『俺が帰るべき場所は・・・ナデシコだ!!

 皆が揃っているナデシコだ!!

 何処に跳ばされ様と、俺は絶対に帰って来る!!

 例え、遥かな距離だろうと、時を超えても―――』














 パシュゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!













 最後の約束の言葉を残しつつ・・・。

 ブローディアは・・・
何故かその場に残っていました・・・。

 

 

 

 

 

 

 

喜劇? それとも悲劇?
















『・・・・・へ?』



 さすがにアキトさんでもこうなるとは思っていなかったんでしょうか。

 間の抜けた様な顔をしています。

 まあ今のブリッジの状況もそれほど変わりはありませんが・・・。



『ディ、ディア。

 それ危険・・・ムニャムニャ』



『・・・起きろ! この馬鹿ブロス〜!!』




バチッ!



『あう!

 ・・・ディア、回路に負荷電流を流すのはちょっと危ないよ!』



『やっぱ、あんた作ったのってハリ兄だわ・・・』



『僕も自覚したくないんだけどね・・・。

 あのハリ兄に似るなんてさ』




「う、うわあああぁぁぁぁぁぁん!!」



『それよりアキト兄、いつまでも呆けていないで早くナデシコに戻ったほうがいいんじゃない?』



『え? ああ、そうだったな』



 アキトさんがそう言うと遺跡を回収し、ナデシコに戻ってきます。

 ・・・そうです、アキトさんを迎えに行かなければ!

 ですが、私がそう思った時にはもう遅く、ブリッジには誰も居ませんでした。

 ここはハーリー君に任せて私も格納庫に向かいましょう。

 

 

「うう、どうせ僕なんて・・・」





 ・・・ハーリー君、いつの間に戻ってきたんですか?













 一体、何が起きたんだ・・・。

 遺跡が俺を強制的に連れ去ろうと・・・。

 いや、今はこの世界に居られるだけまだマシだな。



「アキト兄、遺跡に異常は無いみたいだけど・・・」



「ああ、そのことは後でゆっくり調べればいいさ。

 それよりさ、やっぱりここから出なきゃだめかな?」



『何言ってるんだよ、アキト兄。

 もう皆
御待ちかねだよ』



 でもさ、さっきあれだけ恥ずかしい事を言ってるからな。

 そんなことを考えていると勝手にアサルトピットが勝手に開いていく。

 俺が降りると同時に女性陣(一部を除く)が抱きついてきた。

 ・・・と来ると次はアレだな。




「我々は今日、あの女たらしに天誅を下さねばならん!

 しかし、今の戦力では返り討ちが落ちである!!」(アカツキ)



「だか、正義の名の元に逃げるわけにはいかん!

 皆の命を俺達に預けてくれ! て言うか寄越せ!!」(ウリバタケ)



「オオオォォォォォォォォォォォ!!」(整備員)

 

・・・戦闘が終ったばかりなのにこんな事してもいいのか?

まあ、ナデシコらしいと言えばそれで済むんだが。

ちなみにルリちゃん達はこの事に気づいたのか(ていうか気づくよ)迎撃体勢を整えていた。

木連組もこの流れについて行けず、傍観しているしかないみたいだ。



「え〜と、ルリちゃん。

 ちょっといいかな?」



「はい、何ですかアキトさん?」



「緊急ボソンジャンプでナデシコに異常が無いか知りたいんだけど・・・」



「そう言えばまだ確認してませんね。

 オモイカネに聞いてみます」



『OK,ルリ』



 数分ほど待つと、意外な答えが返ってきた。



『乗員が一人ほど多いみたいだよ』



「もしかしてフクベ提督を数え忘れたんじゃないの、ルリちゃん?」



「そんな事はありません。

 もし、そうだとしたら北斗さんも数え忘れるはずです」



 まあそれもそうだな・・・。



「しょうがない、その場に行って確かめるか。

 オモイカネ、その場所はどこかわかるか?」



『えっと、食堂で・・・フクベ提督と一緒に紅茶を飲んでいます』




「「は・・・?」」



 フクベ提督、そこまで呆けましたか?



「それじゃあルリちゃん、食堂に行ってみようか」



 その時には既にウリバタケさん達は格納庫の床に沈んでいた。

 まあ暫く放って置けば大丈夫だろうと思い、そのまま放って置いた。

 ・・・そういえばいつの間に終ったんだろうか

 

 

 

 

 

 

 俺達が食堂に着くとフクベ提督と不審人物・・・少年が本当に紅茶を飲んでいた。



「あれ、この紅茶結構美味しいですね」



「ホッホッホ。

 隠し味にブランデーを入れておるからの」



「そうなんですか。

 そうだ、僕結構美味しいブランデーを持ってるんですよ。

 それも入れてみますか?」



「おお、それじゃあ早速この中に・・・」



「フクベ提督、何をしているんですか!?」



 俺がそう叫ぶと・・・。



「おお、そうじゃったな・・・。

 子供に酒を勧めるとはワシとした事が・・・。

 ・・・おや、皆そんな所で寝ていると風邪をひくぞ」



 まあ、それもそうですけどね。



「俺が言いたいのはそうじゃなくて、何で部外者と一緒にお茶なんて飲んでいるんですか!?

 それにホウメイさんも何で言わないんですか!?」



「ワシはナデシコのクルーだと思っていたんだがな・・・」



「私はてっきり木連の人だと思ってたんだけどね・・・」



 何処の世界に学生服を着たクルーや軍人がいるんですか?

 ・・・まあ木連の場合はありそうだけどさ。



「貴方は一体誰なんですか?」



「え、僕ですか?

 名乗るほどの者じゃありませんよ。

 あ、これ、忘れ物です」



 その少年が取り出した物は・・・あのプレートだった。



「はめるなら早くしたほうが良いですよ。

 いくら僕でもそう長い時間遺跡を止める事は出来ませんからね。

 それじゃあ僕はこれで・・・」



 言い終わると同時に少年は一瞬にして姿を消した。



「一体何なんだ・・・
お前は!」



 俺が壁を殴ろうとしたその時・・・。



「そうそ
バキィッ!・・・」



 急に壁の前に現れ、拳が顔を捉えていた。

 なぜか妙に
良い手ごたえだったことはこの際忘れておこう。

 

 

 

 

 

 

 

 さて、どうしたものか・・・。

 火星から脱出は出来たものの、謎の少年現るか。



「イネスさん、何かわかりましたか」



「ええ、わかったことは三つほど。

 外見で言うとアジア系、特に日本人に近いということ。

 それに遺伝子データに載っていないということ。

 それと・・・あの子は遺伝子処置を受けていること」



「ドクター、それはどういう事なのでしょうか?」



「私も全部わかった訳じゃないわ。

 IFS強化体質は違う・・・。

 だけど遺伝子処置を受けるほどの障害があったとも思えない。

 第一、遺伝子処置を受けたのなら記録が残っているはずよ」



「え、それじゃあ宇宙人なの?」(ワクワク)



 ラピス君、変に期待するのは止めたほうがいいと思うぞ。



「その可能性は無きにしも非ずよ。

 でも彼が持っていたプレートのこと、急に現れたり消えたこと、遺跡のことを知っていたこと・・・。

 これから推測するには・・・」



プシュー



「そこからは自分で言いますよ」



「・・・どうやってここに来れたの?」



「え、そんな細かいこと気にしなくても良いでしょう?

 ・・・で、貴方たちが聞きたいことがあるんでしょ」



 いや、確かに君に比べれば細かいことだが。



「それじゃあまず私から、貴方は一体誰な
「・・・あ、碇シンジだァ〜!」・・・ほぇ」



「ラ、ラピス・・・。 何で名前知ってるんだ?」



「え、だって、これ見れば誰でもそう思うよ。

 ダッシュ」



『これだよ!』



 そこに映し出されたのは
『新○紀エ○ァン○リオン』というアニメだった。



「似ている・・・といえば似ていますよね」



「でもこれってゲキガンガーと同じアニメじゃねーか?」



 サラ君とリョーコ君が口を揃えて言う。




「何だとおぉぉぉぉぉぉ!

 ゲキガンガーの天空ケンの熱血と

 あんな根性無しで逆切れで引っ込み思案の主人公を

 一緒にするんじゃねえぇぇぇぇぇぇ!!」




キイィィィィィィィィン・・・



 こ、鼓膜が・・・。

 あ、シンジがへこんでるな。



「ま、まあ否定はしませんけど・・・。
 ヤマダさん、後々苦しんでもらいますよ」



 ・・・何か危ない発言があったが、山田君のことだから多少の事では死ぬことは無いだろう。

 というよりも
殺すこと自体不可能に近いからな、アキトとは違う意味だが。



「それじゃあ貴方は、碇シンジということですね?」



「ま、そういうことです。

 皆さん、いろいろ聞きたいことがあると思いますが・・・。

 テンカワさん、二人だけで話したいことがあるんでいいですか?」



「ああ、俺は構わんが・・・
ナデシコの中で二人で話をできる所なんてあるか?」



「そうですか、それじゃあ展望室で話しましょうか」



















 さて、これでゆっくり話ができるな。

 ・・・絶対
盗聴している人がいると思うけどさ。

 しょうがない、奥の手を使うか・・・。



「おい、シンジ・・・。

 俺に話があるんだろう、いったい何なんだ?」



「まあまあ、そんなに殺気を出さなくても・・・。

 今回は僕の創った遺跡のせいでいろいろと迷惑をかけたようで」



「ああ、ちょっと前にはどこか知らない場所に飛ばされるところだったからな」




「・・・それ自体はあなたが悪いんですよ。

 遺跡はまあ・・・簡単に言うとコンピューターみたいなものですから。

 それを横であれだけ派手に暴れられると誤作動しないほうがおかしいですよ。

 さらに頻繁にボソンジャンプをやっていれば壊れちゃいますよ。

 一応遺跡にも自己修復機能はありますけど限度というものがあるでしょう?

 貴方にもそれ位は分かりますよね?

 それを僕のせいにされたら堪りませんよ!

 え、まだ聞き足りませんかね!?」




「う・・・ゴメンナサイ。

 それじゃあ何であんなものを創ったんだ?」



「え〜と、本当に言っていいんですか?」



「ああ、だから早く行ってくれ」



 それじゃあんりょなく言わせてもらいましょうか。




「暇つぶしです」



「・・・は?」



「だから、暇つぶしです」



「ひ、暇つぶしだと・・・。

 こんな奴が暇つぶしで創った物で俺の人生が滅茶苦茶にされたのか?

 そうか、すべての原因はこいつにあるんだよな・・・。

 それじゃあここで復讐しておこうか

 よし決定、思い立ったが吉日って奴だな」



 ははは、まあなんていうか・・・。

 一風変わった反応だね。



「ちょっと落ち着いてくださいよ。

 だからそのお詫びに貴方の望む事を何でも叶えて上げますよ」



「・・・どんな事でも良いのか?」



「大抵の事なら・・・」



「そ、それじゃあ彼女達からの逃亡はできるのか!?」



「あ、それは無理ですよ。

 彼女達からは逃げられる可能性は0%に近いですから。

 どうしてもと言うなら不可能じゃないですが・・・」



「ど、どんな方法なんだ!?」



「・・・遺跡と一緒に次元の旅なんてどうですか?

 確実に逃げられる方法と言ったらこれくらいですよ」



「謹んで辞退する」



「そうですか、他に無いのなら僕が勝手に決めちゃいますよ?」



「ああ、もう勝手にしてくれ・・・」



 ・・・かなり修羅場みたいだな。

 いっその事
もう少し盛り上げてみようかな?



「じゃあ・・・死んだ人を生き返らせると言う方向で」



「ちょ、ちょっと待て!

 そんな事をして、死んだ人になんていうんだ!?」



「そっちの方は大丈夫ですよ」




 もちろん嘘ですけどね。



「でもちょっとした条件もありますがね。

 死んだ人間の魂がまだこの世界に残っているかということですけど」



「どういうことなんだ?」



「簡単に言うと・・・幽霊みたいなものですがね。

 生き返らせる人間はメティス テア、あとはタカバ カズシとチハヤですね。

 それ以上はちょっと力の限界で無理ですけど・・・」



「・・・でも良いのか?

 人の命を冒涜してまで」



「それじゃあ貴方は神なんて信じているんですか?」



「同感だな・・・」



「納得してくれた所で、アオイさんとオオサキさんを呼んでくれますか?

 ああ、それに北斗さんもできれば呼んで貰えますか」



「どうして・・・といまさら言うことはないよな。

 だが、北斗まで呼ばなければならないんだ?」



「彼女は二重人格と言うか精神が分かれていると言うか・・・。

 まあどちらにしろ、このままで居ると肉体か精神のどちらかがつぶれてしまいますよ。

 どちらにしろこれは本人達の意思ですがね」



「そうか、それじゃあ一緒に呼んでおこう。

 ん、・・・コミュニケがつながらんな、どうしたんだ」



「ちょっと力技でこの空間を隔離してるんで」



 その力技を解いてコミュニケで通信をしてもらう。

 さて、これからが大変だな・・・。
(ニヤリ)

















「で、どうしたんだテンカワ?

 俺をこんな所に呼び出して・・・」



 ジュン、お前はこの事実を受け止められるのか?



「そろそろ休もうと思ったんだがな。

 最近色々ありすぎてゆっくりと休む間もなかったんだ」



 シュン隊長は・・・
喜々として受け入れるかもしれないな。

 最近ストレス溜まっているみたいだし。



「何のようだ、アキト。

 この場で決着をつけるのか?」



 いや、さすがに怪我をしているからそれはありえないだろ。

 でも北斗があの事を受けてくれるかどうかなんだよな・・・。



「それじゃ行きましょうか」



 シンジの発言と同時に周りが暗くなっていく・・・。

 次の瞬間、周りが白・・・と言うよりも光の中といったほうが正しいのだろうか。



「ど、どこなんだここは・・・」



「ここは虚数空間・・・ディラックの海と呼ばれるところですね。

 時間の関係から説明を省きますがどうしても聞きたいと言う人は・・・イネスさんに聞いてください」




「「「(自ら死を選ぶと同じじゃないか!)」」」



「・・・そんな下らない事はどうでもいい。

 なぜ俺達がこんな所に来なければならないんだ?」



「そうだよ、せっかくアー君とお話したかったのに!」



 ・・・・・ん、何か北斗と枝織ちゃんの声が聞こえたような気がしたが?



「・・・北斗、枝織ちゃん」



「何だ、アキト?」     「なぁに、アー君?」



 そして自分達の異変に気づき、顔を見合わせる北斗と枝織ちゃん。










「枝織、世の中には奇怪な事が起きるものだな」







「そーだね、北ちゃん♪」









 それだけで済ますな!

 俺は心の中でそう反論した。

 多分シュン隊長とジュンもそう思っているだろう。



「それはここの空間が不安定だから起きる現象なんですよ。

 二つの人格が存在する北斗さんと詩織さんだから起きたんです。

 ちなみに詩織さんは見えるだけなので人や物に触れたり触られることは在りません」



「あ、ほんと〜だ♪」



「雑談はこの位にして、皆さん・・・」



 ふう、やっと本題に入るのか?








「どこまで話しましたっけ?」







 ・・・大丈夫なのか、本当に。

 俺達もどこから話したのかは覚えておらず、結局最初から話す羽目になってしまった。

 (本当はまだ何も話していません)











 まあ説明が終わった後の各人の反応は・・・

 ジュンは、



『正直喜んで良いかどうかは分からない・・・。

 でも、歴史がそう動くのならば俺は受け入れるつもりだ』



 まあこれが普通の反応だろう。

 シュン隊長の場合は、



『ジュンと言いたい事は同じだな・・・
(フフフ、これでまたカズシを苛める事ができるな)



 理由は同じらしいが・・・なぜか顔が笑っていた事は忘れておこう

 北斗と枝織ちゃんは、



『別に構わん。

 それに、枝織とも手合わせしてみたいからな』



『うん、別に良いよ』



 ・・・自分の人生を安易に決めている。

 と、全員が良いと言うような方向になったので



「それじゃあ始めますか。

 まずは、チハヤさんメティスさんに、それにカズシさんですね。

 そうだ、一つ忠告して置きますけど、こっちを見ないほうが良いですよ」



 そこまで言われたら、俺は見る気はしないが・・・。

 しかしジュンが気になったのか、振り向いていたときに・・・。




「ブッ!!!」



「「どうした、ジュン!?」」



 空中に舞った鮮やかな鮮血と倒れこむジュン。

 ジュンが最後まで見ていた方を向いてみる。




「ブッ!!!」



「・・・成る程、こういう事か」



 まあ簡単に言うと・・・
服も下着も着ていない状態だ。

 シュン隊長ならばともかく、俺やジュンの耐性は薄い。

 北斗と枝織ちゃんは女性なので論外・・・だ・・・・・。



 そして俺が気づいたときは、死んだはずの三人が並んで寝かされていた。











「あ・・・シュン隊長。

 俺、どうしたんですか?」



「アキト、もう少しこういうことに離れておくんだな。

 ジュンの奴はまだ起きんし・・・無理に起こしてやろうか?」



「う・・・
ひ、光がグハッ!」



 瞬間的にアキトの人中への手刀、俺の脳天へのかかと落としがはいった。

 ジュン、悪く思うなよ。


 お前までゴートさんと同じ道を歩ませるわけにはいかないからな。



「う・・・何かすごい頭痛が」



「「気のせいだ、ジュン」」



 俺とアキトが爽やかに声を揃えて言う。



「そうか・・・?

 チハヤはどうしたんだ?」



「再生は終わりましたよ。

 後はじきに目を覚ますでしょう。

 枝織さんの体もできたことだし、後は帰るだけですね」



「枝織ちゃんも終わっていたのか?

 でも姿が見えないような・・・」



「ア〜君!」



 一人の女性・・・と言うよりも少女のほうが正しいかな?

 10歳前後の少女がアキトの後ろから抱きついた。



「えっと・・・もしかして枝織ちゃん?」



「うん、そうだよ♪」



「おい、シンジ・・・。

 何でこんな事をしたんだ?」




「え、アキト君の趣味じゃないんですか?」



「断じて違う!!」



 ふふふ、悪戯成功だな・・・。



「さて、そろそろ皆さんの居た世界に戻りますか」



「おい、ちょっと待て!

 枝織ちゃんはこのままなのか!?」



 アキトの言葉を完全に無視し、ナデシコに戻るらしい。

 ちょっとした悪戯だったんだが・・・。


 
ま、これはこれで面白いからいいか。











 多分、誰に話しても信じてもらえない様な体験をしてきた。

 ナデシコのクルーは別として・・・。

 そしてチハヤは今、俺に抱えられて眠っている・・・。
ゴスッ!



「・・・痛いですよ、オオサキ提督」



「勝手に一人でシリアスで決めてるんじゃない。

 こっちはカズシを背負って重いんだぞ。

 まったく、無駄に図体がでかいからな・・・。

 よっと!」




ドスン!



 そういってカズシ補佐官を軽々と放り投げる。

 ・・・言葉と行動が合っていないような気がするが。



「・・・あれ、隊長、アキトにジュン・・・。

 ここって何処ですか?

 まさか天国・・・じゃありませんよね?」




ゴスッ!



「目が覚めたか、カズシ?」



「はい、ハッキリと・・・。

 でも俺って確か死んだはずじゃ・・・?」



「そのことに関しては後で俺が話しますよ」



「そうか・・・」



 カズシ補佐官はその一言で今は我慢している。

 無理に聞こうとすると殴られるのが落ちだからな。



「う・・・ん。

 アオイ・・・さん?

 あの事って・・・夢じゃ・・・・・ないですよね?

 アオイさん!?」



「ゴメン・・・。

 でも、今は・・・このままにさせておいてくれ」



「・・・・・はい」



 俺はチハヤをこの腕の中で抱きしめた。

 そして俺は・・・自分でも気づかない内に泣いていた。

 今、目の前に居るはずの無いチハヤが居るからなのか。

 それとも自分の守りたい人・・・いや、守らなければいけない大切な人が出来たからなのかも知れない。

 でも今の俺にはその様な事など、どうでも良いことだった。




「シュン隊長、何か俺達のこと忘れられていませんか?」



「そうだな・・・」



「隊長、そういえばアレまだやってないんですよね?

 ・・・今この場でやっても良いですか?」



「まだだ、今はまだ時期が早すぎる・・・。

 今はな・・・・・」(ニヤリ)



「(ジュン、悪いな。

 俺にはこの二人をとめることはできないみたいだ。

 と言うより、俺も止める気は無いけどな)」




「で、アキトさん。

 その腕に抱えている二人の女の子は何なんですか?」



「ル、ルリちゃん!?

 それに皆・・・いつの間に入ってきたんだ?」



 本当に・・・何時の間に入ってきたんだろうか。

 ちなみに俺はもう泣くのを止めている。

 ・・・こんな所を見られたくないからな。



「チハヤさんとアオイさんが話し始めた頃からですよ」



「それよりアキト君、何があったのかじっくりと説明してくれるかしら?」



「そうだよ、アキト。

 何処からその娘達を連れてきたのか教えてくれるよね?」




「いいですよね、アキト(さん・君)?」(某同盟)



「あうあうあうあうあうあうあうあう・・・」



 誰も死んだ人がこの場にいることは、完全に無視していた。

 だからテンカワ・・・
頼む、俺のこの一時の為に潔く散ってくれ!

 だが、散るのはテンカワだけではなかった・・・。



「ちょっと、ジュン君! 何なのよ、その女は!?」



 そう・・・ユキナがいたんだ。



「ちょっと、そこのあんた、誰だか知らないけど
私のジュン君から離れなさいよ!」



「私のって・・・いつからアオイさんがあなたの物になったんですか!?」



「だって、この間ジュン君がプロポーズしてくれたのよ?

 『俺が一生守ってやるよ』って初対面の私に」




 ピキッ!



 何か・・・何か嫌な音がした。

 気のせいではないだろう。



「・・・アオイさん?」



「は、はい・・・」



「彼女の言った言葉は本当なんですか?」



 チハヤは顔は笑ってはいるが・・・
物凄いプレッシャーを放っている。

 今始めて・・・テンカワの辛さが解ったような気がした。

 更にオオサキ提督が追い討ちをかけてくる。



「まあまあ、二人とも落ち着くんだ。

 どちらにしろ、ジュンが自分で蒔いた種だ。

 ユキナ君にプロポーズをした事だけじゃなく、


 
チハヤ君の全裸を見てしまった責任も取ってくれるさ」(ニヤリ)



『何イィィィィィィィィ!?』











「ふ・・・ふふふ、ふふふふふふふ・・・・・」



 展望室に一人の不気味な笑い声が響いていた。

 誰と言わなくても解るがな。




「貴様ァァ!

 ユキナを誑かすだけでは飽き足らず、二股をかけるとは言語道断!

 この軟派野朗・・・いや、貴様なぞ鬼畜で十分だ!

 その腐りきった根性、叩き直してくれるわあぁぁぁ!!」




 もう少し静かにしてくれないか、白鳥さん。



「だ、だから俺は・・・」



「ジュン・・・。 いや、やはりユダと呼ぶべきだな。

 貴様は第一の標的、TAに続く第二の標的にさせてもらう。

 と、言うよりもう決定だがな。

 それと白鳥さん、これを・・・」



「ん、これは?

 ・・・よし、これで良いのか」



 白鳥さんは
あの紙を貰い、慣れた手つきでサインと手形をおしていた。

 ちなみに目的はアキトの抹殺から
モテル男の抹殺に変わったようだ。



「あ、あははははは・・・・・」



「オオサキさん・・・。

 その事は・・・本当なんですか?」



「本当だとも、証人は俺だけじゃないぞ。

 アキトも一緒に見ていたんだからな?


 そうだろ、アキト?」



「そうっすね・・・。

 (ジュン・・・
俺がいつも味わっている苦しみを受けて来い!)」



 アキト、自分が墓穴を掘ったことに気づいていないな?



「・・・アオイさん、後でアオイさん専用のお仕置き部屋を作っておきましょう。

 今回だけはアキトさんの所を使いますが・・・。

 それとアキトさん、先程の証言は本当ですか?」



「そ、そうだけど・・・」



「と言うことは、
アキトさんもチハヤさんの全裸を見た・・・と解釈しても良いんですね?

 ではアオイさん共々、一緒に逝きましょうか」



 うん、さすが一流を集めただけあるな・・・。

 俺が言わなくても何をすればいいか解っているじゃないか。



「あれ、アキトお兄ちゃん何処に行くの?」



 む、メティちゃんがいつの間にか気がついていたのか?

 それを必死でヤガミ君が止めようとしている。



「メ、メティちゃん。

 アキトは色々忙しいから話があるなら後からにした方が良いんじゃないか?」



「む〜、でもあのお姉ちゃん達はどうして良いの!?」



「い、一応同じ職場の人だからな・・・。

 そうだ、アキトの料理を教えた人がいるんだよ。

 メティちゃんもお腹が空いているだろう?

 勿論俺がおごるからさ!」



「え、じゃあそうする♪」




「ふう・・・ アキト、お前の名誉は守ってやったぞ。

 この貸しは高いからな、覚えとけよ」




 ま、何の名誉かは知らんがな。(苦笑)



「お、そうだ。

 カズシ、久々に飲まないか?」



「・・・俺が止めようとは思わないんですかね?

 ま、今は飲みたい気分ですからかまいませんけど」



 俺とカズシはこの場を後にする。

 本当は
修羅場を見たいのだが命を粗末にしたくは無い。











後書きと呼ばれるもの



・・・と言うわけでこんな物を書いてしまいました。

要するに、『アキトがジャンプしなかったら・・・』と言うようなものです。

ま、色々な不確定要素もありますが(笑)

それとこの作品は『それいけ!テンカワアキト』以前に起きた事だとしてしまいました。

その理由ですが今は言えません。(考えていません)




所でこんな事しちゃっていいんですかね、代理人さん?






 

 

 

代理人の感想

 

勿論構いませんとも!(どきっぱり)

 

面白ければなんだってOKです。

あ〜、笑った笑った(笑)。

 

 

追伸

ソースを読んでおまけを見よう(笑)!