「あのー・・・・すいません、俺・・・・クビっすか?」


 結局医務室にいかずに真っ直ぐ、ブリッジにやってきたアキトが最初に心配したことはクビになるかどうかだった。


 前回は、予備パイロットになったんだけど、それはパイロットがガイ以外いなかったから・・・・・


 だが、今回は群青姫水と言う本職のパイロットがいる。しかもなぜか、コック兼任で!!


「はい・・・確かにエステに無断で乗ったことは問題です・・・・が、あなたのお陰でナデシコは救われたと言っても過言ではありません」


「おいおい、俺だって頑張ったがな」


 と、いつの間にかブリッジにいた姫水が口を挟む。


「といっても、俺はあまり活躍は出来ては無いな・・・・そこでだ」


「??」


「こいつ・・・・テンカワアキト、って言ったか?」


 アキトの肩の上に手を載せながら尋ねた。


「あ・・・・あぁ・・・・(こいつ・・・気配が無い!!!)」


 自分に悟られずにこれほどまでに接近を許したことに驚愕するアキト。


「こいつさぁ・・・・パイロットとしても雇ってくれよ」


「「「「!!!!!」」」」


 アキトとしては渡りに船だが、他の面々にしてみれば不思議な事である。


 確かにアキトは、囮としてナデシコを救った、それにバッタどもの攻撃も回避していた・・・・と言っても、ブリッジからはモニターの調子が悪くて詳細が分からなかったが・・・・・


「それはどういうことですか?」


 ナデシコの人事を握るプロスとしては理由も無くパイロットを増やす事も出来ない。


「なーに・・・こいつは出来る。才能があるから鍛えれば十分使えるぜ。まぁ、予備として雇っといてくれよ。俺が鍛えとくから」


「はぁ・・・・・それでしたらいいのですが・・・・」


 結局、その後アキトは予備パイロットとしてナデシコに乗る事になった・・・・・・・・




 そして、アキトと姫水がもう一つの職場、厨房に向かう途中で・・・・・


「なぁ・・・アキトって呼び捨てで言いか?」


「あ・・・あぁ、別に良いが・・・」


「オッケー・・じゃあ、俺のことも姫水って呼び捨てで良いぜ」


「分かった」






プログラムネーム:プライス 第二話
作:鉄鎖









 ブリッジから出て二人が厨房に着いた時にみたものは、


「「「「「「・・・・・・・・」」」」」」


 いまだ、姫水作、シャムシェルの刺身と格闘をしている六人だった。


「・・・・・・(汗)」


「あっはっはっはっはっはっ・・・・そんなにおいしいのか」


「な・・・・なぁ、姫水・・・・あの皿の上においてある刺身はお前が作ったのか?」


「YES!!!!!!!!!その通り!!!!!!!!!!」


 アキトが変な汗をかいている理由は、皿の上に乗ってある刺身が赤い光を放ちながら蠢いていたからだった。


「あれは・・・・・・何だ?」


「シャムシェル」


 今までに聞いた事の無い食材名を言い渡され、さらに謎に包まれるアキト。


「お前も・・・・・・・・食うか?」


 未来では、五つのコロニーを落としてきた最悪のテロリスト、The prince of darknessは今までに無い恐怖を感じた。ユリカ達の料理とは違う恐怖を!!!ユリカ達の料理は見ただけでまずい、と分かるが、これは違う。まずいのか、まずくないのか、まったくもって予測がつかない。


 そんな事を考えている間も徐々に刺身が箸に掴まれて近づいてくる。箸から逃げ出そうとたまにピクッっと蠢く様が目の前で展開される。


 あと5cmと迫ったところでアキトとシャムシェルの間にコミュニケのモニターが開かれた。


「アキトさん、出前頼みたいんですけど・・・・・・・どうしたんですか?」


「なんでもないよ!ルリちゃん!!出前だね!今すぐ持ってくよ!!」


 これぞ、渡りに船!!とばかしに注文も聞かずに厨房に逃げ込む。


「・・・・・・・どうしたんですか、アキトさんは?」


「さぁ・・・・・・ホシノ・ルリ・・・だっけ?」


 姫水の目がなぜか妖しく光る。


「あ・・・・・はい、たしか、群青姫水・・・・さんでしたね」


「お、俺のこと知ってんの?いやー、俺も有名になったね・・・・・ところで」


「はい、なんですか?」


「出前だったな・・・・・・今日のお勧めもってってやるよ、じゃあな」


 と、言ったあと、コミュニケの通信を切る姫水。無論、その後着信拒否にする事は忘れない。


 厨房では注文を聞いてもいないのにチキンライスを作るアキトがいた。










 出前を頼まれたアキトと、出前を頼まれてもいないのに勝手にシャムシェルの刺身片手に姫水が、ブリッジに入ったのは、


「我々はスキャパレリプロジェクトの一端を担い、火星に行きます!!」


 と、プロスが宣言したときだった。


「「「「火星(水星)!!」」」」


 と、皆が驚く中、一人姫水がぼけたのだが、


「何で火星なんです?」


「そう、確かに我々は火星を見捨てました。しかし今現在、火星に残された方達、資源はどうなってるのでしょうか!!」


 と、あっさり無視された。


「我々は火星に赴き、その真実を見極める必要があるのです!」


「その必要はないわ!」


 突如、ブリッジに女言葉の男の声が響き渡る。


 ブリッジの全員が後ろを向くとそこには副提督、ムネタケ准将が銃を持った二人の軍人を引き連れ、ブリッジに雪崩れ込んできた。


 無論、全員手を上げる。ひとり、ブリッジの隅でいじけていた姫水もそっと手を上げている。


「ナデシコは私達、軍がちゃあんと活用してあげるわ!」


「こまりましたなぁ、軍とは話はついてあるのですが・・・・」


 あまり困ってないようなプロスがそう告げる。


「前方の海面下より戦艦が浮上!!軍艦トビウメです!」


「通信が届いてます!」


「開いてください」


 なぜか艦長でもないプロスが指示する。


 ブリッジのメインモニターに一人の男が映し出される。その瞬間、
「ユーーリーーカーー!!」


 モニターに映った男、ミスマルコウイチロウの攻撃!!
 ミスマルコウイチロウは大声を上げた。


「「「「「「「わっ!!」」」」」」」


 メグミ、ミナト、ガイ、アキト、プロス、ゴートはすくみあがった。姫水は倒れた。


 ルリはガードしてる。ミス!フクベには攻撃が効かなかった。ユリカはダメージを受けなかった。










「知らない天井だ・・・・」


 姫水が音波攻撃から目覚めてから最初に発した言葉がこれだった。


「大丈夫か?コウイチロウおじさんの大声はきついからな」


「アキト・・・か?俺が寝てる間、何があったんだ?」


 気がつけば、食堂のテーブルの上で横になっていて、まったくもって現在の状況が分からない姫水。


「軍がやってきてナデシコを包囲。その後、艦長の父親のミスマルコウイチロウの説得でマスターキーを艦長が抜く。そして、艦長と副長、そしてプロスさんの三人はトビウメに行った。その後はここ食堂に皆集められてるわけだ」


「やたら説明的はセリフを有難う」


 苦笑しながらアキトに礼を言う姫水、一方、アキトはなぜかびくびくしながら辺りを見回してた。





「・・・・・一体俺は何をしてるんだ?」


 なぜか鍋で軍人の頭をどついた後、通路を走りながら横にいるアキトに聞いた。


「さぁな、お前が勝手にやったんだろう」


 アキトは近くにいた軍人に謎の技をぶちかましながら答えた。


「お前・・・・・コックなんだよな・・・・」


 アキトが目に見えないスピードで軍人をぶちのめし、姫水がその後から(鍋の)一撃の下に軍人に止めを放つ。


「ただのコックさ」


 まるで、どこかの映画の主人公のようなセリフと言ったアキトと共に姫水はブリッジに向かっていった。





「はい、チェックメイト」


 そのまま、ブリッジに突貫してあっさりと、軍人、皆をぶちのめしムネタケに鍋を突きつけながら言い放った。


「あ・・・あんた、何してるか分かってるの!!」


「キノコを鍋で炒めようとしてるだけだ」


 そして、「ゴカン!」といい音を立てて、姫水はキノコを炒めた。


「しまった・・・・・コショウを忘れた」


 前に変な料理を作っていたとは思えない、料理人らしい一言を述べた。


「毒じゃないのか?」


 後ろで軍人を縄で縛りながら、アキトがそう呟いた。





 その後、海底に沈んでいた筈のチューリップが浮上して来て、アキトと姫水がちまちまそれを相手にしたり、


 その間に艦長が帰ってきて、そのまま、ムツ○ロウさんの如く、チューリップの口に突っ込んでグラビティブラストを放って倒したりした。








 その後、ナデシコに帰還したアキトはルリの部屋に招かれていた。


「一体どうしたんだい?ルリちゃん。突然呼び出して」


「すいません、アキトさん。ちょっと見てもらいたいものがあるのですが・・・・」


 そういいながらルリは、一つの映像データを再生し始めた。









 その光景はとても異常だった。


 一つの建物を無数のジョロ達が包囲していた。


 そして、その建物の屋上に一体の機動兵器があった。


 機動兵器の色は群青色。その両の手にはライフルや砲(カノン)などではなく、なぜかとても長い鎖を二本持っていた。


 そして、ジョロたちがいっせいにミサイルを放つ。


 無数のジョロから放たれる、およそ千は超えるであろうミサイルが、建物とその上にたたずむ機動兵器に向かって飛来する。


 すると、今まで何のアクションもなかった機動兵器がゆっくりと両手を上げる。


 そして、まるで舞のように両腕をやわらかく、そして、すばやく動かした。


 すると、その動きに合わせるかのように二本の鎖が宙を舞う。


 二本の鎖は徐々に結界を描くかのように建物と機動兵器の周りを舞う。


 その結界に全方位から飛来したジョロのミサイルがぶつかり、爆発する。


 爆発によって生じた衝撃により、カメラにノイズが走る。


 しばらくして、ノイズが収まり画面がクリアになる。


 以前あたりには無数のジョロが存在する。


 そして、標的となった建物があったであろう場所は、爆発によって生じた粉塵がいまだ宙を舞っており、詳細が分からなかった。


 いくらなんでも、あれほどのミサイルが迫っていたのでは無事ではあるまい。


 が、次の瞬間、宙に浮かぶジョロたちの数体が爆発する。


 周りにいたジョロ達もなぜ仲間が爆発したのか理解できずに行動を止める。


 そして、そのころになってようやく、粉塵が晴れ、周囲の様子が伺えるようになる。


 ミサイルの標的となり、粉微塵になっていたはずの建物と一体の機動兵器がその勇姿を現していた。


 あれほどのミサイルの中、よくぞ無事にいる。


 そんな事を考えさせまいとしたのか、今度は二本のラインを描くかのように数体のジョロが連続して爆発する。


 さすがに周りにいたジョロたちもこの爆発が何者によって巻き起こされたか分かり、そこに向かって突撃する。


 そして、その狙われた張本人であり、爆発の原因となった存在、群青色の機動兵器は、


 爆発を引き起こした原因であろう二本の鎖を再度振るう。


 そして、その後は一方的な惨劇が開始された。


 機動兵器が振るう鎖が鞭の如く、そして、鋭利な刀の如く、ジョロたちに迫る。


 ジョロは回避しようと試みるがそれを許さないほどのスピードでジョロを引き裂く。


 鎖はジョロを破壊した後もその勢いを弱めず、次の獲物に向かい変幻自在の動きを見せる。


 機動兵器の背後から攻撃しようと近づくジョロもいたが、まるで背後に目があるかのように鎖が迫り、一撃の下に粉砕する。


 そして、最後のジョロが倒されるまでさほど、短い時間はかからなかった。


 それは、映像が始まってから、十分を少し過ぎたぐらいしか立ってなかった。










 映像が終わったと、部屋を満たしたのは静寂だった。


「・・・・・・・・・ルリちゃん。これは?」


「はい・・・・群青姫水による防衛戦の映像です」


 それは過去、群青姫水が西欧で傭兵をしていたときに参加したイゼルローン市防衛戦の様子だった。


 姫水が守っていた建物はイゼルローン市庁舎である。


「実はあの後、彼に関する情報を調べていて見つけたものなのですが・・・・」


「他には?」


「いえ・・・ありませんでした。この戦闘で彼が所属していたのが西欧方面軍ドイツ地方イゼルローン基地駐留部隊なのですが、この時の戦果はチューリップ一機、無人兵器、約八百体です」


「・・・・・・・その無人兵器の殆どが姫水が・・・・・・」


「・・・・・・・はい。もともと、この部隊は「イージスの盾」と呼ばれるほど防衛戦を得意とするアカギ・オウカ大尉が率いていたのですがこれほどの戦果は、過去を含めてありません」


「・・・・・・・・・群青姫水・・・・・・一体何者なんだ?」


 その謎に答えられる人物はその場にいなかった。


 そして、その答えに唯一答えられるであろう人物は・・・・・・・


「Zzz・・・・Zzz・・・・」


 惰眠をふけっていた。












 効果的な人体の破壊方法の講座・・・・・・・ではない。


如月「どーも、こんにちわ、如月龍次です」

姫水「同じくこんにちわ、群青姫水です」

如月「さて第二話となりましたが・・・・どうでしょう?」

姫水「どうでしょうって俺に聞かれても・・・・と言うより、誰だお前!鉄鎖はどうした!?」

如月「あ・・・・自己紹介忘れてた。えーと、如月龍次です。このSSの作者、鉄鎖の兄貴です」

姫水「鉄鎖の野郎はどうしたんだ?」

如月「今、受験勉強の真っ最中。というより、こういう後書き及び外交的なものは俺が担当してるって知らないのか?」

姫水「どういうことだ?」

如月「鉄鎖は表に出ない、代わりに俺が表に出る。人見知りが激しいからな、あいつ」

姫水「ふーーん、じゃあ俺って鉄鎖と話したり出来ないんだ」

如月「それ以前に、作者と作品の登場人物が話せるわけが無いだろ。俺は第三者だから話せるんだし・・・・」

姫水「いや、後書きってのはそういうのを無視したものじゃないのかな・・・・」

如月「知るか!!!俺は寝る!!!!それと、感想メール(処方箋)が欲しいって言ってたぞ、鉄鎖が」

姫水「まだ、治ってないんだ・・・・前回のトラウマ。てなわけで、ルリファンの皆様及びに他の読者の皆様、感想メールと処方箋お待ちしております。処方箋じゃなくてウイルスなんか送られても困りますが・・・・」





 代理人さんのお言葉を見て・・・・・・


>ファイヤーフィスト



間・・・・・間違えたっ!!!!!!!恥ずっ!!!!

今すぐに手直しをしたい!!と思うが、そのまま残しておいて、己の失敗を見つめるのも良?
今すぐとは言いませんが、いつかは手直しします。(ある程度話が進んだら・・・・・・)


 今話の追加



>西欧方面軍ドイツ地方イゼルローン基地駐留部隊

>「イージスの盾」と呼ばれるほど防衛戦を得意とするアカギ・オウカ大尉

 上記の部隊と大尉(→少佐→代表取締役)さんはNo.184「広島県人+アヤカさん」からお借りしました。

 「広島県人+アヤカさん」の「一冊の本が生んだ哀れな男の愉快な喜劇」のファンでしたので是非使いたかったんです。

 「広島県人+アヤカさん」さん、ありがとうございました。


さらにPS

 実は、この第二話、書き終わっていたのがなんと一ヶ月ちょっと前というもの。
そのせいか、私、鉄鎖は受験の前ですし、兄の如月龍次も家にいました。
兄はちょっと前に、「北に行く・・・・・探してもいいが、俺を見つけられるかな?」と言う手紙と、
「Should Deny The Divine Destiny of The Destinies」なメモを残して、家を飛び出しています。
もし、見つけたら・・・・・・・ほっといてください(笑)

トラウマ(電子の妖精)はある程度は治りました。ただ、まだちょっと・・・・・・・

 

 

代理人の感想

・・・・・・・・なんだかなー。w