For desired tomorrow
第4話「騒動」

 《・・嫌だよ・・・一人にしないで》
 自分の頭に呼びかけてくる声、この話し方でこんな喋り方をする者は一人しかいない。
 《・・ラピス?どうした?》
 《アキト・・。死なないで、私を一人にしないで・・》
 《?・・・どうしたんだ、ラピス?》
 疑問符を浮かべる。
 何処から『死ぬ』と言う単語が出てくるんだろうか?
 《・・・・さっきから、話しかけても、アキトの反応がなかった・・》
 《・・ああ、そうか。すまない、気絶していたんだ》
 《気絶?何をしたの、アキト?》
 《少し集中力がいる作業をしていた。・・・そろそろ誰か来そうだから、切るぞ?》
 《うん、分かった。またね》
 ドアの方に視線を向ける、3秒ほど経ってドアが開く。
 「アキトさん、リリィさん、大丈夫ですか?」
 「・・・大丈夫な方かな?」
 ベッドから上半身を起こして、答える。
 隣のベッドにはリリィが眠っている。
 「あれ?ガイは?・・まさか・・」
 「安心してください、ヤマダさんは自室で療養しています」
 アキトの暗い考えを慌てて消し去る。
 「自室で?なんで?」
 「リリィさんがいますから。
  流石に男性と女性を同じ部屋にと言うのは問題がありますから」
 「・・それじゃ、俺は?」
 「アキトさん、リリィさん、2人とも疲労が激し過ぎたからです。
  ・・それより、ブリッジの方はどうするんですか?」
 「・・・・やっぱり、話になっている?」
 「ええ、勿論。私は力になれませんよ」
 「それなら、わたしに任せてくれないでしょうか?」
 リリィが覚醒して、話に口を挟む。
 「わたしや私の機体の事も聞かれるでしょうから、わたしに一任してくれませんか?」
 「アキトさん、何か言い訳考えていますか?」
 「・・・リリィに任せるよ」
 

 ブリッジ、艦長達が待っている。
 「アキト、もう大丈夫なの?」
 「ああ、心配かけたな。それより、ジュンは?」
 辺りを見回す。・・・ジュンの姿は見当たらない。
 「ああ、忘れていました。
  ゴートさん、部屋から副艦長を出して来て下さい」
 プロスが両手を叩いて、ゴートに指図する。
 「ジュンがどうかしたんですか?」 
 「はい。
  副艦長はナデシコの邪魔をした事やムネタケ副提督が脱走してしまって・・
  その罰や反省を自ら申し出て、今まで部屋にと・・・いえ、謹慎なさってもらっていたんです」
 アキトの問いにプロスが説明する。
 ある程度して、ゴートがジュンを連れてブリッジに戻ってくる。
 「気が付いたのか、テンカワ。 
  君には悪い事をした。すまなかった」
 アキトを認識して、頭を下げる。
 「ジュン・・分かってくれるなら良い。水に流そう」
 これで終われば、良い展開なのだが・・・
 「・・・何が悪いことか、正しく認識しているのですか?」
 リリィが突っ込む。
 「それは・・・ナデシコの邪魔をしたり、過小評価したりした・・事だが・・」
 ジュンの答えにリリィはアキトを見る。
 《怒るなよ》
 《・・・・・・畏まりました》
 「御主人様については理解を深めたようですね」
 「そう言えば、君にもまだ謝っていなかったね」
 再度、ジュンは頭を下げる。
 「・・・御主人様の事もありますので、もう良いです。
  しかし、何故わたしに謝るか火星から帰るまでに説明してもらいます」
 リリィの視線がジュンを射抜く。・・・まだ、信用していないようだ。
 「さて、テンカワさんとリリィさんの戦闘記録を見ていたのですが」
 「正直に言おう、軍のエースパイロット以上の腕前だ。
  2人だから負担が半分になるわけではないからな」
 ・・この2人、練習しているのか良い連携である。
 「やっぱり私の為なんでしょ!?アキトは私の王子様だもんね」
 何処からその結論が出てくるのやら。
 「艦長は黙っていてください」
 「・・・はい」
 艦長の方が偉いはずである。非は艦長にあると言っても、軍なら上官反逆だろうか?
 「それで、おかしい事に気づきまして。
  テンカワさん、リリィさん、共に軍に所属していた過去が無い。
  それほどの腕前を持っているなら、軍やこちらがスカウトすると思うのですが」
 「ミスターの言うとおりだな。
  2人がその気になれば、ナデシコどころかコロニーすら落とせるだろうな」
 プロスにゴート、裏の人間2人がアキトに精神的に詰め寄る。
 「それはわたしがご説明いたします」
 リリィがアキトの前に出る。
 「プロス様は御主人様の御両親が何をなされていたか、ご存知でしょうか?」
 リリィがプロスの眼を見る。少し怒っている気がするのは気のせいだろうか?
 「ええ、何かの研究をしていたと言う事ぐらいは」
 「御主人様の御両親がテロでお亡くなりになられた後、御主人様は復讐を誓われました。
  そして、力をお求めになられました。わたしの上司はその時、休暇で見聞の旅に出ていました」
 「上司?」
 聞きなれない言葉、リリィの上司はアキトではなかったのだろうか?
 「はい。わたしの上司は御主人様を見つけて、話をしました。
  何の為に動くのか?と。御主人様はこう答えました。大切な人を失わない為に、と。
  だから、わたしがアキト様を御主人様と認識し、わたしの上司も支援しようと思いになったのです」
 そう言って、アキトに微笑む。
 「その様な過去があったのですか。それで、その上司とは?組織のようですが」
 納得していないのでプロスが突っ込む。
 「プロス様、裏の組織についてはお答え出来ません。
  ですが、ヒントを。『白い魔術師』あのお方も組織の一員です」
 「なんですと!?『白い魔術師』が・・・それなら、納得できます」
 プロスが驚く。軍人でも諜報部員でもないプロスが驚いたので、全員の視線が集まる。
 「『白い魔術師』?ジュン君、知っている?」
 こういう所を箱入り娘を言うべきか、ジュンに振るユリカ。
 「ユリカ、知らないの?『白い魔術師』と言えば、ニュースにも出るくらいだよ」
 「『白い魔術師』
  大小含めて多くの犯罪者や犯罪組織を警察に突き出すある意味では英雄です。
  ですが、企業や軍にとっては隠しておきたい事を公表しようとする犯罪者です」
 「警備員達の証言から白いコートを着た女。そして目的を果たすと、文字通り消えると言う所から魔術が付いた」
 ジュン、プロス、ゴートが『白い魔術師』について説明する。
 「・・・そうなんだ」
 「流石に教え込まれたのは護身技術と機動兵器の扱いだけですが」
 「それでは、テンカワさんもエースパイロットして働けると
  ・・・そう言えば、最初に聞いたのはこの事でしたか」
 プロスが嬉しそうに正規パイロットの契約書を取り出す。
 「・・・コック兼パイロットなら」
 「・・・・・負担が多いのは解っていらしゃるようですね。
  お給料は・・・・これでどうですか?」
 コック兼パイロットなど、前代未聞なのか何時もより交渉に時間をかける。
 「それで、復讐の方はどうなったの?そういう顔には見えないけど」
 傍聴していたミナトがアキトに質問する。
 「・・・それはもう良いんです。復讐して、俺の両親や皆が戻って来る訳でもないですから」
 「ふ〜ん、アキト君って思っていたより大人なんだ」
 プロスはまだ、リリィと話している。
 「ところで、リリィさん。
  もしかして、ビックバリアを停止させたのも、その組織ですか?」
 「申し訳ございません、その事は分かりません」
 結果・・・・プロスやゴートがアキトに向けていた眼はリリィに移った。
 自分の主を守る為に正体不明である自分の過去を餌にした訳である。
 
   
 「さて、アキトさんに頼まれていたウィルスも完成しました。
  サツキミドリまであと少しです。頑張りましょうか」
 ルリはそう言って、後ろに居る少女に呼びかける。
 「そうですね、ルリ。
  早くウィルスを使わないと、間に合いません」
 少女も自分の作業をしながら、ルリに答える。
 「・・・・・・そんな!?」
 「!どうしました、ルリ!?」
 「妨害電波?・・・この感じは・・」
 「・・・・・強烈な重圧感、まさか・・」
 「・・ただの妨害電波じゃない・・」
 「一番、恐れていた事が・・現実に・・」
 「とにかく、アキトさんとリリィさんに連絡を!」
 「分かりました。・・・いえ、会いに行きましょう」
 2人は顔を見合わせると、うなずき合い、同時に部屋を出て行った。
 
 「これは・・・・?・・まさか、ラピス様!?」
 リリィはアキトの部屋に行こうとする時に違和感を感じる。
 遠くに強力な力が感じ取れるが、こちらには敵意は無いようだから無視。
 問題は微弱だが、こちらに近付きつつある反応。
 自分の主の養女に似た・・いや、完全にその養女の反応である。
 「ラピス様・・・お1人であれを・・・」
 急ぎ足でアキトの部屋の前に向かい、ドアをノックする。
 「御主人様!リリィです。
  深夜遅く申し訳ございません。ドアをお開けください」
 《御主人様!ラピス様の事でお話したい事が!》
 口と同時に精神感応で用件を流し込む。
 「・・・ラピスがどうかしたのか?」
 ドアが開き、アキトが出てくる。
 いきなり、精神感応で大声を出された為か、頭を抑えている。
 リリィはアキトが出てくると、手を取り、急いで洗面所の鏡の前に走る。
 「リリィ、ラピスの事で話があったんじゃないのか?」
 「御主人様も鏡に触れてください。ラピス様の為です」
 ラピスの事を持ち出されて、納得していないが、とりあえず鏡に触る。
 ・・・鏡に波紋が生まれ始める。
 幾つもの波紋が鏡を満たし、出てきた。11歳のラピスが
 「ラ、ラピス!?」
 「アキト!」
 ラピスは床に着地すると、アキトに抱き付こうとするが、
 「ラピス様」
 リリィに妨害される。リリィは膝を折り、ラピスの視線にあわせている。
 「はじめまして、ラピス様。
  御主人様・・・テンカワアキト様の補佐役、リリィ・フリチラリアと申します」
 リリィは微笑むが、ラピスは不機嫌そうである。よく見ると、リリィも少し怒っているみたいだ。
 「ラピス、どうやってナデシコに乗ったんだ?」
 アキトが疑問に思ったことを聞く。研究所にいる筈のラピスがナデシコに乗っている訳が無い。
 「『門』を使ったの。だから、いつでもアキトに会える」
 『『アキトさん、大変です。開けてください!』』
 ラピスの返事と外からのルリの声・・・2人いるようだが。
 「ラピス、ちょっと待ってくれ。ルリちゃんが来たみたいだ」
 ドアの前に行き、ドアを開ける。
 「「アキトさん、大変です!」」
 「!!」
 アキトは固まった。別に声の大きさに驚いてはいない。先ほどの精神感応の方が響く。
 ・・・・眼の前に美少女が2人。
 1人はルリ、もう1人は誰だろう?何故か、ルリにそっくりである。
 「・・・・・・ルリちゃん?」
 「どうしたんですか、アキトさん?」
 右にいるルリが答え、左にいるルリに視線を向けて、気づく。
 「ああ、彼女の事ですか。彼女は私の友人です」
 「ヒスイです。・・・・ラピス?」
 ルリの紹介で、お辞儀をするヒスイ。
 「何?・・・ルリが2人?」
 ラピスもルリが2人いる事に気づき、驚いている。
 「なんで、ラピスが此処に居るんですか!?」
 ルリもラピスが居る事に驚く。
 「どうかされましたか?・・・ヒスイですか。
  ヒスイも手伝ってください。ラピス様がここまで『門』を使って来たのですが」
 1人だけ冷静に対処しているリリィ。
 「・・『門』を?かなりの強運ですね」
 リリィの言葉に反応して、ヒスイと呼ばれた少女が顔をしかめる。
 「・・・悪いけど、説明してくれないか?」
 何も知らないのはアキトだけ。
 「畏まりました。『門』から御説明致します」
 リリィがルリ達に視線を投げかけてから、一礼する。
 「『門』とは一種のワープ技術です。簡単に言えば、ボゾンジャンプと同じとお考えください。
  ただ、違う点もあります。『門』を使えば、行った事の無い場所でも行けるますが、時間の移動はできません。
  また『門』の使用中は空間の狭間に居るのですが、不慣れな者は迷子になる事もあります」
 最後の部分でラピスを見る。
 「迷子?」
 「はい。ラピス様が使われているのは『鏡の門』です。
  『門』としては中級の存在ですが、それでも高等な物です。
  迷子になって、軍やクリムゾンの施設に入ってしまう可能性もあります」
 早く言えば、鏡があるなら、何処からでも逃げれるし、何処でも行ける。
 上手く使えば、木星や火星に行くと言う事もできるだろう。
 ・・・・無事に帰ってこれると言うのは別の問題だが。
 「そんな、危険な技術を・・・」
 単にラピスに会うことが出来て、喜んでいただけのアキトはラピスを見る。
 「・・・アキトさん、ラピスを怒らないでください。
  ラピスは少しでも早くアキトさんに会いたいから、『門』を選んだんです」
 ヒスイが弁護する。
 「・・・・そうか。それで、ルリちゃん達は?」
 アキトは納得したのか、ラピスの頭を撫でてやりながら、顔をルリに向ける。
 「!そうでした、大変なんです!ウィルスが妨害されるんです」
 「・・・どういう事だ?」
 「妨害されたのでしょう。恐らく、一番恐れていた事が」
 リリィが結論と原因を切り出す。
 ルリとヒスイも同じ考えなのか、頷いている。
 「クソッ!・・・・今度こそは救えると思ったのに・・・・!」
 ドンッ!
 壁を力任せに殴る。
 「アキト!」
 「「アキトさん!」」
 行き場の無い怒り、悲しみが体内を駆け巡る。
 「御主人様、気はすみましたか?」
 リリィの声が涼しく響き渡る。
 この声は本気で怒っている時、ジュンの相手をした時の声だ。
 「過ぎ去りし事を悔やむのはいい加減にしてください。
  サツキミドリが駄目なら、火星の人達を全力で守ろうとしてください」
 アキトはまだ納得していない。ただ、悔やむだけ。
 「御主人様、命を軽視しろとは言いません。
  ですが、この程度で絶望を感じないでください。
  ・・・・・お願いですから、わたしを・・失望させないでください」
 説教している筈なのに、何故か最後はアキトの手を取って上目遣いになっている。
 「・・・・分かった。
  今回の事は・・・仕方が・・無い・・事・・・なんだよな?」
 震える声で他の者に問い、自分に言い聞かせる事しか出来なかった。
 

 ・・・サツキミドリ周辺。
 「こちら機動戦艦ナデシコ。サツキミドリ、入港許可お願いします」
 「こちら、サツキミドリ。入港を許可する。いや〜、いい声しているね〜」
 メグミと相手との楽しい会話。
 「それにしても、なんでアキトは入港直前までディストーション・フィールドを張っておくべきだと言ったんだろ?」
 「そうですね。不経済的です」
 これはユリカとプロスの会話。
 「出航の時のように襲撃をされれば、ナデシコを落とされるからじゃないですか?」
 ルリが少し苦しいが弁護する。
 「確かに今のナデシコには0Gフレームは積んでいませんが、まさか敵がそこを狙うとは」
 プロスがそれを否定する。
 話を見て分かるだろうが、フィールドは張っていない。
 そして・・・・・・・・・・・・








 何事も無く、
 サツキミドリに入港するナデシコ。

 「え?」
 【爆発はどうした?何故、無事なんだ?】
 「・・・・もしや」
 アキトの部屋を綺麗に掃除しようとしているリリィが声をあげる。
 「どうかしたのか?」
 「はい。先ほど・・・ラピス様が『鏡の門』で来られた時、
  サツキミドリ2号周辺の宙域に強大な波動が・・・おそらく、それが関係しているものだと思われます」
 「強大な波動?
  ルリちゃん達も似たような事を言っていたけど・・・・味方なのか?」
 「・・・残念ながらその可能性は低いです。ルリ様やヒスイの予想通りなら敵になります」
 「そうか。リリィやルリちゃん達がそこまで危険視する敵か・・・。今の俺で勝てるか?」
 「条件付なら10割の確率でナデシコ及びエステバリス隊は壊滅します」
 ・・・とてつもなく物騒な答えが返ってくる。
 「条件?」
 「『敵』が本気で襲い掛かればの話です。『敵』は直ぐには本気で戦うことは無いでしょう。
  戦いを楽しみ、強い敵と戦うのがちょうど良い暇つぶし、だと聞いております」
 「・・・暇つぶし?」
 アキトの声に嫌悪が混じる。
 
 ピッ!

 『アキトさん、サツキミドリ2号の方に出てきてください。
  0Gフレームとパイロットの対面をするそうです』
 「ああ、分かったよ」
 『早く来てくださいね。皆さん、既に移っています』
 ルリの乱入で話は中止。
 「そうだ。リリィ、御主人様というのは止めてくれないか?」
 「な、何故ですか!?わたしに何か至らぬ点でも?
  御不満があれば何なりと、改善致しますゆえどうかご容赦を」
 顔色を変えて、慌てふためくリリィ。
 たかが『御主人様』程度でここまで慌てるとは思わなかっただけ、アキトは退いてしまう。
 「プロスさんからも言われただろう?
  ナデシコは共同生活の場でもあるから」
 「御主人様、お許しください!御慈悲を!」
 話などまったく聞いていない。
 頭を腰から90度に曲げて謝るどころか、既に土下座して頭を床につけている。
 「・・・頭を上げて。俺が悪かったから」
 罪悪感を感じて折れる。
 「・・・・・・・御主人様の寛大な御心に感謝いたします」
 頭を上げて、もう一度深く頭を下げて礼をする。
 「・・・・それじゃ、行こうか?」
 アキトは何故か疲労感に包まれて、部屋を出た。
 
 
 「おせぇぞ、アキト。もう、終わっちまったぜ」
 ガイが最初にアキトとリリィに気づく。
 「おやおや、テンカワさん、フリチラリアさん。
  遅刻とはいただけませんね」
 「すみません、以後気をつけます」
 とりあえず、一番最初に遅刻について謝る。
 「へぇ〜、この人が問題のパイロット?」
 赤い制服を着た女性が声をかけられる。
 「え?」
 「私はアマノ・ヒカル。それでこっちは」「スバル・リョーコだ」
 ヒカルの言葉を遮って、リョーコと名乗った女性がアキトを見る。
 「ふ〜ん、想像していたより弱そうだな」
 《リリィ、落ち着けよ》
 《心得ております。御主人様にご迷惑をおかけする気はありません》
 真っ先に精神感応で会話する。
 「こんにちは〜。新人パイロットのマキ・イズミです。フフフフ」
 行き成りアキトの背後から挨拶。
 「フフフフ、ハハハーー!」
 そして、行き成り笑い出す。
 「気にするな。たまにあるんだ」
 リョーコが頭を抑える。
 他の者もイズミから明らかに距離を取っている。
 「・・・それじゃ、0Gフレームの搬送にとりかかって良いか?」
 ウリバタケが気を取り直して、ユリカやプロスに聞く。
 「はい。お願いします」
 「丁寧にお願いね〜」
 「おう。任せとけ」
 「これが・・・新しい俺の機体」
 「ああ、分かった分かった。塗装は後な」
 「あ?動かせって?」
 色々な会話が飛び交う。
 《!御主人様!》 
 《分かっている!》
 精神感応での会話と同時に体が動かす。
 他の0Gフレームの前を歩き、自分のエステに向かっているリョーコの襟を掴んで引っ張る。
 「!」
 同時に目の前のエステバリスが起動して、拳が振り下ろされる。
 「な、ヤマダの奴か!?」
 声に反応してか、ウリバタケを踏み潰そうとするエステバリス。
 「ウリバタケさん!」
 ウリバタケが居る場所に踏み下ろす。
 「ヤマダさん、なんて事を!」
 「俺じゃねぇ!」 
 「え?じゃあ、あれは?」
 「敵だ!」
 アキトの叫びに一応、意識を立て直すクルー。
 だが、サツキミドリの職員もいるのだが、彼らは逆にバニックに陥る。
 敵と戦う事を少しでも理解している者とまったく理解していない者の違いというべきだろう。
 「エステバリス背面にステルス能力を持ったバッタがいます」
 「ウリバタケさん!」
 声がした方向を見ると、リリィがウリバタケを抱えている。
 「デビルエステバリスだ!」
 「・・最悪だな」
 「わたしが囮になります。その間に避難とエステに」
 アキトの呟きにリリィが答え、
 「艦長、避難お願いします!」
 叫びながら、デビルエステバリスに向かって走る。
 「リリィさん!」
 ルリの声が響き渡り、そして・・・影が動く。
 
                                          第4話 終

 後書き
 作者シュウ:やっと書き終わった。今回は思い付きが多かったな・・。
 翡翠:今回の評価は0点です。
 シュウ:・・・・キツイね。まあ、今回は悪いと思うけど。
 翡翠:はじめまして、オリジナルキャラ3。ホシノ ヒスイです。
 シュウ:ちなみにどうでもいいだろうけど。能力はこ〜んな感じ。
     格闘戦 ヒスイ=リリィ>アキト、機動戦 アキト=リリィ>ヒスイ 電子関係 ルリ>ヒスイ>リリィ
 翡翠:私はルリの護衛ですから。
    ついでにヒスイちゃんキックという必殺技は持っていません。これだけで分かれと言うのは無理だと思いますが。
 シュウ:必殺技ならインフェルノと言いたいけど・・・他の技名考えないとな・・。
 翡翠:読んでくれてありがとうございました。