のようだ。

この時プロスのアビリティに武器商人が加わった!

「・・・・・・とにかく、俺らの武器はこのスパナだ!それ以外何もいらねぇ!よーし!行くぞぉ!!

ウリバタケは何処からともなくマイスパナを取り出し格納庫へ向かった!

「「「「「「「「「「でぇりゃあああぁぁぁっ!!!」」」」」」」」」」

整備員もそれに続く!

「オレは素手で十分だ」

「じゃあアタシはこの木刀で」

あ、ソレは一番危険っぽいやつ。

「んじゃアタシは棍棒にでもしようかねぇ」

「それでは私は角材で」

「にょほほ、じゃ私は鉄パイプー」

「んじゃボクは木槌貰い」

「私は〜釘バットにしよ〜」

「・・・・テンカワさん、コレ貸してね?」

ニッコリと笑いながらサユリはアキトの高枝切りばさみを奪った!

「で、テンカワさんはコレ使ってくださいね?」

ズン!!

「ぐお!?」

そう言ってアキトに丸太を渡すサユリ・・・目が笑ってない。あだ名のお返しだろうか?

「よし!じゃあ行くぞ!」

「「「「「「「おー!」」」」」」」

掛け声と共に飛び出していくゴート、ミナト、ホウメイ、ホウメイガールズの面々。

「・・・・・・・・・」

「テンカワさ〜ん、大丈夫ですか〜?」

つんつんと丸太の下敷きになっているアキトを棒で突付きながら呼びかけるメグミ。

しかし返事が無い、屍のようだ。

「ばか」

メグミとルリは居残りのようだ。

・・・・・アキトは強制的に居残りのようだ。

 

「ずずず・・・・ほっほっほっ」

居たのかフクベ!・・・しかし茶飲んでる場合かよ、おい。

 

 

 

 

 

 

 

 

「テンカワ、いい加減起きろ」

「あ〜パパン、ママン久しぶり〜アレ〜何で白い服きて河の向こうで手を振ってるんだ〜い?わかったよ〜今から行くからね〜」

何だかヤバイ気がする。

「お・き・ろ!」

ガン!

「がぺ!?」

「だ、大丈夫なんですか?」

「問答無用ですね」

ゴートは少々ハイテンションだった!

「・・・はっ!ここは何処だ、オレは空を飛べたのか!?」

お前なんの夢見てた?

「いい加減目を覚ませ!艦内に居た兵士は既に片がついたぞ」

「ほう、そうか・・・・・・・・って、なにぃ!オレの見せ場は!?」

お前そんな事考えてたのか。

「安心しろ、まだ仕事は残っている。艦長を連れ戻すぞ」

「そうか!見せ場はまだあるんだな!よぅし行くぞ!メナード!ノリ3世!ゴッホさん!

「あのあだ名、本気だったんですか?」

「・・・・やめて」

「そのゴッホとかいう呼び名やめろ!」

「はっはっはっ!さあ行くぞおおおおぉぉぉっ!!!」

寝起きなのに異様なハイテンションだ。

もちろん抗議は一切受け付けない。と言うより聞いていない。

 

 

 

 

 

「おーアキトーやっと来たかー!」

「おう来たぞ!さぁて一発決めるかぁ!!」

「あ!?ちょっと待てそれは・・・」

「よっしゃー!行くぞこのやろぉぉっ!!!!!」

ウリバタケが何か言ったようだが当然ハイテンションのアキトは聞いちゃいなかった。

『では、マニュアル発進になりまーす!』

「おう!」

『位置について、よーい、どん』

ルリのやる気の無い掛け声がかかったと共にアキトは走り出した!

「うおおおおおおおおぉぉぉぉっ!!!!!」

『マニュアル発進ってただ走るだけなんだね』

『はい』

『でもさルリちゃん』

『はい?』

『なんでテンカワさん後ろ向きに走ってるのかな?』

『あの人の行動は理解出来ません』

全くだ。

「うおおおおおおおぉぉぉぉっ!!!!!・・・・お?」

ガキン!

どばっしゃあああぁぁんん!!

そりゃ後ろ向きに走ってりゃコケルわな。

『あーあ、ダイブしちゃいましたね』

『水飛沫がキレイですね』

『オ、オレのエステちゃんがあああぁぁぁ!!だからソレは陸戦だと言おうとしたのにいいぃぃぃっ!!!』

後ろ向きに走ってコケてりゃ陸戦も空戦も関係あるまい。

パタパタパタパタパタ・・・・・・

『たっだいまー!!艦長無事帰還でーす!!!』

『いやはや、焦りましたなー』

ユリカ、プロス帰還である。

「って、なにぃぃっ!!それじゃオレの出番は海にダイブするだけで終わりかああぁぁ!!?」

『あ、ご安心ください。たった今チューリップが活動を開始しました。ナデシコに近づかないよう囮役頼みましたよ?では健闘を祈ります』

何処が安心出来るんだ?

「はっはっはっ、なーんだまだ見せ場が有ったか。それじゃ早速・・・っておい」

アキトの目の前には触手がうごうご蠢くでっかい黒い塊があった。

「こんなん一人で何とか出来るかああぁぁぁっっ!!!」

アキトの悲痛な叫びが響きわたった。

 

 

 

 

 

 

「アキト私の為に戦ってくれるのね!がんばって!ユリカ応援しちゃう!!」

「・・・・・今度はどうなることやら」

「結構何とかなるんじゃないですか?」

「ルリちゃん・・・」

「むう・・・」

ユリカは妄想に取り付かれながら、プロスは溜息を出しながら、ルリとメグミはゴートの肩に乗りながらブリッジを目指した。

 

 

 

 

 

 

「超特急でおっ待たせでーす!」

「到着」

「・・・」

「艦長とうちゃーく!!」

「はぁ、で現状はどうなってますか?」

何とかブリッジに到着した面々、プロスが問いかけたが、

「「「「「「「「・・・・・・・・・」」」」」」」

帰ってきたのは沈黙のみだった。

「ど、どうかしたのですか皆さん?・・・・もしや」

プロスが、モニターを見るとそこには、

 

 

 

 

 

 

 

 

『のわあああぁぁっ!ひゃあああぁぁっ!!ぐべえええぇぇぇっ!!!』

触手にお手玉にされているエステバリスがいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・何故?」

「一応囮にはなってますね」

「木星蜥蜴って以外とお茶目なのかな・・・?」

「む、むう・・・」

「わー!!アキト楽しそー!!!」

「「「「「「「「・・・・・・・・・」」」」」」」

反応はそれぞれだった。

「よーし!さっさと終わらせちゃいましょー!!ナデシコはっしーん!!!」

「はぁ、もうどうでもいいわ」

ミナトはやる気ゼロだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ぽん、ぽん、ぽーん

「ぬわあああぁぁっ!うぶえええぇぇっ!!何とかしてくれええええぇぇぇっ!!!」

触手に弾かれてクルクル回転しているアキトエステ。

『アキトーお待たせー』

「ぎぶえええええぇぇっ!はやくしろおおおぉぉぉっ!!」

『うん!それじゃさくっと終わらせちゃうねー?』

「どひいいいいいぃぃぃっ!!!!」

本当に早くしないとアキトが逝っちゃいそうだ。

『あ、それとねアキト』

「なんだああああぁぁぁっ!!!!?」

『ちゃんと避けてね?』

「え゛」

『グラビティ・ブラストはっしゃー!!!』

『はっしゃー』

黒い奔流がチューリップに突き刺さる!

当然アキトエステを巻き込みながら。

「どわあああああぁぁぁぁっっっ!!!!!」

ちゅどおおおおぉぉんんん!!!!!

で、大爆発。

「スカああぁぁっ!覚えてろおおぉぉ!!!!!」

アキトエステは爆発に巻き込まれながら遥か遠くへぶっ飛んでいった。

しかし捨て台詞が悪役のやられた後みたいだぞアキト。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やっとのことで帰ってきたアキトを待っていたのはアキトVSウリバタケ率いる整備班の『第2回・チキチキ!格納庫で1対多数の鬼ごっこ!』だったのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また、アキトエステのカラーが爆発で焦げて本来のピンクから黒へと変わったそうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、おれの出番・・・」

ガイは先走りの結果、暴徒鎮圧用ゴム弾の集中砲火を浴びズタボロ状態で格納庫の端っこに転がっていた。

合掌。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アキト・・・いやガイの運命はどっちだ!?続くような続かないような思わなくも無きにしも非ず。

 

あとがきです。

こんにちは、彼の狽ナす。

・・・・・・ははははははは、ダメだもう収集つかないよ(汗)。

でも挫けるか!そうだ、まだ始まったばかりだ!こんなとこで終わらせるわけにはいかん!!

という訳でお送りしました『伝説の3号機 その4』お楽しみいただけたでしょうか?

笑っていただけたら幸いです(ペコリ)

それと感想をくれた方々本当にありがとうございます!

とっても励みになりました。

それでは、この辺で。また何時かお会いしましょう。

 

 

 

 

・・・・・あ、ミスマル親父忘れた。

 

 

管理人の感想

彼の狽ウんからの投稿です。

何と言うか・・・絶好調ですね、アキト(笑)

ホウメイさんも随分と付き合いがいいし、これが年の功なのか?

あのガイでさえ無視を決め込む、そのハイテンション!!

今後もこのまま独自の路線で突っ走って欲しいですね!!

 

 

 

この時点でミスマル親父を忘れるほど、ギャグに命を掛けてるんすか?(笑)