前回のあらすじ・・・

 前回、アキトは『彼女たち』より逃れるためアカツキの手引きの元、逃走成功。
 逃走先で出会ったのは蟻塚警視正。
 その警視正の案内でアキトは問題の多い部署である墨田区墨東署交通課に転属。
 彼はテロリストまがいの行動と格好で危うくお茶菓子泥棒で捕まるとこだった。
 その後、アキトは辻本夏実巡査と小早川美幸巡査の案内の元、いろいろ回っていく。
 そして・・・・
 『木連では反発しているグループがまだあるんだ。地球でも木連に怨みを持っている元軍人とかがテロを起こしたりしていてそいつらの阻止をするためだよ』
 と、怪しい発言をしてしまったのである。
 まったく・・・学習能力ゼロのアキトであった・・・










漆黒の戦神with逮捕しちゃうぞ



第弐章 誕生『漆黒』の警察官 中篇












−墨東署 ガレージ−

 弱った・・・・・
 都合のいい言い訳が思い浮かばない。
 こんなことなら高校時代、真面目に勉強してればよかった。(思いっきり関係無し)

 バチバチバチバチバチバチ

 ブンブンブンブンブンブン

 高圧電流が流れる音と謎の赤い染みのついた鉄パイプが風を切る音が耳に入ってくる・・・
 ここで受ける拷問(身体的苦痛)と、ばれて強制送還された後の彼女たちのお仕置き(精神的苦痛)とどっちが恐怖かを考えていた。(結構余裕)
 しかし、ここで拷問お仕置きもいやである。
 傷は残らないが痛いんだもん。

夏実・美幸「「アキト君」」

アキト「は、はい!!」

夏実・美幸「「白状しなさい!!」」

アキト「ひぇぇぇぇぇぇぇぇ」

 なんか・・・成長してないな・・・俺・・・

 夏実さんと美幸さんが俺に凶器を持って迫る・・・が、俺もタダでは痛い思いはしたくない。
 よって後ろ向きに逃げる。
 この後はお約束の・・・





 『壁』が待っていた。
 つまり、逃げ道は断たれたのである。

夏実「ふっふっふっ。追い詰めたわよ」

 笑顔で何時の間にか変わった金属バットを振りながら迫る夏実さん。

美幸「さぁ。何故あなたがそんな情報を知っているのか教えなさい」

 これまた笑顔で高圧電流を近づける美幸さん。





 あんたら本当に警察官?

 俺は頼りにならない神に祈った。
 そのとき、祈りが通じたのか助けが来た。
 ありがとう頼りにならない神様

頼子「大変、大変」

夏実「どしたの? 頼子」

頼子「はあはあ・・・え・・・」

美幸「え?」

頼子「閻魔が・・・来る

夏実「本当・・・?」

頼子「本当!!(キッパリ)」

美幸「・・・・(何かを思い出したかのように顔が青くなる)夏実・・・・」

夏実「ええ!!・・・急ぎましょう!!」

 そう言うと3人はマッハ2ぐらいの速さでどっか行った。

 一応、助かったが・・・・訂正しておこう。











 ありがとう頼りにならない神様頼りになる閻魔様(爆)



 いや・・・本当に・・・





−墨東署 交通課−

 俺は一応、ここに戻ってきた。
 と言っても・・・今日からここが俺の仕事場だし。

 中に入るとそこは・・・修羅場と化してた。

 よく見ると夏実さんや美幸さんもその中に入っていた。
 事件かと思い聞き耳を立てると・・・


「隠せ!!隠せ!!」
「誰だ!!俺の机に茶こぼしたヤツ!!」
「早く!!閻魔が来るまで時間が・・・」
「夏実!!机の中のおにぎりとかどうにかしなさい!!」
「うわっ!!くせぇ!!」
「夏実さん!!何時のおにぎりですか!?」
「・・・5ヶ月前・・・」
「「「・・・・・・・・」」」


 凄いことになっているみたいで・・・

課長「おっ 速水」

 課長室から出てきたダンボール箱を担いだ課長が俺に話しかける。

アキト「どうしたんですか・・・」

課長「ちょっと・・・厄介者がね・・・・」

アキト「はぁ・・・・厄介者・・・・」

課長「そうだ!!速水!!コレを保安部に持って行ってくれないか?」

 そう言って俺の答えを聞かないうちにダンボール箱を押し付ける。

課長「行ってらっしゃ〜い〜」

 そのまま俺を廊下に追い出しドアを閉める。
 この間、わずか3秒をきっていた。
 いや・・・かわせたんだけど・・・何となく引き受けてしまった。





−墨東署 廊下−

 俺は軽々とダンボール箱を持って歩いていると開いていた窓から・・・・

 ひゅゅゅゅゅゅゅゅゅゅゅゅゅ

 春一番か・・・・・

 バサバサバサバサバサバサバサ

 拾わないとな・・・・・



 ダンボール箱の上に載っていた書類が飛び散り俺は5秒もかからないで拾ってダンボール箱に戻そうとしてダンボール箱を開けると・・・

 ・・・・・・・・(1秒経過)





 ・・・・(2秒経過)





 ・(3秒経過)





 俺は見なかった!!!!!





 書類で隠されていたダンボール箱の中に・・・・





 『人妻○国』とか『い○ら○女子高生』とかラベルを貼ったビデオなんて!!





 追記:その『箱』は『無事』に『保安課』に運びました。





−墨東署 交通課−

 俺の怪しいお使いが終わり交通課に戻ると俺の知っている気配が1つ増えていた。
 この気配は・・・

 人を気配で判断する俺って・・・

 とりあえず部屋に入る。

 驚いた・・・

 びっくらこいた・・・

 腐海の森に近い状態の机上が普通になっていた。

夏実「あ、アキト君」

 その言葉に一同の目線が俺に集う。
 いや・・・ある意味で恐いです。

蟻塚「彼は・・・?」

 やはり、気配の通り目の前にいたのは蟻塚警視正だった。

 ここでは初対面の方が得策か・・・

アキト「始めまして、本日より墨東署に配属されました速水明人巡査です」

 一応、敬礼しておく。

蟻塚「ふむ・・・私は蟻塚だ。よろしく」

 警視正も敬礼を返す。

蟻塚「しかし・・・どうして君はココに居なかったのかね?」

課長「そ、それは・・・極秘任務だったんです」

 極秘任務ね・・・

蟻塚「なるほど・・・これから処分するときは上手くやるんだな(ボソッ)

課長「はははははは」

 ばればれですね・・・
 不幸中の幸いが周りの皆には意味が分かんなかった事である。

課長「ところで・・・今日はどのようなご用件で・・・」

蟻塚「大したことではない。
   たまには証拠品を使用する輩に活を入れにな・・・」

心当たりのある男性警察官(課長を含む)『ギクッ』

 本当にばればれですね・・・
 婦警の人たちは冷たい目で呆れてるし・・・

 プルルルルルルルルル

 そんな中で電話が鳴り課長が取れる状況ではないので警視正が電話を取る。

 ガチャ

蟻塚「交通課。
   ・・・・・うん・・・・ああ・・・・で、状況は・・・・分かった」

 ガチャ

蟻塚「東向島のネルガルの薬品会社が火災だそうだ。
   全員、直ちに現場に急行して市民の避難と交通整理をしろ」

全員「「「「「了解!!」」」」」

夏実「で、ても・・・薬品会社ってことは・・・」

葵「薬品とかに引火したら・・・」

頼子「町はパニックね・・・」

 そこでメガネを光らせないでよ・・・

美幸「ぐだぐた言ってないで、急ぐわよ」

 ドヤドヤと出て行く一同。
 何か・・・俺のこと忘れてない?

課長「ところで・・・本気でさっきの理由でこちらに?」

蟻塚「冗談に決まっているだろう。
   近日、導入されるエステバリスとかいう物についての最終チェックだよ」

課長「しかし・・・本当に警察に必要なんですか?」

アキト「テロの事ですね。
    一応、本当です。
    しかし・・・俺が気になるのは・・・この事件ですね」

蟻塚「通常、薬品会社とかは火気厳禁はもちろん厳重な設備のはず・・・まさか!!」

課長「いや・・・そんなはずは『バンッ』・・・辻本・・・」

 そう・・・交通課に戻ってドアを思いっきり開けたのは夏実さんだった。

夏実「アキト君、ごめん!! アキト君のことすっかり忘れていた」

アキト「(聞かれなかったようだな・・・)いいですよ、別に。
    よれよりも早く行きましょう」

 俺は夏実さんと交通課を飛び出して行った。

蟻塚「・・・・・今回の事、気になるな。
   我々も行くぞ」

課長「は、はいっ!!」





−道路 today車内−

 俺は夏実さんと玄関に待っていた美幸さんのtodayに飛び乗り時速約100キロで現場に向かっていた。
 ちなみに運転手は美幸さん、助手席は夏実さん、そして後部座席が俺である。

美幸「アキト君、しっかりつかまっててね」

 つかまるようなGではないが、一応シートにつかまる。
 正体を隠すって大変・・・

アキト「大丈夫です。もう少しスピードをあげても」

夏実「美幸、早く」

美幸「分かってるわよ!!」

『ピーピーピーピー』

 おや、通信のようだ・・・

課長『今、連絡が入った。
   消防は交通状態が悪いためかなり遅れるそうだ』

美幸「なんですって」

夏実「どうなってんの?日本の消防は?」

 まったくです・・・
 どうなってんでしょ日本の警察と消防は・・・

アキト「もうすぐ着くようですね・・・」

 todayの行き先には赤く燃えている建物があった。

課長『全員に告ぐ。爆発する前に避難を完了しておくこと。人命第一だ』

全員「「「『『了解』』」」」





−現場前 ネルガル薬品会社東向島支部−

 俺達が到着した時、火災の見物人や報道関係の記者などが現場周りにたかって俺達も近づけない状態であった。

美幸「なんなのよ。全然、近づけないじゃない」

夏実「なんで、みんな避難しないのよ」

美幸「案外、前の戦争とかで慣れていたりして・・・」

 本当に冗談じゃないぞ。

アキト「とりあえず、やじ馬を非難させましょう」

夏実「待って、アキト君」

 俺がやじ馬に注意しようと車から降りようとした時、夏美さんが止めた。
 そして・・・マイクの音量をMIXにすると・・・

夏実『こぉらぁぁぁぁぁぁぁ、やじ馬どもめが爆発にまきこまれたくなかったら、さっさとどかんかぁぁぁぁぁぁぁ!!
  さもないと・・・違法駐車ごとスクラップにしてやるわよぉぉぉぉぉぉ!!』

 す、凄い・・・・あ、近くにいた人が泡ふいて倒れてるし・・・
 しかも、美幸さんは早々と耳栓をしているのも確認できた。
 ついでに言うと俺はいつも熱血バカ高周波攻撃を受けていたからなんとか無事だった。
 周りを見ると、夏実さんの言うとおり、違法駐車の山だった。まったく・・・ここ駐車禁止だったのに・・・

やじ馬たち「「「「「ひぇぇぇぇぇぇぇ。お助けぇぇぇぇぇぇぇ」」」」」

 おおっ、凄い凄いわずか3秒で消えたよ。





 夏実さんの以外な方法での活躍によりやじ馬と近所の民間人の非難は終了した・・・と思ったその時、誰も居ないはずの火災ビルから悲鳴がした。

女の子「たすけてぇぇぇぇぇ」

アキト「なにぃぃぃ」

 思いもよらない展開だった。

夏実「うそぉぉぉぉぉぉぉっ」

 夏実さんは『ムンク』になっていた。

美幸「なんで、こんな所に!?」

 美幸さんは額に手を当ててくやしがる。
 誰もが予想していなかったのだ。

 すると、todayの隣に課長の車が止まる。
 中から出てきたのは当然といったら当然なのだが課長と蟻塚警視正だった。

課長「どうした」

アキト「ビルに子供が・・・」

女の子「たすけえぇぇぇぇぇぇぇ」

蟻塚「なんだと、消防の状況は?」

美幸「さっき、連絡があってまだ時間がかかると・・・」

課長「どうなってんだ?日本の消防は?」

 頭をかかえる課長。あれ、どっかで聞いた台詞だな・・・

女の子「助けてー熱いよー」

頼子「大変、大変」

 頼子さんと葵さんが凄い勢いで走ってくる。

頼子「社会見学に来ていたクラスの女の子が行方不明だって・・・」

夏実「あーそれなら見つかってるわよ」

葵「え、どこですか?」

美幸「あそこ」

 ビルを親指で指す先に女の子がいるのを発見した2人は真っ青になった。

頼子「早く助けないとっ!!」

美幸「分かってるって」

夏実「あわてないの」

 このパニック時に中嶋さんが1人の男性を連れてきた。
 その人は俺と面識のある・・・いや、俺がナデシコに乗るキッカケを作った人物・・・・

中嶋「課長、こちら責任者代理人のプロスペクターさんです」

プロス「よろしく」

 まぁ・・・ネルガル関係の会社だし・・・・

蟻塚「早速ですが、引火性の強い薬品等は?」

プロス「記録によると、地下に保存しています」

課長「で、消火用のシステムは?」

プロス「作動は一応しましたようですけど・・・火の回りが速くて・・・・」

 その時、ビルから黄色の煙が昇ってきた。
 ん・・・黄色の煙・・・何か、嫌な予感が・・・・

プロス「まずいですね・・・中にある薬品で爆発する前にあのような化学反応を起こすヤツがあるんですよ・・・」

夏実「なんですって!!」

プロス「あの反応から10分弱ぐらいで爆発すると思われます。
    爆発してもビルはおそらく跡形もなく吹っ飛ぶでしょうな。
    周りにはあまり大きな被害はでないと思います」

美幸「跡形もなくって・・・・」

葵「じゃあ、中にいる女の子は?」

プロス「・・・・・・・・」

 ただ黙って下を向くプロスさん。ここからじゃ表情は見えないが多分悔しがってるだろう。
 会社はもちろん女の子の慰謝料や葬式代に口止め料の出費を・・・・(外道)
 いくらなんでもそれはないだろう・・・いくらプロスさんでも・・・・



 多分・・・・

夏実「・・・・・・・・」

 いきなり夏実さんが近くにあった消火用の水の入ったバケツを取って、水を頭の上からかぶった。
 周りからは『ヒューヒュー』とエロ男性警察官が透けたシャツに見入ってる。
 しかし、俺は直感的に考えた・・・ビルに入るつもりだ!!

美幸「夏実、何する気?」

夏実「連れてくる」

 一言そう言うと走り出した。

課長「辻本をとめろ!!」

 課長の激が飛ぶ前に数名の警官によって夏実さんは取り押さえられていた。

夏実「課長!!何するんですか!!」

課長「中はかなりの高温だ。ステーキにでもなりたいのか!?」

夏実「しかし!!」

美幸「無茶よ夏実」

夏実「無茶は承知の上!!」

中嶋「とにかく、おとなしくしてろ辻本」

夏実「・・・・・・・・」

 唇を噛んで悔しい表情でビルを見つめていた。





 そんな中、俺もビルを見上げていた。

アキト「4階か・・・・」

 俺にとっては楽な作業である。
 しかし、問題は正体がばれると強制送還の可能性が大なのである。
 それだけは・・・・

プロス「まさか半日も経たないで再会とは・・・・」

アキト「運命を呪いますよ」

プロス「艦長達はご立腹でしたよ」

アキト「あはははははは」

 苦笑い・・・・

プロス「やるのでしょう?」

 ビルを見上げて言うプロスさん。

アキト「今、俺以外にこんな危険な任務はできませんよ」

プロス「言いますね。検討を一応祈っています」

アキト「俺を誰だと思ってるんですか?」

プロス「愚問でしたね」

アキト「ユリカ達には・・・なんかいい言い訳、考えておきます」

プロス「その言い訳、私も楽しみですよ」

 おいおい、なるべく楽しみにしないでほしい・・・・

アキト「それじゃ、いっちょ行きますか!!」

 俺は赤く燃え上がるビルに向かい走りだした。





 ちょうどビルに向かって走る俺を皆が見ていた。

美幸「アキト君!!」

頼子「無茶よ!!」

中嶋「誰かあいつを止めるぞ!!」

 警官が俺を止めに走ろうとした時・・・

課長「止めるな!!あいつに行かせろ!!

夏実「え?」

葵「は?」

頼子「どうして?」

美幸「な、なんでですか課長。
   あの中に入ることは自殺行為だと言ったのは課長ですよ!!
   それを・・・何故、新人のアキト君に行かせるんですか!?」

蟻塚「彼にいい作戦でもあるのだろうと判断したんだろう」

夏実「し、しかし・・・蟻塚さん・・・・」

課長・蟻塚「「・・・・・・・・」」

 2人は黙り込みビルに突入する俺を見ていた。

美幸(おかしいわ。
   夏実の時は必死で止めたのに、新人のしかも警官成り立てのアキト君の時は止めないなんて・・・
   何かあるの?彼に秘密が・・・・)

 そして、ここでも予想していなかったことが起こった。

夏実「ぬぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」

美幸「な、夏実ぃ!!」

課長「辻本!!戻れっ!!」

夏実「新人に負けていられるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 強情・・・・

課長「辻本を止めろ!!」

 しかし、時はすでに遅し。夏実さんはすでにビルに突入した後だった。

課長「くっ・・・・」

美幸「課長」

課長「なんだ」

美幸「私達に隠し事していませんか?」

課長「・・・・・・・・」

 沈黙する課長。

美幸「特にアキト君について」

課長「・・・・・・・・」

 さらに沈黙する課長。
 目の前にはさっきより火力の増したビルが立ち尽くしていた。





−ビル内部−

 驚いた・・・・

 だって、来るんだもん夏実さん。
 熱いのに・・・・

夏実「さっ、行くわよ。アキト君」

アキト「熱くないんですか?」

夏実「大丈夫、大丈夫」

 顔が大丈夫って言ってませんよ。





 僕達はなんとか無事に3階まで来れた。
 途中、床が抜けて落ちた夏実さんを助けたり
 何故かあったロケット花火が点火して夏実さんを追いかけたり・・・・



 ・・・・・・・・


 何しに来たんですか?夏実さん?



 とりあえず・・・無事に3階に到着した。

 ちなみに爆破予定時間まで約3分てとこである。

 しかし・・・ここで大きな問題が起こった。
 天井から崩れたコンクリートの『障害物』が通路を塞いでいたのである。
 通路はこれ1本、階段は『障害物』の向こう1つ、爆破予定時間と言ってもはっきりしていないから実際の時間は分からない。
 まさにピンチ!!

夏美「どうする?」

アキト「・・・・・・・・」

 俺は考えた。
 『障害物』を跡形もなく吹っ飛ばすのは簡単なことだが1つ問題が・・・・
 夏実さんである。
 彼女達にはまだ正体がばれるわけにはいかない・・・しかし、ここでためらっていたらお陀仏である。
 無論、俺は嫌だ。

アキト「ちょっと、さがってて・・・・」

 俺は腹をくくった。

 手には携帯DFS。

夏実「あ、アキト君!!それって!!」

 どうやら俺の構えているモノに気づいたようだ。
 だが、俺は決めた。
 ばれても墨東署にいられないわけではない。(開き直り)

アキト「はぁぁぁぁぁ!!『縮小・虎牙弾』!!





 チュドォォォォォォォォォォォン





 いつもの10分の1以下に抑えた俺の技は見事に『障害物』を吹っ飛ばした。

夏実「あ・・・あんなは一体、何者?」

 俺はその質問には答えず、ただ右手の人差し指を口につけただけだった。

アキト「行きましょう。
    時間がありません」

夏美「え、ええ」





アキト「―――っ!!」

 階段を上る足を止めた。

夏実「どうしたの?アキト君」

アキト「いえ・・・なんでもありません・・・・」

 この時、俺は感じていた。
 『何か不気味な』気配を。

アキト(気のせいだったのだろかか・・・・)

 とりあえず女の子を救出させるのが先決なので先を急いだ。





 俺達が急いで部屋に駆け込むと女の子は倒れていた。

夏実「煙を吸いすぎたらしいわね」

アキト「時間がない。
    ・・・ここから飛び降りよう」

 多分、ここでの選択パターンではこの方法が一番優先だろう。

夏実「無茶よ!!
   ここは4階よ!!忘れたの!!」

アキト「大丈夫」

夏実「・・・・・・・・」

 俺の自信満々の答えに反論できないのかそのまま黙ってしまった。

アキト「いくぞ!!」

夏実「え、ええっ!!ち、ちょっと!!」

俺は夏実さんの抗議を無視して夏実さんと女の子を抱いて窓から飛び降りた。





−現場前 ネルガル薬品会社東向島支部−

美幸「課長、あれ!!」

 美幸さんが指差した先には俺達が落ちているところだった。

中嶋「辻本!!アキト!!」

頼子「ああっぶつかる!!」

 ドサッ

 かなり鈍く重たい音がしたが、俺達は助かった。

 女の子も夏実さんも状態は軽い一酸化炭素中毒と軽い火傷で済んだ。
 無論、俺は無傷だ。(ナノマシンが治療してくれるから)





 チュドォォォォォォォォォォォォォォォォン





 ドッカァァァァァァァァァァァァァァァァン





 この時、ビルは跡形も無く吹っ飛んだ。





to be continued




この作品はフィクションです。実在の原作・人物・団体・事件なとには、一切関係ありません。