ネルガル本社会長室

どこか軽薄さを感じさせる男が椅子に寄りかかりながら資料を眺めている

「スキャパレリ・プロジェクトか・・・・・・・」

父が思い描き罪を重ねて打ち立て、自分が後を引き継いだ計画

今までこれに関わったが為に道を誤ったものは数え切れない

そこまでしてこれを実行する必要があるのだろうか

ボソンジャンプを独占できればネルガルの地位は不動になる

だがその過程で命を失うものは一人や二人ではないだろう

それだけの価値が果たしてあるのか

「・・・・・・僕はいったいなにをしたいんだろうね」

解らない

兄さんが死んだときから

ネルガルの会長になったときから

何をしたいのか、何をするべきなのか解らなくなった

ただ解ったことは

自分は冷徹になりきれないということ

そして世の中は思い通りにならないということ

「ふ〜やれやれネルガルの会長って言ったら少しは偉いはずなのにね〜」

僕にできるのは兄さんの守ろうとしたネルガルをより大きくすること・・・・・かな

コンコン

「会長失礼します」

クールな感じの女性とどこか飄々とした男が入ってくる

ネルガル会長秘書 エリナ・キンジョウ・ウォン

ネルガル諜報部統括 プロスペクター

「やあ、エリナ君にプロス君何か用かな?」

「例の計画について報告があります」

エリナ君の声が響く、もうちょっと肩の力を抜けばいいのに

「基本フレームは完成しましたがエンジンの完成が遅れています、ですが予定までには間に合わせるとのことです」

「そこでそろそろ人選を開始したいと思うのですが私の裁量で決めてもよろしいですか?」

後を引き継いでしゃべるプロス君、相変わらず何考えてるのか解らないね〜

「ああいいよ、君に任せる」

「それでは私はこれで」

そう言って去っていくプロス君・・・・・逃げたな

「さて会長説明してもらいましょうか」

エリナ君の額に青筋が・・・・・・・・

「ん〜何のことかな?」

エリナ君は無言で僕の横を指差す

其処には高く積まれた書類の山

「は、はははははははは・・・・・・・」

「3時間」

エリナ君はそう言うと部屋から出て行く

3時間・・・・・・・・

まさかたったそれだけの時間でこの書類を片付けろと?

う〜ん、やらないとエリナ君が怖いし

どうするかな

ジリリリリィィィィィィィィィィン!!

けたたましく電話が鳴る

ちなみに昔懐かしい黒電話である

えーと 発信者はと、・・・・・・・・出てこない?

電話の横につけられたディスプレイには何も映っていない

あれ?このシークレットラインを知っているのはこの宇宙で十人に満たないはずなんだけど・・・・・・・・・ふむ

「はい、こちら愛の伝道師アカツキ・ナガレ」

さてさて何が出るかな

「・・・・・・・・変らんな、アカツキ」

受話器から聞こえるのは若い男の声

「おや、君は僕のことを知っているみたいだけど君は誰だい?」

「そこに誰かいるか?」

「いや、僕一人だけど?」

「そうか、今から其処へ行く」

ブツ トゥー トゥー

あららいきなり切られちゃったよ

でもここへ来る? どうやって?













「はい、こちら愛の伝道師アカツキ・ナガレ」

受話器から聞こえる友の声

「・・・・・・・・・変らんな、アカツキ」

思わず笑みがこぼれそうになる

「おや、君は僕のことを知っているみたいだけど君は誰だい?」

「そこに誰かいるか?」

「いや、僕一人だけど?」

「そうか、今から其処へ行く」

ガチャ

変わらない声

常に友であり続けてくれた男の声

復讐に狂った自分を友と、仲間と呼んでくれた男

その男に、会いに行く

「ルリ」

傍らに居る娘に声をかける

バサッ

ルリは何も言わずアキトに近寄り彼の広げた漆黒のマントに包まれる

「ジャンプ」

















ネルガル会長室


光に包まれて舞い降りる

ボソンの煌きに包まれて

「なに、間抜けな顔をしている、アカツキ」

友の驚いた顔

この顔を見るのも懐かしい

「い、いや」

思い出に浸るのは後でも良い

今やるべき事は

前に進む事

「ところで、君達は誰だい?」

この一瞬で自分を取り戻したアカツキが問い掛ける

ジャンプの事を聞きたいのだろうがその前に相手の正体を確かめる

「ホシノ・ルリ」

「テンカワ・アキトだ、この名前に聞き覚えはあるだろう?」

「・・・・・・・テンカワ・アキト」

表情を変えず名前を反芻する

「ああ、覚えているよテンカワ博士の息子さんだ、死んだはずのね」

そう、この時間軸では死んだはずの男の名

「君がテンカワ・アキトだとすると死んだのは誰だい?」

「俺さ」

「おやおや、じゃあ僕の前にいるのは死人かい?」

「・・・・・・・・アカツキ、手を出せ」

「へ?」

「見せてやる、俺の体験した全てを」

そう言ってアカツキの手を取りIFSを重ねる

「ちょ、ちょっと何をするんだい?」

ナノマシンを同調させ

記憶を流し込む!!

「っつ!!」

 

第一次火星会戦

落ちるチューリップ

灰燼に帰すユートピアコロニー

シェルター

侵入するバッタ

救えなかった少女

ジャンプ

怯える日々

ナデシコ

再会

友の死

崩壊するコロニー

火星へ

イネス・フレサンジュ

フクベ・ジン

8ヶ月

アカツキ・ナガレ

エリナ・キンジョウ・ウォン

木連

白鳥九十九

和平会談

遺跡

拘留される日々

同棲

結婚

拉致

実験

五感の損傷

復讐

崩れるコロニー

宿敵

冷たくなった妻

過去へのジャンプ

そして


 


「ぐ、っつつ」

頬を何かが滑り落ちる

これは何だ?

涙?

僕は泣いているのか?

あれは、人の心には辛過ぎる

「アカツキ、俺が聞きたいのは一つだ」

あれは過去

そして未来

この男の体験した

まぎれも無い事実

「YESか、NOか」

二者択一

僕の答えは決まっている

あれが本当の事なのか僕にはわからない

でもこれだけは言える

僕は

あんな未来は認めない!!

「YESだよ、テンカワ君」

そう言って手を差し出す











盟約は結ばれた

 

tohooさんからの投稿です!!

う〜ん、便利な機能だ・・・IFS(笑)

しかし、アカツキも変わらないね〜

ま、そう簡単に人格が変わってたら恐いけど・・・

さてさて、次はプロスさんやエリナさんと会見かな?

実に楽しみですね〜

 

ではtohooさん、投稿有り難う御座いました!!

次の投稿を楽しみに待ってますね!!

 

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