時守の使者第3話


(なによ!なんなのよ!!アイツは!!!!
 何で軍がアイツを手放すのよ!!
 これじゃあ私はいいピエロじゃない!
 冗談じゃないわよ!!私はこんな所で終わるわけにはいかないのよ!
 このままでは、じき軍から切り離される・・・・
 そうはいかないわ!!たとえナデシコを踏み台にしてでも
 私は上にあがって見せる!!!
 そうだわ!アレがあるじゃない!!アレを使えば! 
 そうよ!そうすればいいんだわ。
 ふふふふふ、みてらっしゃいテンカワ!!
 今にほえずら掻かせてあげるわ!!!)

ここに、現状を全く理解できないものが一人
いまさら何をどうしても、意味の無いことが解らないのだろうか?
所詮は蜥蜴の尻尾切り、不要になったものは切り捨てられる運命だと言うことを・・・

数日後

「ボソンフェルミオン変換始まっています。」

「エステバリス、宜しいですか?」

『了解』

「耐圧エステ降下。」

 ゴォォォォォォォォォ・・・ 

「フィールド拡大。」

「光子、重力子、パイ中間子、増大中。」

「エステのモニター、順調に作動中。」

『まもなく・・・ジャンプ・フィールドに接触!!

 センサー作動、開始します!!』

「センサー異常無し。」

『フィールドに接触!!

 更に突入!!』

 フォォォォォォォォォンンンン・・・

  ・・・グシャ!!

「生体ボソンジャンプ実験は、いずれも失敗した。」

(ふん、頭の固い学者が揃って偉そうに・・・
 ちょっとは世間に出てみたら?
 そうすれば違った発想も生まれるわよ?
 と、いう愚痴は頭の中だけにしておいてと。)

「・・・ナデシコが火星から月軌道に現われるまでに、約半年余り。
 クロッカスも地球で消滅した後、火星に現われたのです。
 ボソンジャンプは、テレポートとは異なる現象なのかもしれません。」

(ナデシコの半年余りの不在を考えるならば。
 ボソンジャンプとは・・・テレポート等とは違う事が解かる。
 なら他の可能性は? と聞かれても私には答えられないけどね。
 それはフレサンジュ博士に任せているしね。)

「いずれにせよ。  CCがボソンジャンプのキーになるという仮説は、否定された訳か・・・」

(そう判断する訳?
 少なくとも私は、生体ボソンジャンプの成功例をこの目で見てるわよ。
 それにテンカワ君は自分の持っていたCCを使って、火星から地球に跳んだはず。
 CCがボソンジャンプのキーだというのは、私にとって確定事項だった。)

「そうでしょうか?
 私がナデシコで集めたデータによれば、生体ボソンジャンプの可能性はまだあります。
 ネルガルに損はさせません。
 チャンスを・・・頂けますか?」

(こんな事で私の夢を潰させはしない・・・
 私が目指している場所は遥かに遠いのだから。
 まだ、立ち止まりはしない。
 ・・・例え、それが彼を危険な目にあわせる事だとしても。
 そう・・・後悔なんて・・・しない。
 そう、自分に言い聞かせている事に、私は気付いていなかった・・・
 私の左に見える大型モニターには、圧壊するエステバリスの様子が映っていた。)

「アカツキさんから誘われるなんて思わなかったな〜」

「そうよね〜、でも戦艦でクリスマスパーティが出来るなんて思わなかったわ!!」

「何着てく〜?」

「でも私、ナデシコに乗って良かったな。」

「そうよね・・・だって。」

(・・・ホウメイガールズの視線の先。
 そこにはエプロンを付けて、野菜をリズムよく刻むアキトの姿があった。)

 トトトトトトトトトトト・・・

(流石に手際が良いね。

 ・・・一応、コックの名目で雇われたらしいから当たり前か。
 こんな人と結婚した女の人は家事は楽かもね。)

「ホウメイさん、キャベツの刻みはこれ位でいいですか?」

「ああ、ご苦労さん。
 テンカワも誰かの為に何か作るかい?」

「ははは、今は良いですよ。
 それに皆に食事を作るのは俺への罰らしいですから。」

「まあ、出向からやっと帰って来たと思ったら、三人も新しい娘を連れて帰って来るんだからな。
 そりゃあ、あの子達も怒るって。」

「は、はははははは・・・」

「テンカワ、昨日からずっと苦笑ばかりしてるね〜」

「・・・」

(ナデシコに帰って来た次の日には、ナデシコ食堂で働くアキトだった。
 働き振りから見ても少しは休暇を取っても誰も文句は言わないんだが。
 女性陣からのお仕置きか、うん?エリナさんが何時の間にか
 アキトを熱っぽい目で見ているぞ?もてるね〜)

「ほ〜ら、ほら、手が止まってるよ!!
 真面目に働かないと、テンカワと一緒にクリスマスパーティに出れ無くなるよ?」

「は〜い!!」 × 5

「は、はははは・・・」

(ここからでも冷や汗をかいてるアキトが見える。
 戦闘では無敵だが女性陣には弱いな。
 いや、無敵は正しくないか。
 僕は食堂の椅子に腰掛けて珈琲を飲みながら、
 目の前の彼の動向を見物していた
 サレナの相転移エンジンが臨界に達した時に爆発するように仕掛けた
 爆弾が爆発するのは10分の1の確率だ
 つまり、運が良ければずーっと生き続けられる、と言うことだ。
 暇つぶしのために彼らでも呼んでおくかな?
 そろそろ次のドックに入航だし。)

「メリ〜クリスマ〜ス、素敵な夢は来る!! っと。
 うん、綺麗綺麗!!」

(はあ・・・まあ、今に始まった事じゃないけど。
 どうして、この艦長はこう、ごーいんぐまいうぇいなのだろうか?
 食堂の壁にポスターを張り続ける艦長が僕の目に入った。)

「え〜、でもちょっと曲がってるよ。」

「ふ〜ん。」

「ほ〜。」

「へ〜、クリスマスパーティか。」

「うん、たまにはパーッとするのもいいかなって!!」

(リョーコさんと艦長の会話を聞きながら・・・
 艦長、このナデシコがパーッとしてない日なんて数える程でしょうがな。
 と、僕は心の中で突っ込んでおいた。
 ・・・後、イズミさんが小声で何か呟いて、一人で笑っていたけど。
 彼女も謎の多い人だよな。)

「あ、でも私達はアカツキさんのパーティに呼ばれているんだけど?」

「そ、それでこっちの面子は誰なんだよ?」

(ヒカルさんと、リョーコさんの質問に。
 艦長は・・・
 ニヘラ〜〜〜〜
 と、笑って応えた。
 ・・・それだけで答えが解る僕も、結構ナデシコに馴染んでるのかもね。)

「・・・アキト君は艦長の方か〜」

「テンカワは艦長が出ているパーティか。」

「ど、どうして解かったんです!!
 ・・・でも、ルリちゃんとメグちゃんも一緒だよ!!」

(慌てた表情をする艦長。
 艦長・・・何歳?)

「・・・本当に(ふぅ)」

「ふふふふ、完璧だ!!
 見よ!! この豪華な会場を!!」

「・・・だからって仕事を放り出すのは、駄目なんじゃないかと。」

「無駄ですよジュンさん。」

「今、まともに仕事やっている整備士何人いるだろう?」

「さあ?クロノさんくらいじゃないでしょうか。」

「スーパーラブアタックゲームに、ネルトンマシン・・・ぐふふふ。」

「こんなの作っても、テンカワが来たら意味が無いのに・・・」

「それ、禁句ですジュンさん。」

「さ〜来たれや乙女達〜〜〜〜〜!!」

「本当に来るかな?」

「アキトさんの行動によりますね。」

「・・・やっぱり?」

(食堂をでて声がするほうに行ったらこんな会話がきこえてきた
 覗いてみたらすごいセットが立ち並んでいる
 どうでもいいけど、戦闘がおきたら全部おじゃんでっせ
 そう言えばアオイ副長元気が出ましたね、よかった
 アキト君が帰ってきた後から
 仕事を押し付けられたのもあって(いつものことだけど)
 暗くなってた様だけど
 何かあったのかな?)

「うふ♪
 う〜〜〜〜〜ん。」

(・・・・・今のは見なかった事にしておこう
 さて、仕事仕事っと♪)(赤面)

  ちょっと後

「わ〜〜〜〜〜〜!!!」

「ナデシコの寄港を許すな〜〜〜〜〜!!!」

「我々は断固拒否する!!」

「ナデシコは出て行け〜〜〜〜!!」

 ヨコスカベイ地球連合宇宙戦艦ドックに入るナデシコを出迎えたものが、それだった。

「私達が戦わなければ誰が戦うのよ。
 身勝手よね、自分達は安全な所から文句を言うだけなんだから。」

「まあまあ、エリナさん人とは所詮そういうものですよ。
 マシンチャイルドの事などもそう。
 非人道的だからといって遺伝子改造に反対した奴らも
 ただ、企業に対して不満やら何やらを言いたかっただけ
 その証拠に、法律が出来てもマシンチャイルドに対する
 アフターケアなどは満足に出来ないまま。
 自分勝手なのは誰だってそう、でも、僕はその人間臭さが
 意外と好きですけどね。」

『ナデシコは帰れ!!』

『我々はナデシコの入港を拒否する!!』

etc、etc・・・

「ふうん、でもナデシコが不在の時にこの基地が攻撃されたら。
 あの人達は何て言うのかしらね・・・」

「ま、その時は一生懸命僕達を批判するでしょうね
 [なぜ、その時いなかったんだ!]って。」

(僕がいることにさほど驚かずに、そう質問してきたエリナさんに
 僕は答えた。そして)

「そう、人は身勝手な生き物です。」

「あら、何時の間に?」

(急にしゃべりかけてきた、アキト君に
 不意を突かれたかエリナさんは驚いたようだ。)

「さ、お邪魔みたいだから僕は退散しますかね?」

「な、邪魔って・・」

「照れない照れない、それじゃ頑張ってくださいね!エリナさん」

(そう言って、エリナさんの肩をポンッと叩く。
 ついでに背中に盗聴機を付けたのはご愛嬌と言うことで。
 まあ、その後の会話は大して面白味も何も無かったので
 途中で聞くのはやめた。)

その後

「何時までも軍艦のクルーが、民間人という訳にはいくまい。」

「本来なら全員お払い箱だけど。
 この私が、私のナデシコの為に。
 皆を軍人に取り立ててくれる様にお願いしてきたわ。」

(船に乗りこんできた軍人の話を聞いたら
 そんな事を言われた・・・・・・・・・・)

「誰が頼んだ訳?」

(ルリちゃん、そんな的確な事は言っちゃ駄目だよ。
 大人の事情だね、大人の。でもさすがにむかつくな
 何でこんな事になったのだろう?)

「あ〜、心苦しいのですが・・・
 あのオモイカネの暴走で、地球連合軍に与えた損害ですがね。
 テンカワさんの出向のおかげで80%をカットする事が出来たのですが。
 残り20%でも・・・皆さんのお給料が、20年くらい5分の2になってしまうんですよ。」

(どれくらい軍に被害を与えたんだ?オモイカネ。)

「二週間前、月の軍勢力下で謎の大爆発があった。
 月面方面軍としてナデシコを再編成する事も考えられる。
 我々には時間が無いのだ。」

「この艦を降りても不愉快な監視が付くだけですし・・・
 どうでしょう皆さん? このままナデシコに残られては?」

  (ん、ちょっと待て?)

「プロスさん!それって大体いくら位なんですか?」

「えっ、えーと59億ちょっとって所でしょうか?」

「それくらいなら、僕が出しますよ。」

「はぁ?」×複数

「信用出来ないなら預金見せましょうか?」

(そう言って、ぼくはコミュニケに預金を表示する。)

・・・・・・・・・(汗)×多数

「あの、これだけの金額をどうやって・・・・(汗)」

「僕はもともと整備士と言うかクリエイターですよ。
 取った特許だけでもその金額の5倍はありますよ?
 まあ、大部分は開発資金などに費やしてましたが。(笑い)」

(もちろん大嘘である。)

「それでも、貯金は約2兆8千9百億と7500万と言うのは・・・・(汗)」

「今はもう特にお金も必要ありませんし、それ全部払ってもいいですよ?」

(と、言うことで僕達は軍人にならずに済んだのである。
 ただし、さすがに軍も何も干渉できないと
 不安なのか餞別ということで補充パイロットが来るらしい。
 キノカマ野郎がなんか悔しがっているみたいだが、無視だね無視。
 僕の預金は残金が三十分の一くらいまでに減っていた。)

「おい、アキトお前にお客だぞ。」

(この前入ったばかりの新しいクルーの一人、オオサキ副提督。
 彼がアキト君に来客を告げる。
 ・・・彼とアキト君って、不思議と仲が良いのよな。
 何だか親子みたいな関係に見えるしな。)

「俺にですか?
 ・・・誰だろう、こんな所に知り合いなんていないし。」

「また女じゃね〜のか、テンカワ?」

「そんな事ありません!!
 だいたい何が、またなんですかウリバタケさん!!」

(ウリバタケ班長のからかいに真剣に怒るアキト君。
 そんなアキト君とウリバタケ班長のやり取りを見て、一斉に笑い出すクルー達。)

「・・・おい、アキト。
 とうとう、お客さんの方から来ちまったぞ。
 俺は知らないからな。」

「へ?」
(そして、彼女と彼は現われた・・・
 そう更なる混乱を引き連れて。)

「パパ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」

「お父さ〜〜〜〜〜〜〜〜ん!!」

「何ぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」



後書き
作者
三話です。
この先少しずつ変えようと思います。
さて、また自分勝手な解釈ですが、僕の好きなキャラ発表です。
アオイジュン
別に同情しているわけではありません。
でも、好きなキャラなんですが、何時も忘れてしますのです。
ここら辺は彼の不幸たる由縁なのでしょうか?
前回は完璧に忘れていて後で読み返した時に思い出して
最後に付け加えただけですからね。
この先少しずつオリキャラも出していきますが結構死ぬ予定です。
お話が大きく変わるのは大体月ドック辺りからと予定しています。
ちなみに僕はギャグおよび恋愛物が全然書けません。
というか思いつかないんです。だから多分この先でも殆どそう言う場面は
出てこないのでは無いかと思います。
まあ、今の悩みは文の長さがばらばらだということです。 オリジナル性だけで、お話を面白くしようと頑張っています。
この先もどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

代理人の感想

あ〜〜。

なんというか、本質的な問題はそこじゃないような気がするんですが。

オリジナルなら、話の展開もオリジナルでないと。