火星　ユートピアコロニー

この名は一体何を望んで付けられたのだろうか？

理想郷。理想の国。ｅｔｃ…

色々な想いがこのコロニーにあり、今もあり続けるのだろう。

これはそんな想いが託されたコロニーの何処かにあったであろう、

ある軍人一家と科学者一家の、おそらくは史上稀に見る愛と感動と友情の日々を綴ったものである。

…ってそんな真面目なもんじゃないが。

伝説の３号機　外伝

ある一家同士の喜劇な日々

ちゅどおおおおおおおおぉぉん！！！

「ぬにゃあああああぁぁっ！！！？」

爆音と共にぶっ飛ぶ１人の少年。

彼こそ、

ばぁん！

「どうしたアキト！？朝からご近所迷惑だぞ！」

「そうよアキト。遊ぶなら朝ごはんを食べてからにしなさい」

ぶっ飛んでいったのはご存知、我らがテンカワ・アキト、この時７歳である。

そしてドアを勢いよく開けて出てきた男性と女性。

まあアキトの父と母である。

しかし捉えるところが間違っているような…。

「…父さん、母さん。オレの姿を見て言う事はそれだけなのか？」

「そうねぇ、イイ感じにコゲてるのだけは確かね�@」

「うむ。だが父さんはウェルダンよりレアの方が好みだ。焼きすぎはいかんな。焦げは身体にも良くないし」

「…いや、重要なのはそこじゃなくて」

「何？じゃあ一体何処なのだ？全くハッキリせんか。父さんはそんな風にお前を育てた覚えはないぞ？」

「そうよアキト。物事はキチンと話さなきゃダメよ？」

「…それ以前に普通こんな状態の息子がいたら介抱するもんじゃないのか？」

「そんな事はこの際置いとけ」

「置くの！？」

「むしろ捨ててしまえ」

「捨てる！？」

「丁度今日はゴミの回収日だからちゃんと分別して出しておけよ？」

「ホントに捨てるの！？…ってそうじゃなくて！」

「じゃあ何だ？」

一体どんな父親だ。

「ほらアキト、お母さんに言ってご覧なさい？少なくとも介抱の余地はあるわよ？」

「余地…？じゃあ介抱されない可能性も…？」

「さあ、どうかしらね�@で、何があったのアキト？」

「…�@って…まあいいや。実はさオレが新聞を取りに郵便受けまで歩いたらいきなり地面がぶっ飛んだんだよ」

「ほう…それは不思議な事もあるものだな」

「あらあら…じゃあこれからは気を付けないとね」

「ちがあああああぁぁう！そうじゃなくて！」

「何？違うのか？じゃあ何だ？」

「もう紛らわしいわね」

苦労するなアキト。

「…つまり家の周りが何時の間にか地雷原になってるってことだよ」

「ほう、そうか。それはまた…って何いいいいいいいぃぃぃっ！！！！！！？」

「あらあらまあまあ」

アキトはコゲて倒れふし、

アキト父は絶叫を上げ、

アキト母のみマイペースだった。

一体どんな家族なのか甚だ疑問である。

「あ、ちなみに新聞もぶっ飛んだから無いよ」

「更に何いいいいいいぃぃっ！！！！？
今日の４コマ漫画楽しみにしてたのに！！！！！」

待てや親父。

そこなのか新聞の重要性は？

「あ、郵便受けも吹っ飛んじゃったのね。アナタ、後で作り直しておいてね」

「あいあいさー…」

どうやらアキト父はアキト母に弱いようだ。

「ふっふっふっ…さっきの爆音、誰かが掛かったようだな」

「おはようございますお父様♪」

「おおユリカぁ〜おはよう。うんうん、今日もユリカは可愛いなぁ」

「お父様〜どうしたの？ニヤケ顔が結構ブキミだよ？」

「はっはっはっ、ブキミは酷いなユリカぁパパは悲しいぞぉ」

「ほらほらじゃれてないで朝ご飯食べましょう？」

「はーいお母様！」

「ふむ、ではいただき…」

どがしゃあ！

「おう！ミスマル馬鹿オヤジは居るか？」

突然ドアを蹴破りアキト父が現れた！

「むっ…人の家に土足で上がりこむとはどういう了見だテンカワイカレオヤジ」

「あ、アキトのお父様おはようございます！」

「あら、テンカワさんおはようございます」

「ああ、おはようユリカちゃんに奥さん」

「２人とも、こんなイカレオヤジに挨拶なぞせんでいい。頭がおかしくなるぞ」

「はっ、何を言うかバカオヤジ。こっちこそお前みたいなヤツと話なんぞしたらバカが移るわ」

「何！？」

「何だ？ヤるのか？それによくも人の家の周りを地雷原にしてくれたな。撤去に３０分も掛かったじゃないか」

「ふん。なんのことやら…しかしアレを３０分でだと？昨日一晩掛けて設置したのに」

テンカワ家はその道のプロなのであろうか？

「白々しい。まあオマエみたいな小心者にはあの程度しか出来ないだろうがな」

「はっ、小心者はお前だろうが。３日前に硫酸入りの酒を送ってきたのは誰かな？」

「何だと？私がそんな姑息な手段を取るとでも？バカも休み休み言え」

「誰がバカだ！」

「お前に決まってるだろうが。あ？言わなきゃ解らんのか？バカオヤジ」

「き、貴様またしても…！」

言い合いをしながらお互いガンを飛ばしまくっている。

相当に仲が悪いのだろう。

しかし過激だ。

「アナタいい加減にしたら？」

「全くとばっちりもいいとこだよ…」

「あー！アキトだー！」

「あら、アキト君のお母さんにアキト君おはようございます」

「あらあらユリカちゃんのお母さんおはようございます。ほらアキト、朝のご挨拶」

「おう！今日も綺麗だな奥さん！何時かオレが貰ってやるから後１０年位待ってくれ！」

「きゃー！アキトったら貰ってくれるなんてユリカどうしよう�@」

ユリカは悶えだした！

「いやお前じゃなくて」

「もういやだわアキト君。こんなオバサンからかって�@」

「いやいやホントに…」

ゴケッ！

「アキトいい加減にしなさい？それに全然挨拶になってないわよ？」

「…さ、さいですか」

アキトはたんこぶ作りながらも律儀に答えている。

見事だ。

「折角だから朝ご飯一緒にどうですかテンカワさん？」

「あらいいのかしら」

「アキトのお母様！遠慮しないで！アキトのお母様だったら私のお母様ってことだし！」

「待てやこら」

「それじゃあ頂こうかしら」

「ええこちらへどうぞ」

「わーい！一緒一緒♪」

アキトの抗議は無視された。

「…まあいいけど」

なんだかんだで食事に入るようだ。

「ンだとコラ？あ？この変髭バカオヤジ」

「何を？この万年ネクラ科学者」

この２人ほっといて。

「わーい♪アキトの家であっそべるー♪」

「ほらほらユリカ、あんまりはしゃぐと転ぶわよ」

「はーい」

あの後、朝食のお礼をしたいとアキト母の申し出があり今度はミスマル家がテンカワ家へ誘われる運びとなった。

「…ふん」

「アナタもいい加減機嫌直したら？それにそんなに気に入らないなら来なければいいじゃない」

「バカを言うな。オマエとユリカ２人だけをあんな鬼畜科学者の所にやれるか」

ゴシャ！

「ほぉう。誰が鬼畜科学者だって？」

「…き、貴様、よりによって鉢植え投げるか！？見ろ！思いっきり頭にぶち当たったじゃないか！」

「はっはっはっ、中々お似合いだぞ？キレイに頭の上に花が乗って。すっかり頭に花が咲いたという所か？こりゃ傑作！」

「お、おのれ…！」

コウイチロウは怒りが頂点に達そうとしている！

その証拠に髪と髭が逆上がりだした！

変身するのか！？

「全くもう…すみません家の主人がご迷惑を…」

そこをアキト母が何とか止めに入った。

危ないところだった…。

「いや奥さんは悪くありません。元はと言えばあのキチガイ科学者が…」

「貴様！言うに事欠いてキチガイだと！？」

「ふん。それ以外にどう貴様を表せと言うのだ？それともボンクラの方が良かったか？」

「お、おのれ…この騒音公害男が！」

「何！？誰が騒音公害だ！貴様こそ環境汚染男だろうが！」

「何だと！？ヤんのか！？」

「望むところだ！」

一触即発状態！

このまま血みどろの戦いになるのか！？

「「やめなさい」」

ゴスッ！（×２）

だが奥さんズの活躍により平穏無事に事が済んだようだ。

「アキト〜�@」

「離れんか！鬱陶しい！」

こっちはこっちで平和だった。

「ふん…相変わらず小汚い家だな」

「はっ、ただデカイだけで中身が空っぽの家に住んでるヤツに言われたくないな。しかし空っぽとは誰かさんの頭の中みたいだなおい」

「何ぃ…！」

「何だぁ…！」

「はいはいそこまで。子供が見ている前では止めてくださいね」

「本当ですよ。ユリカが悪影響を受けたらどうするんですか？」

「ちっ…まあ今回は見逃してやろう」

「ふん。それはこちらのセリフだ」

「全く子供なんだから…」

「ホントにねぇ…」

苦労するな奥さんズ。

「アキト〜新婚旅行は何処にしようか〜�@」

「待てえ！？何故にいきなり新婚旅行！？」

こっちは何時の間にか結婚秒読み段階に入っていた。

「ホントに２人は仲が良いですね〜」

「ええ。幸せな気分になれますね」

「待て。何故ミスマルなんぞの娘と仲が良いことが幸せに繋がる？むしろ不幸の第一歩だろうが」

「ふん。それを言うならこちらもテンカワなんぞの息子と仲が良い等と言われたらご近所様のいい笑い者だ」

「何を貴様！」

「何だと文句でも有るのか！」

「ほらほら落ち着いて。もう折角のお茶会を台無しにするつもり？」

「そうですよアナタ。態々呼んで頂いたのですから」

「けっ…まあいい。ほれ飲めや。どうせ貴様の貧弱な舌じゃ到底味なぞ理解出来んだろうがな」

「ふん…お前こそ、それ相応の物を出せるのだろうな？貧乏人が」

「まあこのコーヒーを飲んでみてから文句を言うんだな」

ドンッとアキト父はコウイチロウにコーヒーを出した。

勿論わざと飛沫が飛ぶようにだ。

「…おい」

「何だ？さっさと飲め」

「コーヒーはいい。だが何故容器がビーカーなのだ？」

「アホかお前は。科学者が液体を入れるものといったらそれしかないだろうが」

「…しかし私の妻には普通のティーカップが出ているではないか」

「それは私の妻が入れたから問題無いのだ」

「お前の奥さんも科学者だろうが！」

「むう…痛いところを」

痛いのか？

「まあ、容器云々はこの際置いとけ。問題はコーヒーの味だ」

「…それも指摘したいのだが」

「なんだ、文句の多いやつだな。何か問題でもあるのか？」

「問題も何もコレは緑茶ではなくコーヒーだとさっき言ったな？」

「ああコーヒーだ。それがどうした？」

「…何故コーヒーなのにこれは深緑色をしているのだ？」

「そういうコーヒーなんだ」

「嘘をつけ！そんなコーヒーがあってたまるか！」

「なんだと！？飲みもしないうちから文句言うな！」

そりゃ文句も言いたくなるだろう。

「しかも妙な匂いがするぞ！」

「バカモノ！コーヒーは匂いが命だろうが！」

「これはコーヒーの匂いではないわ！言うならば夏場の掃除をし忘れたプールみたいな匂いがするではないか！」

「何ぃ！？どうしてそれを！？」

「…おい」

「あ…」

『あ…』じゃないだろう。

「「…」」

もう奥さんズは呆れて止めにも入らない。

「アキト〜結婚記念日には何処かの高級ホテルでお食事がいいな〜�@」

「待てやコラァ！何時オレとお前が結婚した！？」

こっちはもう結婚一年目に突入だ。

「ふ…仕方ない。今回は負けを認めてやろう」

「貴様そう言いながら私の足を生ゴミ処理機に入れようとするな！」

「なんだと！？そういうお前こそオレの腕を圧縮プレス機に入れようとするな！」

もうどっちもどっちだ。

「もう我慢ならん！」

「それはこちらのセリフだ！」

そう言いあい互いに取り出したのは、

ジャコッ！

コウイチロウはコルトパイソン、手榴弾、アサルトライフル、ガトリング銃、
火炎放射器、無反動バズーカ、ロケットランチャー、他多数の銃器、爆薬
を取り出した！

ずちゃ！

アキト父はグレネードランチャー（液体窒素弾、硫酸弾を標準装備）、
レールガン、レーザー砲、他多数の光学系兵器、を取り出した！
しかも何故か全て放射能マーク付！

「さて行きましょうか」

「ええそうですね。ユリカいらっしゃい」

「は〜いお母様♪」

それを見ていた面々は避難を始めたようだ。

「あ、アキト」

「何だ母さん」

「見届け宜しく♪」

「え゛」

「じゃね♪」

「お邪魔しました」

「アキトまたね〜�@」

パタン

ドアの閉まる音がやけに大きく響いた。

「生きていられますように…」

この時アキトは７年間生きた中で始めて神に祈ったそうな。

「「覚悟おおおおおおおぉぉぉっ！！！！！」」

ずどごおおおおおおおおおぉぉぉん！！！！！

その日テンカワ家がこの世から抹消された。

『３時のニュースです。先日、ユートピアコロニー２６区画１５２番地で起きた大規模な爆発は原因が未だ不明のままとなっております。
発表では地下に溜まっていたガスが爆発したのではないかという憶測が出ていますがこれもまだ…
なお現場より発見された生存者は３名。いずれも重症ですが命に別状は無いと…』

「すみませんね家の荷物こちらにお預けしてしまって」

「いえいえお互いさまですよ。前の時はこちらがお世話になりましたし」

３時のニュースを見ながら奥様ズが話に花を咲かせている。

どうやらこうなる事が解っていたらしくあらかたの荷物は運び出されていたようだ。

しかし前もこんなことがあったのか…。

母は強しである。

「アキト〜大丈夫〜？」

「…大丈夫なわけあるか」

アキト生還したはいいがとばっちりで大怪我。

即入院の運びとなった。

それで現在ユリカがお見舞い兼介護をしているわけだ。

「安心してねアキト。私が治るまでずっと付いていてあげるから�@」

「…いや、もういいから寝かせてくれ」

実はアキト、ユリカが来てから一睡もしていない。

というかユリカのマシンガントークがアキトを寝かしつけない。

しかし一緒に起きているユリカは全然元気だ。

不思議である。

そして勿論この２人も発見され次第即入院となった。

だが何故あの状況で生きているのだろうか？

不思議満開である。

「おい、何故お前がオレの隣で寝ているんだ？」

「それはこちらのセリフだ。貴様こそ他の病室に行け」

「バカを言え。お前が出て行くのが道理だろうがバカ髭オヤジ」

「貴様が出て行くのが筋というものだイカレ貧弱オヤジ」

「何！？ヤるのか！？」

「望むところだ！」

全然懲りていない２人だった。

ちなみに２人は全身火傷でミイラ状態。

松葉杖でガシガシゲシゲシ応戦していたそうな。

勿論そのすぐ後、看護婦さんにぶん殴られたのは言うまでも無い。

今日も平和なユートピアコロニーだった。

もう勘弁してくれ…おわりっす。

あとがきです。

こんにちは、彼の�狽ﾅす。

…何故か書いてしまったこのエピソード。

はい、本編『その１１』にあったアレです（汗）

今回のお話はまあ色々と要望があったり結構気にしていらっしゃる方もいたようでネタを思いつけば書こうかな〜

という勢いでキーボードを走らせたら、まあ面白いように書ける書ける（笑）

お陰でこのザマです（涙）

ノリと勢いだけで書くからこんなことに…一体どう判断すればよいのやら…。

あ、それと勿論ですがダブル親父、奥さんズ設定は私が独断と偏見で作り上げたものですので本気にしないでください。

いや誰もそんな事しないか（笑）

まあこの話は読み流していただいて構いません。

どうしようもないですから（爆）

それでは本編でまたお会いしましょう！

…え？親父ズが仲が悪い理由ですか？…いや、あんまりくだらねぇ理由なんでちょっとこの場では（汗）

管理人の感想

彼の�狽ｳんからの投稿です。

いや、仲が悪い以前にアキトが一番の被害者のような（汗）

そうか、彼のタフネスの源は、この幼少時代の鍛錬にあったのか！！

なんか、思いっきり本編のヤマダ家みたいだ（苦笑）

それにしても、喧嘩の理由が凄く気になりますねぇ（笑）