機動戦艦ナデシコ

「瞳に映る闘いの果て」

第三話 「壊れた心」








 アキトがルリを救出したのと同時刻。  

 彼らは神代の部下と対峙していた。



 軍事病院駐車場。

 そこには、三人の男が立ってした。

 一人は熊のような大柄の男。

 ゴート・ホーリー。

 一人は髪の長い白服の男。

 月臣・元一朗。

 一人は赤いベストを着た男。

 プロスペクター。

 その男達と対峙している十人の男達。

 「ネルガル・シークレットサービス・・・・」

 恐怖で引きつった顔で睨みつける

 「どうしました?私達がここにいてはいけませんか?」

 「ここは・・・軍事病院だ・・・関係者以外は・・・入れないはずだ・・」

 「そういう貴方は政府のエージェント、崎守(さきもり)さんですね?」 

 「なっ!」

 驚愕の表情を浮かべる崎守。

 「徹底的に調べ上げた上で行動。私の信条ですな」

 いつもの笑みを浮かべ、崎守に近づくプロスペクター。 

 「どうしました?そういえば今日はルリさんの健康診断の日・・・」 

 ドオォォォォン

 銃声が鳴り響く、崎守の後ろに控えていた男がプロスペクターに向かって発砲したのだ。

 「馬鹿ヤロウ!!」

 崎守が叫んだとき・・・既に手遅れだった。

 いつの間にか背後に回っていたゴートと月臣が手刀で男達を気絶させた。 

 「まったく、危ないですな・・・・」

 プロスペクターはアタッシュケースで弾丸を受け止めていた。

 「政府のやり方は良く分かりました・・・・・」

 ガッ

 ゴートの手刀が崎守の首に当り、崎守は崩れ落ちる。

 「忘れていましたが、この光景は録画されているので、ヘタな行動は起こさないほうがいいですよ」

 例のアタッシュケースからビデオカメラが顔を覗かせている。

 それだけ言うと、三人の男達は駐車場から姿を消した。











 俺は木星に住んでいた。 

 三歳の時、両親と死別した。

 俺は施設へと預けられたが、 

 その後、木連のトップエージェントに拾われた。

 その男の名は北辰。 

 それから、地獄は始まった。

 体術を習い、拳銃の使用方法を学び、多数の武器の扱い方を教えられた。

 来る日も来る日も殺し殺し。

 ナデシコが演算ユニットを宇宙の彼方へ飛ばした直後、北辰と離反。

 北辰の異様なまでの追撃。

 死の恐怖に怯えた日々。

 追撃から逃げる為、政府の“犬”になる代わりに身柄の安全を求めた。

 それから、俺は“犬”としての殺しをしている。

 結局、行き着く先は殺し。

 俺の名は・・・・・・・・神代・師走。


 「昔を思い出すとはな・・・・・・・」

 嫌な夢でも見た、という顔で上半身を起こす神代。

 肩まである銀色の髪をかきむしりながら、呟く。 

 北辰・・・・・・・・・・最強と言われた裏世界で生きる外道。

 そして、北辰を殺したテンカワ・アキト。

 (たしか、テンカワ・アキトのジャンプに巻き込まれたはずだが・・・・・)

 「ここは・・・何処だ?」

 独り言を呟き、周囲を見回す神代。

 壁には銃がかけられ、床には薬莢が散らばっている。

 その場所は神代の良く知っている部屋だった。

 「俺の部屋か・・・・」

 神代はすぐさま、部屋を後にした。 




 新地球連合政府官邸。

 「逃がした・・・・・・だと?」

 「はい」 

 私腹を肥やしているのが一目でわかる政治家に対して冷ややかな視線を送る神代。

 政治家の周りにはガラの悪そうな男達が立っている。

 「ふん。まあ良い。それよりも貴様に出世話がある」 

 (“まあ良い”だと?)

 怪訝に思う神代。

 「よろしいのですか?」

 「小娘ごときに目くじらをたてる必要など無かった。

 あのナデシコCがなければ、ただの小娘に過ぎない。

 見つかるのも時間の問題だろう。その時・・・・殺せ」

 「テンカワ・アキトが共に居てもですか?」

 ピク

 眉がかすかに動く。

 「テンカワ・アキトだと?」 

 「ええ、あの幻のテロリスト、テンカワ・アキトですよ」

 「本当に存在したのか・・・・」

 「ええ、ネルガルの情報操作によって実態が知られてはいませんが、 

 間違いなくテンカワ・アキトでした。ホシノ・ルリが名前を呼びました」

 「・・・・・ホシノ・ルリと繋がりがあるという噂は聞いたことがある」 

 「繋がりの話は本当のようですね。ただ、随分会っていなかったようでしたが。

 テンカワ・アキトがジャンプで現れたとき、かなり驚いていましたからね」

 「ジャンプだと?」

 「ええ、それもA級ジャンパー。一瞬で物質をかき消すブラスターまで持っていました」

 「・・・・・・・底が見えんな」

 「所詮は人間ですよ」

 「ふっ、神代。さっきの出世話の件だが」

 「はい」

 「貴様には統合宇宙軍に行ってもらう」・・・・・我ながらダサイ名前よのう

 統合宇宙軍。

 その名の通り、統合軍と宇宙軍が合併した軍の名前である。

 火星の後継者の乱で随分と宇宙軍に有利な合併を果たしてはいたが、

 それでも、統合軍の権力は非常に高かった。

 今回の暗殺事件も統合軍のトップ達によって画策されたものだ。

 「統合宇宙軍に?」

 「そうだ。貴様がテンカワ・アキトを表の世界へと引きずり出せ」

 「ネルガルを徹底的に洗っては?」

 「無駄だ。ネルガルは税金も払っておるし、表の世界では最大手の企業だ。

 今、奴らを徹底的に洗ったとて、何も出てこない。尻尾は出さん連中じゃ」

 「・・・・了解しました。神代・師走。統合宇宙軍に向かいます」 

 「では、神代よ。貴様はミスマル・コウイチロウ氏の娘。

 ミスマル・ユリカ嬢の部下という形で所属される。

 階級は中佐。おそらく任務は火星の後継者の残党狩りになる

 危険な仕事だが、貴様には丁度良いだろう」

 「一つ、聞いてもよろしいですか?」

 「なんだ?」

 「給料・・・・・・上がりますか?」












 

 あとがき

 どうも、風邪ひきながら書いているT氏です。

 T氏の思惑であった“神代がユリカの部下入り”を果たしました!

 今までの話は前置きみたいなものです。

 重要なのは“表のユリカ”&“裏の神代”コンビと、 

 “裏のアキト”&“表のルリ”&“裏とも表とも言えないラピス”によって繰り広げられる、

 おにごっこです。勿論、それだけじゃないけど

 最近、代理人様からの感想のツッコミに・・・・胃が・・・・・・・・・。

 その反動か、短編を一本創って自爆してみようかな・・・・・・・などと思ったり、

 この作品のシリアス壊してみようかな・・・・・・なんて思ったりしてしまう自分が恐ろしい!

 堕ちてく・・・壊れていくよ、どこまでも〜〜(T氏・心の歌)

 最後にありましたが、ケインさん。感想ありがとうございました。

 頑張って執筆させて頂きますね。  

 では、皆さん。またお会いいたしましょう。

 神代とユリカはくっつきませんよ。誰も心配してないだろうけど・・・・・

 神代よ・・・・・当初は“悪・即・斬”だったのに・・・・・犬にまで成り下がって、

 斎藤からは程遠いキャラになりつつあるような・・・・。

 

 

代理人の感想

崎守・・・・・弱いぞ(爆)。

プロスさんに瞬殺されてるし(爆散)。

 

 

ところでラピスは社会復帰(と言うか適応)するんでしょうか。

「表とも裏ともつかない」と言う事は・・・・うむぅ?