The answer

空編第6話

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 周囲には雑草が生い茂り、車が通り易い程度にコンクリ舗装された田舎の道を、一人の青年が歩いていた。

「アジィ・・・。夏なら仕方ないんだろうが・・・。」

 男は小さなかばんを持ち、黒い服を着ていた。夏にそれなら暑いのは当然である。

 乗り物に乗らないのは、金がないからだ。それ以上でもそれ以下でもない。

「前の町はかろうじて食費程度稼げたが、次もそうだとヤバイな・・・。」

 ひとしきりぼやきつつ、歩き続ける青年。一歩一歩ごとに、白っぽい色の髪がゆれる。

 決して若くして全て白髪になったわけではない・・・だろう。

「さっき聞いた話によると、町まで後・・・10分ってとこか。」

 腕時計を見て、少し安堵の表情を浮かべる。

 もうすぐか、と思いつつ、男は再び歩き出した。

 さっそく町に着き、男がまずすること。それは、寝床を探すこと。

 行く先々で稼ぎつつ旅をする男にとって、宿代などあるはずもなく、泊めてくれる家もないだろう。

 昼間のうちに探しておくと、後で困らない。

(・・・・・・ん?)

 そのとき、2人組の少年を発見した。

(・・・先に稼いでおくか?)

 男は、基本的に子供を対象にして稼いでいる。

「おい、そこの少年たち。いい物を見せてやろう。」

 そう呼びかけると、警戒心がないのか、知らない人のところへ簡単に寄っていく少年2人。

 男はポケットから、少し古びた人形を取り出した。

 彼は、この人形とともに、人形芸をして稼いできた。

 無論、ただの人形芸では金を稼ぐことは難しい。が、彼の人形芸は、普通とは違うことがあった。

 男は人形を地面に置き、手をかざして力を込める。

「フゥゥ・・・。」

 すると、人形が勝手に立ち上がったのだ。

「ちなみに、糸とかは使ってないぞ。」

 ためしに一人が手と人形との間に手を振るが、引っかかりは何もなく、人形も倒れない。

「ソーラーパワーでもないぞ。」

 しばらくすると、人形がひとりでに歩き出す。

「とおっ!」

 かけごえをかけると、人形が逆立ちをして歩き出す。

「せいっ!」

 今度はバク転で立ち上がり、

「ラストッ!」

 空中三回転半ひねりを決め、着地し、手までふる。

 この一連の芸、前の街ではうけたのだが、いざ金を貰う前にどこぞのヤの自営業の方々にショバ代だのどーのと絡まれ、

 ついつい出来心でボコボコにした挙句警察沙汰になる前にトンズラしたため、金がないのだ。

 彼にとって、警察沙汰になることは、非常に面倒くさいことになることを意味する。

「おおーっ!」

「すげーっ!」

 この町で、金の心配はしなくてもよさそうだと、前の少年の反応を見て思う男。

「その人形、触らせて!」

「ああ、いいぞ。」

 この商売(?)は愛想が命。客の要望にも、出来るだけ対応するようにしている。

 が、今回はそれが裏目に出た。

 少年の一人はしばらく人形を調べ、タネも仕掛けもないことが分かると、とんでもないことをした!

「エリプスハンター!」

 何と、少年は野球のピッチャーのように振りかぶり、人形をあさっての方向、男から見て前の海の方向に投げてしまった!

「あー面白かった!」

 張本人たちは、笑いながらどこかへ走り去って行った。

 男はしばらく固まっていたが、ハッと気づいて、

「ギャーッ!俺の相棒がー!商売道具がー!」

 大急ぎで走り、海に飛び込んだ。

「ったく、なんてガキだ・・・。人様の物を勝手に捨てるとは・・・。」

 びしょぬれのまま、ぼやく男。何とか人形は見つかり、今は堤防の上で休んでいる。

「少し・・・眠くなって・・・きたな・・・。

 よし、少し早いが、寝るか。」

 そういうと、ごろんと横になって、眠りについた。

アオ

蒼い空

空の遥か向こう

蒼き世界

そこには翼を持った少女がいる

悲しみ

深い悲しみ中を漂い続けていた

 で、目を覚ますと。

(・・・・・・誰よ?)

 俺の前に、女の子が両手を広げて立っていた。翼を広げ、全身で風を感じるかのように。

 だが、んなもん俺にゃ関係ねえ。とっとと回れ右しておさらば、寝床探しにレッツゴーだ!

「あ、あのっ。」

 ・・・ちっ、一歩で見つかったか。

「・・・どうした、少女A。」

 すると、少女Aは不思議そうに自分を指差した。

「少女Aって・・・私?」

「他に誰がいる。」

「私、少女Aって名前じゃない・・・。」

 少女Aは不満そうだ。

「私、神尾観鈴っていうの。」

「で、その観鈴がどうした?」

 俺の言葉に、少女はやっと笑顔を見せた。

 が、そこで俺はとんでもない言葉を聞いた。

「一緒に、遊びませんか?」

 ・・・姉さん(誰?)、これはナンパでしょうか?

 はっ、まさか俺のかっこよさに思わず声をかけて

「んなわけあるかいっ!」

「ひゃっ!」

 ・・・む、思わず声に出しちまった。

「がお・・・。」

 不思議そうに声を出す少女を無視。

 ていうか、がおって何よ?

 とはいうものの、さすがにこの不思議少女といると、何かがおかしくなってくる。

 というわけで、俺は遠慮なく拒否した。

「嫌だ。」

「えっ・・・。」

 とたんに、少女は涙目になる。一応自分を弁護する。

「遊んでもいいが、俺みたいな別にかっこよくねえ奴と遊んでもつまんねえだろ?」

 お前は十分可愛いんだから、俺みたいなのに寄ってこなくても・・・。

「え・・・そんなことないですよ。かっこいいです。」

 少女は暑さにやられているのか、顔が赤い。

「あ、別に特別な意味じゃないですよ、にははっ・・・。」

 にははってなんだ。

「それに、俺は寝床をさがさにゃならんのだ。見つかってからならまだしも、今はんな暇はない。」

「でも、さっき寝てた。」

 ・・・反論の言葉が浮かばない。

「それに、泊まるとこありますよ。」

 その言葉を聞いた途端、俺の目がキュピーンと光った。

「マジか!」

「う、うん。」

「何処だ?」

「私の家。」

 そのとき、目のキュピーンがしぼんでいく。

「ダメだ。」

「え・・・。」

「親になんて説明する気だ?」

「クラスメイトっていえば、大丈夫だよ。それに、お母さん、帰り遅いから。」

 ・・・そういう問題じゃねえ。

「年頃の男と女が一つ屋根の下だぞ?」

「大丈夫だよ。」

「お前を襲うかもしれんぞ?」

 ・・・言ってて嫌だ、こんなセリフ。

「う、それは嫌かも。」

 普通は「かも」なんて付けねえだろ。

「じゃあな。」

 ぐうーーーーーっ・・・・・。

 ・・・よくみれば、もう夕方も終わりかけ。腹が減ってても、おかしくない。

「じゃあ、晩御飯どうですか?おなかすいてるみたいだし。」

 ・・・否定できない。

「リクエストありますか?」

 ない。

「ラーメンと米。」

 ・・・口は正直だ。

「にははっ。いいですよ、ついて来てください。」

 いまさら逃げて本当に泣かれても困るし、何より腹減った。ついていくか。

 ・・・というより、俺ってお人よし?

「さっき言ったと思うけど、もう一回自己紹介。」

 観鈴がこちらに振り向く。一瞬ドキッとしてしまった自分。

(・・・おいおい、何考えてんだ、俺。)

 何故か自己嫌悪に陥る。

「私は、神尾観鈴。観鈴って、呼んでほしい・・・。」

「ああ、分かった、観鈴。」

 呼んでやると、観鈴はとても嬉しそうだった。

「あなたの名前は?」

 これを聞かれるのが嫌だった。

 しばらく言うべきか言わざるべきか悩んだ後、言ってやった。

「知らん。」

「え?」

 そら疑問だろう。普通、自分の名を知らん奴はおらんからな。

 だが、質問の暇を俺は与えない。というより、聞かれても分からん。

「俺は、記憶喪失なんだ。」


コメント

 大体ゲーム版です。

 ここからナデシコとどう関わっていくのか?

 ・・・作者も分かりません。

 私の日曜アニメ事情は、ゾイドとキディとクラッシュギアとアバレンとファイズとベイブレです。

 GAは土曜日にやっているのでいつも一週遅れ・・・。

 皐月さん、いつも感想ありがとうございます。

 これからもお世話になると思いますが、ここでお礼に代えさせていただきます。

 

 

感想代理 皐月

 

Airかあ、懐かしいなあ……。
実家で積まれているゲームの一つだよ(爆)
こうなるとその内、ActionにもKanonとかランスとかダークロウズとかエスカレイヤーとか来るのかなあ。
アキトで遺作は笑えそうだが。
主人公側、遺作側、どっちでも可能だしな(爆)