_まずは名前から聞かせてもらいたいのですが。


「わたくしの名は神崎すみれ。帝国歌劇団花組の一人ですわ」



漆黒の戦神アナザー  神崎すみれの場合 



_では、まずは彼との出会いからお願いします。


「今でもあの日の事は忘れません・・・・あれはわたくしが旅行に行っていた時の事でした・・・・」

すみれは語り始めた。




回想

「やはり夜の散歩と言うのは風流が感じられますわね」

森の中にあるペンションに泊まっていたすみれは

その近くの森の散歩していた。だが・・・・・

「あら?こんな所で行き倒れですか・・・・・」

散歩を始めて5分もしない内に木に寄りかかって寝ている男を発見した。

普通は警察を呼ぶのだろうが、気紛れが起きたのかそんな事はしなかった。

数分後、彼女は男をロッジまで運びこんだ。




_それがテンカワ・アキトだったというわけですね。


「ええ、ですが余程酷い目に遭ったのか中々目を覚ましませんでした。

_・・・・ああ・・・成る程・・・・・

記者はその理由が思い当たったのか、一人で納得した。




回想2

「うう・・・・・」

アキトが目を覚ました。見渡すと、どこかの宿泊施設のような場所に

自分がいるという事に気付いた。そして、一人の女性がいることにも気付いた。

「目が覚めたようですわね」

「う・・・・君は?」

「あら、他人の名前を聞きたいのならまずそちらから名乗るのが筋でしょうに」

棘をたっぷりと含んだ言い方。それでも彼、アキトは嫌な顔一つ浮かべなかった。

「それもそうだね、俺はテンカワ・アキト。訳あって色々な場所を旅してる」

確かにそうとも言える。だがどちらかと言えば旅というより逃亡だ。それでも

アキトの嘘にしては上等な方だろうが・・・・・・・・

「あ・・・・それより・・・・」

「何です?」

「ありがとう」

「礼には及びませんことよ、人として当然の事をしたまでです」

そうは言ったすみれだが、まず名前を聞いてきたアキトに対して最初は

『助けたのに礼も無しなのですか?』

と皮肉たっぷりの一言を言ってやろうと思ったのだが、先に礼を言われてしまった

所為でそれもできなくなった。故に最初はアキトに対して『変な方』と言う第一印象を持った。





_へえ・・・・・なるほど・・・・


「最初は起きた時点でお引取り願おうと考えていたのですがそうもいかなくなりました。

そのペンションの主の方が熱を出して倒れてしまったのです」

_それは大変ですね。ペンションでは食事やその他色々な事を任せねばならない人が

倒れてしまうなんて・・・・・・


「ええ、ですがアキトさんはそれを見るなり自分が代わりをすると言われました」

_ははあ・・・働いて恩を返すと言った感じですか


「ええ、けど厨房に入ると人が変わったような雰囲気でしたわ。元々そこにいたのは

わたくし、彼、ペンションの主の3人だけでしたので彼は30分と経たずに2人分の夕食、主のための

軽い食事を作り終えました。味はとても素晴らしい物でしたわ」

_流石・・・・放浪中にも料理の腕も錆び付かないようですね・・・・


「その後も倒れた主に代わって彼はわたくしの身の回りの世話をしてくれました。

ですが、楽しい時間という物はすぐに過ぎ去ってしまう物・・・・それは

わたくし達にとっても当たり前のこと・・・・でも私はもっと彼と一緒にいたいと

思いましたの」

_なるほど・・・・・・で、どうしたんです?


「残りの宿泊予定をキャンセルして彼について行きましたの。

帰らねばならないぎりぎりの時間まで一緒にいたいと思いましたから・・・・

その後は空港の近くの街を二人で歩きました。映画、食事、ショッピングなど様々な

事に付き合っていただきました。ですが・・・・・まだ戦争の終わった後の

混乱が消えていなかった所為で面倒事に巻き込まれてしまいました」





回想3

戦争が終わった後、軍人の中でも犯罪者予備軍と呼ばれていた連中などによる

犯罪がかなり高い頻度でおきていた。

その日、東京に戻るために空港に来たすみれと見送りに来たアキトは

空港の管制室とかを乗っ取ってしまうという、どっかの映画のようなテロに巻き込まれた。

「これは・・・・放ってはおけないな・・・・・」

「そうですわね」

市街のデートの時に様々な不埒者をぶっ飛ばしてきた物騒な二人がここに居合わせた事が

テロリストの皆さん最大の不幸としか言い様がなかった・・・・・




テロリストの偉い奴らが管制室にいて、人質は1階の広い場所にいる。

見張りは14人。離れすぎず、近付きすぎずの絶妙な間隔で人質を包囲していた。

これでは変な気を起こす事もできない。だが・・・・・・

「オーホッホホホッ!」

突如謎の高笑いが周囲に響き渡る。見張りだけでなく、人質も声のする方向を向いた。

そこは2階のとても目立つ場所だ。いるのは仮面ラ○ダーRXに出た敵の銀色の紛い物ラ○ダーの

お面を被って薙刀を持つすみれだった・・・・・・・・

「な・・・・・なんだテメーは!!」

テロリスト達が一斉に銃口を向けるが、すみれは全く怯む様子も見せない。

「あ〜ら、わたくしの事をどうこうするより後ろに気をつけた方が良いのではなくて?」

すみれがお面の下でニヤリと笑うと、見張りのテロリスト達が次々とばたばた

倒れ出す。そう、彼女はアキトがテロリスト達に接近するまでの囮だったのだ。

無論アキトは仮面ラ○ダーRXのお面をつけている。

全員倒れた後、まだ意識のあった一人が震える声で言う。

「お・・・・・おまえらそれでも正義の味方か・・・・」

「残念ですけどわたくし悪役ですの」

「ふ・・・・不覚・・・・・」

見張り全員が倒れた後、人質だった人達が歓声を上げる。

だが、2人はもうそこにはいなかった。管制室に向かったのである・・・・・





「ば・・・・馬鹿な・・・・何で○Xとシャ○ウムーンが協力してるんだ!!」

テロリストの首領の余りに阿呆な台詞に人質どころか、彼の部下まで全員脱力する。

そして、その瞬間ドアが吹き飛び、二人が踏み込んで来る。

気力ダウンしていた彼らは簡単にアキトの体術とすみれの薙刀の餌食となった。

残るは馬鹿首領ただ一人。お約束のように首領は人質を羽交い絞めにし、

銃を突き付けている・・・・・・・

「き・・・・貴様らなんで一緒に戦ってんだ!!おまえらはライバルの筈だろうが!!!」

その駄目指数120%の台詞にアキトは・・・・・・

「全く馬鹿な奴だな貴様は・・・・元々○Xとシャ○ウムーンは親友だったんだよ!」

それも人間だった時のことだけど・・・・・・・

「な・・・・なんと・・・・・」

その一瞬の隙にアキトは昴気の一撃をお見舞いした。

こうして、世にも珍しいとっても駄目な首領が率いるテロリスト達は鎮圧された。

その後、アキト達はお面を外して人質達に紛れ込み、正体がばれなかったのは言うまでもない。





_まさか戦神があの事件に関わっていたとは・・・・・・

この事件は世界の珍ニュースとして大きく知られている事件だった。

「そして、あの後彼は忽然と姿を消しました・・・・・」

実際は某同盟に気付かれてしまったせいですぐ逃亡しなくてはいけない羽目に

陥っただけだったりする。

_そうですか、では彼に一言お願いします。


「わかりました。では・・・・アキトさん、見送りもしないでいなくなったのは無礼です。

必ず私に会いに来てくださいね。東京でお待ちしておりますわ」

_本日はお時間いただき誠にありがとうございました。






後日談

アキトは捕まっていた。例の本を見て結局見送りをしなかった事に罪悪感を

感じたのがそもそもの間違いだった。

「アキトさん、また会えて嬉しいですわ」

「あ・・・あの〜すみれさん・・・・なんで俺捕まってるの?」

しかも・・・・・アキトが今まで関わったと思われる帝国歌劇団関係のメンバーも

全員そこにいる。はっきり言って大ピンチだ。

「あの後私たちはアキトさんが狂った集団に狙われているということを知りましたの。

だからこれからは私たちでアキトさんをお守りしようと言う結論が出たのです」

「うそ・・・・・・」

残念ながら現実である。またナデシコにいた時と同じっぽかったが、

ナデシコにいた時よりは遥かに良い待遇を提示されたので、彼はこれ以上

『追跡者』の数を増やすのはごめんだったのでそれを受け入れてしまった。

・・・・・・その代わり東京が火の海と化すような戦闘が繰り広げられた

のだが、それは全く別の話。






後書き

ははは・・・・何とか間に合った・・・・・

これで生首との同棲生活せずに済む・・・・・・・

けどホント馬鹿な話だな・・・・・・これ・・・・・





代理人の感想

首領ナイス(爆笑)。

 

 

しかし何よりかっこいいのは「わたくし悪役ですの」としれっとのたまうすみれさんでしょう(笑)。