<時のながれに+α 導き無き者>

 

 

プロローグ

 

 

 

 

 

今日も雄大な火星をバックに二隻の船がチェイスを繰り返していた・・・。

俺は、漆黒の機体を整備しながら、この船の館長とも言える人物への通信を聞いていた。

 

「アキトさん!! ・・・もう直ぐユリカさんが退院されるのですよ!!

 せめて、せめて顔を出すくらいいいじゃないですか!!」

 

金色の目を持つ少女の必死な声が開いてあるウィンドウから聞こえる。   

戻ってあげればいいじゃないか?という無責任な考えを一瞬考えたが、すぐに否定し、

漆黒の機体ブラックサレナの整備を続ける。

北辰を倒し激しく傷つき役目を終えた機体。

動くことがないであろう機体を整備しながら、これからどうする?という視線でブリッチが写っているウィンドウを眺める。

アキトさん戻る気がないことは知っている。そして、全員の前から消えることを望んでいることも・・・。

そして俺も、左手の義手を見ながら、「自分も消えてしまいたい」という思いを再確認する。

 

「・・・ラピス、ジャンプの準備を頼む。」

 

声が聞こえてくる。

 

「・・・うん、解ったアキト。」

 

どうやら今日も逃げるつもりらしい。 

 

「アキトさん!!」

 

「・・・俺とユリカの道が交わる事はもうありえ無い。

 

そうルリ、君と同じ道を歩む事も無い。

もし、全てが・・・ よそう、それは言っても仕方が無い事だ。」

 

『ジャンプフィールド生成完了しました!!』

 

「アキト、ジャンプフィールドが生成終了したよ。」

 

作業する手を休めず俺は話しを聞いていた。

どこに行くのだろう?これから消えようとしている人に目的地などない。

ならばいっそのこと、 まだ誰も踏み出した事の無い領域に・・・ 

 

 「よし、ジャンプ先は・・・」

 

そんなことを考えているうちに、アキトさんは、目的地を決めたらしい。

ラピスがいることを考えると、太陽系の中だろう。

サレナの整備に集中しようとしたその時、

 

「させません!! アキトさん!!」

 

ドガッッッンンン!!!!!

 

突然の衝撃が、ユーチャリスを襲う!!

 

「くっ!! 何が起こったんだ!!」

 

『アンカーを打ち込まれたんだよ、アキト!!』

 

強襲用のビームアンカーを打ち込んだのか!今日はいつもより過激だなぁ

このまま、ユーチャリスに乗り込んでくるつもりか?

ため息を一つついて、俺は壁に立てかけてあった刀を取りに行く。

しかし、事態は俺の予想を、遥かに越えた事になる。

 

「アキト!! ジャンプフィールドが暴走してる!!」

 ラピスが動揺をしながら、アキトさんに報告をする。

 

・・・暴走、だと?

これでは本当に未知の世界に跳んでしまう?

「まぁ、それもいいかな」なんて考えていると。ラピスのことが目に入る。 

「まだ、死ねないか。」と呟き、自分の機体に向かって走り出す。

 

「くっ!! ジャンプフィールド緊急解除!!

 俺がブラックサレナでアンカーを絶つ!!

 マヤ!! 」

 

アキトさんが俺に通信を入れてくる。たぶん修理のことを聞いてくるのだろうと思い

 

「無理だ!サレナのほうはダメージが大きすぎる!とても外に出れる状態じゃない!俺が出る!」

 

「たのむ!!」

 

「・・・了解。」

 

アキトさんに返事をして、自分の機体を見上げる。

最悪だった。打ち込まれたアンカーの一つによってによって、俺の機体はコクピット部分を貫かれていた・・・。

IFSのインターフェースに手をおき、起動のプロセスをしていると

 

『駄目だアキト!! フィールドの制御装置にアンカーが直撃してる!!』

 

ダッシュによって報告されていた。

 

「何!! このまま、暴走するしかないのか!!」

 

「アキト・・・ナデシコが。」

 

「間に合うのか・・・?マヤ!!まだか?ってなにしてる?!」

 

閉じていた目を開くとアキトさんが驚いた表情で、見ていた。

 

「なにって!俺の機体がアンカーによって、とても動かせる状態じゃないから、バッタで切り離そうとして」

 

「馬鹿!やめろ!おまえこれ以上ナノマシンに、負荷をかけたら死ぬってイネスさんに言われただろ!」

 

「わかってる!でもやらないと、ナデシコが!」

 

そこまで言って、急にシステムがダウンする。どうやらラピスによってシステムをダウンされたらしい。

 

「ラピス!!」

 

ラピスをにらむと、悲しそうなラピスの顔があった。

 

「ルリちゃん、早く逃げるかアンカーを切り離せ!!

 このままだとナデシコCも、ユーチャリスのランダムジャンプに巻き込まれるぞ!!

 余りにもナデシコCとユーチャリスの距離が近過ぎる!!」

 

「し、しかし、アキトさんが!!」

 

 コミュニケの画面の少女が、珍しく慌てている。

 こんな時に何だが・・・うれしい光景だな。できれば兄弟達にも見せてあげたいよ。

 

「俺達は何とでもなる!!ナデシコCの乗員全員が、ジャンパーの措置を受けているのか?

 このままジャンプに巻き込まれたら、措置を受けていない者が全員死ぬぞ!!」

 

「!!!! ハーリー君!! 急いでアンカーを切り離して!! ディストーション・フィールド緊急展開!!」

 

「はい!! 艦長!!」

 

返事をした少年を見て、悲しくなる。

この2人も結局巻き込んで、誰一人守れなかったと・・・。

 

『駄目だ!! ジャンプを開始したよ、アキト!!』

 

とダッシュが報告し、

 

「くっ、フィールドは間に合わんか!! 済まんルリちゃん!! ラピス!!ナデシコのクルー!!」

 

アキトさんが、最後の謝罪の言葉を述べる。

その言葉を最後に、俺の視界は虹色の光彩に包まれた・・・

ヴオォォォォォォォォオオオンンンン・・・

どうでもいいけど・・・アキトさん?

俺への謝罪は?

奇妙な疑問を残し・・・。

虹色の光に包まれて・・・

二隻の戦艦は・・・

何処とも知れない場所へと旅立つ・・・

それぞれの想いを乗せて・・・

その行き付く先は果たして・・・

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はじめまして、初投稿のSINです。こんにちは

早速ですけど、Benさんごめんなさい!!

これって、時のながれにプロローグのマネですね。

本当にごめんなさい。一話からは、オリジナルであるようがんばりたい。

こんな情けない人物ですが、よろしくお願いします。

 

 

 

 

管理人の感想

 

 

SINさんから初投稿です!!

ほ〜、時の流れにの付加バージョンですか?

さてさて、今後はどんな展開をしてくれるのでしょか?

楽しみにして待っていますね!!

 

それでは、SINさん投稿有難うございました!!

 

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