「オーケー、落ちつくんだボーイ! 平常心だ、平常心! だからシャラーップ!!」

 

突然だがアキトは何故か混乱している。

普段から錯乱気味な事をしているが更に上乗せで混乱しているようだ。

 

「まず君が落ち着いた方がいいと思うよ。バカ筆頭という名を欲しいままにしているナデシコのコック兼パイロット君」

「くっ、さり気にイヤミか!」

「勿論さ」

「参ったな、照れる」

「…相変わらず君の感性は訳がわからないね」

 

そんなアキトにツッコミを入れているのはネルガルの会長にして妖怪スケコマシ。

でもエステの腕は何故かそこそこのアカツキ・ナガレである。

 

「さあ、いてもたってもいらんねぇ状況だ。本気でどうする?」

「それは君が言うセリフじゃないと思うな」

 

エステのカメラで辺りを見回すアキトとアカツキだが、あるのはだだっ広い荒野と機械の残骸のみ。

どうやら2人揃って迷子らしい。

原因はアキトにあるのだろう。

アカツキのコメカミはヒクつきっぱなしなのがいい証拠だ。

 

「まあ徘徊するのを楽しんでいると思えばいいか。ほらちょっとした夢遊病者気取り?」

「…出来れば今回の作戦目的をちゃんと思い出して欲しかったなぁ、お兄さんは!」

 

その数秒後、盛大なクラッシュ音が鳴り響いたらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

伝説の3号機

その37

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

事は数時間前に遡る。

軍から無茶な命令に従って西へ東へと大忙しのナデシコ。

今回も同様で命令に従い木星蜥蜴の新兵器を破壊する作戦に当たることになった。

 

「クルスク工業地帯。今回の作戦はこの工業地帯に配備された敵…この際木星蜥蜴だろうが木連だろうがどっちでもいいけど。

 敵には変わりないしね。とにかくそこにある敵の新兵器を破壊する事が目的よ。まあ私のナデシコがあれば簡単よねぇ。

 ほほほ、この作戦が成功すれば私の評価もうなぎ上り! さあ頑張って頂戴、私の為に」

 

扇子片手にムネタケがいつもどうりイヤミな命令を告げる。

だがそんな命令でも今回は今までのものと違って戦闘がメインになる予感。

そんな緊張感がブリッジに漂っていた。

 

「テンカワ・アキト主催、本日の1分間劇場〜!」

『わーっ』

パチパチパチ…!

 

ほんの数分前までは。

 

「それでアキト君。昨日の続きなんだけど、あの後どうなったの?」

「おう、なんとそのアフリカゾウが突如穴を掘り始めたんだ。それはもう破竹の勢いで」

「ゾウって穴掘れるんですか?」

「知らねえ」

「掘り進む事数時間。それを見守っていたバスコルは突如叫び声を上げた!」

『うんうん』

「穴の中から出てきたのは…な、なんと! はいお終い。続きはまた明日ー」

「え〜気になるー! アキト教えてー!」

「ダメだ! 教えて欲しけりゃムーンサルトの1つでもかましてみろ!」

 

シュバッ!…すたっ

 

「出来たぞ。テンカワ、教えろ」

「…………………………………アジ副長。できるようになったな」

「まあな」

 

ムンッと胸を張って得意げのジュン。

どうやらイネスの薬とユリカの料理の作用は良い方向に働いているようだ。

 

「アオイさん…素敵」

「…イツキさん、目が怖いです」

 

最近のイツキはジュンの追っかけみたいなことをしている。

目は爛々とし、異様な気配を漂わせながら。

全身からにじみ出るその気配は周辺のクルーを近づけさせないほど協力なものらしい。

 

「ほほほほ…って、ちょっとあんた達! 人の話 聞いてるの!?」

『勿論』

「ならいいわ」

 

そんな訳でナデシコは新たな任務に付くことになった。

相変わらず緊張感などと言うものには無縁だが。

 

 

 

 

 

 

「後5分ほどで予定作戦ポイントに到着します」

「はい、お願いします。提督、今回はその敵さんの新兵器を破壊すればいいんですよね?」

「ええ。私たちが『ナナフシ』と呼んでいる巨大兵器を破壊すれば任務完了よ。後は軍が作戦を引き継ぐから安心して」

「楽してますね」

「何か言ったかしら?」

「なにも」

 

そんなやりとりが行われるブリッジ上段を無視して淡々と仕事をこなすのは他のブリッジクルーの面々。

元々相手にする気ナシなのかもしれない。

 

「とにかくちゃっちゃと終わらせちゃいましょう!」

「遠距離射撃で一発か…何も無ければいいが」

「戦闘指揮者がそんな弱気でどうするのよ。今考えられる一番の安全策なんだから変なこと考えないで」

「エリナ女史の言う通りですよゴート君。気楽に行きましょう」

「いや、テンカワ辺りがまた何か騒動を起こしそうな予感がしてな」

「「なるほど」」

 

そこは同意してしまうエリナとプロス。

もはやアキトの奇行は日常茶飯事になっているようだ。

 

「あの…」

「ん? なんだレイナード」

「あれ…」

「あれ?」

 

メグミが何かに気付いたのかブリッジ前方に映っているモニターを指差す。

そこには―――

 

「よぉっしゃぁぁ! 登頂成功だぁぁぁ!!」

 

ナデシコの頂上(ブリッジの上)でガッツポーズをしつつ歓喜するアキトの姿があった。

ちなみに服装は『ロッククライミングやってやるぜ!』と言わんばかりの格好だ。

ゴートの予感的中である。

 

「…………………………………………負けた」

「いや、何に? そもそも勝負してたの? ゴート・ホーリー、アンタ大丈夫?」

「アキトさん…そんなにナデシコに登りたかったんですか?」

「アキト君、相変わらずねぇ。ユキナちゃんとラピスちゃんも登ってるのかしら」

「いえ、あの2人なら格納庫で応援の旗を振ってます。流石に登る気は無かったようですね」

「アキトすご〜い! よーし、艦長さんの私も負けていられないね! ジュン君、後で登るの手伝ってね!」

「…ユリカ、テンカワに張り合ってたら身が持たないよ?」

「ちょっとあんた達! 作戦途中に何やってんのよ! テンカワもバカやってないで降りてきなさい!!」

 

作戦そっちのけで騒ぎ始めるブリッジクルー。

そんな中ある人物に連絡を取るメガネのお人。

 

「聞いていましたね?」

「はい」

「アレの使用を許可します。思う存分殺ってください」

ラジャッ!……さあアキト、そこまでよ! 今日はどんなツッコミがお望みかしら!?」

「やさしくしてね♪」

「おっけー

 

レンナの目が『キラリ』と光った瞬間何処からともなく物騒なモノが取り出された。

それは太陽の光を浴びて不気味に光り輝き、獲物を今か今かと待ち受けているようにも見える。

 

「ふふふ、先生と私のアイディアを盛り込み、ウリバタケさんの技術が生かされた奇跡のコラボレーション!

 『常識不要・ハイパーツッコミランチャー』を試す時!」

「アウチ!? マキシマムデンジャラース!! ベン子サーン、ソレハストップネー!!」

「ベン子言うなぁぁぁぁぁぁ! 死ぬぇぇぇぇぇっ!!!!」

 

「敵弾発射」

 

『え?』

 

 

ズガゴォォォン!!!

 

 

ルリの報告を受けた瞬間、突然の衝撃がナデシコを襲う。

数秒もしない内にナデシコは大きく傾き、大地に向かって落下を始めた。

 

『のわあああああああああああああああああ!!!!!?』

「おおおおおおおおおお!!!? だ、誰だ! ベン子より先に撃ちやがったクルクルパーは!!」

『そんな事言ってる場合かぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!』

「大丈夫! きっと峰打ちだ!!」

『落ちてるだろうがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!』

 

クルー全員で大騒ぎの中、ナデシコは地表に落下していく。

その光景をある人物が遠くから見ていたとは気付かずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

「くくくっ…見たか、これぞ木連の力よ」

 

低い笑い声を上げながらナデシコの落ちていくさまを見ていたのは先日突如アキト達の目の前に現れたはいいが、

一瞬にして海の藻屑となってしまった人物。

北辰、その人である。

どうやらしぶとく生きていたようだ。

 

「これで先日のカリは返したぞ…さて、これからが本番だ…」

 

主バッタの背に乗りこの後の事を思案する北辰。

背後に佇む『ナナフシ』の砲身が異様な輝きを見せていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「状況説明をお願いします」

説明しましょう。敵、『ナナフシ』と呼ばれている兵器はおそらく体内でマイクロブラックホールを生成し、

 それを重力波レールガンで発射するように出来ているみたいね。

 しかも対空自動迎撃システムを搭載しているから空から近づけばナデシコのように一発で終わり。

 勿論それをまともに喰らったら容赦なく消滅。

 さっきの弾道はブレードを突き抜けて宇宙まで行き、霧散してしまったみたいだけど、もし地上に着弾していたら…恐ろしい限りね。

 唯一の弱点は連射が出来ないこと、次の発射は12時間後と予想されるわ。

 で、これは私の見解なんだけど…」

「はいはい、わかりました。でもこれからどうしましょうか…」

 

どうにか無事に着陸したナデシコ。

しかし被害は甚大でウリバタケの報告によれば修理にはかなりの時間を要するという事。

事態は深刻だった。

 

「つまり今オレたちは敵勢力のど真ん中で動けず、逃げ出すこともできない。大ピンチという訳だ。

 これをラーメンで表現するとなみなみと注がれたスープを如何にして客のテーブルまで持っていくかという

 非常に困難な状況下に酷似していると考えていい」

「ちっ…さっきのが無ければアキトを抹殺できたのに…次に持越しね」

「アキト、どことなく間違っているような気がするのは私だけ?」

「あきとおにーちゃん、でっかいタンコブできてる」

 

この4人を除いて。

 

 

 

 

 

 

 

「いいかよく聞け! 議論の結果、動けないナデシコに代わりエステバリスで地上より『ナナフシ』の破壊を行うことになった!」

 

ここは会議室。

今回決まった作戦案をゴートが何故か意気揚々と読み上げる。

そしてそれを真剣に聞くのはパイロットの面々なのだが…異様な雰囲気が漂っていた。

 

「今回の作戦に失敗は許されん! 貴様等、ゴミ虫から哺乳類に進化したいのなら意地でも成功させろ! いいな!!」

『イエッサ!』

 

口調を揃え敬礼をするパイロットの面々。

そう、ナデシコクルーは何故か軍隊に変貌していた。

しかも全員軍服を着込みやる気満々。

気力200%といったところか。

 

「ほら! 手がお留守になってるぞ! きちんと敬礼せんか!」

『イエッサ!』

「ゴクツブシどもが! そんな事でどうする! この俺を敬え! さあもう1度やってみろ!!」

『サー! イエッサ!!』

「よーし。では司令官殿よりありがたい言葉を頂く! 心して聞け!」

 

ゴートの声に合わせるように軍服に身を包んだ1人の女性が作戦室という名の会議室に現れた。

左胸には勲章が、そして襟には大佐の襟章が輝いている。

 

「楽にして頂戴」

 

その女性は黒髪をなびかせ作戦室に居る全員を見渡した。

そして口を開く。

 

「はぁぁ〜いいわぁ〜

 

ズドガシャッ!

 

ものの見事に全員でズッコケである。

 

「コホン、大佐。お言葉を」

「あら御免なさい。ついこの雰囲気に呑まれちゃって。おほほほ」

「…先生、なんで艦長じゃなくてエリナさんが司令官なんですか?」

「…仕方ないんですよ。エリナ女史、大の軍事オタクでして。ウリバタケさんがどこからか軍服を持ち出したのをいい事に…」

「…こうなったと」

「…ええ。すみませんねレンナさん」

「…別にいいですけど」

「そこ! 口を閉じろ! 大佐の話の途中だぞ!」

「ハッ! すみません!」

「…何気にノリノリですねフクベ伍長」

 

そんなこんなで話は進みエリナ大佐のありがたい言葉を頂いた面々だった。

これで士気が上がったかどうかは定かではない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いいわね! 絶対作戦を成功させるのよ!」

『イエス! マム!』

「声が小さい!」

『イエス! マム!!』

「よし!」

 

格納庫にて最後の確認が行われている。

この形式はまだまだ続きそうだ。

 

「そこ! テンカワ伍長! 出発準備は整備班に任せてアナタもこっちへ来て話を聞きなさい!」

「ハッ! ですがその前に大佐、1つ質問を宜しいでしょうか!」

「何? 聞いてあげるけど手短にね」

「ありがとうございます! では…そもそもそのクルスク工業地帯って何処ですか! と言うよりここは何処の国なんでしょう!」

「降格!」

「何故!?」

 

哀れ、アキトは一気に三等兵まで降格してしまった。

勿論本人に自覚はない。

 

そうこうしている内に時間も押し迫り、辺りにピリピリした空気が漂い始める。

だがこちらではそんな空気を寄せ付けない雰囲気が漂っていた。

 

「アキト…じゃなくてテンカワ三等兵。無理しないでね」

「あきとおにーちゃ…テ、テンカワさんとうへー、がんばって」

「テンカワ三等兵! 私は艦長さんだからここを動けないけど応援してるね! そうだ、お弁当作ってあげようか?」

「テンカワ三等兵、くれぐれも怪我だけはしないでください。それとボケもほどほどに。あ、スタミナドリンク作りましたから持っていってください」

「だぁぁぁっ!…三等兵、三等兵うるさいわ! オレの気質は元帥クラスだぞコンチクショウ!!」

 

和気あいあいしているのはアキトとユキナ、ラピス、ユリカ、メグミの面々。

ここだけは異様に和やかだ。

勿論そんな光景を繰り広げるものだから整備班からの視線がアキトに嫌というほど突き刺さる。

だが当の本人は別のことで頭がいっぱい、全然気にしていなかった。

 

「くぅ…何故だ。何故オレが三等兵などと…」

ポロン♪

「テンカワ三等兵、つまり1人歩きは危険だということよ」

「おお、そういうことか! 流石はタマゴ伍長。良い相方を持って幸せだよオレは」

ポロロロロロロロロロロッロオロッロロロォォォォォォン♪

「…ふっ」

「うわ、マキ伍長が照れてる〜」

「つくづくわからねぇな、あの2人の思考は」

「というかどことなく間違ってるよねぇ」

「マキ伍長もテンカワ三等兵と同類の気ありますからね」

「とにかく行くぞ! さあて今度も俺が大活躍してやるぜー!!」

 

他のパイロットの面々も緊張感はあまり無いようである。

全員軍服風のパイロットスーツに身を包み何時でも出撃可能な状態だ。

 

「あ、そうだ。テンカワ三等兵ー、先生からの伝言よー」

「プ少佐から? なんだ?」

『タマぁしっかり獲ってきてください』だって」

「…………………わかりやした親分」

「テンカワ三等兵、怪我しちゃダメだよ。ちゃんと帰ってくるって約束してね」

「わかってるわかってる。そう心配するな。余計怪我しそうだ。」

カチカチ☆

「気をつけてね、あきとおにーちゃん」

「…ラピU兵長、その火打石どっから持ってきた」

「ウメ特務曹長に貰った。昔使ってたんだって」

「…ほぉ」

 

そんなホウメイのちょっとした過去を感心しつつも勢いよくエステを素手でよじ登っていくテンカワ三等兵。

何気に元気一杯のようだ。

 

「…普通に乗れねえのかアイツは」

「テンカワ三等兵だから」

 

ウリバタケとエリナはただただ呆れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「騙された!」

「騙してねぇ!」

 

アキトの突然の声にツッコミを入れるリョーコ。

その原因はアキトの乗るエステにあった。

 

「なんだこの荷物の量は! ちと多すぎだぞ!」

「仕方ねえだろ。夜通しで進行するんだからそれ位の荷物はいるんだよ」

「じゃあどうしてオレだけに持たせる!」

「おめぇは普段から足引っ張ってんだから少しは貢献してみせろ」

「なにを! オレは色んな意味でエースだろうが!!」

「いっぺん飛ぶか? あ? テンカワ三等兵よ」

「OK! 寧ろカモン! ウェルカム!」

 

次の瞬間本当に飛ぶエステがナデシコブリッジより目撃された。

そのエステは何故か膝を抱えながら回転していたと後にナデシコオペレーターは語る。

 

「…バカ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

出発の際にひと悶着あったもののなんとか始まった深夜の進軍。

数時間過ぎた頃、キャンプを張り休息を取った面々だったが、あろう事かアキトが食材を現地調達すると言いそのまま迷子に。

仕方なく全員で捜索に当たったのだが無事アキトを見つけた時には全員散り散りになってしまっていた。

 

「テンカワ三等兵、君を信用したのがそもそもの間違いだったよ」

「百万石曹長、まあここは冷静に対処しようじゃないか。ほらよく言うだろ? あるものはある、ないものはない。つまりオレは変わらんと。

 そしてそんなオレに全てを任せたお前は愚か者だということだ」

「よぉーくわかったよテ・ン・カ・ワ・三等兵♪」

 

どこかで本日二発目のクラッシュ音が響き渡った。

余程腹が立ったのだろう。

 

「全く。ヤマダ伍長ともはぐれてしまうし、このままじゃあナデシコが大ピンチだよ?」

「大丈夫!」

「何が?」

「根拠はない!」

「…出来る事なら君を亡き者にして現実逃避したいよ」

 

アカツキ、またも身構える。

三発目のクラッシュ音は近そうだ。

 

漫才を繰り返す2人だが事態は本気で深刻。

護衛役のリョーコ、ヒカル、イズミ、イツキ、そしてもう1人の任務遂行役のガイとも逸れたまま。

この状況では作戦完遂も危うい上に、下手に仲間に呼びかければ敵に見つかる恐れもある。

完全に八方塞状態だ。

 

「しかしヤマダ伍長、無事かな?」

「なんとかなるだろ。アイツ、異様にはりきってたし」

 

 

それは1時間ほど前に遡る。

 

迷子のアキトを見つけたのはいいが運悪く敵に見つかってしまったアキト、アカツキ、ガイの3人。

しかし3人とも砲戦に乗っており、しかも本来より武器弾薬を多く積み込んでいる為か足が遅い。

あっという間に敵に追い着かれてしまった。

 

「くっ、まさか戦車で来るとはね! あちらさんも色々と考えているようだ!」

「まあ戦車で攻めてくるなんて何様かしら! 怖いわー!」

「…よし。テンカワ三等兵、アカツキ曹長! ここは俺に任せて先に行け!」

「何!? ヤジン伍長、何をするつもりだ!」

「ヤマダ伍長、無茶は止めたまえ!」

ダイゴウジ伍長だ! 安心しろ、この程度の敵を惹きつけるくらい俺1人で十分だ! 

 テンカワ三等兵、アカツキ曹長…俺を男にしてくれ!

「え゛…ヤジン伍長お前まさか…」

「ヤマダ伍長って…そうだったのかい?」

そういうお約束のボケはいらん! と言うより俺の名はダイゴウジ伍長だって言ってるだろうが!」

「…ちっ」

「なんだ…」

「何で残念そうなんだよ!?」

「そうかぁ! 違うのかぁ! はっはっは」

「驚いたねぇ。はっはっは」

「いや、だからって楽しそうにされても困るんだが…」

「何? じゃあどっちなんだよ、ハッキリせんか!」

「優柔不断はいけないよヤマダ伍長」

「…何で俺怒られてんだ?」

 

ガイ戸惑う。

そんな事をしている内に敵は目の前に差し迫っていた。

 

「だぁー! もうどうでもいいから行け! 敵を惹き付けつつ仲間の背中を守る男の姿。くぅー! やっぱりヒーローはこうじゃなくっちゃなぁ!」

「よし! やれるだけやってこいヤジ子伍長!

「任せたよヤマダ・ジロ美伍長

「ちがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁう!!!!!!」

 

すぐ後、ガイは敵の砲撃をまともに受けてぶっ飛んだらしい。

一応盾にはなっているようだ。

 

 

 

 

「あいつもなかなかしぶといしな。生きてはいるだろ。まあオレの背中を守るという心掛けは褒めてやろう。

 この戦いが終わればヤツなどポイッだがな。ふっふっふ…」

「悪だねテンカワ三等兵」

 

そういうアカツキもガイを置いてきたので人の事は言えない。

 

そんな訳で何とか逃げ切った2人なのだが敵の猛攻を振り切る為に滅茶苦茶しながら逃げた結果、

ナビがイカレ、完全に迷子になってしまったという訳だ。

ガイの男らしいセリフも台無しである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「シラトリ兵長、休んでいてもいいのですよ。今回はブリッジ要員と整備班の方々以外は通常勤務なのですから」

「プロス少佐…いいです。ここに居させてください」

「…わかりました。しかし無理はしないでくださいね」

「はい」

「やれやれテンカワ三等兵は幸せ者ですなぁ〜このように慕われて」

「そりゃそうですよ。私に好かれるなんてこの世で一番の幸せ者よアイツは」

「言いますねぇ」

 

エステ隊が出発してから数時間。

ブリッジは未だに緊迫した雰囲気が漂っている。

そんなブリッジにユキナは居座っていた。

本来、彼女は生活班に分類されるのでここに居てはいけないのだがそこは艦長のユリカにお願いし、OKを貰った。

献身的な態度がそうさせたのだろう。

 

「…でも知りませんでした。あんな兵器を作っていたなんて」

「シラトリ兵長は元々民間人だからね。知らなくて当然でしょ?」

「フクベ伍長…はい、でもたまにお兄ちゃんの仕事覗き見してたから少しは詳しいんですよ」

「ほぉーそれは興味深いですなぁ」

「プロス少佐、幾ら上官でも情報料は取りますよ?」

「ほほぉ、私と商い勝負をするつもりですか? 痛い目を見ることになりますよ?」

「ふっふっふ、あっちに居た頃は値切りクイーンと称された私ですよ? お金にうるさいのはプロス少佐だけじゃないんですからね?」

「面白いですね」

「先生…じゃなくてプロス少佐が商人モードにっ!?」

 

プロスは例のソロバンを取り出しメガネを輝かせ、ユキナも例のロープと何故か電卓を取り出し身構えた。

成り行きで変なバトルが突如始まるようだ。

何時の間に配られたのだろうか、ブリッジクルーは賭け札を握り締めて見守るのみ。

無論、取り仕切っているのは整備班長にしてナデシコの遊び事隊長ウリバタケ。

作戦途中なのに誰も文句を言わないのは暗黙の了解なのだろう。

 

 

その頃――

 

「…うう……動けな…い…ユキナぁ〜…じゃなくて…シラトリ兵長〜…助けて〜……あぅぅ…」

 

ラピス、無理矢理着せられた鎧のせいで身動きが全くとれずジタバタしていた。

お陰で鎧の塊が寝そべっているように見える。

 

 

 

「バカばっか」

「ホシノ特務曹長は鎧でも大丈夫なの?」

「鍛えてますから」

 

ルリは何気に強かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なあ百万石曹長、1つか2つか98つくらい聞いていいか?」

「……………幾らでもどうぞ」

 

アカツキ、アキトに散々付き合ったせいか疲れ気味である。

無理もない。

 

「お前ネルガルの会長なんだろ? なんで戦艦なんかに乗ってスケコマシてんだ?」

「微妙にイヤミ入ってるね……まあいいか。僕がここに居る理由かい? それはね兄が…」

「何!? そうなのか。苦労したんだな…」

「いや、まだ何も言ってないけど」

「ちっ…イイ話だ。思わず心の汗が流れっちまったじゃねえか」

「もしもし? 目頭抑えて涙ぐむのはいいんだけど僕何も言ってないよ?」

「さあ、気分が乗ってきたところで先に進むか!」

「…………僕は気分に乗り遅れたよ」

「おいおい百万石曹長、しっかりしろ。弱ったら喰われるぞ、野生の掟ではそう記されている」

「文明社会のど真ん中で言われてもねぇ…しかも全然 今の状況と関係な…」

 

ガォォン!!

 

相変わらず漫才を繰り広げる2人だったが突如どこからか爆発音が響き渡った。

しかも近い。

 

「百万石曹長」

「ああ、行ってみよう」

「うむ。じゃあ素敵な自称20歳の婦警さんをやります!」

「なんで!?」

 

前途多難だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「こ、これは!?」

「うおわ! 地面から腕が生えてる! すげえ! 初めて見た!!」

「いや、あれはどう見てもエステの腕がぶっ飛んで突き刺さってるだけだと思うよ」

「知ってる!」

「もういいよ…」

 

2人が駆けつけた時には全てが終わった後だった。

辺りに散乱するエステの残骸があまりにも無残に映る。

 

「…そのエステはテンカワ三等兵にロン毛曹長か?」

「ん? その声はスバル曹長かい?」

「ああ。おめえらは何とか無事だったみてえだな」

「はっはっは、勿論だ。で、バリウム曹長、お前の気分はどうよ!? どうさ!? どうなんだーい!?」

「…てめえの声で更に気分最悪だ!」

「OK、良くわかった。だからその吸着地雷をオレのエステにセットしようとするな。謝るから」

 

近くの岩場に隠れていたのかリョーコ、ヒカル、イズミ、イツキがアキト達のエステの前に現れた。

4人とも笑顔で手を振っている所を見る限り怪我は無いようだ。

 

「いったい何があったんだい? 4人ともエステを破壊されるなんて」

「俺にもよくわかねぇよ。突然だったからな」

「うんうん。いきなりピカッって光ったと思ったらエステちゃんの腕や脚が吹っ飛んでたもんね」

「間違いなく敵の攻撃ね。危うく黄泉の世界へ旅立つところだったわ」

「…マキ伍長、状況が状況だと真面目ですね」

「ちぃっ…この状況ではボケられん!」

『ボケんでいい』

 

緊張感はいつものようにアキトのお陰で霧散した。

 

「それにしても、してやられたといった感じだね。まさか敵さん、『ナナフシ』以外にも新兵器を用意していたとは」

「そうだな、ある意味反則だ。きっとウルトラハッピー級の兵器に違いない」

「訳わかんねえよ…ん? そういやヤマダ伍長はどうした?」

「ああ、アイツは今 人生のリセットをしているところだ」

「はぁ?」

「大丈夫、きっと生きてはいる」

「そうか。ならいいわな」

 

あまり良くはないのだが時間が差し迫っているので余計な事は省くことにしたようだ。

そんな風に扱われている事を全く知らないガイは今頃一生懸命に戦っているのだろう。

哀れだ。

 

「さて、おおよその現在位置はなんとか生きていたスバル曹長のエステのナビで確認できたし、

 僕たちは『ナナフシ』の破壊に向かおうと思うんだけど」

「ああ、そうしてくれ。オレ達はこの状態じゃどうしようもねえからな」

「でもさっきの謎の攻撃がなんなのかわからないよ?」

ペロン♪

「下手に動くと私達の二の舞〜下手な踊りは止めなされ〜あの世に旅立ちはまだ早い〜」

「そうです。ここは慎重になった方がいいと思います」

「だからと言ってここで立ち往生をしているわけにいかないさ」

「そうそう。気にしない! 気にしない方向で!! むしろどんと来いだ!!!」

「…気合だけはいっちょまえだな」

「とにかく僕達は行くよ。スバル曹長達は敵さんが作ってくれたアレで退避してくれるかい」

「ああわかった。じゃあお前ら…撤収!

『イエッサ!』

 

砂埃を巻き上げあっという間に地平線の彼方へ消えてゆく4人。

何気に敵から奪取した戦車はおもいのほか高性能のようだ。

 

「ソッコーだな」

「強いね彼女達」

 

流石に呆れるアキトとアカツキだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「見えてきたね」

「ああ。アレが『ナナフシ』か…くそっ、バカ長い砲台にバカでかい本体なんて反則だぞ!

 あんな戦闘能力の高そうな図体されたら今後のヤツラを見る目が変ってしまいそうだ!」

「へえどう見るんだい?」

「刹那、光が駆け抜ける!」

「は?」

「物凄い勢いでツッコミを繰り出し、全身に駆け巡る血液は沸騰寸前!

 テンションは一瞬にして最高潮に達し、敵の一挙一動に体は打ち震え、心が溶け出していくような感覚を覚える!

 つまり人でもなんでもねぇ! テメェは国に帰れ!!

「いや、元から人じゃないよ。アレ機械。わかってる?」

 

よくわからない事でテンションが上がりまくるアキトと呆れるアカツキ。

だが突如 謎の光が2人を襲った。

 

「なっ!?」

「これが例の!?」

 

ズガァァァァン!!

 

2人はギリギリで避けたようだが謎の光が触れた地面は小規模のクレーターとなっていた。

しかし避けたのも束の間、第二射が迫る。

 

「テンカワ三等兵ー! アカツキ曹長ー! ヒーローが救援に来たぜぇぇぇぇぇぇぇっ!!」

「ヤジン伍長、危な――――い!!」

 

どげっ!!

 

「なんだぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!?」

 

ズドガァァァァン!!

 

いいタイミングで駆けつけてきたガイを囮にし事なきを得るアキト。

何気に額の汗を拭う。

 

「くそっ! ヤジン伍長が! 許さんぞ!」

「テンカワ三等兵。君ってつくづく悪だね」

「例えオレが許しても『空にいるもう一人のオレ』が絶対に許さん!!」

「なにかいる!?」

 

アカツキはアキトの背後に何かを見たそうな。

 

そして当のガイのエステ、謎の光を喰らいコゲて完全に沈黙。

ガイ自信はどうにか無事のようだが何も言ってこないのは目を回しているのだろう。

 

「ヤジン伍長! お前の仇は討つからな!」

「いや、死んでないって」

 

謎の光をどうにか躱しつつ『ナナフシ』へ向かう2人。

ようやくその巨体が全貌を現し始めた。

 

「よし、もうすぐだね。さっきから襲ってくる変な光も収まったみたいだし…テンカワ三等兵、準備はいいかい?」

「おっし、任せろ。その前にここは一発、テンカワ・アキトの一分間劇場をダイジェストで…」

「流さんでいい」

 

アキトのボケに反応したのはアカツキではなく別の声の主だった。

 

「誰だ!」

「今の声は何処かで…」

「くくくっ…また会ったな」

「なあ百万石曹長。今日の夕飯は何かな?」

「テンカワ三等兵、君の職場は何処だい?」

「そこ、現実逃避するな」

「テンカワ君、何だか顔色が悪いけどどうかしたのかい?」

「いや、どうも何かに取りつかれているような気がしてな…」

「そんなのがわかるんだ。凄いね」

「いや、オレじゃなくてな」

「え? じゃあ…」

「お前の背後に居るのが本命だ」

「あっはっはっは。その発言を認めてしまうと僕の中で何かが確実に壊れるね」

「我を無視するとはいい度胸だ…滅!

 

瞬間、辺りに今までとは比べものにならない位の光が満ちる。

 

「ぬぁ!?」

「な、な…!?」

 

 

ズガァァァァァァァン!!!!

 

 

凄まじい爆発が辺りに響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「艦長! 今の音は何!?」

「落ち着いてください大佐! ホシノ特務曹長、すぐに分析を!」

「…わかりました。ナナフシ付近で大規模な爆発を感知。ですがナナフシの爆発音ではないようです」

「…ウリバタケ技術軍曹、飛べますか?」

「あと10分くれ! なんとか飛べるようにする!」

「総員戦闘配置! これよりナデシコは『ナナフシ』に向かいます! レイナード伍長!」

「はい! 第一種戦闘配置! 乗組員は直ちに配置についてください!」

 

メグミの声により途端慌しくなるナデシコ艦内。

緊迫した空気がよりいっそう増したようだ。

 

「でもその前に!」

「はい! わかっています大佐!」

 

「ふ…ふふ…やりますねシラトリ兵長…この私に最後の手段を使わせるとは…!」

「ふ、ふふんだ! 伊達にアキトの許婚やっていません! 行きますよプロス少佐、最後の勝負!」

「「いざ!!」」

 

プロスとユキナの対決はまだ続いていた。

いったいどんな白熱したバトルが繰り広げられたのだろう。

2人とも何気にボロボロである。

 

「あの2人の戦いが済んでからね!」

「大丈夫、賭け金は無駄にしません!」

 

「やっぱりバカ」

「…うーうー…助けてー」

 

そんなのん気な事をしている光景を傍目にルリは呆れ、ラピスは動けずジタバタする夜明け前だった。

しかし賭け札を握り締めている時点でルリも同類である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふ…ふふっ…お姉さん僕に惚れるとヤケドする…よ?……がくっ」

「その意気やよし!」

「おい…貴様」

「何だ?」

「仲間をにするとはどういうつもりだ」

「あーダメ! それ以上言ったら人間落とすよ!」

「落ちるのか!?…いや、だが…」

「ああーだからダメだって! それ以上言ったら野性に戻るよ!」

「戻るのか!?」

 

アキト、またしても仲間の尊い犠牲の下にボケをかます。

なかなか大したタマである。

 

「…まあいい…残るは貴様のみ。もう身を守る盾は無いぞ?」

「くっ…あんなのにやられるのか…絶対に人外クラスの生物に!」

「酷いなおい」

 

人外呼ばわりされた北辰、ちょっといじける。

 

「とまあその前に…いい加減に姿を現さんか! 悪役は派手に登場して派手に消えると相場が決まってるんだ!」

「先程から現している! 我はここだ!」

「だから何処だって」

「ここだここ!」

「むぅ……あ、いたいた。ったく、小さくて見えなかったよ。あっはっはっは」

「だ、誰のせいでこうなったと思っているんだ!」

「え? その格好趣味じゃなかったのか?」

「そんなわけあるか! とにかく、貴様も仲間同様ここで散るのだ!

 見よ、『ナナフシ』と『主バッタ』が奇跡の融合を果たした姿を!

 そして融合を果たす事で初めて使用可能になる力をとくと味わえ!」

 

声も高らかに北辰は自らが乗るその巨大な物体を見せ付けた。

確かに『主バッタ』の姿も見て取れる。

 

「とまあ、そんなどーでもーいー物体はさておき!」

「おい!」

「いや、だってなぁ…」

「何が不満だ!」

「それってただ『ナナフシ』に『主バッタ』が張り付いているだけじゃないか?」

「ち、違う! 一見そうかもしれんがこれはれっきとした融合状態なのだ!」

「『主バッタ』、アブラムシになる」

「アブラムシ言うぁぁ!!」

 

北辰、泣きそうになる。

はっきり言ってイジメだ。

 

「もういい…手加減はなしだ…往生しろ!」

「ぬぁぁ! ちょ、ちょっと待て! あーもう! こういう時にベン子伍長のヤツでも居ればイイ感じのツッコミで葬ってくれそうなんだが!」

 

混乱するアキトを傍目に北辰は主バッタの背に乗り左眼の義眼を見開いた。

 

「主バッタ! リミッター解除!」

「お、お客さん! そ、それは困りますーっ!」

「勝手に困れ!」

「酷い! お前はオレのライバルになれる器なのに!!」

「そんな器、激しく困るわ!」

 

漫才を繰り広げる2人。

そんな2人を他所に主バッタが赤く輝き始めた。

ナナフシも同様に赤く輝き始め、動力炉が活性化したのか鈍い音を響かせ、見るからに凄まじいエネルギーを蓄積していくのが見て取れる。

これならば先程とは比較にならない程の爆発が予想されるだろう。

アキト、本気でピンチだ。

 

「これで終わりだ! め…」

 

 

 

ズドガンッ!!!

 

 

 

「づぶ!?」

 

北辰、またも散る。

 

「…………………………………ヤツか」

 

突如謎の攻撃で中断された『主バッタ』と『ナナフシ』の必殺攻撃。

どうやらアキトはその謎の攻撃に心当たりがあるようだ。

これでもかって位に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、どこかで―――

 

「ちっ…外した…テンカワ三等兵め…またベン子などと…」

「フクベ伍長…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、おのれ…妙な真似を…」

「んなにぃ!? 持ち堪えてやがる! ゴキブリ並にしぶといな…ん?」

 

気が付けば赤い光は消えうせ完全無防備になっている北辰とそのお供。

 

「ま、まだまだこの程度………え?」

 

 

 

「ファイヤ――――――――――ッ!!」

 

 

 

 

チュドォォォォォォン!!!!!!!!

 

 

 

 

 

「げふはぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!?」

 

北辰、『主バッタ』と共、アキトエステの集中砲火によりお空の星となる。

無事 任務完了の瞬間だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あらお帰り」

「おうただいま、大胆なヒットマン」

 

どげっ!

 

「何だって?」

「…お、おう間違えた。ベン子伍長」

 

がずっ!

 

「ベン子言うな!」

 

全然懲りていないアキトだった。

 

しかもその後、復活したアカツキとガイに袋叩きにあったらしい。

完全に自業自得である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐぉぉ…まだ諦めぬぞ…」

 

こちらも懲りていないようだ。

北辰の受難はまだ続く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さあ勝利の宴よ! 存分に飲みなさい!!」

 

『イエス! マム!!』

 

「エリナさ〜ん。いい加減に止めてくださいよ〜それ、艦長の仕事ですよ〜」

 

エリナはとにかく止まらない。

この宴は翌日まで続いたらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ユキナさん…アナタは見込みがあります。また戦える日を楽しみにしていますよ」

「ぷしゅ〜…」

 

よくわからない勝負の決着はプロスが勝利を収めたようだ。

ユキナは頭から煙を出しつつ目を回している。

やはりプロスは色々な意味で強かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…だ、誰か〜…あきとおに〜ちゃ〜ん…ユキナ〜…レ〜ン…助けて〜…」

 

ラピス、未だ動けず。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アキト…とエリナ、そして北辰の運命はどっちだ!? 続くような続かないような思わなくも無きにしも非ず。

 

あとがきです。

こんにちは、彼の狽ナす。

そんなわけで軍隊風味でお届けしました(笑)

あ、階級は全くの適当です。

陸軍、海軍、空軍入り混じってます(汗)

 

今回も登場となりました北辰さん。

次回もまたこの方が色々と活躍してくれるでしょう。

ええ、色々と(笑)

 

さて、前回の代理人さんの感想ですが…参りました。

まさかあそこを突っ込まれるとは夢にも思わず(笑)

次はどんなツッコミがくるのやらw

 

ではではこれにて。

 

 

代理人の感想

・・・・・逞しくなっても出番は冒頭の1シーンのみ

なのな、アジ副長(爆)。

 

 

>前回の突っ込み

見てて爆笑しましたからね。強烈な印象を残しましたよw

いや格好良かったんですけど。早川健の投げキッス並に(爆)。