アキトのパラレルワールドストーリー



EPISODE 1












−???

 目を開けるとそこには天井が見えた。

???「こ・・・ここは?」

 俺はベットから身を起こし回りを見渡すと見た事の無い部屋だった。

 何か違和感を感じたけど・・・・

 とりあえず、ジンに言われたとおりこの人物の情報や記録を見てみないと・・・・

 えーっと、名前は『神戸ひとし』。
 歳は18歳の高校3年生。場所は西暦2000年のアメリカ。国籍は日本、趣味・特技がパソコン関係。
 2年前(高1)にプログラムのAI『サーティ(No.30)』を事故により実体化させてしまう。
 それから『トゥエニー(No.20)』『フォーティ(No.40)』も実体化させてしまう。
 そのために1年前に大きな事件を起こしてしまいアメリカに移住。
 今は両親、妹1人にAIが3人にタマゴ型AI『まーくん』(これは実体化していない)で住んでいる。

ひとし(アキト)「ふぅ・・・まあ、こんなとこか・・・・」

サーティ「何がこんなことですか?ひとしさん」

 俺の後ろにはいつの間にかサーティさんがいた。

ひとし「あ・・・おはよう。サーティさん」

 一応、朝なのであいさつはする。

サーティ「・・・・・・・・え゛」

 にこやかな俺に対して少し引きの入っているサーティさん。

サーティ「今・・・『サーティさん』って・・・・」

 おかしな事を聞く人(?)だなぁ

ひとし「それがどうかしたの?サーティさん」

サーティ「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ」

 突然に雄叫びを上げながら部屋を勢いよく飛び出すサーティさん。

サーティ「お姉さま。ひとしさんがひとしさんがぁぁぁぁぁ」
トゥエニー「ち、ちょっと落ち着きなさい」
フォーティ「なんか面白い事でもあったんですか?」
弥生「お兄ちゃんに何か!?」
まーくん『・・・・・』
サーティ「ひとしさんが壊れたぁぁぁぁぁぁぁ」
全員「「「『はぁ?』」」」


 何か・・・失礼だな。

ジン『馬鹿か君は?』

 俺の目の前に開いたウィンドウにはこの状態に落とし入れた張本人が白い目で俺を見ていた。

ひとし「なんですか。いきなり出てきていきなり『馬鹿』とか言って」

ジン『向こうにはお前が『テンカワアキトの入ったひとし』じゃなくて『いつものひとし』だと思ってるんだから、
   いきなり口調とかが180度回転したら誰でも雄叫びを上げたくなるぞ』

ひとし「それもそーか」

 今頃気づく俺って・・・やっぱ馬鹿かのか?

ディア『無理だよジンさん。アキト兄にそんな事まで気づく知能なんて無いよ』

ひとし「ディア。復活したのか」

 新しく開いたウィンドウには俺のよく知っている少女が移っていた。
 そう・・・ブローディアのAI『ディア』
 性能だってサーティさん達におとりはしない俺の自慢のAIの1人。(俺が作ったんじゃないけど・・・・)

ディア『うん。さっきジンさんに事情を聞いてブロスはブローディアの点検させてる』

ひとし「そうか。しかし・・・ディア、今さりげなく俺を馬鹿にしていただろ」

ジン『まあまあ。感動のご対面は任務が終わってからで。
   言い忘れていましたけど必ず『カオスクリスタル』が出現するとは限りません。
   こっちで大まかな検索をして反応がなければ次の世界に行きます。
   反応があれば細かな検索をしてアキト君に駆除をしてもらいます。
   大まかな検索は結構時間がかかりますのでしばらくはそっちの世界を楽しんでください。
   それと、アキト君の乗り移っている人物の能力や見た能力等の大半がアキト君がアレンジして使えるようになっていますから。
   中には出来ないものもありますけど。
   それじゃ緊急時以外に正体のばれないように頑張ってください。別にばれてもいいですけど後々やっかいなので』

ひとし「わかった」

ディア『じゃあ私達はまだ検索が終わってないから戻るね』

ジン『そうですね。そろそろあの娘達が戻ってきますからね』

 と言いつつ手を振りながらウィンドウを閉じる2人。

 俺はとりあえず服を着替え枕元に置いてあった装備を服の下に隠し持つ。
 もともと厚みが少ないので隠し持つのに便利だった。

 鏡の前で2、3回頬を軽く叩き、

ひとし「よぉーし、いっちょやるか?」

 少し気合を入れ部屋をでて階段を下りた。





−ひとし家 リビング

 リビングには両親以外の全員がそろっていた。

 3人乗りソファーにサーティさんテゥエニーさんが座り、テーブルを挟んだ反対の3人乗りソファーには弥生ちゃんにフォーティちゃんが座っていた。
 テーブルの上ではタマゴ型の携帯コンピュータ(ポケステ似)に入ったAI『まーくん』が腕(?)を組んでいた。

ひとし「お、おはよう」

フォーティ「どこもおかしくないです」

 降りてきたばかりの俺の周りをグルグルまわりながらジロジロ俺の事を見ているフォーティちゃん。

テゥエニー「ふむ・・・心拍数、脈拍、体温どれも異常なし」

 俺の腕をつかみ何やら調べているテゥエニーさん。

まーくん「ふむ・・・」

弥生「何処も変じゃないわよ。お兄ちゃん」

サーティ「だって、さっき私の事を『サーティさん』って・・・」

弥生「お兄ちゃんが寝ぼけていたんじゃないの?」

まーくん「ありうるな」

 なんか、おもいっきり馬鹿にされているような・・・
 仕方ないこのまま寝ぼけていたことにするか。

ひとし「そうなんだよ。まだ眠たくてさ、ふぁ〜」

 寝ぼけているフリをする。

トゥエニー「そうよね。だってひとしがサーティを『さん』付けで呼ぶときは寝ぼけているときか隠し事があるときだもんね」

 ぴくっ

 俺はサーティさんの眉間が動いたのがわかった。

フォーティ「えーひとしお兄様、好きな女性ができたとか?」

 ぴくぴくっ

 ちょっとまてぃ。

 このパターンって・・・何か某戦艦であったような・・・

まーくん「フォーティ、そういう場合は浮気というんだ」

 ぴくぴくぴくっ

 さらにまてぃ。

 このポケステ野郎め余計なことを言うんじゃない。

弥生「そういえばお兄ちゃん、昨日の夜かなり帰りが遅かったよね。何かあった?

 ぴきっ(何かキレる寸前)

 何ぃぃぃぃぃぃぃぃ

テゥエニー「ほら、これが証拠よ」

 ひとし君と知らない金髪美女が腕組んで楽しくデートしている写真をサーティさんに渡しているテゥエニーさん。

 しかも・・・隅っこにテゥエニー作とサインまでしている。





 ・・・・・





 合成写真かよっ!!(某お笑いコンビの某ツッコミ風)



 ばればれだし流石にAIのサーティさんでも分かるでしょ。


サーティ「ひとしさん・・・・・・」

 俺が振り向いてサーティさんを見てみるとそこには・・・・・・





 俺のまったく知らないタイプの夜叉が1人1鬼



 そしてその夜叉の口から今1番ききたくない言葉が出てくる。



サーティ「ひとしさん・・・お仕置きです」



 その言葉って全世界共通語ですか?

「くすっ・・・・・・・」

 そしてその共通語の影に某妖精の影が見えたような・・・

 とにかく俺は全力であれから逃げるためにサーティさんを説得し、無事に物事は解決した。





サーティ「なーんだ、それならそうと言ってくださいよ」

 そんな状態じゃなかったって。

ひとし「ところで父さんと母さんは?」

弥生「ああ、2人ともMITに行ってるよ」

ひとし「なんで?」

弥生「今朝、連絡があってね、なんかネット関係でトラブルが起こったんだって」

ひとし「ふーん」

 まあ、俺には関係ないことか。
 ディア達も索敵が終わらないと俺も動けないし・・・

 学校は2日前に夏休み(アメリカにあるかどうか分かんないけど)に入ったので暇になる。

テゥエニー「今日はどうする?」

フォーティ「うーん、暇ですぅ」

サーティ「確か今日はひとしさんのお父様達とキャンプに行く予定でしたからね」

まーくん「連絡がきたのはちょうど準備して兄貴を起こす前だったもんな」

弥生「ねぇ、皆でMITに行ってさトラブルを解決してキャンプに行かない?」

 その提案に俺以外の全員が賛成した。
 俺もその提案に否定する気はないので皆に合わせる。

 そう・・・この提案が俺達の今後を左右したのだ。





−MIT 駐車場

 ききーっ

 バン(瀬田カー)のブレーキが響く。

 そう俺達はあの後すぐに出発したのだが運転するのが唯一まともに運転できる俺に決まった。

 車を止めるとまずフォーティちゃんが飛び出し弥生ちゃん(まーくんは弥生ちゃんの首にかけている)テゥエニーさんにサーティさん。
 そして運転席から俺が降りた。

弥生「早くお父さんの研究室にいそごっ」

 先陣をきって飛び出す弥生ちゃんとフォーティちゃん。
 そんな2人をやれやれとみながら俺達3人が続く。





−MIT 研究室

 俺達が入ったとき白熱した不陰気がただよった。
 研究員らしき人達が1台の大型パソコンの周り集まり画面に釘付けになっていたのだ。

 弥生ちゃんは研究員の1人に事情を聞いて俺達にもパソコンの画面が見えるように別のウィンドウに開いてくれた。

 そこには・・・・

弥生「うそ・・・・」

まーくん「馬鹿な・・・・」

フォーティ「そんな・・・・」

テゥエニー「冗談でしょ・・・・」

ひとし「・・・・・・」

 それぞれが思い思いに呟く。

弥生・まーくん・フォーティ・テゥエニー「「「「どうしてNo.0がっ!!」」」」



 No.0―――元々はひとし君達のお父さんが作った試作AI。
 そして、サーティさん達のプロトタイプ。
 しかし、1年前にちょっとしたトラブルにてウイルス『SPIDER』に乗っ取られ『実体化モジュール』にて復活。
 復活後、テゥエニーさん、フォーティ君にウイルスを感染させ世界を混乱させた。
 最後はサーティさんが倒したとあるけど・・・・



父「よしっ、これでどうだ!?」

 今完成したらしいワクチンを投与する。

 画面に映っている黒服の少年は途端に動かなくなる。
 回りでは研究員が『ヤッター』『It is success!』などと喜んでいる。

弥生「元々はお父さんの作ったAIだから弱点は知ってるわけか・・・・」

 と言いつつ弥生ちゃん達も喜ぶ。

 何かおかしい・・・・
 何だこの違和感は・・・・
 そう、まだ・・・――――っ!!

ひとし「まだ終わってない!!」


全員『え?』

 疑わしい目で全員が俺を見る。

父「どうした、ひとし。いきなり大声を上げて」

弥生「そうだよ、お兄ちゃん。びっくりしたじゃない」

まーくん「まったくだ」

テゥエニー「終わってないって・・・どう見ても終わってるわよ」

フォーティ「おかしな事を言うひとしお兄様です」

母「つかれてるんじゃないのかしら?」

サーティ「それなら、今日のキャンプは止めて家で休みましょうか?」

 皆、気づいてない。

 俺は分かる・・・五感が人の倍以上の俺には・・・・

 止まったはずのヤツから発せられる殺気――――いや、これは狂気!!

 そして俺には奴の正体が分からなかった。

ひとし「下がれっ!!」

 叫ぶと同時に画面前にいる全員を無我夢中に後ろに吹っ飛ばす!!

 多分、手加減はしたと思う・・・・
 後ろで『脈拍が薄いぞ!!』とか『い、意識が無い!!』などと叫ぶ研究員達だが無視!!(キッパリ)

 俺の目の前―先ほどまで研究員達が集まってたパソコン―の現象を睨んでいた。

 パソコンからはプラズマが飛び出し今にでも襲ってきそうな感じだ。

弥生「あいたたたた。――――っ!!これは!!」

 起き上がった弥生ちゃんが異変に気づく。

まーくん「なんだ、この電気量は!?1年前の電気量を軽く超えて前回の500倍以上はあるぞ!!」

ひとし「なんだって!!」

 前回の500倍以上といったらアメリカと日本の1週間ぐらいの電気使用量じゃないのか!?

 もし、そんなエネルギーを持った奴が暴れたら・・・・

母「やばいわ!!」

フォーティ「どうしたんですか?お母様?」

「電気代が・・・・」

 その答えにずっこける俺。
 世界の危険よりか電気代の問題ですか?

弥生「お母さん!!」

 おっ怒ってくれるのか?

弥生「ここはMITだから私達は関係無しだよ!!」

「あっそっかー」

弥生・母「「よかった、よかった」」

 よくないって!!後ろでMITの研究員達が泣いているし・・・・

 ま、とりあえず無視だけど・・・・



父「とりあえず、話を戻して・・・・
  いったい、何が起こったんだ!!」

テゥエニー「かなりやばそうってのは痛いほど分かるけど・・・・」

フォーティ「ひぇぇぇぇぇぇぇ(泣)」

サーティ「とりあえず、No.0をなんとかしないと・・・・」

まーくん「3人とも頼んだぞ」

サーティ・テゥエニー・フォーティ「「「了解!!」」」

 そして、3人とも画面に入っていく。
 この後は彼女達に任せるしかないのだ。

 俺は自分が強いのに何も出来ない今が少し悔しかった・・・・





−電脳世界 MITのメインコンピュータ内

 サーティさん達が現場に到着すると中心には『繭』があった。

フォーティ「何ですか、あれ?」

 見るからにそれは生きていた。

 さっきの奴か・・・・?
 しかし、まだ狂気はかなり感じる。

フォーティ「もうちょっと近くに行ってみるですぅ」

サーティ「ち、ちょっと」

 サーティさんの制止を無視して近づくフォーティちゃん。

ひとし『フォーティ、逃げろ!!』

 俺は直感的にソレが危険だと感じた。

フォーティ「へ?」

 案の定、その予感は的中した、良からぬ結果で返ってきた。

 バチバチバチバチバチバチバチバチ

 繭の回りにいきなり電撃のフィールドが発生する。

 そう――――フォーティちゃんはちょうどそのフィールドに突撃したのだ。

 弾け飛ぶ小さな身体をテゥエニーさんがキャッチする。

テゥエニー「フォーティ!!」

サーティ「しっかりしてフォーティ!!」

 急いで修復プログラムを打ち始める俺。

 頭脳はひとし君だから構造はほとんど分かるのだ。

 修復プログラムは1分で出来上がった。
 元々簡単な−応急処置みたいなもの−プログラムなので手間は取らなかった。
 皆もサポートしてくれたし。

 急いで修復プログラムを実行する。

 すると、画面のフォーティちゃんの身体を淡い光が包み込む。

フォーティ「復活!!」

 これで一安心。
 全員がため息をつく。

 その時だった・・・・

 『奴』が動きだしたのは・・・・





−???

???「『奴』が動きだしたか・・・・」

 薄暗い部屋には男と・・・奥に人影が1つ。

 そして、中心にはどこかの映像を写したパソコンがあるだけだった。

男「そろそろ出番だな・・・・」

 次の瞬間、男と人影は闇に消えていた・・・・










to be continued







この作品はフィクションです。実在の原作・人物・団体・事件なとには、一切関係ありません。







−後書きコーナー−

 拝啓

 やってしもたと後悔している。

 いやはや、最初の餌食が『AIは止まらない』でした。
 この話は赤松健さんが書いている作品で『ラブひな』の次に好きな作品です。
 といっても、最終話から何年が経っていて買おうと思ったときには『新装版』しか書店にありませんでした。
 内容は同じみたいですけど、気分の違いです。

 さて、今回書いてみた作品ですが、アキトが誰かの身体を乗っ取るという内容なのでいろいろやらせてもらうつもりですが・・・・

 ここで問題が1つ浮上しました。
 このまま連載を続けていいんですか?俺。

 なんか、ファンの皆様に刺されちゃいそうな気分・・・・

 どうなんですか?管理人さぁぁぁぁぁぁぁん!!

 敬具





 追伸:最後の男は誰でしょう♪次回までの宿題?