『漆黒の戦神』テンカワ アキトが『跳んだ』先は、西暦2178年の火星。

 そこで『天枷親子』に出会った。

 アキトは博士の助言により、天枷家の養子『天枷明人』として初音島に住んでいる。

 そして『朝倉純一』を始めとするいろいろな人物と出会った。

 まぁ、こんなドタバタメンバーと毎日を過ごしている訳だ・・・・・・





 いろいろと問題が重なったが無事に出航したナデシコ。

 だが、問題は無くなっていなかった。

 サイボークとは? 錬金術とは? FULLMETAL SOLDIERとは? 杉並とは?

 度重なる謎がナデシコを襲うのであった。

 そんなメンバーの中、誰として緊張感が無かったのだった。

 さてさて、今回はどうなる事やら・・・・・・





 これは3回目の逆行をした『漆黒の戦神 テンカワアキト』とその仲間達のマイソロジーである。
















FULLMETAL SOLDIER



第12話 請求書はミスリル宛てで












−ナデシコ 格納庫

 杉並機の手に乗りながら俺はナデシコに着艦した。

 格納庫で俺達3人は英雄だった。

セイヤ「初心者にしては大したものだぜ」

純一「いや〜必死でしたよ」

 セイヤさんに褒められる純一。

宗介「一体、何処で訓練を受けた。 吐け!!」

杉並「はははは。 頼むからそのグロックを突きつけるのは止めてくれないか?」

 宗介に尋問される杉並。

 そして・・・・・・










プロス「天枷さん・・・・・・ 一括にしますか? 分割にしますか?」

 エステバリスの請求書を突きつけられる俺であった。

アキト「え〜っと・・・・・・請求書はミスリル宛てでお願いします〜」

 あとはテッサちゃん達にまかせよう。(酷い)

プロス「分かりました。 それでは本題に入りましょうか?

アキト「一生、入らなくてもいいんですけどね・・・・・・」

 どうせ、『FULLMETAL SOLDIER』の事とかだろうな・・・・・・

 しかし、俺はそんな事をしている場合じゃないのだ。

アキト「す、すいません。 今は疲れているので後でいいですか?」

プロス「ふむ・・・・・・そうですね。 また、敵襲という時に疲れていたら困りますし」

 という事で、とりあえず開放となったのだった・・・・・・

アキト「それじゃあ、医務室に行ってきます

 そう言うと、俺は格納庫から脱出するのであった。










 後日、テッサちゃん達から苦情が来た事は言うまでも無い。

 結局は俺のミスリルの給料から差っ引かれたけど・・・・・・










−ナデシコ 廊下

 格納庫から出ると純一と合流して一緒に行く事にした。

アキト「杉並は?」

純一「宗介に捕まっている。 まぁ、後5分で逃げだすだろうけど・・・・・・」

 そういう奴なんだ、あいつは・・・・・・

純一「ところで・・・・・・行くんだろ?」

アキト「ああ」

 純一は俺の行き先を知っているのか着いて来る。

 別に俺も嫌ではないのでほっておいた。

ユリカ「アキト〜〜〜!!」

ルリ「アキトさ〜〜〜ん!!」


 何か、格納庫から聞こえたが無視しよう・・・・・・

ユリカ「アキトは何処!?」

ルリ「アキトさん? 何処ですか〜?」

ユリカ「えっ? 医務室に行った!?」

ルリ「行きましょう!! ユリカさん」


 もう既にルリちゃんとユリカが手を組んだみたいだ。 (   J J J

 これは、『同盟』が出来るまでは時間の問題だな・・・・・・ (lllllll  )

純一「どうかしたのか? アキト」

アキト「いや、今後の事を考えていたんだ」

純一「ああ。 大丈夫だって、俺も操縦に慣れてきたしさ!!」

 少し自慢のように言う純一だが、

アキト「いや・・・・・・そういう事じゃないんだ」

純一「???」

 あの苦しみがまた始まるとなるんだろうなぁ・・・・・・










−ナデシコ 食堂

 俺と純一が来たのは医務室ではなく食堂であった。

 ルリちゃん達の追撃を咄嗟に予測した俺はワザと違う場所を指定したのだ。

純一「どうしたんだ? 勝ち誇った顔して」

アキト「今、初めて勝ったという実感をしているんだ」

純一「へ、へぇ〜」

 何の事がさっぱり分からない純一はほっといて、サッサと中に入る。

ことり「いらっしゃ〜い」

 食堂に入った俺と純一を出迎えたのは白のフリフリのエプロンをつけたことりであった。

アキト「よう」

純一「へぇ〜 中々、似合ってるな〜」

 まるでオヤジのように下から上に舐めるように見る純一。 はしたないぞ。

ことり「朝倉君・・・・・・ オヤジ入ってるッスよ〜 (   J J J)」

 ほら、言われてやんの。

純一「待てよ? じゃあ、音夢も・・・・・・」

 めげずに義妹兼彼女の音夢ちゃんを探し始めるオヤジ丸出しの純一。 だが、

かなめ「ああ、音夢なら朝倉君の下手な操縦を見て倒れて医務室だけど?」

純一「俺だって好きであんな事・・・・・・ ―――って、倒れた!?

 下手と言われて少し落ち込む純一だったが、倒れたと聞いて復活する。

かなめ「う、うん。 今は安静に寝ているけど・・・・・・」

純一「音夢ぅぅぅぅぅぅ!!」

 かなめちゃんの話も最後まで聞かないで飛び出す純一。

 流石、義兄馬鹿。 ―――って、医務室の場所知っているのか?

かなめ「何、あんなに慌てているんだろ?」

 確かに「倒れた」と聞いて純一の反応はオーバーすぎるが、それには理由がある。

アキト「音夢ちゃんは身体が弱かったからな。 「倒れた」って言葉に純一がオーバーに反応するのも仕方ないさ」

かなめ「なーるほど。 ところで、アキト君は行かないの?」

アキト「まずは腹ごしらえをしないと・・・・・・『アレ』を使ったから」

 もちろん、『アレ』とはガトリングガンの事だ。

 テッサちゃんによると、あの銃弾は俺の体内の物質が練成されてできていると言う。

 だから、俺は錬成陣無しで錬金術が使えると言うが、実際はどうなのかは分からない。

 まぁ、簡単に言えばHPが減りながらの攻撃という訳だ。 という訳で俺はガトリングガンを使った後は腹が思いっきり減るのだ。

 それに、今は医務室に近付くと連中に捕まるからな・・・・・・ (   J J J

ことり「アキト君、何にする?」

 俺を席に案内したことりが注文を聞いてくる。

 ちなみに食堂は食券を先に買う方式だ。

アキト「肉」

 やはりコレが1番だろう。

美春「そう言うと思って用意しといたよー」

 厨房から顔をだした美春が自慢げにステーキの皿を差し出す。

アキト「おおー 流石は我が義妹。 良きにはからえ」

美春「ははー」

ことり「まるで殿様だね・・・・・・ (   J J J)」

 等と冗談を言っている間も俺の前に料理の山が並べられる。

ホウメイ「これを全部、食べる気かい?」

 調理が終わったのか、ホウメイさんが厨房から出てくる。

アキト「まぁ、今回は一段と派手に使いましたし・・・・・・」

 使えば使うほど体内の成分が減っていくし・・・・・・

 等と考えながら早速料理に手を付けるとしよう。

アキト「いただきまーす」

 ――ガツガツガツ ムシャムシャ ボリボリ

 次々と目の前の料理を胃袋に収める。

 中には骨等、普通なら食べない物まで丸ごと食べる。 だってカルシウムとか必要だし・・・・・・

ことり「相変わらず、豪快に食べるねぇ〜」

ホウメイ「まぁ、これだけ食ってくれると作りがいがあるねぇ〜」

 少し呆れ気味のことりに満足そうなホウメイさん。

美咲「アキト君、もう少し落ち着いて食べたら?」

 お茶の入った湯のみを差し出す美咲から湯のみを受け取り、一気飲みする。

アキト「だって、早く食わんと追撃があるからな」

 それだけ言って、また食べ始める。

かなめ「つ、追撃?」

ことり「一体、何に狙われているの?」

アキト「同盟」

一同「「「「「「???」」」」」」

 この意味を知るのは近くないだろうな・・・・・・





















−ナデシコ 医務室

 食堂でアキトが食べ物と格闘している頃、純一は医務室に何とか着いた。

純一「音夢!!」

 大きな声で叫びながら医務室に入る。

眞子「朝倉!?」

萌「あらあら〜 朝倉君ではありませんか〜」

 中では眞子と萌が何故か鍋を囲んでいた。

 しかも、座敷に“いより”まであり鍋がグツグツといい具合に煮立っている。

純一「眞子に萌先輩? ここって医務室ですよね・・・・・・ (   J J J)」

萌「はい〜 そうですよ〜」

 ほんわかと返答する萌。 だが、どう見ても医務室には見えない。

萌「ちゃんと、ベットもありますし〜」

 萌の視線の先には確かにベットが3台置かれており、内2台にはカーテンで囲まれていた。

 ちゃんと薬品棚もあるし机もある。 だが、中心にあるいより付きの座敷が医務室という不陰気をぶち壊していた。

純一「・・・・・・ところで音夢は?」

 医務室については無視という事にして肝心の本題に入る。

眞子「そこに寝ているよ」

 箸でベットの方を刺す。

純一「分かった」

 ――シャー

 純一はカーテンを開くと、そこには・・・・・・

 縄でグルグル巻きにされて顔には鍋の蓋をされた動かない死体が寝ていた。

純一「・・・・・・・・・・」

 ――シャー

 純一は無言のままカーテンを閉める。

 そして、右手で目をほぐすようにマッサージする。

純一「俺、やっぱり疲れているのかな?」

眞子「どうした? 朝倉」

 純一の様子がおかしいのか眞子が食べながら聞いてくる。

純一「いや、今男性の死体を見たような・・・・・・

眞子「ああっ、ヤマダさんね。 あんまり煩いんでたたんじゃった

萌「でも、眞子ちゃん〜 怒られないかしら〜?」

眞子「大丈夫でしょ? どう見てもギャグキャラだから次回にはピンピンしているわよ

 等と危ない発言をしているが純一は無視して隣のカーテンを開ける。

 そこには義妹の可愛らしい寝顔があった。

純一「音夢・・・・・・」

眞子「襲うなよ?」

 何時の間にか耳元まで移動していた眞子がとんでもない事を囁く。

純一「ばっ、馬鹿!! んな事しねーよ!!」

 顔を真っ赤にして反論する純一だが、眞子は「大丈夫、目を瞑ってやるから」等と茶化す。

 そんな時、医務室のドアが開く音がして誰かが入ってくる。

ユリカ「アキト〜〜〜!!」

ルリ「アキトさん!!」

 2人して勢いよく飛び込んでくるが、彼女達が目にしたのは1人鍋をつついている萌の姿だった。

萌「あらあら〜 お鍋の匂いに釣られてお客さんがこんなに〜」

 だから、お客じゃないって・・・・・・










純一「へぇ〜あんたがこの艦の艦長?」

 一旦、仕切りなおしにして鍋を囲みながらお互いに自己紹介していた。

ユリカ「そうなんですよ!! えっへん!!」

 鼻高々のユリカ。

眞子「こんな子供がオペレーターに若い女性が艦長とは・・・・・・」

ルリ「私、子供ではありません」

眞子「あわわ。 ごめん!!」

 慌ててルリに頭を下げる眞子。

萌「それで〜お2人とも天枷君をお探しに〜?」

ユリカ「違います。 アキトを探しているんです」

ルリ「だから、アキトさんの苗字が天枷なんですよ、艦長」

 指摘を注意するルリにあっそうかと頭をポリポリ恥ずかしそうに掻くユリカ。

純一「しかし、アキトの奴・・・・・・ルリちゃんと知り合いの上に艦長と幼馴染だったとは」

眞子「意外だったよね〜 あんまり、アキトって自分の事を喋らないし」

萌「火星に居た事自体も教えられませんでしたし〜」

 三者三様の反応であった。

ユリカ「それで、アキトは何処に!?」

ルリ「そうです。 アキトさんは何処にいるんですか!?」

 ズズィと3人に迫る2人。

眞子「多分、ここで待っていたら来るよ・・・・・・」

純一「そうそう。 音夢の見舞いに来るだろうし」

 とフォロー気味の2人。 どうやら、食堂へ行かれてアキトが犠牲になるのを回避させるようだ。

萌「それまで、鍋をもっとどうですか?」

 やはり、1人だけずれている萌はただ鍋をつつくのみだった。

ユリカ「そうだ、ルリちゃん。 コミュニケで呼び出したら?」

純一「コミュニケ?」

 聞き覚えの無い単語に疑問の浮かぶ純一。

ユリカ「知らないんですか?」

ルリ「これです。 これで通信とかするんです」

 ホレと言わんばかりに腕に着けたコミュニケを見せる。

 ところが・・・・・・

眞子「ねぇ、朝倉・・・・・・」

純一「眞子、お前もか・・・・・・」

 同時に同じ事を考えていた2人。

純一・眞子「「俺(あたし)達、それ貰ってない!!」」





















−デ・ダナン ブリッジ

 その頃、ダナンでは無事にナデシコが発進した事が報告されていた。

マデューカス「いやはや、一時はどうなるかと思いましたな。 艦長」

テッサ「ええ。 でも杉並さんと朝倉さんのお陰で乗り切る事ができました」

 映し出されている画面には戦闘中の映像が映っていた。

マデューカス「しかし、杉並の背後関係は一向に掴めません。 何か大きな組織が・・・・・・」

 マデューカスが持ってる杉並の資料の8割以上は赤文字で『Unkuown』と書かれている。

テッサ「ま、まぁ・・・・・・現時点では敵ではありませんし、今の所は保留にしときましょう。 それより・・・・・・」

 テッサは懐から一枚のメモ用紙を取り出す。 それはアキトが書き残したメモであった。

テッサ「ここに行って『ラピス・ラズリ』という少女を引き渡すように『交渉』してきて下さい。 そうそう、ウルズ2とウルズ6を連れてね」

 その言葉の意味が分かったのかマデューカスはニヤリと笑うと、

マデューカス「了解しました。 ウルズ2とウルズ6を連れて『交渉』に行ってきます。 装備クラスBを要求しますが?」

テッサ「許可します。 失礼の無いように後片付けもしっかりお願いしますね

 ニッコリと微笑みながら言うテッサにマデューカスは敬礼をしてブリッジから出て行く。

 マデューカスと入れ違いにカリーニンが入ってきてテッサの隣に立つ。

カリーニン「大佐、大変です」

テッサ「どうしたんですか?」

 カリーニンが「大変」と言う程だから大事だろう、と思ったテッサだったが、

カリーニン「あいつら、コニュニケを忘れて行きました」

テッサ「はい!?」

 カリーニンの持っていた紙袋には人数分のコミュニケが入っていた。

カリーニン「詳しく言えば私達が説明するのを忘れていたせいかと思いますが・・・・・・」

テッサ「弱りましたね。 恐らく代わりのコミュニケはナデシコには無いと思いますし」

 だからと言って火星まで行くのにコミュニケ無しで戦艦で戦い抜けるはずが無かった。

テッサ「どうにかして彼らが停泊してくればいいんですが・・・・・・」

カリーニン「しかし、予定ではこのまま宇宙に行くのでは?」

テッサ「どうしましょう・・・・・・」

 プラチナブロンドの三つ編をクルクル弄りながら考えるテッサ。

 これが彼女の考える時の癖である。 ―――と、その時、1人の通信士からの報告が入った。

 それを聞いている内にテッサは何か閃いたようにとある人物らに連絡を取るように指示を出した。

カリーニン「『彼ら』に任せるのですか?」

テッサ「ええ。 丁度、西欧から出張して来ていますし、彼らと面識があるから大丈夫でしょう」

カリーニン「ですが・・・・・・・」

 何か言いたげなカリーニン。

テッサ「分かってます。 そんな事をすれば軍は『彼ら』を使ってナデシコとウルズ5を我が物とするでしょう」

カリーニン「なら―――!!」

テッサ「大丈夫。 『彼ら』は軍人ですけどミスリルにも所属しているんですよ

 それを聞いたカリーニンはため息をついて、

カリーニン「私が心配しているのは『彼』が暴れてナデシコを沈めないか心配なんですが

 確かに『彼ら』は極秘でミスリルに所属している軍人だ。

 だから、軍からナデシコを強奪しろと命令が出たら逆らえないためナデシコを強奪するふりをしなければならないが、

 だが、その内の1人の性格からしてやり過ぎる可能性が高いのだ。

テッサ「だ、大丈夫ですよ。 ・・・・・・きっと (   J J J)」

 不安に感じつつも『彼ら』に連絡を取る様に命令するテッサであった。





















−ナデシコ 医務室

 俺は何ていう時に来てしまったんだ・・・・・・

 今、俺はそう後悔していた。 何故なら、医務室でルリちゃん達が待ち伏せをしていたのだ!!

 いや・・・・・・俺は何も間違った事はしていないはず、ただ音夢ちゃんの見舞いに来ただけなのに・・・・・・

ユリカ「はい、アキトあ〜ん」

 右隣には熱々のがんもどきを差し出すユリカ。

ルリ「アキトさん。 あ〜ん」

 左隣ではこれまた熱々の大きな餅を差し出すルリちゃん。

プロス「ほっほっほっ。 羨ましい光景ですな、天枷さん」

 なら、代わってくださいよ。 しかも、嫌味に肉ばっか食っているし・・・・・・

 俺の分も残してよね・・・・・・

プロス「さて、先ほどの話の続きをいたしますか」

 同時にプロスさんの目つきが商人の目に変わった!!

 この時のプロスさんって何を考えているのか分かんないんだよなぁ・・・・・・

アキト「何の事を聞きたいんですか?」

 という返答に、

ルリ「何故、サイボークなんですか? それに錬金術って何ですか?」

プロス「貴方程の方が何ゆえにナデシコに乗艦しているのか? それと、ミスリルの事について少々」

ユリカ「あのねー、アキトは私が大好きなんだよ!!」

 一気に問い詰めてくる3人。 ―――って、1人だけ明後日の方に暴走しているぞ。

純一「こんなんが艦長かよ・・・・・・ (   J J J)」

眞子「何か不安になって来たわ。 (lllll  )」

 まったくだ。

アキト「と、とにかく・・・・・・約1名は無視して話を進めよう」

一同(約1名覗く)『異議なし』

ユリカ「ふぇ〜 誰々? 仲間はずれはいけないんだよ〜」

 やかましい。

 と言う事で馬鹿――ユリカとも読む――は宣言通り無視して話を進める。

 火星で蜂の巣になった事。

 その後、ドクターJという爺さんと知り合った事。(覚醒した事はやっぱりヒ・ミ・ツ♪)

 地球にやって来て美春の家に転がり込んだ事。

 そこまでは前に話したとおりだった。 <FULLMETAL SOLDIER 第3話参照>

 途中、プロスさんが『テロリスト』の所で予想通り眉を顰めたが気付かないふりをする。

 ちなみに俺を撃ったテロリストはネルガルとは無関係の別の組織だっためプロスさんには関係ないだろう。

 俺が何年か前に潰しておいたし。

ルリ「それでサイボーグになられたんですか?」

 ハフハフと白菜を食べながら質問するルリちゃん。 行儀が悪いよ。

アキト「ああ、多分な。 実際に俺がサイボーグだって知ったのは・・・・・・」

 そう・・・・・・俺は地球に来た時まで知らなかった。 自分がサイボーグだって事に。

 それを知ったのは偶然だった。





















−回想

 時は13年前・・・・・・そう、俺が天枷家の養子になってしばらくした後の出来事だった。

 俺はともかく美春は兄が出来た事に多少の抵抗も無く、すんなり受け入れてくれた。

 多分、それは歳が近い関係もあるかもしれないけど・・・・・・

 (と言っても、その時の俺の精神年齢って25歳だったから俺の方か多少抵抗があったんだがな)

 だから2人して遊ぶ事はかなり多かった。

 そう・・・・・・あの日も当たり前のように近所の公園に遊びに出かけてた。










−初音島 公園

美春「お兄ちゃん! こっち、こっち!!」

 公園に着いた途端に笑顔の美春が楽しそうに公園の遊具へと走っていく。

アキト「あんまり、はしゃぐなよ。 怪我しちゃうだろ」

美春「大丈夫、だいじょ・・・・・あわわわ」

 ――ドテッ

 言っている側からこけてるし・・・・・・しかも、顔面から・・・・・・

アキト「言わんこっちゃ無い・・・・・・ 大丈夫か?」

 美春の側まで歩いて手を差し伸べる。 その時、俺は絶対に美春が泣くとばかり思っていた。

 だけど・・・・・・

美春「えへへへへへ。 大丈夫」

 差し伸べた俺の手を掴んで立ち上がった美春の顔は何事も無かったように笑顔だった。

 俺が「強いな」と言うと美春は、

美春「だって、美春が泣いたらお兄ちゃんまで悲しくなっちゃうでしょ!!」

 だから泣かないんだ、と両腰に手を当ててエッヘンと言わんばかりに自慢するが顔には・・・・

アキト「・・・・・ぷっ、あはははははは」

 美春の顔に指さして笑い出す俺。 そんな俺に美春は、

美春「な、何かおかしい事、言った?」

アキト「ははは。 い、いや・・・・・・は、鼻血が・・・・・・」

 え?と気付く美春の顔にはツーと鼻血がだらしなく垂れている。

美春「あ、あわわわわわわ」

 今頃になって慌てて服で鼻血を拭こうとする美春を俺は止めて、ポケットから出したテッシュで優しくグリグリと拭いてやる。

美春「うぐ、うぐぐぐ」

 恥ずかしいのか抵抗する美春。

アキト「ほら、ジッとしてな」

 と優しく注意すると美春も素直にジッと抵抗も無くなった。

 やっぱ、素直な義妹っていいな〜 (T_T)

美春「? お兄ちゃん、何で泣いているの? 美春、何か悪い事した?」

アキト「いや・・・・・・美春が義妹になってくれた事に感動しているんだよ」

美春「???」

 まぁ、美春にはこの意味が分かるまい。

 なんせ、今までの妹分と言ったら・・・・・











 妹分その1 ホシノルリの場合

 1回目:クールで、ツッコミがキツく、妹というより、ぶっちゃけて冷たい伯母(?)





 2回目:今度は逆に積極的になったが限度と一般常識を無視しており
      既に妹ではなく立派な拘束者(?)又はテロリスト










 妹分その2 ラピスラズリの場合

 1回目:ルリ以上に無口な上に無表情かつMXでも喋ってない





 2回目:ルリ同様に何かに目覚めて積極的になるが、やはりルリ同様自己中
      もはや妹などではなく観測者(?)又はでの拷問者










 考えてみたらロクなの居なかったな・・・・・・俺の周りって・・・・・・

作者『それ言ったらお終いだって!!』

 とにかく!! 美春のような素直で普通な義妹が出来て嬉しい限りなのだよ。

 ―――と、俺が可愛げのある義妹に共感しているその時だった!!

 ――ヴーーー ヴーーー ヴーーー

アキト・美春「「―――――!?」」

 突然に島中に響く音に反応する俺達。

 それは当時、木星蜥蜴の襲撃の警報音だった。

美春「お兄ちゃん・・・・・・」

 さっきまでの明るい顔が一転にして渋い顔をしながら俺の服の袖をギュと握り締める。

 それもその筈、これが初めてこの島に出された警報だからだ。

 ―――ってそんな場合じゃなかった。 たしか、家に博士が趣味で作ったシェルターがあったな・・・・・・

 何故に一般の家にそんな物があるかは・・・・・・考えないで置こう。

 そう言う事で美春の手を取って家へと走り出す。

 途中で美春が「ヘロヘロ〜」なんてお茶目を言ってるが無視して走る―――と言っても本気以下。

 無論、美春も平気なので俺に追いつこうとテッテッテツと走るが・・・・・・

 ――ドテッ

 やっぱこけたか。 (確信犯)

 こけた美春を助けようと後ろを振り返ると・・・・・・

 ――ドシィィィィン

 美春の後ろにジョロが一体着地した!!

 もう、ここまで進行してんのかよ!?

 その時、初めて地球軍の警報システムの不甲斐なさを呪ったと同時に地を蹴って美春の前に出る。

美春「お兄ちゃん・・・・・・」

 弱弱しい声が後ろから聞こえる。 だが、振り返って慰める事は出来ない。

 何故なら、目の前の暴れん坊が戦闘状態に入っているからだ。

 少しでも隙を見せればミサイルを打ち込まれてお終いだからだ。

 なら・・・・・・・

アキト「・・・・・・・・・・(チラ)」

ジョロ「――ピピッ」

 チラッと別の方を見る俺。 その俺に敏感に反応したジョロがミサイルを発射する為に信号を出す。

 その間、約2.04秒。 その間だけジョロのシステムがミサイル発射に気が反れる。

 それを狙って地を蹴り一気にジョロの懐に入り蹴りの一撃を入れる。 が・・・・・・

 ――ヴォォォン

アキト「ちっ、ディストーションフィールドか!!」

 鈍い音と共にアキトが弾かれる。 日頃からディストーションフィールドを意識して戦っていなかったため耐久力を意識し切れなかった。

 まぁ、言い訳にしか聞こえんわな・・・・・・

 だが、今の一撃でミサイルの発射プログラムが強制キャンセルされたのかミサイルは飛んでこない。

美春「お兄ちゃん!!」

 さっきとは違う美春の叫び声が聞こえた。

アキト「美春!! 隠れていろ!! すぐに片を付ける・・・・・・」

美春「う、うん・・・・・・」

 暫くして後ろから美春の気配が少し遠ざかる。 これで戦いに身が入る。

 ―――と、格好よく言ったのはいいがDFSやフェザーブラスター等の効果的な武器があるわけでもない。

 あるといったら・・・・・・

アキト「試すのは初めてだな・・・・・・」

 ジョロを目の前に構え直す。 そして、『氣』を練りこんで・・・・・・放出する!!





 ・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・

 ・・・・・・

 ・・・・

 ・・

 ・





アキト「あれ?」

 何時まで待っても何時もの昴氣の感触が感じられない。

アキト「もう一度!!」

 何度やっても昴氣は出てこない!!

アキト「そんな・・・・・・・」

 自分で分かるほど驚愕だった。 これで手は無くなったのだ。

 あまりの衝撃に自然に構えがうろたえる。

 その隙にジョロが思いっきり体当たりしてくる。

 当然、その衝撃に耐え切れない俺は思いっきり吹っ飛んだ。

 ――ズザザザザザザザ

 背中から服が擦り焼ける嫌な匂いと痛みが来る。

アキト「くっ!!」

美春「お兄ちゃん!!」

 見ていられなくなったのか近くの電柱に隠れていた美春が俺に駆け寄る。

 ・・・・・・電柱に隠れるなんて通だな、美春。

 ヨロヨロと起き上がる俺を支えるように抱きつく美春だが、ジョロは仲間まで呼んでゾロゾロとやってくる。

 俺は既に腑抜けになっていた。 この時、改めて『無力』の意味を知ったのかもしれない。

美春「お兄ちゃん!!」

 成すすべが無く、ただボーッと美春の顔を見ていると何かの画とデジャブを起こした。

 そういえば、前にもこんな事あったよな・・・・・・










 ふと視界が暗くなり、顔は見えないがミカンを持った少女が現れた。

???「お兄ちゃん!!」

 誰だ君は・・・・・・

 少女は何も言わず消えて、次に現れたのは青い髪の女性だった。

???「アキト、立って!!」

 「立って」って、何も出来ないよ。

 女性は何も言わず、次はツインテールの少女とピンクの髪の少女が現れる。

???「アキトさん、諦めないで下さい」

 だって、もう俺には何も残っていない・・・・・・

???「アキト、私がいるよ。 私はアキトの目、アキトの耳、アキトの手、アキトの足・・・・・・」

 黙れ!! 顔の見えないお前達に何が分かる!!

 だが、少女達も何も言わないまま消えていく。

 そして、次々と人達が現れて同じような事を言っていく。

 セクシーダイナマイツに対象の○乳おさげ。 熱血と眼鏡とウクレレの3人娘。 コック服を着た女性にエプロンを着た女の子達。

 キザっぽいロンゲに秘書っぽい女史。 白衣を着た金髪女性に軍服を着た爺さん。 チョビ髭に図体のデカイおっさん。

 ツナギを着たおっさん達。 何か影薄そうな男と少年。 ノリの良さそうなおっさんと天使の輪を着けた大男。

 金と銀の女性。 超熱血で瓜2つなマニア。 その他もろもろ人々が出てくるが誰一人として顔は見えない。

 だが、皆が皆「頑張れ」だの「負けるな」だの好き勝手に言っていく。

 俺はもう疲れたのに・・・・・・

 大体、俺は何で戦っているんだろ。

???「それはあー君が決めた事だからだよ」

 先ほどの連中とは違う声がするが見ない。

 俺はもう疲れたんだ。 大体、俺が戦わなくても代わりはいる。

???「貴様!! そこまで腑抜けになったか!!」

 今度は似た声だが口調が違った。

 黙れ!! 力をなくして無力になった俺の何が分かるんだ!!

???「無力・・・・・・ ふはははは」

 何が可笑しい!!

???「確かに今の貴様は無力だな!! 護る者を護ろうとしない貴様は本当の負け狗だ!!」

 ―――――!!

 俺は・・・・・・今まで何を・・・・・・・

???「あれを見て」

 優しい口調の方が指差す先に映っていたのは美春とまるで糸の切れた人形のように動かない俺の姿だった。

 そして、その目の前には先ほどのジョロ軍団。

???「どうする? 負け狗。 怖気付いてココで怯えて死ぬか、力も無いのに戦って死ぬか・・・・・・ 決めるのは貴様だ」

 俺は・・・・・・俺は・・・・・・










アキト「俺は戦って、皆を・・・・・・護るべき人達を護るんだぁぁぁぁぁぁぁ!!」










美春「お兄ちゃん!!」

 意識を取り戻した俺を抱きながら涙目で見つめる美春。

 そうだ・・・・・・もう誰も悲しませないために、俺は戦うんだ!!

アキト「たとえ、無力でも!!」

???『やっと何時もあー君に戻ったね』

???『それでこれ我がライバル。 貴様との再会、楽しみにしているぞ』

 ああ・・・・・俺もだぜ。 北斗に詩織ちゃん。

 そうだ、何でこんな事を忘れていたんだ。

 俺はもう一度、皆と出会うため。 皆と戦うため。 平和を取り戻すために!!

アキト「うぉぉぉぉぉぉぉっ!!」

 またもや力任せに体当たりを決行する俺だが、やっぱりディストーションフィールドに弾かれる。

美春「お兄ちゃん、無理だよ」

 倒れた俺に美春が駆け寄る。

 やっぱり駄目かなぁ・・・・・・と思った、その時だった。

 急に視界が一瞬だけ暗くなり直ぐに元通りになる。 いや、それ以上に異変が起こった。

アキト「な、なんだ!?」

 視界に現れたのはまるでSF映画のターミネーターの視界に有りそうなメニューからロックオンするような照準などが表示されている。

 そして、さらに・・・・・・

アキト「アームウェポンシステム?」

 視界のメニューから『Arm Weapon System』と表示されて左腕の事が表示されていた。

アキト「んな馬鹿な!?」

 だが、迷っている場合ではなかった。 目の前にはジョロ軍団。 後ろには美春。

 残された手はこれだけ。

アキト「なら!!」

 ガシッと左腕を掴み軽く捻り、左腕を引き抜く。

 それと同時にジョロが体当たりをしてくる。

 そして・・・・・・・










 ――ザクッ










 あとに残ったのは真っ二つになったジョロと、










 左腕が剣になったアキトの姿であった。










to be continued







この作品はフィクションです。実在の原作・人物・団体・事件なとには、一切関係ありません。







−後書きコーナー

 拝啓

 第12話をお届けしました〜

 前回から約2ヶ月。 『何してんたんだ、SEEDはどうした』と激怒する方がいたら嬉しい所なんですが、

 やっと!! とうとう・・・・・・





 メールが使えるようになった。





 だからどうしたって?

 大変だったんですよ〜ちゃんと設定したはずなのに出来ないんですから。

 数日後・・・・・・おなじみの友人のKさんに状況を説明すると・・・・・・

Kさん「お前、アカウントちゃんと入力したか?」

作者「したよ」

Kさん「なんて?」

作者「OCN (サーバー)」

Kさん「お前馬鹿か? アカウントというのは・・・(中略)・・・だ」

作者「え? サーバー名じゃ駄目なの?」

Kさん「味噌汁で顔洗って出直せや」

 とまぁ、こんなやり取りがあって(実話です)なんとかメールが出来ます。

 これで、感想がちゃんと見れるよ・・・・・・

 でも、感想が着たら返信した方がいいのかな? どうなんですか?

 とまぁ、そんな事で後書き反省会スタートです。





−ガトリングガンの秘密−

 物語の中で多少説明があったと思いますが、ココで補足等をしたいと思います。

 まぁ、勘の良い方はお気付きでしょうがガトリングガンは言わば『諸刃の剣』

 使えば使うだけ体力を消耗して弾を練成するからです。

 だけどその詳細は不明。 やはり錬金術の応用と見られている。





−マデューカス中佐の『交渉』の結果−

 そりゃあ、もちろん跡形も無く片付きました。

 少し社長派の連中が可愛そうなぐらいに・・・・・・

 だって・・・・・・

 夜明けと共に有無言わさずにICBMを3発撃って、M9を2機も突っ込ませて片っ端から破壊してラピスを奪還―――と言うより強奪、

 その後、荒野と化した土地を元値の1/4万で叩き買い、その日の内にミスリルの基地がの工事の着工という手際の良さだった。





−『彼ら』の正体−

 はい、ミスリルに所属の地球軍へのスパイと言った所ですかね。

 さてさて、誰でしょ〜ね〜。

 分かった人は折角なのでメールでコソッと送ってみてね。

 ヒントは2人組。 前話。





−アキトの精神年齢−

 アキトがこの世界にボゾンアウトした時には25歳と推定される。

 そして、現在が13年後・・・・・・

 つまり・・・・・・・アキトは38歳!!

 つーか、若作りしすぎの38だなぁ・・・・・・





 もしかして、ボゾンジャンプって『若作り』に約立つんじゃ?





−ラピスの『MXでも喋らない』−

 いや・・・・・・実際そうだったし。

 せっかく『D』で登場したとしてもGBAに音声は無いから諦めたが、

 『MX』に出るなら「私はアキトの目、アキトの耳、アキトの手、アキトの足・・・・・・」ぐらい喋らせようよ。

 ・・・・・・・いや、一発ネタとして





−次回予告−

 ルリとプロスにせがまれて過去を話すアキト。

 話している間にアキトは過去の・・・・・・新たな自分との出会いを思い出していた。

 一方その頃、地球軍にも動きがあった。 今度こそ登場するか『MX』では完全な裏方のミスマル提督。

 そして、テッサ達の送り込んだ刺客の正体とは!?

 次回、『鋼の身体』

 お楽しみに!!

2004年06月17日



 敬具




















管理人の感想

TAKUMAさんからの投稿です。

あ・・・何と言うか、全然話が進んでませんね?ね?(汗)

そもそも、ナデシコは出港してるでしょうか?(大汗)

アキトの過去も必要ですが、もうちょ〜っとストーリー展開を進める必要がなると思いますよ?

 

 

> 『鋼の身体』

 

お前は鋼鉄ジー○か!!(爆笑)