プロローグ2


ネルガルドック内

ビィービィー

ドック内には警報が鳴り響いていた。そこにたたずむ一人の少女。

「ふぅ、うるさいな」

ため息をつきながらその少女、ティアはつぶやいた。

『あんなことをしたら……ま、とりあえずは上りましょう』

と、目の前にウィンドウが出る。

「そうですね」

サングラスのため表情は見えないが笑っているようだ。

「それに…」

そう言って、左手に持った剣――明らかに1m以上の大きさはある――を目の前に持ってくる

直後、キンッという音が鳴る。

「ちっ、どうなっているんだ」

物陰に隠れていた黒服――ネルガルのSSはつぶやく。そして次の弾を打とうとした瞬間、

ゴキッ

一瞬の間にティアは間合いを詰め、左手の剣でネルガルのSSに一撃を加えた

「それなりに楽しめそうですしね」

そして、またヒョイっと肩に担いで歩き始めた。

『ティア、大丈夫?』

と、ウィンドウが出て、立ち止まる。

「怪我してるように見える?」

そういってウィンドウに向かって微笑みかける。

『いえ、SSの方のことを言ってるんだけど…』

「………、ま、生きてはいるでしょう」

そういって何事もない様に進むティア。

『………はぁ』

と大きなウィンドウが出る。

「ところでアマテラス、父さんがいないときぐらい音声でしゃべったら?」

「……そうね」

直後聞こえた声は明らかな女性の声だった

「さっきも言ったけどさっさと上りましょう」

「そうだね、さっさと片付けましょう」

そう同意して、ティアはドックを後にした。

―――残されたのは、耳障りな警報の音と倒れた多数のネルガルのSS、そして一隻の戦艦だけだった。








一方、その頃ジンたちは………

「はぁ」

プロスは大きなため息をついた。

「どうした、プロス。ため息なんかついて?」

きわめて明るくジンはプロスに聞いた。

「どうしたもこうしたも無いですよ、まったく」

こめかみを抑え、青筋を立てながらプロスは言った。

「まあまあ、スカイダイビングを楽しんだと思えば………」

「パラシュートも無しにスカイダイビングを楽しむ馬鹿がどこにいるんですか?」

ゆっくりと言い放つプロスだったが、明らかに怒りの色が伺えた。

「あはははは…」

乾いた笑いを上げるしかないジンであった。


そもそも、ことの発端は十分ほど前にさかのぼる……

無事ジャンプを果たしたプロスとジンだったが、ティアのイメージングの途中、ジンはふと空を見たいと思った

そしてそのイメージは見事に伝わり、病院の上空約1000mの地点にボソンアウトしてしまった。

そしてそのまま落下……一応二人は無事助かったが、病院の警備員に事情聴取を受ける羽目になってしまったのである。

その助かった方法とは……


「まったく、まさか落下途中で壁に剣を突き刺してそのまま止まるとは思いませんでしたよ」

そう、落下中病院の壁にきたときにジンの持っていたボールが剣に変化し、それを突き刺し勢いを消したのだ。

が、その後窓から中に入る時、患者に見られ警備員がやってきたという次第であった。

「ま、無事だからいいじゃないか。世の中には6700mから落ちて生きてたやつもいるんだし」

「………はぁ」

いつ、誰がギネスに挑戦したいといいました?と言いいたいプロスだったが結局無駄と思い、ため息をつくに終わった。

「で、ミスマルユリカの病室は何処だ?」

「ええ、この先ですよ」

いくらか進んだ先に立ち入り禁止区域の札があった。

「このさきですよ」

「何でいちいち立ち入り禁止区域の先なんだ?」

「彼女が何処にいるか、ばれたらまずいでしょうが」

当然のようにプロスは言った。

「そんなものか?」

腕を組んで思案顔になるジン。

そして、エレベーターで下に降り、すこし歩いたところにその病室はあった。

「ここです」

そして、ドアノブを回そうとしたとき

「なあ、そういえばプロス。お前どうしてジャンプのとき慌ててたんだ?」

思い出したかのようにジンはプロスに聞いた。

その瞬間、プロスは一瞬止まり、大慌てでコミュニケを操作しはじめた。

「どうした?」

ジンがプロスに尋ねた瞬間一つのウィンドウが開く。

『あれ、プロスさん。どうかしましたか?』

相手はティアであった。

「ティアさん、先ほど言い忘れたんですが、まだ会長にあなたのことを紹介してないんですよ、

ですからそのままいくとすこし不都合な点がありまして…」

『ああ、どうりで』

うなずきながら答えるティア。

「と、言いますとまさか…」

プロスの顔色がどんどん青くなっていく。

『ははは、警報がさっきから鳴りっぱなしなんですよ。ま、会長室までもう少しだからいいですけど…確か交渉をすればいいんでしたよね?』

「あの、ティアさん?すこし尋ねますが、交渉の意味分かってますか?」

『もちろん、確か……』

すこし考えたような顔をしてティアは答えた

『……武力・経済力等で無理やりに相手に条件を飲ませることでしたよね?』

「………たしかにそれを交渉と呼ぶ国もいますね。しかし私の申した交渉とは対等に取引をする場合のことをさしてるのですが、お分かりですか?」

『あ、なんだそっちの方だったんですか、とりあえず一番頻度の高そうなので考えてたんですが…』

その発言の後、プロスはため息混じりに言った。

「ティアさんなるべく、一般常識で考えてください。あまり、間違った知識で考えないように」

発言は優しかったが、その目は間違った知識を植え付けたであろう相手に向けられていた。

が、その相手はあさっての方向を向いたまま口笛を吹いていた。

「………はあ」

今日、何回目かの大きなため息をプロスはついた。

「とりあえずティアさんそこでじっとしていてください。会長のほうには私が言いますから」

『はい』

そしてプロスはまた、コミュニケを操作し始めた。するとティアのウィンドウの隣にもう一つウィンドウが浮かぶ。

「会長、あの……何をしていらっしゃるのですか?」

『ああ、プロス君久しぶり。実は本社に戦艦ごと侵入者がきてね〜、SSはやられるし、月臣君もいないんで…』

「バリケードを作っていた…というわけですな」

『まあね、ははは』

乾いた笑いをあげながらアカツキは机などを熱心にドアのほうへ運ぶ。

その様子をウィンドウ越しに見ながらプロスは

(相当動揺してますな、どうやって自分は出るつもりなんでしょうか?それに彼女なら多分素手でも簡単に砕くでしょうし…)

と、考えながらアカツキに話を切り出した。

「ところで、その侵入者はもしかして黒髪で科学者みたいな格好をした女性…ですか?」

それを聞き、目を丸くするアカツキ。

『そうそう、で大きな黒い剣を持ってるんだよ……ってなんでプロス君、きみが知ってるんだい?』

「……はぁ、リュクレオンまで持ち出しましたか、で通信中というわけですね」

『もしかしてプロス君、知り合いかい?』

景気の悪い顔をし始めたアカツキのことは無視して、プロスはコミュニケを操作する。するとウィンドウ同士が向き合った。


『ああ〜』


『ども』


『プ、プロス君これは一体!!』

「一応知り合いです、交渉に来たそうなので相手をしてください。ま、イリサさん当たりに聞けば身元は分かると思いますが…。ではがんばってください」

『ちょ、プロスく…プッ

ツー

後には電子音と『着信拒否』と書かれたウィンドウが残っていた。

「では参りましょうか……はあ」

ウィンドウをみたまま、大きなため息をつく。

「どうしたプロス?ため息ばかりついてると幸せが逃げるぞ?」

あたかも他人事のように話すジン。

一瞬、ジンのほうを見るプロス。

(誰のせいだと思ってるのでしょうかこのひとは?)

言葉には発せず、プロスはまた大きなため息をついた

「はあ、…では」

そして、ノックをし、プロスたちは部屋の中に入っていった。




なかがき(座談会?)

作者「一ヵ月半でこれだけか……はあ」
ティア「なんかプロスさん並に落ち込んですますね?」
作者「いやね……はあ」
ティア「ま、いいけど。ところでリュクレオンって?」
作者「一応、1,2mくらいの剣。○○幻想記のシオンが使っていた剣と似た形。で、金属は…」
ティア「いや説明じゃなくて…」
作者「じゃ、何?」
ティア「急に元気になりましたね(汗)、いやこの名前でいいの、ほんとうに?」
作者「いいんじゃない?多分、もとネタ分かる人もいないと思うし」
ティア「ま、確かにばれはしないと思うけど……何でまだプロローグ続いてるの?」
作者「ギクッ、ま、色々と…」
ティア「なに冷や汗かいてるんですか?ま、さっさと次作りなさい」
作者「はい、わかりました……はあ」
ティア「ほんとに何かあったの?」


 

代理人の感想

 

注意1秒怪我一生(笑)。

いや〜、ジャンプって本当に楽しいですね。

(楽しいのか、おい)

 

アカツキも楽しいし。

ついでにプロスさんはユカイだし(笑)。

 

それにしても6700mって・・・どっかの不死身の入れ歯の殺し屋か(笑)?