機動戦士ガンダムSEED PLUS


第16話 スレイヤー
















−AA 格納庫

 ヴェザリウスの嵐が過ぎ去った時、AAは名将ハルバートン提督率いる第8艦隊と合流を間近にしていた。

 そんな中、キラはフラガに頼まれメビウスのシステムチェックを行っていた。

キラ「まったく、何で僕が・・・・・・」

フラガ「悪いな、俺よりかお前さんの方が得意だろ」

キラ「でも、もう直ぐ第8艦隊と合流なんでしょ?」

 キーボードを叩きながらのキラの質問にフラガは顔を歪ませて答えた。

フラガ「あのクルーゼがこのまま引き下がってると思うか? それに・・・・・・」

キラ「それに?」

 今度はフラガの顔が笑顔に変わった。

フラガ「あの変態――アスラン――が見す見すお前さんを見逃すと?」

キラ「さ〜早く仕上げてストライクの整備しなきゃ!!」

 指の速度が更に10倍以上に上がるキラ。

 彼は知らない、その頃のアスランがヴェザリウスに居ないなんて・・・・・・





















−プラント 精神病院

アスラン「離せ〜!! 俺をキラの所に逝かせろ〜!!」

 ――ガキンッ ガギギギギギィン

ザフト兵A「だ、駄目です!! セラミック合金の鎖が持ちません!!

 鎖でグルグル巻きにされていたアスランが突如目覚めて暴れだしたのだ。

 その対処に20人以上の兵士が取り押さえるが尽く殺られていく。

ザフト兵B「パトリック様、どうすれば良いでしょうか!?」

 兵士が泣きながら連絡する画面には最高評議会議員のパトリック・ザラの姿があった。

パトリック『知らん。 ―――って言うか、殺せ!!』

 それだけ宣告すると一方的に通信を切った。

 泣く子も黙る死刑宣告。 親も子も無いのか・・・・・・

ザフト兵C「しょうがない、許可も降りたのだ。 撃て!!」

 ――パラララララ ズダダダダダ

 容赦なく発砲される弾丸はアスランに命中していく。

ザフト兵C「よし、止め!!」

 合図と共に止む銃声。

ザフト兵B「し、死んだか?」

ザフト兵A「一応、象も一撃の麻酔弾だ。 ・・・・・・大丈夫だろ?」

 と言いながらアスランの死体(?)を確認する兵士達。

 だが―――!!

 ――がばっ

 ――どかっ ばきっ げしっ

ザフト兵『ぐはっ』

 突然に起き上がったアスランが鎖を断ち、次々と殴り倒していく。

アスラン「その程度の攻撃、キラへのの前では屁でもないわ!!」

 十分に迷惑な話である。

アスラン「しかし、俺は何故にこんな所に・・・・・・いや、それよりも!!」

 普通、こんな状態の人間を精神病院に叩き込むの常識だと思いますよ?

アスラン「急いでキラの下に逝かなければ!! 届け!! この想い!!

 と言いながらある方向にド・ピンク色の電波を飛ばすアスラン。

アスラン「待ってろよ!! キ〜〜〜ラ〜〜〜!!」

 ――ドドドドドドドドドド・・・・・・





















−プラント 某所

 プラントの某所にて、この様子を視ていた人物が居た。

歌姫「うふふ。 流石はアスランですわ。 私の想像以上の変態ぶりですわ♪」

 そう言いながら彼女は軍の電波をジャックして宣言する。

歌姫(?)「マル秘が逃走!! 見つけ次第、発砲の許可アリ!! 繰り返す、見つけ次第、発砲せよ!! でなければ・・・・・・死ぬぜ

 以上の事をダンディーな男声で次々と指示していく歌姫。

歌姫「ふふふ。 無事に私のキラに近づけるとお思いですか? アスラン」

 そう言いながらAAでのキラの画像を編集する歌姫。

 ちなみに試しにキラの写真(ごく普通の軍服)を売った所、わずか3秒で完売した。 (1枚:30000円×50枚)

 さらにアキトの写真に至ってはたった1秒である。 (1枚:50000円×30枚)

 恐るべし腐女子の世界!! (失礼)

歌姫「後はヤ○オクで高値がつくのを待つだけですわ」

 画面のオークションの値段は市場の3、4倍もの値が付いていた。

歌姫「ふふふふふ。 これで稼いで老後は安泰ですよわよ!! キラ!!

 何気に老後までの人生計画を立てられるキラって・・・・・・

歌姫「(変態の想いは途切れて) 届いて!! この愛!!

 アスランと同じ方向真・ピンク色の電波を飛ばす歌姫。










 どっちにしてもキラにとっては迷惑な話でしかなかった。





















−AA 格納庫

 丁度その頃、キラを初めとするカレッジ学生は感動の再会に喜んでいた。

 なんと第8艦隊がヘリオポリスの壊れた脱出ポットを回収していて、その中に顔見知りの『フレイ・アルスター』が居たのだ。

サイ「まさか、こんな所でフレイに会うとはな」

フレイ「驚いたのは私の方よ。 いきなりザフトが攻めて来たと思ったら戦艦の中だし、そこにサイ達が来たんだもの」

 あまつさえ再会した友人達が軍人になっていた時には驚きものである。

ミリィ「―――と言っても私達って民間人だし、直ぐに解放されると思うわ」

フレイ「ふ〜ん、そうな―――!? (このプレッシャーは何?)」

 ――ゾクゾクゾクゾクゾク

 フレイが『何か』を感じ取ったと同時にキラに悪寒が走った。

ミリィ「どうしたの? 2人とも」

フレイ「いえ、何でもないわ。 (今のプレッシャー・・・・・・やるわね)」

キラ「僕も何でもないよ。 ただ、少し悪寒がしただけだから」

 と言って袖を捲くると物凄い鳥肌が立っている。

トール「お前、ソレはただ事じゃないぞ。 医務室で休むか?」

キラ「う〜ん、どうしよう・・・・・・」

フレイ「そうしなさいよ。 今まで疲れているんでしょ? 私が連れて行ってあげるから。 (ふふふ・・・・・・)」

 キラの肩に手を回して支えるフレイの心の中では黒い笑みをしている等とは誰も思わなかった。

 ・・・・・・ただ1人を除いて。

ミリィ「い〜え、キラは私が連れて行くわ!! なんせ、同じ『軍人』ですから!! (何、考えているの!? 条約違反よ!!)」

 聞こえない声で『組織』の事を言うミリィ。 フレイも実は『組織』の一員になっていたのだ!!

フレイ「そんなの事を言うなら私、志願するわ!!」

 そんな理由で志願するか?

ミリィ「ちょ、冗談言わないでよ!! それに私達、除隊するんだから!!」

フレイ「あら、そうなの? なら、や〜めた」

 いいのか? そんなんで?

サイ「フレイ、もしかして・・・・・・キラの事が・・・・・・好きなのか?」

 女子の怒鳴りあいを聞いていたサイが勇気を出して聞いてくる。

フレイ「あたりまえじゃない」

サイ「!? なら、俺との婚約は!?」

フレイ「そんなの当て馬に決まっているでしょ」

サイ「ガ〜〜〜ン!!」

 サイちん、撃沈。

キラ「2人とも止めな―――!?」

フレイ「―――――!!」

 ――ゾクゾクゾクゾクゾクゾクゾク

 またしても『何か』を感じ取ったフレイ。 同時にキラにも悪寒が走り・・・・・・

 ――ぱたり

 倒れた。

ミリィ「キラ? キラァァァァァ!!」

サイ「おい!! しっかりしろ、キラ!!」

トール「かなりの鳥肌だぞ。 医務室に運ぼう!!」

 倒れたキラに駆け寄る3人。 そんな中、フレイは・・・・・・

フレイ(今のプレッシャー・・・・・・何だか共感できる部分があった・・・・・・)

 電波に共感していた。










 30分後、強制的に入隊しているフレイの姿があった。

 ちなみに動機は「キラに対するです」だった。

 その時、当の本人はまだ医務室で魘されていたのだった。










 そして・・・・・・運命の第8艦隊の最後の戦いの火蓋が切って落とされた。





















−ヴェザリウス アキトの部屋

アキト「やっと、俺の出番!!」

 大声で涙しながら感動するアキト。

ブロス『アキト兄・・・・・・』

ディア『最近、影薄かったもんね・・・・・・』

 久々の登場に浮かれるアキトを見て呆れるAI2人。

 ・・・・・・呆れるAIなんて凄く珍しいぞ。

アキト「こほん。 それはともかく・・・・・・ブロス、機体の方は?」

 誤魔化しの咳を1つ鳴らし、ブロスに以前に頼んでいた機体について聞く。

ブロス『バッチリ。 ただ、起動実験まではできなかったけど』

アキト「十分だ。 ディア、状況説明」

 急に真面目モードに戻ったアキトに戸惑いつつも状況を説明し始めるディア。

ディア『現在、ヴェザリウス・ガモフと他2隻のザフト艦が連合軍第8艦隊と交戦中』

 ザフトはデュエル・バスター・ブリッツを主としたジン等MSの少数部隊。

 対する地球軍はメビウスだけのMA大部隊。

 数的には地球軍が断然有利なのだが、MAとMSの性能差が激しく違い、ましてや相手がガンダムだと像と蟻である。

アキト「それで、AAは?」

ディア『旗艦であるメラリオスの隣で地球降下のタイミングを計ってるよ』

ブロス『―――ってAAに行くの? アキト兄』

アキト「ああ。 あの艦はナデシコと似たような感じがするって言ったろ」

 だから行くんだというアキトだが・・・・・・

ディア『本音はヴェザリウスが飽きたんでしょ

アキト「・・・・・・ソンナコトナイヨ」

ディア『その間は何?』

ブロス『それに発音がおかしいし』

 手を横に振って否定するアキトだが、バレバレだった。

アキト「・・・・・・とにかく、格納庫に向かうぞ」

ディア『おお〜アキト兄が久しぶりに主人公っぽい事を』

アキト「・・・・・・お前、今まで俺が何だと思ってた?」

ディア『SEEDキャラの濃さに押されていた脇役』

アキト「・・・・・・・・・・」

 ハッキリ断言するディアに軽く落ち込むアキト。

ブロス『ところでアキト兄、格納庫への道とかって覚えてる?』

アキト「え゛・・・・・・」

 固まるアキト。

 彼は居住区に出入りはしていたが格納庫付近には1、2回しか行った事がなかった。

 さらに言えば、その1、2回もイザーク達に案内してもらっていた為に道を覚えてなかった。

ディア『アキト兄・・・・・案内してあげようか? ニヤリ

 わざと馬鹿にしたようにニヤつくディアにムッとするアキト。

ブロス『も〜ディアったら・・・・・・僕が案内しようか?』

アキト「必要ない!! 俺には最終手段が残っている!!」

ブロス『何それ?』

 やけに自信満々のアキト。










アキト「名付けて『北斗式解決法』

ディア・ブロス『『え゛?』』










−ヴェザリウス 格納庫

ディア『着いたね』

アキト「着いたな」

ブロス『後ろは凄い事になってるけどね』

 デッキにて呆然とするアキト+AI2人の後ろの壁には大きな穴がずっと道のように開いていた。

 そう、『北斗式解決法』とは、目標の気配に向かってひたすら壁を破壊して進む事だった。

 ちなみに使えるのは北斗(枝織)とアキトのみだ。 (当たり前だ)

 お陰で後ろの『道』ではザフト兵達がアキトの奇行に怯えながらも一生懸命修復作業をしていた。

ブロス『しかし、派手にやったね〜』

ディア『―――ってか、最近出番が少なかったから憂さ晴らしでやったんでしょ』

アキト「・・・・・・・・・・」

 反論しない所を見ると図星の様である。

アキト「と、とにかく、ブロス機体の転送を頼む」

ブロス『OK〜』

 そう言ってブロスの画面だけが閉じる。

 ちなみにザフト兵達はそんなアキトの事を無視していた。 所謂、『触らぬ神に祟り無し』というやつである。

 そんな事をやっている間に格納庫の開いてるスペースに虹色の光が輝いた次の瞬間―――1体のMSが出現した。

ブロス『これが新たな機体『スレイヤーガンダム』だよ』






















−スレイヤーガンダム (案:スペリオンさん)

 お待たせしました。 2年前に募集していたアイデアの第2段の機体です。

 アイデアの中で目に止まったのは『突撃』(案:旅人さん)『格闘』(案:Shingoさん)です。

 <元ネタ文>

 『旅人さん』

 最初の5体のガンダムの特徴は、汎用型(デュエル)、汎用換装タイプ(ストライク)、隠密タイプ(ブリッツ)、
 長距離支援タイプ(バスター)、変形タイプ(イージス)だったので、私は、突撃タイプを提案します。
 イメージとしては、足、そして背中には大型バーニアがついていて、ミサイル、手榴弾、中距離バルカンなどを装備しているガンダムです。
 長所としては、オーバーブーストを使用したときの速度は他のガンダムよりも上ですが、
 その分推進剤が早く切れるため、一撃離脱の切り札にしか使えないという点です。

 『Shingoさん』

 対MSでの格闘戦を想定して開発された『格闘家』の名を冠したガンダム。
 ビームライフル等の手持ちの銃器や盾を使わず、基本的にパンチやキック等の格闘技やアーマーシュナイダーによる斬撃を用いて敵を倒す。
 その戦闘の特性上、肘や膝に当たる部分の装甲が特に強化されている(但しその分他の部分の装甲はやや弱い)
 また機動性もかなり高く、特に懐に飛び込む時の速さには目を見張るものがある、
 弱点は近接格闘戦に特化した為に、遠距離からの攻撃に弱いと言う事…つまりバスターとは正反対である。

 背中にはX型のスラスターを装備。 (クロスボーンガンダムみたいなやつが後ろに少し傾いた感じ)

 外見はストライクと似た感じだが背中のスラスター以外は他に特徴が無い。 カラーリングは白と青。

 超接近戦用のスピード重視の機体なのでビームライフル類等は装備していない。

 動力源はストライク等と同じでフェイズシフトを使用するが、エネルギーの容量はストライク等の1.5倍〜2倍弱ある。

 装備: 75mm対空バルカン砲 『イーゲルシュテルン』×2
  『マシンキャノン』<参照:ウイングガンダム ゼロカスタム>(両肩)×2
『ビームナイフ』(腰)×2
『ビームザンバー』<参照:X1 GX>(両肩後ろ)×2
『アンチビームナックルガード』×2
『ビームシールド』<参照:Vガンダム>(両腕)×2


 装備されている『アンチビームナックルガード』は機体のエネルギーを集中させる容量により破壊力が変わる。

 そして、集中させたエネルギーを放出させる事もできる。 (ドラゴンボールの気功派みたいな感じ)

 ただし、あまり使いすぎると、直ぐにフェイズシフトダウンしてしまう。 そのために他機よりもエネルギー容量が多いのだ。






















−ヴェザリウス 格納庫

アキト「こんなの造るなんてな・・・・・・これもセイヤさんの作品?」

ブロス『うん。 凄いよね〜ここまで完成度がかなり高いもん』

 ブロスの言うとおり『スレイヤー』の設計図を8割を採用して残る2割をMSのノウハウでカバーしただけであった。

ブロス『とにかく、中に入ってみて。 かなりの自信作なんだから』










−ヴェザリウス 格納庫 スレイヤー コックピット

 シートに座ったアキトの感想は凄いとしか言いようが無かった。

 内部の構造等はほとんどブローディアのコックピットに似ており、唯一違ったのは操作レバー等が増えてマニュアル操作になっていた。

 だが、この構造は1度見たことがあった。 そう―――セイヤの実験室でやったシュミレーターである。

 よって、アキトは操作の方法が分かってきた。

アキト「よし・・・・・・後は実戦でテストだな」

 軽く格納庫内で動いてウォーミングアップを終える。

ブロス『ナックルガードを展開するには音声入力だからね』

アキト「分かった」

 そう言ってハッチの方に歩き出すスレイヤー。

 その足元では整備員達が慌てて非難している。

ディア『そういえば、どうやってヴェザリウスから出るの?』

ブロス『ハッキングしようか?』

 さらりと物騒な事を言うブロス。

 やはり、教育が悪かったのだろうか、それとも育った環境がいけなかったのだろうか?





 ・・・・・・両方だろうな。

アキト「いや、ここはもう一度『北斗式解決法』でいく」

 つまり、ハッチごと破壊するという事だ。

ディア『わざわざ破壊するの?』

アキト「この機体の性能チェックだ。 ナックルガード展開!」

 ――ガキンッ

 両手を庇う様にナックルガードが装着される。 <参照:ガンダムマックスター>

アキト「エネルギーは1割っと・・・・・・」

 パネルを操作して両手に集うエネルギー量を設定する。

 すると、両手に微かな光が纏い始める。

アキト「よし! たぁぁぁぁぁっ!!

 スレイヤーが正拳突きを思わせる様に拳を繰り出す。

 すると、纏っていたエネルギーの光がレーザー砲の様に放たれた!!

 ちゅどぉぉぉぉぉん!!










−ヴェザリウス ブリッジ

クルーゼ「やってくれたな・・・・・・」

 次々と入ってくるアキトの被害報告に溜め息を吐くクルーゼ。

アデス「どうします? このままでは戦闘は・・・・・・」

クルーゼ「仕方あるまい。 ヴェザリウスは後退させる。 後はガモフに任せるさ」

 こうしてヴェザリウスは後退しざろうえなかった。

クルーゼ(さて、テンカワ・アキトが『奴』に出会ってどう反応するか楽しみだな)

 一体、『奴』とは・・・・・・?





















−AA ブリッジ

 一方その頃、AAは地球に降下するとハルバートンに連絡していた。

ハルバートン『では、行くと言うのだな』

マリュー「はい。 それしか方法がありません」

ハルバートン『・・・・・・分かった。 送り狼は一匹も通さん。 この命に代えても』

 その言葉の意味は誰もが分かった。

 ―――刺し違えてもAAを降下させる。

 クルーは複雑な心境であった。

ハルバートン『これからの時代に私のような老人は要らん。 必要なのは君達のような若者だ』

マリュー「はい」

ハルバートン『それと・・・・・・あのコーディネイターの少年にもよろしく言っておいてくれ』

マリュー「分かりました」

 未だAAの医務室で寝てるキラの事を言うと、そのまま通信が切れた。

マリュー「聞いての通りよ、降下準備!!」

 マリューが叫ぶと同時にクルー達に緊張が走ったのだった。










−AA 格納庫

 地球に降下するという放送の直後、フラガはメビウス・ゼロに飛び乗っていた。

マードック「何してるんですか!? 少佐」

フラガ「見たら分かるだろ!! 外からAAを援護する!!」

クリス「無茶です。 メビウスにはストライクの様な大気圏降下のスペックは無いんですよ!!」

フラガ「それまでには戻ってくるさ!! 何せ俺は不可能を可能にする男だからな!!」

 そう言いながらコックピットからブリッジに通信を繋げた。

フラガ「―――と言う訳だ!! 俺の発進許可を出してくれ!!」

 画面の向こうにいるマリューは苦い顔をしていた。

 これが通常の戦闘ならフラガには逸早く飛び出して欲しかった。

 だが、今は大気圏降下シークエンスの真っ最中なのである。

 今、AAを飛び出して戻ってくるには奇跡に近い。 むしろ、不可能である。

 理由は2つ。

 1つは敵の戦力。 奪われたヴェザリウスとガンダム3機を主としたMS隊。

 いくらフラガが『エンディミオンの鷹』と言われようと相手が悪すぎる。

 そして2つ目。 現在位置である。

 現在、降下シークエンス真っ最中のAAは大気圏内に居る。

 つまり、戦闘中に地球の重力と引力に引っ張られ機体のコントロールが非常に難しいのだ。

 以上の事からマリューとナタルは発進許可が出せなかった。

 ・・・・・・トノムラの報告を聞くまでは。

トノムラ『レーダーのナスカ級が後退しています!!』

ナタル『誰かが旗艦をやったのか?』

 その言葉を聞いたフラガが更に食い下がった。

フラガ「旗艦が居なくなったんだ。 残るはMSのみ!! 俺が一っ走り行って引っ掻き回して来るぜ!!」

 だから、許可を!!と言うフラガにマリューはとうとう折れた。

マリュー『・・・・・・許可します』

ナタル『少佐、フェイズ3までには戻ってきてください』

フラガ「了解、了解」

 そう言いながらコックピットのハッチを閉めて発進準備するフラガ。

ミリィ『メビウス・ゼロ!! 発進どうぞ!!』

フラガ『ムウ・ラ・フラガ!! メビウス出るぞ!!』

 格納庫から景気よく出で行くゼロ。

クリス「少佐も凄いですね」

マードック「まったく・・・・・・緊急着陸用のネット準備――スタンバイ――だ!!」

整備員『おぉぉぉぉぉ!!』

 気合の入った整備員達が戻ってくるゼロ用のネットを準備し始めた時・・・・・・

???「マードックさん!! クリスさん!!」

 誰かが2人に声を掛けたのだった・・・・・・










−AA ブリッジ

 ゼロの発進後、ブリッジは未だ緊迫した空気が流れていた。

 フラガが敵を引き付けているとは言え、たった1機。 何処か心細い物があった。

 ―――せめて、ストライクで出て来れば・・・・・・

 一同の脳裏に浮かんだのは1機のMSと少年の姿。

 だが、彼はもう除隊した身(除隊許可書をキラは受理してない事を知らない)である。

 そんな彼に殺人兵器――ガンダム――に乗せて戦わせる事等はできなかった。

 ――ドゴォォォ・・・・・・

クルー『―――――ッ!?』

 突然に艦体が揺れた。

マリュー「今のは!?」

トノムラ「艦隊を突破してきたデュエルの攻撃です!!」

ナタル「もう突破してきたのか!! フラガ大尉のゼロは!?」

トノムラ「バスターと交戦中です!!」

 返ってきた答えに奥歯を噛み締めるマリュー。

 どうするべきか? 降下シークエンスに入っている今はAAの武装が使えない。

 悩んでいた、その時だった―――

 ――ピー ピー

ミリィ「格納庫からの通信です」

 その報告にナタルが眉を顰めた。

ナタル「誰だ? こんな時に」

ミリィ「モニターに出します」

 ナタルの質問に答えずにそのままモニターに繋げるミリィ。

 その行動にナタルがムッとしたが、モニターを見てマリューと驚いていた。

 モニターに移った相手―――キラを見たからだった。

キラ『マリューさん、ストライクの発進許可を!!』

マリュー「キラ君!?」

 ―――彼は何を言っているのだろう?

 クルー全員が耳を疑った。

 ほんの数週間前までは普通に学生をやっていた少年。

 たまたま偶然が重なってMSに乗り込んだ少年。

 戦いの中でも優しい性格で戦いを好まなかった少年。

 そんな少年だったキラが自ら発進許可を求めていた。

マリュー「キラ君・・・・・? 何を言ってるか分かってるの?」

キラ『はい!』

マリュー「君は除隊を許可された身なのよ!!」

キラ『分かってます!!』

マリュー「なら、何で戻ってきたの!?」










キラ『僕はX−105ストライクのパイロット! キラ・ヤマトです!!』










クルー(((((そう来たかぁぁぁぁぁ!!)))))










 某汎用型人型決戦兵器のパイロットの様な事を言うキラにマリューとナタルを除くクルーが心の中で突っ込んでいた。

マリュー「シンちゃん・・・・・・立派になったのね

サイ「シンちゃんって誰ですか?」

 ホロリと涙しながら言うマリューにサイが盛大に突っ込んだ。

ナタル「・・・・・・フッ、出撃」

マリュー「司令!? ―――じゃなくて、バジルール少尉!!」

 ナタルもキラのコントに影響されたのか、サングラスに髭の某司令の真似をしている。

ナタル「ここでストライクを出さないとAAは落ちます!!」

マリュー「しかし・・・・・・」

 マリューの言いたい事はナタルには分かっていた。 だが、他に方法は無い。

マリュー「・・・・・・分かりました。 許可します」

ナタル「艦長・・・・・・」

キラ『マリューさん・・・・・・』

 考え抜いた結果、苦渋の決断だった。

マリュー「ただし! 必ず戻ってくる事!! 約束よ」

キラ『はい!!』

 こうして発進許可を得たキラは勢いよく、AAを飛び出して行った。










 戻る事が無いなんて知らないで・・・・・・















to be continued






この作品はフィクションです。実在の原作・人物・団体・事件等とは、一切関係ありません。











−後書きコーナー

 ごめんなさい!!

 とにかく、ごめんなさい!!

 更に、ごめんなさい!!!

 さてさて、初っ端から3回も謝りました。

 理由は遅い更新です!!

 非常に長い期間、放っておいてスミマセンでした。

 4月に入って身体作りの一環で深夜のバイトを始めたのですが・・・・・・

 バイトが私を含めて深夜は2人!! (しかも、もう1人は派遣の人(♀))

 なので、1日置きでしか休めません。 しかも、休日は爆睡中♪

 しかし、この頃はバイトに慣れてきたので更新を再開したいと思います。

 これからも宜しくお願いします。





 気を取り直しまして。

 今回は第8艦隊合流〜ストライク発進までのシーンでした。

 長かった・・・・・・しかも、シリアス+ギャグ控えめにしてのにこの長さ。

 切る所は切ったんですけどね・・・・・・恐ろしいものです。

 とにかく、後書き反省会スタートです。





−ヤフ○ク−

 SEEDの世界にあるのか!?

 しかし、文明が発達しているのだから・・・・・・ヤ○オクの1つや2つはありそうですよね?





 注:作中のラクスの様に他人の写真を無断で売るのは(多分)犯罪です。 真似しないでください。





−新機体『スレイヤーガンダム』−

 募集して2年の月日が経ち、ようやく完成―――っていうか、登場できた機体です。

 本当にスミマセンでした!! ご迷惑をおかけしました!!

 当初の考えでは旅人さんやShingoさんの提案通りに『格闘』『突撃』タイプが良いと思ってました。

 そういう訳でガンダムマックスターの様にナックルガードを主力という事にしました。

 短所が無いと困るのでライフル等の長・中距離の武装は一切無しにしました。

 しかし、能力の中に集中させたエネルギーを放出できるとありましたが、エネルギー消費が激しいというのが難点です。

 あ、もちろんディストーションフィールドは装備してません。 装備させると本当に無敵になるので。

 製作はウリバタケ セイヤとブロス、ディアの合作。





−ラストのAAでのショートコント−





 何を言えと?





−次回予告−

 戦場の中、ただ1機だけ降下するAA。

 そのAAを守るべくストライクはデュエルと戦いを繰り広げる。

 そんな中、旗艦であるメラリオスが堕ち、民間人の乗ったシャトルが2体の戦闘の邪魔を―――

 逆上したイザークが銃口をシャトルへと向ける。

 吼えるキラ。

 放たれる閃光。

 ストライクは間に合うのか? それとも・・・・・・

 次回、『宿敵 そして・・・・・・』

 お楽しみに!!

2005年5月25日


 敬具





管理人の感想

TAKUMAさんからの投稿です。

いやぁ、久しぶりにアキトの姿を見たような気がするなぁ(苦笑)

ま、自覚があるせいか、かなりはっちゃけてましたが(笑)

しかし、この場面でヴェザリウスから脱出したという事は・・・大気圏突入の場面でキラを拾うつもりですかね?

 

 

・・・というか、何をしにヴェザリウスに行ってたんだろう、アキトは?(苦笑)