機動戦艦ナデシコ
〜Remember_Memory〜






「だめ、もう間に合わないよ」

「くっ!!だめか
・・・恨むなら俺を恨んでくれよ、ナデシコ!!」

その言葉を最後にすべては虹色に包まれてしまった



広大な漆黒の宇宙に存在していた

二つの白い戦艦は消えてしまった

どこに『跳んだ』のか、いや本当に『跳べた』のか

しかし虹色の『ヒカリ』がおさまった時に、そこにあったのは

無限に広がる漆黒の大宇宙だけであった・・・

The_FirstProgram
『男らしく』いこう・・・男らしく、か。




「うっ・・・」

頬をなでる風に、俺は目を覚ました・・・

「こ・・・ここは、どこだ?」

俺はあたりを見渡す、しかしそこでひとつのことにいまさら気づいた

「・・・どうゆうことだ!何故バイザーなしで景色がみえるんだ!!」

そう、なぜだかバイザーなしでも周りが見える・・・つまり視覚が戻っている!!
はじめに風を感じた・・・つまり触覚が戻っている!!

そのことがあったのでまずは自分の身体の状態を調べることからはじめた




・・・結果、視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚の互換が全て元に戻っている・・・

「ばかな。俺は、俺の身体は何があろうと戻ることはなかったはずなのに・・・
そうだ!!ラピス!!ラピスは!!」

(・・・ト、・・キト、・・・アキト!!)

(ラピスか!!今どこにいるんだ?)

(それが、昔の研究所にいるの!!それに身体が縮んじゃってるの!!!)

なんだと・・・ということはまさか!!

(ラピス!今がいつか分かるか?)

(えっ?うんわかるよ。えっといまは・・・・・そんな!おかしいよアキト!!
だっていまは、2196年なんだよ!!)

(そうか・・・)

やはりか、今俺が着ている服はあのときの服・・・ナデシコに乗る前に着ていた服だったんだから

俺の後ろにはあのときの自転車に、中華鍋などの料理器具が入っている巨大なリュックサックがあった

つまり・・・信じられないことだが俺達はランダムジャンプの効果で過去に『跳んで』しまったんだな

ランダムジャンプの瞬間、俺の深層意識内に眠っている過去を思う気持ちにでも触れたんだろうか・・・

(アキト・・・これからどうするの?)

(それについてだが、俺に考えがある)

過去に着いたと分かった瞬間に頭に浮かんだ考えをラピスに伝える

(・・・アキトは本当にそれでいいの?)

(ああ、俺は・・・俺にできることをしたいんだ
そろそろ動かないと歴史が変わる・・・何かあったらすぐに連絡してくれ)

(うん・・・がんばってね。アキト)

その言葉を最後に『会話』は終わった

「さてと、いくか」

自転車に乗ってあの地点に進む・・・きっと逢えるはずだから・・・彼女に・・・





自転車に乗って走っていると後ろから高級車が俺を抜かしていった

「そろそろか」


ガコン!

そんな音が聞こえた後、やたらとでかいトランクが吹っ飛んできた

「・・・わざわざ当たるなんて馬鹿げたことはいやだなっと」

俺は自転車を倒れる寸前まで倒し、飛んでくるトランクの下を滑ってかわした

その後急停車した車の中からあわてて人が出てきた

「すみません、すみません、ほんとにすみません。あの、お怪我とかはないですか?」

「っ!!・・・・ああ、だいじょうぶだよ」

俺は自分を抑えるのに必死だった
まさか見ただけでここまで想いが込み上げてくるとは!!

「あの〜お尋ねしてもよろしいでしょうか?
何処かでお会いしたことってありますか?」

そういって彼女・・・ミスマル・ユリカは俺に近づいてくる
そんなに近づくなよ・・・抑えられないじゃないか!!この気持ちを!!


「ユリカ〜早くしないと遅れちゃうよ〜」
「あぁ〜ジュン君待ってよ〜」

目の前まで迫ってきてたユリカは、ジュンの一言で車に向かっていった
・・・始めてジュンに感謝したい気持ちになったな・・・








何とかナデシコにたどり着けた俺は・・・なぜかプロスさんに捕まっていた

「いや〜こまりますなぁ〜。どうやってこのナデシコのことを知ったのでしょうか。それに艦長とお知り合いとは・・・
いやはやそんなことよりもまずは、あなたのお名前さがしましょ〜ね」

そういいつつプロスさんは俺の舌にDNA検査機をつけてくる・・・痛いんだよな、これ

「出身は・・・なんと火星!!どうやってこの地球に来れたのですか?」

・・・仕方ない理由は前と同じでいいかな

「分からないんです・・・気がついたら此処にいました」

「ふぅむ、なるほど。おや、その荷物は・・・コックさんですかな?」

「ええ。ついさっきクビになりまして」

「それはそれは・・・いいでしょう、あなたをこのナデシコのコックさんに雇いましょう。
食堂の人数も少なかったですし、なによりナデシコで働いていたら艦長とも会えますよ。
いかがですかな?」

「お、お願いします!」

さすがだなプロスさん、俺の言葉の中から『ボソンジャンプ』の可能性を見出し
なおかつその考えを微塵も感じさせない交渉術・・・
プロスさんの『裏』を知らなければ自然すぎるな・・・


「そうですか、ではあなたは今日からナデシコのコックさんです!!
ではでは、このナデシコの中をご案内しましょう」


俺はプロスさんに連れられて・・・還ってきた
すべての『始まり』・・・想い出のナデシコへ







懐かしい場所をプロスさんに案内されている途中にある人物に出くわした

「おや、ホシノさんじゃないですか。
テンカワさん、こちらはナデシコの専属オペレーターのホシノ・ルリさんです」

その人物とは、あの世界で『電子の妖精』と呼ばれた少女、ホシノ・ルリだった

一応初対面ということになるはずなので、どう声をかけるか迷って・・・
ん?おかしいぞ、前の時にはルリちゃんには会っていないはずだ!!

「お久しぶりですね、アキトさん」

「なっ!!」

「おや、テンカワさんとはお知り合いでしたか?」

「ええ、少し前に知り合いまして」

「そうですか、ではお二人の再会に水を差すほど無粋ではありませんので、
ここらでおいとまさせていただきます」

「ええ、ありがとうございます」

そういって可愛らしくプロスさんに頭を下げていた



その後、こちらへ向き直り話しかけてきた

「本当にお久しぶりですね、アキトさん」

「・・・ルリちゃんなのかい?本当にあのルリちゃんなのかい?」

「はい。正真正銘ナデシコC艦長、ホシノ・ルリですよ。
・・・アキトさん、本当に・・・本当に会いたかった・・・」

潤んだ瞳で見つめてくるルリちゃん、その姿に
俺の理性のタガがとうとうはずれた・・・

「ルリちゃん!!」

気がつくと、俺はルリちゃんを抱きしめていた・・・










『それ』が起こった瞬間、何が起こったのか一瞬私には分からなかった
でも、直ぐに気づいた。彼が、私を、抱きしめてくれている・・・それだけで意識が飛びそうになった。

初めのころは、優しい兄として・・・
その後は、愛おしい養父として・・・
そして最後は、最愛の人として・・・
3年、いや約5年想い続けた人が私を抱きしめてくれる

「アキトさん・・・」

私からも抱きしめ返した・・・が、12歳ではアキトさんの腰ぐらいまでしか身長がなかった・・・
今日ほど、年齢と身長を呪ったことはない・・・

でも、それでも幸せだった。このまま死んでもかまわない
そう思えた・・・

それからしばらくしてからアキトさんは私から離れた

「ごめんね、ルリちゃん。急に変な事をして」

「変な事だなんて、私は・・・嬉しかったです」

その言葉を言い終えるときには私の顔はたぶん真っ赤だったと思う・・・
だって、すごく恥ずかしかったから

それにアキトさんの顔も真っ赤になってましたしね









「さて、俺はそろそろいくよ。
・・・もうそろそろ来るから・・・木連が・・・」

「そうですね、じゃあ私はブリッジに戻りますね。
アキトさん・・・お気をつけて」

「分かってるよ、ルリちゃん。じゃあね」

そういって俺は格納庫へと走り出した
歴史を正しく進めるために・・・



・・・・油断した・・・いや分かってはいたんだ・・・だけど・・・
これはないだろう・・・だって・・・エステがポージングしたまま倒れてるなんて・・・
予想してても耐えられないって・・・

「くぉら!!誰だ、エステを勝手に動かしたのは!!」

懐かしい声・・・ウリバタケさん・・・そして

「ふははははは〜!!それはこの俺、正義の使者ダイゴウジ・ガイだ!!」

「ダイゴウジ〜?パイロット名簿にはヤマダ・ジロウって書いてっぞ」

「その名は世を忍ぶ仮の名前!!ダイゴウジ・ガイは真の名前、魂の名前なのだ〜!!!」

「耳元でさわぐな!!」

あ、ウリバタケさんのスパナが・・・ガイの頭に・・・
・・・見なかったことにしよう

「おい、この馬鹿を医務室にでも連れて行ってくれ」

「うぃ〜っす」

整備員達に引きずられるガイ・・・ここまで扱いがひどかったっけ?

「・・・はっ!!お〜いそこの民間人〜!!」

「・・・俺か?」

なんでスパナで殴られたのにあんなに元気なんだ?
身体の中に特殊なナノマシンでもいるのか?

「そうそう。そこのゲキガンガーの中に俺の秘宝があるから、とってきてくれ〜」

そういってガイは扉の中に・・・吸い込まれた・・・
秘宝って、そこまで大切か?ゲキガンガー・・・



「さてと・・・ん、これだったな。
・・・はぁ、本気でゲキガンガーなんだもんなぁ・・・」

俺はガイの秘宝・・・ゲキガンガーを回収すると、そのままコックピットに座った

・・・歴史通りなら・・・・・来る!!


ズゥゥゥゥゥン!!



予想通りに(たぶん爆発であろう)振動が、ナデシコに響き渡る

煩いぐらいに鳴り響く警報を聞き入れた後に、俺はエステバリスを動かし始める



・・・ここから始まる・・・

歴史を変え、『全て』を変える、不安と・・・

悔み、恨み、嘲り、全てを失った『過去』をやり直す、期待と・・・

伝えられなかった『あの娘』への、想いを・・・

その全てを、失いかけた『心』に閉じ込め・・・

弱き復讐人は、進み始める・・・

その目に、『未来』への希望を宿して・・・














あとがき


こんにちは、はじめまして

シルヴィアです

さてさて『時ナデ』のようで、微妙に違う

一見ありそうで、実はなかった

そんなSSを創れたらいいなぁ・・・とかって

自由気ままに想像(妄想)しちゃってますので

どうぞ、あまり引かずに見てくれると嬉しかったりします



いまさらですが、今回は前編ということになっています

ということで、後編をほんの僅かに期待しながら待っていてください

では、また次回!!

 

 

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代理人の感想

どうも、代理人です。

・・・・うーん、現状では積極的にルリLOVEな以外、時ナデと差が無いような。

どしたもんだろ。