月の周回軌道。月と地球の絶妙な引力バランスから均衡状態を維持している、幾つか有るラグランジェ・ポイントの一つ。

そこには雑多な金属の塊が群れていた。

人の構築物にしては斬新に過ぎるデザインを宙に浮かべる戦闘艦達。

地球の人類は彼等を木星蜥蜴と呼称していた…。

その木星蜥蜴の月侵攻戦略拠点。もともと、地球連合の中継地点であったココに、一人の人間が現れた。

巨大な人型兵器に乗って、チューリップから姿を現した男。

越前今羽(イマバ)大佐。…前回、草壁中将につるし上げを喰らった男である。

「…遥々、遠くまで来たものだ…。」

疲れた顔を隠そうともせず、そう呟いた彼がふと、顔を見上げると…そこには宇宙に煌く二つの宝石、月と地球。

ラグランジェ・ポイントの位置関係から月と地球が連なって見えるのだ。

「おお…これが、月と地球か。…美しい…妻と娘が見れば喜ぶだろうか……ああ、本当に、遠くまで来てしまった…。」

ふぅ…。と溜息を吐くと気を取り直して、自分の乗艦となるオニヤンマ級に彼の機体を向けるのであった。


説明しよう!

木連・無人戦闘艦には緊急事態に備え、人間用の生活スペースが設けられている。

艦の規模にもよるが、基本的に遭難してしまった木連人が緊急避難するだけの僅かな空間でしかない。が、人が生きていけるだけの物は用意されている。

もちろん、月単位で生活出来るほどの物ではない。

大量生産を宿命付けられた無人艦群には、ほんの少しの贅沢も許されないのだ。

1000隻単位で建造される艦にボルトの一つも余分が有ってはならない。

一つのボルトが千、二千どころか一万、十万のオーダーで無駄に消費されたら…

資源調達に難がある木連にとって、それは禁忌であった。

本来ならば、無人艦に緊急避難設備を付ける事すらなかっただろう。

しかし、政治が、民意がそれを許さなかった。

もっとも、そのお蔭で今でも偶に有る木星圏での宇宙遭難者救出にて、無人艦の、木連軍の評価が上がったのは僥倖かもしれない。


オニヤンマの船底に機体を張り付かせ、宇宙服を着込んで、生活物資を頭部のコクピットからエアロックへ一人で運び込む越前。

「くっ、大佐ともあろう、この俺が…港湾作業員以下では無いか…。おのれ、草壁…おのれ、諜報部。…よくも、自身の無能を棚に上げて、俺一人を生贄にしてくれたな。」

何も作戦指示を提示しなかった草壁と、何の敵の情報も通達しなかった木連諜報部に恨みの声を上げつつ、作業にまい進する越前。

実際、木連諜報部は有効に機能していない。

地球と木星の距離があまりにも遠すぎるのだ。諜報員を派遣しようにも、跳躍(ボソン・ジャンプ)に耐えられる人材は現時点で優人部隊と一部の特殊部隊だけ。

かろうじて、無人兵器群が入手したあらゆる情報を分析しているものの、分析には時間が掛かる。結果、情報は後手に回りがち。

先の欧州戦でも、連合軍によるディストーション・フィールド搭載兵器群の集中運用という木連の軍事的有利を揺るがす事実は、欧州戦中盤になってから通達されたのだった。

宇宙服の中で汗水を流す彼が、コバッタに荷物を運ばせれば良かった。と、気付いたのは最後の荷物を運び終えてからだった。

 

 

機動戦艦 ナデシコ OUT・SIDE

機械仕掛けの妖精

第十五話 熱く冷たい「戦場の方程式」

 

 

 漆黒の宇宙を往く一隻の船。

白をメインに赤のワンポイントが映えるその船…ナデシコである。

一ヶ月のドック入りを経た彼女のフォルムは大きく変貌していた。

ナデシコは無理やり表現すれば、前足のディストーション・ブレードと後ろ足のエンジンブロックが、船のサイズからしたら細めの腕で胴体と連結されている。

胴体正面にはグラビティ・ブラスト発射口、胴体後部には相転移エンジン。やはり細めの首で連結されている頭、上部構造体で構成されている。

その胴体部は一回り太くなっており、後ろ足のこちらも大きくなったエンジンブロックと相転移エンジンを増設して二基、収めた胴体後部が隙間無く、くっ付いている。

前足のディストーション・ブレードの間の空間には上下三連のグラビティ・ブラストの砲門(真ん中は穴が開いてるだけで、ナデシコ本来の主砲を使う)など追加武装が付けられた追加ユニットが納められている。

ディストーション・ブレード自体も分厚く改良されているようだ。

イメージ的にはYユニット装備型が近いかもしれない。もっとも、船の全長は変わっていないが。

たった一月でココまでの改造が出来た理由は、ナデシコに採用されたユニット化工法である。

火星帰還後に提出された改良要望書に基づいて、各ユニットの建造を始めたのは良いが、欧州解放作戦には間に合わないと判断され、今までの船体の修理で遣り繰りしていたのである。

作戦期間中の空いた時間を利用して、あれやこれやと至れり付くせりな追加装備が作られたのは、ネルガルの社風なのだろうか。

あまりにも多くのユニットが建造された為、ぶっちゃけ進水式以来のユニットは艦橋と生活区を含めた上部構造体だけ、みたいな物である。

他にも使えるパーツは、トコトン使って有るが…。

よって、ある意味生まれ変わったナデシコ。

ソフト面でも、連合軍の統合データ・リンク・システムをダウンロードした為、艦隊行動も楽に行なえたりする。

そんなナデシコのブリッジにて…。

「大改造したと言っても、ブリッジや居住区はそのままなんですね。…我が家に帰ってきたみたいでホッとします。」

メグミがのんびり感想を述べる。

「そうね〜。やっぱり、使い慣れてると安心感が出るわよね。ルリルリもそう思うでしょ?」

とミナト。

「…そうですね、それは否定できません。…しかし、居住区も細部は改良されています。統計によると、居住区の改良の要望が一番多かったらしいですね。」

とはルリの発言。

「ん〜。それってやっぱり、ネルガルの製品って大抵、何処か使い勝手が悪かったりするから…かな〜。」

と人差し指を口元に当てつつ、ユリカ。

「アイタタタ…。耳が痛いですな。…しかし、ユーザーの意見を取り入れて、製品に反映する姿勢は評価して頂きたいものです。」

額に浮かぶ汗を拭きつつ、プロスが自社を弁護する。

「まぁ、ネルガル・グループは若い企業だから、その手のノウハウが欠けているのも、仕方ないのかもね。」

医務室が暇だったのか、イネスがブリッジ下層のパイロット用待機席に腰掛けて、発言する。

彼女等の言葉を受けて、同じ層の椅子に控えていた副操舵士でもあるエリナが、隣の椅子で寛いでいたアカツキに「言われてるわよ。」とキツイ視線を送る。

殺気混じりな視線を受けたアカツキは「事実だから仕方ないさ。」と、ただ肩をすくめるのであった。

そんな彼等、彼女等を尻目に一人マジメに職務に邁進していたジュン。

「連合宇宙軍艦隊との合流地点まであと10分。…ユリカ?」

ジュンが、そろそろ船内放送で喝を入れた方がいいんじゃないか?とユリカに提案する。

と、相変わらずユリカの名前を呼び捨てで呼ぶジュンへ、メグミの嫉妬の篭もった視線が飛ぶ。

「うっ。」とたじろぐジュンを置き去りにして、ユリカが艦内放送を開始する。

「は〜い!!皆さんっ!ちょっと、注目〜♪…そろそろ、ナデシコは月攻略艦隊と合流しま〜す!出航時に説明したように、今回ナデシコは攻撃の中核を担います!改装したばかりで、勝手が違う箇所があると思いますが、落ち着いて、何時も通りいきましょ〜!!」

ユリカの発言がタイミングになったのか、ポツポツとナデシコと近い軌道を飛んでいた艦が、ナデシコと合流し始めた。

中には輸送船改造の、機動兵器揚陸艦もある。揚陸艦というと大層な名前だが、実体はカタパルトを持たず、ただ戦場に兵器を運ぶタクシーみたいな物である。

と、そんな輸送船団の哨戒任務に付いていた一機の戦闘機がナデシコの側にやってきた。

白いシャープな機体に円盤上のレーダーを載せた戦闘機。

IFFを常時監視しているオモイカネ経由の情報で、その戦闘機の認識ナンバーを知ったルリが顔を綻ばせ、コミニュケを起動させた。

「アリス!!」

ルリの声に答えるように、コミニュケの相手も返す。

「ルリ!!」

そう、TTF−01β<マーチ・ヘアー>。アリスの乗機の一つである。

「やっほ〜、元気?…また、一緒の仕事だね。」

アリスが能天気気味にルリに話しかける。

「そうですね、アリス。…ところで機嫌が良いみたいですけど、何かあったんですか?」

とルリ。

「ん?…あ〜、ほら!…狭い艦内に閉じ込められてたからね。広い空間に出られて、宇宙<(そら)を満喫してるのさ。」

マーチ・ヘアーがアリスの言葉に同意するようにクルリと宙返りした。

「クスッ。アリスは、ホントにパイロットなんですね。」

「ルリも飛んでみたら解るよ♪」

「機会があれば、試してみますね。」

楽しそうな二人の会話に、ブリッジの皆の表情も綻ぶ。

〔アリス?オ目コボシ・モ・ソロソロ・限界ミタイ・ダヨ?〕

と、WILLがアリスへ任務に戻る事を促す。

「あらら、それじゃあ、また。ルリ、みんな!」

「はい。それでは、また。アリス、WILL。」

アリスとルリは再び、会う事を約束しながら分かれる。

マーチ・ヘアーがクルリと回転して、機首を輸送船団の先に向け加速する。

白い機体はあっと言う間に、プラズマの光を残して飛び去ってしまったのであった。

「あれが噂のアリスちゃんか。」

ナデシコのブリッジの定位置と化しつつあるパイロット用待機席で腰掛けたままのアカツキがそう呟いた。

「そうね、連合軍最強のパイロットの一人よ。」

とエリナ。

「…確かにそうね。戦果の桁が違うし、トライデントという扱いの難しい機体を、自分の体の様に操るセンスも並では無いわね。」

イネスがエリナの言葉を引き継ぐ。

「アリスちゃん、船を下りる事になっちゃいましたけど、私は今でもアリスちゃんはナデシコの仲間だと思ってます!」

ユリカが確信を持って話す。

「そうです。アリスは私の友達です。」

珍しく、ルリがユリカの発言を肯定する。

思ったよりも肯定的な皆の意見にアカツキは「なるほど、親しまれてるんだな。」と、興味深そうな顔をして、一人頷いた。

そんなクルー達を乗せて、ナデシコは漆黒の宇宙を行く。

目的地は月。

第4次月攻略戦の始まりであった。

 

 飛び交う閃光。無音で炸裂する炎。

片や多数の命を腹に収め、志半ばで撃沈される戦艦。

片や一欠けらの命も無く、任務半ばで鉄塊に戻る戦艦。

連合宇宙軍と木星蜥蜴は、真正面からガップリと四つに組んで殲滅戦を繰り広げていた。

連合宇宙軍・月攻略艦隊の戦艦は総て、ネルガル提供の相転移炉に換装されていた。

グラビティ・ブラストもナデシコ級ほどの威力では無いが、艦首の大口径粒子砲の代わりに搭載されている。

ディストーション・フィールドも完備でフィールド・ジェネレーターが不恰好に船体に張り付いているが、能力は木星蜥蜴と見劣りする物ではない。

戦力比(キル・レシオ)は5対1から最大10対1で連合宇宙軍の優勢。

しかし、実際の総数ではあいかわらず、木星蜥蜴の優勢。

連合宇宙軍・月攻略艦隊の旗艦。攻略艦隊司令官の表情は険しかった。

「くっ、迂闊。…よもや、木星蜥蜴に先手を打たれるとは…。おのれ、急に思考能力を得たような艦隊機動を取りおって。よもや、別働隊の動きに気付いたのか?」

別働隊で木星蜥蜴の動きを牽制しつつ本隊で一気に殲滅するつもりが、本隊を逆に強襲され、身動きを封じられてしまったのだった。

まもなく、役割を交替した別働隊が木星蜥蜴を背後から攻撃するはずだが、それまでは防戦に徹するしかない。

木星蜥蜴は今までのように非効率的とも言える、一つの目標に過大な火力を集中する戦法を取りやめ、数隻で一組の戦闘単位を取り、戦列を作って戦いを仕掛けている。

まるで艦隊戦術のお手本のような隊列。

故に、その戦術意図を読み取り逆手に取る事は容易いが、基本に忠実というのは、ハマれば強い。

対抗策へ戦況を操作する事も出来ないまま、彼はただ、別働隊が到着するのを待つしか無かった。

 

 狭いコクピットの中、本来なら戦闘中に展開される事が無いキーボードをコンソールから引き出し、少し不器用な手付きと音声入力交じりで配下の無人艦隊に命令を下す。

ここは月軌道にて、木連無人艦隊を指揮する試作デンジンの頭部コクピット。

越前今羽大佐が、肩を丸めつつ、精一杯の速度で命令入力を続ける。

「…ふう、これで一人でも、それなりの艦隊行動が取れそうだ。…いくら人間を戦地に送り込む事が難しいからと言って、ココまでズサンなシステムしか組めなかったとは…負けるのは当然か。」

空間跳躍、ボソンジャンプ。

木星と地球を隔てる途轍もない距離を一瞬で飛び越える、魔法の手段。

しかし、生き物を送り込む事は今まで不可能だった。故に、無人兵器のみの戦法を取らざるを得ず、木連の工業力の全力を傾けた無人艦隊による集団戦法を選ぶしかなかった。

多彩に変化する戦況に合わせる為、基本的な事のみを入力された無人兵器群は、期待された戦果を果たす事に成功した。

見敵必殺(サーチ・アンド・デストロイ)

単純であるが故、汎用性が高い。が、逆に単純である事を悟られれば、返り討ちもされやすい。

とはいえ、人の指揮官を得る事が出来ない以上は、これ以上の手が無かったのである。

「…イの八、ロの三と合流。正面の敵に対応しろ。…ヘの九、後方へ退避…ハの一と、二の二と合流、以降、ヘの一と呼称。への一は予備兵力とする。」

越前が音声入力で無人艦隊を指揮する。

音声入力システムはソフトウェアの能力に左右される。マイクから飛び込んだ電子変換された声を、何処まで認識出来るかに掛かっている。

木連のソフト開発技術は地球より遅れているが、それでも実用に耐える物を用意出来たあたり、開発者達もゲキガンガー信望者だったと言う事だろうか?

製作者の猛烈な熱意が込められた音声入力機構を駆使して越前は一人、連合宇宙軍の艦隊と対峙するのであった。

「…くっ、俺は死ねん。…この戦いに勝利して、かならず…生きて祖国に帰ってみせる。」

草壁の奴に一泡噴かせてやる。

復讐にも似た信念を抱え、彼は戦う。戦局は彼の有利に動いていた。

 

 最大戦速で戦場へと翔る白い船。ナデシコ。

木星蜥蜴が計画外の動きを見せたため、別働隊最速の足を誇るナデシコが出来うる限りの戦力を積んで、劣勢の味方を支援すべく疾走しているのだった。残る別働隊も全力で駆けているが差は広がる一方である。

そんなナデシコの格納庫。

「おお〜!おお〜!!これが、軍が作ったエステ・カスタム、空戦改か〜!…おおっ、熱核ロケットを装備してやがる!…あ、足のローラを外してるのは減点だな…だが、代わりに重力波推進器を付けて空戦能力を向上させたのはイイ!…う〜ん、プラマイゼロってとこだな〜。」

格納庫のヌシ、改造の鬼、整備班のボス、ウリバタケ・セイヤである。

格納庫に所狭しと積まれた、101中隊の空戦改の周囲をグルグルと回りつつ、改造点や追加装備の一つ一つにコメントを付けていく。

新しい玩具を得た子供の様に、実に楽しそうである。


ナデシコが積んだ、出来うる限りの戦力。つまり、一個中隊13機で木星蜥蜴の大群を撃墜可能な戦闘集団、101機動兵器中隊をナデシコは無理やりに積んだのである。

お蔭でナデシコの格納庫はパンパン。積み切れない機体はカタパルトに並べて、ワイヤーで床に固定してある。

20世紀の空母のような情景だ。

もともと余剰空間が有り余っていたナデシコならでは…かもしれない。

それでも、最大級に大きいトライデントは分離形態で無いと積み込めない訳であるが。


そんな格納庫の片隅で、パイロット同士の交流会が行なわれていた。

「…へっ?!そんなGを受けて大丈夫なのか?」

「まぁ、大きな数値ではあるが瞬間でしかないからな。昔の宇宙飛行士など、10Gに耐えられる訓練をしたと聞く。」

「そうそう、加速時のGなんて大したモンじゃない。問題は旋廻時の横Gだぜ。エステは小回りが効きまくるかんな、偶に失神しそうになる。」

「…重力制御の効いたコクピットに収まってて、失神しそうになるなんて…どれぐらいの加速度なのでしょうか?」

「化け物な機体ね。考えてみれば、エステは連合軍の一番小さい核融合炉搭載戦闘機よりも小さいもの。小さな機体にオーバートルクのエンジン…流行らない訳だわ。」

「だよね〜。普通だったら、スラスターやバッテリーの改造を考えるよ。もしくは、エステ以外の機体を用意するとか。」

「何言ってんだ!!イイじゃねぇか!限界ギリギリの加速度に振り回されながらも、肉薄戦闘を繰り広げるっ!漢の乗り物だぜぇ!!ゲキガンソードも付いてるしなっ!!」

リョーコの疑問に、クリシュナとマックが答え、その答えにイツキ、イズミ、ヒカルが意見を言う。それをガイが否定する。

と、イツキが別の疑問を思い出した。

「…所で、101中隊にカザマ・シンジという者が居るはずですが…。」

「シン?…ああ、居るよ。今は…どこかねぇ?…フラリと消えてしまったみたいだが…。」

イツキの疑問に答えるマック。

周囲を見渡すとユニコーンとトランプのマークを付けた自機に張り付いて整備をしているシンを見つけた。

「おお〜い、シン!ちょっとコッチに来いよ!!」

マックの声に気付いたシンが渋々と彼等の元に向かう。

「…なんの用だ、マック。」

手に付いた油をボロ布でふき取りながらシンが言った。

「兄さん!!」

と、シンの胸元にイツキが飛び込む。

「…久し振りだな、イツキ。」

彼女を支え、溜息交じりに答えるシン。

「『久し振り』じゃ、有りません!!ツグモさんがお亡くなりになって以来、ずっと離れ離れだったじゃないですか!!たった二人生き残った家族なのに…。兄さんのバカ!!」

涙交じりに声を上げるイツキ。

「私に一言の相談も無く、軍に入って…寄越すのは簡素な手紙ばかり…私が、私がどれだけ、心配したと思ってるんです!!…この手紙が最後かと、いつも恐かったんですからね!!」

「…それは済まなかったな。…だが、それだけでお前まで軍に入ったのか?…無茶をする。」

「それだけ?…それだけ!?…兄さんは私の事をなんとも思ってないんですか!?……はぁ、私は兄さんと一緒に居たいだけなのに。

「…む…。」

なにかスイッチが入ってしまったのか感情を爆発させるイツキに白黒するシン。

「くっくっくっ……貴方の負けよ、シンジさん。反論は無駄ね。」

イズミが愉快に笑いながら、シンに言った。

「ま〜、そうだろうよ。泣いた女に勝てる男はいねぇわ。」

イズミに同意したマックにシンが恨めしそうな顔を向ける。

そんなシンに上目使いで話しかけるイツキ。

「…ねぇ、兄さん。…戦争なんかやめて、昔のように二人で静かに暮らしましょう。…兄さんまで死ぬのは耐えられないわ。」

「……忘れたのか?イツキ。…アイツはそんな静かな暮らしの中、戦争に巻き込まれて死んだ。いまだ、地球が戦場である以上…次がお前で無い保証は無い。」

「だからって、兄さんが戦う理由にならないじゃない!」

「戦わない理由にもならない。…お前こそ、軍を辞めろ。俺にはパイロットの適正が有ったようだが、お前がそうだとは限らない。」

ピシャリと断言するシン。

そんな二人を見て、ソワソワと居心地悪そうにするアキト。

何か言いたいけど、言えない。そんな雰囲気に気付いたのか、ガイが問い掛ける。

「どうした、アキト?」

「いや…俺も、戦争に巻き込まれたクチだから…。家族は戦争前に失ってしまったけど……今でも思い出すよ、火星のシェルターに逃げ込んだ人達を、そんな皆を殺した木星蜥蜴を。」

アキトが話す、凄惨な情景に一瞬、場の空気が重くなる。

と、

「ブリッジより各部署へ!ナデシコは、まもなく戦闘宙域に突入します!!皆さん、それぞれの配置についてください!…まもなく戦闘を開始します!!」

メグミの声が、ナデシコに響き渡る。

思い思いに寛いでいたパイロット達が愛機に駆け戻り、整備員達が発進準備を整えてゆく。

と、イツキがシンに呼びかけた。

「兄さん…この戦いが終わったら…帰りましょう、私達の家に…軍人を辞めて。」

「…止めておけ。その手の思考を始めると戦闘中、普段しない無茶をしてしまう。今は考えるな、死ぬぞ。……だが、お前の話は考えてはおく。」

シンが冷徹な意見を述べるが、それだけでは抑えられないと思ったのか、最後に言葉を付け加える。

「…兄さん。」

なにか言い足りなさそうなイツキを残して自機に戻るシン。

盾と槍を携えた現代の騎士は、イツキの見守る中、ゆっくりとその巨体を立ち上がらせるのであった。

 

 有利に進めてきた戦況が、一隻の戦艦と十数機の機動兵器で覆される。

「くっ!おのれ、ナデシコかっ!!…性懲りも無くココにも姿を現したかっ!…いいだろう、雪辱を晴らすには格好の獲物だ。」

と、越前が乗る試作デンジンのモニターの一つに無人艦からの映像が回ってくる。

そこには、漆黒に身を固めた邪龍がその腕を縦横に振るっていた。

「…黒いゲキガンモドキ!?…くっくっく、俺はラッキーだ。木連が恐れる二つの存在を一気に潰せるのだからなっ!!」

いままで指揮していた艦隊を自律稼動状態に設定し、彼は乗機を加速させた。

目指すは、一際、明るい爆炎が立て続けに引き起こされている場所。

ナデシコと101の面々が全力戦闘をしている中に、彼は飛び込んだ。

 

 「はぁ、折角、ルリと会話を楽しんでたのに、もう戦場か。…ま、直接顔を合わせられただけマシかな。」

溜息を付きつつも何時も通り、IFS経由で流れてくる情報の渦に身を任せるアリス。

しかし、目は見開いてモニター越しの敵を見据える。

(ボクにも不思議だけど、IFSのみで戦っている時より臨場感というか…気合が入る。)

〔アリス・新タナ・敵艦・ヤンマ級・3・接近。〕

思索に耽りそうなアリスに、相棒のWILLが音声で警告すると共に、生データを寄越す。

即座にアリスの脳が敵艦の軌道と予測会合ポイントを割り出し、彼女はそのポイントヘ向けて愛機を全速で飛ばした。

(ヤンマが三隻…まぁ、それくらいならボク一人で十分…。)

と、アリスが戦況分析をすると、

「アリス!一人で突出するなっ!!」

101中隊の現場のボス、クリシュナが僚機を一機、引き連れてアリスの援護に付く。

(…援護なんか、いらないのに…。)

いささかムッとしたアリスがクリシュナに答える。

「じゃぁ、左の一隻はクリシュナ達にあげるね。」

「こらっ!そういう事じゃない!!」

(…?…)

クリシュナの言葉に疑問が湧いたアリスは、トライデントが今まで溜めた戦況データとデータリンクで皆が得た情報を受け取りながら戦場を把握する。

(…なるほど、確かに突出しちゃった。)

現状は月攻略艦隊の本隊と月の木星蜥蜴がド付き合いをしているトコに横からナデシコとアリス達101中隊が突っ込んだ感じ。

突っ込むナデシコの周囲に展開している101から更に、アリスが飛び出してしまっている。

(ボク的には何とかなりそうだけど、クリシュナ的には不安なんだろう。…クリシュナは基本的に慎重だから。…しょうがない、ボクから折れるとしよう。…ボクってオトナ♪)

「解った。このヤンマ達を倒したら展開ラインに戻るよ。」

クリシュナの肯定の声を聞きながら、アリスは情報取得に関して自分より劣ってるクリシュナが、自分より戦場をしっかり認識している事に驚きを感じた。

(…むぅ、コレが隊長って事なのかなぁ。)

実際には、アリスが目先の戦闘に集中しすぎなのが問題なのだが。

目の前にまで迫ったヤンマがグラビティー・ブラストを撃つが、見え見えの攻撃はアリス達には効かない。

マグナム・ファングで二隻を紙細工みたいに引き裂いたら、丁度、クリシュナ達も一隻落とした所だった。

「じゃ、帰…」

〔アリス!新タナ・敵機…新型!形式不明・30m級戦闘艇・ト・推察。〕

ナデシコの方に帰ろうとしたら、WILLが変な情報を流してきた。

(…なにこれ……船と言うより…人型…?)

少しずつ、レーダサイト上で大きくなっていく敵機に警戒しつつも、興味は止められない。

と、敵新型機からグラビティー・ブラストが飛んできた!

(ギリギリの所を掠めていったけど…危なかった〜。)

「クリシュナ!」

「此方は無事だ、アリス。とりあえず、アレの正面には立たないようにしないとな。」

アリス達は即座に三方向に散って、砲撃を警戒する。

「まさか、グラビティー・ブラストを持ってるなんて。変な所についてるから予測出来なかったよ。」

〔私達モ・胸部二・砲撃装備ハ・持ッテイマス・ガネ♪〕

「ボク達のはもっと、兵器チックだもん!…って事でぇ〜チェンジッ!ゲキガーンッVィィッ!!!」

アリスは右手を三つのレバーの方にやり、Tを押し戻しつつ、Vを引き倒した。

アリスの意思を受けて、トライデントが電光石火の変形を行なう。

分離と再連結の為に一瞬、モニターが明滅するが、直ちに敵を映す。

「目には目を、グラビティー・ブラストにはグラビティー・ブラストだ〜っ!!」

両腕の整流板が展開され、胸部から闇を吐き出す。

一瞬で射出された闇が敵を包む。

(さて、目標は…無傷!?)

「WILL…手、抜いた?」

〔ネガティブ…システム・チェック・オール・グリーン。目標ハ・高密度・ディストーション・フィールド装備・ト・推察。〕

「…って事は、オニヤンマ級のフィールド?…やりにくいなぁ。」

〔ドウヤラ・宇宙空間・デ・相転移機関ノ・出力・ガ・向上シテイル・模様。〕

「そういや、トライデントで純粋な宇宙戦はやってなかったね。」

(…となれば、近接戦闘に賭けるしかないよね♪)

ニヤリ。

 

 「ゲキガン・フレアー!!」

憎き、黒ゲキガンモドキに満を期して、デンジン必殺最強の重力波砲(ゲキガン・フレアー)を発射するも、見事に避けられた。

「ぬぅ、俺のゲキガン・フレアーを避けるとは、やるな。」

即座にゲキガンモドキと小物の二機が散る。

「ちっ、簡単に落とさせてはくれんか。」

と、ゲキガンモドキが一直線にこちらに迫ってくる。

「いい度胸だ。だが、それが命取りだっ!…ゲキガン・ビーム!!」

速射性の高い頭部レーザー砲(ゲキガン・ビーム)を放つが、またしても避けられた。

…む?…そういえば、ゲキガンモドキが回避動作を取っている様には見えなかったような…

「…おかしいな、どういうトリックだ!?…もう一度、ゲキガン・ビーム!!

今度は攻撃を避けたゲキガンモドキ。ビームは掠りもせず、明後日の方向にカッ飛んで行った。

「む?…う、…まさか、照準が狂っているのか!?…おのれ、草壁!そこまで腐っていたかっ!!」


怒りに震える越前大佐には悪いが、照準が狂っていたのは、彼のデンジンが試作機だからである。

正確には実用試験機。

それもテスト運用中の機体を無理やり、かっぱらって来たのである。

辛うじて、各種、運動機動試験はクリアしていたが、兵装運用試験はこれからだった。

結果、照準調整もおざなりなままであった。それでも唐突な実戦配備に研究陣や整備員達は半泣きの徹夜作業だったが。

照準の件だけに関しては草壁の意図では無い。

まぁ、「余り物でもくれてやれ。」と実用試験機なんかを渡したという意味では十分悪党だが。

ちなみに、彼のデンジンは左右の腕の長さが違う。

ゲキガン・パンチ後の格闘戦能力を与えるか、不要とするかの評価試験機でもあったからだ。

右腕は長く、指は正式採用型の多関節な丸い形状のが三つ。左腕は短めで四つの鋭い爪、テツジンの腕である。

最初は足の長さも違ったそうだが、流石にバランスが悪くなりすぎたらしい。今は均一化されている。


「くっ、照準が狂っているのなら、狂いなど関係ない攻撃をしてやるっ!」

戦闘中に下手に調整をするよりも、誤差を計算にいれて攻撃しようというのであった。

至近距離なら狂いも小さくなるだろうと、接近戦を敢行する越前。

「行くぞ!ゲキガンモドキ!!我が一撃を受けてみよっ!!」

口調はカッコイイが、ジン・シリーズは関節の数と自由度が乏しいので、攻撃は長い腕を振り回すだけ。

トライデントは左腕で迫り来るデンジンの右腕を逸らし、カウンターを決めようとしたが、そこで、異変が起きる。

 

 迫り来る不恰好な右腕を、ナデシコと同種のディストーション・ブレードでもあるグリフォンの左腕のフィールド出力を上げて、弾くように逸らそうとしたら…。

芋虫みたいな指にトライデントの左腕を握られてしまった。

「なっ!?…ディストーション・フィールドが効いてない!?!?」

〔肯定・敵機ノ・腕・二・フィールド・キャンセラー・ガ・仕込マレテイル・可能性・89%。〕

WILLの言葉に動転するアリス。

(だって、トライデントはディストーション・フィールドを使った攻撃が多い。コレを無効化されたら…。)

「ええ〜いっ!離せっ!!」

ふと、自分の腕を直接つかまれてるような気がしたアリスは、腕をねじる様に引っ張った。

と、思ったより簡単に解放された。

(向こうも思ったように攻撃出来なかったのかな?…まぁ、いい。)

「お返しだっ!」

目の前の不恰好な人型が、右手を引き戻しつつ、左手を繰り出すのを確認した上で、アリスも右の正拳突きを放つ。

グリフォンの槍顔負けな鋭く長い腕が、捻りこむように放たれる。

「パイル!!」

爪と槍の切っ先がぶつかる瞬間、右腕のレールが火花を上げて稼動する。

心地いいプラズマの煌めきを一瞬灯し、右腕のレールを走ったトライデント・グリフォンの右上腕部は、敵機左腕に見事にめり込んだ。

「ふんっ…ディストーション・フィールドが使えなくとも、このくらい朝飯前だよっ!」

と、唐突に敵機の左腕が大爆発した。

「わっ!?…WILL、何事!?!?」

〔敵ノ・自爆攻撃・ト・推察。個体燃料・ノ・爆発炎・ヲ・確認。右腕・損害軽症・戦闘続行可能。〕

モニターには左腕の肘から先を切り離した人型が爆炎に身を隠しつつ、距離を離しつつあるのが見えた。

「ちっ!逃がすかぁ〜っ!!チャージ・オン・レギオン!」

胸部グラビティーブラスト発射口と、その左右の40mm3砲身機関砲から怒涛の弾幕が放たれる。

 

 「くそっ!おのれゲキガンモドキ!!…つっゲキガン・シールド!!」

爆発する左腕をギリギリのタイミングで切り離せた越前がデンジンの空間歪曲場を最大に設定する。

戦艦用相転移炉が吐き出すエネルギーを総て、歪曲場発生装置に注ぎ込む。

機体の移動には、補助用の燃料式推進器を利用。

目に見えるほどに展開された空間歪曲場がゲキガンモドキの放つ弾幕を逸らし、弾いていく。

コンソールに付けられている円形の数値計の一つ、アナログ式歪曲場展開率メーターがグリーン・ゾーンからイエロー、レッド・ゾーンへとジリジリ針を進めてゆく。

「くっ、ジンの歪曲場をココまで削るとは…やってくれる。」

十分とは言えない距離ではあるが、後が無い。越前は取って置きの武器を使う事にした。

「我が、木連式戦艦すら打ち落とす必殺の一撃、受けてみよ!滅殺!!ゲキガーンッ、パンチッ!!」

残された右腕。その腕に搭載されたメカニズムが発動する。

肘から先がミサイルとして発射されたのだ。

特大の対艦ミサイル。しかもソレで殴り合いが出来る様に、やたらと頑丈な上、空間斥力場干渉機が先端の指に仕込まれている。

たとえ、無敗のゲキガンモドキでも直撃を喰らえば、確実に大破するだろう。

…直撃出来れば…

 

 「わっ♪ゲキガンパンチだ!…そうか、この敵、何処かで見たような気がすると思ったら、ゲキガンガーに似てるんだ。」

アリスが呑気に感想を言いつつ、ヒラリとその特大対艦ミサイル(ゲキガン・パンチ)を避けてしまった。

トライデントは、その機体特性上、高出力のスラスターがあらゆる所に付いている。

さらに人型であるが故に、大柄ながら小回りがやたらと効く。

思考と操作系がIFSで完全直結なアリスとのコンビネーションも合わさって、トンデモナイ反応速度を誇る。

戦艦には避けられない速度でも、トライデントには遅すぎた。

ジン(ザク)とは違うのだよ!ジン(ザク)とはっ!!


「…とはいえ、どういった攻撃をしようか?下手な攻撃はフィールドで弾いちゃうし。」

とつぶやいたアリス。

「私達の事を忘れてもらっては困るな。…ジェンセン!付いて来いっ!!」

「おうさっ!!」

ゲキガンガー(仮名)の背後から、クリシュナとジェンセンが迫る。

右手に抱えた槍は既に稼動。

凄まじい速度でゲキガンガー(仮名)の背中に突っ込んだ。

 

 ビーッ、ビーッ、ビーッ

警報が吼えるデンジンのコクピット。

クリシュナとジェンセンの攻撃は、ジン・シリーズの弱点、人で言えば背中の脊髄に当たる部位に大穴を空けていた。ソコには相転移炉の制御系の一部や動力管などが走っており、関節の関係上、重装甲が付けられなかったのだ。

「くっ、背後からとは卑怯なっ!」

クリシュナあたりに言わせれば「背中を晒した方がマヌケ」とでもなろうが、激情した越前に聞く耳など無いだろう。

彼の目が、損害状況を示すライトとコンソールの重力波砲の充填率メーターに向けられる。

ライトは中枢に被害を受けた事を示し、メーターは砲が十分に力を蓄えている事を示している。

「よし、一発は放てるか。もはや帰還が不可能になってしまった以上!ゲキガンモドキッ!!貴様は、落とす!!ゲキガ〜ンッ…」

正面のモニターに意識を向けると、ソコに映るゲキガンモドキは巨大な左腕を大きく振りかぶっていた。

そして、コブシを打ち出す動作をすると、左腕が此方に向かって飛んで来る。

既に機体が半壊していた越前には、避けられなかった。

「くっ!…由佳里っ!志穂っっ!!…すまん…。」

直後、彼は乗機と共に閃光に包まれた。

 

 「有難う。クリシュナ、ジェンセン。お蔭で止めが刺せたよ♪」

「なに、気にするな。」

「俺たちゃ、チームだからなっ。」

爆炎を見つつ言う、アリスの言葉にクリシュナとジェンセンが答える。

(チーム…一つの目標を遂行する為の集団。…ボクもその一人。)

「うん…有難う。」

あらためて、感謝するアリス。

〔トコロデ・機体モ・動キ・モ・不可思議・ナ・敵デシタ・ネ。〕

「…そうだね。なんか、妙に手間取ったよ。」

WILLの言葉に頷くアリス。

「木星蜥蜴の新型か。…アニメでも参考にしたのかな?」

アリスの呟きに、

「ははっ、それはちょっと無理があるぜ。」

「ふ、バッタがテレビに熱中しているとしたら…面白いな。」

ジェンセンとクリシュナが答え、クリシュナの言葉を想像した三人は笑い声を上げつつ、ナデシコの戦列に戻るのだった。

 

 指揮官を失った木連月軌道無人艦隊はこの後、壊滅した。

かくして、第四次月攻略作戦は一応の成功に終わったのであった。

しかし、木連は月に更なる増援を送り、相変わらずの一進一退を続ける事になる。

月が完全に解放されるのはまだ先になる。

が、今回の作戦によって、月の各コロニーに救援物資を送り届ける事が出来たのは、大いなる成功だろう。

今回、初めて機動兵器戦で人間相手に戦い、勝利した事をアリスは知らない。

敵を殺した事も。

アリス始めての殺人はこうして本人に気付く事無く、過ぎ去っていくのだった。

木連では、草壁が越前の死を大々的にアピールする。

「卑劣な地球人によって勇敢で有能な将が一人死んだ。我々は越前少将を忘れてはならない。彼の勇気に続け!レッツ、ゲキガ・イン!!」

戦争は双方の思惑を孕んで更に加速するのであった。








第十五話 完







 あとがき

さようなら、越前少将!作ったばかりの君だけれど、さようなら。

TANKです。

越前<少将>←戦死により大佐から二階級特進と言う事で。

今回初めての名前有りキャラの死。敵ですけど。

いやぁ、気が付いたら色々と彼の設定が付いて回ってしまいました。…積み木崩しってこういう感覚なのかなぁ。積み上げて、ガッシャ〜ン。

越前に関しては、読んでくださった方の反応が面白かったので悪乗りしたかもしれません。

楽しかったから、また、こういう遊びはしたいですね。



今回の<ネタ>

津雲涼子(ツグモ・リョウコ) エリア88におけるヒロイン。主人公風間真(カザマ・シン)の彼女。この二人の錯綜するラブ・ロマンスがエリア88の主軸の一つ。

拙作ではお亡くなりになってますが(汗)



>アリスも色々やってるようですけど、結構負けず嫌いっぽいからまた正面から行くような気もするなぁ

さすが、鋼の城さん。アリスの性格をよく判ってる!まぁ、解りやすい奴ですけど(笑)

そうなんスよね〜、アリスの奴、いつも、猪突猛進だから。…せっかく、状況を支配出来る能力があるのに(涙)

あ〜、クリシュナの忠告も聞き入れて無いっぽいなぁ。

どうしたもんだろ(爆)。


さて、次は…どういう話で行きましょうか。…あ、コスモス出すの忘れた。

 

 

 

 

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代理人の感想

下手にスペックが高いと、正面からの猪突猛進正攻法だけでどうにかなる(実際、正攻法&基本は最強です)から

そういう小技とかコツとか中々覚えないんですよね、なぁ管理人(笑)。

 

 

・・・・しかし、イツキとシンが兄弟だってのは思いつかなかったなぁ。なんか負けたw