< それいけ!テンカワアキト >























 あの、忌々しい戦争が和平という奇跡の幕を閉じ。

 激戦を戦い抜いたナデシコの面々も、今は平和な世界へと溶け込もうとしていた。



 しかし、その平和を享受できぬ不幸な男が一人・・・



 これは、その男の愛と(自分自身の)平和への戦いの話である。

















「お、ウリバタケ君。

 目を覚ましたみたいだね?」



「俺はお前と違ってヤワだからな。

 ここ・・・病院か?

 それにしてもやけに揺れているが?」



「さぁ? 僕も気づいた時にはこうなっていたからね〜」




ガチャッ



「よ、久しぶりだな」



「ナ、ナオじゃねぇか!?

 丁度いい、この縄解いてくれねぇか?

 そうしねぇと、
あのデータをミリアさんに送ってやるからな!!」



「・・・そのデータは今、彼女達が握ってるんだよ」



「そ、そうか・・・」



ウイィィィィィィン・・・



『お久しぶりですね、アカツキさん、ウリバタケさん。

 短い休みは終わりです。

 ・・・それと前回は海で色々危険でしたから今回は山にでも行ってもらいます』



ウイィィィィィィン   
ガシャン!



「「なっ!?」」


「な、何で外の景色がブリザードなんだ!?」


「や、山じゃなかったのかい!?」



『山ですよ・・・雪山ですけどね。

 それではナオさん、
二人同時にお願いします』



「ちょ、ちょっと待て!

 二人同時は流石に危ないぞ!」



「ほらよ、パラシュートだ。

 ・・・逝ってきやがれ!」(ニヤリ)



ガシャン!



「くそ、このまま殺られてたまるかぁ!」

ガシッ!

「ヤガミ君、君も道連れだよ!」

ガシッ!

「何で俺までえええ!!」










 海の次は山、この三人の運命やいかに!?

 でもさ、ナオの秘密のデータって何だろう。(笑)



 ・・・そう言えばパラシュート持って無かったよな、ナオって。(汗)

















 第五話  未来での初陣

















 洋子ちゃん達の今回の相手はレッド スナッパーズ。

 二十四戦無敗の記録保持か。

 かなりの強敵みたいだけど・・・。



「ふふふ、あの笑い袋・・・。

 絶対酷い目にあわせてあげるわ!」




「で、まどかちゃんは何であんなに怒ってるのかな?」



「ああ、この前に食事に行った時ちょっとあってな・・・。

 そんで今回の相手の中にそいつが居るんや」



 ・・・成る程ね。



「・・・オッホン! 話は済みましたかな?

 それでは話を始めましょう。

 私が当チームのスポンサー窓口を勤めますサコマです。

 皆さんの活躍ぶりにはスポンサーも大変お喜びで、今回の対レッド スナッパーズのミッションにあなた方を起用した事も、

 その期待の大きさの現われであります。

 え〜、どうか皆様にはそのことを忘れず、より一層の奮闘努力を期待したいものであります。

 そもそも今回のミッション・・・」



「あの〜、お話はその辺で・・・」



「あは? しかし・・・」



「では、我々はミッションの準備がありますのでこれで!」



 はあ、やっと終わったか・・・。

 このままじゃ何時までもしゃべり続けそうだな。



『まもなく、戦闘宙域に到着します。

 パイロットは速やかに乗艦してください』



「あ、そうだ。

 紅葉君、今回TA−23の出場を見送ることになったんだ」



「え、そうでっか?

 じゃあ今回は・・・」



 何故か全員が俺の事を注目する。



「え、もしかして・・・俺?」



「その通り、TA−30の調整はすでに終わっているから5番ドックに行ってくれ」



「・・・・了解っす」



 ハァ、まさか本当に出ることになるなんて・・・。

 ま、別に大丈夫だろうな。

 こっちの世界に彼女達が居る訳ないし。










 さて、問題は敵がどの戦法で来るか・・・よね。

 綾乃は多少の事なら大丈夫だと思う。

 アキトも・・・まあ私と同じくらいの腕があるけど経験の問題よね。

 まどかは・・・自爆しなきゃ良いけどねぇ。



『洋子さん、今回は大丈夫ですかね?』



「大丈夫よ、綾乃。

 今回みたいな事は前にも会ったし、四対四だから早めに一隻落とせばすぐに終わるわ。

 それにアキトだってそれなりの腕をしているんだから」



『はは、ありがとう洋子ちゃん』



『洋子、間違ってもあの笑い袋に手を出さないでね!

 あいつは私の獲物なんだから!!』



「はいはい、分かったわよ・・・」



 おっと、無駄話している内に結構近づいたみたいね。



『ふふふ、来たわね。

 先ずは
先手必勝ォ!』



「馬鹿こんな所から撃ったって当たる訳無いでしょう!」



 と、言うのも遅くこのオデコは・・・!

 でも次の瞬間にレッドスナッパーズは小惑星帯に自分から突っ込んで行く。



『自分から入っていきましたよ』



『この中からじゃまともに攻撃が当たるとは思えないけど・・・』



『時間切れの引き分けでも狙ってるんじゃない?

 なによ、口ほどにも無い・・・アァッ!』



ドドン   ドン

  ドン     ドン

ズウゥゥゥン



『いやあぁぁぁ!』



 なっ、あんな所から正確に射撃ができるなんて・・・。

 伊達に二十四連勝もしていないって事か。



『まどかさん!

 ・・・援護に行きます!』



「ちっ・・・アキト、私達も追うわよ!!」



『了解』



 さて、入ったのはとこまでは良いけど、視界が悪いわね。

 こんな所で戦うなんて何を考えてるのよ。



『洋子ちゃん、来る!』



「ンッ・・・!」



 何とか・・・かわせたか。



『洋子ちゃん、怪我は無い!?』



 変なの、これに乗ってる限り死ぬ事なんて無いのに・・・。

 ま、そんなに気にすることでもないし、それに今は綾乃とまどかと早く合流しなきゃね。



「大丈夫・・・。

 それよりやってくれるじゃないの。

 こいつは私が相手するからアキトは綾乃達をお願い!」



『判った、洋子ちゃん無理しないでね』



「判ってる!」



『さあ、約束道理たっぷり判らせてやるわ。

 山本 洋子!』










 さてと、二人は何処に行ったか・・・。



    ドオォォォォォン



 一隻、落ちたか!?

 敵か、それとも味方か・・・。



『・・・アキトさん!?』



「綾乃ちゃん、さっきの光は?」



『TA−25です、まどかさんがやられました!』



 ・・・成る程、一人ずつ潰していく戦法か。

 なら離れて行動するのは危険だな。



〔左舷九十度に熱源反応〕



 左・・・いや、下か!?

 綾乃ちゃんは避けきれないか、しょうがない!




 ズゥゥゥゥン・・・



「大丈夫か、綾乃ちゃん!?」



『済みません、アキトさん』



 コンピューターにダミーが流れているのか?

 電子戦闘艦の仕業か、なら・・・そいつから落とせば勝てる!



「綾乃ちゃんちょっと頼みがあるんだけど。

 ・・・・・良いかな?」



『はい、分かりましたけど・・・アキトさんは大丈夫ですか?』



「俺なら大丈夫だよ・・・それじゃ頼んだよ」



 俺は綾乃ちゃんにそう頼んで艦を加速させる。

 しかし・・・加速が遅いな。

 まあこんな所でぼやいてもしょうがないな。



「さて、この辺で良いかな?

 艦載機全艦発進、航路はランダムで広域索敵を開始。

 ・・・後は敵がどう出るかだな」



〔右舷後方三十度から敵艦発見〕



 思ったより早く見つかったな。

 ま、終わらせて洋子ちゃんの援護にも行かなきゃならないからな。

 さっきのパイロット、並の気迫じゃ無かったからな。



『ご免なさいご免なさい、こんな事したくないんです!

 でも負けてください!』



 ・・・な、なんか調子が狂うな。

 あんな風にされたら俺だってやり難い。

 でもこっちも黙ってやられる訳にはいかないからな・・・。



「艦載機収容ブロックを強制排除!

 その分のエネルギーをメインエンジンに回せ!」



〔了解・・・強制排除完了、メインエンジンエネルギー稼動率86%〕



 よし、これなら多少は加速が早くなるか?




ドンッ!



「おわっ!?」



 急な加速に対し、舌を噛みそうになってしまった。

 それにしても、予想以上に早くなってるぞ?

 ・・・もしかして遅かったのは過剰武装のせいか。



『じゃっじゃじゃ〜ん、ロートちゃん登場♪

 エリュトロンちゃん、いっくよ〜!』



 前方から能天気な声が響いてくる。

 ・・・まったく、調子が狂うな、このチームは。

 そのせいで挟み撃ちにされてしまったし。



「さて、どうしたものか・・・」



 そのとき、丁度いい具合の大きさをした小惑星が迫ってくる。

 ・・・よし、この手で行こう。



「エヴァフラッグ拡散モード発射準備!」



〔主砲エヴァフラッグ発射準備OK〕



「目標、前方から接近中の小惑星にロックオン。

 エヴァフラッグ発射!」




 ズドオォォォォォォン!



『いやあぁぁぁん、エリュトロンちゃん助けてぇぇぇぇぇ!!』(ポチッ)



 小惑星の破片が前に居る艦に向かって飛び散っていく。

 流石に駆逐艦とほぼ同質量の隕石の中じゃ流石にナデシコのフィールドでもきついからな。

 ・・・でも、確かここの利権をかけた戦闘だったような・・・あまり気にしないようにしよう。



〔警告、敵艦後方より急速接近〕



 後ろと言うと・・・さっきのエリュトロン、だったっけ?

 さっきまでの加速なら避けられなかったが今となっては朝飯前だ。

 だが何故かその艦は真直し、味方艦に衝突コースに入っている。

 ・・・あ、何とか避けたみたいだな。



『ぷんぷ〜ん、ロートちゃんを罠にはめるなんて言語道断!

 私を怒らせるとどういう目に遭うか教えちゃうよー♪』



 ・・・お前もユリカと同じなのか!?

 まあ、もう一隻は動いていないみたいだし、綾乃ちゃんも隠れている艦と戦闘してるし。

 ここは早めに落としておくか!




『そこまで!』



 な、なんだ急に!?

 ホログラフィーか、あれは。

 一体どうしたって言うんだ・・・。



『この戦い、メオトロルのフーリガーが預からせてもらう。

 ・・・ルージュ、お前は自動転送装置のシステムの自ら切った』



『それは・・・!』



『そうなのだな?』



『それは、私なりの負けられない決意の現われで・・・』




『それがお前の戦い方か!?

 敵を恐れぬ事と命を軽んじる事は違う!

 勇気と蛮勇の区別もつかんのか、それがお前の言う戦士の誇りか!?』




『いえ、決してその様なつもりは!』



『同じことだ、大馬鹿者めぇっ!!』



『・・・申し訳ございません』



『お前の処分は追って沙汰ずる。

 今は引けぇ!』



『・・・はい』



『エスタナトレーヒチームならびにテラの諸君。

 私はネオ種族第2分艦隊司令メオ・トロルのフーリガーである。

 このたびのわが部下の非礼、深くお詫びいたす。

 後日追って公式の謝罪にうかがう。

 ・・・失礼したな、山本 洋子』



「洋子ちゃん・・・」



『・・・・・』



 戦闘は引き分け・・・と言うより残艦が三対四で実質的にはこちらの負けだ。

 それも、俺の乗っていた艦以外はかなりボロボロである。

 戦闘が終わったが洋子ちゃんは・・・しばらく一人にしておいた方がほうが良さそうだな。


















作者とキャラの懇談会









 と、言いたい所だが今回は『作者の魂の叫び』 又は心の中で感じた事(爆)

 それをガンダム風に



〜とある酒場のテレビでの中継放送〜



『諸君、私はHPを作り、SS作家として日々精進している。

 しかし、学校の教師達はそれを妨害するように毎日無理難題のような課題を押し付けてくる!

 何故だっ!?』



 カラン



 ブランデーを飲んでいるサングラスを掛けた青年が小さく、誰にも聞えないように呟く。



「イニシャルがハーリー君と同じだからさ」





 ・・・・・ああ、納得したね(泣笑)