「いたたたた・・・」 
気がつくと、見知らぬ天井が目にはいる。
頭が痛い。

「おや?気付かれましたか」
  

 頭痛の原因を考えていると、いきなり横から声がかかる。

  (なっ・・・!?)
 あまりのことに動揺しながら起き上がり、声のした方を向く。
 一応気配の探りかたをしっている。  それなのに、声をかけられるまで、人がいることに気付かなかった。
 頭痛がするとはいえ、そのことにショックを覚え、また、本能が警戒するよう言ってくる。

 振り向いた先にいたのは、赤いベストに黄色いシャツの派手な格好の、チョビ髭メガネの中年男性だった。


 よかった。気付かれました。
 いきなり艦長が半泣きで通信を入れてきたときは、何事かと思いましたが・・・
 その原因の少女も、幸い軽い脳震盪だったようだったので、艦長がブリッジへ向かわれた後、すぐに気付かれました。
 医者を呼ぶ必要もないでしょう。

「ここは?」

「ここですか?ここは、サセボのドッグです」 

 少女の問いに笑みを浮かべながら答える。 別に嘘をつく必要はない。
(どうしたのでしょうか・・・?警戒されるような覚えはないのですが・・・)
 警戒した眼差しで睨んでくる少女に内心そう思う。
 今まで子供に懐かれたことが多く、初対面にここまで警戒されたことがなかったため、少し傷ついてたりする。
 しかしそんな事より気になることが1つ。
 こちらを睨んでくる少女の、マシーンチャイルド特有の金色の瞳。  現在最年長のマシンチャイルドは、ホシノ・ルリのはず・・・  (これは一体・・・?)

「サセボのドッグ・・・
 ナデシコがある所だったな、たしか」
 

「なっ・・・!?
 どこでそのことを?」
 少女の一言に、それまでの疑問がどこかに飛んでいった。
 当然である。 ナデシコのことは、ネルガルの機密の一つ。
 それをこんな少女が知っていたのである。
 驚いて当然である。

「・・・と、言うことは、あなたはネルガルの人間・・・
 たしか・・・プロスペクターさん・・・でしたよね?」

「失礼事ですが、どこでその事を?」
 彼女はナデシコだけではなく、自分のことも知っている。
 あってはならない事だが、両方とも、クリムゾンあたりの諜報力ならつかめる情報かもしれない。
 しかしこんな少女が知っているような情報ではない。
 今までの経験が、警戒するようにと言ってくる。

「警戒しなくても大丈夫ですよ」

 いつの間にか、表面上は警戒を解き、笑みを浮かべてそういってくる。

「実は友人がナデシコに乗ることになって。
 そのスカウトに、派手な格好の人とごつい人が来たっていってたんですよ」

「なるほど、そうでしたか」
 とりあえず警戒を解く。
 そういえば、守秘契約を結んでもいないので、こういった事が起こる可能性も0ではない。
(とりあえず、これからは気をつけなければなりませんね)

「―――あの・・・
 頼みがあるんですけど・・・」

「はい、何ですか?」
 少女の言葉に、にっこりと笑って対応する。
 警戒する必要はもうないだろう。

「俺をナデシコに雇ってくれませんか?」

「・・・・・・」
 そういった頼みは想像していなかったため、言葉がでてこない。
(親に連絡してほしいと言うのかと思ったのですが・・・)
 

「無理ですか?  実はついさっき働いていたところをクビになってしまって・・・」

  (働いていた・・・?
 そういえば荷物は調理道具でしたね・・・)
「いえ・・・無理ではないのですが・・・
 しかしあなたのような年端のいかない方を雇うわけには・・・
 それに家族の方も心配していることでしょうし」

 そこまで言うと、少女は前触れもなく目を閉じ―――またすぐに目を開いた。
(おや?)  何か違和感を感じる。  その身に纏った雰囲気がガラリと変わり、まるで別人のように思えてしまう。

「マシンチャイルドを雇っていいのか?」
「いえ・・・それは・・・」
 それを言われると何も言い返せない。
「それに、私には親はいないし、年齢的にも問題はない。
 疑うのなら、調べてみるといい」
 そう言って腕をだす。
「では、失礼しまして・・・」
 口調の変化に疑問を感じながらも、DNA鑑定を行なった。

「テンカワ・アキトさん・・・18歳、男!?
 モニターに出てきた情報に思わず大声を出してしまう。
 絶対にそうは見えない。
 このことについて、プロスペクターが驚くのも無理はない。
(正直、ナデシコのことを知っていたことよりも驚きました・・・)






















   「コホン・・・失礼しました」
 しかし流石は、自他共に認める交渉のプロ。
 すぐに落ち着き(表面上だけではあるが・・・)、謝罪する。

「・・・おや?全滅した火星から、どうやって地球に来られたのですか?」
 再びモニターを見て、目の前の少女―――もとい、少年に尋ねる。
 幼いころ、行方不明になっていた事なども書かれていたが、聞くのは得策ではないと考え、一番当たり障りのない―――そして一番
気になることだけを尋ねる。

「記憶にない。
 気が付いたら、地球にいた」

「・・・・・・ふむ」
(やはり・・・)
 考え込むような振りをしながら、自分の予想が正しかったことを確信する。

  「分かりました。採用しましょう。
 役職はコックでよろしいですか?」

「ああ、それでかまわ・・・いや、コックの他にパイロットとオペレーターの仮契約もさせてくれ」

「・・・よろしいですが、どうしてですか?」

  「いや・・・やりたがっている奴らがいるのでな・・・」

「よく分かりませんが・・・別にかまいませんよ。
 では、これが契約書です」


  「ひとつ・・・いいか?」
「はい、なんでしょう?」
「それ・・・どこから出した?」
 どうでもいい事だが、おもわず尋ねてしまう。
 鞄を持っていないにもかかわらず、どこからともなく、目にも留まらぬスピードで書類を取り出したのだ。
 しかも書類には、折れ目ひとつない。
「それはヒミツです。
 ―――で、お給料の方ですが、危険手当、海外赴任手当など各種つけて、このくらいで。
 もちろん税抜き、福利厚生もいろいろついて、ボーナスは春秋冬の年三回で十一ヶ月と・・・いかがでしょう?
 これでよろしければ、契約書をよく読んでからサインしてください」

   プロスペクターさんは、いかにも商人らしい笑みを浮かべて、パチパチと宇宙ソロバンを弾いてみせた。
 そこに表示されたののは、大きすぎる金額。
 何か企みでもあるのだろうが、職なし状態であるので文句などない。
 言われたとおり、しっかり契約書を読み、最後の項目はしっかりと消してサインをした。
 こうして、契約は終了した。

 

































「どうですか?これが、わが社が誇る新造戦艦ナデシコです」
 と、誇らしげにプロスペクターが言った。
 あれから案内されて、今二人はナデシコの前にいる。

「どうですか、初めて見るナデシコは?」

「変な形ですね」
 正直に答える。もっとも、初めてナデシコをみた人間は大抵こう答える。
 普通、宇宙戦艦は大気圏突破を考え、流線型に近い形をしている。
 しかしナデシコは両舷側からカッターのようなものが二つ張り出していて、とても流線型には見えない。

「はっはっは、これは手厳しい」

 いつの間にか、アキトのしゃべり方と雰囲気が最初のものに変わっているが、気にはしていないようだ。
 ・・・説明したいだけかもしれないが・・・

「両舷側から張り出しているのは、ディストーション・フィールド発生ブレードです。
 大気圏を突破するときも、ディストーション・フィールドを発生させることで、摩擦係数を減殺するようになっています」

 その言葉にアキトはピクリ、と眉を動かす。

「ディストーション・フィールド?木星蜥蜴の技術を手に入れることができたのですか?」

 再び雰囲気と口調を変わる。

  「ええ、今のところその技術はネルガルが独占していますが。
 これのおかげで我が社は、軍事面で他企業より一歩抜きん出ることに成功しています。
 この他にグラビティ・ブラスト、そう転移エンジンなどの新技術も導入していますよ」

  「なるほど・・・
 しかしいいんですか?民間会社が戦艦動かしても?」

  「ま、それはその蛇の道はヘビというか、魚心あれば水心とうか。
 ま、早い話がこれですな」

 言って、親指と人指し指で輪を作る。

「なるほど」
 とっても分かりやすく、理解できる説明である。

「しかし、お役所ってのは基本的に言い値ですからなぁ」

 説明は終わったが、まだ言い足りないのか、今度は役所の愚痴をはじめる。
 それをアキトは完全に無視して、ナデシコを眺めていた。



























 最初に案内してくれたのは、ナデシコのデッキだった。
 モーターの駆動音や、金属音が反響する巨大な空間。
 その中をメカニックらしいつなぎを着た人たちが忙しそうに走り回っている。
 そして奥には巨大な人型ロボットが四機、並んでいる。

「え〜と・・・。エステバリスでしたよね。たしか」
「よくご存知で」

 アキトの自信なさげな呟きに、プロスさんは嬉しそうに答えた。

「あれこそが、ネルガル重工が開発した近接戦闘用人型ロボット、エステバリスです。
 フレームの交換により、陸海空はもちろん宇宙でも運行可能。
 超々強化樹脂と複合ルナリウム合金を使用することにより、重量1.85tというトラックより軽い超軽量を実現。
 さらに、ナデシコから発せられる重力波ビームを受けることでエネルギー供給を行うため、ナデシコと共に運用すれば活動時間はほぼ無限。
 この際、セットでお買いになることをオススメしますよ?」

「民間人が買えるわけがないだろう」

「おっと。これは失礼。とりあえず人を見ると営業してまうのが商売人というものでして」

 だからと言って、普通の民間人に戦艦とロボットを売りつけようとするのは・・・
 アキトのプロスペクターへの認識に、新たに”変な人”と刻まれた。

「まあ、まだパイロットが着任しておりませんから、動くエステバリスが見られるのはまだ先になります。
 もっとも、テンカワさんが動かしてみることは可能ですが」

「動いてるぞ」

「ええっ!?」

 大声をあげるプロスペクター。
 アキトの呟きのような指摘どおり、確かにエステは動いていた。
 左端にあるピンク色のエステが、特撮のヒーローみたいな変なポーズをとっている。

 「そ、そんなバカな。パイロット以外は動かせないはずなのに・・・」


『レッツゴー、ゲキ・ガンガァァァ!こぉいっ、木星蜥蜴ども!
 トドメは必殺、ゲキガァン・フレアアアアアアアッ!!』

 エステのコクピットから、やたらに暑苦しく、そしてうるさい声が聞こえてきた。
 あまりの声の大きさに、アキトは耳をふさぎ、プロスペクターは顔をしかめる。

「ヤマダさん!乗っているのはヤマダ・ジロウさんですね!」

『ちっがぁっう!ヤマダ・ジロウは世を忍ぶ仮の名前!
 俺の本当の名前は、魂の名前はダイゴウジ・ガイだ!!」

   プロスペクターの言葉に暑苦しい声が返ってくる。
(魂の名前って・・・なんだ?)

「ヤマ『ダイゴウジ!』さん。あなたの着任予定は一週間後でしょう」

「いやー、ロボットに乗れるって聞いたら、いてもたってもいられなくてさぁ」

 コクピットが開き、アキトと同年代くらいの青年が顔を見せた。
 ―――傍から見たら、とても同年代にはみえないが・・・

「すっげェよなぁ!ロボットだぜ!?手があって足があって!
 くぅーっ!これぞまさにゲキ・ガンガー!」

 頬が紅潮し、鼻息が荒い。

「困りますよ、ヤマ「ダイゴウジ」さん。契約条項は守ってもらわないと」

  「まあまあ。そう固いこと言うなよ。
 ・・・って、あれ?そっちの嬢ちゃんは?」

「ああ、彼は・・・」

「待て待て、みなまで言うな。分かったぞ、その白い肌に無表情な顔。
 君は生まれつき身体が弱く、手術が近付くにつれて人間不信になっている女の子!そうだろう?」

「「・・・・・・」」
 あまりのばかばかしい推論に、何もいえない二人。
 メカニック達はたち、「速く降りろ!」などと叫んでいるが、当然ヤマダは聞いていない。
 ―――人の話はよく聞きましょう。

「そして俺の役目は、人生を諦めている君を励まし、立ち直らせること!
 そして、立ち直った君は手術を受け、みごとに成功!
 く〜っ!燃えるシチュエーションだぜ!」

 ヤマダの拳が、力強く握り締められる。
 と、同時にこの場にいる全員(ヤマダを除く)は、タメ息をついた。

「よぉし!嬢ちゃんには特別に俺のスーパー・ウルトラ・グレート必殺技を見せてやろう!
 だから、サチコちゃん、勇気を出して手術を受けなきゃ駄目だぞ!」

  「私の名前はアキトだ」

   さりげない自己主張(自分の名前だけ)をしてみるが、ヤマダは当然聞いていない。
 さっさとコクピットを閉めて、その必殺技のポーズをキメている。

   『ガァイ、スーパー・ナァッパァァァァァァッ!!』

   かけ声と共に、エステバリスは片足で直立したまま上半身を回転、そのまま右拳をアッパー気味に突き出した。
 もちろん、そんなおとをしたら、バランスを崩して倒れるに決まっている。

  「うわあぁぁっ!」
「ひいいいっ!」
「お助けぇぇぇっ!」

   エステの周りにいたメカニックたちを巻き込んで、エステバリスが倒れこんだ。
 プロスペクターいわく、重量1.85tのトラックより軽い超軽量ボディが、だ。

「・・・アホ」
(付き合ってられん。
 シン、変わってくれ)



































  「何と言うか・・・ずいぶん個性的ですね?」

 いまだ騒動が冷めぬ中。
 倒れたエステからかろうじて助かったプロスペクターに、アキトは呟くように言った。
 この騒ぎの原因は、足の骨を折ったため、医務室に連行されていった。

「仕方ないじゃありませんか。腕も一流、性格も問題なしって人材は、もう何かしらの職業についてますし、何より高い。
 民間企業としては、『性格に多少問題があっても、腕は一流』という方針でクルーを集めるしか、方法がなかったのですよ」
  

「あれが、『多少』ですか?」

「・・・・・・・・・」

「―――まあ俺も、人のことは言えませんけど。
 ところでプロスさん、何か用事があるんですか?
 さっきから、時間を気にしているようですけど」

「いえ、気になさらなくてもいいですよ」

「別にかまいませんよ。用事を済ませてきてください。
 俺は適当に見て回りますから」

「・・・では、お言葉に甘えさしていただきます。
 コミュニケを渡しておきますので、何かあったら連絡してください」

 そう言ってアキトにコミュニケを渡すと、プロスペクターは走っていった。


































「そう言えばさ、艦長ってどんな人なのかしらね?」
 元秘書の操舵士、ハルカ・ミナトが退屈そうにつぶやいた。

「そうですね、私も興味あります。
 格好いい人だったらいいんですけど・・・」

 元声優で通信士のメグミ・レイナードが、その呟きに答える。
 ミナトと同様暇らしく、自分の座席でファッション雑誌を読んでいる。

 その二人に挟まれて、オペレーターのホシノ・ルリは一人、黙々と仕事をこなしていた。

「でも、就任当日から遅刻してくるような人でしょう?
 あまり期待できないかもよ〜」

 メグミの言葉に、ミナトが釘をさすように言い返す。
 

 ちなみにナデシコの出航は明後日の予定。仕事はオペレーターしかないのだが、艦長の着任日であるためブリッジクルー全員が集まっている。
 

 しかし・・・
 

 ―――ずずず〜・・・
 

 艦長がいるはずのブリッジ上層にいるのは、お茶をすすっている提督、フクベ・ジン。キーキーとずっと騒いでいる(当然皆無視している)副提督、ムネタケ・サダアキ、そしていかつい顔をして立っている、戦闘オブザーバーのゴート・ホーリーの三人のみである。
 

 着任予定時刻は本日12時。
 しかし今は午後4時過ぎ―――
 艦長に自覚があるのか、かなり不安である。

「でも、少しぐらい大雑把なほうがワイルドな魅力もあるかも・・・」

   四時間以上の遅刻が、『少し』なのだろうか・・・?

「ねえ、ルリちゃん。どう思う?」

「艦長は、20歳の女性の方です。
 先ほど、プロスペクターさんを呼び出した人がそうです」

 メグミの問いかけに、作業を続けながら答えるルリ。
 同時に二人の前に、艦長の情報を出す。

「がっかりだな〜
 戦艦に乗ったらカッコいい人がいると思ったのに・・・」

「まあまあ、メグミちゃん。
 この船には200人も乗り込むんだから、中には格好いい人もきっといるわよ」

「遅くなってすみません」
 二人がそんなことを話していると、出て行っていたプロスペクターが戻ってきた。

「おや、艦長は?」

   プロスペクターの問いかけに、顔を見合わせるメグミとミナト。

「まだ来られていませんが」

「おかしいですね・・・
 私よりかなり先に向かわれたはずなのに・・・」

 ルリの返答に、疑問に思うプロスペクター。
 騒がないところをみると、もう達観しているのかもしれない。

「今、船尾の方にいるみたいです。
 オモイカネに案内してもらいます」


 

 そんなことを話していると、いきなりサイレンが鳴り響いた。
 続いて、ブリッジにサセボ基地周辺のアップがモニターに映し出される。


「なんなの?これ。避難訓練?」

 ひどく場違いなことを言うメグミ。

「敵襲です」

 ルリが真実を述べる。

「敵襲って・・・敵が攻めてきたってこと?」
「はい」

 ルリがわざと断定口調で言うと、メグミは途端に黙ってしまう。
 元がただの民間人であるメグミには、敵襲というのがショックだったようだ。

「ちょっと、どうなってるのよ、この艦は!!敵襲なのよ!さっさと発進しなさいよっ!!」
  「・・・ムネタケ、少し落ち着け」
 

 叫ぶキノコ(副提督)を、提督がたしなめる。
 そのおかげで、ムネタケが少し落ち着いたと同時にドアが開き―――
 

「お待たせしましたあっ!!私が艦長のミスマル・ユリカでーす!!ぶいっ!!

「「ぶいぃぃ!?」」

「・・・・・・・・・・ばか?」

(これでみんなのハートをゲット!!)

 当然そんなわけがない。
 4時間以上の大遅刻のうえにこの登場。
 皆あきれ果て、この先のことを不安に思っている。

 ちなみに副長も一緒に入ってきたが、ユリカの存在感のせいで誰も気付いていない。


「艦長、これをどう切り抜ける?」

 ユリカがマスタ−キーを差し込むのを確認し、フクベがマップを指差しながら尋ねた。

その後ろでムネタケが非人道的なことを言って、ミナトとメグミから非難されている。

「海底ゲートを抜けて、いったん水中へ。そのあと浮上して、敵を背後から殲滅します」
「・・・なるほど」

 迷うことのないはっきりとした声。
 その作戦に納得したか、フクベはウンウンと頷く。

「しかし・・・敵がいつまでも一箇所で固まっているとは限らないのではないか?」

 今まで黙っていたゴートが、もっともな指摘をした。

「大丈夫です。エステバリスに囮として出てもらいますから」

 すかさず言い返したユリカの言葉に、納得したようにゴートは黙り込む。
 だが・・・

「言いにくいのですが・・・パイロットがいません」

「ええええっ!!」

 言いにくそうに言ったプロスペクターの言葉に、大声をあげるユリカ。

「どうしてですか!?」
「もともとパイロットは宇宙で編入される予定でしたから。
 たまたま居られたヤマダさんはケガをしてしまい、現在治療中です」

 その言葉に、ブリッジがいや〜な雰囲気に染まった。

「囮ならでています」

 ルリの言葉と共にエステバリスとの通信が開かれる。

「所属と名前を言いたまえ」
「テンカワ・アキト、コックです」

「コックゥゥゥッ!!?」
「なぜコックがそこにいる?」
「テンカワさん、なぜそこに!?」
「危ないから降りたほうがいいよ」

 通信に現れた人物―――どう見ても、少女にしか見えない―――に、それぞれが一斉に声をかける。
 当然、コクピットの中はウィンドウがいくつも開き、わけが分からない状態になっている。

「困りましたね・・・コックには危険手当は・・・」
「大丈夫ですよ。
 それに、仮契約はしてるんですし」



   その通信の中、大事なことだけ話しているが、騒ぎとなったブリッジのメンバーはパニック状態になっている。
 しかし―――



 ビクッ!!



 突然それぞれに寒気が走り、パニックは収まった。



   ルリ以外誰も気付いていなかったが、アキトの口元に、禍々しい笑みが浮かんでいた・・・




































    あとがき

 え〜、はじめまして。俊の友人、雅といいます。
 俊のヤツ、自分の文才のなさを痛感した、とかいって部屋の隅で「の」の字を書いて黄昏ているので、代わりにあとがきを書いています。

 ・・・この金槌なら、気にしないでださい。
 なんでもありませんから(笑)

 さて、短いながらやっと第一話を書き終えた俊ですが、あいつ、書くスピードが絶望的に遅いので、次はいつになるか分かりません。

 そのわりに、「ネタはあるー」とか言ってるので、いきなり違う作品を書く可能性が大いにあります。

 ちなみに、この作品でのアキトの容姿ですが、思いっきり俊の趣味です。
 アキトのヒミツ(ばればれだけど)は多分次回に分かります(書いたらだけど)

 まあ、そんないいかげんなヤツですが、見捨てないでやって下さい(ペコッ)

 

 

 

代理人の感想

・・・・・・結局コケる運命にあるのか、ヤツは(笑)。

しかし、遺伝子的にはともかく肉体的には男なのか女なのか、ちょいと興味があったり。