「アー君!

 ご飯ができたよ〜〜」

 

「あ、わかった。

 すぐ行く」

 

 家の中から聞こえてきた声に、アキトは返事を返した。

 

 日は中天にかかり、そろそろお昼時。

 

 アキトは、薪割を中断すると、声の方へと歩いていった。

 

 

 

ジャンクSS

 

 ナデシコ・in・ファンタジ〜

    <あるうららかな昼下がり>

 

 

「美味しい?

 アー君」

 

「うん。

 美味いよ、枝織ちゃん」

 

 卵焼きをつまみながら、たずねる枝織にアキトは答えた。

 

 ここは、どの国にも属さない中立地域カセイに聳え立つ、霊峰オリンポス山の麓。

 大自然に抱かれた、厳しくも美しい土地だ。

 

「でも、このごろ物騒だよね〜〜」

 

「まったくだ。

 いつ終わるのかな、この戦争は」

 

 いま、この世界は大戦争の真っ最中だ。

 このごろどころではなく、もう何百年も続いているのであるが。

 

「ま、俺たちには関係ないけどな」

 

 関係することになれば、それは自ずからやってくる。

 老師(アキトたちの師匠。本名不詳)の教えだ。

 

『世界がおまえたちを必要とするとき、それがどういうときなのかはわしにもわからん。

 じゃが、むやみやたらと戦うのではないぞ、アキト、北斗、枝織。

 少し意味合いは違うが……「兵法の極みとは戦わざることにあり」じゃ。

 ん? 少しじゃないかのぅ?』

 

 

 と。

 

「でも、結構うまくなったね、枝織ちゃん」

 

  野菜炒めを食べながら、アキト。

 

「へっへ〜。

 先生がいいからかな〜?

 でもね、それは北ちゃんが作ったんだよ〜」

 

 野菜炒めを指して言った。

 

「こら、箸で指差すんじゃない。

 ……北斗が?」

 

「あ、替わろうか?

 ……ほら、北ちゃん。出てきなよ」

 

 言って枝織は目を閉じる。

 

 すると、“ふっ”と気配が変わった。

 

「この野菜炒め、北斗が作ったんだって?」

 

 それを感じながら、アキトは彼女に話し掛ける。

 

「あ、ああ」

 

 少し顔を赤らめながら頷く北斗。

 そう、北斗と枝織は、一種の二重人格なのだ!

 

「美味いよ」

 

 微笑みながら、一言言ったアキト。

 北斗は真っ赤っ赤だ。

 

「う、うむ」

 

 目をそらしながら、頬を掻く北斗。

 

 「あれ?

 北斗、大丈夫か?

 どうしたんだ?」

 

 と、アキトは急に心配そうに北斗に言った。

 北斗の指には、いくつもの「ばんそーこー」が貼ってあったのだ。

 

「い、いや、別になにも………」

 

 どもる北斗。

 普段はニブちんだが、妙なところで鋭いアキトは、すぐに察した。

 

 北斗は、今まで料理したことがなかったのだ。

 アキトは、枝織には料理を教えているのだが、北斗はあまりやりたがらなかったのである。

 

 その北斗が、料理したのだ。

 初めて野菜を切ったりするとき、誤って手を切ったりすることはよくあることだ。

 いや、初めてで切らないほうが珍しいのではないだろうか。

 

「北斗……有難う」

 

 しかし、アキトは何も言わず、お礼の言葉だけを言った。

 北斗は、ゆでダコみたいに真っ赤。

 

 

 

 お昼の、ほほえましいひとコマでした。

 

 

 

(終わり)

 

 

あとがき

 

 え〜………っと。

 突発的に思いついたネタです。

 多分続きません。

 

 裏設定とかは山ほどありますけどね。

 構想五分の(笑)。

 

 ジャンクSSの名に相応しく(?)、短いですし。

 まぁ、裏設定とか知りたい人は、探せばどこかにあると思います。

 簡単に見つかると思いますけど。

 

 それでは。

 

 

 

管理人の感想

 

 

昴さんから投稿第六弾です!!

のどかな食事風景でした。

・・・師匠の正体が凄く気に掛るんですけ?(爆)

この三人の師匠・・・

さぞかしとんでもない人物なんでしょうね(笑)

意外とホウメイさんだったりして(核爆)

 

それでは、昴さん投稿有難うございました!!

 

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