――どうも、初めまして。

 「あ、あの、は、はじ、はじじっ」

 ――(笑)緊張しなくてもいいですよ。

 「は、はひっ」

 ――ふふっ。それではまず、お名前をどうぞ。

 「あ、あの、本田透と申します、初めましてですっ」





        漆黒の戦神アナザー  本田透の場合





  ――はい、初めまして。では早速お話を伺いたいと思いますが、あの戦神とはどこでお知り合いに?

 「え、えと。アキトさんは・・・その」

 ――?

 「・・・裏の山で、です」

 ――・・・山?

 「猪さんのボスになっていらっしゃって」

 ――やっぱりと言うかなんと言うか、もう人間じゃないですな。

 「いえ、そのっ、初めて私がお見受けしましたときにはそう見えただけでして、実はうり坊さんの怪我を治してさしあげてらしたのですっ」

 ――それは優しいと言うか、漆黒の戦神ついに野生化、というべきなのか・・・。


 「アキトさんはお優しい方なのです! それに、とても紳士的でいらっしゃいましたし・・・」

 ――と、言うと?

 「私に手ほどきをしてくださったのです・・・。私にとって初めてのことばかりでしたが、
アキトさんは優しく教えてくださいました。それはもういろいろと・・・」


 ーー・・・女子高生に手ぇ出しやがりましたか。狙いは制服か? 制服なのか!?
 ・・・はっ!? さてはソックス! ソックスハンターか!!

 「入れるところも的確でしたし、出来上がりも最高でした・・・」

 ――ああっ、入れるだなんて、こんな無垢な女子高生になんて卑猥なことをっっ! ・・・出来上がり?

 「はい。私、和食は作るのですが洋食はまだレパートリーが少なくて・・・。
アキトさん、洋食も中華も絶品なのですっ」

 ――・・・あ、ああ、料理のことですね。

 「はいっ。・・・他に何かあるんですか??」

 ――あ゛あ゛あ゛っっ、そんな純粋な瞳で見ないで・・・・っ。

 「あ、あの?」

 ――い、いえ。すみません、取り乱しました。

 「・・・あの。お身体の調子がお悪いようでしたら、また日を改めましてお伺いさせてもらっても・・・」

 ――(なんて優しい娘なんだ・・・)・・・いえ。大丈夫ですよ、続けましょう。

 「で、でも」

 ――いえ、逆に力が湧いてきましたよ。それで、どうなさったんですか?

 「は、はい。私が学校から帰っていると、道の真ん中に猪さんの群れがいて、
それで私は楽羅さんがそこにいるのかと思い・・・」

 ――かぐらさん?

 「あ、すみません。楽羅さんは私がお世話になっている草摩の家の一族の方で、
それはとても可愛らしいお方なのでして・・・」

 ――その楽羅さんが、なぜ猪の群れの中にいると?

 「っっっっっ!!!!!!!! ・・・・・・そ、それはですね、えと、そのう・・・猪さんに懐かれる、体質?」

 ――いえ、私に訊かれても。

 「あ゛あ゛あ゛っっ、そうでしたっ。あ、いえ、なんと申しましょうか、・・・そのぅ、えっと」

 ――・・・まあ、世の中動物に好かれる人間は数多くいますし、その方もきっとそうなのでしょうね。

 「あ・・・・・・はい。はいっ」

 ――・・・話が逸れてしまいましたね。それで?

 「それでですね、近寄ってみましたらば若い男の方が猪さんに囲まれていらしたのです」

 ――それでボスだと?

 「その、猪さんたちが怒っているようには見えませんでしたので、つい・・・(真っ赤)。
私が声をおかけすべきかどうか迷っていると、アキトさんが『これでもう大丈夫』と、うり坊さんを一頭の猪さんの元に返しておられまして」

 ――うり坊には包帯が巻いてあったわけですね?

 「はいっ。そして私に振り返って『こんにちわ』と挨拶をして下さったのですっ」


 ――それが初めての出会いですか。

 「はい」

 ――それで、他に何かエピソードはありませんか?

 「・・・・・・・・・いえ、何も」

 ――何も無かったんですか?

 「はい。家に三日ほど滞在して下さいまして、その間私に料理を教えてくださったり、紫呉さんとのんびりお茶を楽しんでいらっしゃったり。ですので、私もアキトさんがあのアキトさんでしたなんて、後から知ったくらいですし・・・」

 ――そうですか。それならば彼にはよい骨休めになったのでしょうね。では、最後に何か彼にメッセージを。

 「は、はい。・・・アキトさん。私は、戦場でのあなたはブラウン管や紙面を通してしか知りません。ですから、あなたがどんな想いで戦地に立っているのか、全てが終わったときにどうするつもりなのか・・・わかりません。

 ですが、私がこういうことを言うのもおこがましいことかもですが・・・もっと、弱音を吐いて下さってもいいと、思います。

 あなたは誰かの―――もしくは世界中の人すべての為に戦っていらっしゃいます。でも、たとえその誰かにその想いが伝わることが無くても・・・他の誰かがきっとあなたを想ってくれていらっしゃいます。
 
 ですから・・・あまり御自分独りで抱え込まないで下さい。御自分の望む未来の中に、きちんと御自分も登場させてあげてください。それは大変なことかもしれませんが・・・。

 もしお疲れになったり、少し休みたいとお思いなられましたら・・・その、皆で素麺を食べましょうっっ・・・

 すみません、私何を言っているのかさっぱりですね」

 ――いえ、心からの言葉と言うものが何よりもいいものなんですよ。

 「は、あの、その・・・(真っ赤)」

 ――では、本田透さん、ありがとうございました。

 「ありがとうございました・・・あ、そういえば紫呉さんからの伝言がありました(ガサゴソ)。

 ええと、『アキトくん、今度透君の学校に行くときは僕も誘ってね』だそうです・・・?」

 ――・・・ありがとうございました・・・。

 「?? ありがとうございました・・・???」

      「漆黒の戦神 その軌跡」第47巻より抜粋





 「トオルちゃん、か・・・」

 ナデシコにて。アキトは何かを思い出したように小さく微笑むと本を閉じる。と、

 「ア〜キ〜ト〜・・・。これ、どうゆうこと?」

 ユリカが手にしているのは「漆黒の戦神シリーズ」最新刊―――アキトがさっきまで読んでいたものと同じ物―――だった。ハードカバーであるはずのその本を、ユリカはメガホン状に丸めていた。

「え、でも俺今回は何もへんなこと書かれてないんだけど」

 アキトが目を丸くして言うと、

「まあ、透という人はアキトさんに特別な感情が芽生えているわけではなさそうですし・・・本文は良しとしましょう? しかし・・・」

 ルリが静かに―――嵐の前の何とかと言う奴だ―――言い、それをエリナが引き継ぐ。

「透君の学校に行く時は僕も誘ってねっつーのは何?」

 炎も凍るような視線を投げつけられ、怯えた瞳で後ずさろうとしたアキトの背にトン、と何かが当たった。ガギコギベギ・・・と首の骨の軋む音―――にしてはやけに鈍かったが―――を立てて振り向くと、こめかみに青筋を立てたリョーコが立っていた。

 「階段から落ちかけた1年(女子)を抱きとめたり、バスケットの試合中足を痛めた2年(もちろん女子)を抱き上げて保健室まで行ったり、体育(水泳)のレクリエーションで3年全員(言うまでもなく女子)をプールで抱いて優しく投げてやってたらしいじゃねぇか・・・」

 リョーコの言葉に顔を真っ青にさせる。
 
「は!? ちょ、ちょっと待って、俺全く身に覚えがないんだけど・・・!?」

「ある筋からのタレコミなんですよね・・・。身に覚えがない、か。そんなことは日常茶飯事って訳ですね」

 いつの間にかリョーコの隣にいたアリサが、目を怒らせている。

「「「「「おしおき決定ですね」」」」」」

ホウメイガールズもいた。

「じゃ、逝きましょうか」

 サラが指をわきわきと動かしながら宣言し―――

「メグミとイネスは?」
「二人とも準備してるわ・・・キッツイのをね」

 ラピスが訊ね、レイナが邪悪な笑みを浮かべる。

「ちょ・・・・・・俺は本当に知らないんだって〜〜〜〜っっっ!!!!!」

 アキトの叫びだけが、空しく艦内に響いた・・・。
 男性クルーがそ知らぬ顔で通常業務をやっているのは言うまでもない。




 「透っっ!! 手前ぇ、これなんだっ!」

 勢いよく戸を開けるなり、夾が叫んだ。

 「うぁひはいいぃぃっっ!!?」

 驚いて思わず可笑しな返事をする透。

「お前、どうしてあいつが漆黒の戦神だって言わなかったんだよ? 俺憧れてたのにっ」
「あいや、そうでしたか、すみません」

 ぺこりと頭をさげる透。顔をあげると、夾の顔に本がぶつけられていた。

「!!?」
「・・・っっ何すんだよクソ鼠!!」

 夾に怒鳴られたが、由希は全く動じずに言い返す。

「日本語が読めないのか? 本田さんは後から知ったと言っているんだ。知らないことを言える訳がないだろ? おまけに、慊人と同じ名前だったからって避けてたのは俺たちじゃないか。自分が完全に悪いのに本田さんに押し付けるんじゃないよ、このバカ猫」
「あ、あの」

 あわあわと毎度の如く透が仲裁を試みる―――がやはり毎度の如く、

「んだとぉ・・・?」
「図星だろ」
「手前ぇ、表ん出ろや!!」
「そんなに出たかったら出してやるよっ」

 夾が怒り、由希が夾を蹴り出した。

「あ゛、あ゛あ゛・・・」
「あ〜あ〜透君いいっていいって。何だかんだで二人とも興奮してるんだから。なんせ“あの”漆黒の戦神が家に来てたんだからねぇ」

 おろおろとしている透に、マイペースに解説をする紫呉。

「それにしても、よく十二支のことばれなかったよねぇ。楽羅のところなんか、僕冷や冷やしちゃったよ」
「す、すみません・・・っ」
「ん、ばれなかったんだからいい、いい。ケ・セラ・セラだよ、透君」

 涙ながらに謝る透に対し、ひらひらと手を振って答える。

「あ・・・でも、紫呉さん?」
「なんだい、透君?」
「アキトさん、学校にはいらしてないはずなのですが・・・。いつの間に来ていらしたのですか?」

 不思議そうに訊ねる透に、紫呉は笑って

「あはははは。行く訳ないじゃないか。もちろん嘘だよ、ウ・ソ(はぁと)」
「・・・・・・で・では、何故そのような・・・」

 冷や汗を流しながら再度訊ねる。

「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・楽しいからに決まってるじゃないかっっ」
「え゛」

 クスクスとわらう紫呉の向こう側に、透は見えることのないはずの15対ものキュピーン! と光る何かを見たような気がしていた。





『あ、アキトさん。月を見ていらっしゃるのですか?』
『うん。なんか綺麗だったからね』
『あの、私もご一緒してよろしいですか?』
『もちろん、喜んで』
『ありがとうございますっっ』
『いえいえ、・・・こちらこそ、もう二日もお世話になっちゃって』
『いえっっ、とんでもありませんっ。アキトさんさえよろしかったら好きなだけいらしても・・・あ、でも、紫呉さん達が許可を下さったら、ですが・・・でもでもっ、紫呉さん達はとてもお優しいので、きっと快く言って下さるとっっ』
『いや・・・俺にはまだ、やるべき事が残ってる』
『やるべき・・・事?』
『そばにいる人を守りたい・・・一人でも多くの人に、幸な未来を築いてもらいたい・・・今度、こそ。だからいつまでもここにいたら・・・いる事は、出来ないんだ』
『・・・アキトさん』
『それがどれだけ困難なことだろうと。たとえ、もしそれ神の意志に反するものなら、俺は喜んで反逆者になってやる・・・。それで、皆さえ・・・』
『・・・反逆者になれば、その皆さんは・・・きっと悲しむと思います・・・』
『・・・うん?』
『・・・・・・お素麺でも作りましょうか? 疲れたときには素麺なのです!!』
『は?』
『ほら、行きましょうっっっ。紫呉さんたちもきっとまだ起きてらっしゃいますよ。・・・ほら、アキトさんっっ』
『・・・ああっ』




  後書き

 こんにちは、お久しぶりです。初めまして。
 いつもはフルメタものを書かせてもらっているのですが、今回無性にこういったものが書きたくなりました。本来もっと文才のある方がなされた方がよいものができるのでは・・・と思いましたが、つい。そして、思った通りあはは・・・(汗)なもの、かもしれません。本人は気に入ってるんですけどね。
 
  今回の透君というキャラは「フルーツバスケット」という、所謂少女漫画のヒロインです。知らない方の為に少し説明(!?)させて頂きますと、草摩一族(の中の由希・夾・紫呉・楽羅他9人)は十二支と猫の物の怪につかれていて、各々何かしらの心の傷をもっている。そこに只の女子高生、本田透が入ってきて・・・。というものです。一読の価値あり、です。少女漫画が嫌いなあなた(どなただよ)も騙されたと思って。

 私の拙い筆力では魅力が伝わらないかも知れませんが、なにか思ってくだされれば(読んでみようかな、とかああ、私も好きだなあ、とか)幸いです。

 それでは、私が毎回お世話ばかりかけている代理人様、素敵な感想をくださる皆様、お世話してるんだかされてるんだが今一よく分からないK、そして見捨てずに読んでくださる読者の皆様に感謝の念を込めて。

 では、次回も駄文にお付き合いを・・。




 それにしても、ルリ達の初セリフがこれか・・・。

 

 

代理人の感想

「やった!初ゼリフ!」(小獅子座の蛮)って感じですか(爆)?←古い!

 

んで、フルーツバスケットですが・・・・・・すいません、

どこぞのMADで主人公?の声がドモン・カッシュなのをネタにされてたくらいしか存じません(爆)。

 

ところで・・・透ちゃんの喋りかたが微妙に文法が間違っているのは原作通りなんでしょうか?(笑)