手術はまる24時間不眠不休で続けられた。
 憔悴したレモンと麗雄の顔には、安堵の笑みが浮かんでいる。
 彼らの手によって助けられた獅子王凱。
 彼の運命がどうなるか。
 その鍵を持つ者が、オービットベースに現れる。

「ふぅ〜。今回は襲われなかったみたいだねぇ」
「縁起でもないことを言わないでください、会長」
「そぉ? 相手は僕たちが求めてやまない生体ボソンジャンプを使いこなす神出鬼没のテロリストだよ? どれだけ警戒しても足りない、っていうか警戒しても無駄かもしれないぐらいじゃない」

 肩までの長い黒髪を揺らす、キザなそぶりの青年と、その傍らに立つ白を基調としたスーツ姿の妙齢の女性。
 この暑い夏に就職活動をしなくてはならない大学生連中ならその顔を知らないはずがない。
 地球圏でも屈指のコングロマリット、ネルガルの若き会長と筆頭会長秘書。
 アカツキ・ナガレとエリナ・キンジョウ・ウォン。
 彼らを乗せたシャトルがオービットベースに到着した。

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