“ヘムロック”。

 アカツキが持たせたブラスターの名前だ。

 非常に密度の高いCCを使用している為、

 これはA級ジャンパーにしか使えないブラスターである。

 A級ジャンパー以外の人間が使用した場合、CCは上手く反応してくれなかった。

 従来通り、弾丸を撃ち出すブラスターではなく、CCから発生するエネルギーを放つブラスター、

 つまり、ジャンプフィールドに使用されるエネルギーを弾丸として変換し放つブラスターだ。

 しかし、いくら密度が高いとはいえ一個のCCから抽出できるエネルギーは少量である。

 その為、数回余り撃ってしまうとCCは消滅してしまう。

 つまり、弾切れが早いということである。

 エネルギー抽出に時間がかかる為、速射もできないという、 

 なんとも使い勝手の悪いブラスターであった。 

 だが、グラビティブラストやビーム砲といった物とはエネルギーが異なる為、

 一発の威力は、ブラスターサイズとは思えないほどの威力を放つことができる。

 まさに、ヘムロックは小型大砲のようなブラスターであった。 

 もう一つ欠点がCCにはあった。

 密度が高いCCはブラスター以外に応用はできなかったということであった。

 その理由は、密度が高いCCの生産には時間がかかることと、

 ある一定の大きさ以上になると、普通のCCと変わらないエネルギー量しか抽出できなかったことである。

 早い話、これはブラスター専用CCであるということだ。

 ちょっと説明が長かったかな・・・・・・・まさかイネスの影響か!?   

 機動戦艦ナデシコ

「瞳に映る闘いの果て」

第二話 「問答無用」

 真夏の炎天下。

 ホシノ・ルリは軍事病院にいた。

 体に異常を訴えたわけではなく、単なるプログラム的に行われる健康診断である。

 その病院の前には、ラフな格好でサングラスをかけた男と赤いベスト姿の男が居た。

 「しかし、どうやって政府はホシノ・ルリを殺すつもりだ?」

 その問いに答えたのはシークレットサービス長、プロスペクター。

 「現在、ナデシコCはサセボドッグで整備中なのはご存知ですな。

 よって、ホシノ・ルリはナデシコCという最強の鎧の中で守ってもらえない。

 しかも、今日は健康診断の日です。

 今日が、一番彼女の護衛が手薄になる時期なのです。

 殺すなら、今というわけです」

 「・・・・・女の子一人に何人がかりだ」 

 「テンカワさん、彼らにとってホシノ・ルリは少女ではなく、魔女なのです。

 彼女の優しさや繊細さなどは関係ないのです。

 自分達の脅威になる者はどんな手段を使ってでも殺す。

 それが政府のやり方というものです」

 パーランランラーン・パーラランラーン

 プロスペクターの携帯の音、 

 何故か着信音が“あなたの一番になりたい”。T氏もこれ

 「はいはい、こちら好中年」 

 能天気そうな声で会話を繰り返す。

 世間話に見せかけた暗号のやりとり。

 「分かりました。では後ほど」 

 携帯を懐にしまうと、謎のアタッシュケースを取り出す。

 随分重そうだが、軽々と片手で持っている。

 「では、行きますかテンカワさん」




 

 ホシノ・ルリ。十七歳。

 人生これからの少女を殺さなければならないのは、

 正直言って気分が悪いが、どうせ俺は政府の犬。 

 俺の名は“銀なる狂犬”神代・師走(かみしろ・しわす)。

 この診察室で、診察を受けに来る少女を殺すのだ。

 しかも、ご丁寧なことにこの診察室は多少の音では外には漏れないよう、防音設備が施された診療室だ。

 このナイフで一突き、それで終わりだ。

 無論、医師として少女と会い、医療ミスと称して殺すことも考えた。

 だが、簡単な健康診断で少女を殺してしまったら軍事病院の信頼に関わる、

 と軍の上層部に言われたのだ。

 軍も政府とグルだということか。

 自分の銀色の髪を弄んでいるとき、ホシノ・ルリは来た。


 俺は手に持っていたナイフを彼女に向ける。

 「誰の差し金ですか?」

 「答える必要はない。お前はここで死ぬのだから」

 芯の強い少女だと思った。

 十七歳とは思えない、政府が彼女を恐れる理由がなんとなく分かった。

 恐れているのは、その能力だけではない。  

 引き込まれそうになる金色瞳。

 幻想的な瑠璃色の髪。

 奴らが恐れているのは、彼女の持つ人を引き込む魅力だ。  

 写真やテレビなどでは感じることさえできない魅力をもった少女だ。

 「逃げてみるか?」  

 「こういう状況下では逃げられません」

 それはそうだろう。

 こっちだってプロだ。 

 彼女が診察室に入ってきた直後、俺の部下が後ろに回りこんでいる。

 逃走防止の為だ。

 必要ないとも思ったが、その他数名の部下が病院内で待機している。

 細心の注意を払う。

 仕事だろうがなんだろうが当然のことだ。

 「さらばだ、電子の妖精」

 その時、青白い光が部屋に満ちた。 

 「ボソンジャンプ!?」

 部下の叫びと共に、

 俺とホシノ・ルリとを隔てるようにしてそいつは現れた。



 「アキトさん!?」

 「ちっ」

 神代は舌打ちをしつつ、手に持っていたナイフでアキトを突き刺そうとする。

 (避ければルリちゃんに当る!)

 アキトは神代の手首を掴むことでナイフの動きを止めた。

 だが、神代はアキトの行動を読んでいた。

 次の瞬間、

 ズゥゥウン

 神代は空いていた片手で拳銃を抜き、放つ。 

 アキトも反射的に体をずらすが、肩に当る。

 「ぐっ!」

 「終わりだ!」

 アキトは撃たれた反動で掴んでいた神代の手首を離してしまっていた。 

 神代のナイフが再びアキトを襲おうとする。

 アキトに躊躇する余裕はなかった。

 アキトは腰に下げていた大きめのブラスター“ヘムロック”を抜いた。

 ゾク

 (ナニカキケンダ)

 嫌な予感。

 外れたことはない予感。

 パシュゥゥウン

 それは神代がとっさにナイフを放り出し、全筋肉をフルに使って横に逃げるのと同時だった。

 蒼い光の一条が部屋の中を駆け抜けた。

 蒼い光はナイフを、壁を音もなく貫き、光は虚空へと消えた。 

 光の通った先には、何も残っていなかった。

 (冗談じゃない!!)

 弾丸や光熱、重力波特有の黒い光でもない。

 全てを消し去る、問答無用の兵器。

 神代や、その部下、そしてルリすらもが我を忘れていた瞬間、

 アキトはCCを取り出して、ルリの手を引っ張って抱きしめる。

 「ジャンプ!」

 再び、青白い光が部屋に満ちた後には何も残っていなかった。 










 

 あとがき

 どうも、表現力が未熟なT氏です。

 ユリカ・・・・・・・また出てきませんでした。(苦笑)

 それにしても、文章書くのがヘタです。

 状況描写ができていない。

 作者だけが状況を理解していて読者に伝わっていないような気が・・・・・・・・・・

 いきなり話は変わりますが、神代はオリジナルキャラです。  

 イメージ的には“るろうに剣心”の斎藤。 

 オリキャラは創造しやすく想像し難いですね。 

 まあ、物語の中で作者とともに成長してもらいましょう。

 そして、ヘムロック。

 これは完全オリジナルのブラスターです。

 どこかで“アルストロメリアはCCに似た物質を使っている”という話を聞いたことがあります。

 よって、ブラスターにも応用できるのでは?という概念から生まれたものです。

 これは物質を粒子変換するブラスターで、

 放った光に当った物は原子レベルでバラバラになるというブラスターです。

 ちなみに大きくなると普通のCCと変わらないエネルギーしか抽出できないわけですが・・・・・

 「だって、あんまり強すぎる機動兵器が出てきたら面白くないではないか!!」

 という、自分勝手な発想からそうなりました。 

 それでは、未熟者の話を最後まで読んで頂き、まことにありがとうございました。

 では、皆様。またお会いいたしましょう。

 はっ、神代の姿を形容している部分がない!? 

 未熟者よ。滅!! 

 ぎゃぁぁあぁあああ〜〜〜!!

 えっ、プロスペクター達ですか?・・・・それは次回に持ち越しということで

 

 

代理人の感想

ああ、なるほど。不思議銃なんですね(爆)?←DVDでワンピース見た直後

しかし、斎藤か・・・・あの男は間違っても「犬」にはならないタイプだと思うんですが。

斎藤だったら上の指示ではなく、自分が「悪」と感じたから殺すでしょう。

違うかな?