それは、遥かな未来であり、過去でもあるかもしれない時代の物語。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

OPナレーション

 初めっから色々あったけど、なんとか無事に切りぬけた私達。

 でも、世の中それほど上手くいくようにはできていないみたいだし……。

 なんだか、これからがすごく心配。

 そうそう、心配といえば、この艦のクルー達……ほんとに戦艦に乗ってる自覚あるのかな?

 まぁ、私に自覚があるのかと聞かれても困るけど、なにせ私、少女ですから。

 あぁ〜あ、なんかこっちの方が心配になってきた……なんとかなるのかな?

                               byホシノ・ルリ

 

 

 

 

             機動戦艦ナデシコ アナザー

              〜もう一つの歴史のカタチ〜

            第2話 僕等は旅立つ『緑の地球』から

 

 

 

 

――ユウヤ・サイド――

「んで、これからどうするんです?」

 ここは俺にあてられた部屋。対面に座っているアキトさんに開口一番そう尋ねる。

「一応、クロッカスの件については考えがありますけど……。

 まずはアキトさんの意向が聞きたいです。でないと、こっちも何をすればいいのかよく分かりませんからね」

 アキトさんの目的はわかってる。だけど、それは俺に言わせれば所詮、奇麗事に過ぎない……。ついでに付け足すなら、アキトさんのやろうとしている事は、生半可な気持ちでやるには、少々……いや、かなり難しい。

 だから、アキトさんにははっきりと誓ってもらいたい。そうしないと……、

「俺のやりたい事……、か」

 少し考える様に俯くアキトさん。

「別に難しく考えなくても良いですけど……、せめてアキトさんの決意は聞かせて下さい。

 俺には、あいつ等を巻き込んだ責任があるんですから」

 ま、あいつ等の事だから、俺がこんなふうに思ってるなんて知ったら怒るんだろうけどなぁ。

「俺のしたい事……、やらなくちゃならないことは、俺の知っている限りの不幸を回避する事。俺が知っている人達を、可能な限り救い出す事。……だな」

 考えは変わってないのか、今のところは。

「そのためには、まずどうしたいんですか?」

「木連と、地球との間に和平を結ばせる。これが一番手っ取り早いからな」

 俺からの質問にも迷うことなく答える。

「木連……か、アキトさんの知る限り、草壁という男が簡単に和平を受け入れると思いますか?」

「わからない……。だけど、やらなくちゃならないことは確かだからな」

 ふむ……、決意は固いみたいだ。ひとまずは安心……といったところか。

「わかりました、地球圏の方は任せて下さい。

 ネルガルだろうが、クリムゾンだろうが、連合宇宙軍だろうが抑えきってみせますから。

 ……ただし、それは地球圏に限っての事です。

 いくら俺でも、木連にはまったくコネはありませんからね」

 これは事実。すでにネルガルとクリムゾンの株の大半は俺たちが所有している事になるわけだし。

 連合には古くからの知り合いも多い。それに、俺はあの英雄の義理の『孫』だ。じいさんには悪いけど、この立場を有効に使わせてもらう。

 連合議会はスキャンダルだらけ、巧妙に隠したところで、これだけ穴のある組織なら切り崩すのは造作も無い事だ。

 だけど、木連は違う。ある意味、盲目的な組織ほど切り崩すのは難しい。

 彼等の信じている正義がどんなものであれ、彼等がそれを信じている以上、こちらからは何を言っても受け付けないだろうし。

「ああ、木連の方にはまだ心当たりがある。

 うまく彼等と接触できれば……、何とかしてみせる」

「わかりました。そちらはお任せします。

 んで、話は変わりますけど、ブラックサレナの準備はほぼ完璧です。

 アレはもう少し調整するつもりですけどね」

「ああ、しかし、本当によく間に合ったな。

 サレナに登載されている小型の相転移エンジンなんて、今の技術レベルじゃ不可能だと思ってたけど」

 本当に感心したように言ってくる。

「一応基本的な構造は知ってましたから、それに、あの二人と組んだ以上、できませんでした……、なんて言えるわけないですからね」

 俺ひとりじゃ無理だったからな。間違いなく。

 あいつ等にはホントに感謝してる。……そういや、こっちに来てからまったく連絡入れてないからなぁ、怒ってるだろうな、きっと。

 そういえば、このあいだのビデオディスク、まだ見てないけど……どうしようかなぁ。

「“アレ”……、『ウェイステリア』も積んであるのか?

 用意周到と言うか、なんと言うか……」

 アキトさんはちょっと呆れた様に苦笑してる。

「仕方ないでしょう。造っちゃったんですから。

 それに、『トウカ』の奴が自分も行くって五月蝿かったし」

 ホントはあいつ等も付いてくるって、五月蝿かったんだけど、あの子達の世話もあるから置いてきたんだよな。

 ……やっぱ、あとで謝っとこう。

「トウカ……か、そういやまだ姿を見てないけど、どうしたんだ?」

「ええと……、まだみせる必要はないと思いましたからね。

 本人はすごく出たがってますけど……、今はオモイカネと会話するだけで我慢してくれてますよ」

 つい、苦笑する。

「なるほど……、ん?

 そろそろ時間じゃないか?さっさとブリッジに行くとするか」

 確かに、もうかなりいい時間だ。

「それじゃ、そろそろ移動しますか」

「ああ、それと、トビウメからの通信が入ったら……」

「わかってます。あの人相手には耳栓は必須ですから……」

「さすが……、良くわかってるな」

 そりゃあ、あの人とは何度も顔を合わせてるしなぁ。

 アキトさんも、昔は苦労したんだろうな……きっと。

 ちなみに、この時、俺は完璧にキノコの事を失念していた(苦笑)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――ナデシコ・ブリッジ <ルリ・サイド>――

「ナデシコの目的地は『火星』です」

 主要メンバーを集めたプロスペクターさんが、開口一番そう言いました。

 あっ、この場合の主要メンバーっていうのは、艦長、フクベ提督、テンカワさん、ユウヤさん、プロスペクターさん、ゴートさん、ウリバタケさんに、ヤマダさ「俺の名前は、ダイゴウジ・ガイだぁ〜!!」

 ……どっちでもいいけど。はぁ……。

 あとは私にミナトさんにメグミさんってところ。

 ん……?あっ、そうそうアオイさんもいるんだっけ。

「なぁ……、おたくこのあいだから突然叫ぶのやめてくんないか?」

 呆れ顔のウリバタケさんに、話の腰を折られたのに笑顔を崩さないプロスペクターさん。

 あれ?でも火星って……、

「あの〜、火星って木星トカゲに占領されちゃったんじゃ……」

 私と同じ疑問を持ったらしいミナトさんが質問する。

「それは、連合宇宙軍の広報活動の結果に過ぎません。火星が本当に占領されているのか、火星に残された人々がどうなったのか、確認した人間は誰一人としていないのです」

 大仰にプロスペクターさんは首を振っています。

「木星トカゲが火星に進行を開始した当初、多くの人々が、コロニー、地球、火星へと移住していました。しかし、連合宇宙軍はそれらの前線ともいうべき人々を見捨て、地球周辺に防衛ラインを引きました。では、見捨てられた火星の人々は、資源は、いったいどうなったのでしょう?」

 確かに、それは事実なんだろうけど……、こんな話をフクベ提督の目の前でするのって、ちょっとどうかと思うんだけどなぁ。

「と、いうわけで、我々は軍とは別行動をとり、火星へと向かいます」

 と、プロスペクターさんが言ったと同時に、

「ちょっと待って下さい!

 それじゃあ、今の地球の現状を無視して火星に向かうんですか?!」

 ほとんど今までまったくといっていいほど目立つことのなかったアオイさんが反論します。

「いたしかたありません。なにせ、連合軍は今の戦況を維持するのに精一杯、この様な状況では、いつになれば火星へと人員を派遣できるのかまったくわからない。

 ならば、民間の企業である『ネルガル』が火星に向かうことになんの問題がありましょうか?」

 よどみない反論です。本音はきれいに隠されてるみたいですけど。

「なっ、だからと言って、これだけの能力を持つ戦艦をみすみす火星に向かわせるなんて!!」

 アオイさんの大変軍人らしいセリフ。こういっちゃなんだけど、たかだか戦艦一隻で出切る事なんて限られてると思うんだけどなぁ……。

「すでに連合軍との話はついています。

 それに、こんな事を言うのは心苦しいですが、貴方も一応ナデシコとの契約を結んでいる以上、我が社の方針には従って頂きます」

 まぁ、確かに……、軍と話がついてなきゃ、こんな戦艦造れるはずないしね。

「くっ、だけど……!!」

 アオイさんはなおも食い下がろうとしてます……無駄だと思うけど。

「ところが、そう言うわけにはいかないのよねぇ」

 えっ?

 

 

 

 

――ユウヤ・サイド――

「ところが、そう言うわけにはいかないのよねぇ」

 まだいたのか……キノコ(苦笑)。

 突然の侵入者はキノコとその部下。そういやそろそろトビウメも来る頃だっけ?

「さっきそこの坊やも言ってたけど、これだけの戦艦を火星に回すなんて冗談じゃないわよ。ナデシコはアタシ達軍と一緒に戦ってもらうわよ」

 このキノコは……、呼ばれてないのに出てくるなって……、本気で殺るぞ。

「困りましたなぁ、副提督。ナデシコはネルガルが私的に運用するという事で、軍とは話がついていると思いましたが?」

 あんまり困ってないだろ、あんた。にこやかにいうの止めようよ、銃つきつけられてるんだから(苦笑)。

「血迷ったのか、ムネタケ!

 その程度の兵でなにができるというのだ?」

 爺さんもまだコイツの事がわかってないみたいだな。まぁ、わかりたくない気持ちはわからないでもないけど。どうせキノコのことだから……

「あ〜ら、フクベ提督、いえ、元提督でしたっけ?ご心配なく、今ごろは民間人に化けたあたしの部下たちがこの艦の要所を全て押さえているはずよ。

 ……それに、そろそろ御迎えも来る頃だしねぇ」

「艦長、通信が入ってます。……連合軍所属の『トビウメ』からですね」

 キノコのセリフが言い終わると同時にルリちゃんからの報告。用意周到な奴。

 隣りのアキトさんを見ると、やっぱ苦笑してるし(苦笑)。

「へ?んじゃあ、通信繋いで下さい」

 少しは状況読もうよ、ユリカさん……。

「通信、繋ぎます」

『ユゥリクワァ〜〜〜〜〜〜!!!!』

 ウィンドウに現れたのはカイゼルヒゲをたくわえた、サ○ーちゃんのパパもどきのオッサン……もとい、艦長のお父さんにあたるミスマル提督。特記事項としては、重度の親ばかで、人間の出せる声量の限界に挑戦してる人(笑)。

「あら、お父様?」

 ちなみに、平然と会話できるのは恐らくユリカさんを含む一部の人間だけ、他の人達は問答無用で襲いかかってきた大声に鼓膜をやられてのたうってるみたいだし。

 ちなみに、耳栓を着用済みの俺とアキトさん、それと直前で俺が耳をふさいだルリちゃんは無事(笑) それにしても、この状況でなお笑みを浮かべてるプロスさんって?

『おお、ユリカ、少し見ないうちにますます綺麗になって……』

「嫌ですわ、お父様。昨日お別れしたばかりでしょう?」

『おお、そうだったかな?』

 すでにボケたんだろうか……?うちの爺さんですらボケてないのに。

『こほん――、そんな事よりユリカ、本気で火星にいくつもりなのかね?』

「ミスマル提督、そのことならすでに軍ともお話がついていると思っておりましたが?」

『確かに、だが、アレだけの能力を見せられれば、こちらとしてもいろいろと思うところがあるわけだ。

 ユリカ、今すぐマスターキーを抜いて、戻ってきなさい。けして悪いようにはしないから」

「ダメだぁ、艦長!!奴らの言う事を聞くんじゃねぇ!!奴ら、きっと木星トカゲの手先に操られてるに違いねぇ!!!」

「抜くんじゃない!艦長!!」

 ミスマル提督のセリフに騒ぎ出すガイさんと爺さん。それにしても、トカゲの手先って……一応あんたの上官だろ、あの人。ゲキガンガーの見過ぎかな、まぁ人のことは言えないけど(謎)

『フクベ提督、まだ生き恥をさらすつもりですか?

 ゆりかぁ〜、ワシが言ったことに間違いがあった事があったかぁ?』

 ピンポイントで痛いところを突いた後は親ばか全開ですか……、いろいろな意味でさすがですね。

「ユリカ、提督の言う通りだ!」

「てめぇも奴らの手先かよ!!くそっ、抜くんじゃねぇそっ、艦長!!」

『ユリカ!』

「艦長、抜くんじゃない!」

「さっさと抜きなさいよ、あんた!」

 みんなして怒鳴るの止めようよ、耳栓しててよかった(笑)。

 顎の部分に指を当てて少し迷う艦長。……とんでもなく幼く見えるのは気のせい?

『『「「「艦長(ユリカ)!!」」」』』

「ん〜〜、抜いちゃいましたぁ」

 あっけらかんと……“らしい”といえば“らしい”か。

「ああ〜〜〜、正義はどこにいったんだぁ〜〜〜!!」

 ガイさん、うるさい。

「まぁまぁ、とりあえず、話し合いましょう、お父様。

 プロスさんも、それでよろしいですよね?」

「はい、交渉なら任せていただきましょう!」

 なんか、妙に生き生きして見えるのは気のせいだろうか?

「ところでアキトさん、まだ様子を見るんですか?」

「一応ね、それに、その気になればいつでもなんとかなるし。あんまり早くに実力見せて怪しまれてもしょうがないしね」

 なるほど……、んじゃ、今はおとなしくしてますか。覚えてろよ、キノコ。

 

 

 

 

 場面はうってかわって、ナデシコ食堂。

 クルー全員が意気消沈してるみたいだ。まぁ、しかたないかな?

「なんだなんだぁ、みんな元気がないなぁ〜!

 よぉ〜し、こうなったら、俺がとっておきの元気が出るものを見せてやろぉ!!」

 訂正、一人だけやたら元気な人がいた(笑)。

「元気が出るモノって、“アレ”ですか?」

「ああ、間違いなくゲキガンガーだ」

 アキトさんが苦笑しながら答えてくれる。やっぱりか(苦笑)

「ん〜、個人的にはゲキガンガーよりは聖○士星○とか、ラ○ネ&○0とか、リュー○イトの方が好きなんだけどなぁ……」

「お前、何気に濃いな……」

 呆れられてしまった……。やっぱ濃いかなぁ?(爆)

 とかなんとか言ってるうちにゲキガンガーの上映会が始まったみたいだ。

「くぅ〜、やっぱ燃えるぜぇ!」

「暑苦しいわねぇ……」

「わざわざ武器の名前を叫ぶのは音声入力だからなのか?」

「だぁ〜、それが燃えるってことだよ!!」

「バカばっか」

 一応元気は出たみたいだな(笑)

「んじゃ、そろそろ行動しますか?

 いい加減、座ってるのにも飽きましたし」

「そうだな……、やるか」

 やっと出番だ。その前に、オモイカネに連絡して……っと。

「なにをするつもりですか?」

「ん?ああ、ルリちゃんか。ちょっと悪巧みをね」

「そうですか……」

 向こうではアキトさんがガイさん達を煽ってる。みんなやる気みたいだな、順調順調。

「さて、俺は行くけど、ルリちゃん、ついてくる?」

「そうですね……行く場所にもよります」

「俺が行くのはブリッジにだよ、アキトさんには格納庫の方を任せてあるからね」

 しばし考え込むルリちゃん。表情の変化が乏しいのは、まだ仕方ないか。

「行きます」

「オッケェ、んじゃ、離れないようにね」

 笑顔でそう言って、食堂から出る。さぁ〜て、キノコ狩りに行きますか。

(ちなみに、扉の前にいた兵士はさっきアキト達が蹴り倒して、縛り倒してある)

 

 

 

 

「すごいんですね、ユウヤさんって」

 ブリッジに向かう途中でルリちゃんにそう声をかけられる。

「そうかな?これくらいできる人なら結構知ってるよ」

 ブリッジに向かうまでに出会った兵士の数は約10人。全部一瞬で眠ってもらったけど。そのことを言ってるんだろう、多分。

「たしかに、何か武器でもあれば難しくないと思いますけど、全員素手で倒しちゃったじゃないですか、やっぱりすごいと思いますけど」

「ん〜、そうなのかな?……ありがとう」

「な、なんでですか?」

 一瞬顔が真っ赤になる。結構可愛い……(爆)。でも、なんで赤くなるんだろ?(マテ

「一応褒めてもらったみたいだし、だから、かな?」

「そ、そうですか……」

 さて、そろそろブリッジか……、ルリちゃんもいるし、冷静でいられると思うけど、ま、気楽にキノコ狩りを楽しむかな。

 

 

 

 

「きぃ〜〜〜、一体あんた達はなにやってんのよ!」

 どうやらこっちの動きに感づいてるみたいだけど、対応が遅すぎる。

「しかし、奴らの中にやたらと強い奴が混じってるみたいで、そいつのせいで兵の7割は行動不能に……」

「言い訳はいいのよ!だったらさっさとそいつを片付けちゃいなさいよ!!」

 バカか、あいかわらず。

 中にいるのはキノコを含めて45人か、楽勝だな。

「ルリちゃんはここでちょっと待っててね。さっさと片付けてくるからさ」

 さすがにルリちゃんをつれて中に入る気にはなれないし、ルリちゃんがうなづいたのを確認して、ブリッジに入る。(ちなみに、ブリッジの扉はオモイカネに開けてもらった。)

「そう騒ぐなよ、どうせこんな反乱が成功するわけないんだからさ」

「なっ!?なんであんたがここにっ!!」

 キノコが気付く、だけど、遅いっ!

「ぐあっ!」

「ぐはあっ!」

「うげっ!」

 キノコの周りにいた兵士(ABC)を間合いを詰めて一発づつで昏倒させる。

「このっ!!」

 もう一人が銃を向けてくるけど、銃ってのは構造上まっすぐにしか弾は飛ばない。銃口の向きがわかれば、後はタイミングだけ、それさえわかれば、避けるのは苦じゃない。

 ドンッ!

「遅いよ」

 兵士Dが撃つ瞬間にあわせ、突っ込む。ポイントされてるのは、頭!

 上体を捻りつつ、弾をかわして相手の懐に入る。そのまま顔面(顎)に掌底で一撃。相手が倒れるのを確認せずに、そのままキノコとの間合いを詰める。

「ひぃ! この化け物!!」

 ドン!ドン!ドン!

 3連発。でも、甘い。

 錯乱した相手の撃つ銃なんて、ほとんど当たらない。一瞬でキノコとの間合いを詰め、相手の銃を叩き落す。

「くぅ!」

 そのままキノコの顔面を鷲掴みしてやる。

「チェックメイト……だな。それにしたって、戦艦のブリッジで発砲するか、普通?

 ま、キノコはどこまでいってもキノコってことか?」

 ちなみに、鷲掴みしてるキノコの頭がミシミシいってるのは無視。

「昔言ったよな、俺はあんたが嫌いだって、俺の前に立つなら、容赦しないって」

 真っ白になったキノコが震えているのがわかる。手加減はするべきか、一応?

「ま、いいや、どうせあんたもここまでだし、ひとまず寝てろよ」

 フリーの右手で鳩尾をえぐる。

「ひぐぅ……」

 どうやら悶絶したみたいだな……。とりあえず、キノコをその辺に放り投げて、他のメンバーと一緒に縛り上げる。

「すごいですね。やっぱり」

 入って来たルリちゃんが辺りを見渡して感想を述べる。

「そうでもないってば、それより、艦長が戻ってきたらすぐにでも動けるように、準備だけはしておいて」

「はい」

 さて、俺はコレを運ぶかな。後のことはアキトさん達に任せよ。

 

 

 

 

 ちなみに、この後アキトさんとガイさんが囮役をやっているうちに、戻ってきた艦長の号令のもと、チューリップに突っ込んで、内側からグラビティブラストを撃つという問答無用の荒業をやってのけたナデシコが勝利した。

 しかし、本気でよく沈まなかったもんだ、この艦(苦笑)

 そうそう、一緒にくっついてきたクロッカスとパンジーの両戦艦には、なぜか謎の異常事態が相次ぎ、乗員が全員脱出したところをチューリップに飲み込まれたらしい(笑)。一応めでたしめでたしって事かな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                        あ、アオイさんのこと忘れてた(爆)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

予告ナレーション

 我等がナデシコの前には、日陰に生える毒キノコも○リーちゃんのパパもどきも敵ではなかった!!

 ついに地球から飛び立つナデシコ!しかし、そこには数多の試練が待ちうける!!

 行け!我等がナデシコ!!なんか忘れてるような気もするが、そんな些細な事は気にするな!火星が君達を待っているぞ!!!

 次回「『さよなら』するのは早すぎる!」を、みんなで読もう!!

 

 

 

代理人の感想

 

・・・・・・・いきなりオトしやがった(笑)。

妙に感情が豊かなような気もするけど、戻ってきてるわけでは恐らくないし・・・・

あとは三つ編みと緑髪の動向が気になる所ですな(笑)。

 

あ、ついでに物語の動向も。←ついでかい。