誰が為の世界
第2話


「なん・・・だと・・・?」
あまりに突然のことに、俺は思わずあけた口を、閉じる方法すら忘れてしまっていた。
その様子に苦笑をしながら、再び少年は・・・いや、奴の口は言葉が細い糸のように紡ぎ出す。
「フフ・・・信じられないかい?君だけじゃ無かったてことさ。2回も逆行して、結局は負け犬になったのは。」
「お前も・・・なのか?」今更ながらの言葉が、口を突いて出てくる。
「僕の場合は・・・、少なくとも君のように負け犬という立場に甘んじた覚えは無いね。」
気のせいだろうか、奴の言葉にほんの少しずつではあるが、・・・怒気が含まれていく。
その『負け犬』という言葉に、流石の俺も・・・死にかけたので情緒不安定になったのであろうか、あらん限りの力を込めて



「ふざけるなよ!!!!俺が何時負け犬に成り下がった?!!!エエッ!?お前に何が分かるっ!!!!!」


などと、ほぼ八つ当たり同然の気持ちを吐き出してしまった。
・・・どうもおかしい。奴と会ってから、俺は何かがおかしい。

その言葉を聞いた瞬間、奴の表情から感情という感情が一切消えてしまったように見えた。
あくまで見えただけだったが、数多くの修羅場をくぐってきた俺ですら、それには流石に背筋に冷たいものを感じた。


     「ククク・・・ハハハ・・・。」
「何が・・・おかしい?」奴の・・・口調が変わっただと?
      「これが笑わずにいられようか?自分が負け犬に成り下がったことにすら気付いていない男に、『お前に何がわかる』などと非難されてもなぁ・・・?」
「なんだと・・・?!!!」
何時の間にか奴は自らの顔に手を当てていた。
そして奴は、その手を一寸下にずらすと、こう言い放った。



                     『あまり・・・、調子に乗るなよ?若造が。』


まるで、地獄の底から響いてくるような声に、おれは思わず3歩程下がってしまった。
「な、何だよ・・・。」
         「お前・・・言ってたよな?仲間を守るって。」
「・・・?」
          「いった・よ・な?!」
「なんなんだよ・・・。言ったよ!確かに。」
           「ならこのザマはなんだ!お前は結局仲間を守れなかった!」
「!!!」


さっきまでの世界とは打って変わり、周りは一面の銀世界・・・にはほど遠かった。
あたりには、つい先ほどまで戦争でも行われていたらしく、破壊された戦艦の残骸が至る所に散乱していた。
そして、その中には見慣れた戦艦が・・・


                  「あれは・・・ナデシコ?!!!」

      「そうだ。貴様が無様にも途中で死んでしまったおかげであっさりと破壊されてしまった、・・・かつての最強の戦艦だ。」
「!!!!!」
    「確かにお前は老いたよ。今年で50になるはずだったもんなぁ?おっと、精神年齢は、そろそろ100になろうってとこだったなぁ・・・。」


一体コイツは、何者だ?



なぜ俺のことを俺程に知っている?



いや、それ以前に此処は宇宙のはずなのに、なぜ俺は宇宙服無しで生きている?


『答』が欲しかった。
唯、それだけだった。
まるで俺の心を読んだかのように、奴がそれに答えてくれた。
さっきまでの雰囲気とは違い、最初の暗く沈みこんだものへとその表情をかえつつ。


       「そういえば自己紹介を忘れていたね。僕は碇シンジ。この小さな世界のたった一人の生き残りであり、また、この世界の管理者でもあるんだよ。・・・そういえば今年でもう・・・幾つだっけ?途中から数えるのを忘れちゃったな。まあ・・・、もう数百億年は生き続けたね。」
「何故、お前だけが生き残ったんだ?それ以前に何があった。」
こいつ・・・、2重人格じゃないのか?北斗じゃあるまいし、こんなにすぐに態度を変えれるなんて。
        「そうだね・・・。話せば長くなるけど、聞いてくれるかい?」
「勿論。どうせ、この世界の『管理者』っていうぐらいだ。俺の心を読んでいたんだろう?話が終わったらほかの質問にも答えてもらうからな。」
           「おや、よくわかったね。」
一瞬、おどけたような表情をさらしたが、それも一瞬のことで、すぐに真剣なものへと変えた。
「それじゃあ話すよ・・・。」
何故か、シンジがそうつぶやいたのは、自分に何かを言い聞かせているように見えた。





「・・・僕はね。小さい頃に、父親に捨てられたんだよ。母さんが死んだからね。父親の名前は『六分儀ゲンドウ』、母親の名は『碇ユイ』って言ったんだ。」
「待て、お前は『碇』だろ?なんで、父親だけ旧姓で?」
「認めたくないんだよ。親だってね。まあ、その理由は最後まで聞けばよく分かると思うよ。」
「・・・。」
「話を続けよう。母さんが死んだのは、ある実験の最中に、その『対象』に取り込まれてしまったからなんだ。」
「!!!?」

     「その『対象』こそ、後に父親が僕を必要とするようになった原因・・・、

                 『人造人間エヴァンゲリオン』
                 
                           その、初号機だったのさ。」
「エヴァン・・・ゲリオン!?人造人間だって?」
「そう。僕がいたこの世界では、過去に二回人類を大きな試練が襲ったのさ。
        
             最初の試練が、『ファーストインパクト』・・・俗に言う『ジャイアントインパクト』って奴さ。
             これははるか昔に起こったものだよ。
             二度目の試練が『セカンドインパクト』
             今が2016年だから、約16年前に起こった出来事さ。
             この事件の発端は・・・・・・・・・・・・







                   




      

 
・・・それから18時間もの時間をかけてシンジの話は終わった.



「・・・そうか・・・、撃たれたのか。」
「ああ、彼女は・・・ミサトの奴は何の罪も無いレイを・・・あいつを・・・殺したんだ.」
心なしか語尾が沈んで聞こえる・・・。




4時間後。
俺はシンジとすっかり打ち解けていた。
「ういー、僕の酒が飲めないってかぁ?」
「なんのまだまだぁ」



・・・焼酎を飲みながら







「それれさあ?酷いんだよ・・・親父の奴『乗るなら乗れ・・・でなければ帰れ!!!』だってさ。息子を何だと思っているんだっつーの!」
「なんてやつだぁ・・・そんなやるはぶっとばしっちまえー!っはっはっはー!」


すでに理性が吹っ飛びかけている上に、ろれつも回らなくなっている二人。



・・・未成年だろ?お前ら・・・一応肉体的には。











6時間後。
俺達は吐いていた。



・・・駄目だこりゃ。(汗)

十数時間後
ようやく酔いから覚めた俺たちは、これからの事について話し始めた。


「・・・僕はもうじき消滅する・・・。」
「何故?」
「もう、飽きたんだよ。こんな毎日に。」
「飽きた?」
「だってそうだろう?起きたところで何もありゃしない、かといって逆行して歴史を変えようとすると・・・変えると、因果律の関係で結局は失敗するんだ。」
・・・知らないわけではない。俺も何度かそういう目に遭ってきた。
でも俺は諦めはしなかったが。
「君ほどタフじゃないんだよ。僕はもう限界なのさ。」
限界・・・?
その言葉に俺は少し戸惑った。
「限界だ?自分で唯作ってるだけじゃないのかよ!?」
「・・・だからどうした。もう、うんざりなんだよ!」
「それでしたり顔して説教か?」
「なに・・・?」
「自分は逃げだしておいて、俺に説教か?といっているんだよ。」
「お前・・・。」
「まあいいさ。消えるならとっとと消えなよ。俺は俺でやらせてもらうさ。」
・・・どうやればいいかは知らないがな。
「待て.」
何所でもいいから行こうとした俺をシンジが呼び止める.
「行くなら行くでこれを持って行ってくれ。」
と、とびっきりのスマイルシンジが俺に差し出したのは少し黒ずんだ赤い光珠だった。
「あ・・・ああ・・・。」
突然の態度の豹変に、俺は何か変だなとは思ったのだが、断わりきれずに手を差し出し、それを掴もうとした・・・が、


すかっ・・・

「・・・はい?」
おいこら・・・どう云うことっスかこれ?
「(にやり)こういうことだよ!」
そう言うや否や、(それをもったまま)シンジは素早く手のひらを俺のの有る位置に押し当ててこう言った。
「逝って来い!」
「ちょ・・・ちょっとまてー!」
『シリアスじゃなかったのかよー』
とかなんとかいいつつも、俺はしっかりと吹っ飛ばされていた.

ヴワン

突如、俺の進行方向に空間の歪みが現れ、除々にそこが別のモノに変わっていく。
「な・・・何を?」
「今からお前を別の世界に吹っ飛ばしてやる。・・・ありがたく思えよ?」
ああっ、もう何か近づいてるしいっ!!!!!(魂の絶叫)
「有難くないー!!!人の話を聞けー!!!」
精一杯叫んだのだが、途中からは恐らく聞こえなかったんじゃないか?
・・・丁度その時、そこに入ってしまったからな・・・。
戻って来れたら、絶対にぶっ飛ばす!!!
「・・・戻れたらね.」
と、シンジのつぶやく声が聞こえたような気がした。


「頼んだよ・・・アキト。僕にはもう時間が残されていない。だから、君には僕の意思を継いでもらいたい。まずはそれに相応しいだけの力を身につけてきてくれ。」
さっきまでアキトが居た世界で一人呟くシンジ。
「・・・それに、僕の力も渡したことだし?」
その言葉を聞くべきものはもう其処にはいなかった。







何時の間に眠っていたのだろう、不意に誰かに呼びかけられたような気がして目が覚めた。
「ここは・・・?」
どうやら、何処かから落ちたらしく、体中が痛い。
周りを見渡してみたが人の子一匹居ないようだ。
・・・どうやら何処かの宮殿らしく、綺麗に掃除が行き届いている。

「あらぁ?珍しいわねぇ。此処に人間が来るなんて・・・どうやらちょっと違う存在みたいだけれど?」
「?!」
振り返ってみると、黒装束で金髪の女性が・・・見た目からして20歳前後だろう・・・何故か大鎌もって俺の後ろに立っていた。
「すいません!俺、ある人に無理やり「知ってるわよ」・・・はい?」
「シンジに送られてきたんでしょう?」
「え゙・・・ええ・・・。でもなんでそれを?」
「あら?まだ何も聞いていないの?」
「は?」
何だろう・・・。何でこんなに汗が?
ヤな予感がする・・・。(滝汗)
「君は(はあと)私と旅に出ることになってるの。あ、私のことはLって呼んでね?因みに、シンジのと・も・だ・ち(はあと)」
・・・ルリちゃん・・・刻が見えたよ・・・(何)
「をーい?大丈夫ー?」
・・・もう嫌・・・(泣)
「ま、いいや。・・・さてと、行っくわよー?」
「誰か助けてくれー!」
・・・何で?俺が何をした?(色々と)




後書き
・・・駄目だこりゃぁ(核爆)
って言うか口調変わり過ぎかも?
まず、途中で第三者の視点に変わってしまったし(汗)
一応目標としては、ただアキトを強くするだけで終わってしまうような作品にはしたくないってとこです。
・・・多分そうなってしまうかも(滝汗)
次回よりスレイヤーズの世界に行きます。
では代理人さんどうぞ。(ブルブル)



 

代理人の感想

・・・・・・・・・・・・・・いや、全能シンジとかL様がメインキャラって時点で問題なんじゃないかと。

連中は強すぎて物語世界にでてこれない、ってレベルの存在ですし。