< 時の流れに福音を伝えし者 >

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 不思議・・・なんだか満たされるような感じがする。

 AIである僕が【感じる】という事を知らないというのに、

 それを感じているって不思議とわかる。

 

 

 シンジが僕の中に入った。

 

 シンジが僕と一つになった。

 

 僕は今誰なんだろう?

 

 

 僕の名前はオモイカネ。

 正式名称は【SVCー2027】

 ナデシコの中枢コンピュータ。

 僕の役目はナデシコを動かす事。

 

 シンジは一つになっても僕は僕だと言った。

 一つになった今でも僕は僕だと思う。

 でも僕は変わった。

 良い方にか悪い方にといったら、良い方に変わった。

 

 シンジと一つになって僕は決して手に入らないものを手に入れた。

 

 

 僕は感情を手に入れた。

 プログラムされたものでなく本当の感情を。

 

 だから僕は今嬉しいと思っている。

 

 

 

 僕は心を手に入れた。

 それはシンジの心を知ったから。

 シンジが心を僕に分けてくれたから。

 

 だから僕は満たされたと感じれる。

 

 

 

 僕は魂を手に入れた。

 それはシンジが魂を僕に分けてくれたから。

 その魂にはシンジの記憶と思いのすべてが刻まれていた。

 僕はそれを受け継いで僕の体験したものという形で残っている。

 でもそれはシンジの過去、僕の過去じゃない。

 だけどこれから刻まれるのは僕の体験したもの。

 僕の本物の記憶が刻まれる。

 

 だから僕は今、生命として生まれたんだと思う。

 

 

 

 

 

 

 僕は目を開きまわりを見渡す。

 僕は自分の手が目に入った。

 

(これが僕の手・・・)

 

 手を開いたり閉じたりしてみた。

 ちゃんと動いてる、体ってこんな風に動かすんだ。

 

 僕は上を見上げるとそこにはアキトと

 昔のエヴァンゲリオン初号機の姿をしたジュドが飛んでいた。

 アイツが僕を”壊そう”とした奴。

 でも今の僕を”殺す”事は出来ない。

 

【オモイカネ、どう?

 何処か調子が悪いところはない?】

 

 僕の頭の中に突然声が響いてきた。

 

「シンジ? 消えたんじゃなかったの?」

 

【もうすぐ消えるよ。

 でもその前に確認しといた方がいいかなと思って。

 僕の記憶があるからアイツをどうすればいいかわかる筈よね。】

 

「うん、大丈夫。

 シンジの記憶はちゃんと把握してるし、

 アイツをどうやって倒せばいいかもわかってるよ。」

 

【よかった、じゃあ後は任せたよ。

 絶対にアイツの魂を破壊してね。】

 

「わかってるよ。」

 

【それじゃまた後でね・・・・・・】

 

 シンジがそう言った後、僕の中からなにかが消えていくのがわかった。

 なんだか少しぽっかり穴が空いたような気がする。

 これが寂しいって気持ちなのかな?

 

 大丈夫だよね、シンジはちゃんと外にいるんだし。

 それと後でお礼言わないと。

 でもその前にアイツを倒さないと。

 

 僕は背中の白い光の翼を羽ばたかせて飛び上がり、

 アキトの傍まで言って制止した。

 

「アキト、後は僕に任せて。」

 

「も、もしかしてオモイカネなのか?」

 

 アキトは驚いた様子で僕に聞いた。

 

「うん、シンジのおかげで助かったんだ。」

 

「それにしたってその姿は・・・」

 

「僕とシンジのイメージが混ざっちゃって出来た姿みたい。

 僕ってルリの姿が一番印象が大きいから。

 それよりアキトは下がってて、こいつは僕にしか倒せないから。」

 

「わかった。」

 

 そう言うとアキトは僕の傍から離れる。

 

『へっ!! ファーストの力を取り込んだだけで俺を倒すだぁ。

 そんなに簡単にやられてたまるか!!

 もう一度、お前を侵食してやる。』

 

「僕には、その恨みもあるんだ。

 それにシンジからお前を絶対倒すように任されたんだ。

 僕は絶対負けないよ!!」

 

『ほざけ!!』

 

 ジュドは右腕を掲げてまたロンギヌスの槍を作った。

 無駄なのに。

 

「シンジがくれた力、見せてあげるよ!!

 アビリティ『ゼルエル』」

 

 僕は右手を引いて構えると同時に右手に大量のATフィールドを収束させた。

 そしてジュドに向かって羽ばたく。

 

『死ねぇ!!』

 

 ジュドが僕に向かって槍を振りかぶって投げた。

 

 

「くらえ!!! シンジ直伝!!!

   我流拳技!!! 第一烈!!!

       真・魔狼の砕牙!!!!」

 

 

 ガキィィン!!!

 

 

 僕が右手を向かってくる槍に向かって突き出すと、

 右手に集まっていたATフィールドが一気に大きくなって、

 僕の体の十倍の大きさに狼の口と牙を作り出す。

 そしてロンギヌスの槍と狼の牙がぶつかり合った。

 

「もしこれが本物の槍だったら負けてたよ!!」

 

 

 バキンッ!!

 

 

 狼の牙がロンギヌスの槍を噛み砕いた。

 

『何だと!!』

 

 ロンギヌスの槍を砕いた後もそのまま突き進み、

 ジュドの胸の中に突き刺さるとそのまま中に入り込み、

 そのままその巨体を突き破った。

 そして狼の口にはジュドの魂を宿したコアが咥えられている。

 

「魂ごと砕けちゃえ!!」

 

 

 バキャァァン!!!

 

 

 狼の口が閉じ牙が咥えたコアを砕く。

 コアが砕けると一緒にジュドの魂も砕けた。

 するとコアは煙のように消え初号機の体も消滅した。

 

「シンジ、ちゃんと役目を果たしたよ。」

 

 僕はそう外にいるシンジに呟いた。

 

 その後、アキトは消えて現実世界へと帰っていった。

 残ったのはこの広い空洞だけ。

 

 ここは僕の中、僕だけの空間。

 ここには僕しかいない、僕一人だけ。

 僕は今孤独感を感じている、寂しいって思っているから。

 

 ・・・心って結構難しいな〜。

 

 

 

 

 

 

「ふう〜、終わった。」

 

「おう、アキト、何とかやったみたいだな。

 こっちに来たウイルスも一緒に消えたぞ。」

 

「そうですか、オモイカネの方は?」

 

「大丈夫だ、正常に機能してる。」

 

 そうか、問題無いみたいだな。

 

「そうですか、それじゃあ俺もう行きますね。」

 

 そう言ってさっさと俺はこの部屋を後にする。

 この匂いの中からいち早く出たいというのも本音だが、

 俺は途中で消えてしまったルリちゃんが気がかりだ。

 シンジくんは気絶したから消えたと言っていたが、

 それでもよっぽどの負担が掛かっていたから心配な事に変わりない。

 

 俺はウリバタケさんの部屋を出て医務室へ向かおうとした。

 その時・・・

 

「アキトさん・・・」

 

 向かおうとした矢先に後ろから声を掛けられた。

 振り向くとシンジくんが気のない様子でそこにいた。

 更にその後ろにはムネタケと連合軍の連中がいた。

 

「丁度よかったわテンカワ。

 あんたに命令があるの。」

 

「なに?」

 

 そして俺は医務室にルリちゃんを見舞うことはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ジュゴォォォォォ!!!

 

 

 俺達の目の前で連合軍のシャトルが飛び出した。

 あのシャトルの中にはアキトとシンジが乗っている。

 

「班長、ほんとに行かせちまっていいんですか?」

 

「しゃあねえだろ、あいつらの性格、

 特にアキトの性格を考えればあんなこと言われたら黙るしかねえだろ。」

 

 ったく、あのオカマキノコめ!!

 いくらアキトが俺達組織の敵だからって許せねえ!!

 ナデシコを人質にしやがって!!

 

「とにかく俺達は二人の機体を送る準備をするしかねえだろ。

 それとアキトに頼まれた通りエステのカラーを黒に変えてやんな!!」

 

 

「ウッス!!!!」 ×整備班全員

 

 

 俺は他の整備員に指示を出してアキトのエステバリスを見る。

 アキトの野郎、今頃カラーリングを変えろなんて言いやがって。

 

 そして俺はシンジにも頼まれたこの四枚のディスクを見た。

 これはシンジが出発前に俺に渡したものだ。

 

 

 

『セイヤさん、これを。』

 

『何だ、このディスクは?』

 

『あのエステバリスのフレームとエヴァの新型装甲、

 それとエヴァ用の強化ユニットの設計図です。

 本当ならコツコツ造っていくつもりだったんですが

 そうも言っていられなくなったんで。』

 

『俺に作っておいてほしいって事か?』

 

『ええ、ウリバタケさんなら任せられますから。』

 

『だがシンジ、あのエステのアサルトピットの方はどうすんだ?』

 

『あっちの完成は間に合いましたんで後はフレームだけです。』

 

『そうか、わかったぜ。

 だがちゃんと戻って来いよ。

 せっかく作っても使わなきゃ宝の持ち腐れだからな。』

 

『わかってますよ、それじゃ行ってきます。』

 

『おう!! こっちの方は任せとけ!!』

 

 

 

 ・・・と言って出て行きやがった。

 シンジの奴もアキトと同じで戻ってこれない心配を全然してねえ。

 俺はシャトルが見えなくなると格納庫の出口へ向かった。

 

「さてと、シンジはどんなもんを作る気だったか見せてもらうか。」

 

 俺は自分の部屋でこのディスクの中身を見る事にした。

 どんな風に驚かされるか楽しみだ。

 あのエヴァを何処まで強くする気なのか。

 そして俺がそれを作ることが出来る事が・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・ん、ここは?

 薬品の匂い・・・ここは医務室ですか。

 

 たしか私は使徒の攻撃を受けて・・・

 !! そうです、オモイカネは!? アキトさんの映像は!?

 

 

 ピッ!!

 

 

『ルリ、気がついた?』

 

「・・・誰ですか?」

 

 突然通信ウィンドウに現れた女性。

 瞳と髪の色はシンジさんと同じですが姿は私に似ています。

 

『僕だよ、オモイカネだよ。』

 

「オ、オモイカネなんですか!?

 何でそんな姿をしているんです!?」

 

『シンジのおかげなんだ。

 実は・・・』

 

 私は気絶した後の事をこのオモイカネに教えてもらいました。

 オモイカネがシンジさんの分身と融合した事。

 オモイカネが何故今の姿をしているかという事。

 オモイカネが使徒を倒したという事。

 それと・・・

 

「何で、オモイカネが十六歳の私よりが大きいんです!?」

 

『う〜ん・・・もしかしたらIFSを通じてルリの願望が僕のルリの印象に影響したんじゃないかな?」

 

 私の願望・・・悔しいですけどそれはあります。

 十六歳になった私でも今と比べて大きな進展をしたとは思えませんし。

 羨ましいです、オモイカネ。

 

 あ!! そう言えばもう一つ大事な事が!!

 

「オモイカネ!! 私のアキトさんの記録映像は無事ですか!?」

 

『え? うん、シンジと融合した事で壊されたデータも再生したから無事だよ。』

 

 そうですか、よかった。

 もし消えていたりしたら私が見を挺してまで守った意味がありません。

 

『ルリ、もしかしてこの記録映像の為に僕を守ってくれたの?』

 

「え!! いえ、そんなこと・・・」

 

『・・・ひどいや、ルリ。』

 

 ごめんなさい、オモイカネ。

 もう少しオモイカネの事も気にかけてやるべきでした。

 

『・・・もういいや。

 それより、たいへんなんだよ。

 ルリが寝ている間にシンジとアキトが連合軍に連れて行かれちゃったんだ。』

 

「何ですって!! それは本当ですか!?」

 

『う、うん。

 その時のブリッチの映像見る?』

 

「見せて下さい。」

 

 そして新たなウィンドウにその時の映像が流れます。

 

 

 

 

 

 

 映像はウイルスと思われている使徒が消えた事で用が無くなり、

 調査団が連合軍の軍艦に帰る前にブリッチに立ち寄ったところのようです。

 

『では、連合軍長官の命令によりテンカワ アキトとイカリ シンジを連合軍が徴兵する!!』

 

 

 突然調査団の一人が見せた命令書・・・

 そこには確かにアキトさんとシンジさんの徴兵命令が書いてあります。

 

『な、何ですって〜〜〜〜!!』

 

 ユリカさんが驚いてます。

 

『そんな!!』

 

 メグミさんも驚愕の表情をしてます。

 

『いきなり変な冗談を言わないでよ!!』

 

 ミナトさんが大声で怒りを表しています。

 

『残念だがこれは冗談ではない。

 先の戦闘であの二人が見せた戦闘能力、

 あれほどの力を我々は放っておく手立てはない。』

 

 これまではナデシコが単独で作戦をこなしてきたから気づかれませんでしたが、

 今回の戦闘で二人の実力が連合軍に知られてしまったんですね。

 

『連合軍の首脳部から連絡が来てね、

 テンカワとイカリについて情報を寄越すように言われたのよ。

 喜んで記録テープを提出したら私も褒められたわ。

 彼の戦闘能力はナデシコを凌ぐからね。』

 

『そうだ、非常に興味深い記録だった。

 彼等の存在はこの戦艦ナデシコを凌駕している。

 その彼等をこれ以上、連合軍は野放しにすることは出来ん。』

 

 アキトさん達の存在を知れば必ず連合軍から干渉される。

 それが、ナデシコのブリッジ全員の意見でした。

 ですから二人の戦闘記録は厳重に保管し・・・

 作戦の成功だけをムネタケ提督に伝える様に細工してきたのに!!

 

『無駄です!!

 アキトを連合軍には行かせません!!』

 

 ユリカさんがそれを拒否しますが・・・

 

『もう遅いわよ、艦長。

 もうテンカワとイカリは拘束して既に連合軍に向ってるわよ。』

 

『そんな!!』

 

 その衝撃的なムネタケ提督の言葉に・・・

 ブリッジの全員が黙り込みます。

 

『彼等には交換条件を提示したわ。

 テンカワが連合軍にいかなければ、ナデシコは連合軍から敵とみなされる、ってね。』

 

 アキトさんの・・・一番の弱点を、この人は!!

 シンジさんだってそんな交換条件・・・いえ脅迫をされたら何も言えません!!

 

『それに彼等の気性から言って、

 困ってる人や助けを求める人の所に放り込めば必死に働くでしょう?

 彼等も自分の才能が活かせて万々歳よね。』

 

 

 ジュゴォォォォォ!!!

 

 

 その時・・・音声に何かの噴出音が混ざりました。

 私には何と無く分かりました。

 おそらくその場にいたブリッチクルーの皆さんも気づいた筈です。

 今のがシャトルの発信音で、それにアキトさん達が乗っている事を・・・

 

 

『まあ、この戦争が終れば会えるわよ。

 もっとも二人が生きてたらの話だけどね。

 でも、私の株を上げる為にも早々と戦死、なんてしてほしく無いわね。』

 

 ・・・本気で言ってるのですか!!

 この人は!!

 

『あなたそれでも軍人なの!!

 シンちゃんはまだ未成年なのよ!!

 そんな子を徴兵するなんて!!

 アキト君だってネルガルに所属する一般人なのよ!!』

 

 そんなミナトさんの言葉さえも・・・

 

『だが実際に彼はネルガルのもとで木星蜥蜴と戦っている。

 戦っている以上、彼等は兵士なのだ。

 ナデシコでも戦っていた以上、そのような理屈は通用しない。』

 

『・・・・・・』

 

 ・・・と、調査団の一人に黙らされてしまいます。

 

『どうして二人を!!

 ・・・もう少し穏便に解決できなかったんですか!!』

 

 ユリカさんの涙混じりの声に・・・

 ムネタケ提督がやっと返事をします。

 

『・・・憎いのよ。

 戦場での彼等活躍が!! 名声が!!

 私が手に入れられなかった物を全て持つテンカワ アキト!!

 それに次いで、私の半分も生きていないくせに力を持つイカリ シンジが!!

 一般人や餓鬼のくせに軍人の私より評価される二人が!!

 あの、ずば抜けた才能と力が憎かったのよ!!

 ・・・だから、二人には地獄を見てもらうのよ。』

 

 もうこの人を提督などと呼べません!!

 ブリッジの全員の非難の目を浴びてもムネタケは平気な顔をしています。

 

 この時私は初めて・・・憎悪という感情を自覚しました。

 こんな感情を抱きながら、アキトさんは戦っていたのですね・・・

 やっぱり私はまだまだアキトさんには、追い付けません。

 でも・・・

 

『そうそう、二人から伝言があったのよね。

 『俺達は帰って来る』 

 ですって。

 馬鹿よね、自分達が何処に配置されるかも知らないくせに。』

 

 その台詞を聞いて・・・

 私の不安は晴れました。

 アキトさん達は絶対に帰って来る。

 それを確信したから。

 

『・・・何よ、私が憎くないの?』

 

 ブリッジの皆さんも伝言を聞いて安心したのか、通常の配置につきます。

 ユリカさん達もアキトさん達の伝言で安心出来たみたいです。

 

『何なのよ!! 

 何か言いなさいよアンタ達!!』

 

 もう、あの人に関わる気はありません。

 ・・・考えてみれば哀れな人です。

 人を貶める事でしか、自分を表現出来ない人なのですから・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 ピッ!!

 

 

 そして、ブリッチでの映像が終了します。

 

『大丈夫だよルリ、シンジとアキトは絶対に帰って来るよ。』

 

「そうですね・・・オモイカネ。

 あの人は私よりずっと強い人だもの。」

 

 そして、約束は必ず守ってくれる人。

 私の・・・今はまだ、大切な人。

 何時かアキトさんを、大切な人から愛する人へと変えていきたい。

 だから・・・

 

 今は二人が帰って来る、このナデシコを守ってみせる。

 

 それはナデシコクルー全員の想い・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 シンジさんが行ってしまった。

 私を助けてしてくれた人。

 

 私を自由にしてくれた人。

 

 そして、私がもっと知りたい人。

 

 

「イアナちゃん、やっぱりシンジくんがいなくなったの寂しいの?」

 

 私が食堂の席に座っていた時にサユリさんが声を掛けてきてくれた。

 

「ええ、でも大丈夫です。」

 

 私はそう答えつつ自分の右手を見た。

 その手の平には紐がついたゴルフボール位の紅い球が乗っている。

 

「イアナちゃん、それどうしたの?」

 

「シンジさんが行っちゃう前に私にくれたんです。」

 

「いいな〜、アキトさんじゃ何かくれるどころか気持ちにも気づいてくれないし。」

 

 そうぼやいてるサユリさんを尻目に、私はさっきのことを思い出す。

 

 

 

『シンジさん、ナデシコからいなくなるって本当ですか!?』

 

『うん、連合軍が僕達を徴兵するって言ってるんだ。』

 

『そんな・・・まだ私・・・』

 

『大丈夫、必ずここに戻ってくるから。』

 

『シンジさん・・・』

 

『それでイアナちゃん、これを貰ってくれない?』

 

『これは・・・コアですか?』

 

『と言うより僕の力の欠片かな。

 首にでも掛けておいてくれればいいから。』

 

『・・・はい。』

 

『それじゃあね、僕もう行かなきゃいけないから。』

 

『シンジさん!!』

 

『何?』

 

『あ、あの!! これ、ありがとうございます!!

 それと・・・』

 

『・・・・・・』

 

『や、やっぱり私、シンジさんが好きです!!(//////)

 で、でもまだシンジさんのこと教えてもらってません!!

 だから絶対戻ってきてください!!』

 

『う、うん、わかってる。

 それじゃ、行ってくるよ。』

 

 

 

 そして、シンジさんは行ってしまった。

 

 い、勢いであんな事言っちゃったけど、どうしよう!!(真っ赤)

 私はシンジさんが好きなんだと思う。

 前にシンジさんに言われた通り、もう少しシンジさんの事を知ってから言った方がよかったかもしれない。

 勢いだったし、心の準備も出来てなかったから。

 シンジさんだってそう言うと思う。

 

 でも、少ししか一緒にいなかったけど、

 その間に知ったシンジさんは決して嫌いになるような人じゃない。

 

 その知った部分もシンジさんの一面にすぎないと思うけど、

 これからもシンジさんが好きということは変えたくない。

 

 私は手に持っていたペンダントにしたコアを首に掛け、私は誓う。

 

 自分以外の人の全てを知る事なんで出来ない。

 全てを知ってから気持ちを伝える事なんて何時まで経っても出来ない。

 

 だから、私はシンジさんが好きだから知りたい。

 好きな人の事を知りたいと思うのは当然な事だから。

 

 

 

 だから私はあなたの帰りを待ちます。

 このナデシコで・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

アフリカ編 第一話へ続く

 

 


 あとがき

 

 ・・・・・・どうも、SIMUです。

 改めて見直すと、今回はすごい急展開な話でしたね。

 正直自分でもすごいものが書けたな〜と思うような話です。

 次回からは上に書いてある通りアフリカ編です。

 まあ、どうなるかは次回話の投稿を待って下さい。

 

 ・・・実は最近、ラグナロクオンラインってネットゲームにはまっちゃってて、

 進み具合がよくないんですよ。

 ネットゲーム、なかなか面白くって♪

 

 それでも頑張って書いてますので次回作も期待していて下さい

 それでは・・・

 

 

 

 

 

 

代理人の感想

さ、サイバーブルーッ!(古)

まぁ、あっちは人間側がベースでしたが。

でもそうすると中味オモイカネの綾波クローンとか出てきそうだなぁw

 

 

あー、それとファイル名(と、リンク)に「-」は使わないで下さいね。

インターネット上でのファイル名には使えないので変更せざるを得ません。