For desired tomorrow
  序章「新たなる始まり・・・」


 
 それで・・・・・いいのですね?

 はい。

 貴方の思い人が来るとは限らないのですよ?

 信じてますから。

 ・・・・・信じているか。良い言葉だね。では、約束の時へ、送ろう。

 ・・・ありがとうございます。


 テンカワ アキトは光を感じた。
 覚醒されていく意識・・・・懐かしい声!?
 「ルリちゃん!?」
 起き上がると・・・・其処は・・
 「此処は・・・何処だ?」
 まるで宇宙空間を平面地図にしたような風景が広がる。
 遠い場所で何かが光り、左や右、上や下などに飛んでいく。
 「目覚めましたね。はじめまして、旅人よ」
 何時の間にか目の前に少年が立っている。歳は・・・16ぐらいだろうか。
 「此処は何処だ?」
 突然、現れた少年に警戒しながら、質問する。
 考えてみると、失礼に値する行為である。
 「私は此処を『時と次元の狭間』と呼んでいるよ。
  ところで、これは何か解る?」
 そう言って、手に持っている黒い物をアキトに見せる。
 「!それは俺のバイザー!?」
 自分の眼に手をあてる。予想通り、バイザーは無い。
 「馬鹿な・・・視覚が戻っている!?」
 「思っていたより騒がしい人ですね。熱血系ですか?」
 少年の反応は冷たい。
 「まあ、とにかくその事は置いといて、貴方は何を望む?」
 少年が自分の目の前の空間を両手で持って、横に動かす手振りをする。
 「望む?望む物など無い。それに・・・望めたとしても「俺にはそんな資格は無い、ですか?」
 アキトの言葉を先に取る。
 「一応、貴方の事は調べてあります。・・・・憎しみの波動が他の次元にまで響いていました」
 少年は微笑む、そして虚空を見つめる。
 「どうやら、貴方の連れも覚醒したようですね」
 その言葉が合図のように突然、何も居なかった空間に桃色の髪の少女が現れる。
 「ラピス!」
 「アキト!」
 ラピスと呼ばれた少女がアキトに駆け寄る。
 「さて、私から貴方達にいくつか示す事が出来る道が有ります。聞いて下さいね?」
 一端、言葉を切り、アキトとラピスを見る。
 アキトは最初よりかは警戒が僅かに薄れているが、ラピスはまったく信じていない様である。
 アキトの背中に隠れて、少年を恐々と見ている。
 「とりあえず、テンカワ アキトさん。
  会話の邪魔にしかならないと思うので、勝手に五感を治しました」
 爆弾投下。
 「そうか」
 「・・・驚かないんですね」
 「此処に来て、視覚が直っていたからな。予想はついて・・・・どうした、ラピス?」
 自分の服の裾を引っ張るラピスに気付いて、顔を下に向ける。
 「アキ「ラピス、俺は五感が戻ったからと言って、1人にしないからな」
 先に用意していた台詞を喋る。正解だったらしく、ラピスから不安が薄れていく。
 「話を続けて良いですか?」
 「ああ、続けてくれ」
 「先ほど言ったように此処は『時と次元の狭間』
  そして私は時や次元を跳躍する力を持っています。
  此処で会ったのも何かの縁ですので、過去に戻りたいとかの希望が有れば聞きますよ」
 「過去に戻れると言うのか?」
 アキトの言葉に期待が僅かだが存在し始める。
 「はい。または戦争など無い異次元や平行世界に2人を送っても構いませんよ」
 「・・・少し時間をくれないか?ラピスと相談したい」
 「分りました。私は此処で調べ物をしていますので、相談が済めば呼んで下さい」
 そう言うと、少年は宙に浮いている珠に手をかざし始める。
 珠が薄く光を発し、少年の手は光を吸い込んでいく。
 「アキト、ここどこ?」
 「此処は『時と次元の狭間』という所らしい。
  おそらく、ランダムジャンプの影響で来てしまったようだ」
 「ルリがアンカーをうちこんだせいだね」
 「そうだ。それで、ラピス、俺は過去に戻ろうと思う」
 「・・・ナデシコにのるの?」
 「ああ、こんな未来があってはいけないんだ。ラピス、手伝ってくれるか?」
 「分った。アキトについていく」
 「ありがとう。相談は済んだぞ」
 少年に呼びかける。少年はまだ、珠に手をかざしている。
 「おや、思っていたより早かったですね」
 「悪いが俺達を過去に、ナデシコに乗る時に送って欲しい」
 「・・・・・・自分で言っておいてなのですが、どうして戻りたいと?」
 少年から優しさが拭われていく。
 「俺はこの未来を変えたい。俺は罪も無い多くの人を殺してしまった。
  だから「今の俺なら、ダイゴウジ ガイや白鳥 九十九を助けられるかもしれない?」
 再度、少年がアキトの台詞を取る。
 「自己満足ですね。ただ、貴方は自分がした行いを認めたくない。それだけです」
 少年の辛辣な言葉がラピスの敵意を爆発的に高めていく。
 「・・・・・・確かにそうだ。俺は後悔している。
  だが、選択肢の中に助けられる物が有るならそれを選ぶ!
  たとえ、自己満足と罵られても!」
 「・・・・貴方が過去に戻り、助けても、貴方の居た世界では死んでいますよ」
 相変わらず少年は冷たい。
 「それでも助かっている未来が1つぐらい有ってもいいだろう!?」
 「なるほど。貴方は全ての人々が幸せに暮らす未来を作りたいと?」
 「そうだ。自己満足だろうが俺はそれを選ぶ」
 少年が溜め息をつく、そして、険しさが消える。
 「貴方はそれが出来ると思っているのですか?
  少なくとも、サツキミドリ、ユートピアコロニー・・・・・そして、木連。
  ・・・・・餞別は3つぐらいか」
 「餞別だと?」
 「そう。和平を考えているのかもしれないけど、その道はかなりの難易度です」
 「分っている。だが、やらなくてはいけないんだ」
 「・・・・ラピスさん、貴方の意見は?」
 ラピスに話を振る。ラピスは話を振られて、驚いている。裾を掴む手に力がこもる。
 「私はアキトについていく」
 「そうですか。・・・・ところで、テンカワさん。
  貴方は過去に飛ばすのはその肉体ごと又は魂だけ。どちらですか?」
 「過去の俺の事か・・・・同じ時代に俺が2人居ては厄介だな。魂だけで頼む」
 アキトの言葉を聞いて、少年の顔が一瞬曇るが、すぐに治まる。
 「分りました。さて、餞別ですが・・・・
  テンカワさん、貴方にはその戦闘服を私なりに改造した物を。
  ラピスさんには・・・・何か欲しい物や知識や技術は有りますか?」 
 どうやら、ラピスに関しては何をあげれば良いか思い付かなかったらしい。
 「・・・・」
 ラピスも自分が欲しい物が分らないのだろうか。沈黙を保っている。
 「どの程度の物までなら与えられる事が出来る?」
 沈黙を破る為にアキトが話を進める。
 「そうですね。反射神経を上げたり、皮膚を頑丈にしたり出来ますよ。
  あとは・・・超能力じみた事や・・リストにしましたから見ますか?」
 少年が右手を上げると、アキトとラピスの前にリストが現れる。
 「・・・・・・・・・・・なんだ、これは?」
 リストにはまず、特殊戦闘服一式の所にマークがされており・・・・
 資産、頑丈、容姿向上、美声、柔軟、第六感、幸運、
 カリスマ、反射神経、鋭敏感覚、共感、第六感、特殊装備などなど。
 反射神経と頑丈には横にLv1・2と付いている。
 ・・・・まともな単語が羅列されているが、下の方に行くほど・・・
 跳躍力強化、ミトコンドリア制御、飛行可能、第三の眼、爪Lv1〜3、髪の毛の鞭化、性別変化。
 ぶっそうな物から用途不明な物まである。尚、上の書いた物は一部である。
 「どれでも好きな物をどうぞ。流石にエステバリスは無理ですが」
 「ああ、分っている。あの時の俺がブラックサレナを持っている訳が無いからな」
 そう言いながらも、リストを見て、悩んでいる。
 ラピスは・・・・一つの項目にマークを入れたが・・・あとは迷っている。
 ・・・・・迷う事数時間。
 「これは・・?」とか「それは・・・」質疑応答。
 「これはどうですか?」「いや、それなら・・」
 ・・・少年が勧めたりと、何故か少年まで加わり盛り上がっている。
 「充分な資金があれば、ブラックサレナはともかく、強いエステバリスは作れますよ?」
 ・・・・・・助言までし始めた。やけに楽しそうである。

 「そうだな・・・・・これとこれでいいか」
 「これでいい」
 悩んだ末に更に2つの項目にマークを入れる。
 「はい。分りました。
  能力的な物なら貴方達が過去に戻ってすぐに。品物は時期を見て、ナデシコに送っておきます」
 書類を受け取り、少年は微笑む。
 同時にアキトとラピスの身体が光に包まれる。
 「安心して下さい。餞別の能力的の物が身体に身についた証の光です」
 言うのが遅かった様である。
 アキトは動揺しなかったが、ラピスは怖がって服の裾どころかアキトの足にしがみついている。
 「それでは、過去に送ります。残念ながら貴方達の要求通りに行なうので似た過去にですが」
 少年が右手をかざす。
 アキトとラピスを中心にして光が円を形作る。
 「そう言えば、お前の名前は?」
 アキトがここまでしてくれる支援者の名前に興味を覚えた。 
 「シン・シャーエント。探求を好む者です」
 その言葉を最後に、アキトとラピスは光になり、下の方向に高速で降りていった。
 「・・・・さて、どういう立ち回りをするのかな?」
 楽しそうにシンが呟く。
 シンの遥か下では光が強く輝きを発し、その場所に有った珠に吸い込まれていった。
 辺りを見回す、アキトやラピスは気付かなかったようだが、辺り一面に珠が浮いている。
 「・・・・・フゥ。
  私も少しは演技が上手くなったかな?
  ・・・・やっぱり、人の事言えないか。
  ・・自己満足、私は何をしたいんだろう?」
 自嘲的な笑みを浮かべ、手に持った書類を見る。
 そこには『ホシノ ルリ』『テンカワ アキト』『ラピスラズリ』と書かれていた。
 
                                  序章 終
 
 後書き
 作者シュウ:はい。はじめまして、作者です。
 シン:ゲスト兼審査員のシンです。
 シュウ:ほとんど勢いで書いてしまった作品。評価は?
 シン:5点。手を抜き過ぎです。
 シュウ:ジャンプ前の描写は他の所でやっているからね。書いても面白くないでしょ?
 シン:・・・・・だからって、ここまで手を抜きますか?
 シュウ:受験勉強の合間に書いているからね。妥協して。
 シン:偉そうに言わないでくれませんか?

 

 

 

代理人の感想

 

アキトってCP総計幾つ(謎爆)?

それはともかく一体全体何を選択したんだか(笑)。

 

それはさておきシンさんとやらも何を考えてアキト達を助けるんでしょうね〜(笑)。

案外■リコン(爆)!?