第14話 「決意

×旅立ち

                   ×ライバル増加(怒)」

 














 テツヤとの決着がついた次の日。

 アキトは関係者をミリアのいる病院に呼んだ。

 この戦争の事を説明する様だ。


 それで俺とアキトは、アキトがミリアさんと話があるとかで

 集合時間の一時間前に来たのだが・・・

 現在俺達はミリアの病室の前にいる。


 ・・・俺は今ほど、この鍛え抜かれた五感を鬱陶しいと思った事は無い!!

 この病院の壁は防音だがそんな事関係無い。

 俺達は今この部屋の中で行われている行為が手に取るように解る。

 しかも今は思念も飛んでくるし。
 
 ・・・あ、ミリアって処女だったんだ・・・

 ・・・まあ、14歳の頃から母親をしていれば当然かな・・・


 因みにアキトは顔を真っ赤にしている。

 とても5人の女(俺、ルリ、ユリカ、エリナ、イネス)を手篭めにした男

 の反応とは思えんな・・・


 でも気を紛らわすのに殺気の結界(ATフィールド)を張るのはどうかと思うぞ・・・


 ほら、隣の部屋の人が部屋に戻れなくて困っているではないか。
  



 で、何とかその行為も集合時間前に終わった様で。

 もう皆来ていたが・・・

 ともかく俺達は部屋に入った。


 そこには心地よいくらいの運動をしたと言った感じのナオと

 少し腰とお尻のあたりが痛そうなミリアがいるわけで・・・

 まったく、ナオも怪我人相手に何をしているんだか・・・

 あ、因みにミリアが撃たれたのは右肩だぞ。


「はぁ・・・なあ、ナオ。

 お前、怪我人が相手なんだから体位は選べよ。」


 とりあえず俺の第一声。


 ピクッ!!カァァァァァ・・・


 真っ赤になる二人、ついでにサラとアリサも真っ赤。

 シキはジト目、グラシスとシュン、カズシはニヤニヤしている。

 アヤはいつも通りだな・・・


「こらこら、カイト・・・」


 アキト、これは大切な事だぞ。


「あ、あの〜カイトさん、もしかして見ていたんですか?」


 汗ダラダラで聞いてくるナオ。 

 ミリアは真っ赤になって俯いている。


「いや、見ていなくてもこの距離であれだけの事をしていたら、嫌でも解る!!

 ダメだぞ、あれじゃあ、しかも初心者相手に。」


 更に顔を赤くする二人・・・


「まあまあ、今はその話は置いといて・・・」


 ナオが本題に移そうとする・・・


「じゃあ本題に入ってもよろしいですか?」


「はい、どうぞどうぞ。」


 アキトにナオが答える。


「まず、一つ言っておく。」

 
 他の奴も真剣な面持ちになる。

 ここ等辺の切り替えは早いな・・・


「今から話すことは、この戦争の裏の話です。

 この話を聞いてしまった更なる危険が付き纏うでしょう。

 それでも聞きたい人は頷いてください。」


 そして、全員が頷く。


「聞かせてください、真実を。」


 ミリアが真っ直ぐにアキトを見詰める。


「では、話しましょう、この戦争の真実を・・・」



 アキトは、木星蜥蜴の正体

 木連の過去、この戦争の始まり、

 そしてクリムゾングループのやって来たことを話した。



「そんな!!じゃあ私達は私利私欲の為に戦ってきたんですか!!」


 流石のアヤも驚きの声を上げる。


「くそっ!!今まで死んでいった奴は、

 皆、軍の上層部の奴等のせいで死んだのかよ!!」
 

 シュンが怒りの声を上げる。

 当然か、今まで死んでいった部下は自分の上官のせいで死んだのだから・・・


「こんな事が許されるのか!!」


 グラシスも嘆いている。

 
「結局、私達は人間同士の、私利私欲の戦争をしていたのですね・・・」


 アリサもやり切れない気持ちの様だな・・・


「そうです。

 この戦争は最終的にボソンジャンプの演算ユニットの奪い合いになるでしょう。」


 アキトがそう付け足す。

 これは予想ではなく実際に起きる事だが・・・


「・・・ねえ、気になっていたんだけど、

 そのボソンジャンプって一体どういう物なの?

 昨日のアキト君を見る限りでは結構自由に跳んでたけど・・・」


「ボソンジャンプを人、と言うより生物が行う事を

 生体ボソンジャンプって言うんだけど、

 これには特別な資質が要るんだ、

 更にその資質にも階級があって、

 チューリップが無ければ跳べないB級ジャンパーと

 俺みたいにジャンプフィールド発生装置があれば跳べるA級ジャンパーに別れるんだ。

 B級ジャンパーは遺伝子をいじればなれるんだけど

 A級ジャンパーは俺も含めて数人しかいないんだ。

 ・・・俺は、こんな力を持っているせいで、戦う力を身に付けなければならなかった。」


 アキトが拳を握る。

 血が流れん程に・・・


「だから演算ユニットが必要になる。

 昨日見て解っただろ、ジャンプの利用価値を。

 A級ジャンパーで無いのに自由にジャンプしようとするなら、

 演算ユニットを自分の物にすれば良いんだ・・・」


 俺がアキトに代わり、続ける。


「あとB級ジャンパーでもA級ジャンパーの様に跳ぶ事ができる方法がある

 まあ、体質が合えばだけどな。

 そうだろ、アキト。」


 そう付け足すナオ。

 俺とアキト以外がナオに注目する。


「なんで貴方がそんな事を知っているんですか?」


 皆を代表してサラが質問する。


「それも今から説明するよ。

 なあ、アキト、そろそろ呼んでやらんと。

 一人にしとくのはかわいそうだぜ。」


「何言ってるんです。

 本当なら1時間前に呼んだ筈なのに、

 部屋に入れ無くしたのは誰ですか?」


 ジト目でナオを見るアキト。


「わるいわるい、でも1度始めるととめられなくてな〜。

 でも説明は1度で済むだろ。」


「はぁ〜・・・もう良いですよ。

 じゃあ、呼ぶか。

 カイト、初めてのジャンプだ、お前も手伝ってやれ。」


「了解。」


「「T・L・Sコンタクト!!」」


 俺達のナノマシーンが輝き出す。


「向こうはフィールドを展開したぞ。」


「ジャンプイメージ補助、開始。」


「よし、ジャンプアウト補助。」


 そして、俺達の前に虹色の光が発生し


 シュゥゥゥゥゥゥ・・・

 
 人影が現れ、そして


 タン!! 

 
「ジャンプ完了。」


 降り立ったその人は


「え?メ、ティ?」


「はい、傷は良いのですか?撃たれたと聞いたときは驚きましたよ。」


「メティ、メティ!!」


 泣きながらメティに抱きつくミリア。


「メティちゃん。

 でもどうして?貴方も死んだって言ったじゃないですか?」


 アヤが疑問をアキトに向ける。


「ええ、説明しますよ。

 俺はあの時・・・

 





『くそ!!シキならこんな物、簡単に切れるって言うのに!!』


 どうすれば、どうすればいいんだ!!

 俺は思考を巡らす。

 爆破まで後3分、これだけの時間で檻は壊せない、

 解除もできない。

 俺は今一度自分の持ち物を確認する。

 今あるのは、壊れた鎖、ジャンプフィールド発生装置一回分、それから・・・

 
 !!そうだ、まだこの手がある!!ちょうど、ラピスの分と予備で2つある。

 いや、でもこれは検査もしないでやるには危険過ぎる!!


『くそ!!こんな所で!!』


 ナオが叫ぶ。


 もう、これしかないのか・・・


『一つだけ、方法がある。』


『何だ!!あるなら早くしろ!!』


『この方法では80%の確率で廃人になりかねないものだ。』


『どう言う事だ?』


『これを打て、そうすればここから脱出できる。』


 そう言って、俺はあの「リンク接続及びジャンパー体質化装置」を手渡す

 装置と言っても中に入っているナノマシンを身体に打ち込むだけだが。

 しかしこれは体質が合わなければ良くて廃人、悪ければ即死となる。


『何なんだ?これ。』


『今は詳しく説明している暇は無い、やるなら早くしろ!!』


『これを打てば良いんだな。

 メティに打つのか?大丈夫なのか?』


『そうだ、これは年齢、性別は関係無い。

 体質が合うか合わないか、それだけだ。』

 
『これを打てばここから脱出できるんだな。』


『そうだ。』


『よし、もう方法は無いしな。』


 プシュッ!!


 そう言って自分の分を打つナオ。


『メティ、すまない!!』
 

 プシュ!!
 

 俺は心を閉ざしてしまったメティにナノマシンを打ちこむ。


『これで、どうするんだ?』


『30秒ほど待て。』


 俺はその間におじさんの遺体を持ち

 ナオの乗ってきた車に向かい、それに遺体を乗せ

 シキが向かっているほうに走らせた。


『シキさん、今貴方の向かってくるほうに

 おじさんの遺体を乗せた車を走らせましたから、回収してください。』


『おい、どういうことだ?お前達はどうするんだ?』


『じゃあお願いします』

 
 俺は強制的に通信を切り、ナオさんとメティのいる場所へと戻る。


 戻ったときには、二人の体に打ちこんだナノマシンが輝いていた。


『く!!なんだ、この身体中をいじられる様な感覚は!!』


『・・・』


『よし、俺に掴まれ。』


(カイト、ジャンプサポートを頼む!!)


(いいぞ。)


 俺達の周りを虹色の光が輝く。

 
 シュゥゥゥゥン!!
  
 
『ジャンプ!!』


 そして俺達は西欧方面基地の近くにジャンプした。


 その後も大変だった。

 気を失った二人は病院に連れて行くわけにはいかない。

 二人とも死亡扱いになっている筈だし。

 なにより、二人のこの後の処置は人に知られるわけにはいかない。

 
 俺はとりあえず二人を確保していた基地の使われていない地下室に運び、

 合流したカイトと二人の容態を調べる。

 あれは元々俺、ルリ、ラピス、カイト用に作られた物だ、

 体質が合う確率は低い。


 調べた結果、ナオさんの方はリンクの精度は極めて低いが、成功。

 でもメティは・・・

 
 なんて皮肉だろうか、体質が合いすぎていて、

 リンクした事で膨大な量の情報がメティに流れ込み、

 そのせいで精神崩壊を起こしかけていた。


 俺はカイトにメティの精神に入りこむ準備をさせ、

 その間にシキさんに回収してもらった遺体を持ち、

 待合室に報告に行って。

 その後、メティの精神にリンクを使って入り、情報の処理を行った。

 (オモイカネに入ったときと同じ事だと考えてくれてください。)

  
 


「と言う訳なんだ。」



「そんな事が・・・

 でもどうして言ってくれなかったんですか?」


「あの時はお互いに余裕が無かったでしょ。

 時間も、心にも。

 だから、あえて死んだと言ったんです。

 それに・・・」


「待ってください、アキトさん。」


 アキトの言葉をメティが止める。


「ここからは私が。

 それで・・・」


「・・・解った。

 皆さん、場所を変えます。」


「あ、ナオさんは残ってください。」


 そして部屋からミリアとメティ、ナオを残して出て行く。




 バタン!

 

「・・・それで、話って何?」


 ミリアさんはベッド、ナオさんはその隣、

 そして私はミリアさんの正面に立つ。


「はい、それではお話します。」


「ねえ、メティ、さっきから貴方、話し方が変よ?」


「はい・・・ミリアさん、貴方の知っているメティス=テアは

 もう、死にました。」


「え?なにを言っているの?」


「貴方の知っているメティはもういません。

 記録通り、貴方の知っているメティは死んだのです。」


「・・・」


「私はこれからアキトさんに付いてナデシコに乗ります。

 もう2度と逢う事も無いでしょう、ですから私の事は忘れて下さい。」


「・・・無駄よ。」


「はい?」


 私は予想しなかった答えに間の抜けた声を出してしまいました。


 そしてミリアさんは立ちあがり、こちらに近づきます。


「そんな状態でアキトさんに付いていっても

 貴方は彼の枷にしかならないわ。」


「!!私は・・・」


 私が返答しようとしたとき、

 私はミリアさんに抱き付かれました。


「ちょ、止めてください!!」


 私はその腕を振り解こうとしました。

 
「無理をしているんでしょ、メティ。」


 そんな事にも構わずミリアさんは私に語り掛けました。


「え?私は無理なんか・・・」


「メティ、私が何年、貴方を育てて来たと思っているの?

 良いのよ、無理をしなくて。

 いいのよ、泣いても。

 悲しいのでしょう。

 悲しいときは泣いていいのよ。」


「!!ダメ・・・です・・・私が、泣いたら、アキトさんが・・・」


「いいのよ、それにアキトさんも気付いている筈よ。

 それに今は精神が繋がっているのでしょう、だったらバレバレね。

 私の知っているアキトさんなら、そんな事を知ったら苦しむ筈よ。

 自分に気遣って無理をさせてる、って、

 違う、メティ?」


「でも・・・でも・・・」


「いいのよ、父親が死んだんだから、誰だって悲しいわ。

 私も一晩泣き明かした。
 
 だから貴方も良いのよ、泣いても。」


 そう言いながら私の頭を撫でてくれる。

 
 私は、私は・・・


「う、ひっく・・・う、ああ・・おねえちゃぁぁぁん!!

 うあぁぁぁぁぁぁぁん!!
・・・・・」


 私はお姉ちゃんの胸で泣きじゃくった。




 どれくらいそうしていただろうか・・・


 私はお姉ちゃんの胸から顔を上げ、

 ぐしゃぐしゃになっている顔を整える。


「もういいの?」


「うん、ありがとう。」


「何、言ってるの。

 貴方は大切な私の妹よ、当然じゃない。」


「本当にありがとう、お姉ちゃん。」


「メティ、貴方がどう変わろうと貴方が私の妹である事は変わらないわ。

 貴方は私の大切な家族よ、それを忘れないでね。」


「はい。」


「ところで、これからどうするの?」


「さっき言った通り、アキトお兄ちゃんに付いていくんだよ。」


「メティはこのまま死んでいることにする。

 今、生きている事がクリムゾンに知れたら危険だからな。」


 それまで黙って私達を見守っていたナオさんが説明する。


「だから、この世で最も信用できて、安全な場所、

 ナデシコにアキトが連れて行く事になったんだ。」


「そうですか・・・メティはそれで良いの?」


「うん、私はアキトお兄ちゃんや他のリンクしている人と繋がって、

 いろいろな事を知ったの、戦い方から、コンピュータの扱い方、

 そして、お兄ちゃんの事も・・・

 私は今まで、お兄ちゃんは無敵の王子様だと思ってた。

 でも違う、お兄ちゃんもいろいろな人と支えあってる、

 欠けている所を補い合ってるんだって。

 今回の事で、お兄ちゃんの心にまた傷が出来てしまった。

 だから私はお兄ちゃんの狂気を収める鞘になる!!」


「そう、解ったわ。

 でもそのつもりだったなら、

 尚更さっきまでの状態では出来なかったわね。」


「うん、そうだね。

 私は危なく、お兄ちゃんの傷を広げるところだった。

 改めて、ありがとうお姉ちゃん。」


「いいのよ、もう・・・

 それで、ナオさん、貴方はどうなさるんです?」


「俺は・・・」

 
 ナオさんは迷っている、お兄ちゃんに付いて行くか、

 お姉ちゃんの側に残るか。


「迷っているのですか・・・

 ではメティと共にアキトさんに付いていってください。」


「!!いいのか、それで?」


「はい、私は大丈夫ですから。

 あの人を、アキトさんを守って下さい。」


「あいつを守る必要は無いと思うが・・・」


「でも、メティも貴方がいたから守れたのでしょう?」


「・・・そうだな。

 でも本当に良いのか?」


「ええ、私はここに残って、メティと貴方の帰ってくる所を守ります。」


「ミリア・・・」


「お姉ちゃん・・・

 じゃあ、私はナオさんが浮気しないようにきっちり見張っとくね。」


「ええ、お願いね、メティ。」


「おいおい、俺はアキトとは違うぜ、俺はミリア一筋さ。」



「ふふふふ、ありがとう、ナオさん。

 そうだ、メティ、アキトさんを呼んで。」


「うん、解った。」


(お兄ちゃん。)


 シュゥゥゥゥン!!


 私達の前に虹色の光が輝き。


「呼んだかい?」


 お兄ちゃんが姿を現す。


「便利ですね。」


「はい、あまりに便利過ぎて、

 悪用も簡単ですが・・・

 メティ、気持ちの整理はついたようだね。」


「うん、ごめんね。

 心配かけて。」


「いや、良いんだよ。

 元々俺が巻きこんだんだから。」


「それで、アキトさん、お話があります。

 メティの事ですが・・・」


「申し訳ありません、

 結局俺は貴方から大切な妹を奪う事になってしまいました。」


「その事について、貴方に約束してもらいたい事があります。」


「はい、何でしょうか?」


「まず、メティを必ず幸せにする事。」


 ・・・お姉ちゃん、それじゃあ・・・


「はい、この命に代えても。」


 !?・・・


「それではダメです!!」


「え?」


「貴方の命に代えてしまって、メティが幸せになれると思っているんですか!!」


「でも、俺は・・・」


「貴方はこの戦争を自分が人柱になってでも終わらせる、

 と考えているようですね、

 でもそれでは、メティとアヤさん、アリサさん、サラさんを不幸にすることになります。

 今後自分の命を粗末にするような事はしないでください。

 それが約束できないと言うのなら、

 メティは渡しません!!」


 真剣な目でお兄ちゃんを見るお姉ちゃん。


「・・・解りました、約束します。」


「お兄ちゃん・・・」


 お兄ちゃんは微笑んで了解してくれた。


「それと、お父さんに会っていってくださいね。」


「・・・はい、解りました。」


 お兄ちゃんが静かに頷く。


「そうだな、娘を貰う正式な挨拶に行かないとな。」


「ナオさん!こんな時にチャチャいれないでよ!!」


 でもそのナオさんもお兄ちゃんと同じ様な表情をしている。


「はははは、それならナオさん、貴方もでしょ?」


 お兄ちゃんとナオさんが微笑み合う。


「オウ、勿論よ。

 こっちは婚約指輪と既成事実付きだ。」


「ナ、ナオさん!!」


 お姉ちゃんが顔を赤くして抗議の声を上げる。


「あ、そうだ、ナオさん。

 人のお姉ちゃんを傷物にした責任はちゃんと取るんでしょうね!!」


「傷物って・・・まあ勿論責任は取るぜ。」


「でもナオさんじゃなぁ・・・」


「それは酷いぞメティちゃん。」


「ははははは。」


「何笑ってるんだよアキト。」



 私達はその後、暫く談笑をした。



 私は、お父さんを失った代わりに


 二人の新しい家族が出来た。

 

 

 







 私とレイナ、アリサ、サラは今から基地に戻るところ。

 お父様とグラシス中将は私達がナデシコに行けるように

 手続きをしてくれると言ってくれた。

 でも、私は・・・


「あの、皆さんはどうなさるんです?

 ナデシコに行きますか?」


 私は歩みを止め、3人に質問した。


「どうしてそんな事聞くの?」


 3人は私のほうに振り向き、アリサさんが聞き返しました。


「最早、戦闘では足を引っ張るだけです。

 囮にすらならないでしょう。

 それに・・・あの時私達は

 復讐に向かうアキトさんを止める事が出来ませんでした・・・
 
 そんな私達が付いて行って何かあの人の役に立つのでしょうか?」


「・・・確かにあの時、私達は何も出来なかったわ。

 でもね、私は今回の事で解ったの。

 アキトさんもやっぱり人間なんだって。

 今まで私はアキトに依存していた、

 でも今は違う、私はアキトの力になりたい。」


「そうな、それに今その力が無いなら

 私はもっと強くなってみせる!!」


「そうそう、それに戦闘だけが彼にできる事じゃないし、

 私はアキト君の支えになってみせるわ。」


「・・・そうですか・・・

 そうですね。

 今あの人の力になれないのならその力を身に付ければ良い。

 戦闘がダメなら、彼の心の支えになれば良いいんですね。」


「そうそう、それでこそアヤよ、

 今はまだあの人に相応しい女じゃないけど、

 一緒に頑張りましょう。」


「はい、ありがとうございいます。」


 そうだ、私もあの人の心の支えになろう。

 そしてあの人の本当の笑顔を取り戻そう。

 そう、かつて、お父様とおじ様の笑顔を取り戻した様に。





 
 

 そして、テア家、墓前


 アキトは墓前に持ってきた花束を添える。

 ついでにナオも。

 二人は墓前に佇み、ミリアとメティがその後ろに付いている。


 今は二人が何を考えているのか解らない、

 でも・・・


「・・・お父さん、私はアキトお兄ちゃんに付いて行く。

 そして、この戦争を一緒に終わらせて、幸せになってみせる。

 だから、暫く来れないと思うけど、許してね。」


 最初に口を開いたのはメティ。


「おじさん、メティは俺が幸せにします。

 この子を連れて行く事をお許し下さい。」


「おじさん・・・いや義父さん。

 ミリアは俺が幸せにする。

 だから安心して眠っていてくれ。」


 アキトとナオがそれぞれの事を報告する。


『おう、任せたぜ!!』 
  

 何故だろう、そんな声が聞こえたような気がした・・・

 
 他の奴にも聞こえたのだろうか・・・


 アキト達はいつまでも墓前に佇んでいた・・・

 

 








 あとがき


作:いや〜、やっぱりやってしまったメティ生存。

  やっぱりこれだけは外せませんね〜個人的に。

  さてさて、この後アキトに付いて行ったメティはかなり活躍します。

  因みに俺の中のメティは高町 なの○(三角心3)とプレ○ア(魔○機神)と

  コク○コ(さく大3)と俺の趣味(爆)を足して4で割ったような外見と性格しています。

  蛇足ですが『リリ○ルお○ちゃ箱』をやってクロ○のガキに殺意を覚えました。

  でも俺と同じ想いの人は多い筈!!

  同志を集めてアンチクロノ同盟を・・・

黄昏よりも昏きもの
血の流れより紅きもの
時の流れに埋もれし
偉大な汝の名において
我ここに 闇に誓わん
我らが前に立ち塞がりし
すべての愚かなるものに
我と汝が力もて
等しく滅びを与えんことを!

ルリ:ドラグスレイブ!!

    ズガァアァァァァアァァァァアァンンンン!!!!  

作:何をする!!いきなり!!死ぬかと思ったじゃないか!!

ルリ:なんですかこれは!!

   なんでライバルがまた増えてるんです!!

   しかもリンクまで!!

作:ああ、リンクについてはな、

  俺はこのシステム便利なんだからもっと使えば良いのに〜と言う考えの元つけた。

  それと、ライバルが増えたって、アキトハーレムは最終的に20人を超える予定・・・

四界の闇を統べる王
汝の欠片の縁に従い
汝ら全員の力もて
我にさらなる魔力を与えよ

悪夢の王の一片よ
世界のいましめ解き放たれし
凍れる黒き虚無の刃よ
我が力 我が身となりて
共に滅びの道を歩まん
神々の魂すらも打ち砕き!!

ルリ:き・え・ろ!!

   ラグナ・ブレード!!


作:増幅付きかよぉぉぉぉぉ・・・・・・(キラーン)

アキト:作者、一番星になる・・・

    それにしても、墓前でナオさんにはおじさんが斧を持って襲いかかって来るのが

    見えたのは俺だけだろうか・・・

ルリ:そうそうアキトさん(ガシッ!!アキトの襟首を掴む)

   何ですか?あの墓前でのセリフは?

   それにメティが貴方の凶器を収める鞘?

   まさか、まだ私にもしてくれていない事を・・・ 

アキト:ちょっと待て!!字が違うぞ字が!!

    それにあのセリフに他意はないぞ!!

ルリ:今後のことをゆっくり話し合いましょう。

   ズルズルズル・・・・

アキト:俺は無実だーーーー!!
    

カイト:・・・何やってんだか

 

 

 

代理人の感想

 

今回こそ、私はこの話がはっきりとT−SAKAさんのオリジナルである事を確信いたしました。

「メティは俺が幸せにする」って・・・・・・

 

 

 

絶対Benさんとこのアキトじゃない。

 

 

 

積極的というか甲斐性と言うか・・・・・。

「時の流れに」のアキトがこんなセリフを言う、否、言えるわけがない(断言)!

 

まあ、それはこっちへ置いといて(「おいといて」のポーズ)、

「リンク接続及びジャンパー体質化装置」の伏線はお見事でした。

これでナオさんもB級ジャンパー。・・・・一層便利な人になりましたね。

 

しかし入院患者を病院のベッドの上で押し倒すナオさんと言い後書きと言い、今回一寸おげれつ(笑)。

とゆーか、ナオさんは減点5だぞ、この場合。