アキトのパラレルワールドストーリー



EPISODE 7












−???

 ――ピピピピピピピピピッ ガチャ

 煩い目覚ましを手探りで止める。

???「・・・・・・着いたのか?」

 『着いた』というよりか『起きた』という方が正しい表現かもしれない。

 だが、彼―――アキトにとっては『着いた』という方が合っているのだ。

???「よっと・・・・・・」

 とりあえず起き上がり寝ていたベット――身体の持ち主は寝ていたのだろう――から降りる。

 起きたばかりなのかアキトに凄い眠気が襲ってきた。

 流石に朝が朝早く起きるコックをしているアキトとしても朝はやはり眠いものだった。

 そのせいか、寝ぼけて身体の持ち主の情報を引き出す事を忘れていた。

 アキトは寝ぼけながらドアへと歩く、その途中、立鏡の前を通る。

???「ん?」

 立鏡を通過した時、アキトは何か感じた。

 もう一度、戻って立鏡の前に立つアキト。

 その時、彼が感じた何かの正体が分かった。

 鏡に映っていたのは、可愛らしい黄色のパジャマをきた栗色のショートカットの外見は中学生くらいの可愛い少女だった。

???「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 それが自分の事だと認知した時にはアキトは右手で立て鏡を指差し、左手で頭を抱えて叫んでいた。

 理由は・・・・・・・何だろう?

 とりあえず、その可愛らしい悲鳴に反応するように机の引き出しが勝手に開いて、

 ――バンッ

???「どないしたんや、さくらぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 出てきたのは黄色の羽の生えたぬいぐるみだった。

 突然に出てきた意外な物体に暫し静寂が流れた。

 お互いに動きが止まったままである。

 そして、出てきた物体がぬいぐるみと認知したアキトは、

???「ウワァァァァァァァァァ!?」

 立鏡を指差していた右手をぬいぐるみに向けて叫んでいた。

ぬいぐるみ「な、なんなんや・・・・・・」

 まったくだ。










 その後、何とか冷静を取り戻したアキトはぬいぐるみ―――ケロベロスに「悪夢を見た」とか言って誤魔化した。

 ケロベロスも渋々納得しながら2度寝するために引き出しに戻っていった。

 彼が言うには深夜まで格ゲーにはまっていたらしい。

 アキトはとりあえず、少女のデータ等を少女の記憶から引き出した。

 身体の持ち主の名前は『木之本 桜』。 友枝中学校の2年生で14歳。

 運動神経抜群だが、学力は並程度。 部活はチアーリング部に所属している。

 5年前に『クロウカード』に出会い、『カードキャプター』になり、今では『クロウカード』の正当な後継者になった。

さくら(アキト)(クロウカードって何?)

 疑問に思うアキトだが、データは次々と引き出されていく。

 とりあえず、今は『クロウカード』は『さくらカード』に進化(?)しているそうで、今は使われていない。

さくら(小学生なのにクロウカードで苦労しているんだなー)

 等とシャレを言っている場合ではなかった。

 そう、彼は第一の関門と戦っていた。

 その、関門とは・・・・・・・目の前にある制服であった。

さくら(やっぱり、コレに着替えなきゃいけないなだよね・・・・・・・)

 この日は休みではなく学校のある平日なのだ。

 だが、休みの日でも流石にパジャマのままはマズイだろう。

さくら(いくらなんでも学校を休むなんて、出来ないし・・・・・・)

 必死に悩むアキト。

 別に世間体から見れば女の子が女の子の服を着るのだから可笑しい所は無い。

 だが、中身はアキト(男)なのだ。 流石に男が女の子の服を着る事には抵抗がある。

 しかも、それが制服―――スカートなら尚更恥ずかしさは倍増だ。

 さらに着替えるとアキトは少女―――桜の裸を見る事になる。 その点でも抵抗があった。

 しかし、何時までもこうしている訳にはいかないのだ。

 何時、またCCが事件を起こすかも知れない。

 と、考えるのだが、「遅刻をしてしまう」というのが現実性があった。

 そう考えるとアキトはやっとの事で決心した。

さくら(ゴメンネ、さくらちゃん!! (T_T)

 心の中で罪な自分に懺悔と罪無き少女に平謝りするアキトであった。










−木之本家 リビング

さくら(うう・・・・・・ 汚しちゃったよ・・・・・・(T_T)

 なんとか手惑いつつも着替えたアキトは後悔しながらリビングに入っていった。

 スカートを着ている感想はやはりスースーして気持ち悪いようだ。

 よって少し歩き方が変だか時期に慣れるさ!!と腹を括ったアキトであった。

 それよりも、リビングにはテーブルの上に既に朝食の準備がしてあった。

 とりあえず、アキトはいつもさくらが座る席へと座る。

???「おっ、やっと起きたか。 怪獣」

 台所から長身の男性が顔を出し、さくらを怪獣呼ばわりする。

 彼はさくらの兄の『木之本 桃矢』。 大学3年生で21歳。

 とにかく意地悪な兄なんだとか・・・・・・・

さくら「(えっと・・・・・・) さくら、怪獣じゃないもん!! (これでいいのかな?)」

 さくらの記憶を頼りに返答するアキト。

 中々、様になっている。

 だが、歩き方が情けない。

桃矢「ところで黄色のあいつはどうしたんだ?」

 恐らく『黄色のあいつ』とは『ケロベロス』の事だろう。

 『ケロベロス』通称『ケロちゃん』 大阪弁を話すぬいぐるみで、クロウカードの番人なんだとか。

さくら(番人にしては強そうに見えないよな・・・・・・)

 番人があんなぬいぐるみだからクロウカード(さくらカード)も大した事無いと思ったアキトだった。

 とりあえずアキトは「まだ寝ているよ」と返事しておいた。

桃矢「やっぱり、昨日俺に格ゲーで負けたのがくやしかったんだな」

 ニヤリと笑いながらアキトと対面になる席に座る。

 どうやら、桃矢はケロベロスの事からクロウカードの事まで全て知っている様である。

さくら「・・・・・・ところで、お父さんは?」

 朝食が2人分しか無いのに気付いたのかアキトが聞いた。

 見回しても他に誰も居る気配は無い。

桃矢「父さんは朝一で出張に行ったよ。 一週間は帰って来ないって」

さくら「ふーん」

 と、牛乳をのみながら返事するアキト。

 心の中では少しホッとしていた。 なるべく身内の人とは関わらない方がバレないのだ。

 と言うか、あまり関わりあいたくないのが本音だった。 本当ならサッサと食べてココから脱出したいぐらいだ。

 だが、そういう訳に行かず、何も話す事が特に無いので無言で朝食を大人しげにパクつくアキト。

 そんな妹――中身はアキトだが――をよそに、桃矢は新聞を読みながらコーヒーを啜っていた。

 すると、何かの記事を見つけたのか桃矢が話しかけてきた。

桃矢「まーた、行方不明事件だってよ」

さくら「行方不明?」

 桃矢の切り出した話に少し朝食を食べる手を遅くしながら聞く。

 なるべくは話したくないが話さないと不審に思われるので会話に少し集中した。

桃矢「最近、友枝町で行方不明者が多くなっているって話だよ。 知らないのか?」

さくら「え、え〜っと・・・・・・」

 桃矢の言葉にアキトはさくらの記憶から『行方不明事件』について引っ張り出す。

さくら「皆が話しているのを聞いた事はあるけど・・・・・・」

桃矢「既に行方不明者が18人を超ているんだとよ」

 お前も注意しろよなとアキト(さくら)に注意する桃矢。

さくら「う、うん。 (まっ、俺は心配無いけどな)」

 心の中ではかなり余裕のアキトであった。

桃矢「なぁ、これってクロウカードに関係あるんじゃないのか?」

さくら「でも、クロウカードの事件は解決したし・・・・・・」

 ケロちゃんも何も気配を感じないって言ってたと言うと、そうか・・・・・・とすんなり引き下がった桃矢だった。

 そのまま時間に遅れそうになったので、パンを口にくわえ込みながら玄関から飛び出したのだった。










−通学路

 さくらの記憶から通学路を調べ上げて、インラインスケートで疾走していく。

 滑る際に足のスースー感が倍増したのが気持ち悪く我慢するので一杯だった。

 だが、任務を忘れる訳にもいかないので・・・・・・

さくら「さっきの事件、どう思う?」

ジン『ふむ、ただの失踪事件だとは思えんがな・・・・・・』

 アキトの言葉にジンの声が何処からか聞こえてくる。

さくら「ちょっと調べてくれないか?」

ジン『分かったよ。 それにしてもアキト・・・・・・変な気を起こすなよ?

 まるで犯罪者に話しかけるよう口調だ。

さくら「うっさい!! さっさと調べてこい!!」

 ついつい、ジンの言葉にイラついたアキトは立ち止まって大声を挙げる形になってしまった。

さくら「・・・・・・・・・・」

 しばらく待ってもジンの声が聞こえてこない。

さくら「あんにゃろ、逃げたな・・・・・・」

 心の底から某同盟に追っかけられてもいいから元の身体に戻りたいと思ったアキトだった。

???「誰が逃げたのですか?」

さくら「チャランポランでいい加減な裏を見せない子悪党」

???「あら・・・・・・どなたでしょうか?」

さくら「はははは。 分かるはずも・・・・・・って、はい?」

 やっとの事で誰かと会話をしている事に気付いたアキトが振り返るとアキトと同じ制服を着た黒髪でロングヘアーの女の子が立っていた。

???「おはようございます。 さくらちゃん」

さくら「お、おはよう。 と、知世ちゃん・・・・・・・」

 少女の名は『大道寺 知世』。 さくらのクラスメイトで『クロウカード』の事を知っている1人。

 趣味はビデオ撮影と自分の撮ったビデオの観賞さらに着せ替えとストーキング(笑)

 それがさくらの記憶の『大道寺 知世』だった。

さくら(す、ストーキング? き、着せ替え?)

 何が何だか分からないアキトは戸惑うばかりだった。

 だが、会話は終わった訳ではない。

知世「ところで、何方と会話してらしたのですか?」

さくら「え、え〜っと・・・・・・」

 何にも言い訳の思いつかないアキト。

 幽霊? 宇宙人? 神様? 同盟? 何て言えばいいのだろうか・・・・・・

知世「何か電波が飛んで来たんですか?

 何やらとんでもない事を言い出す知世だが・・・・・・

さくら「そ、そう!! 電波、電波がビビッと飛んで来たの!!」

 苦しい言い訳である。

 が―――

知世「まぁ、さくらちゃんもなんですか?

さくら「はい?」

知世「最近、私にも電波が飛んで来るんですよ」

さくら「そ、そうなんだ。 気をつけてね・・・・・・・」

 アキトは心の中でそれが毒電波で無い事だけを祈っていた。

知世「大丈夫ですわ。 私も対抗して○電波を流していますから」

 ニッコリと微笑みながらとんでもない事を言う少女をアキトは無視して学校に向かうのであった。

さくら(この子はCCに関係ないよな・・・・・・)

 関係が無かったら即効で逃げようと何かに誓ったアキトだった。










−友枝中学校 2年教室

 ○電波の追撃を逃れつつも知世と友に教室に入るアキト。

 教室では生徒達が朝のあいさつをしたり、おしゃべりとかしている。

 アキトもさくらの友達にあいさつしながら自分の席に座った。

???「よう。 今日は遅かったんだな」

 バックから教科書を取り出している時、右隣の席から男の子の声がした。

 声がした方を向くと予想通り男の子が隣の席に座っていた。

さくら「おはよう。 李君」

 アキトは微笑みながらあいさつする。

 『李 小狼』。 クラスメートで中国人でさくらの彼氏的存在らしい。

 彼も『クロウカード』関係みたいだがアキトには関係なかった。

小狼「お、おはよう・・・・・・」 (//// ////

 アキト(さくら)の微笑みにやられたのか真っ赤になってうつむく小狼。

知世「あら〜 朝から微笑ましいですわ〜」

 反対の左隣の席から知世が一部始終をビデオに納めていた。

 その時、小狼がビクッと反応していたがアキトは気付かなかった。

さくら(何故に彼女はビデオ撮影するのだろう・・・・・・)

 そんな事を真剣に思うアキト。

知世「それは、そこにさくらちゃんが居るからですわ♪」

さくら「へぇ〜 そうなん・・・・・・え゛?」

 バッと振り返りカメラを構えている知世を見るアキト。

さくら(俺、口に出していたか?)

知世「いいえ。 出しておられませんでしたわ」

 ニッコリと何事も無かったように答える知世。

さくら「・・・・・・・・・・・ (lllll  )」

 アキトは改めて○電波の恐ろしさを実感したのだった。










−友枝中学校 裏庭

 そんな事も日常なのか、周りは気にしないで昼休みまで話は進んだ。

 そして、昼休みになると小狼から「ちょっと来い」と誘われたので付いていくと、そこは裏庭だった。

 裏庭は余り日当たりが良いとは言い切れないので人気が無いのだ。

さくら「どうしたの? 小狼君」

小狼「昨日の話の件だ」

 可愛げ満々で聞くアキトに顔を少し赤くして答える小狼。

さくら(昨日だと? 何があったんだ?)

 と直ぐに昨日の記憶を探り出す。 その結果・・・・・・

さくら「ああっ、オジャーズとグジャーズの結果?」

小狼「違う」

 どうやら野球ではないらしい。

さくら「なら、国民年金の改革案?」

小狼「違う」

さくら「ああっ 株の投資の件?」

小狼「それは、後でな・・・・・・」

 どうやら違うらしい。

 ―――ってか、中学生が株なんかやっていいのか?

 A:犯罪です。 つーか、買えないはず。

さくら「だっから、チャカの売買の件?

 今度は冗談半分で聞くと・・・・・・

小狼「欲しいなら大道寺が仲介屋やってるぞ」

さくら「・・・・・・・・・・ (   J J J)」

小狼「ちなみに最近はヘロ○ンにも手を出しているらしいぞ」

さくら「・・・・・・・・・・ (lllll  )」

 本気でこの世界から逃げたいアキトであった。

 残る話題として記憶からアキトが選択したのは・・・・・・

さくら「知世ちゃんの○電波の正体?」

小狼「それだけには手を出すな」

さくら「どうして?」

小狼「その話題の後、大道寺と会ってその後の数時間の記憶が無いんだ

 どうやら、何かされたみたいである。

さくら(何をされたか聞きたくないな・・・・・・ (lllllll  ))

小狼「気が付いた時には布団を頭まで被ってガタガタ震えていた (lllllll  )」

 ある意味、途轍もない所に来たんでは?と思い始めたアキトであった。

さくら「んで、結局は何の話だったの?」

知世「例の行方不明事件ですわ」

さくら・小狼「「おわっ 何時の間に!!」」

そう、さくらと小狼の間に何時の間にか知世が立っていたのだった。

さくら(俺、気配に気付かなかったぞ・・・・・・ (   J J J))

知世「○電波に不可能はありませんのよ」

 更に○電波の恐ろしさを実感したアキトであった。










さくら(頼むからまともな奴、カモーン!!)










to be continued







この作品はフィクションです。実在の原作・人物・団体・事件なとには、一切関係ありません。







−後書きコーナー

 拝啓

 久しぶりに暴走した7話をお届けしました。

 今回から『CCさくら編』に突入となりました。

 まぁ、今回は前回の次回予告で何人かにバレたので即効で書き上げました。

 反対に言えば、分かった人は『次回予告』まで読んでいるという方ですので感謝です。

 いやー まぁ、今回は『CCさくら編』の掴みみたいな話ですな。

 とりあえず、いろいろと暴走していますが・・・・・・(   J J J

 程々にしないといけないと言われましたので次回からは程々にしときます。

 それと、前回(6話)は戦闘の『描写が甘い』とか『アキトが強すぎ』とか『キャラが目立たない』とか

 掲示板に書かれていたので、とりあえず反省点の一つ、『キャラが目立たない』を克服してみました。

 いかがだったでしょうか? まだ、キャラが薄いですかね?

 しかし、この物語はアキトを中心にしていますから、アキト無しでは話が進まないと思うんですけどね。

 とりあえず、今回はこの辺で・・・・・・・それじゃあ!!

 次回もアキトと一緒にレリーーーーース!!

2004年05月15日



 敬具













管理人の感想

TAKUMAさんからの投稿です。

えっと・・・最初に言っておきますが、私は「CCさくら」という作品を全然知りません。

ですから、何の予備知識も無しに作品を読んでるのですが、全然・・・キャラの外見の描写が無いですね(汗)

登場人物の役割らしきものは書かれているのですが、それが外見上はどのような人物なのか見当もつきません。

その辺の処に、次からは気を付けて欲しいです。

お話自体は、相変わらず不幸の連鎖にアキトがはまっているのですが、まだ導入部分ですので今後の展開に期待ですな。