警告!


本作品はペテン師さんの許可を頂いて製作されたパロディSSです。

本作品はペテン師さんの作風とはかなりかけ離れています。

従って原作の零囲気を大事にしたい人はご遠慮ください。












  (国会議事堂前の直線道路)

 

  「はぁはぁはぁはぁ!」

(勢い良く走ってくる中村。)

キキッー!ドカッ!!

「おふぅ!」

(16tトラックに跳ね飛ばされる中村。)


「はぁはぁはぁはぁ………!」

(起き上がり血塗れになりながらも、画面の前まで来て。)

「"It'」

ばきいぃぃぃぃ!!!

(横合いからパイプ椅子で中村を殴打)

  「はふぅ!」

(吹っ飛ぶ中村。一顧だにせず殴り飛ばした空谷みどりが画面を塞ぎ。)

「"It's!" 始まるよ!」








 


空飛ぶまっするナデ



(出かけのタイトルをテツジンの足が激しく踏み潰す。)






では無く。








(BGM:リ○ディー・ベル)


漆黒の駄目神アナザー外伝

「敷島 英二の

プロローグ

  (ダリアの足がタイトルを踏み潰す。)

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

「それでは本法案は賛成多数により可決致します」

地球連合議会において「経済再生五箇年計画法」が採択された。

地球圏・木星圏間の戦争、通称「蜥蜴戦争」が一応終結した。戦後復興に向けた各種
計画が盛りこまれたこの法案は、大規模軍縮と復興の為の大規模公共事業が目玉である。

仕事は幾らあっても困らないし、その費用を捻出するための軍縮であった。


 

 
この法案の基本草案を制作・修正した財務官僚が、財務長官のオルガンの前に座っていた。
シキシマ自身も金色のオルガンを前にしていたが。

「本気かね、シキシマ君」

「はい、長官。戦争が終わった当初より考えとった事だス」

やや日本海よりのスコットランド訛りで会話する二人。

財務省官僚のトップ、シキシマエイジ財務事務次官は封書を財務長官のオルガンの上に置いた。


 









「(馬鹿娘の壊した)時計台の下で待っています。by敷島」



では無く。



「辞表」


 

封書にはそう書かれていた。

「何が不満なんダス。君はこっちゃあるまま行けばいずれ財務長官も夢では無かろうに」

「一身上の都合、としか申せません」

シキシマの事を慰留しようとするが、本人にはそのつもりが無いらしい。

「法案が可決された以上、おれの地球連合に対する仕事はじぇんぶ終わったやス。
あとはおれが居なくても出来る事だけだス」

ばば〜ん!とオルガンを叩く敷島。

「・・・退職して何どごやるつもりダス。まさか「漆黒の戦神」の元に赴くつもりか」

地球連合議員の間で「漆黒の戦神」問題はかなり酷い状態で、
二派に分かれて罵り合い論争が起こっていた。

戦神擁護派と排斥派で、後者が圧倒的多数だった。理由は様々だが共通した思いは、
筋肉権力を戦神に奪われるかもしれない」が根底に在るからだ。

本人が聞いたら歯を白く輝かせて笑い、ポージングの一つや二つをかますかもしれないが。

「娘も嫁ぎましたし、再就職先が婿殿の元もええかと考えましたが、今の所そっちゃあるつもりは有りません」

 

一人娘のカスミがアキトに嫁いで(押し掛けて、とも言うが)一年たっている。

後から後から、嫁が増えていく気配こそアレ、減る気配は一向に見られない。
同時に彼の筋肉も増大している様だ、この間逢った時などその括約筋には惚れ惚れしたものである。

アキトの二十五、六人目の義父となったシキシマだが、その事についてはアキトに薦められて飲んでいる
プロテインの量が何時もより10g程足らなかった事ぐらいにしか気にしていない。
本人曰く、

「婿殿と娘が決めたことだし、親が口出しする問題でも無いだべう」


娘の自主性を重んじているのか、放任主義なのか、無責任なのかよく解らない言葉
だ。残念と言えば、自分の後を継いで英国紳士になってくれなかった事か。

ちなみに親友の青山の娘達もアキトに嫁いだらしい。
今では西欧全体を網羅する蒲鉾チェーン店を展開中だとか。

青山と言う人物は京都で千年以上続いている練り物屋の店主で、嘗てのライバル同
士である。蒲鉾自慢全日本選手権では三連覇を成し遂げ、ご近所でも評判の蒲鉾名人
であるシキシマが唯一自分を負かせられると思っている相手だ。


  シキシマは一度ナデシコからオファーを受けた。
アキトたちナデシコメンバーが知るほぼ唯一の経済・財政のエキスパートだからだ。

だがシキシマはそのオファーを断っている。


「おれはおれの職務に対し誇りと信念どご持ってるス。
今、おれの職務どご投げ出すのは、そっちゃある誇りと信念に反するス。
それに、戦争で疲弊しきった地球経済どご立て直すのは、ハッキリ言っておれ以外では無理だ」

過信とも取れる言葉だが、大規模戦争の中でも地球経済を破綻させなかったのは間違
いなくシキシマ エイジの官僚としての手腕だ。

少なくとも財政実務において、彼のやった事は他者の追随を許さない。
オルガンの演奏技術の腕も他者の追随を許さない。

伊達や酔狂で「連合の金庫番」と言う異名を持っているわけではない。
英国人では無いのに英国紳士を名乗っているのは伊達ではない。
英国製のネクタイとカフスの流行に気を使っているのも伊達ではない。

その代わりに友人の、海神伝七郎地球連合議員主席秘書官三堂公介を紹介したのだが。

その後、その二メートルの巨体を誇る友人に色々愚痴られたのは此処だけの秘密だ。

また筋トレ時間が減ったらしい。
ポンプアップが出来ないのが最大の苦悩らしいが。

 

「ならばどうするつもりだ」

財務長官は少し血管大胸筋に浮かばせて再度尋ねる。

「今度は祖国日本の復興に尽くすドよ」

まっすぐ初老の財務長官の目を見てシキシマはそう言い切った。
ついでに大胸筋の血管に気が付き、僅かに頬を桜色に染めたが……。

この財務長官との付き合いも短くはない。財務長官もシキシマの言外の言葉の意味を感じ取ったらしい。

「ふう……。おれも今年中に辞意どご表明して、故郷でゆっくり暮らそうと思ったの
だが。事務次官、君は年寄りどごまだこき使わせる気かね」

「………(尻痒いなぁ。)」

「今の地球連合首相の政治手腕は、おれが知ってる限りトップクラスだべうッス。
んだども地球連合首相の任期は二期八年。後二年なんぼがダス。そっちゃある後任も優秀だとは限らなァ。
いや、大衆は有能な政治家よりも、適度に無能な政治家どご好む。今の首相は乱世向きな人ダス。
んだども、乱世が終わったら・・・」

乱世にあっては有能な指導者を。治世にあってはそうでない者でも。
人類の歴史はその事を如実に語っていた。無論、アキトが必要とされるのも乱世だ。
有る意味今の小規模な戦いが慢性的に続く時代を、”演出”しているのは天河一族だろう。

「長官は後がまに座ろうとは思わねんだが?」


少し意地悪に聞いてみる。
別に彼はサドではない。妻は若干その気があるが。

「おれがそっちゃある職に就いたら、胃に穴が空いてしまうよ。
おれはおれの健康のために首相に成らねんだ」

実に秋田スコットランド人(こっちは太平洋寄り)らしい言葉だ。
やれるけどやらない。やるならやらねば。

「解ったス。君の辞表は今週付けで受理しようッス。めえまでご苦労だズ」

「有り難う御座るス、長官。んだば本日の仕事が終わったら、おれ物の整理と挨拶回りどごしてきます」

ばば〜ん!と最後にオルガンのキーを叩き、
仕事納めの無駄に爽やかな笑みを浮かべながら
一礼して財務長官執務室を出ようとするシキシマが、扉の前に立ち止まりこう言った。

  「健康のためとしゃべるなら、葉巻の量どご減らした方が絶対に健康的だべ」



 

秋田県民スコットランド人のようなジョークを返すシキシマであった。


 

 

 



 

 

後に「歴代最高の英国紳士内閣総理大臣」と言われる敷島英二。



その第一歩は地球連合財務省の退職からであった。
その第二歩は玄関先での職務質問であった。
その第三歩は警察署でのカツ丼でやや遅めの夕食だった。(もちろん領収書は地球連合財務省で)
その第四歩は留置場で一夜を明かす事だった。
その第五歩は翌朝身元を引き受けに来た妻に「恥をかかせおって…」と言われる事だった。


英国紳士は、ネクタイとカフス以外の無粋なモノは身体に着けないのだ。

 

 

 

 

 

 

続く……かも。


 

 

 

 

 

 

  後書き。


すいません、ペテン師さん。

恥をかかせおってな内容です。(爆)

WRENCHさんの許可の元、「嫌動戦艦ナデシコシリーズ」は制作されております。

日和見さんの監修の元、本作品は製作されております。



   

 

代理人の感想

・・・・・・・・・・・続くの?(爆)

 

>ネクタイとカフス

ブーメランパンツはどうした英国紳士(核爆)。