・・・人の知る中で最も深遠なる世界。

・・・その内に無限に等しき変化を内包しながら、それ自体は変化する事なき無音の 世界。

・・・闇の聖域。

 

 

 

 その一隅を一つの白い影が駆け抜ける・・・。

 

 

 

 白い影・・・それは、一隻の艦だった。

細長い円錐形の艦体に、それを包み込むような形で艦の上・下部から出た大きめのリ ング・・・非常に洗練された感を受けるデザインの艦。

・・・しかし、それはあくまでデザインのみに関して言えばの話である。

 

 

 

“白さ”・・・見る者全てに恐怖心・嫌悪感を与える“白さ”・・・それが全てを台 無しにしていた。

 

 

 

 一口に“白”と言っても実際には色々と種類がある。

その艦を彩る“白”は、幽鬼のソレの如く、生気に欠けたものであった。

 

 

 

温かみも穏やかさも感じさせない不気味な“白さ”。

何処までも純粋なのに、何処かしら歪さを感じさせる“白さ”。

生者の輝きを持たず・・・されど焦燥感に駆られながら何かを求めるモノの“白 さ”。

 

 

・・・“ソレ”に彩られた艦は、さながら“亡者の船”のようだった。

 

 

 その艦の名はユーチャリス・・・史上最悪のテロリスト“The prince  of darkness”テンカワ・アキトの駆る戦艦であった。

 

 

 

 

<機動戦艦ナデシコ 〜あの戦場にもう一度〜> 
第1章『再起』


第7話『そしてあの戦場にもう一度・・・』

 

 

 

「アキト、ネルガル月ドックまで、アト2時間。」

 

 ユーチャリスのブリッジ・・・そこにいる一人の少女が鈴の音のような美声で小さ く呟いた。

十歳ぐらいの幼い少女・・・彼女は、とにかく全てが奇妙だった。

桃色の長い髪、透けるような白い肌、整ってはいるが感情というものが一切感じられ ない顔、・・・そしてマシンチャイルドの証たる金色の瞳。

人には在りえぬ要素のみによって構成された少女・・・“遺伝子細工”と呼ばれたモ ノ。

彼女の名は“ラピス・ラズリ”。

The prince of darknessに付き従う“もう一人の電子の妖 精”・・・ユーチャリスのオペレーターであった。

 

「・・・分かった、サレナで待機している。」

 

 暗い声でそう答えたのは、一人の若い男だった。

深い栗色のぼさぼさの髪・・・それ以外は、唯々ひたすら黒い男。

その顔の上半分は大き目の黒いバイザーで覆い隠され、首から下の部分は漆黒のマン トに包まれていた。

彼の名はテンカワ・アキト。

史上最悪のテロリスト“The prince of darkness”その人で あった。

 

「ハヤイネ・・・いつもは到着1時間前になってから待機に入るのに。」

 

ラピスは相変わらず無表情なままだったが、その声には若干不満そうな響きが含まれ ていた。

 

「アア・・・軍の方も、いい加減俺達の情報を揃えただろう。

そろそろ向こうの方から仕掛けてくる筈だ。」

 

・・・深刻な問題のはずだが、えらくあっさりとアキトは言った。

 

「・・・軍のネット、もう一度調べようか?」

 

「イヤ、いい。・・・昨日調べたときには何も動きは無かったんだろう?」

 

「ウン。」

 

「なら正規に部隊は動かすつもりは無いんだろう。

その気があるなら、配置ぐらいしておく筈だからな。

・・・裏ルートの指令なら、さすがにラピスにも掴み切れないだろう?」

 

「レベルにもよるけど・・・通常の命令文に偽装した暗号文とかだったらムリ。」

 

「まぁ、いいさ・・・他に補給の当てが無い以上、どのみち避けては通れない事だ。

・・・それに、やることは決まっているしな。」

 

どこか遠くを見ながら、アキトはそう言った。

 

「アキト・・・ワタシを置いて行かないよね?

・・・ワタシはイヤだよ、アキトと離れるなんて。」

 

・・・ここ数日何度も繰り返された問い・・・

オペレーターシートから立ち上がったラピスは、泣きそうな顔・・・彼女のそんな表 情を見た事のある者はほとんど居なかったが・・・でアキトに縋りついた。

 

「大丈夫だ・・・ちゃんと約束しただろ?」

 

「・・・ウン。」

 

「ゴメンな、ラピス・・・俺の復讐につき合わせたせいで、お前には普通の生活を送 らせてやれなくなってしまった。」

 

 そう言ってラピスの頭を撫でるアキトは、とてもテロリストには見えなかった。

・・・何処にでも居る普通の優しい青年・・・

誰もがそう思っただろう・・・黒ずくめの格好さえ目に入らなければ、だが・・・。

 

「ウウン・・・普通の生活なんてどうでもイイ。

そんな事言われても、普通の生活がどんなモノかヨク分かんないし・・・アキトと一 緒に居るときが一番落ち着く。」

 

「アカツキ達の所に行くのは嫌か?」

 

「アノ人達の事、別に嫌いじゃないんだよ。

アカツキさんは面白いし、エリナやドクターはなんか温っかいし、プロスさんは親切 だし、ゴートさんも・・・普段はアレだけど、結構優しいし。

でも、あそこに帰りたいとは思わナイ・・・ドウシテモ、そうは思えナイ。」

 

「・・・そうか。」

 

アキトは溜め息をついた・・・だが、その様はどこか嬉しそうだった。

 

「警告!! 前方に艦影を確認。距離300。」

 

突然ブリッジに居ないはずの第三者の声が響き渡り、同時に無数のウィンドウがあた りを埋め尽くした。

 

「ナニ!! 近すぎるぞ・・・ダッシュ、どうして今まで気がつかなかった?!」

 

虚空から聞こえてきた声・・・ユーチャリスのメインコンピューターであるオモイカ ネ´(ダッシュ)の人工声にアキトは驚きの声を上げた。

 

「光学観測以外は一切反応がありません・・・エネルギー反応が一切ないんです。

その上、大型のデブリ帯の中にいる為、構成素材の成分分析では区別がつきませんで した。

・・・訂正します。

前方の艦から高エネルギー反応を感知。

反応の大きさからして、相転移エンジンと思われます。

・・・データ照会完了。

連合宇宙軍所属ND−06ナデシコCです。」

 

「ナデシコCだと・・・ルリちゃんか?!」

 

「接触までアト約2分。どうする、アキト?」

 

いつの間にかシートに戻りオペレートを再開していたラピスに聞かれ、動揺していた アキトはいつもの冷静さを取り戻した。

 

「回避は間に合わないよな、どう考えても。

今からジャンプシークエンスに入っても、ユーチャリスを跳ばす前に追いつかれるし ・・・。

・・・ラピス、俺がサレナで出る。

時間を稼ぐから、ジャンプの準備を・・・。

システム掌握には気をつけろ。」

 

そう言って愛機ブラックサレナのコックピットにジャンプしようとしたアキトを、ラ ピスが引き止めた。

 

「待って、アキト。通信が入ってきた。」

 

「今は出ている暇が・・・」

 

「発信者がテンカワ・ユリカになってるノ!」

 

「・・・っな!!」

 

その一言に、アキトは凍りついた。

 

「・・・・・・ダメ、通信システムを乗っ取られた。」

 

珍しく、はっきりソレと判るほど悔しそうにラピスが呟のと同時に、ブリッジに大き なウィンドウが展開された。

 

 

 

「ひさしぶりだね、アキト。」

 

 

 

「ユリカ・・・」

 

そこに現れた柔らかな微笑を浮かべた女性を見て、アキトは呆然と呟いた。

 

「・・・何の用だ?」

 

しばしの静寂の後、我に返ったアキトは、凍てついた・・・しかし僅かに震えの混 じった声で、ユリカに問いかけた。

 

「迎えに来た・・・ううん、違うね。本当はアキトと話がしたかったの。」

 

「話す事など何も無い。」

 

「アキトにとっては、そうかも知れない・・・けど、ワタシには言わなきゃいけない 事があるの。」

 

一方的に拒絶するアキトに対し、ユリカは穏やかな雰囲気を崩すことなく告げた。

 

「オマエの知っているテンカワ・アキトは死んだ。

今のオレと話す事に意味は無い。」

 

「そんな事ないよ。

アキトはアキトだもん・・・確かに、前と少しは変わったと思うけど。

でも、それを言うなら私も同じ・・・アキトの知ってるテンカワ・ユリカは、もう死 んだわ。」

 

「オマエは知らないんだ、ユリカ。

知らないからそんなことが言える。

オレが今まで何をしてきたのか・・・ルリちゃんに聞いてみろ。」

 

「いえ、ユリカさんは知っていますよ、アキトさん。」

 

ユリカの映るウインドウの横に、新しいウィンドウがもう一枚開いた。

 

「お久しぶりです、アキトさん。」

 

銀髪・金瞳の美少女が無表情に・・・近しいものには、実は微笑んでいるのだと分 かったが・・・告げた。

 

「久しぶりだな、ルリちゃん。

君も酔狂だな、俺のとこに来るなんて・・・それとも、これも任務か?」

 

「半分はそうですよ。

でも、後の半分は紛れもなくワタシの・・・いえ、ワタシ達の意思です。」

 

「で、何の用だ?」

 

「先程ユリカさんも言いましたが・・・ワタシもアキトさんに伝えたい事があるんで す。」

 

「そうか・・・だが、今のオレに聞く気はない。」

 

「何時になったら、聞く気になってもらえるんです?」

 

「未来永劫・・・少なくとも、オレが死ぬまでそんな日は来ないな。」

 

―――『ラピス、準備は?』―――

 

―――『アト20秒!』―――

 

「ユリカもルリちゃんも、もうオレには構うな・・・。」

 

アキトの言葉が終わらぬ内に、ユーチャリスが突然動き出し、ナデシコCに肉薄し た。

 

「艦長、グラビティブラストの有効範囲外に潜り込まれました!!」

 

ウインドウの向こう側で少年・・・ナデシコCオペレーター“マキビ・ハリ”が叫び 声を上げた。

 

「じゃあな、二人とも・・・幸せに。」

 

ユーチャリスの艦体が、光り輝く粒子・・・ボソンに包まれていくのを見て、ユリカ は叫んだ。

 

「行かせないわ、アキト! ルリちゃん!!」

 

「了解・・・マーファ射出。」

 

ルリの声に従いナデシコCの艦底部から発射された“何か”が、ユーチャリスの後部 に突き刺さった。

 

ドンッ!!!

 

大きな鈍い音と共に、ユーチャリスのブリッジを振動が襲った。

 

「・・・クッ、ラピス被害は?」

 

「ジャンプフィールド発生装置付近に被弾。艦の機能に問題はナシ。」

 

「距離は?」

 

「十分空いてる。巻き込む事はナイヨ。」

 

焦って問うアキトに、ラピスが答えた。

 

「ヨシッ! フィールド展開・・・ジャンプ!!」

 

 何もない空間・・・無論、実際にはガスや微細な鉱物が浮遊してはいるのだが、た だそれだけで、特に人の興味を引く点はない無個性な宇宙空間。

そこに突然、柔らかな輝きが拡り・・・その光が収まったとき、そこには“二隻の” 戦艦が存在していた。

 

「・・・どういう・・・ことだ?

・・・ジャンプを追跡したとでも言うのか?

聞いたことないぞ、そんなことができるなんて・・・。」

 

外部モニターに映し出された白亜の戦艦・・・ナデシコCを見ながら、またも呆然と 呟くアキトに答えるように、ユリカとルリのウィンドウが再び開いた。

 

「うーん、悪くない判断だったけど・・・」

 

「・・・少し甘かったですね。

アナタを追いかけるのに、切り札の一つや二つ用意してナイと思ったんですか?」

 

「マーファ・・・聞いてはいたけど、ホント役に立つね、コレ。」

 

苦笑する二人にアキトは自然に・・・プリンス・オブ・ダークネスの威圧感などさっ ぱり抜け落ちた雰囲気で・・・問いかけた。

 

「マーファ? 何なんだ、それは?」

 

・・・その瞬間、ウィンドウの向こう側の二人の顔が、見ている側が気の毒に感じる ほどハッキリと引きつった。

 

「3!」

 

「2!!」

 

「1!!!」

 

「どっかーん!!!!」

「なぜなにナデシコ!!!!!」

無意味に楽しげな子供達の声と、児童向け教育番組そのままのノリの音楽がブリッジ に木霊し・・・ユリカとルリのウィンドウを押しのける形で、一際大きなウィンドウ が開いた。

 

「皆さんコンニチワ、お久しぶり、初めまして。

ネルガル開発部のイネス・フレサンジュです。

皆さんお待ちかねの“なぜなにナデシコ”の時間がやってきました。

なお今回は諸般の事情によりライブで放送する事ができないため、事前にオモイカネ に組み込んでおいた“全自動説明プログラム”によって皆さんの疑問にお答えしま す。」

 

新たなウィンドウ・・・其処に現れたのは一人の女だった。

アップに纏められた豊かな金髪、知的な輝きを放つ落ち着いた瞳、大人の色気漂う 整った顔立ち、ユリカに匹敵するプロポーション・・・

掛け値なしに“美女”と呼んで差し支えない人物であった。

・・・だが、そんな事は彼女に関して言えば、およそ特徴になり得なかった。

その身に纏った“いかにも”といった感じの白衣、その背後に置かれた今時珍しい大 きなホワイトボード・・・そして全身から滲み出る喜びのオーラ。

古来より人類の中にたびたび見られる人種・・・『学者』。

彼女の名は“イネス・フレサンジュ”・・・世界的に有名なボソンジャンプ研究の第 一人者であり、かつてナデシコで『説明おばさん』としてクルーから畏怖された人物 であった。

 

 

 

 

「・・・今すぐ止めろ、ルリちゃん。」

 

怒りと・・・微妙に呆れが混じった声で告げるアキトに、ルリが沈痛な面持ちで答え た。

 

「ムリです・・・マーファを貰う時にイネスさんと“契約”したんですよ、『アキト さんがコレについて尋ねてきたら起動する“説明プログラム”の邪魔は一切しな い』って。」

 

「君に手出しできないプログラムなど存在しないだろう?」

 

「・・・オモイカネの基幹部に組み込まれてるせいで、一度艦の機能を完全停止しな いと改竄できないんですよ。」

 

「出発前はイネスさんの目が光ってたし、時間もなかったから、結局ほったらかしに してたんだよね・・・。

アキトが質問しない事を祈ってたんだけど・・・儚い夢だったよ。」

 

トラウマが甦ったのか、そう言うユリカの表情は“泣き笑い”だった。

 

「それなら、思わせぶりな事わざわざ言うなよ・・・」

 

疲れた声で言うアキトに、やはり疲れた声でルリは返した。

 

「ソレも“契約”です。

アレの使用後、一定時間内に“マーファ”という単語をアキトさんの耳に入れない と、艦の機能に制限がかかるように設定されてるんです。

他にも色々仕掛けてあるようですし、諦めて、大人しく聞いておきましょう。

・・・すごくイヤですけど。」

 

 

「今回は、

Multiple

ield  adjusting

nchor

・・・略称『Mufa』マーファについて説明しましょう。

これは、私・・・イネス・フレサンジュと、ナデシコ整備班班長ウリバタケ・セイヤ が、実に二年の月日を掛けて共同で開発した物です。

その製造目的は、従来不可能とされてきた『ボソンジャンプの追跡』に在ります。

そもそも、何故ボソンジャンプの追跡は不可能とされてきたか・・・それは『ジャン プの軌跡は観測できない』為です。

通常私達は移動する物体を追跡する場合、物体の位置とその時間変化・・・要は速度 を計測し、それらの情報から一定時間後の物体の位置を“予測”します。

計測により生じるタイムラグという問題はありますが、どちらにせよ“今現在の”位 置情報だけでは何の役にも立たない訳です・・・

そこに辿り着いた時には相手はもう別の場所に移動している訳ですから。

ボソンジャンプの本質的な瞬間移動プロセスは、物体が時間逆行ボース粒子『レトロ スペクト』に変換されてから起こると考えられていますが、

レトロスペクトの振る舞いは私達には観測できません。

したがって私達に観測できるのは、ジャンプ開始位置とジャンプアウト地点のみにな ります。

無論ジャンプアウト地点は、予測ではなく“実測”せねばならず、

遠距離にジャンプされた場合、情報が伝達するまでの間にジャンプアウト地点からさ らに移動されるため、この情報を元に相手を追跡するというのはナンセンス。

では、ボソンジャンプを追跡するにはどうすればいいのか?

考えられる方法は二つです。

まず第一の方法は、ジャンプの根幹を成す演算ユニット・・・通称『遺跡』に残って いるであろうログデータを調べ、相手のジャンプ先に自分自身もジャンプするという 方法。

ただ、『遺跡』は時空間を超越して機能を発する物・・・

過去・未来を問わずあらゆるジャンプの記録が残っているとしたら、その膨大なデー タの中から追跡対象の情報を絞り込むのは、私達の持つ技術ではまず不可能。

そもそも開発決定当初には、『遺跡』は、何処とも知れぬ宇宙の果てを漂っている筈 だった・・・研究対象がないのに、研究などできる筈がなかった訳です。

という訳で、この方法は却下。

では、第二の方法はと言うと・・・至って単純に『相手のジャンプに便乗する』とい う方法。

ボソンジャンプは、次元跳躍門『チューリップ』を介さない場合、ジャンパーによる 『遺跡』へのイメージ伝達により発動します。

しかし、この時ジャンパーから『遺跡』へ伝達される情報は、あくまでジャンプ先に 関してのみ。

ジャンプ対象物を規定しているのは・・・実は、ディストーションフィールドです。

本来、ボソンジャンプそのものにディストーションフィールドは必要ありません・・ ・フェルミオン−ボソン変換はジャンプフィールドが行います。

にもかかわらず、戦艦単位での大規模生体ボソンジャンプには、何故未だに高出力 ディストーションフィールドが不可欠なのか・・・

それはディストーションフィールドによって、ジャンプ対象とそれ以外のモノが判別 されているからです。

ボソンジャンプにおいてディストーションフィールドの果たしている役割は、ジャン プ時の物理的影響を防ぐ事ではなく、

“何処から何処まで”を“一緒に”ジャンプさせるかを『遺跡』に判別できる形で指 定する事です。

ジャンプ先同様、ジャンプ対象物の指定もイメージ伝達で行えば良い様に思われます が・・・自身の肉体以外にジャンプさせるものは意外に多く、

ただでさえ集中力を要求するイメージング時に、これら全てを明確にイメージするの は至難の業です。

加えて、共にジャンプさせるべきものの大半は、その存在が当たり前すぎて、普段取 り立てて意識していないものが多い。

例えば、“衣服”・・・今身につけている服のデザインがどういったものだったか、 正確に思い描ける人は少ないでしょう。

あるいは、生命活動に不可欠な“肺の中の空気”・・・こんなものを意識している人 間は、それこそ絶無と言っていいでしょう。

しかしそれだけなら、ジャンプフィールドを正確に必要分だけ展開し、ジャンプ フィールド内のモノは全てジャンプさせれば良いように思われます。

ところが、ジャンプ対象の中に複数のジャンパーがいて且つイメージが統一されてい なかった場合、対象物がバラバラに別の地点にジャンプアウトしてしまうという問題 が発生します。

これはジャンパーが少ない現代でなら特に問題になりませんが、日常的に使用すると なれば、決して見過ごせません。

ボソンジャンプの生みの親・・・古代火星人達は、そういった問題を解決するため に、重力場の不連続変動・・・ディーストーションフィールドを、一種の“目印”と して利用した訳です。

これらは、CC(チューリップクリスタル)を使用したジャンプの場合、特にディ スートーションフィールド発生機関を必要としない事から、長い間誤解されてきまし たが、

実際ディストーションフィールドなしのボソンジャンプというのは存在しません。

詳細な原理こそ未だ解明されていませんが、CCもボソンジャンプ発動時には瞬間的 に活性化して、

ジャンプフィールドと共に微弱なディストーションフィールドを発生させている事 が、精密観測の結果分かっています。

私達は、ジャンプ時にディストーションフィールドが果たしているこの役割に注目し ました。

追跡対象がジャンプ時に展開するジャンプフィールドとディストーションフィールド ・・・研究者の間では二つセットで“複合フィールド”と呼んでいますが・・・

この“内側”に入り込み、相手と一緒にジャンプする。

発想自体は極めて単純。

・・・・・・実際に問題になるのは『如何にして相手の複合フィールドに潜り込むか ?』です。

普通、必要以上に大きな複合フィールドは張らない・・・・・・

小型の機動兵器が数機潜り込むくらいの余地はあっても、纏まった戦力・・・戦艦等 を一隻余分に包み込むほどの余地は在ろう筈がない。

まして、ジャンプ先は相手にとって今いる場所より有利な場所の筈・・・・・・出来 るだけ多くの戦力で追跡した方が良い。

そこで出て来るのが“マーファ”・・・複合フィールド接合器です。

これはウリバタケさんが昔開発した“フィールドランサー”の技術を発展・応用して 作った『自分の展開した複合フィールドを相手の展開した複合フィールドに“同期” させる特殊素材』を、

追跡対象のフィールドに接触させやすい形状・・・海上船で使用される“錨”に成型 した物です。

要は、相手の複合フィールドに自分の展開したフィールドを“継ぎ足して”一緒に ジャンプする訳です。

これなら、必要な分だけフィールドを勝手に大きく出来ますから、大規模戦力での追 跡も可能。

物質的に相手と自分を連結しなければならないという欠点はありますが、それでも “切り札”たるボソンジャンプを無効化し得ると言う事は、今後の戦略に大きな変化 をもたらすでしょう。

長くなりましたが、これでマーファに関する説明は終わりです。

ご静聴ありがとうございました。

では皆さん、次回“なぜなにナデシコ”で、再び御逢いしましょう。

サヨウナラ。」

 

 

「・・・ハッ! オレは今まで何を?」

 

「・・・相変わらずキツイですね、イネスさんの『説明』は。」

 

延々続いたイネスの説明から開放され、呆然としていたアキトは我を取り戻し、不幸 にも辛うじて意識を保っていたルリは、疲れきった顔で艦長席の肘宛に身を預けてい た。

 

「・・・本題の前にえらく疲れましたが、そういう訳で逃げてもムダです。

マーファがある限り、あなたのジャンプは意味を成しません。」

 

引きずるようにして体を起こし、ルリはアキトにそう告げた。

 

「・・・ならば、アレ自体をサレナで破壊させてもらう。」

 

なんとか何時もの雰囲気を取り戻したアキトは、冷淡にそう答えた。

 

「マーファは複合フィールドの橋渡し役・・・当然ディストーションフィールドも身 に纏っています。

・・・・・・それもナデシコCとユーチャリス、二隻分。

幾らあなたの“ブラックサレナ”が強力だと言っても、そう簡単には破壊できません よ。

・・・イネスさんの御墨付きです。

それに、こちらも腕利きパイロットを二人揃えてきました。

彼らを相手に、ユーチャリスを守りながらマーファを破壊する・・・・・・補給前 で、ただでさえ消耗しているアナタ達に出来ますか?」

 

静かにそう問いかけるルリに対し、アキトはしばらく押し黙っていたが、やがて溜息 を一つ吐き、口を開いた。

 

「・・・降参だ。

こうも簡単に押さえられるとは・・・・・・やるね、ルリちゃん。

火星の後継者の連中の気持ち、少しだけ理解できたよ。

・・・・・・それともユリカの作戦か?」

 

「二人で考えました。

ホント言うと、かなりギリギリの賭けだったんですけどね。

うまく行きました。」

 

そう言ってルリは苦笑した。

 

「一つだけ頼みがある。

この子・・・ラピスの事は知っているな?」

 

「エエ、前に一度・・・いえ、正確には二度会ってます。」

 

「オレはどうなっても良い・・・・・・だが、この子に罪は無い。

ラピスの事は見逃してくれないか?

後の事は、アカツキ達が何とかしてくれるだろうから。」

 

「イヤ!!」

 

今まで押し黙っていたラピスだが、アキトのその言葉を聞いて、大きな声で叫んだか と思うと、オペレーターシートから立ち上がり、転がり込むようにしてアキトに縋り ついた。

 

「イヤ!! アキトと離れるのは絶対にイヤ!!

ドコにだって付いてく!!」

 

「・・・ラピス。」

 

泣くラピスの頭を撫でるアキト・・・・・・二人の間に痛々しい空気が流れた。

 

「・・・ラピスさん? 心配しなくてもイイですよ。」

 

と、ウィンドウの向こうのルリが彼女にしては珍しく、はっきりそれと分かるほど優 しげに微笑みながら、ラピスに告げてきた。

 

「アキトさんも勘違いしてませんか?

ワタシ達には、アナタを無理やり連れて行く気なんてナイんですよ。」

 

「じゃあ、一体何しに来たんだ?」

 

心底訝しげにアキトは聞き返した。

 

「ちゃんと言ったじゃないですか・・・『アキトさんに言いたい事がある』って。

・・・・・・帰ってきて欲しいのは確かですけど、アナタが拒むのなら強制はしませ ん。

そんな事しても、アナタの“心”は帰って来ないでしょう?・・・ワタシ達と過ごす “日常”には。

それに、どちらにせよ、アナタを軍に差し出すつもりはアリマセン。

・・・・・・そんな事、絶対にさせない。

だから大丈夫ですよ、ラピスさん。」

 

「・・・ホント?」

 

アキトにしがみついていた姿勢のまま、恐る恐るといった感じで、ラピスは顔を上げ た。

 

「エエ、本当です。安心しましたか?」

 

「ウン・・・・・・アリガトウ。

それと、ワタシのコトは“ラピス”でイイ。」

 

そう言うラピスの顔には、多少ぎこちなくはあったが、確かに笑みが浮かんでいた。

 

「分かりました。

・・・そう言えば、まだちゃんと自己紹介してませんでしたね。

ワタシはホシノ・ルリ。

これからヨロシク・・・ラピス。」

 

「ジャア、ワタシも・・・。

ワタシはラピス・・・ラピス・ラズリ。

これからヨロシク・・・・・・お姉ちゃん。」

 

ルリとラピス・・・妖精の如き二人が微笑みあっている様は、あたかも童話の挿絵の ようだった。

 

「ルリちゃんばっかりズルイ!!」

 

・・・が、幻想の世界は、その一言であっさりと破られた。

 

「アア、ユリカさん、やっと戻ってきましたか。・・・大丈夫ですか?」

 

ルリは、突然のユリカの声にも動揺することなく、逆に問いかけた。

 

「何とかね・・・さすがにもう慣れたから。」

 

「・・・その割には、以前より潰れてる時間が長くなってる気もしますけど?」

 

「イネスさんの『説明』が始まると、体が勝手に反応して、本当に気を失っちゃうん だよ。

早めに意識を失った方が、苦しみも少ないから。

・・・一種の免疫反応なのかな?」

 

どこか悟りきったような顔で、ユリカはそう答えた。

 

「それはそうと、ルリちゃんばっかりズルイよ。

ワタシだって、ラピスちゃんと仲良くなりたいのに・・・二人だけで雰囲気作っ ちゃって!

という訳で、ワタシも自己紹介するね。

ワタシの名前は、テンカワ・ユリカ。

年は・・・公的には25歳だけど、丸1年ほど『遺跡』と融合してたから、肉体的に は24歳。

・・・・・・まだ四捨五入したら20歳だよ。

ヨロシクね!!」

 

華が咲くような明るい笑顔で、ユリカはラピスに告げた。

 

「知ッテル・・・アキトの奥さん、だよね。

ワタシはラピス・・・・・・ヨロシク、ユリカ。」

 

「奥さん・・・・・・そうだね、“今は”。」

 

ユリカは苦笑しながら、そう言った。

 

「“今は”?・・・どういう意味だ?」

 

ユリカの一言に、アキトは、何処か怯えるように問いかけた。

 

「・・・ルリちゃん、先に言っても良い?」

 

「構いません・・・というか、その方がワタシにとってもイイですし。」

 

「ありがと。

あのね、アキト・・・これがアキトに言いたかった事なんだけど、誤解しないで聞い てね。」

 

ユリカは表情を引き締め、自分自身を落ち着かせるように一つ深呼吸をすると、静か に言い放った。

 

 

「ワタシは、アナタのことを愛してなかったのかもしれない。」

 

 

「ユリ・・・カ?」

 

ゴメンね、アキト。

たぶんアナタは、すごく傷ついてる。

・・・でも、これを言わないと、ワタシ達は前に進めないから。

 

「ワタシは、アナタを見てなかった・・・・・・ずっと、アナタを通して『王子様』 を見てた。

困ったときには何時だって自分を助けてくれるヒーロー・・・勝手にそう決めつけて た。

“アキトが王子様”なんじゃなくて、“王子様はアキト”だったんだよ。

・・・・・・順番逆だよね、普通は。

今思えば、アキトが初めて私のことを『好きだ』って言ってくれた時も、ただ単に “王子様に迎えられた”事が嬉しかったんだ。

結婚もそう・・・・・・『恋人同士なんだから一緒に暮らすのが当たり前だ。』って 思って同棲して、今度は『一緒に暮らしてるんだから、もう結婚するのが当然 だ。』って思って結婚した。

子供だったんだよね・・・ホント。

・・・ルリちゃんに言われて、初めて気がついたよ。」

 

ホント、子供だった。

アキトだけじゃない・・・ワタシはずっと、相手のことなんて、まるで見てなかっ た。

何時も『こういうモノだ』っていうのが頭にあって、それを通してしか行動してな かった。

ルリちゃんと暮らしてた時もそう・・・・・・ルリちゃんの事を気に掛けれたのも、 自分の中の“母親のイメージ”が『娘に優しかった』だけ。

 

「でもね、アキト・・・・・・一緒に暮らしてる間にワタシはアナタのことを・・・ アナタ自身を好きになってた。

ラーメン屋やってる王子様なんていないのに・・・あの頃のアキトが、ワタシの中の アキトの中で一番輝いてるの。

朝早くから仕込みをして、どんなにお客が少ない時間帯でも絶対に店を開けておいて ・・・

御父様に結婚認めてもらうのにやった『ラーメン勝負』もそう・・・何度も何度も作 り直して・・・・・・あんなにおいしかったのに。

ワタシはね、アキト・・・アナタのあんな真摯なところが好き。

ちょっと奥手の頑固で真面目なラーメン屋さんだったアキトのことが好き。」

 

ルリちゃんに言われて、やっと気がついた想い。

ワタシの中の大切な思い出。

・・・・・・あの時を過ごしたのは、間違いなく“アキト”で、それを大切に思って るって事は、あの頃のアキトのことを、ワタシは想ってるって事。

前にアキトに感じてた『好き』とは違う・・・でも、これが本当の『好き』っていう 感情なんじゃないかって、今は思う。

 

「アキト・・・アナタは確かに変わった。

体の事も聞いた・・・・・・もうコックにはなれない事も。

でも、アキトの本質まで消えてしまったの?

あの頃のアナタの・・・屋台引いてた頃のアナタは、本当に何処にも残ってないの?

ワタシにはそうは思えない・・・ラピスちゃんへの態度で、すぐに分かった。

アキト・・・アナタは“変わってない”。

・・・・・・だから、もう一度やり直そう?

“アキト”を愛していた“テンカワ・ユリカ”はもういないけど・・・“アナタ”の ことが大好きな“ミスマル・ユリカ”はここに居る。

だから、もう一度・・・もう一度だけ、ワタシにチャンスを頂戴!!」

 

「・・・オレは・・・オレは・・・。」

 

やはり、迷ってますね、アキトさん。

予想通りです・・・でも、何時かは越えなきゃいけない壁です。

アキトさん頑張って・・・・・・ん?

・・・・・・・・・これは・・・まさかっ?

 

「ラピス!!

システム掌握を解きます・・・すぐにユーチャリスの機能を復帰させなさい!!

アキトさん、ユリカさん・・・残念ですが話は一時中断です。

すぐに戦闘配置に着いてください。

・・・・・・統合軍が来ました!!」

 

「ナニッ?!」「うそ?!」「エッ?!」

 

マッタク・・・まだワタシは、アキトさんに何も言ってないのに。

・・・・・・本当にいい所で邪魔してくれましたね。

しかし、妙に動きが早いですね・・・発信機か何かを仕掛けられたにしても早すぎ る。

となると・・・本当に“偶然”鉢合わせたってトコですか。

この広い宇宙で、しかも、自分達を狙っているごく一部の部隊と遭遇するなんて・・ ・・・・あまりにも運がナイです。

 

「ルリちゃん、敵の数は?」

 

久しぶりに見ましたね、戦場でのユリカさんの顔・・・この顔をしている時のユリカ さんは、本当に頼りになる。

 

「ウィンドウに出します・・・・・・コレです。

・・・・・・ハッキリ言って、多勢に無勢。

オマケにコチラの戦力の内半分は、補給前でマトモに戦闘できない。

・・・戦うのは下策ですね。」

 

「なら、“逃げの一手”だね。

・・・アキト、どこか良い場所知ってる?」

 

「アア・・・緊急退避用に、特に特徴のない場所を幾つか選んで憶えてある。

下手にネルガルの関連施設に“跳ぶ”より、見張られてる可能性がない分、遥かに安 全だ。

・・・・・・まぁ、ここもその一つだったんだから、絶対とは言えないが。」

 

「ラピス、ユーチャリスはどうですか?」

 

「全機能問題ナシ。ジャンプも問題ないよ、お姉ちゃん。」

 

なかなか、仕事が速いです・・・・・・ハーリー君より、腕は上のようですね。

 

「ルリちゃん、マーファは?」

 

「ちゃんと安定してます。

・・・ナデシコCのジャンプシステムにも問題はナシ。」

 

「では、これからナデシコCとユーチャリスはボソンジャンプを行います。

総員・・・って、少ししか居ないけど、一応非常事態に備えてください。

ルリちゃん、ラピスちゃん・・・フィールド展開!」

 

「「了解、フィールド展開。」」

 

「アキト、お願い!!」

 

「イメージ、ポイントU−06・・・ジャンプ!!」

 

 

キィィィン!!!!

 

 

なっ、何ですか?

ジャンプ時にこんな音が響いたことなんて、今まで一度もないです。

 

『オモイカネ、この音は何?』

 

『音?・・・ボクの観測した音響情報に特別おかしな所はないよ?

・・・・・・・・・ただね。』

 

『ただ?』

 

『どうも、ジャンプフィールドが暴走してるみたいなんだよね♪

・・・・・・ユーチャリスのジャンプフィールド発生器の何処かが、マーファ打ち込 んだ衝撃で痛んでたみたい。

さっきまでは、なんともなかったのに・・・配線がショートしたのかな?

・・・・・・・・・どうしよう、ルリ?!』

 

『・・・オモイカネ、アナタ錯乱してるでしょう?

少し落ち着きなさい。

ジャンプをキャンセルする事は出来ますか?』

 

『ムリだよ、もうジャンプ自体は始まってるから・・・・・・今は、異常のせいで、 普段一瞬ですんでるフェルミオン−ボソン変換作業に時間が掛かってるだけ。』

 

『何か打つ手は?』

 

『・・・ナイ。だから、焦ってるんじゃないか!!』

 

『なら、やるべき事は一つですね。』

 

『何?』

 

「祈るんですよ、無事に切り抜けられることを・・・・・・もっとも、ワタシは無神 論者ですけど。」

 

ずっと不運続きだったんです・・・・・・一度くらい“幸運”に恵まれても良いで しょう?

 

 

 

 

 数瞬後、二隻の艦の周囲を舞っていた柔らかな光の粒子が、一際大きな輝きを放ち ・・・・・・・・・ナデシコCとユーチャリスは、その宇宙から消滅した。

 

 

 

 

 そこは、野原だった。

頭上に輝く月を頂き、その光の下、虫達がさえずっている。

そこに、一人の青年が居た。

収まりの悪い、ぼさぼさの深い栗色の髪・・・いまだ幼さを残した、そこそこ整った 顔立ち。

取り立てて特徴のない青年・・・だが、その様を見れば、誰もが奇異に思っただろ う。

青年は・・・泣いていた。

声を上げるでもなく、唯々静かに涙を流していた。

 

「キレイだ・・・月はこんなに綺麗だったんだ。

風も感じる、音も聞こえる・・・草の匂いも分かる。」

 

唐突に青年はその場にしゃがみ込み、辺りに生えている雑草をむしりとると・・・・ ・・口に入れた。

 

「味がする・・・味覚が戻っている!!」

 

一際大きな声で叫び声が響き、青年の顔を流れる涙の量が、その量を増した。

青年は立ち上がり、その場から動こうと一歩足を踏み出したところで・・・いきなり 転んだ。

 

「何だ?・・・何か動きづらい。

・・・・・・体がついてこない?

それにこの服装は・・・昔オレが着てた服、か?」

 

よろめきながら、何とか立ち上がった青年は辺りを見回し・・・凍りついたように動 きを止めた。

 

「まさか・・・まさか、ここは。」

 

驚愕に目を見開きながら、青年は呟いた。

 

 

 

「戻ってきたというのか?・・・あの始まりの日に。」

 

青年・・・テンカワ・アキトは呆然と立ち尽くしていた。

 

 

 

 

第1章『再起』・・・完

 

 

〜あとがきっぽいもの〜

 

 皆さん、お久しぶりです。遅筆初心者作家の黄昏のあーもんどです。

遅れに遅れていた、『あの戦場にもう一度』第1章、第7話・・・ついに完成です。

諸般の事情が重なりまして、えらく時間が掛かってしまいました。

まさか、パソコンが逝くなんて、想定すらしていなかったんですよ・・・・・・これ が噂の“桃色の破壊神”?!

さて、予告通り、今話で第1章は完結です。

なんて言うか、今話は、私らしくもなく長いですね・・・分割したら、話の盛り上が りが台無しになったので、泣く泣く一話に纏めたんです。

ま、最終回スペシャルみたいな物だと思って見逃してください。

兎にも角にも、やっとプロローグが終わりましたので、この作品の属性と今後の予定 を説明しときます。

 

 まず、この作品がどの系統に属するかですが・・・今話の最後を見ていただければ 分かるように、時間逆行モノです。

感想を下さった方々も、皆さん劇場版アフターだと思われてましたが・・・多少は意 表を突けたんですかね?

まぁ、『大蒲鉾Ben様』が時ナデ第2章を、あんなインパクトのある結末にしたば かりですから、かすみまくってる気がしますが・・・ま、比較対象が間違ってるとい うことで。(苦笑)

ちなみに、この作品を執筆するに当たって、基本設定はテレビ版・劇場版の中で得ら れる情報のみにするつもりです。

他にも、資料は入手してますが・・・明らかにおかしな所(矛盾しているところ)も あるので、あくまで参考にしかしないつもりです。

なので、公式設定と異なる私的設定がわんさか出てきます。

どうか寛容な目で見守ってください。

ただし、第6話で述べたように、『NADESICO THE MISSION』の エピソードは今作品の世界でもゲーム通り起こっています。

要は、テレビ版・劇場版・『NADESICO THE MISSION』の3つで 成される描写に矛盾しないことを基準にしてるんですよね。

 

 次に、今後の執筆予定ですが・・・この作品、今のところ5章編成で完結させる気 でいます。

第2章再開は、纏まった時間が取れる夏以降になるかと思います。

それまでの間に、第1章執筆中に発覚した諸問題点について、いろいろ実験してみま すので・・・。

・・・改善出来るかどうかは、分かりませんが。(爆)

 で、御約束の『今話の補足』は、あまり無いんですが・・・二つだけ。

 一つ目は、作中で使った『距離』の単位ですが・・・気にしないでください。 (汗)

科学的に検証しようにも、動力源・推進機関・防御システム・攻撃兵器の全てが、未 知の技術で出来てますからねぇ。

せめて、重力制御理論が分かれば、手の出しようもあるんですが・・・“謎の超技 術”こそ、SFの醍醐味ですからね、そんなツッコミは野暮ってものでしょう。

 もう一つは、イネスさん解説のボソンジャンプの理論です。

多少公式設定と違うところがあるんですが・・・あれぐらいしか劇中の描写に矛盾し ない理屈は思いつかなかったんですよ。

B級ジャンパーも、ジンシリーズに乗ってる時には、平気で任意地点にジャンプして ましたから・・・あれがなければ、もっと単純な理屈に出来たんですけど。(苦笑)

おまけに、劇場版ルリはジャンパー処理を受けてましたし、ジャンプの時には光って ましたから。

・・・って、そもそもあの長い説明、全部読んだ人居るんだろうか?

 

 小説を書いたのは、これが初めてだったんですが、思った以上に面白い。

当分止める気はなくなりましたので、今後とも宜しく御願いします。(笑)

最後になりましたが、感想を送ってくださった方々・・・本当にありがとうございま した。

では、第2章でお会いしましょう。

サヨウナラ。

追伸:感想は作家に力を与えます(マジで)。

   ですが、パソコン初心者にとっては一番最初書きづらいのも事実(私もそうな んですよ)。

   でも、私も初心者ですから・・・初心者同士ということで、練習がてら、気兼 ねなくお送りください。

   余程礼儀知らずでない限りは、ありがたく頂戴いたします。(笑)

 

 

管理人の感想

 

 

 

・・・・・・・ゴメン、あの説明に頭がついて来なかった(苦笑)

 

しかし、もう絶好調でしたね・・・イネスさん。

ただ気を付けられたほうが良いと思う事が一点。

ギャグとシリアスの配分とか、転換がスムーズに出来ていませんね。

どうにも、読んでいて引っ掛かる部分があります。

 

ま、こればかりは慣れとかの問題もありますので、今後の黄昏のあーもんどさん次第だと思いますよ。