赤黒の女神   ピースランド客室にて

 

 作:天砂

 

 

 

 

「ばれなかったわね……」

 

 私は一人ごちた。
 ここはピースランドの客室。
 テンカワアキトと北斗の戦いを見た後、
 私に当てられた客室に戻ってきた。
 私はソファーの上にあぐらをかいて前の方に浮かんだモニターを見ている。
 ……はしたないって言わないで。

 

『良かったではありませんか。
 本来ばれない方がよろしいのですから』

 

 メルキオールのフォロー。

 

「そりゃそうなんだけどね…」

 

 確かにまだ私たちの存在を明かすわけには行かないことは分かる。
 しかし……なんか……釈然としないものが……

 

『とりあえず、気を取り直して先程のの映像を見て見ましょう。』

 

「……まあいいわ。見てみましょう」

 

 何時までもうじうじしているのは性ではない。

 

『表示速度は?』

 

「常速で」

 

『Yes』

 

 モニターに先程の戦闘の模様が映し出された。

 

 

 ……そつが無く無駄の無い洗練された戦い。
 ほかに何か言うのは無粋だろう。
 テンカワアキトも素晴らしい戦闘力を持っているが、

 

「北斗と言う少女の方もやるわよね」

 

『はい、それにお互い攻撃に邪気がありません。
 まったくもって純粋な闘争ですな。
 戦いとはこうありたいものです。』

 

 その通りだ。
 あの二人には本当に邪気が無い。
 メルキオールの言うとおり、戦いとはこういうのが好ましい。

 

「同感ね」

 

 そして画面では戦いが続く……

 

 戦いは白熱する。

 

『このあたりから二人の気が巨大化しはじめましたな』

 

「戦いの中で何かを見つけ始めたのよ………あ、白」

 

 スカートの中が見えた。
 白だ。
 ……何やってんだ私は。
 そして画面の二人が一旦離れる。

 

「ここからが興奮したのよね」

 

 思わず拳を握る。

 

『私もでございます』

 

 画面の中で、二人の身体が輝き始めた。

 

「素晴らしい!!」

 

 思わず拍手をした。
 人間がここまでやるとは!!
 自身の生体エネルギーを具現化する技。

 

「しかも二人同時に!!」

 

『同時に悟りを開いたのでしょうな』

 

「ああ〜私も戦いたかったなぁ〜〜」

 

『マスターが戦われてはこのピースランドはこの世からなくなっていたでしょうな』

 

「うぐぅ。わかってるわよぉ
 だから、がまんしたんじゃないのよぉ」

 

 そして、二人の攻撃が交錯した。

 

「すごいわ」

 

『戦闘力なら人間でも最高峰でしょうな』

 

「私たちには遠く及ばないんだけどね」

 

『カスパーならかなり苦戦するでしょう』

 

「ええ」

 

 画面の中では最後の一撃を繰り出す二人。
 閃光が画面からあふれる。
 そして、光が納まった時二人は同時に倒れた……

 

 

 

 ますます彼には興味が尽きない。
 テンカワアキト……この戦闘の事もルミナスにも言っておかなくては。
 あ……

 

「そういえば、確かアフリカ支部との交渉……失敗したと言うことを聞いているけど……」

 

 そう…この戦いをみて、アメリカ支部の人間との交渉が不味くなったらしい。
 女性と相打ちになるような輩に投資は出来ないと………
 ばかばかしい話だ。
 戦いに男女の差はないというのに。
 とりあえず……

 

「メルキオール…この映像をナデシコのホシノルリへ送って
 ……匿名で私たちのことがばれないように」

 

『了解』

 

【あの〜〜〜】

 

「どったの?」

 

【私には先程から何も言ってくれないんですね〜〜】

 

「いじけないでよ。
 別に無視してるわけじゃないんだから」

 

【そうですか】

 

「ところで……その後の状況は?」

 

【はい、爆弾を仕掛けた二名は脱出……センチネルを送りますか?】

 

「そうね、当分の間は大丈夫でしょうけど……3号と4号をそれぞれ1体」

 

【YES・MASTER】

 

「ほかには?」

 

【ロバート・クリムゾン…クリムゾン会長が現在画策中の模様。
 ナデシコのクルーに何らかの危害を及ぼす可能性が指摘できます】

 

「引き続き警戒を……そういえばほかの潜入者は?」

 

【現在分かっているのはこれだけで、後は走査中です】

 

 そうか……

 

「引き続きよろしくね」

 

【YES・MASTER】

 

「さて……これからどうなるかな?」

 

 まだ数日ある。
 これから何が起こるだろう?

 

「カスパー」

 

[はい]

 

「黒洞砲の調子は?」

 

[現在安定しております]

 

「"D"は?」

 

[準備完了しておりいつでも使用可能です]

 

「装備は?」

 

[対星間国家殲滅装備ステルス仕様です]

 

「Perfectね」

 

[光栄です]

 

「現在の状況を維持。
 "D"を使うことになるかもしれないからそのときはよろしく。
 後で報告書を書くからそれをルミナスへ送ってちょうだい」

 

[YES・MASTER]

 

 そしてモニターが全て消えた。
 私はソファーから立ち上がると、窓際に寄り窓の外を見る。
 空は晴れ、金の月が空の泉に浮かび黒い空の水面を青く染める。
 傍のテーブルに置いてあった飲みかけのワイングラスを取る。
 ……気…抜けてるし……まあいい。

 

「さて……どんなものを見せてくれる?」

 

 テンカワアキト……そして人間。
 私は苦味のあるワインを喉に感じながら呟き、思った……

 

 

 

 

 

 ≪続く≫

 

 後書きのようなもの
 第三作目の「赤黒の女神」です。
 第一作目「屋根の上にて……」の続きです。
 あの二人の戦いを隠れて撮影していたものを自室で見ています。
 ちなみに、イヨは彼らの戦いが見えています。
 Benさんの本編もなにやら複雑になってきました。
 そろそろ、こちらの秘密もチョコチョコ明かしていきたいと思います。
 では今回はこれで。

 

 Benさん、執筆がんばってください。

 

 

 

 

管理人の感想

 

 

天砂さんからの投稿第三弾です!!

おお、見られてるよアキト対北ちゃん(笑)

しかも、余裕満々で。

う〜ん、恐ろしい女性っすねイヨさん。

しかし、未だBenにはイヨさんの目的に検討がつきません(爆)

本当、何しに来られたんですう?

まあ、天砂さんもおいおい秘密を明かしてくれるとの事。

これは続きを楽しみにするしかないですね!!

 

 

では、天砂さん投稿有り難うございました!!

次の投稿を楽しみに待ってますね!!

 

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