ドゴォォォォォォォオンンンン!!


「・・・アキト?」


「アキト君!!」


「アキトさん!!」


「兄さん・・・兄さん!!」


 ブラックサレナにあの時のシャトルが重なる。


「・・・テンカワ機、反応消滅。」


 サブロウタさんの声が無情に響く。


「うそ!!兄さん!!応答してください!!」


 私は全力でこの宙域を探す。


 だが見つかったのはガイアだけ・・・


「そんな・・・兄さんが・・・お兄ちゃん・・・・」

 

 

『アキト!!アキト!!』


『アキトさん・・・そんな・・・」


 ブラックサレナが実験機の自爆で消えた事で皆の動きが止まる。

 
「皆しっかりしろ!!アキトがあれ位で死ぬわけ無いだろ!!」


 俺は呆けている仲間に向かって叫ぶ。


『・・・いや、全くもってその通りだよヤマダくん。

 いや〜君に先に言われるとは・・・こりゃ本当にリーダーは誰なのか・・・

 オイ皆!!何時まで呆けているんだ!!!敵は目の前だぞ!!

 今まで何度テンカワは俺達の常識を打ち砕いていたか思い出せ!!』


 さすがリーダー、いち早く正気に戻り、仲間に喝を入れる。


『そうだ・・・そうだったな、アイツが死ぬわけねぇ!!』


『はぁ〜〜〜、ヤマダさんに言われるなんて・・・』


『さあ、敵さんを倒して早くアキトさんを探しましょう!!』


 なんか、物凄く失礼な事を言う奴がいたが今はそれどころではない。


『よし、北斗はアヤ君、アリサ君、リョ―コ君で相手をしてくれ。

 他の7機はこっちで何とかする。』


『『『了解!!!』』』


 バシュゥゥゥゥン!!

 北斗の機体に向かう3人。


『よし、こっちも、あの7機に新型の性能を見せつけてやろうじゃないか。』


『『『「了解!!(オウ!!)」』』』

 

 

その頃、ナデシコブリッジ


「リョ―コ機、アリサ機、アヤ機、ダリアと戦闘に入ります。」


 副提督の喝によって自失状態から目覚め、各自の任務を果たすナデシコクルー

 しかし


「アキラちゃん、アカツキさん達の状況は?

 ・・・アキラちゃん?」


 俺の隣のアキラは目の前に映し出されたウィンドウを見て力無く動きを止めている。

 
 その眼には光が無い。


「アキラ!!しっかりしろ!!アキラ!!」


 俺も呼びかけてみるがまるで反応が無い。


 やぱり過去の傷は大きいか・・・


「アキラちゃん!!」


「アキラ君!!」


 ダメだな、完全に心を閉ざしている。


 俺は立ち上がり、アキラの後ろに来る。


 やはりアキラの前に映し出されているウィンドウはボース粒子の検索結果だ。


 俺はアキラを俺の方に向かせて、彼女を抱く。


「「「!!」」」


 ここはキスをするのが定石だけど、

 流石にここでは俺はおろかアキラの私生活にも影響がでるだろう。

 それに今はアイツがいるからな・・・俺もまだ死にたくない。

そして俺はアキラに語り掛ける。


「アキラ、よく聞け。

 例え艦内にボース粒子が無くとも、ここではない何処かに跳んでいる可能性もある。

 それにルリ、カイト、ラピスもいる。

 だから、イメージする時間が無くてもちゃんと跳べる。

 アイツは生きている。

 そう簡単には死なない奴だろ?今までだってそうだったんだ。

 テンカワ アキトは生きている。アイツを信じろ!!

 お前が愛したテンカワ アキトを信じろ!!」


「・・・ありがとう、サブロウタ。」 


 アキラの眼に光が戻る。


 ふ〜我ながらなんてセリフだよ・・・


「もう大丈夫です。

 ありがとうございます、サブロウタさん。」


「いやいや、将来有望な少女がこんな所で光を失うのは惜しいですからねぇ〜」


 それにこれは自分の為にも・・・


 そう、もう終わってしまったから・・・


「しかし、タカスギ君、よくあんな恥ずかしいセリフ言えるな。」


 副提督がニヤニヤしながら問いかけてくる。


「あれくらいのセリフ、言えなきゃナンパはできませんよ。」


「それにしても妙に真剣だったけど?

 もしかして、アキラちゃんの事・・・」


 ミナトさんはちょっと引き気味だ。


「いや、昔、似たような事がありまして、放っておけなかったんですよ。

 決して俺にはそんな趣味はありませんよ。

 まあ、将来が楽しみな子には先約を入れる事はありますが。」


「その話は今は置いといて、状況は?」

 
 手で置いておく動作をするユリカさん。


「はい。

 ・・・ダリアと戦闘中の3人、苦戦しています。

 それにその他の7機との戦闘も思わしくないようです。」


「そう・・・エリナさん、グラビティーブラストのチャージは?」


 とその時。


『ルナ!!』


『マルス!!』


『アルテミス!!』



『『『フル・バースト!!!!』』』



 更に


『ガンガー!!フル・バースト!!』



 戦場に四人の光の翼を持った天使が舞い降りる。

 

 

 

 それより少し前、ヤマダサイド


 キュィィィィィンン!!ドゴォォン!!


 俺の放ったドリルナックルが敵の居た後ろの岩を砕く。


「ちっ!!やるじゃないか!!」


 俺達は7機のエステバリスのような機体に囲まれ、苦戦中。

 と言うのも、七機の敵の完璧な連携に付け加え、こちらは前衛二人で

 援護型の3人を守りながら戦わなくてはならない。

 勿論3人の援護も的確で頼りになるのだが、

 この暗礁宙域で、囲まれ、防戦になってしまっている今では・・・


 ガガガガガ!!!


「く!!」


 キュィィィィン!!カンッカンッカンッカンッ!!


 俺は飛んでくる弾をドリルアームで受ける。

 
 く!!このままではマジでマズイ!!

 こうなったら!!


「アカツキ、一瞬でいい、敵の動きを止めてくれ。」


『何をするんだい?』


「男の生き様を見せてやるのさ。」


『・・・解った、だが無茶はするなよ。』


「勿論、俺もここで死ぬ気は無い。」


『よし、ヒカル君、あれの準備を。』


『了解。

 何時でもいいよ〜』


「行くぜ!!

 ガンガー!!フル・バースト!!』
 

 バシュ!!キュィィィィィィィ・・・


 光の翼が展開し、ガンガーが真紅に輝く。


「我が拳に貫けぬ物は無い!!」

 ガチャン!!キュィィィィィィィンンン!!!!


 俺は再度ドリルアームを装着する。


『今だ、ヒカル君!!』


『いっくよ〜

 シャイニング!!な〜んちゃって。』


 バシュッバシュッバシュッバシュッバシュッ!!


 カァァァァァァァァァ!!!!!


 無数の発光弾が爆発する。


 原始的な攻撃だが一瞬動きを止める敵機。


「ドリルブゥゥゥストナッコゥッ!!」


 バシュゥゥゥン!!バシュゥゥゥン!!


 キュィィィィィィン!!バコォォン!!バコォォン!!



 この、両腕に付けたドリルが飛んでくる、と言う驚異的な攻撃に、

 反応が遅れ片腕を無くす敵機2機。


『はぁぁぁぁぁ!!』


 
ザシュン!!ザシュン!!ドゴォォォン!! 


 そこにすかさずアカツキが飛びこみ、残りの腕を落とし、戦闘不能にする。


 だが・・・


 シュゥゥゥゥンン!!


 両腕を失っている俺のもとに緑と白で塗装された敵機が近づく。


「はっ!!初陣から使う事になるとはな!!」


 シュッ!!シュッ!!


 俺はその敵機に向かって蹴りを放つ。

 勿論、届きやしない。

 だが・・・


 ザシュ!!ザシュ!!


 向かって来ていた敵機の腕にナイフが突き刺さる。


 ドゴォォォン!!


 そして両腕が使用不能になる敵機。



 これはこのガンガーの説明を受けた日


『ヤマダ、解っていると思うがこの武器の最大の弱点は

 撃っている間、両腕がなくなる事だ。

 その時に敵に接近されたら対処し様が無い。

 そこでだ、この機体の足の裏にはフィールドを纏えるナイフがしこんである、

 ピンチのときは惜しまず使え。』


『隠し武器?そんな物いらん!!

 俺は正々堂々戦うんだ!!』


『いいか、ヤマダ、これはマジな戦争だ。

 こんな所で死んでも何の意味も無いんだぞ。

 使いたくなかった使うような状況にならければ良いだけだ。

 間違ってもカッコつけて死ぬんじゃないぞ。』

 

 ありがたく使わせてもらったぜ、ウリバタケ班長。


シュィィィン!!


 更に2機接近。


「遅いぜ!!」


 その2機の更に後ろから


 キィィィィィィイイイイイイイインンンン!!!!


 
バシュゥゥン!!


 チャキィィィン!!


「この腕はちゃんと戻って来るんだぜ!!」


 ドゴォォォォォン!!


 片腕を失う2機。


 これでまともなのは後2機のみ。


「良し、一気に行く・・・」


 パシュゥゥゥゥゥン・・・・


「な!!」


 俺が意気込んで次の敵に掛かろうとしたとき、

 突然機体が停止する。


「しまった!!時間切れか!!」


 ま、いいか・・・後はアカツキ達だけでも十分のはずだ。


「俺はもう動けねぇから、後はたのんだぜ!!」


『はいはい、ゆっくり休んでてね。』


『おつかれ、ヤマダ君。』


「俺の名前はダイゴウジ ガイだ!!」


 まったく・・・


 それにしても暇だな・・・


 とその時!!


 バシュゥゥゥゥン!!


 マイクロミサイルが一発こちらに向かってくる。


「なに!!」


 狙った物ではない、流れ弾だ!!


「くっ!!動けないのか!!ガンガー!!」


 その間もミサイルは迫り・・・


『ヤマダ君!!』


 最後に、ヒカルの声が聞こえた・・・


 ドゴォォォォォォン!!

 

 

 それより少し前のブリッジ


「リョ―コ機、アリサ機、アヤ機、フル・バースト終了!!

 三機とも停止しました!!」


「ダリア、依然健在!!」


 このままでは3人が!!


「当たらなくても構わないから援護射撃を!!

 後、アカツキさん達を援護に!!」


「援護はしています、でもアカツキさん達は間に合いません!!」


「く、どうしたら・・・」


 私達が悩んでいると


『そろそろ私達の出番だね。』


 私達の前にウィンドウが開き、黒髪を膝まで伸ばした8歳位の女の子が現れる。


「ディア!!どうして!!」


 ピッ!!


『解らない?俺達が出て来たって事は・・・』


 今度は緑の髪を逆立てた男の子。


「・・・完成したの?」


 ピッ!!


『うん、じゃ行くよ。

 ブローディアシリーズ、機動シーケンス、スタート。』


 そう言うと同時にディアの周りに幾多のパネルが表示される。


 ピッ!!


『レダ―、エネルギーパイパス、武装、ジャンプシステム・・・

 システム、オールグリーン。』


 更に白に近い銀色の髪のロングへヤーの16歳くらいの女性が現れる。

 あれ?なんか背中に灰色の翼のような物が・・・


『相転移エンジン始動。』


 今度は金髪のこれまたロングへヤーの10歳くらいだろうか、女の子が現れる

 この子には悪魔の羽根のような物がある。


『全て正常作動しました。』

 更に、黄金色の髪をポニーテイルにした8歳位の女の子。

 この子の耳・・・なんだろう、犬?なんか違うな〜、何の耳だろう?


『『『『『ブローディアシリーズ、発進準備完了!!!!!』』』』』


 ポゥ


 光が満ちるアサルトコクピット、

 そこには


「メティちゃん?」


「カイト君・・・」


「それにルリちゃん・・・」


 そして


「「「「アキト(さん)(君)(兄さん)!!」」」」


 アキトの姿を確認し、歓喜の声を上げる。



『ブローディア4号機 アテナ!!』


『ブローディア3号機 ハデス!!』


『ブローディア2号機 エリヌース!!』


『ブローディア初号機 カオス!!』


『『『『出撃!!』』』』

 

 戦場、アヤサイド


 フルバーストを使い切り、身動きの取れない私達に迫るダリア。

 私達3人はフルバーストを使い、3人掛かりであの北斗には

 かすり傷しかつけられなかった・・・


『覚悟はいいか?』


 私に向かってDFSを振りかぶる北斗。


「アキトさん・・・」


『死ね!!』


 ビュン!!

 ギャシィィィィンンン!!


「え?」


 私を切り裂くだろうと思ったその一撃は、来る事はなく途中で止まる。

 そして私の前には・・・


『呼んだかい?』


「アキトさん!!」


『生きていたか、テンカワ アキト!!』


 更に


 ヒュン!!

 ザシュゥゥゥゥンン!!!!

『な、何!!』


 突如、ダリアの後方から現れた堕天使と死神の

 その双剣と鎌によって右足を左腕を切り落されるダリア。


 ドンッ!!


『くっ!!』


 アキトさんの機体に蹴り飛ばされるダリア。

 さっきの2機はアキトさんの両脇に控える。


 そして


『退け北斗!!』


 え?


『なんだと!!』


『お前との決着、こんな形で付けたくは無い!!』


『ふっ、後悔するなよ。』


『気が変わらない内に早く行け!!』


 バシュゥゥゥゥン・・・・


 そして、母艦に戻っていくダリア。


『よろしかったのですか?』


 ルリちゃんがアキトさんに通信を入れる。


『・・・』


 カイト君もウィンドウを開く。


『ああ・・・なんでだろ、アイツを殺してはいけない気がしたんだ。』


『俺には・・・俺にはここで始末した方が良いと思えた・・・』


 カイト君がそう呟く。


『そうか・・・

 それよりアヤちゃん、遅れてごめんね。』


「いえ、ご無事で何よりです。」


『それじゃあもどろっか。』


「あ、それよりアカツキさん達の方を・・・」


『それなら心配ありません、向こうにはメティが行きましたから。』


 え?メティちゃんが?


『あ、マスター、この近くに試作型ガイアがあるよ、どうする?』


 突然ウィンドウに女の子が現れる。


『まだつかえるし、拾っていこう。』


 そして、私達はナデシコへと帰艦した。

 

 ヤマダサイド


 ドゴォォォォォォン!!

 
 フィールドの張れない俺の機体はマイクロミサイルで粉々に・・・


 あれ??


『大丈夫?ガイ。』


 ラピスからの通信。


 俺の機体の周りにはフィールドが張られていた。

 どうやら、前にいる、ガイアに似た機体が張っているのだろう。


「あ、ああ・・・すまねぇ。」


『無事?ヤマダ君?』 
  

 ヒカルからの通信だ。


「ああ、なんとかな。」


 そして、俺が周りの状況を確認しようとしたとき


『北斗ももう退きました!!貴方達も退きなさい!!

 これ以上の戦闘は無意味です!!』


 
 メティが敵に向かって叫んだ。


 って待て、メティが?


 俺が状況を確認すると、さっきまで戦闘可能だった敵機も、ビットのような物に囲まれていた。


 そして、去っていく敵機。


 俺はラピスが乗った機体に引きずられて帰艦した。

 

 そして全員帰艦後、格納庫


 バサッ!!バサッ!!


 それぞれの羽根を羽ばたかせ、格納庫に降り立つブローディアシリーズ。

 そしてガイア。

 私達の最高傑作。


 バシュ!!


 コクピットが開き兄さんが降りてくる。

 その姿はあの戦闘服。

 これはブローディアの大きすぎるGを軽減する物だ。

 小型のディスト―ションフィールド発生装置がついている。

 因みに他の3人のも同じ、そして


 バシュ!!
 
 
 ラピスがガイアから降りてくる。

 その服装は元の世界で地球にいる時に着ていたあの服と同じデザインの物

 だが、これも戦闘服、兄さんの物と同じ働きをする。

 更に私にもある、私のはあの艦長服をちょっと変えたデザインの物。

 私とラピスはガイアに乗るときにこれらを着る。

 戦闘服はガイアに乗る事の許されている者、全員にある。

 レイナさん、シュンさん、カズシさん、ジュンさん、そしてユリカさんもだ。

 その理由は後で説明します。

「アキト〜〜〜〜!!」

 抜け駆けで兄さんに駆け寄るユリカさん

 しかし


 ポゥ


『私の紹介してよマスター。』


 そのユリカさんの前にディアが立ち塞がる。


 ナイス、ディア。


「わっ!!びっくりした・・・

 ねぇ、アキト、この子、それにさっきの子達は誰?」


「ああ、この子達はオモイカネのコピー、俺のブローディア カオスのAIだよ。

 この子がディアで。

 出ておいで、ブロス。」


『お呼びですか?、マスター。』


 兄さんの声に答え、緑の髪の少年が出現する。


「この子がブロス。

 この子はガイアのAI。

 解ってると思うけどこの子達は立体映像で、このナデシコ艦内とそれぞれの本体の

 半径200メートル以内なら何処にでも出れるよ。」


『ディアで〜す。

 皆さんよろしく〜。』


『ブロスです。よろしくお願いします。』


「よろしくね。

 他の子は?」


「まあ、待て、順を追って説明するから。」


 バシュ!!バシュ!!


 とそこに姉さんとメティちゃんが降りてくる。


 二人の服装は姉さんが黒いシスター服に黒の手袋。

 メティちゃんが白のシスター服に白い手袋。

 勿論二人の服も戦闘服。

 姉さんは髪止め黒いリングにしている。

 そして、メティちゃんはツインテイルを解いて、左側だけのテイルにしている。

 これが二人のバトルモードだそうだ。


「ルリちゃんとメティちゃんも戦うんだね・・・」


 ユリカさんが悲しげに問いかける。


「ええ、もう余裕がありませんから。」


「北斗が出てきた以上、戦わないわけにはいかないでしょう。」


「・・・ごめんね。」


 格納庫が静まり返る。

 
 バシュ!!


 そこにカイトさんが降りてくる。

 そう言えば彼女、戦闘服を変えたって言ってたけど・・・・

 
 ピキッ!!

 
 格納庫がさっきと別の意味で凍りつく・・・


 だってねぇ・・・カイトさんの服・・・描写不能。

 一応隠すとこは辛うじて見えてなかったけど・・・

 今にも兄さんの事をご主人様と呼びそうな格好だった・・・


「おおおおお!!!!」<整備員一同


 整備員達が歓喜の声を上げる。


「ハッ!!」


 シュ!!バッ!!


 整備員の叫び声で正気を取り戻した兄さんが

 カイトさんをマントで包む。


「カイト・・・どうしたんだ今の格好は?」


 兄さんはかなり顔を引きつらせている。


「これか?俺が戦闘服のデザインをウリバタケに聞かれたときに

 俺がアキトの物であることが一目で解る物はないかって聞いたら、

 ウリバタケとハリがこれを持ってきたんだ。

 『これを着ればアキトも喜ぶぞ。』って二人が言うから着てみたんだが・・・

 似合わなかったか?」


「・・・そう言う問題じゃないんだ、カイト。」


 ジャララララララララ!!シュン!!ガシ!!


 兄さんの放った鎖が格納庫から出ようとしていた二人を捕らえる。


「ぐぇ!!」


「がは!!」


「カイトいいか、そんな格好はしちゃいけないんだ!!(人前では)」


(アキトの前では?)


(俺の前だけなら可。)


 ジャラジャラジャラ


 二人を引きずり、格納庫の出口に向かう兄さん。

 更に兄さんに付いていく姉さん、メティちゃん、ナオさん、シキさん、サブロウタさん。

 ナオさんはメティちゃんの命令

 シキさんはカイトさんにベタ惚れだから

 サブロウタさんは、これは他の二人もそうだけど、男として許せないから。

 同行したそうだ。


「俺達は注文通りの品を提供しただけだぞ!!」


「そうです!!期待にこたえて何が悪いんですか!!」


 引きずられながら抗議する二人。


「ああ、そうそう、時間掛かりそうですから、

 先に兵器の説明をしちゃってください。」


「ええ、解ったわ。」


「「俺達は無実だぁぁぁ!!」」

 プシュ!!

「じゃあ始めるわね。」


 何時もながら嬉しそうなイネスさん。


「まず、このブローディアシリーズを見てすぐ目に付くこの翼。

 アキト君の『カオス』の黒い3対の堕天使の翼、

 ルリちゃんの『エリヌース』、、エティちゃんの『アテナ』の4枚の天使の翼と天使の翼、

 (形はウイ○グゼロ カスタムと同じ、でも一枚一枚がフェザーなのでもっとリアル。)

 そしてカイト君の『ハデス』の一対の悪魔の翼、

 これらは勿論、飾りでは無いわ。

 この翼を形成している『フェザー』にはディスト―ションフィールドを溜め込む性質があるの、

 これが機体の周りを旋回すれば防御に、

 さらに、飽和状態までフィールドを溜め込んだ『フェザー』を撃ち出せば、

 敵のフィールドを破り、敵機体を貫く事が出きるわ。

 でも、撃ってしまってそのままでは長期戦になれば直ぐになくなってしまう、

 そこで、この『フェザー』の性質の一つ、お互いに引き合う性質を使い

 『フェザー』をコントロールするのがブロス君達、AIの仕事のひとつよ。

 また、この『フェザー』を一つに集めて剣にすることもできるわ、その威力は

 DFSを凌ぐほどよ。

 あと、イツキちゃんの使っている『アルトロン』の砲台の一つはこの『フェザー』を

 撃ち出す『フェザーランチャー』よ。

 そして、この『フェザー』を翼にした状態、通称『アクティブクローク』は前面に展開して

 盾にすることもできるわ。

 これは皆の光の翼でもできるわよ、どこぞのカサレリアの少年がやったみたいに。

 続いては『カオス』に装備されるブラックホール・キャノン、

 これはナナフシが使っていたマイクロブラックホールを私達の技術と

 アキトくんの技で、僅か30分のチャージで撃てるようにしたわ。」


「せんせ〜、30分もチャージしていたら実戦では使えないのではないですか?」


「そうね、最初に装填されている一発以外はあまり使えないわね。

 でも、その一発の威力は申し分無いわ。

 ほぼ防御無視で敵を殲滅できるわ。

 またこの武器はアカツキ君にも使用権があるわ。」


「どうしてですか?」


「ま、リーダーの特権ってやつさ。」


「まあ、そう言う事にしといてあげるわ。

 次はガイアだけど、まずアキト君の『カオス』専用機、正式名称

 『完成形ガイア初号機 クロノス』、これにはブロス君が搭載されていて

 主に、『フェザー』の制御と、AIの搭載されていない他のガイアの操作も受け持っているわ

 そして、今回新たに作られた、正式名称『完成形ガイア2号機 レア』と

 『先行量産型ガイア初号機 ヘラ』、それに今改修中の試作型ガイア、

 『試作型ガイア改修 ヘスティア』はパイロットが一人乗りこめるようになり

 ブローディアシリーズは勿論、皆のエステとも・・・」


 ピッ!! 


 イネスさんの説明の最中に突如ウィンドウが開く。


『ガイアはどの機体とも合体できるようになっているのだ!!』 


『そうです、これでアキラさんとも
合体が・・・』
 

 べちゃ!!


 プチ!!


 血まみれのウリバタケさんとハリが何かを叫んだと思ったら、

 突然、変な音と共に画面が紅く染まり、ウィンドウが消える。


「皆のエステとも合体できるの、つまり・・・」

 
 何事も無かったように説明を続けるイネスさん

 そして何事も無かった様に説明を聞く皆。

 
 流石、ナデシコクルーだと思う。

「そのパイロットにDFSのイメージを任せれば、誰にでもDFSで戦えると言うわけよ。

 もっとも、これにはパイロット同士の協力が必要不可欠だから、

 相性の悪い人同士が合体すると、逆によわくなるわ。

 あ、そうそう、『クロノス』も専用機って言ってるけど、これも他のガイア同様、

 どの機体とも合体できるわ、ただ。『カオス』に合体するのは『クロノス』が

 一番良い、というだけよ。

 続いて、『エリヌース』で翼の次に目に付くのはこの服のような物ね

 これは特殊な合成金属を繊維状にして編み上げた物で、超高速戦闘を行う

 『エリヌース』は中の慣性中和、G削減の為の装備が他の機体よりも多い為

 装甲が薄くなっているの、そこでこれが作られたわけ。

 (見た目はウイ○グゼロ カスタムにノル○の服着せて、
  
  更にヴァルシ○ーネのショルダーガードを付けた感じ、服は黒)

 因みにこの服、『アフロディテ』は下手な装甲より硬いわよ。

 『エリヌース』の武器はDFS二刀流。

 次に『ハデス』、この機体は単独隠密作戦用とでもいうのか、

 すべの装甲の金属にはステルスしやすい金属が使われ、『ハイパージャマ―』、

 『光化学迷彩』を使えば、如何なるレーダーもとられる事もできず。

 また視界からの確認もできないわ。

 そして、専用武器『ディスト―ション・フィールド・サイズ』を持てばまさに死神になるわ。

 (外見はデス○イズ・ヘル カスタムそのもの。)

 『アテナ』の特徴はこの盾『イージスの盾』ね。

 これは特殊金属でできていて、この盾はディスト―ションフィールドを蓄積

 増幅する事ができるの。

 この盾の前のはこのナデシコのグラビティーブラストは無効、

 DFSすら易々と貫けないわ、その上『アフロディテ』も装備しているから。

 『アテナ』は支援機であり、最高の防御力を持っているわ。

 で、その『アテナ』の武器はだけど・・・」


 プシュ!!


 とそんな時、ウリバタケさんとハリを引き連れていったメンバーが帰ってくる。

「はぁ〜まったく、しつこいしつこい。」


「ほんと、おかげで血を浴びすぎちったぜ。」


「ま〜たっく、血の匂いは落とすの大変なんだぞ。」


「あら、それなら良い石鹸がありますよ。

 お貸ししましょうか?」


「お、そんな物まであるのか?

 じゃあ、たのむ。」


「ふ〜疲れたぜ。」


 などと会話しているが皆風呂上がりの様だ。

 
 でもなんで皆、浴衣なんだろう??


「ああ、アキトさんは疲れたから先に休む、だそうです。

 で、何処まで説明しました?」


 姉さんは今は髪を下ろしている。

 珍しい、人前で下ろしたままなんて。


「そう。

 今、『ファミリア』のことを説明しようとした所よ。」


「そうですか、ではその前に。

 フィリア出てきなさい。」


『はい。』


 姉さんの声と共に灰色の翼を持った女性が出現する。


「『ファミリア』の説明をする前にこの子達の紹介をしておきますね。

 この子はフィリア、『エリヌース』のAIです。」


『よろしくお願いします。』


 フィリアは笑顔で会釈する。


「リリス。」


『お呼びですか?』


 カイトさんが呼ぶのと同時に10歳くらいの女の子が現れる。


「この子はリリス、俺の『ハデス』のAIだ。」


『皆様よろしくお願いします。』

 
 無表情で挨拶をするリリス。


「くーちゃん。」


『はい、メティ様。』


 メティちゃんの声と共に8歳位の女の子が出てくる。

 ・・・でもなんでメイド服?それに・・・


「この子はクオン、私の『アテナ』のAI。

 因みにこれはキツネさんの耳と尻尾だよ。」


『クオンです、よろしく。』


 かわいく会釈するクオン。


「それで、『ファミリア』と言うのは私達のリンクシステムの精神波を利用して

 遠隔操作を行うビットのことです。

 そして、その『ファミリア』の制御を補助してくれるのが。」


『オモイカネ・コピーの私達と言う訳です。』


「そうそう、この子達のプログラムはそれぞれの操者が、ディアをブロスは

 私とアキラが作りました。」


「それで、この『ファミリア』はブローディアシリーズ全機に装備されているけど、

 『アテナ』だけ特別に数と質が上なの。

 それと『アテナ』はその他にDFS二刀とDFリボンを装備しているわ。

 それから、ブローディアシリーズ全機に『グラビティーチェーン』が装備されいる。

 まあ、こんな所かしら。」


 ちょっと満足気なイネスさん。


「じゃあ後はガイアとの合体の時の注意事項があるからきいてね。」


 レイナさんがパイロットを集める。


 北辰の出現に北斗の登場。

 私達の知っている歴史はもう無い。

 それでも私達は勝たなければいけない。

 この力を使ってでも。


 私は私達の最高傑作を見上げる。


 1歩間違えば大量虐殺兵器になってしまうこの子達を。




 次の日、整備員休憩室


 プシュ!!

  
「はぁ〜〜〜昨日はひでぇ目にあったぜ。」


 自業自得を愚痴りながら入ってくるウリバタケ。


「さて、艦長命令だし、アリスシステムのデータを・・・あれ?」


 ガサガサガ


「おかしいな、ここにあった筈なのに・・・」


 ごそごそごそ


「・・・まさか!!」

 

 

『大変だ、艦長!!

 アリスシステムのデータと基盤が盗まれた!!』


「ほへ・・・

 なんですって!!」


「確かなんですか、ウリバタケさん!!」


『ああ、すまねえ、俺が迂闊だった。』


 ピッ!!


 途中でアカツキさんからの通信が入る。


『今朝方、家の整備員の一人が金を抱えて死んでいるのが見つかったそうなんだけど、

 何か心当たりは・・・あるみたいだね。』

 
「そんな・・・あれが木連の手に渡ったら・・・」


「も、もしかして、アキト並の無人兵器ができちゃうとかするの?」


「いえ、それはありません、あれはオモイカネでも処理が間に合わないほどですから。」


「じゃあ、しんぱいないんじゃあ?」


 でも木連にはヤマサキがいる。

 もしアイツの手に渡れば・・・

 

 

 

 その頃、木連裏研究所


 カツ、カツ、カツ、カツ・・・


 プシュ!!


「おや、北辰さんじゃないですか、どうしたんです?

 ああ、それより、手ひどくやられたそうですねぇ。」


「ああ、真に面白い船だったぞ。

 ところで何をしているのだ?」


「ああ、今日面白いおもちゃが手に入りましてね。」


「おもちゃも良いが、アレはできているのか?」


「アレですか?できてますよ。

 あれ、使うんですか?ちょうど良かった、そろそろ実戦データが欲しかった所ですよ。」


「ふっ。最早我では奴には勝てんだろう、だがこれはどうかな?

 あの愚息は心を持たせてしまったせいでもう我では操りきれん。

 だが・・・」

 

 

 

 

 

 
 あとがき


作:AIズの外見は趣味です、趣味ですとも、何が悪い。

ル:いきなり開き直ってますね。

ア:ところでなんでブロスにも外見があるんだ?

作:それは後々と〜〜〜っても重要になるから。

ル:あっそ、ところで『アテナ』のAIのクオンは・・・

作:久遠(小)そのままだと言いたいなら、断じて違う!!

  久遠(小)は言葉が不自由じゃなきゃ久遠(小)じゃなぁぁぁぁい!!

  ついでに言うと久遠は三段変身があってこそ久遠なんだぁぁぁぁ!!

ア:ああ、もう、解ったから。

  それにしてもウリバタケもまたこわれてるな。

作:そうだな、でもウリバタケには見せ場を作るつもりだ。

ル:ハリには?

作:そんなのあるわけないじゃん!!

ア:そうか・・・

作:それにしてもやっと次から俺式の流れになるわけだ。

ル:長かったですね、無駄に。

ア:いや、全く。

  しかも次からって言っても次はピースランドで起きる事ほぼ一緒。

作:でもかなり重要な変化があるぞ。

ル:さらに19話もやっぱり一番星をやるんでしょ?

作:なにを言ってる、あれは外せないぞ、ほぼ全て変えるし。

ア:実質オリジナルは20話からだな。

ル:そうですね。

作:それでは次回『ピースランド×舞踏会×舞闘会?』にレッツ・ゲキガイン!!

 

 

 

代理人の感想

 

・・・・・ギャルゲーかい(苦笑)。

ナース服だのなんだの、どんどんシリアスから遠ざかってません?