第6話 「思い出の地へ?」何しに行くんです?

 

 

 



「さて、と・・・」

 

 俺は一足先に出撃をし、雑魚共の掃除をしていた。

 決して逃げたわけではない・・・


 程なくしてリョーコちゃん達がやってくる。


「おーい、テンカワー!!」


「やあ、待ってた・・・」


「ちゃんと説明しやがれ!!」


 ズテ

 思わずこけてしまった。


「リョーコちゃん、今は戦闘中だよ。」


『兄さんなら、この程度の戦闘なら会話しながらでも十分ですよね。』


 まあ確かにそうだけど・・・

「いやそれでも・・・」


『アキト、艦長命令です!

 戦闘しながらでも説明しなさい。』


 いいのか艦長がそんな無茶苦茶なこと命令して。

 しかも職権乱用だぞ。


『私もお聞きしたいです。』


『そうだよ、説明しなさい。』


 メグミちゃんにミナトさんまで・・・

 俺に逃げ場は残されていないのか・・・


(ルリ・・・)


(私、少女ですから。)


 全部言う前に返された・・・いい加減それもパターンになってるぞ。

  
『さあ、言い訳くらいなら聞いてあげますよ。』


アキラ、目だけ笑っていない笑い方は止めてくれ。


『さあ逃げられないぜ。』


 カチッ!!


 そう言ってライフルを俺に向けるリョーコちゃん


「ちょっ!敵の真ん前だよ!!」


『アキラちゃん、アキトが逃げないようにグラビティー・ブラストをアキト機にロックして。』


『了解。』


「ちょと待てい!!それは本気で洒落にならんぞ!!」


 本当に俺にグラビティー・ブラストを向けるナデシコ・・・

 ライフルを持ち、俺に迫り来るリョーコちゃん。

 俺の後ろ(今はナデシコの方を向いている)には無人兵器の大群。


『本当にこんな事をしていていいのか?』


『まあこうなっては私達にはどうにもなりませんし・・・

 元凶の彼に頑張ってもらいましょう。』


 止めてくれ、プロスさん、ゴートさん。


 俺に逃げ場は無いのか?いやまだ何かあるはずだ!!何か!!


 ズドォォォォォン


『フィールド出力80%減少。

 フィールド、後一分もたないな・・・』


『『『『『『「へ?」』』』』』』


『本艦は完全に敵に包囲されました。』


 冷静に現状を述べる二人。


 って、落ち着いている場合ではないぞ!!

 他の奴らは完全パニクってるし・・・

 それに、誰のせいでこうなったと思ってる!!

 
『何をしている、アキト。

 こんな状態まで敵をほっておくなんて・・・

 お前らしくないミスだ。』


『まったく・・・

 しっかりして下さい、アキトさん。』


 ぶち!


「どちくしょぉぉぉぉぉ!!」



 ドドドドド


 ズガガガガガ


ドッシュ


     ドォォォォ


『あ、キレましたね。

 ちょっとやりすぎましたか?』


『フィールド消滅。

 相転移エンジン出力低下。』


 それでも落ち着いている二人。

 荒れている後ろとはやたらと対照的だった。


 ・・・その後、リミッターを外した俺とリョーコちゃん達の奮闘によってなんとか敵を退けた・・・



「はぁ、はぁ、・・・でだな、さっきも言ったように、あいつは特殊な生まれで、

 ・・・今まで人間として扱われていなかったんだ・・・

 はぁぁ、・・・だから俺はあいつのしたい事は出来るだけ叶えるようにしているんだ。

 一緒に寝るのもあいつの滅多に言わない我侭だから聞いているんだ。

 解ってくれたかい?」


 戦闘終了後、あんな事があってもなお説明を求める皆に理由を説明した。

 今回は久しぶりに死ぬほど疲れた・・・


『そんなことが・・・あったんですか・・・』


 疲れきった声で答えるメグミちゃん。


『はぁ、はぁ、理由があるならはじめから言いやがれ!!』


『死ぬかと思った〜。』


『・・・』


 ぐったりしているパイロット三人。

 そう言えばガイは?


『それなら私の我侭も聞いて〜。』


 コントローラーパネルにうつ伏せになりながら言うユリカ。


 隣ではプロスさんが何やら計算機を打っている。

 ・・・目がかなり怖い・・・
 

『テンカワさん、今回の損害は全て貴方の給料から引いておきますよ。』


「なっ!何でですか!?」


『なんでって、今回の事は全て貴方が原因でしょう。

 これがその額です。』


 そう言って俺に計算機を見せるプロスさん。

 ・・・そこには見た事も無い数字が並んでいた・・・


『まあテンカワさんほどの実力なら、十年くらいタダ働きしていただければ返せますよ。』


 はははは、じゅうねん・・・タダ働き・・・


『何やってんだか。』


 いいも〜ん、いつかネルガルなんかのっとちゃる。


『ほっほっほ、元気でいいのう、若いもんは。』


 提督あんたは一体何処にいたんだこんな時に。






 とまあいろいろあったが無事?火星に突入する事となった。



 ドゴォォォォォォォォォォォォォォオン!!



 どうやらユリカがグラビティ・ブラストを撃ったようだ。

 だが・・・


「重力制御を忘れてるぞユリカ!!」


 最早、床が壁になっている。

 俺は手近な物に掴まる。


『忘れているのではなく。

 そんな余裕が無いんです。

 つまりこれはアキトさんの自業自得です。』


 なんか最近冷たいぞルリ。


「テ、テンカワ!!」

 
「きゃああああ!! アキト君!!」
 

「くっ!!」


 リョーコちゃん達三人が、俺の身体しがみ付く。

 これくらいなら日頃の鍛錬のおかげで耐えられるのだが・・・


「テンカワすまん。」


 ウリバタケさんまで俺の足にしがみ付いてきた。


「うぐぐ、4人は無理だ。」


 このままじゃ滑り落ちてしまう。

 
「悪く思うなよ。」


ゲシ!

「ごめんねウリピー。」

 
ガス!
 
 
「運が無かったね。」


ゴス!


 ウリバタケさんを蹴り落とす三人。

 ・・・容赦無いな・・・


「アキトー、お前だけ幸せになれると思うなーーー。」


 そんな事思ってませんよ。


べチャ!


 ・・・なんか嫌な音がしたな。


 哀れなウリバタケさんの冥福を祈ろう・・・






 そして俺は、陸戦用エステバリスで故郷の地を踏みしめた・・・

 今回も提督口添えで出て来る事ができた。

 だが・・・


「うっわ〜〜〜〜!! 気持ちいい!!

 ・・・ここから、アキトさんの故郷って遠いんですか?」


「まあ、ちょっとね・・・」


「・・・あんまり身体を乗り出すと、エステから落ちるよエリちゃん。」


 そう、何故かエリちゃんが一緒なのだ。

 何故だ?メグミちゃんならともかく。



  その頃ブリッジ


「どう言う事ですか!!」


「どうしてエリさんが一緒なんですか!!」


「いや・・・メグミが来るかもしれないって言うから、言われた通りに

 ちゃんと格納庫で待ち伏せしてメグミがエステに乗るのは阻止したんだが

 まさかその隙を突かれるとは・・・」


「別にいいじゃない、敵もこないん・・だし・・・」


ゴゴゴゴゴゴゴ・・・
 

「・・・」


「・・・」


「何でも無いです、はい。」


 逃げるように自分の席に戻るミナトさん。

 
 意外な伏兵です。

 まさかホウメイガールズがもう動き出すとは・・・

 これからは食堂での動きも見なければなりませんね。

 
 それにしてもアキトさん・・・帰ってきたらゆっくりとお話がしたいですねぇ。


 因みにメグミは・・・


 カツン、カツン・・・

「フフフフフ・・・私を出し抜くなんて・・・フフフフフ

 良い度胸ですねぇ・・・フフフフフ・・・」
 

 わら人形にエリの顔写真を貼り付け五寸釘を打ち付けていた・・・


「あの・・メグミさんコントローラーパネルの上でそのような事は・・・

 ・・・あ、いえなんでも無いです。」



 同食堂では



「はぁ、いいなエリ。」


「あそこでわたしがグーを出していれば・・・」


「もう、いい加減諦めなさい。」


「・・・自分の作ったお弁当を眺めてるサユリに言われたくない。」



「「「「はぁぁ。」」」」


「おやおや、テンカワも大変だねえ。」




 同格納庫では


「テンカワーーー貴様だけが幸せになれると思うなーーー!!」


「「「「おぉぉぉぉぉぉ!!」」」」


 やっぱり対テンカワ連盟が設立された。







「ねえアキトさん、

 アキトさんはコックとパイロット、どっちが本職なんですか?」


 昔の俺なら迷うことなくコックと答えただろうな・・・


「自分としてはコックの方が性にあってるんだけどね。」


 とりあえず当たり障りの無い回答をしておく。


「・・・ホウメイさんは、アキトさんが料理に逃げているんじゃないかって言うんです。」


 !!ホウメイさんが・・・

 そうか、そうかもしれない・・・


「確かにアキトさんは料理をしている時は本当に楽しそうにしているけど・・・

 でもまるで壊れ物を扱うかのようにしています。」


「そ、そんな事無いと思うけど。」


 俺は普通に接しているつもりだった。

 ・・・俺が無意識にやっている事を見破られたのか?


「嘘です。

 皆を見ている時だって悲しい目をしています。

 私は今まであんなに楽しそうにしているのに、

 悲しい目をして料理をする人見た事がありません。」


「・・・」


「私は貴方の過去を知りません。

 でも、私より人生経験が豊富な事は解ります。

 私みたいな調理補助にできることなんてたかが知れています。

 それでもきっと、一人で抱えているよりは楽になると思います。

 それにホウメイさんみたいな大人だっているんです、

 私達で良ければ何時でも相談に乗りますから!!」

 
「・・・ありがとう、エリちゃん。」


「何時でも食堂でお待ちしていますよ。」



 エリちゃんの話を聞き終わり。

 俺はラピスとカイトに話し掛ける。

 

(・・・ラピス、カイト。これがナデシコの人達。

 これが人の持つ優しさなんだよ。)
 

(うん、私も乗ってみたいな、ナデシコに。)

 
(俺には良く解らない・・・)


(ラピス、もう少ししたら必ず乗せてあげるよ。

 カイトも慌てなくて良いから、少しずつ成長していこう。)


(うん、解った待ってるよアキト。

 だから、アキト頑張ってね!!)


(わかった。)
 

(ああ、じゃあラピスも頑張ってな。)

 
(うん。)

 
(カイト、俺もここでなら昔に戻れるかもしれない・・・

 だから一緒に頑張ろう。)


(ああ、そうしよう・・・)


 そして、俺達は会話を終えた。

 

「・・どうしたんですかアキトさん?」

 
「え? ああ、見えたよあれがユートピア・コロニー・・・だった所だよ。」

 
「あれがアキトさんと艦長の故郷・・・

 あっそうだ、お弁当作ってきたんですよ。

 一緒に食べましょう。」



 俺達はエステから降りた。



「あっ!いっけない敷物持ってくるの忘れちゃいました。」


 そういえばここら辺だったな、イネスさんがいる場所は。


「・・・どっかに良い場所無いかなぁ。」


 ボコッ!!


 お弁当を食べる場所を探していたエリちゃんの足元が突然崩れる!!


「え?きゃぁぁぁぁ!!」


「エリちゃん!!」


 俺はとっさにエリちゃんを抱きかかえる。


「くっ!!」


 両足のバネをフルに使って衝撃を逃がし、着地する。


ドン!!


 なんとか二人とも無事に着地できた。


「エリちゃん、もう大丈夫だよ。」


「あ、ありがとうございます、アキトさん。

 ・・・あのぉ、もしかして私って重いですか?」


「いや、そんな事無いよ。」


「そ、そうですか・・・」


 何故か赤い顔をしているエリちゃんを地面に降ろし周囲の気配を探る。

 確か過去では、ここでイネスさんと・・・


「あら、ステキなナイトさん、あなたは何処から来られたの?」


 いた、あれまだエリちゃんが顔を赤くしているな、何でだ?



「何の音だ!!」


「何があったんです!!」


 とそこに他の人達も集まってくる。

 
「俺達は・・・」


 俺達は事情を説明する・・・


 だが、イネスさん達は予想通りナデシコへの乗船を拒否した。
 
 
「では、住民を代表してプロスさんにその意思を伝えて下さい。」
 

「・・・そうね、貴方達もそれなりに苦労してここまで来たのだし。

 私がプロスさんに説明をするわ。」


 よし、予想通りイネスさんは連れ出せたな。

 
「では、この上にエステバリスが置いてありますので。」
 

 そして、俺とエリちゃん、イネスさんはナデシコに向かった。


 これで俺がナデシコに合流すれば、あの地下の人達は無事に火星で過ごせるだろう。

 
 この火星は絶対に取り返す!!

 だからもう少し辛抱していてください。




 その頃ブリッジ


「敵、前方のチューリップから次々に現れます。」

 
「ルリちゃん!! グラビティ・ブラスト発射準備!!」

 
「グラビティ・ブラスト・・・発射準備完了。」

 
「発射!!」

 
 ギュォォォォォォォォンンンン!!!

 
「・・・敵、小型機は殲滅するものの。

 戦艦タイプは依然として健在。

 その数・・・更に増大しています。」

 
「な、何でグラビティ・ブラストが効かないの?」

 
「・・・艦長、敵もディストーション・フィールドを張ってるみたいです。」

 
「そんな・・・ここからフィールドを張りつつ撤退!!」



 もうすぐアキトさんも戻ってきます。

 それまで・・・

 ・・・(怒)・・・


「・・・アキラ、アキトさんから通信が入ったら

 例えサウンドオンリーにしてきてもウィンドウを映してください。」


「?いいけど。」



「テンカワ機より通信は入ります!!」


「本当!!メグミさん!!」


「本当です、通信出します。」

 
 ピッ!!
 
『ユリカ!! 今から敵陣を強行突破してナデシコに合流する!!』
 

「・・・アキト。」

 
『・・・聞いているのか?

 俺とメグミちゃんと後一人、イネスさんって人が合流するからな!!』

 
「・・・兄さん。」

 

 映ったアキトさんの姿はエリさんを膝に抱っこし、イネスさんを右手に抱えていました・・・


「・・・アキト君って。」


『??大丈夫だよ。

 今回は回避に徹するからさ。』

 
 どうやら、アキトさんはなんで皆が冷たい視線を送っているのか気付いていないようです。

 
『キャッ!!』


 おそらく回避した衝撃でしょう、エステの中が揺れました。


『エリちゃん!!危ないからちゃんと掴まってて!!

 イネスさんも!!』

  
『は、はい!!』


『解ったわ!!』


 ピキ!!


 そう言って更にアキトさんに身体を密着させる二人・・・

 イネスさんにいたってはアキトさんの腕に胸を押し付けてるようにしか見えません!!


 フフフフ・・・ずいぶんと見せ付けてくれますねぇ、アキトさん・・・


「・・・アキト、なぁにその格好は・・・」


 ユリカさんが人を殺せそうな視線でアキトさんを睨みます。


「フフフフ・・・誰ですかその女性は・・・」


 目だけ笑っていないメグミさん。


「・・・お兄ちゃん、またなの?」


 アキラは壊れかけています。


『い、いやこ。この女性がイネスさんで。

 この格好は戦闘中だから仕方なく・・・』


「仕方なくやっているんですか?」


 最早ブリッジの気温は絶対零度まで下がっている事でしょう・・・


『あ、後でちゃんと釈明します。』


 へぇどんな言い訳をするんでしょう。


 アキトさんは無人機に怒りをぶつけている様です。


 自業自得なのに・・・



 その頃格納庫


「テンカワ アキト!!お前は全ナデシコ男性クルーの敵だーーーー!!」


「おおおおおおおお!!」


 
 ウリバタケさんの指揮の下、対テンカワ連盟がアキト滅殺同盟に進化していた。





「俺のせいか?」



「そうです!!」



 



あとがき

ドカーーン

ナゼナニナデシコ

ルリ:良い子の皆さんこんにちわ、説明少女ルリです・・・ってイネスさんが合流したのにまだ私なんですか


作:諦めろって・・・

アキト:ではさくさく行きましょう本日のお題は「リンク」。       

作:はい、今回はアキト達が繋がっているリンクです。

ルリ:これは原作どうりじゃないんですか?

作:はい、実は私は原作のリンクの設定は全然知りません。

アキト:映画見てるのにな。

作:はい、というわけで、この世界ではリンクとは、

  精神で繋がっていて常に繋がっている人の感情が流れ込んできます。

  会話をするのにはそこから更に繋げなければいけません、これを拒絶する事もできます。

  しかしある程度近くにいると心が読めます。
  
  更に繋がっている人の位置が判ったり、ジャンプの補助もできます。

  と言う物だと定義します。

ルリ:因みにこれは通称「TLS](テンカワ リンク システム)とか「T−LINK」とか言う事もあります。

アキト:はいはい今日はここまでです、でわでわ〜〜。


 

 

 

 

管理人の感想

 

 

T-SAKAさんからの投稿です!!

イネスさんが無事合流〜

こんごも、奇想天外な展開が(笑)

しかし、お約束のよう「某組織」はできるんだな〜(苦笑)

まあ、その気持ちは分かりすぎるくらい、分かるけど(爆)

 

それでは、T-SAKAさん投稿有難うございました!!

 

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