影から光へ 〜新たなる旅立ち

プロローグ「終わりと始まり」




  白き大地に静かに降り立つ、漆黒の機体と真紅の機体。

 見詰め合う様に佇む2機から少し離れた場所。

 そこでは、4機のエステバリスと、足の無い6機の機体が戦いを繰り広げている。

 1機、足の無い機体が空中で爆発する。

 しかし、漆黒と真紅の2機は、まるでそんな戦いなどないかのように、少しも動きを見せることなく、

 お互いを見つめ 否 睨み合う。

 漆黒の機体は憎悪を、真紅の機体は強き者と戦えることへの歓びを、その身に纏いながら… 

 その状態がどれだけ続いただろうか。
 
 離れた場所では、エステバリスの攻撃をうけた足の無い機体が、また1機、空中で爆発する。

 その瞬間!

 今までお互いを睨み合っていた2機が、爆発を合図にするかのように、前方へ動き始めた。

 徐々に加速し、互いの距離を急速に縮める2機。


 ズガッ!! 


 鈍い衝突音

 突き刺さる真紅の腕

 潰れる漆黒の胸


 『終わった…』


 見ているものがいたならば、そう思っただろう。


 『アサルトピットは胸にある…』


 この一言で、状況を理解していない者も、全てを悟るだろう。


 『あれを操縦していた奴は死んだんだ。』と。


 しかし次の瞬間!!

 その考えを否定するかのように、漆黒の機体が動き、

 未だ、腕を突き刺したままの真紅の機体の無防備な胸に、自らの腕を突き刺した。

 憎しみの全てをぶつけるかのように――――――






 

 潰れたアサルトピットの中に、乗機と同じように体を真紅に染めた人物がいた。

 その人物の目の前で、漆黒の鎧が、力なく地に落ちる。

 全ての鎧が落ちた後、そこにあったのは…

 ほとんど無傷の状態の1機のエステバリスだった…

 全てを見届け、自分の負けを悟った人物は


 「人の…執念…しかと見せて…もらった……

  見…事…なり……」


 そう呟き、真紅の機体の人物、北辰は目を閉じた。
 微かな笑みと虹色の煌きを残して…
 





 
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 あとがきは1話でまとめて。

 

 

代理人の感想

・・・・なら一話も一緒に投稿してほしいなー、と。(¬¬)