「…ここは?…まあ少なくとも前方後円墳ではないわな」

どうやらアキトは無事だったようである。

しかし前方後円墳の中に居たら助からないだろうに。

「…はっ!そういえばベン師匠は!?…ま、まさか」

アキト顔面蒼白だ。

「…くぅ…安心してお眠りくださいベン師匠…このテンカワ・アキト、人呼んで宿命のメテオストライク
アナタの分まで生きてみせます!…ですから草葉の陰からそっと…」

「勝手に殺して浸るなバカモノ」

「ぬあ!?居たんですかベン師匠!?」

「さっきからお前の隣で寝てたろうが」

「はっはっはっ、実は気づいていましたよ?いやホント」

「笑って誤魔化すな…しかも念を押すという事はやっぱり完璧に気づいていなかったな?」

「何を言うんですかベン師匠!オレはこう見えても牛丼の並1杯で店の紅生姜を全て食い尽くす男ですよ!?
そんな事ある訳ないじゃないですか!…きっと

「…意味分からんぞ。しかも今こっそり『きっと』と言ったな?」

「いえいえ、とんでもない」

…まあ相変わらずの2人だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

伝説の3号機

その15

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういえばベン師匠」

「ん?何だ?」

「身体動きませんね」

「そういえばそうだな」

今まで気が付かなかったのか?

「む〜…参りましたね」

「まあ生きているだけでも儲けものだろう」

「それもそうか…しかしベン師匠」

「なんじゃ?」

「こうして2人で寝ていると昔を思い出しますね」

「そういえばそうじゃな。あれからもう10年近くになるのか」

「ええ…あの時からですね」

どうやら回想シーンに突入のようだ。

 

 

 

 

 

 

 

「クロスチョーップ!」

 

ゴスッ!

 

「げふっ!?」

突然の衝撃にフクベは吐血した!

「ごほごほ…全く、何なんだいきなり…普段からこんな血を吐く練習してなきゃ今頃…ん、この子は?」

待て、一体普段何やってるお前?

「ああ!すみません父さん、少し目を離した隙に…」

「何だお前か…それじゃこの子が連絡を受けていた?…しかし何故ココへ?」

「ええ、実はちょっとした知り合いの息子さんなんですが、先の事故でご両親が…」

「そうか…坊主、お前の名は?」

「坊主とは失礼な!オレはテンカワ・アキト!人はオレを難解攻略夢物語 第27巻と呼んでいるそうだ!」

「…なあ、この子は何を言っているんだ?」

「まあ、こういう子なんです」

「…そうか」

呆れている若かりし頃のフクベ・ジン。この時65歳である。

…若くはないか。

ちなみにアキトは8歳だったりする。

 

 

 

 

 

「出会いからしてインパクトあり過ぎだったな」

「…?どこら辺がですか?」

アキトには分からないようだ。

 

 

 

 

 

 

「まあとにかく理由はどうあれ、ようこそ『フクベ孤児院』へ。ワシはココの院長をしているフクベ・ジンじゃ。もっとも名前だけじゃがな」

「おう!まあ宜しくな師匠!

「…待て。何故ワシが師匠なのだ?ワシは院長だぞ?」

「それは簡単な理由だ!師匠の方がカッコイイからだ!

「意味は無いのか…」

「有るかそんなもん!」

アキトは威張った!

「はぁ…全く、疲れる子じゃ」

「師匠、年か?」

「…もういいわい。ふ〜む、しかしアレだな。どうせ呼び名を変えるならあだ名の方がいいかもな」

「あだ名?」

「そうじゃ。あだ名で呼んだ方が親しみが持てるじゃろ?この孤児院の子達ともすぐに仲良くなれるかもしれんしな」

「おお、父さんナイスアイディアですね」

「ほっほっほっ、そうじゃろそうじゃろ」

「…よし!分かった!じゃあそうするよベン師匠!

「…更に待て。何だその『ベン』というのは?しかも師匠付きだし」

「今ベン師匠が言ったばかりだろうが。あだ名だよあだ名」

「…何でワシがベンになるのだ?」

「名前縮めてみた」

「…メチャクチャ無理矢理だな」

「文句言うなよ。こう見えても実は5秒位考えたんだぞ」

5秒かい。

「はぁ…もういいわい。それとワシはこう見えても軍人でな…」

「何?そうなのか?どちらかと言うと軍人より12月24日の夜中に徘徊する血の色の服を着てプレゼントを
無償で配る奇特なヤツ
って感じだぞ?」

コイツは本当に8歳か?

「……とにかくこれでも結構忙しくてな、本当ならば滅多にココには来れないんじゃ。ワシが居ない間は息子夫婦がココを運営しているから
何か困ったことがあったらコイツに聞きなさい」

「…まあ宜しくアキト君」

「あいよ!…それにアレだな」

「なんじゃ?」

「オレがココに預けられたという事は将来的にココはオレの牙城となるわけだな?」

「「バカこくでねぇ」」

「のあ!?ツッコミ!?」

確かにナイスツッコミだ。

「…なあ息子よ」

「はい父さん」

「コイツは今の内に処分していおいた方が後々の世の為とは思わんか?」

「私もそんな気がしてました」

「もしもーし…」

「それでは決定だな」

「ええ…じゃあ早速」

この時何故か息子の手には1本のスコップが握られていた。

「ごめんなさい、ボクが悪かったです。良い子になります。だから埋めないでください」

アキトは泣きながら土下座をしていた。

 

なんだかんだで波乱の孤児院生活の始まりだった。

 

 

 

 

 

 

「思えばあの時から全てが始まったのかもしれませんね」

「ワシは終わった気がしたよ」

気持ちは分からないでもない。

 

 

 

 

 

「アキト久しぶりじゃな」

「おお!?ベン師匠じゃないですか!確かに久しぶりですね!約94,608,000秒ぶりですね!」

「…素直に約3年ぶりと言えんのかお前は」

「ぬぅ…一瞬で計算するとは…やるなベン師匠」

「そうか?ほっほっほっ、褒めても何も出んぞ」

何だか和やかだ。

「で、今日はまた何用で?」

「…もう少し子供らしい口調で喋れんのか…まあいい。実は久しぶりに休みが取れてな」

「なるほど!それで残りの余生をココで送ると?」

 

ガスッ!

 

「それでな、実はお前に色々と教えてやろうと思って…」

「…ベン師匠。鞄の角で殴るのはキツイっす」

子供でも容赦無しなフクベだった。

まあアキトだし。

 

 

 

 

 

「いきなりパワフルになってましたよねベン師匠」

「まあワシも昔はブイブイいわせたもんじゃからな」

一体何やってた?

 

 

 

 

 

「師匠おおおおおぉぉーっ!!!コレに何の意味がああああああぁぁぁーーっ!!!!?」

「うむ、昔何かの本に鍛えるにはこうすると良いと読んだ記憶がある」

「でもイキナリ崖から突き落とすのはどうかと思いますよおおおぉぉーっ!!?」

「つべこべ言わずにさっさと登ってこい」

「くそおおおおぉぉぉーっ!!何時かグレてやるうううううぅぅーっ!!」

「空が赤いな…」

一体どんな特訓なんだ?

 

「ゼィ…ゼィ…」

どうやら無事生還したようだ。

「よし、次行くぞ。ほらさっさと立たんかい」

「し、師匠…11歳の子供にコレはちょっとキツイんですけど」

「何を言うか。師匠というのはコレ位やって初めて師匠なのだ。文句が有るなら言ってみよ」

「…いや師匠、その握りこぶし位ある石を握りしめながらそんな事言われたら何も言えないんですけど」

「言う事が無いのならもう行くぞ。日が落ちる前に目的地に着かないと命の保障は出来んからな」

「ちょっと待てい!」

「なんじゃ?」

「今、何だか凄いこと言いませんでしたか?」

「気のせいじゃ」

「そうですか?…まいいや。とにかく行きますか」

「そうじゃな。ワシもまだ死にたくないし」

一体何が起きるんだ?

「でもベン師匠」

「ん?なんじゃ?」

「何で突然特訓をやる事に?オレを鍛える意味があるんですか?」

「ほっほっほっ、何を言う。お前は言わば天涯孤独の身じゃ。そこで何が起きても生き延びられるように
サバイバルな生活を叩き込んでやろうと思い至ったのじゃよ」

「うわぁ…ベン師匠、全然ありがた迷惑です

「ほっほっほ、そんなに感謝されても困るのぅ」

「…頭逝ってんのかこのジジィ」

 

ドゴッ!

 

「さあ行くぞ。それと師匠には敬語を使え。いいな?」

「…」

だが返事が無い。地面にめり込んでいる子供のようだ。

以前言っていた聴力255のMAXパワーは伊達ではないようだ。

 

 

 

 

 

 

「あの時ほど師匠って呼んだ事を悔やんだことは無かったな〜」

「ほっほっほっ、自業自得じゃ。しかし師匠の事を調べるのには骨が折れたわい」

一体何を参考にしたのやら。

 

 

 

 

 

 

「ベン師匠、今日は何をやる気ですか?」

「そうじゃなぁ…よし!今日は火星一周フルマラソン(熱血暴れ祭編)でもやるかの!」

「無理」

「いかんなぁ。やってもいない内から諦めては」

「いや物理的にも精神的にも…というより人には無理っす」

「そうかのぉ」

「そうです!大体何ですかその熱血暴れ祭ってのは!?俺的には『激闘ケンタッキーおじさん編』の方が好みです!」

「…なるほど。じゃあソレで行くか」

「え!?あんの!?」

フクベよ…アキトに完全に毒されたな。

 

パチパチ…

焚き火の煙がナノマシンの空に消えていく。

というより野宿なんぞして大丈夫なのか?

ぐはぁ…本当に走るとは………ベン師匠」

「なんじゃ?」

「この特訓、何時まで続ける気です?」

「アキトよ!」

「は、はい!」

「そもさん!」

「せ、せっぱ!」

何時の時代だよ。

「そもそも、お前がワシの経営している孤児院に来たのは何故じゃ?」

「え?そ、それはうちの両親が事故でおっ死んだから…」

「うむ…ならば更にそもさん!

「せっぱ!」

「お前はこれからどうしたい?と言うより将来何になりたい?」

「え?…う〜ん、色々有りますよ?」

「ほう、言ってみろ」

「FBI(Xファイル担当)、幽霊を捕まえる人、ドモホルンリンクルが出来るのをじっと見てる人、戦隊の中の緑役、隕石に穴を開ける石油掘り野郎、
24時間テレビで募金を最後に持ってくる人、刑務所の監視員、竜巻と追いかけっこする探査員、魔法学校の先生、大統領の身代り役、
洗剤の効果を確かめる為に他人の家に堂々と踏み込む人、座布団を運ぶ人…」

「何だかキワモノばかりのような気がするのぉ…」

「そうですか?」

「まあいい、ではその中から1つ選べ!制限時間は1秒じゃ!」

「ええ!?何で制限時間!?といより1秒じゃ制限時間の意味が無いっす!」

「…で何じゃ?」

「じゃあコックで」

「…さっきの中にそんなの入ってたか?」

「ええ、間違いなく」

「そうか…ではコックでいいのじゃな?」

「うむ!」

「ふぁいなるあんさー?」

「ファイナルアンサー!」

ピローン!

何処かで何かが点灯したようだ。

 

「「…」」

 

2人は何も喋らない。

 

「「……」」

 

喋らない。

 

「「………」」

 

本当に喋らない。

 

「「…………」」

 

沈黙。

 

「「……………」」

 

いい加減にせい。

 

「…正解!」

「よし!」

何が?

「まあそういう訳じゃ」

「了解です」

だから何が?

 

 

 

 

 

 

「何気にアレでオレの未来が決まったような気がしますね。まあ元々コックにはなるつもりでしたが…」

「ほっほっほっ、ワシのお陰じゃな」

ほとんど無理矢理じゃなかったか?

 

 

 

 

 

「よし、ワシが教えることはもう何もない!免許皆伝じゃ!」

「はいベン師匠!」

何の免許皆伝なんだ?

「では帰るか!」

「はい!」

「よしアキト!」

「何ですか!?」

「ユートピアコロニーはどっちじゃ!?」

「おそらく左です!」

「よし行くぞ!」

「ラジャー!」

 

 

 

 

 

「あの後、軽く3日位迷いましたよね」

「お前を信じたワシがバカじゃったよ」

方向音痴は昔からのようだ。

 

 

 

 

 

 

「2人共やっと見つけたわよ」

「…あ…インフ…レ…姉さ…ん…?」

「…ぬうう…」

イネスが発見した頃には2人共死に掛けだった!

 

ドスッ!

 

「私の事は姐御と呼びなさいって言わなかったかしら?」

「…」

だがイネスにとどめを刺されたアキトは返事が出来なかった!

 

「ふい〜…死ぬかと思った」

「全くじゃなぁ」

「一体どういう身体してるのよ2人共…」

何とか復活を果たしたようだ。

「でも一体1週間も何やってたのよ2人共」

「ふふふ…まあそれは…ねぇベン師匠?」

「うむ。おいそれとは口に出せんな」

「はぁ?」

「まあ、この1週間でオレの汎用性は飛躍的に上昇したことは間違いないな」

「そうじゃな。今のお前なら局地での生活も出来るだろうな」

「…一体何があったっていうの?」

それは謎である。

「そういやインフレの姐御」

「何?アキト君」

「何でここに?」

「あらあら酷い言いようね。折角行方不明になった2人を探しに来てあげたのに。街じゃあなた達の捜索隊を結成していたわよ?」

「…ベン師匠。ちゃんと書置きしたんですよね?」

「むにゃむにゃ…爺ちゃん眠いから寝るわ」

フクベは狸寝入りに突入した!

「こ、このクソジジイ…!」

「やれやれね。とにかく帰るわよ?」

「へ〜い。そういやインフレの姐御、研究所の方はいいのか?」

「ええ。最近はちょっと行き詰っていたらね〜思い切って長期休暇を取ったのよ。だからその間は相手してあげるわよ?」

「へえ、そうなんだぁ…帰って寝てろよ

 

スチャッ

 

「アキト君?今さり気に何か言わなかった?」

「いえ!言ってません!というより言えません!」

「本当に?」

「はい!だからそのオレンジ色の液体が入った注射器をお納めください!」

「まあ見逃してあげましょう…」

そう言いながらイネスは注射器を懐にしまった。

「…初めて会った時から不思議だったんだけど、その注射器なんかは一体何処から出てくるんだ?」

「知りたい?帰れなくなるわよ?

「え゛…いやもういいです。忘れてください」

一体何処に行くのだろうか?

「全く、ほらさっさと帰るわよ。ああ、それと今度から私も孤児院の手伝いを少しだけどやる事になったから宜しくね」

「ええええええぇぇぇ!?な、何故に!?」

「どうしてそんなに驚くのよ。いえね、フクベさんの息子さん夫婦からお願いされてね。どうにも手の付けられない子供がいるそうなのよ。
つまり私はその子の世話兼監視役ね」

「ほぉう…それはまた極悪なヤツだな。一体何処のどいつです?その馬鹿野郎は?」

「アナタよ」

「ほう、穴田というヤツか。気の毒に…」

 

ザクッ!

 

「それはどういう意味かしらぁ?それに穴田じゃなくて貴方。つまりアキト君よ」

「…そ、そうすか…でも頭に何か刺さっているような気がするんだが…」

「とっても気のせいよ」

 

 

 

 

 

 

「何気にインフレ姉さんもパワーアップしていたような気がするなぁ」

「イネス君は元々あんなもんじゃろ」

イネスもこの2人と同レベルなのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

「なんだかんだでオレも16になりましたね〜」

「アキト君、誰に言ってるの?」

「しかし買出しはいいとして、何でオレが拉致られて運転させられてるのかなぁ?まあオレがIFS持ってるからなんだろうけど、
でも無性に納得がいかないなぁ」

「…気が済んだ?」

「いや全然。それに何か無性に今を感じるんだよね」

「そう…でもそういうセリフをこの状況下で言うのはどうかしらね?」

「はっはっはっ!何を言うかインフレ姉さん!こんな状況だからこそじゃなないか!」

「そうかしら…」

「そうだ!オレは逆さづりバンジー24時間耐久自慢野郎と言われた男だ。決して動じないぞ!」

「でもねぇ…周り全部強盗団に囲まれてるってのもねぇ…」

「…ぬわにいいいぃぃーっ!?」

「動じないんじゃなかったの?」

「時と場合による!」

意味無いだろそれ。

「でもどうするの?」

「…手は1つだな」

「へえ。何かしら?」

「逃げるか、謝るか、戦うか、食べるか、飛ぶかのどれかだな」

何を食べるんだ?

しかも飛ぶってどうやって?

「1つじゃないじゃない…」

「只今キャンペーン期間中で増えたんだ」

「…もういいわよ。でも本当にどうするの?」

「よし、助けを呼ぼう!」

「誰を呼ぶつもり?今、連合軍は演習中で基地には殆ど居ないわよ?それに警察もあてに出来ないし」

「ふっ…連合軍なぞ誰が呼ぶものか。勿論警察もだ。オレが呼ぶのは…!」

「呼ぶのは?」

ピッポッペッピ…プルルルルル…カチャ

「あ〜もしもし?『ベア・ナックル天国ユートピア支店』さん?スミマセンけどユートピアコロニーから西に127キロ程の所に今すぐミックスピザと
シーフードピザ、それとオレンジジュース2つお願いしまーす。ヨロシク」

プツッ

「よし!これでもう大丈夫だぞインフレの姐御!」

「どこがだあああぁぁぁーっ!!」

 

ベゴシャッ!

 

「………インフレの姐御。このオレを押しつぶしている車椅子はこの際置いといて、オレが何かしたか?」

「やかましい!何でこの状況下でピザの宅配頼んでるのよ!?」

「何を言ってるんだ?さっき言っただろうが。助けを呼んだんだよ」

「何で助けを呼ぶのにピザの宅配を頼むのよ!?」

「はあ?民間人を何時も助けてくれるのはピザ屋じゃないか。その年でボケたのか?」

 

プチッ

 

あ、この音は…。

 

「………ふふふ…消えて無くなれえええぇぇーっ!!!

 

ズドバキャァッ!!!

 

「あいしゃるりたーん!…」

キラン☆

アキトは星になった!

「全くあの子は…」

しかしイネスよ、その手術台は一体何処から…?

「…ってあら?何時の間にか誰もいない…何故?」

何と強盗団は呆れはてて帰っていた!

「…まあ結果オーライってやつね」

しかしアキトはいいのか?

「さて帰りますか…あら?誰か倒れてる?」

確かにイネスが向く先には1人の女性が倒れている。

「ちょっと貴女大丈夫?しっかりなさい」

ぺしぺしと頬を叩きつつイネスが呼びかける。

「うう…」

「気を失っているだけね。さてどうするか…?」

ブロロロロ…キィ

「『ベア・ナックル天国ユートピア支店』でーす。ピザをお届けにあがりましたー」

ホントに来たよ。

「あら、丁度いい所に。ちょっと手伝って」

「はあ?」

 

 

 

 

 

「思えばヤツが出現したのはあの時でしたね…」

「ふむ。そういえばそうか」

「あの後から始まった1年間は正に生き地獄だったなぁ」

「…それ程に凄かったのか?」

「もう毎日のように枕を涙で濡らしましたよ…」

「そ、そうか…」

何があったんだ?

シュッ

「話はその辺で止めにしてもらおうか?」

「む?誰だお前?」

「ふん…本来ならば貴様らなど助ける義理もなかったのだがな。艦長に感謝するんだな」

「人の話聞いてんのか?」

「貴様らには聞きたい事が山ほどあるんだ。これから…」

「だから聞けってば…」

「お前が言うな」

その通りだフクベ。

「特にそっちの老人は軍人のようだからな、色々と話を聞かせて…」

シュッ

「ねえ!2人が目を覚ましたってホント!?」

「おや?レンナさん。ええ2人共…」

「ちょっと退いて高杉君!!」

ドンッ!

「のお!?」

ベシッ!

謎の男こと高杉、突然現れた女性に弾かれ壁に激突。

見事に散ったある日の午後であった。

「アキト!お爺ちゃん!大丈夫!?」

「む?…お、お前はベン子!?

 

「その名で呼ぶなあああぁぁーっ!!!」

 

ばきゃあぁっ!!

 

「ぐげぶらぁっ!!」

 

どがしゃあああぁぁん!!!

 

謎の悲鳴を上げ近くの棚にダイブするアキト。

「おお、久しぶりだなレン」

「うん、お爺ちゃんも元気そうだね♪」

アキトそっちのけで会話に花を咲かせるレンナと呼ばれた女性とフクベ。

見事な無視っぷりだ。

「…ナイス跳び膝蹴り…がく」

山となった医療品の中からアキトは腕だけ出してグッと親指を上げながら力尽きる。

こいつもある意味見事だ。

更にアキトの顔は何故か満足そうだったとか。

 

「お、おれの立場は…?」

突然突き飛ばされた上無視されて高杉は非常に淋しそうだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アキトそしてフクベ、後その他大勢の運命はどっちだ!?続くような続かないような思わなくも無きにしも非ず。

 

あとがきです。

こんにちは、彼の狽ナす。

…やってしまった!

遂にオリキャラを出してしまった!

しかも今回の話、過去振り返っただけで殆ど潰れた!

更に高杉が居るという事はここは…!

だ、大丈夫なのか私!?

 

…………………………え〜すみません、かなり取り乱しました。

さてさて中々波乱の展開っぽいです。

…何時も波乱じゃねーかというツッコミはナシです(爆)

 

オリキャラのレンナについても…まあコイツは後々詳しく紹介致しますのでそれまでご容赦を(汗)

そして、高杉が居るという事は当然艦長のあの方も居るわけで(激汗)

 

む〜…段々方向性が怪しくなってきました。

でもまあなんとかします。

してみせます!

 

それではここまで読んでくれた方々に感謝しつつ、また何時かお会いしましょう!

 

 

みなさん、感想ありがとうございます!眠気に負けず執筆がんばります!

 

 

 

 

 

 

…しかし過去のフクベをちょっと壊しすぎたかなぁ(汗)

 

 

 

管理人の感想

彼の狽ウんからの投稿です。

いや、つくづく幼少時代から・・・壊れてたんだな、アキトと愉快な仲間達は(爆)

それにしても、話の流れをみると木連に捕まったらしいですね。

相変わらずのサブロウタはいいとして、オリキャラがここで出てくるとは思いませんでした。

一年限りとはいえ、同じ釜の飯を食った仲間っぽいですが(苦笑)

さて、今後はどうなるでしょうか?