赤黒の女神  ピースランドの屋根にて

 

 作:天砂

 

 

 

 

「あれがテンカワアキトか……」

 

 私は今城の屋根の上にいる。
 下の方ではずいぶん騒がしくなってきている。
 舞踏会の間テンカワアキトを観察していた。
 一見……何のことも無い青年。
 が、その総合能力は人間のレベルを上回っている。
 恐らくカスパーならかなり苦戦するだろう。
 彼は三人の中では一番戦闘に長けていない。
 逆に情報関係は私が認めているくらいなのだ。
 だから私の船『ガルツォーネ』の管理を任せている。
 しかし……あの青年はいかにしてあの力を手に入れたのだろうか?
 私の知る限り、あれほどの力を持つ人間は数名しか知らない。
 それと…あの一瞬かいまみえたモノ……あれは闇?
 通常の人間が抱えるには少々難儀なくらい巨大なもの。
 一体いかなる人生を送ったらああなるのだろう?
 興味は尽きない……

 

【マスター】

 

「どうしたの?」

 

【先程、この城に数名の侵入者がありました。
 それほど戦闘能力はありませんでしたが。】

 

「それで?」

 

【現在テンカワアキトとその仲間と交戦中です。
 先ほどの命令の大多数の項目に該当しますが、対人殲滅の封印を50%まで開放しますか?
 相手は余りにも弱すぎます。
 下手をすれば非戦闘員も数百名犠牲になります】

 

「……いいわ、何もせずほっておきなさい。
 また何かあれば私に指示を仰ぐこと。」

 

【Yes・Master】

 

 モニターが消える……
 さて、どうしましょうか?

 

[マスター]

 

「カスパー。貴方が自分からくるのは珍しいわね。
 それで何?」

 

[先ほどから広範囲にわたってジャミングがかけられています]

 

「知ってるわ。さっきから頭にきてるとこ」

 

 そう、何分か前から人間がジャミングをかけている。
 出所はこの癖からして……クリムゾンのメインコンピューターからだ

 

[マスターがご気分を害していないか心配で]

 

「あら、ありがとう」

 

 カスパーは意外と心配性だ。

 

「心配しなくても私の封印はそんなに簡単に緩んだりしないわ」

 

[そういう意味ではないのですが……このジャミング、どうなさいますか?]

 

「 ……そうね、確かにうっとおしいわね。
 ……カスパー、黒洞砲の充填は?」

 

[完了しております]

 

「なら『アバドン』の使用を一分間許可します。
 クリムゾンのコンピューターの基幹配線を全て焼き切りなさい。
 ただし、医療関係の配線は切らないように。
 あと水道関係も。」

 

[イエス・マスター]

 

「ところで……彼女はどう?」

 

[……現在蘇生率46%。ゆっくりですが順調です。
 彼女はまだ未成熟ですので恐らく問題なく蘇生できます。
 脳組織の再生もマスターメトリーに沿って再生させていますので
 障害も無いでしょう……心配ありません]

 

「そう……よかった」

 

[それでは]

 

 モニターが消えた。
 しばらく暇になる

 

 

 ドーン!!
                     ドーン!!

 

 

 少し時間がたって空に花火が上がる。
 たいした威力は無いようだ。
 …感じからしてさっき私が見た爆弾の爆発だ。
 思ったよりも爆発力は小さい。

 

『マスター…見誤りましたな?』

 

「うん、爆弾の情報思ったより少ないから」

 

『言い訳ですな』

 

「そうね。
 でも貴方も阻止できなかったわね」

 

『恐らく阻止する必要もないかと思いまして……して、いかがなさいますか?』

 

「……カスパーがジャミングを消してくれたみたいね」

 

 ついさっきからあの不快なジャミングの気配は消えていた。

 

『そのようですな……おや?』

 

「みなまで言わなくても分かるわ」

 

 この方角は……停泊所

 

「素晴らしい気を感じる」

 

『私も出ございます』

 

「字が違ってる……見にいきましょう」

 

『イエス・マスター』

 

「ひょっとしたら私達の存在がばれるかもしれない…万が一の場合は
 対人殲滅封印を30%までの開放を許可します。」

 

『イエス・マスター…しかし…」

 

「何?」

 

『マスターは、ばれたらいいなとお考えでは無いのですか?』

 

「……まあね♪」

 

 思わず声が弾む。
 そう、先程から現れた闇は明らかにテンカワアキトに迫るものがある。
 先ほどから見え隠れしていたがやっと表に出たようだ。
 さあ…どうなるかな?

 

「行くわよ」

 

『イエス』

 

 私とメルキオールは黒い空へ飛んだ。
 期待に胸を膨らませ………
 ……何処に隠れようか?

 

 

 

  《続く》

 

 

 

 

 

 

感想もしくは後書き

 

どうも、天砂です。
少し短い気が……まだまだですね。
所でこの話は、Benさんの「時の流れに」の話にそれとなく干渉しています。
いいんでしょうかこんなんでも?
それでは今回はこれで。

 

 

 

 

 

 

管理人の感想

 

 

天砂さんからの初投稿です!!

天砂さん、どうも有り難う!!

しかし、いきなり最強キャラですね(笑)

アキトすら歯牙にかけない存在とは・・・何者なのでしょうね?

凄く興味深いです。

でも非干渉を宣言してるし・・・

二人は出会うのでしょうかね?

それが凄く興味深いです!!

 

では、天砂さん投稿有り難うございました!!

次の投稿を楽しみに待ってますね!!

 

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