◇ フラット ◇

 

 ふと気付くと、俺は自分の部屋に居た。

ベッドに腰掛けている。
そして、肩を触れ合うようにしてフェイトが隣に座っていた。

「…ふふふ、
緊張してるね、フラット」

優しく緊張をほぐすように俺の手を握るフェイト。

俺はフェイトへ顔を向けた。

何故かフェイトの方が身長が高くて、俺は心持ちフェイトを見上げる格好になった。

フェイトがそんな俺に微笑む。

なんだか妙に男らしい笑みだ。

身長が高いだけでなく、体格も良くなってる。
む、そんなに男らしい身体になりやがって…、うらやましいぞ!

思わず、自分の体を見つめ直す。

白く華奢な手足、細い胴、ふくらみを持った尻と乳。

………、

……、

…、

ち、乳ぃ〜〜!?

まて、俺はまだ小学生の体のはず!!
なのに、なんでパジャマを着ていても明らかなほどに膨らんでいるのだ、この胸はっ!

「さぁ、うつむいてないでこちらを向いて」

俺の顔に手が添えられて、
やさしく、しかし強制的にフェイトの方へと顔を向けさせられた。

そして、

気が付いたら、フェイトの顔が凄い近くにあって…、

キスしてた。

…、

うぉっ!
舌入れてきたっ!

くっ、ふっ…、

ふあっ!?

うぬっ、フェイトの奴、何時の間にこんなにキスが上手くなりやがった?

しかもディープな奴を…あふっ。

ううっ、主導権を握られっぱなしだ、なさけない。

しかしキスって気持ち良いんだなぁ。
…知らなかった。

と、フェイトがキスの始まりと同じように唐突に離れた。

あ、フェイトと俺の間に唾液のアーチが…。

…って、なんでキスが終わった事を残念に思ってるんだ俺は?

これでも元男だからエロエロな事には興味あるが、
なればこそ、主導権は俺が握って居たい。

ええい、女の子同士の百合な状況でも、もはや構わない。

俺のエロスイッチはもう押されてしまったぜ。
覚悟しろ、フェイト!

と思っても身体は動かず、フェイトのなすがまま服を脱がされていく。

パジャマの下はシンプルなスポーツ系のブラジャーとショーツ。

かろうじて、俺の付けられるデザインの範疇に収まっている。

しかし、なんでこんなのが必要になる身体に急になってるんだ?

そもそも、こんなエロ情景が脈絡無く展開されてるのはなんでだ?

と、思ったところでブラが外され、ベッドに寝転がされる俺。

男らしくも優しい笑みを絶やさないフェイトがパジャマの上をゆっくりと脱ぐ。

そして晒されるフェイトの上半身。

それを見た瞬間、俺は唖然とした。

引き締まっていたのだ。

筋肉で。

ボディビルダーの見せる筋肉ではなく、アスリートの戦う筋肉だ。

あ、この比較に悪意は無いぞ。
ボディビルダーの筋肉はあれでこそだと思うし、普通にカッコイイと思う。
ただ、造形美と機能美は違うのだ。

ともかく、俺の体が成熟したっぽい女の身体なのに、フェイトの身体は男の理想系のような体。

…何故だ。

今すぐ、フェイト!
俺と身体を交換しろっ!!

そう声に出そうとしたが身体は言う事を聞かず、フェイトの成すがままショーツも奪われてしまった。

素っ裸になった俺。

不意に、自分がどんな表情をしているか判った。

眉をひそめて困った表情だ。
しかし、頬を赤く染めて、一抹の期待を抱いている。

胸の奥でこの先の展開を期待している俺が居る。

…嘘だ!

そんなはず無い!!

そんな期待抱いてたまるかっ!!

はやく抵抗しろ俺!
手遅れになる前にっ!!

だが、結局俺の身体は自由になる事も無く、フェイトの操るままだ。

俺の身体をフェイトの手が刺激する。

胸の膨らみを揉みほぐし、先端を優しくしごく。

胸の感触を堪能したのか、胸から腹、腹から腰へと片方の手が撫でるように動く。

揉まれる気持ち良さに意識が朦朧としてしまっていた俺に、新しい刺激が突き刺さった。

痛いような、気持ち良いような。

不可思議な感触が生まれた場所は、俺の下腹部。

かつて、誇り高き男の象徴があった場所に存在する割れ目。

フェイトはソコに人差し指を押し当てていた。

未体験の感覚に打ち震える俺。

戸惑う俺の表情を見たのか、フェイトは微笑みを深くし、
胸と下腹部に置いた手はそのままに、再びディープキス。

ああ、やべぇ。
なんかトロけてしまう。

フェイトは口から喉、胸元、腹へと口付けを続けて行く。

フェイトのキスを受けた箇所が妙に熱い。

そして、爪先にまでキスをして離れたフェイトが、ついにズボンを脱いだ。
一緒にパンツも脱ぎ捨てた。

そして、そそり立つ男の象徴。

り、立派だ。

かつての俺のより、凄いかもしれない。

…何が、どう、とは言えないけれど。

そして、一線を超える準備が完了してしまった。

それは、神話の時代から語られ続ける神聖な合一。

命は巡るものであるという証し。

………、

……、

…、

ゴクッ。

俺の喉が鳴ると同時にフェイトの腰が大きく動いて、俺のに押し付けられようと……、

や、

やっ、

「やっぱ、止めぇぇぇぇぇっ!!」

…、

はっ。

「…夢?」

海鳴市にあるマンションの一室。
管理局の任務の為に借りた部屋。

そこの俺の部屋だ。
一応、個室。

いつの間にか、俺はベッドから起き上がっていた。

ふと気が付くと、息が上がっている。

全身汗まみれ。

おもわず、自分の身体を確認する。

汗でビショビショだし服の上からでは確認し切れないので、ベッドから降りてパジャマの上を脱ぐ。
ついでに、下も脱いでしまおう。

…うん、情け無いくらいに細くて小さい身体だ。

筋力トレーニングは欠かしていないのに…筋肉は盛り上がりもしない。
ガキの内にやりすぎると成長が阻害されるらしいので控えめにしているからか?

ともかく一応、今まで通りに認識している9歳相当の身体。

とてもとても、ささやかな胸のふくらみ。

「…やっぱり、あれは夢か」

…しかし、あんな夢を見るとは、
俺って欲求ふ……

「何事だっ!」

バタンッ!と大きな音を立てて俺の部屋のドアが開く。

飛び込むようにして俺の部屋に踏み込むクロノ。

クロノの背後に、リンディやエイミィ、フェイトにアルフが居た。

「あ、悪い。
変な夢を見たんで、声に出しちまってたみたいだ」

どこか、気が抜けたまま答える俺。

何故かクロノ、エイミィ、フェイトの顔が赤くなる。

「?
どうした?」

得体のしれない反応に首を傾げる俺。

……へっくち。

不意にクシャミをしてしまった。

なんか寒いな。

そうか、12月の早朝。
寒くて当たり前。

そして、今の俺は汗まみれでショーツ一丁だ。

「ん?
………あっ…」

唐突に事態を認識した。

何故か急に恥ずかしくなった。

「っっ!
見んなっ!!」

魔力制御の恩恵を受けた神速の踏み込みから、全力の右ストレートを繰り出す。

標的であるクロノの顔面にクリティカルヒット!

クロノはそのまま、俺の部屋から吹っ飛んだ。

他の4人は廊下に居たままなので、俺は遠慮なくドアを閉めた。

…、

…、

…、

って、なんで俺は赤面してるんだ。

そもそも、なんて夢を見てるんだ俺は。

お、俺は男だ。

男だ。

男だ。

むしろ、漢だ。

なのにあんな夢を見た挙句、裸を見られて赤面だと?

…いや、フェイトと限り無く同じ身体付きの俺である以上、男に裸を見せる事は宜しく無い。

うん、さっきの行動は理論的に解明できた。

姉としてフェイトの機密は守らなければならないから、それは良し、だ。
フェイトに妹扱いされても、そのポジションは譲れない。

じゃあ、夢の方はどうだ?

…き、きっと性転換した影響が出たんだ。

考えて見れば、フェイトの身体で目を覚ましてからコッチ、息吐く暇もなかった。

ジュエルシード争奪戦、それに起因する時の庭園攻防戦。

そして、その後始末として管理局の裁判。

管理局とこれから付き合って行く上で必要になった嘱託魔道士資格の試験。

ようやく、色々片付いた所だ。

新しい厄介事が舞い込んで来たが、今の所、戦力外通知状態だから気が抜けたのだろう。

だから、今までのストレスが影響して珍妙な…夢になった。

うん、そうだ。

そうに違いない。

望んで見た夢じゃない、ストレスの所為なんだ。

…俺は男、

俺は男。

魂は漢だ!

よし、風呂に入ってさっぱりしよう。

そしたらちょうど良い時間になるだろう。

…ショーツまでビショビショだったのは…、汗のせい。
きっとそうに違いない。
それ以外の理由なんてあってはならない…。


 

 

魔法少女リリカル☆なのは 二次創作

魔法少女!Σ(゚Д゚) アブサード◇フラット A’s

第3話 「Are You Ready?」

 

 

 ◇ ユーノ ◇

 

 「…はい、もう大丈夫。
リンカーコアは完治してますよ」

本局の病院で医者の先生に身体を見てもらってる僕。

「あ、はい。
ありがとうございました」

「ああ、君ね。
そんな若い内から無茶ばかりしていると、ちゃんと成長出来ないよ?
彼女を泣かせたくなかったら気を付けなさい」

先生に頭を下げると先生はニヤリと笑いながら忠告をしてきた。
ちなみに、この先生、
男の先生で髪の毛が大分悲しい事になってる。

「へっ!?
あ、いや、ぼ、僕まだ彼女いないですよっ!?」

ワタワタと両手を振って否定するけど先生は何処吹く風で言葉を続ける。

「ふっふっふっ、
どうやって受けた怪我なのかは、報告を聞いてる。
素晴らしいぞ、ユーノ君!
それでこそ男だ。
…私も若い頃、そうやって奥さんをゲットしたんだよ。
見るかね?」

そう言って胸元からパスケースを取り出して、中の写真を僕に見せる先生。

写真には歳を取ってはいるものの、綺麗な御婦人が微笑んで映っていた。
正直この先生とは見栄え上、釣り合わない。
僕みたいな事があったからって、どうやったら付き合えたんだろう…。

でも、この奥さんを自分の身で庇ったって話を聞くと、
砂漠化が進行中の頭頂部も、なぜかカッコ良く見えるから不思議だ。

「ふふふ、ウチの奥さんは綺麗だろう?
君も今がチャンスだよ。
この機会にガンガン攻めたまえ!
男は度胸だ!
歳なんて関係無いんだよ!」

「でも、まだ子供だし」と言って逃げようとしたら、見事に先に押さえつけられてしまった。

…なのはと夫婦に…。

成長して、子供を抱いてるなのは。
仕事から帰ってくると、優しく迎え入れてくれるんだ。
…でも僕はきっと遺跡発掘を仕事にするだろうから、なのはも一緒に付いて来てくれるかな?

そしたら、
なのはと一緒に遺跡発掘。
二人で汗を流しながら、古代の神秘とロマンに浸るんだ…。

ああ、
なんだか、いいかも。

でも、なのはの事だから細かい作業がだんだん面倒になって、一気に吹き飛ばそうとするかもしれない。

あ、
いけないなのは!
発掘現場でスターライト・ブレイカーはマズイって!!
ぎゃー!
埋まってたロストロギアに直撃っ!?
込められたエネルギーが暴走して時空震がっ!?
ああ、僕はこんなところで死ぬんだ。
何故だろう、なのはだけは生き残りそうだよ…。

「…ユーノ君。
ユーノ君!
しっかりしたまえ!!」

はっ!?

「…は、はい」

ふと気が付くと、診察室で先生に肩を掴まれてる僕。

「ふむ、
なんだか色々思うところがあるようだが、困った事があったら言ってきたまえよ?
医者は患者のメンタルケアも仕事の一つなのだからね」

恋愛相談もドンと来いだ!
と、胸を張る先生。

でも先生、貴方の恋愛経験は特殊みたいです。

「と、ともかく、ありがとうございました!」

ペッコリ頭を下げて、診察室を後にする僕。

ちょっと残念そうに僕を見送る先生。

時空管理局・本局の廊下を歩いていると、反対側から走ってくる集団が。

あ、なのはとフェイトとフラット、アルフだ。

「やっほー、ユーノ君!
身体、大丈夫?」

なのはが声をかけてくれる。

「うん、先生の太鼓判を貰ったよ」

「よかった〜。
ユーノ君に何かあったら如何しようってずっと悩んでたんだ〜」

心底安心した表情で胸を撫で下ろすなのは。

その胸には待機モードになったレイジング・ハートの姿があった。

「ああ、レイジング・ハート帰って来たんだね。
大丈夫かい?」

Of course.(もちろんです)

自信満々の返答をするレイジング・ハート。
レイジング・ハートには縁があるから、無事元通りで一安心。

隣に立つフェイトの手の平に乗せられたバルディッシュもキラリと輝いている。

そして、フェイトの隣に立つフラットの胸には大きな銃弾型のペンダントがあった。

とても大きい。
人の親指一つ分くらいの直径と長さ。
並の二倍以上ありそうだ。

「え…と、
それはフラットのデバイス?
完成したんだ」

「おう。
切り札になるストライク・フォームが未調整なんだが、そこら辺は自分で弄るって事でかっぱらって来た」

Hello Mr(こんちわッス).】

若い男性の声で喋るデバイス。
よく見ると、銃弾の弾頭が緑色の宝石になってる。
芸が細かいなぁ、きっとこの銃弾は彼女のデバイス専用の特大カートリッジと同じサイズなんだろう。

「始めましてアルギュロス、
僕はユーノ・スクライア、よろしく」

Me too(こちらこそッス).】

僕の言葉にチカリと光って返答。
なんだか結構明るい感じのデバイス。
ちょっと珍しいかも。

あの対比が狂ったようなサイズの拳銃のインテリジェント・デバイスだとは到底思えない。
フラットの事だから、もっと強烈な個性にすると思ってたし。

「顔合わせも済んだ所で、とっとと帰ろうよ。
ここはなんだか居心地悪いんだ」

僕が物思いに沈んでいると、アルフが微妙な表情で言う。

「どうしたの?
アルフ」

「動物は基本的に嗅覚が敏感だからな。
医療棟に染み付いた薬品の匂いがタマランのだろうよ」

フェイトの疑問顔にフラットが答えると、
フェイトが悲しそうな顔になる。

「アルフ、クスリの匂い嫌いなんだ…。
じゃあ、今まで手当てしてくれた時も…」

「そっ!?
そんな事無いよフェイト!!
フェイトの為なら全然気にならないんだからっ!!」

フェイトに向かって、ワタワタと焦るアルフ。

そして、フラットに向かって「余計な事をっ!」って視線で睨み付けた。

対するフラットは何処吹く風と言う表情。

「まぁまぁ、
私も早く(撃ち)に帰りたいし、早く行こ?」

カオスになりそうな状況を制して、目的をハッキリさせるなのは。

…、
ん?
今、「家」じゃなくて「撃ち」って言わなかった?

ひ、ひょっとしてなのは、デバイスの試し撃ちがしたいの?

なのはの表情は、いつものニコニコ顔だけど、
その割に『ぐずぐずしてると、ココで試し撃ちしちゃうよ?』って雰囲気が滲み出てるっ!?

は、はわわっ!?

急がないと本局が廃墟にっ!?

「と、とりあえず行こうよ!
廊下で立ち話するのもアレだし!?」

僕は未だに不満顔のアルフと、なんとか持ち直したフェイトの背中を押して歩き始める事にした。

その時は、いきなり戦闘に加わる事になるなんて誰も思ってなくて、
フラットの発言に誰も気にする事なんてなかったんだ。

 

 

 ◇ クロノ ◇

 

 なのは達が本局から帰ってくるという通信が来た少し後、
唐突に闇の書の守護騎士達が監視網に引っかかった。

地点は僕達が拠点にしているこの海鳴市。

発見した守護騎士は赤色と青色のバリアジャケットの二人。

幸いにして、アースラ配属の武装局員が接触する事に成功。

武装局員10名が取り囲み、状況が膠着した所で僕も駆けつける事が出来た。

僕は守護騎士達の上空で足を止める。

『いいわね?
クロノ!』

「ええ、判ってます艦長。
コイツ等を確保して、情報を引き出して見せます!」

通話用魔法陣に映るリンディ艦長に頷いた僕は、攻撃用魔法陣を展開した。

初っ端から全力で行く!

僕のストレージ・デバイス、S2Uに書き込まれた術式の内、
もっとも広範囲で、
もっとも手数の多い魔法を選択。

足場代わりにもなる大型魔法陣の周囲に無数の光剣が成形された。

総数80本。

コレが今の僕の全力だ。

光剣が展開しきった所で、目標の守護騎士達が僕に気付く。

でも、遅い!

「食らえっ!
スティンガー・ブレイドッ!
エクスキューション・シフトォーー!!」


蒼く光る光剣に帯状の魔法陣が展開し、射撃体勢が整う。

()ぇーーっ!」

僕の号令に合わせて、80本の光剣が一斉に射出される。

殺到するスティンガーブレイドを見た守護騎士、青いバリアジャケットの背の高い男が、
赤いバリアジャケットの少女を庇った。

直後、スティンガーブレイドが直撃し、無数の爆風が発生。

「良しっ、
全弾、命…中…っ!」

ハァハァと息を荒げる僕。

仕方が無い、
僕には、魔力馬鹿のなのは達みたいな魔力量は無いのだから。

と、煙が風に流され、攻撃目標の姿が露わになった。

ソコには、左腕に3本のスティンガーブレイドの欠片が突き刺さっているものの、
それ以外何も変化の無い男の姿があった。

彼が左腕に力を入れると、その欠片も砕けて消えた。

「…少しは……通ったか」

やれやれ、ちょっと自信を無くすな、こうも平然と受け止められると。

でも、ま。

この攻撃は、連中の足止めだ。

『武装局員、配置終了だよっクロノ君!』

「了解」

エイミィの言葉と共に、大きな魔力のドームが僕達を、町の一角ごと包みこむ。

腕利きの武装局員十人掛かりの強装結界だ。
もう逃さない、闇の書とその関係者はここで仕留める。

『あっ、
後、助っ人を転送したよ!』

「助っ人っ?」

唐突に発生した魔力へと視線を向けると、そこにはビルの屋上に立つ5人の姿があった。

 

 

 ◇ フラット ◇

 

 管理局の常設型転移ポートを何箇所も経由して海鳴市に帰っている途中で、エイミィから緊急通信が入った。

『守護騎士の人達を発見。
結界に閉じ込めようとしているけど、逮捕するのを手伝って欲しい』

直ぐにリンディの権限で長距離転移と転移ポートの優先使用権を得た俺達は、一発で海鳴市へと転移した。


夜空に佇むビルの群れ。

その中の一つの屋上に設置された給水タンクらしき構造物の上に立つ俺達。

俺、フェイト、なのは、アルフ、ユーノ。

辺りを見渡すと既に結界は張られていた。
一目で頑丈だとわかる結界だ。

そして上空には赤色のガキと青色の男と、少し離れた位置に黒一色のクロノが居た。

赤は確か、ヴィータ。
青色の名前は知らない。

「来たか!
君達も早く武装しろっ!」

クロノが声を上げると、同時にヴィータと青いのもこちらを向いた。

「……なんだテメーら?
テメーらもアタシ達と遣り合おうってのかっ!?」

「違う!
話を聞いて!!」

「そうなのっ!
お話を聞かせて!
貴女達が、闇の書を完成させる理由を!!」

ヴィータの言葉に、フェイトとなのはが一歩前に出て叫んだ。

二人はバリアジャケットを展開する事も無く私服のまま。

今、攻撃を受けたら文字通りの一撃だ。


「…アルギュロス。
戦闘準備」

【はいッス、ご主人。】

だから、何時でも戦えるように用意しておかないとな。


「なんでアタシが敵に、一々教えてやらなきゃなんねーんだよっ!」

「まだ敵じゃない!
私はまだ、敵じゃないよ。」

ヴィータの台詞に吼えるなのは。

「は?
テメー何言ってんだ。
テメーは管理局だろうがっ!!」

「違うよ。
私はどこにも所属していない。
強いて言うなら、民間協力者なのっ」

「え?」

なのはの言葉に唖然となるヴィータ。

気持ちはよく判る、ヴィータ。
なのはって奴はあらゆる意味で規格外だからな…。

ヴィータは救いを求めるように、なのはからフェイトへと視線を移すが、

「なのはは管理局に登録されていない魔導士だよ」

フェイトは首を振って、ヴィータの疑惑を否定する。

「っ!?
……それでもアタシは、お前にデバイスを突き付けて戦った敵じゃないかっ!
どうして敵じゃないなんて言えるんだよっ!!」

「そんな事はどうでも良いの!
私が良いって言ってるんだから、敵じゃない!
……それに、
どうして闇の書を完成する必要があるのか。
その事を教えてくれたら、
私も手伝えるかもしれない」

「「「「「なっ!?」」」」」

なのはの爆弾発言に、ヴィータ、その隣の青い奴、クロノ、アルフ、ユーノが唖然となった。

俺とフェイトは、まぁ、既に耐性が出来てたからな。
フェイトに至っては、なのはと一緒に手伝いかねないが。


「……それでアルギュロス。
お前、戦闘は大丈夫なんだよな?」

【勿論ッス、
先輩方のご指導を受けたッスからね。
もう、バリバリッスよ!】

「先輩ぃ〜?」

【レイジングハート先輩とバルディッシュ先輩の事ッスよ。
自分、あんなに漢気溢れるデバイスに出会った事無いッス!
調整槽ではホント、色んな事を教えてもらったッス。
だから任せるッス!
多少の無茶はゴリ押しでなんとかするッスから!!】

「……そ、そうか」

たしかにあの二機は漢気満載だが…。

ん?
って事はコイツ、あの二機の影響を受けてるのか?

そうか、生まれたばかりの真っ白なコイツが、あの二機と一緒になって影響を受けない訳が無い。
この珍妙な体育会系の口調もその影響か。

ううむ、もっとクールでハードボイルドなデバイスにしたかったんだがなぁ。

「……まぁいいや。
使えるってんなら、遠慮無く振るってやるぜ」

【押忍!】


ふと目の前に焦点を合わせると、なのはに突っかかるユーノが居た。

「な、なのはっ!
どうして君は、そんなにお人よしなんだよ〜っ!」

「どうして怒るの?
あの人達の目的を手伝って、私達と管理局の目的も達成させて貰えば、皆幸せになるんだよ?」

「だから、どうして彼女等の目的が僕達のそれと衝突しないって思ってるんだよっ!」

「だから、お話を聞かせてって言ってるよ?
もし私達の目的とぶつかるなら、お話して、ぶつからないようにするんだよ?」

「…ああっ、もうっ!
ああ言えばこう言うっ!!」

「それはコッチの台詞なの、ユーノ君」

いがみ合う…ってほどじゃないが、口論に近い状態のなのはとユーノ。

しかし、なのはの言ってる事は興味深い。
ちょっと口論に介入してやろう。
上空で待ちぼうけ喰らってる奴等もいるしな。

「つまり、なのはの言いたい事は政治をしようって事だな?」

「「へっ?」」

どういう事?と、なのはとユーノが俺へと振り向く。

俺は二人に、まぁ落ち着いて見てろ、と手振りで示して上空を向いた。

「クロノ・ハラオウン執務官!
今、管理局で闇の書に関わる事件の担当者であり、その責任者なのはクロノで間違い無いな?」

「?
ああ、その通りだが?」

それがどうした?という表情のクロノ。

「クロノが安全を認めれば、管理局は闇の書を消滅させようとはしないなっ?」

「闇の書が安全だと認められれば。
それが認められたならば、僕の全権を使って闇の書の即時殲滅指定を解除してもいい」

よし、その言葉が聞きたかった。

「と、言う訳だ。
守護騎士のお二人さん!
管理局はアンタ等の話次第では、対応を変えると言ってるぜ?
アンタ等はどうなんだ!
このまま、戦いを続けるのか?」

俺の言葉に動揺する守護騎士の二人。

顔を見合わせ、なのはを見て、クロノを見て、俺を見る。

そして、

「……テッ、
テメー等の言う事なんっ…」

「待て、ヴィータ」

「ザフィーラ!?」

今まで沈黙を守っていた青い奴がヴィータの肩を掴んで止めた。

「…お前たちの言葉が信用できない。
だが、この結界を解除したら、交渉してもいい」

「おい、ザフィーラ!」

「落ち着け、ヴィータ。
現状は俺達が不利だ。
だが、話をする為だけに状況をイーブンにすると言うのなら、話を聞く価値がある」

あえて俺達にも聞こえる声で話す、青い奴ことザフィーラ。

ふん、そう来たか。
確かに双方、話に乗り気であるという証明をしなくちゃ交渉は出来ないけどな。

ワザと現在の状況を聞かせる事で自分達の主張に変えるか。
あのザフィーラと言う奴、なかなか頭が切れるな。

「交渉してもいい」と言って、断言しない事によって逃げ道も用意しているし。
その点は、クロノも同じだが。

「君達が逃げないと言う保障はあるのかっ!」

クロノがザフィーラに問う。

「それは、行動によってしか示せない」

ザフィーラが眉一つ動かさずに答える。

「はっはっはっ!
そう答えるか!
やれやれ、ホント〜に大したもんだぜ!!」

あっはっはっ。

もう笑うっきゃねぇな。
追い詰めたつもりが、土壇場で将棋盤をクルリと180度回されたようなもんだ。
まさか、こうもすんなり話し合いを受け入れるとは思わなかった。
お蔭で問い詰める立場から、問い詰められる立場だ。

まぁ、結界解いたら逃げ出すどころか、牙を向いてくる可能性もあるんだがな。

「何を笑ってるんだフラット!
元はと言えば、君の発言が原因だろうがっ!!」

逆に追い詰められたクロノが俺に噛みつく。

クロノも話し合いで済めば言う事は無いだろう。

だが、先の俺の懸念通り、この二人がどう言う挙動を取るのか判らない。
かと言って、こちらから交渉を提案した以上、簡単に引っ込めないのだが。

「まぁまぁ、落ち着けやクロノ」

『カリカリしてると、ザフィーラ達の思う壺だぜ?
それよりさ、この結界、解除した後すぐに再展開出来るのか?』

口を開きつつも念話も使ってクロノと相談。

「む。
君に諭されるとは心外だ」

『前半の発言はさておき、後半についてはイエスだと言っておく。
この結界は武装局員10名の手による強装結界だ。
人手がかかるのと継続的な魔力消費が問題だが、応用性が高いのが強みだ』

クロノも俺の意図を掴んだのか、口と念話の同時進行で答えを返してきた。

俺の行動を呆気に取られた顔で見ていたフェイト、なのは、アルフ、ユーノも、
俺達の念話を聞いて、表情を変えた。

と、そこでなのはが右手を上げて提案した。

「はい!
お話をするなら、ずっと空に浮いてるのも大変だと思うの。
ここに降りてきたらどうかな?」

純真無垢な笑顔で空に浮かびっぱなしのヴィータとザフィーラ、クロノに言うなのは。

おお、流石なのは。
交渉の席に付いたら逃さねぇってか。

「それはいいな。
アンタ等がここに降りてきたら、結界は解除するって事でどうよ?」

『つまり、近場に引き寄せる事でアイツ等の動きを封じようって訳だ。
フェイト、なのは。
何時、アイツ等が飛び掛ってきても良い様にデバイスをスタンバイさせておけよ?』

『判った』

『うん』

念の為に俺の腹積もりを念話で伝え、ついでに非武装のフェイトとなのはに警告しておく。

今の段階でバリアジャケットとデバイスを展開したら、それだけで交渉がオジャンになっちまうからな。

さてさて、こういうのは得意じゃ無いんだがな。
と、思いつつも空を見上げると、今の俺の発言に逡巡する二人が居た。

「僕も、なのはとフラットの提案に賛同する。
話をする気があるのなら、彼女達が立っているビルに降りて欲しい」

そして、決断を促す様にクロノも口を開いた。

「……どうするんだ、ザフィーラ。
まさか管理局の奴等にアタシ等の事、洗いざらいブチまける気じゃないだろーな!」

「そのような気は無い。
だが、もし彼等の協力が得られたら、我等最大の懸念も解消出来るかもしれない」

「……、
一番大切な事まで漏らそうとしたら、アタシがアンタを潰すからな、
ザフィーラ」

「心しておこう」

辛うじて聞こえてきた言葉を最後に、俺達に向かって降下してくる二人。

常にその二人の上空を押さえるようにクロノも降りて来た。

そして、三人が着地。

「……さあ、アタシ等は降りたぞ。
次はテメー等の番だ」

「判っている、エイミィ」

『いいの?
クロノ君、コレって……』

「いいんだ。
やってくれ」

『……うん。
それじゃあ、強装結界、解放します』

ヴィータの言葉に頷いたクロノが魔法陣の映像越しにエイミィへ指示を出す。
そして、躊躇いがちに解放される結界。

空が、普段の夜空に戻った。

「……さて。
それで話の主題は、俺達の目的だったか?」

空を見上げた後、真っ直ぐになのはを見つめたザフィーラが口を開いた。

「う、うん!
そうなの、教えて!
そうしたら、私、手伝えるかもしれないから!」

「ハン。
じゃあ、テメーのリンカーコアを差し出せよ。
それがアタシ等にとって最高の手伝いさ」

勢い込んで言うなのはに、皮肉めいた表情のヴィータが答える。

「ヴィータ」

そんなヴィータを抑えるザフィーラ。

「ふ〜ん。
なるほど、なんとしても闇の書を完成させたいんだな、お前等。
だが、何故だ?」

ケンカ腰のヴィータに飛び掛りそうだったアルフを抑えつつ、俺が一歩前に出る。
なのはに視線を向けていたザフィーラが俺へ顔を向ける。

「我等は闇の書の守護騎士。
闇の書の完成を目指すのは自明の理。
……何故、問い掛ける?」

「そりゃ、お前等の闇の書がぶっ壊れてるからさ」

「なにぃっ!!」

俺の言葉に沸騰したヴィータが、ザフィーラに羽交い絞めにされた。

「落ち着け、ヴィータ。
彼女等の発言に一々突っかかっていたら、身が持たんぞ!」

ヴィータを押さえつけたままのザフィーラに「お前も不穏当な発言は慎め」と言った視線を向けられる。

「オーケー、オーケー、
判りやすく説明しよう。
まず、管理局で闇の書は即時殲滅対象になっている。
何故か?
……それは、闇の書が完成と同時に暴走し、次元世界すらも破壊する爆弾になってしまうからだ。
そうだな、クロノ?」

「……ああ。
僕が知りうる限りの情報ではそうなっている。
管理局のデーターベースによると、闇の書が関係している次元崩壊事故は数知れず。
自爆しようが、管理局の手によって消滅させられようが、転生機能によってあらゆる世界へランダムに転移してしまう。
よって、発見次第、即時殲滅が管理局の取ってきた対応だ」

俺の言葉を引き継いだクロノの発言に目を剥く守護騎士の二人。

「なっ!?
そんな話、知らねーぞ!」

「ああ、俺の記憶にもそんな話は……無い」

ヴィータとザフィーラは顔を見合わせ、初めて気付かなかった事実に気付いたような表情をしている。

「詳細は僕にも判らないが、闇の書のプロテクトは強固で外からの介入は受け付けないとされている。
よって、今までは物理的に消滅させる事でその場凌ぎをしていたのだが、
もし、君達の協力が得られるのなら、闇の書に纏わる騒動に終止符が打てるかもしれない」

「まさか、守護騎士プログラムがこんなにも情緒ある存在だとは思わなかったが」と呟きつつのクロノ。

クロノの言葉に表情を変えるヴィータとザフィーラ。

「……、
守護騎士プログラムの事まで判っているとはな。
お前の言葉、真剣に考える必要があるのかもしれない」

「何言ってんだ、ザフィーラ!
コイツ等、適当な事言ってアタシ等を煙に巻こうとしてんだよっ!!」

「だが、ヴィータ。
断言出来るのか?
闇の書が、そのような存在では無いと。
リンカーコアの搾取に躊躇っていたのはお前だろう?」

「う……、それとコレは違うっ!
それに他にどんな手があるってのさ!
アタシ等には時間が無いんだ!!」

「目的を話してくれたら、私達に手伝える事があるかもしれないよ」

ザフィーラとヴィータの間での口論に、なのはが口を突っ込む。

「そして、
ひょっとしたら、全然違う対応策を見つけられるかもしれない」

なのはに追従するフェイト。
「かもしれない」と言ってるくせに物凄く自信満々だ。

これが若さか?

「とりあえず、お前等の言葉を聞くかぎり、
闇の書を暴走させるのは本意ではないって事は判った。
暴走する事を知らなかったって事もな。
……、
そこで質問だ。
まだ、闇の書を完成させたいか?

頭をよぎった考えを無視して、ヴィータとザフィーラの二人に問いを放つ。

「だからっ!
テメー等の言葉が信用出来るかってんだ!!」

「……例え、お前達の言葉が正しくとも、闇の書は完成せざるを得ない」

突っかかるヴィータと冷静に答えを返すザフィーラ。

「ふむ?
つまり、俺達の言葉が信用出来れば、目的を話してもかまわん訳だな。
……クロノ、
コイツ等に闇の書に関わるデータを提供してやってくれないか?」

「なっ!?
何を言っている!!
管理局の所有するデータは原則として部外秘だっ!
少なくともミッドチルダに連なる者で無い限り、そうホイホイ情報開示する訳無いだろっ!!」

俺の言葉に驚くように答えるクロノ。

「とはいえ、せめて俺達の根拠を示せなければ話はこのまま平行線だぜ?」

『良いでしょう。
私の権限で情報公開を許可するわ、渡しなさいクロノ』

と、唐突に魔法陣が展開されリンディの画像が映る。

「なっ!
リンディ提督っ!?
で、でもしかしっ!」

『渡しなさい。
命令よ、クロノ・ハラオウン執務官』

「う…しかし…、
……いえ、判りました。
エイミィ、協力してくれ」

『はいは〜い。
クロノ君のS2U経由でデータを送信するよ。
送り先はどのデバイスかな〜?』

リンディに押されて、情報公開に承諾するクロノ。
エイミィの言葉に、渋々とヴィータが手に持ったデバイスをクロノへ突き出した。

「……変なデータ混ぜたら、承知しないからな」

「もとよりそんなつもりは無い」

しかめっ面同士の応答。
……にしては、以外と素直に従ったなヴィータの奴。
もうちょっと騒動があるかと思ったが……。

『それじゃ〜、送信しま〜す!』

クロノのデバイスS2Uが光を放つと、ヴィータの手のデバイスも中央の鉄球を輝かせて光を受け取る。

「……ん?
何か、……光った……」

皆がクロノ・ヴィータ間のデータ転送を見守っている中、ふいにフェイトが明後日の方向を見て呟いた。

「何かって何だ?」

フェイトの向く方向へ顔を向けると、確かに何か光が見える。

いや、見えるだけじゃない。

こっちに近づいてくる。
しかも速い!!

「バルディッシュ!」

【Yes sir.】

フェイトはペンダントの待機状態のままのバルディッシュを手の平に、
右手を左手で押し出すように構えた。

【Protection.】

バルディッシュの宣言と共に、フェイトの全面へ魔力壁が展開する。

そして、魔力壁に真っ直ぐ突き刺さる紫の光。

「ぬっ!?
お前か、フェイト・テスタロッサ!」

「シグナム!?」

剣と魔力壁越しに視線を交しあう二人。

「くそっ、伏兵かっ!
初めからこうする気だったのか!?
エイミィっ!!
結界を張れっ!!」

『わ、判ったよっ!!』

クロノの怒りが混じった声に慌てて答えるエイミィ。

即座に、空が結界に包まれた。

「テメッ!
そうか、アタシ等を一度に捕まえる為に芝居を打ってたんだなっ!!」

結界の中に再び閉じ込められた事で、身体中から怒りを噴出させるヴィータ。

その勢いのまま手にもつデバイスを振り回し、クロノに叩き付けようとした所で、桜色の魔力壁に止められた。

【Protection.】

「待って!
私達は本当にお話がしたかっただけなのっ!!」

やはり待機状態の宝石のまま、魔力壁を展開するレイジングハートとなのは。

「うるせぇっ!
手の平返されて黙ってられるかっ!!」

そのままデバイスを押し付け、魔力壁を押し潰そうとするヴィータ。

「くそっ!
フェイト、なのはっ!!」

「……不本意だが、こうなった以上は当初の目的を遂行させてもらう」

飛び出そうとした俺の前を遮るザフィーラ。

クソッ!
上手く行きかけていたってのにっ!
やっぱ、土壇場の思いつきじゃ駄目だってのか!?

「ええいっ、アルギュロス!
こうなったらもう、力押ししかねぇっ!」

【待ってたッス、Me user(ご主人)!】

そして、次の瞬間、なのはとフェイトと俺の声が一斉に上がった。

「レイジングハート!」

「バルディッシュ!」

「アルギュロス!」

「「「セットアップ!!」」」

【【【Drive ignition!】】】

そして同時に答える三機のデバイス。

全てのプロセスを無視し、三機は己の全力を駆使して担い手に戦う力を与えた。


俺の首元の鎖から銃弾型のペンダントが切り離される。

ペンダントは光り輝き、緑色の宝石のような材質の円柱に姿を変える。

円柱のすぐ側に長い筒が生まれ、すぐにその二つを外装が覆った。
まるでコルトパイソンのような楕円が縦に繋がった銃身がそこにあった。

そして、銃身が完成すると同時に弾を収めるシリンダーと外枠のフレーム、中のメカニズムやグリップも姿を現した。

それらが次々に組み合い、一つの巨大な力の象徴になった。

拳銃(リボルバー)

それが力の象徴の呼び名。

しかも、全長30cmを超える化け物だ。

フレームから飛び出したままのシリンダーに、弾が込められる。

直径12.7mm、全長41mmの巨大な弾が5発。

弾が収まるとシリンダーが勝手に回転を始め、回転したまま、フレームに収まった。

その状態で俺の手におさまるアルギュロス。

同時に俺の服も戦闘用のバリアジャケットに作りかえられた。

一番下に黒い袖無しアンダーシャツとスパッツ。

スパッツに黒く細い皮ベルトが荒く巻き付き、
ゴツイ編み上げのブーツが素足を守る。

さらに執事とかが付けてそうなデザインの白いベストが身体を覆う。

ベストにはベルトが付いていて、身体の右側にはアルギュロスを納めるホルスター。
左側には、カートリッジが5発一組になったスピードローダーが収まったポーチが二つと、
カートリッジが20発ほど入ってるポーチが一つ。

そして上着として、分厚いコートが展開する。
薄い茶色の軍用っぽいデザインのロングコートだ。

ビル風にボタンを止めていないコートの裾をたなびかせ、仁王立ちしたまま、アルギュロスの撃鉄(ハンマー)を引く。

ガチリ。

硬質で重い音を立ててハンマーが起き上がり、同時にシリンダーの回転が止まった。
後は引鉄を引くだけで攻撃出来る。

戦いの準備を整えるというだけで、心が戦意に湧き立つ。

思わず、口が愉悦の形に引きつけられようとしていた時、一つの事に気付いた。

あれ?
なんか、下半身が涼しいですよ?

そっと自分の体を改めると、そこには身体のラインを強調する薄手のスパッツ。

ベルトは下半身を覆う役割なんか果たしていない。

「……こ、これはどういうことだっ!?」

【展開完了ッス】

呑気にアルギュロスが答える。

「お、おい!
ズボンが無いぞ!」

【いえ、元からバリアジャケットにズボンは含まれて無いッス】

「何故だっ!?
スカートは要らないって言っただろっ!!」

【ええ、だからスカートは無いッスよ?】

「……その格好、
凛々しくて素敵だよ、フラット」

アルギュロスに文句をいう俺に、優しく微笑むフェイト。
フェイトは、普段のバリアジャケットを基本に左手に手甲、両足に足甲が追加装備。
バルディッシュには6連発のリボルバー式カートリッジ・システムが装備されている。

「うん!
可愛いよ、フラットちゃん!」

フェイトに続いて頷くなのは。
なのはのバリアジャケットは以前と変わらず、ただ、両手に指を剥き出しにしたオープンフィンガーグローブが追加になっていた。
レイジングハートには、6連発のオートマチック式カートリッジのマガジンが装備されていた。

【その通りッス!可愛いッスよ、ご主人!!】

そして、相変わらずの口調で俺の格好を肯定する相棒。

……お前達、敵を前にして余裕だな。

「くっ、こうなったらバリアジャケットを追加するしか……」

と、バリアジャケットの調整のために術式を展開しようとした所で、邪魔が入った。

「何をしている。
かかってこないならば、此方から往くぞ」

眼前のザフィーラがたった一歩で距離を詰め、拳を振るった。
クソッ、人の事を言ってられねぇ。

特に技巧も無い、ただの振り下ろしの一撃。

咄嗟に思った事は、これを受けたらヤバいという事だけ。

全力で飛び退く。

目の前を、大きな握り拳が走り抜け、コンクリートに突き刺さり……、パンチで出したとは思えない爆音が響き渡った。

粉塵が舞う中、更に後退。
片手でザフィーラが居た方向へアルギュロスを構え、叫んだ。

「ブチかませ!
アルギュロスッ!!」

【Lightning Buster!】

引き金を引くと、予想外の軽い抵抗でハンマーが解放され、ハンマーは撃針を叩き、撃針はカートリッジを蹴飛ばし、
そして、カートリッジから膨大な魔力が放出された。

その魔力は既にアルギュロスによって準備されていた術式を起動させ、長い銃身に沿って三つの環状魔法陣を展開させる。

魔法陣とアルギュロス本体が魔力を押し固め、魔導弾を形成させる。

そして、それでも尚あり余る魔力を推進剤として、魔導弾を射出する。

全ては一瞬。

カートリッジの魔力だけを使った魔法が炸裂する。

銀色に光る弾がアルギュロスの銃口から飛び出し、処理しきれなかった魔力が凄まじい反動となって俺の右手に襲いかかった。

銀の弾丸は今まで見たどんな魔法よりも速く、煙を貫いて何かに当たった。
そして、新しい爆風が粉塵を発生させる。

だが目の前で起きた事を確認する間も無く、爆音と共に弾け飛ぶように天へと跳ね上がるアルギュロス。

「ぐぅっ!?」

そのまま、どこかへ吹き飛びそうなアルギュロスを根性で握り締める。

「……おい、アルギュロス。
こんな反動があるなんて、聞いて無いぞ」

【自分も初耳ッス。
……どうやら、カートリッジが予想外の大容量だった所為で処理漏れした魔力が大きすぎたみたいッスね。
術式を修正するッス。
あと、反動を抑えたいなら魔力を推進剤にするよりも、魔法の力で射出させた方が良いッス】

バシャッ、と20cmもある銃身の外装の中央に縦に亀裂が入り、銃身の外装が伸びた。
外装内に納まっていたデバイスコアと銃身が露わになる。

と、銃身を覆っていた穴だらけのパイプから煙が吐き出される。

煙……魔力の残りカスを全て吐き出すと、再び銃身は元通りに戻った。

「……処理にどれだけ時間がかかる?
それに弾を魔法で射出させるのは却下だ。
せっかくの攻撃を、トロいヘナちょこ弾にする気はねぇ」

【了解ッス。
だったら、反動はある程度は勘弁してもらわないといけないッス。
術式の修正は、カートリッジシステムの根幹から修正するので10分下さいッス】

「10分だ?
速攻で終わらせろ。奴はまだヤル気だ」

もうもうと舞う煙を払いのけ、ザフィーラが姿を現した。

奴は無言で全身の筋肉が雄叫びを挙げそうな構えを取る。

【それなら、ご主人の魔力で戦ってくださいッス。
只今から全力の演算に入るので、自分、手助けは出来ないッスから!】

……。
やれやれ、冗談じゃねぇぜ。

だが、ヤるしかねぇんだよな。

どうせ、いつもの事さ。

ふと、周りに意識を向けると、既にフェイトとシグナム。
なのはとヴィータは別々の場所で戦っているらしい。

クロノ、アルフ、ユーノは何か目的があるのか、何処かへと移動してしまっていた。

一対一って事か。

……上等だぜ。

 

 

 ◇ ヴィータ ◇

 

 ちっ。

何もかもが、アタシ等の都合を悪化させていく。

管理局は嘘つきで疫病神だ。

せっかく話を聞いてやろうと思えば、手の平返すようにアタシ等を結界に閉じ込めやがった。

それに極上のリンカーコアの持ち主達が目の前に居るってのに、迂闊に手が出せねぇ。

具体的に言えば、この結界の外に居るシャマルが闇の書を持ってるからリンカーコアの収集に問題があるって事だ。

デバイス内に保管しておけば、奪ったリンカーコアは持ち運び出来る。
でも、直ぐに劣化してしまうんだ。
出来るだけ、完全な形で闇の書に取り込ませたい。

だから、まず結界を破壊しないといけないのに、
結界内のアタシ等3人はそれぞれの敵とやり合っているから身動きが取れない。

「ええい、鬱陶しいっ!!」

Schwalbe fliegen(シュワルべ フリーゲン)!】

懐から四つの鉄球を取り出し、グラーフアイゼンを一閃。

Axelfin(アクセルフィン).】

でも、アタシの四連射は白い奴の足に展開した飛行魔法の羽ばたき一つで避けられてしまう。

「くそ、舐めんなっ!
ソイツは誘導弾だっ!!」

白い奴を通り過ぎた四発が、それぞれの軌道で180度ターン。

白い奴の背後から再び襲いかかる。

「ええい、もう!
お話を聞いてってばっ!
お願い、レイジング・ハートッ!!」

All right(判りました)
Accel Shooter(アクセル シューター).】

ターン。

軽い炸裂音がして、奴のデバイスからカートリッジが一発、排莢される。

「シューーーートッ!!」

そして、デバイスから膨大な数の魔法弾が射出された。

「はぁっ!?
何、この数…、
ふ、ふん!
こんな大量の弾、コントロールできる訳がないだろっ!
馬〜〜鹿ッ!!」

それに奴の背後には、アタシのシュワルべ・フリーゲンが迫ってる。
その状況で回避する余裕なんか、無い!

無いはずだったのに、あいつ等は違った。

It can be done,as for my master(出来ます。私のマスターなら).】

「レイジングハート!?
…うん。
そうだね、私達なら出来るよっ!」

白い奴は足を止め、制御魔法陣を展開して、目も閉じて魔法弾の制御に集中を始める。

その途端、大雑把に飛びまわってた無数の桜色の魔法弾が動きを変えた。

その大多数がアタシに向かって、
そして、四発だけが、白い奴の後方へ高速移動。

「ちぃっ!」

舌打ちしつつも、再度シュワルべ・フリーゲンを四発発射。
同時に、白い奴の後方に迫ってた四発は奴の魔法弾で迎撃された。

そして目の前に迫る桜色の群れ。

Panzer hindernis(パンツァーヒンダーニス).】

グラーフアイゼンが自動で全周囲障壁を展開してくれた。

赤い水晶のような障壁の中で、アタシはシュワルべ・フリーゲンの制御に集中する。

四発をそれぞれ、全然違う軌道で駆け巡らせる。

アタシの周囲を旋廻する桜色の魔法弾から、再び四発が迎撃に飛び出す。

迎撃に飛び出したそれぞれを的確に避けつづけていると、諦めたようにその四発は動きを止めた。

「へっ!
もう疲れたのか?
なっさけねぇ〜なっ、お前っ!!」

アタシは四発を前後左右から白い奴にぶつけた。

だけど、白い奴はアタシの言葉に耳も貸さず、ただ静かに右手を上げた。

そしたら、動きを止めていた四発が信じられないほどの高速で駆け抜け、シュワルべ・フリーゲンの四発を同時に撃ち砕いた。

「な…、
嘘………」

「さあ、約束して!
私達に負けたら、ちゃんと事情を話してくれるって!!」

目を見開いた白い奴が、可愛い顔に似合わない鋭い目付きで言う。

「だ、誰がお前等なんかにするもんかーっ!!」

「そう。
でも、絶対に、お話してもらうんだからーっ!!」

白い奴がデバイスを振り上げると、障壁の外を飛びまわってた魔法弾が次々に結界へと体当りを開始した。

次第にヒビ割れていく障壁。

「ちっ、
グラーフアイゼン!」

Jawohl(了解)
Raketen form(ラケーテンフォルム).】

カートリッジを一発消費して、グラーフアイゼンがラケーテンハンマーへと変形する。

ラケーテン、つまりロケットのノズルに火が灯る。

そうこうしている内に障壁が限界だ。

ついに障壁が割れ、魔法弾がアタシ目掛けて飛び込んでくる。

アタシはそれをグラーフアイゼンで叩き潰した。

そして、そのまま砲丸投げの様にグルグルと旋廻。

砕けた結界と一緒に迫る魔法弾を、片っ端からぶっ潰す。

「……ふっ!!」

全て潰した上に十分に速度が乗ったので、白い奴目掛けて突撃を開始。

「ラケーテンッ!
ハンマーーーッ!!」


グラーフアイゼンのロケットノズルから噴出す魔力の炎は、私を引っ張り更に加速する。

そして、忌々しい白い奴をぶっ飛ばす!

……その寸前で、桜色の魔力障壁がアタシ達の行く手を阻んだ。

Protection Powered(プロテクション パワード).】

奴のデバイスが宣言するように声を上げると共に、カートリッジがまた一発消費された。

「くっ、硬ぇ…。」

全力で炎を吐き出すグラーフアイゼンを、右手に展開した巨大な魔力障壁で支える白い奴。

「あ、ほんとだ」

むか。
なにコイツ、今気付きましたって顔でっ!
絶対泣かすっ!!

「吼えろ、グラーフアイゼン!
お前はこんなモンじゃないはずだろーっ!!」

Jawohl(勿論です)!】

アタシの言葉にグラーフアイゼンから吹き出す炎が勢いを増す。
耳が痛くなりそうな高音と振動を発して、グラーフアイゼンが桜色の魔力を穿孔しようとする。

でも、それと同時に白い奴のデバイスが勝手に動いた。

Barrier Burst(バリア バースト).】

その声が響くと、目の前の障壁に魔力が集中されていって、

限界を超えて、はじけ飛んだ。

爆煙に巻き込まれつつ、アタシと白い奴は正反対の方向へと弾き飛ばされた。

ちっ、仕切り直しをさせられたって訳か。
戦いなれてやがるな、あのデバイス。

手早く体勢を整え直すと、白い奴も距離を置いて立ち直ったのが見える。

クソッ。
鉄槌の騎士、ヴィータ様がこんなに梃子摺るなんて…。

…許さねぇ。
絶対、泣かしてやる。

 

 

 ◇ フェイト ◇

 

 なし崩しに始まった、この戦い。

私とシグナムの第一ラウンドは、
ただ、
速さだけを競い合う戦いになった。

ビルの中腹を蹴り飛ばし、相手の動きも視認しきれない速さで飛び交う私達。

相手の位置と飛ぶ方向から移動するだろう方向を割り出し、
自分の有利になる位置へと飛んで攻撃。

お互いにそうするものだから、私達の軌道は交じり合う事無く、
二本の雷が互い違いに交差する痕を空に刻むばかり。

もはや、正面からぶつかるしかない。

私がそう思って軌道を変更しようとすると、シグナムも同じ軌道に変更していた。

…真正面からデバイスをぶつけ合う直撃コース。

「行くよ、バルディッシュ!」

Haken Form(ハーケン フォーム).】

「迎え撃て、レヴァンティン!」

Schlang Form(シュランゲ フォルム).】

バルディッシュがカートリッジを一発消費して光の鎌を展開すると、
シグナムの剣もカートリッジを一発使った。

すると、剣にいくつもの亀裂が入って、沢山のパーツに分かれてしまった。


戦闘放棄?

このまま攻撃するか、一瞬迷ったけど、
この間合いと位置では引き返せないし、シグナムがこんな風に降参するとは思えない。

一度しかぶつかり合ってないけど、なんとなく判る。
この人は、真っ直ぐな人だ。

だから、
このまま、斬る。

バルディッシュを振りかぶると、シグナムが、剣身を失った柄を振るう。

柄の動きに合わせて、バラバラになった剣身が行儀良く波打った。

!?

あれは鞭っ!?

剣身のパーツとパーツは細いワイヤーで結ばれていた。

連結刃!
イケない、このままじゃ当たる!!

咄嗟に私は身を引いた。

そして、行き交う私達。

距離を置いて振り返る。

私はシグナムの鞭を避け切れず左腕に痣を受け、シグナムはバリアジャケットの胸に一筋の裂痕を受けた。

「…強いな。
フェイト・テスタロッサ、それにバルディッシュ」

Schwert Form(シュヴェールト フォルム).】

シグナムがレヴァンティンを構えると、鞭状の形態から普段の剣の形態に戻った。

「シグナムとレヴァンティンこそ…強いです」

Thank You(どうも).】

Danke(光栄だぜ).】

バルディッシュがシグナムに、レヴァンティンが私に褒められた事へ返答をした。

ふふ、デバイスでも心があるって素敵だね。

そう思ってると、シグナムも微笑んでいる事に気付いた。

私が彼女の表情に気付くと、シグナムはキリリと顔を引き締めて口を開いた。

「この身に成さねばならぬ事が無ければ、
心踊る戦いになったはず…、
だが、仲間達と我が主の為、今はそうも言っていられん。
…、
殺さずに済ます自信が無い。
この身の未熟、許してくれるか?」

左手に鞘を呼び出してレヴァンティンを収め、
足元に魔法陣を展開して、居合いのような構えを取ったシグナム。

来る。
おそらく、シグナムの得意な攻撃で。

必要なのは、私の得意な戦いに引きずり込む事。

受けて立とう。
真正面から。

だから、私はこう答える。

「構いません。
勝つのは…私達だから」

私の言葉を受け、愉快そうに口元をゆがめるシグナム。
私も思わず微笑んでしまう。

どうする?

きっとシグナムは、例の瞬間移動みたいな動きで接近して私に切りかかってくるはず。

対抗策は…砲撃?

駄目だ。
当たらない。

…誘導射撃魔法?

駄目だ。
弾速が遅くて間に合わない。

…そもそも、私の得意な事は…。

「行くぞっ!」

来た!

やはり、残像を残した瞬間移動だ!

どこから攻撃をしてくるのだろうと周囲を警戒していると、いきなり目の前に現れた!

「どこを見ている!」

「バルディッシュ!」

Blitz Rush(ブリッツ ラッシュ).】

居合いに向かないっていう西洋剣で、信じられない速度の抜剣。

「全ての物を切り裂く」という意思に満ちた切り上げの一撃。

でも、切り裂いたのは、私のマントの端っこだけ。

「なにっ!?」

驚くシグナム。

「貴女の真似をさせてもらいました」

そう、瞬間的な高速移動。
移動術式ブリッツ・ラッシュで、一瞬だけ後ろに全力で後退。
それでレヴァンティンの剣筋から逃れたという訳。

「…見事っ!
だが、この間合いは私の間合いだっ!!」

振り上げたレヴァンティンに左手を添え、振り下ろそうとするシグナム。

確かに、お互いが近すぎてバルディッシュを振り回すのは困難だ。

でも、バルディッシュは鎌じゃなくてデバイス。

だから、こういう使い方も出来る。

Assault Fome(アサルト フォーム).】

バルディッシュの鎌が格納されて、斧槍の形態になる。

そして、そのまま、バルディッシュの頭をシグナムのおなかに突き付けた。

「サンダースマッシャー!!」

使い慣れたサンダースマッシャーが超至近距離で炸裂。

「なっ!?」

驚きの表情を浮かべるシグナムが吹っ飛んでいった。

でも、あのシグナムがこれだけで終わるはずが無い。

追撃の魔法を放とうと、バルディッシュを振り上げた時、
バルディッシュにワイヤーで繋がれた連結刃が絡み付いた。

「…ふ、
重ね重ね見事だ、フェイト・テスタロッサ」

「フェイトでいいです」

「そうか。
では、そう呼ばせてもらおう、フェイト」

お互いの武器が絡み合い、下手に動けない膠着状態。

なのに、笑い合う私達。

うう、でも、どうしよう。
今は対等の立場で居るものの、シグナムのスタミナを考えると長期戦では私が不利。

一撃で沈めたいけど、大技を黙って喰らってくれるほどシグナムは弱くない。

しかし、なんでだろう。

打つ手が見当たらない困った状況なのに、こんな澄んだ気持ちになれるのは。

心がウキウキしてくるのは、なんでだろう。

本当に、
なんで………楽しいんだろ。

 

 

 ◇ シグナム ◇

 

 連絡が途絶えたヴィータとザフィーラの二人を迎えに出向いてみると、管理局の連中に囲まれている二人を発見。

即座に切り込むと、以前戦ったフェイトが我が一閃を阻んだ。

そして展開される結界の中、私とフェイトは一騎打ちを続けている。

今は何よりも、我等が主の御身の為に時間が惜しい。
だが、久しく出会うことの無かった強敵の存在に、我が心が踊っている事を否定できない。

嗚呼、素晴らしき剣戟の調べ。

幼い身で私と対等に張り合う少女、フェイト・テスタロッサ。

何より、このフェイト。
圧倒的な魔力量をその身に宿らせている。

主の為、なんとしても彼女のリンカーコアは奪わねばならない。

出来うるなら、真っ向から打ち倒したいものだが……それは叶わぬ。

あらゆる手段を用い、倒す。

よって彼女のデバイスを我がレヴァンティンの連結刃、シュランゲ・フォームにて拘束したのだが、
膠着状態となっても、フェイトの笑みが止まらない。

止めろ、フェイト。

お前がそんなに笑うと、私まで楽しくなってくるではないか。

「……そろそろ決着を付けます、シグナム」

「望む所だ、フェイト」

何かを覚悟したらしきフェイトが私に告げる。

ふふっ、何を思い付いた?
受けて立とうではないか!

レヴァンティンを握る手に力が篭もる。

「それじゃあ、バルディッシュ。
……お願い」

【Yes sir.】

フェイトがそう呟くと、フェイトは返答する相棒を躊躇い無く手放した。

「ブリッツ・ラッシュ!」

そして、一気に私目掛けて加速する。

「!?
そう来たかっ!!」

私は手首を返す事で、レヴァンティンが巻き付いていたバルディッシュを宙へ放り投げ、
そこから更に、薙ぐ様に右手を振り切った。

私の手の動きを拡大するように、レヴァンティンの連結刃がフェイトへと襲い掛かる。

速い身の動きだったが、我がレヴァンティンからは逃れられぬ!

御仕舞いだ!フェイト・テスタロッサ!!

連結刃がフェイトを切り刻もうとした、次の瞬間、フェイトの言葉と共に状況は逆転した。

「ブリッツ・ラッシュ!!」

加速魔法の二重掛け。
目にも止まらぬ速さとなったフェイトはレヴァンティンを易々と潜り抜け、私の眼前に飛び込んできた。

「バルディッシュ!」

【Haken Form.】

空高くでフェイトの呼び声に答えたバルディッシュがカートリッジを一発消費し、鎌の形態になる。

そして、光の刃と共に展開した複数の小翼がバルディッシュを飛翔させた。

自らフェイトの手元に飛び込んでくるバルディッシュ。

「ぬかった!
レヴァンティン!!」

【Schwert Form.】

直ちにレヴァンティンを剣の形態に戻そうとするが、既にフェイトはバルディッシュを振りかぶっていた。
バルディッシュが吼える。

【Call me sir.
I am Bardiche Assault!】

「切り裂けっ、バルディッシュ・アサルトーーッ!!」

【Haken Slash.】

金色に輝く刃が私を切り裂こうとした時、結界ごと大気が揺れ、シャマルの念話が届いた。

『結界を壊します!
この隙に撤退して下さいっ!!』

この突然の事態にフェイトの一撃は勢いを失い、辛うじて騎士甲冑を斬られるだけで逃れる事に成功した。

「フェイト・テスタロッサ!
この勝負、次の機会に預ける!!」

そう捨て台詞を残して、私は全力で戦いの場から脱出した。

見事だ、フェイト。

次、在らば、私は私の全力で立ち向かおう。

今の戦い、敗北したに等しいというのに、私の心は歓喜に満ち溢れていた。

 

 

 ◇ なのは ◇

 

 フラットちゃんの頑張りでお話出来るかと思ったら、いきなりシグナムさんがデバイスを手にこの場へと乱入。

気が付いたら、皆の気が立っちゃって戦いが避けられなくなってました。

クロノ君を攻撃しようとしたヴィータちゃんを止めて、なんとかお話し直そうとしたけれど、
頭に血が昇ったヴィータちゃんは、私の話を聞いてくれない。

じゃあ、仕方ないの。

いつも通り、ぶっ飛ばしてから……お話するのっ!!

覚悟を決めて、レイジングハートを振るう。

誘導弾を打ち合い、障壁を潰し、障壁を張って、それを爆発させて距離を取って。

そして、今に至ります。

「……テメェ、舐めやがって。
ぜってぇ許さねぇ!」

遠く離れた距離でも届く、ヴィータちゃんの声。

「私、テメェなんて名前じゃないよ!
私はなのは!
高町 なのはだよ、ヴィータちゃん!」

私が声を上げると、キョトンとした顔になるヴィータちゃん。

「お前、私の名を……いや、それはいいか。
イイぜ、高町 なにょ……。
なにゅ……、
なぬ……ええいっ、高町 なんとかっ!!
お前は、アタシが潰す!!」

「な、なんとかっ!?」

ロケットハンマー状のデバイスを私に突き付け、宣言するヴィータちゃん。

はうっ、
名前を読んでもらえないなんてっ、ショック!!

【Master!】

レイジングハートの警告に、顔を前に向けると遠くでデバイスを振りかぶったヴィータちゃんがいました。

「行くぜ、グラーフアイゼン!
今度こそ高町をぶっ飛ばせ!!」

【Jawohl!!】

バーン、とヴィータちゃんのデバイスから爆発音が聞こえると、ヴィータちゃんのハンマーから再び炎が吹き出しました。

【Master.
Call me my name.
I am Raising Heart Exelion!】

炎を噴き出すデバイスを手に、クルクルと回転を始めるヴィータちゃんを前に、レイジングハートが叫びます。

「うん!
撃ち抜いて!
レイジングハート・エクセリオン!!」


【All right!
Buster Mode Set up.】

ターン、とレイジングハートからカートリッジが一発、排莢されて、大きな魔法陣が足元に広がりました。

砲撃形態に姿を変えたレイジングハート。
ちょうど良い具合にマガジンが飛び出しているので、それを左手で握って、ヴィータちゃんに狙いを定めます。

目の前に映画で見たような照準器状の魔法陣も展開。
十字線の向こうに映るヴィータちゃん。

「当たれぇっーーー!」

加速が終わって飛び出したヴィータちゃん目掛けて砲撃!

【Divine Buster Extension!!】

ヴィータちゃん目掛けて飛び出した、桜色の光線。

当たる!

そう思った次の瞬間、結界が大きく揺れ、その衝撃で私は態勢を崩し、デバインバスター・エクステンションは明後日の方向へと飛んでいってしまいました。

無傷のヴィータちゃんが攻撃してくるかと身を固めていると、
ヴィータちゃんは、片耳に手を当て、誰かと念話している様子。

そして、唐突な舌打ち。

「……オイ!
高町 なんとか!!
今回はコレで勘弁してやるけど、次はこうは行かないんだかなっ!!」

なんだか、とっても定番な捨て台詞を残して飛び去ってしまったヴィータちゃん。

「……あ、逃げられちゃった」

後を追いかけようと思ったけど、パワーアップしたレイジングハートに慣れていない私は予想以上に疲れていて、
追いかける事も出来ませんでした。

【そんな日もあります】

平然と答えるレイジングハート。

そんなレイジングハートに気が抜けそうになったけど、結界は更に振動して、ついには黒い圧倒的な魔力が結界を突き破ろうと……。

その光景を呆気にとられて見ていた私に、馴染みのある声が念話で届きました。

『皆っ!
コッチに来て!
そこは危ない!!』

念話が届く方へ顔を向けるとそこにはユーノ君が大きな結界を張っていました。

急いでユーノ君の下に駆ける私。

ギリギリでユーノ君が張る結界の中に逃げ込むと、私達が居た周囲を黒い魔力の爆発が駆け抜けました。

 

 

 ◇ ザフィーラ ◇

 

 目の前に立つ一人の少女。

この目立つ銀髪からして、シグナムが要注意だと言っていたフラットという少女だろう。
彼女は右手に巨大な拳銃型のアームドデバイスを構え、俺の挙動を窺っている。

先ほどの一撃は弾速こそ脅威だったが、それ以外に見る物は無い。

盾の守護獣たる俺の障壁を抜くには、あまりにも、か弱い攻撃だった。

所詮はその程度か。
少し失望しながら構えを解き、一歩前に出る。

更に一歩。

少女は後退する事もなく、唯、俺の動作に注意を払っている。

更に一歩。

踏み出すと無造作に右ストレートを放つ。

直撃すれば命すら刈り取りかねない拳が大気を切り裂き、少女へと襲い掛かる。

伸びきる俺の拳。

しかし、何かに当たった感触が無い。
少女の姿も消えてしまっていた。

右手を引き戻しつつ、前に注視する。

と、そこには引き戻される俺の拳に合わせるように接近する少女の姿があった。

腰を落として俺の拳を避けたのか、その態勢のまま俺に駆け寄り、無手の左手を俺の腹にヒタリと当てた。

むっ!?

「サンダーッ、スマッシャーー!!」

ニタリと笑う少女がデバイスに頼らず魔法を行使した。

「っぬうぅっ!!」

ゼロ距離で発動する砲撃魔法。

だが、この俺は守る事に特化した守護騎士。
この程度で破られるほど脆弱では、無いっ!!

彼女の魔法が放たれると同時に魔力障壁を腹を中心に展開。

距離が無かった為に酷く薄い障壁になったが、吹き飛ばされつつも受け流す事には成功する。

「……げ、
今のを防ぎやがっただと!?」

まるでヴィータのような言葉遣い。
実力もあるようだ。
どうやら、奇策を弄するタイプらしい。

「……正直、お前を見下していた。
だが、今ので分かった。
お前は全力で、潰す」

両手の手甲を鳴らし、構えを取る。

「……上等だぜ、
掛かって来い、犬っころ!
相手になってやる!!」

小さい癖に身長差をものともせずに俺を見下す少女。

「っ!
俺は盾の守護獣ザフィーラ!!
断じて、犬っころでは無いっ!!」

一気に思考が赤く燃え上がる。
その勢いに駆られるまま、少女に向かって突撃。

左ジャブ、

左ジャブ、

右フックから左の膝蹴り。

更に左ハイキック。

右回し蹴り。

立て続けの攻撃を、右手に持ったデバイスを左手で支えて受け止め、払いのける少女。

踏み込んでも、踏み込んでも、攻撃するたびに距離が遠のく。

ぬ?

なんだコイツは。

柳を相手にしているような不快さに、俺の苛立ちが頂点を極める。

「ええいっ!
コレならばどうだっ!!」

右手を覆うくらいの小さな魔力障壁を展開。

それを腰だめに構え、飛び掛かるように踏み込む。

叩き付けるように踏み出した左足が、コンクリートの床を踏み砕く。

俺の身体が少女の直ぐ側まで接近。

「げっ!しまっ……」

少女の驚きと同時に放つ、右拳。
えぐる様に、同時に押し出し叩き付ける様に振るった。

当然の様に吹っ飛ぶ少女。

まるで砲弾のように、ビルの屋上から放物線を描いて飛んだ。

その時、唐突に理解した。

あの少女は俺の拳をワザと受け止めて、吹き飛ばされる反動で距離を取っていたのだと。
同じ吹き飛ばされる行為でも、意図して行なえばダメージを軽減出来る。

……そして更に連想した。
先ほどの挑発も俺の行動を誘導する為の策だという事を。

頭が急に冷え、少女の姿を探す。

彼女は、隣のさらに隣のビルの手すりにぶつかり、そのビルの屋上で伸びていた。
流石に先の一撃は、どうにも出来なかったか。

安堵とほんの少しの落胆を滲ませ、ビルからビルへ飛び移る。

そして、少女が倒れているビルの屋上に着地。

「ふむ、
脅威ではあったが、この程度か?
……まぁ、リンカーコアは優秀な物を抱えて居るようだな。
楽に収穫できた事を良しとするか」

シグナムと引き分けたというのは偶然だったのだろうか?

まぁ、どちらにしろ、リンカーコアは頂く訳だが。

焦る必要も無く、ゆっくり近づく。
万が一、逆襲を意図していても対抗出来るように魔力を練っておく。

と、唐突に彼女の手に握られていたアームドデバイスが声を発した。

【お待たせッス、ご主人!
カードリッジシステム、運用可能ッス!!】

その声と同時に跳ね上がる少女。

凶暴な笑みを浮かべる彼女が、デバイスを持つ右手に左手を添えて叫んだ。

「ぶっ殺せ、アルギュロス!
全開だっ!!」


【Lightning Buster OverDose!!】

彼女のデバイスに膨大な魔力が集中し、無数の環状魔法陣が連なり、あたかも巨大な砲身の様になる。
そして、デバイスが宣言すると同時に圧倒的な銀の閃光が俺目掛けて放たれた。

くっ、これは避けれない!?

だが、天啓と言うものがあるのならこういう物なのかもしれない。
全力の魔力障壁を展開した次の瞬間、シャマルの警告の念話が届き、結界ごと世界が揺れた。

その揺れに足を取られた俺と少女は態勢を崩し、銀の閃光が俺の側を掠め飛んでいった。

「……次にまみえる時こそ、そのリンカーコア、頂いて行く!」

捨て台詞を後に残し、逃走する俺。

ふと、左腕に目を向けると、手甲ごと左腕が焼け焦げていた……。

 

 

 ◇ アルフ ◇

 

 ワタシはクロノのお願いを受けて、管理局の武装局員が再展開した結界の外を飛びまわっていた。

「3人目」が結界内に飛び込んできたものの、肝心の「闇の書」は誰も持っていない。

映像のみで確認している四人目か、闇の書の主が近くに居る確率が高い。

クロノはそう判断して、ユーノに結界内を、
ワタシとクロノは結界の外を捜索する事になった。

「君の鼻が頼りだ」

クロノはフェイトを助けようとしていたワタシにそう言った。

頼られるのは、嬉しい事だ。
使い魔であるワタシにとって、それは存在理由に等しい。

ワタシは狼の使い魔だから、人間より鼻が利くのも事実。

でもね。

嗅いだ事もない奴の匂いなんか、どうやって探せって言うんだよっ!!

フェイトが念話で『シグナムとは一対一でやる』って言わなかったら、フェイトに加勢していたと思う。

ムカつくフラットはあのザフィーラとかいう使い魔にボコられてればいい。
あの男はワタシの獲物なんだからっ。

不貞腐れててもしょうがないから、怪しい行動をしてそうで魔力を垂れ流している奴を探して、空を飛びまわってる。

と、

ワタシと反対の方向に飛んだクロノから念話が届いた。

『僕だ!
見つけたぞ、四人目を!
闇の書も持っている。
早くコッチに来てくれ!!』

念話の飛んで来る方向は、ドーム状の結界の向こう側。

「ちぇっ。
真っ直ぐ行っても時間が掛かっちまうよ」

クロノが居る場所は念話で大体掴めたから、一気に転移してしまおう。

足元に魔法陣を展開。

オレンジの光に包まれて、ワタシは一気に転移術式を起動させた。


…、

そして、転移前と似たビル街のちょっと上空に転移完了。

細かい座標がわからなかったから、何も無いだろう場所を選んだって訳さ。

「待たせたね、クロノ!」

と声を上げて、クロノを探す。

近くのビルの上には、明るい緑の服を来た女が立っている。

…あれ?
アイツが四人目だから、アイツの側にクロノが居なくちゃいけないはずだよな?

辺りを見渡すと、白と青のピッチリした服を来た仮面の男が空中に立っていた。
そして、ソイツに向かい合って杖を突き付けているクロノが居た。

「…あんた、そんな所で何してんのさ?」

「くっ、
アルフ!
その仮面の男も敵だっ!!」

「へ?」

クロノが叫ぶと同時に仮面の男がコチラを向いた。

そして、
気が着いた時には、ワタシの前に立っていた。

前動作無しで振るわれる拳。

「わっ!?」

咄嗟に、仰け反って避ける。
目の前を通り過ぎる拳を見て、この仮面の男の強さが判ってしまった。

…、
コイツ、強い。

多分、ワタシじゃ、敵わない。

足場にしていた魔法陣を消して、フリーフォール。

距離を離した所で元の高度まで飛び上がって、ワタシ本来の姿に戻る。

殴り合いなら勝てないだろうけど、
人VS狼なら、話は別なのさっ!
格闘技ってのは、人間相手に作られたもんだからねっ!

「クロノ!
この仮面はワタシに任せなっ!」

「判った!
気を付けろ、強いぞ!」

仮面の男に飛び掛りながら、クロノに言う。
クロノの事だから、闇の書を持ってる奴を拘束しちまったら、直ぐに手助けしてくれるだろう。

だから、ワタシは時間を稼げば良いって訳だ。

ワタシは一気に距離を詰めて、前足で仮面の男を引き裂く。

引き裂いたつもりだったけど、
仮面の男は、ほんの僅かな動きでワタシの攻撃を避けてしまった。

そして、飛び出す蹴り。

ワタシはその場に留まる事無く一気に駆け抜け、蹴りを避けた。

「…ちっ、面倒な」

仮面の男がボソリと呟いた。

「ははんっ!
大魔導士フェイト・テスタロッサの使い魔、アルフ様を舐めるんじゃないよっ!!」

再び突撃。

今度は六つほどの魔力弾を展開して、先に撃つ。

ワタシの魔力弾を、腕を交差させて防御する仮面の男の喉笛目掛けて、噛み付くっ!

と、またもや避けられた。

え?

間違いなく噛み付いたはず…なのに?

足を止めて振り返ると、仮面の男は消え去っていた。

どこっ!?

何処に消えたっ!!

あんな一瞬で、転移したって?

アイツは魔法陣を展開していないのにっ!
どうやったら、そんな芸当が。

…魔法の力じゃない?

っ!

そんな事より、何処に行ったっ!!

「…うっ?
これはっ!?」

辺りを見渡していると、下の方でクロノが呻く声が聞こえた。

見ると、四人目の守護騎士に飛びかかろうとした状態で両腕を拘束されているクロノが居た。

「な、何やってんだいっ!」

慌てて拘束を解呪しようと近づくと、
ワタシも一瞬で拘束されてしまった。

「なっ!?
何処からっ!?」

前足後ろ足全てを一括りに纏められてしまったワタシは、空に浮かび続ける事も出来ず、
クロノの立っているビルの屋上に叩き付けられてしまった。

そして、この出来事に対応できず呆然としている守護騎士の側に、仮面の男が音も無く現れた。

「…何を呆けている。
闇の書の力を使え」

「えっ?
でも…、こんな所で蓄えた力を使う訳には…。
そもそも、貴方は一体?」

「…闇の書の完成を願う者…と言っておく。
そんな事よりも、早くしろ。
このままでは、お前の仲間が逃げられんぞ」

「そ、それはそうなんだけど。
思ったよりも書に蓄えられた力が少ないし…」

緑色の服を着た守護騎士が躊躇うけど、仮面の男が何かを急かしている。

どうやら一発逆転の方法があるらしいけど、リスクが大きくて躊躇ってるみたいだ。

「………」

と、唐突に仮面の男がワタシ達を見つめた。

いや、クロノを注視している。

なんだろう?
クロノを見て、悩んでる?

「……仕方無いか。ゴメン、許して…
ふぅ……喜べ、書の騎士よ。
闇の書が喰らうべき獲物が、目の前に居る。
問題は解決したな?」

呆気に取られ続ける守護騎士の女を置いて、仮面の男がコッチに近づいてくる。

そのままクロノの目の前に立った仮面の男は、
聞き取れない声で何かを呟いて、クロノに真っ直ぐ右手を突き刺した。

「なっ!?
クロノっ!?」

「ぐっっっっっ!!」

苦痛に顔を歪ませるクロノの背中には仮面の男の右手が生えていた。

そして、右手の中には、小さいけれど力強く光り輝くナニカがある。

さらに仮面の男が腕を引き抜くと、その光が男の手元に残って、クロノが膝をついた。

「くっっ、
はっ、はっ、はっ、
ぐっ…」

まさか、あれがリンカーコア?
魔導士の力の根源って言われるリンカーコアを、この間のユーノみたいに奪われた?

「さあ、受け取れ、書の騎士よ。
これでもAAA+魔導士のリンカーコアだ。
消費分を補って余り有ろうよ」

「……」

Sammlung(蒐集).〕

守護騎士の女が躊躇いながらも頷いて、闇の書がクロノのリンカーコアを取り込んでしまった。

「くっ……、
…お、お前。
何で僕の…魔導士ランクを、知って…るんだ…!」

「……搾取されても意識を保つとは、
流石、クライドの息子。
……、
何故知っているかだと?
簡単なことだ、調べたら判る」

クロノが膝を付いたまま声を上げると仮面の男がどこか辛そうな雰囲気で答える。

その言葉の何処に反応したのか、クロノの表情が険しくなった。

「……呆けている、暇は無い」

でも、顔を強張らせたクロノを無視して守護騎士の女を睨みつける仮面の男。

「は、はい!」

ワタワタと慌てつつ、守護騎士の女が結界の方を向いて闇の書を開いた。

足元に巨大な魔法陣を展開して、宙に浮く闇の書を前に詠唱を始めた守護騎士の女。

「…闇の書よ。
守護者、シャマルが命じます!
我が敵を撃ち砕く力を…今、ここにっ!」

闇の書から黒い稲妻が走り、空が急に荒れ始めた。

「…っ。
クッ!」

クロノが何とかしようと足掻いている。
いや、ここはワタシの出番だ。

幸いワタシはまだリンカーコアを奪われて無い。

こんな拘束くらい、直ぐにっ!!

「うぬぬぬぬぬっ!」

強引に拘束術式を破壊しようとすると、いきなり首を踏みつけられた。

「かはっ!?」

「今は動くなっ!
時を待て。
それが正しいと、直ぐに判る」

なんとか上を見ると、仮面の男がワタシとクロノを睨みつけながら怒鳴っていた。

「…撃って!
破壊の雷っ!!」

Beschreiben(べシュライベン).〕

守護騎士の女が叫び、闇の書が唱え、管理局が張った結界の直上に展開した魔力球から、凄い威力の雷が落ちた。

しばらく持ち堪えた結界だったけど、次第に歪んで、ついには砕ける。

あ、いけない!

「フェイトっ!!
フェイトーーーーっ!!」

地面に到達した雷は、そのまま爆風を伴って周辺を光で包みこんでしまった。
もちろんフェイト達も…。

「くっ、
アンタ等、フェイトに何か合ったら絶対に許さないっ!!」

力の限り二人を睨み付けると女の方は怯えたようにしりごみして、仮面の男はワタシの首を掴んで持ち上げた。

「…ちょうど良い。
貴様のリンカーコアも貰っていこう。
無いよりは、マシだろう。」

「なっ!?
…あっ、あああっーー!!!」

仮面の男は躊躇無くワタシの身体に手を突っ込み、リンカーコアを抜き出した。

そして放り捨てられるワタシ。

薄れゆく視界の中、何処かへ消える仮面の男と、ワタシ達に頭を下げて飛び去った守護騎士の女。

そして、ふらつきながらもワタシの側に近づいてくるクロノの姿が…。

………、

……、

…。

 

 

 ◇ なのは ◇

 

 辛うじて私とフェイトちゃんとフラットちゃんはユーノ君が張ってくれた結界に逃げ込む事で魔力爆発から逃れる事が出来ました。

でも、守護騎士の人達とのお話は結局、お流れ。

幸い、ユーノ君の防御結界のお蔭で私達3人は無事だった訳だし、
それだけなら、しょうがないって言って終わりそうなんだけど……、
また、
リンカーコアを奪われてしまったの。

クロノ君とアルフさんのリンカーコアを…。

今はフェイトちゃんとフラットちゃんの自宅のリビングに皆集まって、エイミィさんからデバイスの説明を受けてます。

「…と、言う訳で、
一度言ったかもだけど、カートリッジシステムは扱いが難しいの。
本来、
その子達みたいな繊細なインテリジェント・デバイスに組み込むような物じゃないんだけど…ね。
本体破損の危険も大きいし、危ないって言ったんだけど、
皆、ご主人様の力になりたいって…ね」

エイミィさんを前に、私、フェイトちゃん、フラットちゃんが横に並んで話を聞いています。

「レイジングハート」

All right(大丈夫です).〕

「バルディッシュ」

Yes sir(はい).〕

「…ま、お前は元々、
カートリッジ対応デバイスとして作ったからな、アルギュロス」

That’s right(その通りッス).〕

「何言ってんだか、
アルギュロスがカートリッジシステムを組み込んじゃったものだから、
その子達も、焦って『欲しい』って言い出しちゃったんじゃない」

「そのお蔭で戦力アップ出来たんなら、問題無いだろ?
破損の危険は、どんな道具にだって付きまとうんだ。
大事なのは限界を見極めて、ギリギリを維持する事さ」

肩をすくめて、そう言うフラットちゃんに「しょうがないなぁ」と溜息のエイミィさん。

「はぁ…、
それで、皆のデバイスは三つのモードが有るの。
レイジングハートは中距離のアクセルと、長距離のバスター。
そして、フルドライブのエクセリオン・モード。
バルディッシュは、
汎用のアサルト、鎌のハーケン、フルドライブはザンバー・フォーム。
アルギュロスは、
基本のガンナー、狙撃用のスナイプ、フルドライブはストライク・フォーム。
…、
破損の危険があるから、フルドライブはなるべく使わないように。
特に、なのはちゃん」

「ほぇ、
…はい?」

「フレーム強化が済むまで、エクセリオン・モードは使用させないでね」

「はい」

…、
破損の危険…。

レイジングハート、自分が危なくなる事まで覚悟して…。

「ま、
なのはとレイジングハートの事だから、嬉々としてエクセリオン・モードを使っちまいそうだがな」

「なっ!?
私達、そんなに向こう見ずじゃないよっ!!」

私を見つめて、フラットちゃんが続けて言う。

「おや、自覚が無い?」

「自覚って、何の?」

「お前等、必要とあらば喜んで無茶を楽しむ口だろうが。
エイミィ、とっととレイジングハートを強化した方がコイツの為だぜ?」

「ひっど〜〜い!
フラットちゃんだって、人の事は言えないのにっ!!
知ってるんだよ、
今のフラットちゃん、右腕の調子が悪いって!」

「ギクッ!?」

「どうしてそれを?」って表情でフラットちゃんが見つめるから私は答えます。

「戦いが終わった後、フラットちゃん、アルギュロスを左手で持ってたでしょ。
フラットちゃんは右利きだから、怪しいなって思ってたの」

「…フラット」

私の言葉を聞いたフェイトちゃんが、沈んだ声でフラットちゃんに声をかけました。

「ナンダロウ、ふぇいとサン」

「取り合えず服を脱いで。
…エイミィさん、救急箱をお願いします」

大人しいフェイトちゃんらしからぬ行動力で、フラットちゃんを剥くフェイトちゃん。

「待った、筋を違えただけだって」とか「下着は勘弁」とか聞こえるけど、取り合えず無視。

フェイトちゃんを心配させちゃ駄目なの。

救急箱を持ってきたエイミィさんと「フェイトちゃんも明るくなったね〜」と談笑します。

「ちょっ!?下半身は大丈夫だって!ソックスを脱がすな!スカートをめくるな〜〜っ!!」


と、リビングの奥、ソファーとかが置いてある一角から溜息が聞こえました。

「…問題は彼等の目的よねぇ」

リンディさんが頬杖をつきながら再び溜息。

「……はい。
正直……、腑に落ちない……。
話をしてみても……彼等はまるで自分達の意思で闇の書の完成を……、
いや、完成する事によって得られる何らかの目的こそを求めているようにも、感じますし……」

ソファーに深く座ったクロノ君がゆっくりと喋ってます。

リンカーコアを奪われたクロノ君は、皆が本局の医療施設入りする事を進めるのを断ってココに居ます。

「この地に派遣された執務官は僕だけだから」

それが、クロノ君の答え。
「この程度で寝込むほど、僕はヤワじゃない」と笑う彼を私達は止められませんでした。
結局、前線に出ずに療養に専念するならば、という条件でココに居ます。

「……でも、ソレって変な事なのかい?」

クロノ君の言葉に、窓際で子犬フォームで寝そべるアルフさんが疑問の声を上げました。

アルフさんも「フェイトの側から離れるなんて出来ない!」と頑なにこの場所に留まりました。
その時、アルフさんとフェイトちゃんの間で一悶着あったのですが、
結局、魔力消費の少ない子犬フォームで療養に専念するって事で落ち着きました。

「『自分達は闇の書の守護騎士だ』って言ってたし、
ご主人様の為に、あの子達が頑張るのはおかしく無い気がするんだけど……。」

アルフの言葉に顔を見合わせたリンディさんとクロノ君。

そしてクロノ君が口を開きます。

「第一に、闇の書はジュエルシードみたいに自由な制御が利くものじゃないんだ。」

「完成前も完成後も、純粋な破壊にしか使えない。
あの時クロノが言った通り、少なくとも記録に有る限り、闇の書は必ず暴走してるわ。」

クロノ君の言葉を継いでエイミィさんが言いました。

「そうかぁ……そうだったねぇ……」

結局、あの人達の事が判らないという答えに落胆するアルフさん。

「あ、連中、記憶が欠落してるんじゃねぇのか?」

と、そこにフラットちゃんが割り込みました。

…フラットちゃんは、髪が心なしかボサボサになって、着ている服も少しヨレヨレになってます。

なにがあったの?

隣のフェイトちゃんは何かを堪能したようで、にこやかな笑みになってます。

「…どういう事かしら?」

代表してリンディさんが問いかけます。

「先の対談中、守護騎士の二人が言ってたろ?
『そんなの知らない』『記憶に無い』ってな」

「なるほど…。
そう考えたら、納得できる部分も…。
でも、確証が無いわね?」

「ですね。
あの二人の慌てぶりから見て、フラットの疑問も的を射ているのかもしれない。
でも、鵜呑みには出来ない、
それに、完成以外に求めている何か……彼等の目的がそれで分かる訳でも無い」

「別に俺の疑問が答えだなんて言ってないさ。
ただ、無視するには気になる反応だったから報告しといただけだよ」

リンディさんとクロノ君の言葉に肩をすくめて答えるフラットちゃん。

「…そう言えば、クロノが呟いていた『守護騎士プログラム』って…。」

話が落ち着いたのを見たフェイトちゃんが、疑問の声を上げます。

「む、聞こえていたのか……、
彼等は人間でも使い魔でもない。
闇の書に合わせて魔導技術で作られた擬似人格。
ただ、主の命令を受けて行動する…。
それだけのプログラムに過ぎないはずなんだ」

どこか沈んだ声でフェイトちゃんに答えるクロノ君。

「……それって、
人間でも使い魔でもない、擬似生命って……私みたいな……」

フェイトちゃんがそう呟くと、場の空気が一気に変わりました。

「フェイトさん!」

「「フェイト!」」

「「フェイトちゃん!」」

リンディさん、クロノ君とアルフさん、私とエイミィさんが声を上げます。

なんて事を言うのフェイトちゃん!
思わず、そう叫んで飛び掛りそうになった私よりも先に、
一人無言だったフラットちゃんがゆっくりとフェイトちゃんへ向き直りました。

ペチ。

軽い音の平手。

でも、叩かれたフェイトちゃんは、呆然と叩いたフラットちゃんを見てます。

「お前は人だ。
血と肉を持ってる。
心もある。
……何が不満だ?」

「……でも私は『作られた子供』……」

「だからどうした?
『我思う。故に我有り』なんて慰めにもなんねぇけどよ。
それじゃあ、お前の願いでこの身体を得た俺はなんなんだ?
お前が人間じゃないなら、俺は一体何者なんだ?
そして、使い魔で狼だがアルフは人間じゃねぇのか?
一度死んだ俺や死にかけたアルフの方が、あの守護騎士達の在り様に近いんだぜ…」

「あ…」

真っ直ぐフェイトちゃんを見つめて言うフラットちゃんに、皆の動きが止まりました。

「…まぁ、言いたい事はフラットさんに皆言われてしまったけど、そう言うことよフェイトさん。
生まれ方が違うくらいで、気に病む事なんてないのよ?」

「君は人間だ。
検査の結果もそう出ている。
変な事を言うものじゃない、
フラットとアルフも同じだ」

リンディさんとクロノ君が慰めるように言いました。

「…あ、…わ、私……」

フェイトちゃんが、フラットちゃんに抱き付きます。

「…ごめんね。
ごめんね…
私…ごめんなさい」

フラットちゃんに抱きついて、肩に顔を埋めたまま何度も繰り返すフェイトちゃん。

「…馬鹿野郎。
こういう時は、ありがとうでいいんだよ」

「…、
うん、ありがとう。
ありがとう、フラット。
ありがとう、皆…」

満更でもない顔でフェイトちゃんを抱きしめて頭を撫でるフラットちゃん。

「…結局、自分が人かどうかなんて疑い出したら切りがねぇ。
一度疑っちまえば、明らかな確証なんて世界の何処にもないんだからな。
そもそも、何を持って人間だと規定出来るんだ。
ただ、自分自身を『人だ』と信じる以外には……結局……」

そう呟いたフラットちゃんは、どこか遠くを見ているようで、不思議と大人びて見えました。

私には、まだ判りきれない言葉を話すフラットちゃん。
でも、フラットちゃんの言葉に自分自身への苦悩も混じってるみたいに感じて、私は切なくなってしまったのでした。




















「…痛てっ」

「あ、フラット、
もしかしてココも怪我してる?」

「うおっ!
痛い!痛いから擦るなフェイト!!」

「あ、腰がこんなに痣になってるの」

「なのはっ!
服をめくるんじゃないっ!!」

「フラット。
じっとしてなきゃ、治療できない」

「まて、待てフェイト!
だからって俺のスカートを下ろすんじゃないっ!!」

「うふふふっ、
湿布ミサイル、行っきま〜す!!」

「止めて、待って、堪えて…、
ぎにゃぁぁぁぁっ!!」



















 第三話 終われ























 あとがき・改

 はい、ごそごそっと改訂してみました。今度は如何なもんでしょ?

結構、展開を掘り下げれたので、個人的には満足してます。

一部大幅な改造を行なってますが、大筋はそのままという有様ですが。

改訂前の時点で視点変更が多すぎるという意見がありましたが、すいません作者の満足に付き合ってください。

なのに冒頭は全然弄ってないあたり、駄目っすかね?

ちなみに今回以上のエロエロ〜ンな展開は想定して無いッス。

今回でいっぱいいっぱいッス。
本番描写なんて出来ないッス。

しかし、ユーノ。

ナデシコの某・副艦長が如く、一生懸命舞台を整えてやってもアクの強いキャラ達に流されて消えていく。

ゴメンね。次から君は図書館で資料漁りだよ。

たぶん、最終決戦と日常でしか出番無いよ。

なにより戦闘シーンを書き込んでると自然と作者の脳裏から消えていくあたり、大人しいキャラクターは割りがあわないんだなぁ。

あ、後、今回からデバイスのカッコを〔 〕から【 】に変更しました。

透水さんの作品からの影響です。だって、この方がカッコイイんだもの(爆

いい加減、作者の辞書片手のなんちゃって英語を使うのも疲れたので、デバイス達は日本語交じりで喋ってもらいます。

原作と同じ発言は某なのは情報サイトからコピペしますが、アルギュロスの砕けた体育会系言語が表現出来ねぇです。











感想代理人プロフィール

戻る





代理人の感想

・・・・・・・・・・。

教育的ぃ〜〜〜、指導っ!

とゆー訳で、代理人として以降は気をつけるよーに注意させていただきます。

今回でもかなりギリギリだし、これ以上やられると正直掲載できません(爆)。>エロエロ〜ン

まぁフラットのバリアジャケットもかなり問題のあるブツですけど。w

ハイテナイシスターなのは予測できましたが、誰がやったんだか。・・・リンディあたりは嬉々としてやりそうな気がするなぁ。

にしても、それならそれでコートの前を閉めとけって突っ込みはナシデスカ?

 

>アルギュロス

M500は成人男性でも10発撃つと手が痺れて字も書けなくなる(しかもそれが数日続く)と言うけど・・こっちも反動がごついのは変わらないのね。w

さすがに字も書けなくなる、と言う程じゃないようだけど。

 




・・・ところで、やっぱりユーノの活躍は一過性のイベント扱いで終了ですか?


※この感想フォームは感想掲示板への直通投稿フォームです。メールフォームではありませんのでご注意下さい。

おなまえ
Eメール
作者名
作品名(話数)
コメント
URL