「いいですか? このカタパルトはミラー粒子を蒸着させることで空気中なら大気の摩擦係数を最小限に抑え、それ以外にも様々なレーダー波を吸収するステルス効果ももたらします。制御装置を組み込めば光学迷彩にもできるんですが、今回はそこまでの調整はしていません」

 カタパルトデッキの管制室から、先ほどメインオーダールームに通信を入れてきたいがぐり頭の青年、牛山一男がモニター越しに説明している。
 機動兵器のコクピットの中の4人は4者4様の顔をしていた。

『便利なカタパルトなんだな、これが』

 とぼけたような口調の緋色の髪の青年、アクセルは面白そうにその説明を聞き、

『コーティングの持続時間はどのぐらいだ?』

 翠の髪の人造少女、W17が実用重視の質問を投げかけ、

『電磁カタパルトよりもGは少なそうだな』

 漆黒のパイロットスーツに身を固めたアキトが前を見据えながらそんなことを言う。
 シャドウミラーのパイロットは今の3人だけだ。
 では、4人目とは……?

『へぇ、コクピットはエステバリスと変わらないんだ。……まぁ、どうしてそんなデータがテンカワ君のところにあるのかは聞かないでおくよ。どうせ教えてくれないんだろうからね』

 物珍しげにコクピットを見回すキザロンゲ、といえば、誰かは一目瞭然だろう。
 ネルガル会長アカツキ=ナガレ。
 彼をアシュセイヴァーのコクピットに連れてきたのは、他ならぬアキトであった。
 総裁執務室で密談の最中に飛び込んで来た救難信号。
 即時救出の必要あり、と判断した幸太郎を諌め、隠密行動をもって接近、しかるのち、干渉するかどうかを決めるべきとヴィンデルが進言。
 整備の終わっているシャドウミラーの機動兵器を使ってその作戦を実行しようとしたとき、その機体に興味を持ったのがアカツキ。

「ぜひその機体を見てみたいものだね。うちも機動兵器を開発しているだけに、興味がある」
「なら、見るだけではなくて乗ってみるか?」

 コクピットをIFS型にしてあるのはアキトが愛機にしたヴァイサーガだが、予備機、および異なる性能を持つ機体の完熟用として、アシュセイヴァーの1機もIFS型にしてあったのだ。

「よく、僕がIFSを装備しているって知っていたね?」
「あ、あぁ……まぁ、俺の知っているアカツキナガレは、自社製品の性能確認を他人任せにしたりしない、ってところだ」
「ふーん。ま、そういうことにしておこうか」
「……気にしないのか?」
「君みたいな話し方をする人間を、もう一人別に知っているんでね。不利益にならない限りは干渉しない、ってことにしてるのさ」

 嫌に達観したアカツキの台詞に首をひねりながら、アキトはラビアンローズのハンガーへアカツキを案内していった。
 途中、エリナの強固な反対を受け流しつつ、今に至る。

『アクセル』

 アクセルを呼ぶ通信が4機全部に割り込む。

『ヴィンデルか』
『救難信号が途絶えた』
『……何?』
『厳密には、強力なジャミングで判別不能になったのだがな。予測進路を転送する。全機発進。先手を打たせる形で戦闘に介入して、目標を救出する』
『了解した……聞いての通りだ。よろしく頼む』

 アクセルの呼びかけに残り3人が無言でうなずく。

『よし。ソウルゲイン、出るぞ!』
「ソウルゲイン、ミラーコーティング……射出!」

 一男のコマンドで、ソウルゲインの表面にミラー粒子が蒸着されていく。
 重力制御を解除したカタパルトの中央に機体が浮かび上がり、次の瞬間、爆発的なスピードで射出される。

『アンジュルグ、W17出る』
『ヴァイサーガ、テンカワアキト発進!』
『アシュセイヴァー、アカツキナガレ、行ってみようか』

 続いて3機の機動兵器が次々に射出されていく。

『ご、ごきげんなGだこと……』
『鍛え方が足りないんだな、会長さんは』

 急激な加速に顔をひきつらせるアカツキを見て、わざわざ通信回線を開いて茶々を入れるあたり、アクセルは余裕があるらしい。

『W17なんて、汗一つかいてないんだな、これが』
『……この程度のGなら作戦行動に問題はない』

 本当に涼しげ、というか何も感じていない無表情のW17を見て、アクセルとの会話を聞いてアカツキは首をかしげた。

『あのさ、君、名前は?』
『私に名前はない。レモン様が創った人造人間、Wシリーズの17番目が私だ』
『じ、人造人間? またスゴイ単語が聞けたもんだ。で、君のことは何て呼べばいいのかな?』
『好きなように呼べ。短縮登録コードはW17だ』

 そこまで言い切るW17を見て、アカツキは苦笑まじりのため息を漏らした。

『シャドウミラー、だっけ? そこではどうだか知らないけれど、僕は女性をコードナンバーで呼ぶ趣味はないよ』
『私は人間ではない』
『……まぁ、そういわれればそうなんだけどねぇ』

 ようやくGにも慣れたのか。いつもの軽口のペースが戻ってきたアカツキは、スロットルを全開にしてアシュセイヴァーをトップスピードに乗せた。
 表情を変えないW17はその実、

「……これで二人目か。私に名前がないことがそんなに珍しいのだろうか……」

 こんなことを考えていた。
 アンジュルグの翼をはためかせながら、W17は戦場めがけて疾駆する。

( See you next stage!! )


あとがき

 2ヶ月。
 2ヶ月ですか……。
 アップしてなかったなー、確かに。
 まぁ、コミケ挟んだりとか、PC買い換えたりとか、焼き肉オフがあったりとかいろいろありましたけど。

 長らくおさぼりでした。すんません(^^;

 Rの発売は? という質問に関してはこう答えておきます。
 片手間にしかやっていません。
 なにせ、今日やっと1周目の最終話ですから。
 Aに比べてよくなったのはシステムだけで、ゲームバランスもシナリオも構成もAの方がよかったな、というのが正直な感想。
 何より、主人公チームが人間的にかっこよくない(爆死)
 ライトニングフレームもなんか出来損ないのスレードゲルミルみたいで(^^;
 で、今回、一段とナデシコSSっぽくなくなっています。
 やっと自覚しました(笑)
 しばらくはこんな感じでいかざるを得ないので(^^;
 Actionに投稿しているのにこんな展開で心苦しいですが、よろしければまた、次回もお付き合いくださいませ。


本日のNGワード

「リアルロボット系初参入〜♪」
「どんどんどんひゅーひゅーぱふぱふ」
「……W17、SEは口じゃなくて楽器を使え」
「楽器演奏のアプリケーションはまだ導入されていません、隊長」
「……中途半端にコンピュータみたいな奴だな」
「いやぁ、でもこんなコンピュータだったら需要はありそうだねぇ」
「おいアカツキ、何を考えているんだおまえは?」
「商売人たるもの、常に新しいビジネスのことは考えるものだよ、アクセルくん」
「そりゃまぁ、Wシリーズは高性能のバイオコンピュータだからな、軍需産業あたりならいくらでも需要はあるだろうが」
「ちっちっちっ。そうじゃないんだよ」
「じゃあ、どこに売るって言うんだ?」
「そりゃあもうネオジャパンのアキハバラコロニーで箱詰めにしてパソコンだって名目で」
「……○ょびっつか、をい」
「いや、どっちかというとぶっ○びの方かな」
「行くぜ100万台〜!」
「わけのわからんパケット受信して変なことを叫ぶなW17」

 どっとはらい。

 

 

 

代理人の感想

♪キィング! キィング! キングゲイナー!

 

♪メ・タ・ル! オゥヴァーマン! キングゲイナー!

 

 

 

・・・・・はっ! ドラグナーOPの「夢色チェイサー」ネタを振るつもりだったのに、

何故富野監督の新作「キングゲイナー」のOPが!

 

やはりあれですか。

恐ろしくストレートな作詞が「哀・戦士」の人なのが悪いのか。

燃えるメロディーの作曲が「Gガンダム」の曲を担当した人だったのが悪いのか。

絶唱してるのが昔「俺の歌を聞けぇっ!」と歌っていたあの人なのが悪いのか。

 

どう思います?(爆)

 

 

 

それはさておき感想ですが。

 

出ました、ドラグナー主人公漫才トリオ!(ひでぇ)

ゲームでもそうでしたけどこの三人、原作でも「三人一組で一人前」的扱いなんですよね(笑)

一応のメイン主人公であるケーンにしてからが、ライバルキャラであるマイヨ・プラートに

最後まで実力でもキャラでも負けてるし(爆)。

結局、この三人が一番存在感を放っていたのは

次回予告のトリオ漫才だったと言うのがなんともはや(更爆)。

 

ちなみに会話に出てきた「おぼっちゃんズ」ですが、これはドラグナートリオと対を成す

ギガノスのへっぽこ漫才トリオと認識していただければ(爆)。

作中でもちょっぴり触れられてますが、それぞれ主人公達Dチームと対応したような

格闘型、砲戦型、電子型の三体ワンセット型機体に乗ってます。

実力的には・・・そうですねぇ。

 

マイヨ・プラート
 
 

  
    

ドラグナートリオ
     
オボッチャマーズ

 

こんな感じです(笑)。

 

 

>リアル系初参入

そーか、この話の黒アキトはナデシコ系じゃなくて「オリジナル系」のキャラなんですな。

まー確かに乗ってるのもエステじゃなくてヴァイサーガだし。(笑)