―――ユートピアコロニー郊外―――

 

 

 

市街地の外縁からやや離れた荒野から、天に向かって突然十本の光条が立ち上った。

その光の柱が消えるか消えないかというタイミングで地面が下から何かに押されるようにひび割れ、盛り上がっていく。

「な、何だ!?」

イツキとの思いもしない再会に半ば呆然としていた所にその光景を目撃して戸惑うアキトの目の前で、盛り上がった地面が裂け、その中から何か巨大な構造物が姿を現してくる。

紅と白の美しいコントラスト。

前後に伸びる艦体を中心に巨大なやじりのように五方に伸びた翼状のパーツ。それらを繋いで正面から見て菱形になる四枚の翼。

「せ、戦艦…………?」

そう。その姿から明らかであり、ナデシコに倍する巨体を持ちながらも、思わず疑問符をつけてしまうほどにその艦は美しかった。

通信画面からイネスの冷静な声が流れてくる。

『三年前、宇宙開発公社とテスラ・ライヒ研のメンバーによって月面基地セレネで建造された外惑星宙域探査航行艦『ヒリュウ』。彼女はその処女航海としての木星への旅の途中、小惑星帯外縁にて謎の虫に似た無人兵器群の襲撃を受け、中破。クルーの大半を失いつつ火星へと帰還したが、その事実は厳重に隠された。……連合上層部はある程度掴んでいたのよ。木星圏に人類が進出している疑いがある事を。そして、ヒリュウへの問答無用の攻撃によって彼らが連合に対して明らかに敵意を持っていることを確信した』

そんな言葉が聞こえてはくるが、碌に頭に入ってこない。

『そして、ヒリュウはその巨大なキャパシティを買われていつか訪れるかもしれない木星圏の人々との戦いへの備えとして建設ラッシュの続いていたユートピアコロニーに作られた秘密ドックで三年の月日を費やし戦闘艦へと改装された。……まあ、その後半は四基のダウンデッド機関を相転移エンジンに換装するのと、ディストーションフィールドジェネレーターや艦首軸線砲の装備に手間取ったせいだけれどね。あれこそが、火星の切り札。『ヒリュウ改』よ』

 

 


機動戦艦ナデシコ

 

猛き軍神の星で

 

第六章


 

 

 

―――ナデシコ 艦橋―――

 

 

 

目の前では、その姿を完全に空中に現した紅い戦艦が艦首を回しながら放った、先程とは違う鈍い輝きの光条が敵の無人戦艦を貫き、一撃の下に屠っていた。

『え?なんでビームでディストーションフィールドが?』

ヒカルの言葉に嬉々として答えるイネス。

「高収束重金属粒子砲よ。確かにディストーションフィールドを破るのに最も有効なのは質量を持った実弾だけど、戦艦の砲としては一回の戦闘ごとに砲弾の補給が必要とされるのは火星の現状にそぐわない。砲弾の生産能力の問題もあるしね。そこで次善策として採用されたのが高速、高収束の大出力ビームによって相手のフィールドを「撃ち抜く」ことだったの。出来るだけ相手のフィールドに垂直に撃ちこむ必要はあるけれど。……威力は、ご覧の通りよ」

「ほえ〜、いいな〜〜。ナデシコってグラビティブラスト一門きりですもんね〜」

「ほら、艦長さん。暢気な事言ってないであの艦の影に隠れなさい。今攻撃受けたらナデシコは終りよ?」

羨ましそうに言うユリカに苦笑しながらムネタケが口をはさんでくる。

「え?でも、勝手にそんな事していいんでしょうか」

ジュンの戸惑い気味の台詞にさらに苦笑が深くなる。

「当たり前でしょう。傷ついた友軍の艦をかばうのは軍艦乗りの当然の義務よ?第一、何のためにドクターがわざわざ足を運んできたと思ってるの?」

「え?……説明する為じゃ無かったんですか?」

本気の顔で言うユリカの様子に失笑するやら脱力するやらのブリッジ一同。

「……あのねえ。あっちの艦との繋ぎ役としてに決まってるでしょう。……ほら」

「ヒリュウ改、ですか?あの艦から通信が入ってますけど」

ブリッジ上段を振り返って報告してくるメグミに向かって顎をしゃくってみせるムネタケ。

「メグちゃん、繋いで!」

 

 

『やっと繋がった!ドクター、何してたんですか!?すぐに連絡入れる手筈だったでしょう!?』

「仕方ないでしょ。説明の機会を逃したら私は私じゃなくなるのよ」

通信画面に出てきた東洋系のショートカットの女性に向かって全く悪びれずに胸を張るイネス。

そんな会話をしている間にもブリッジの窓から見えるヒリュウ改は浮上しながらの回頭を終え、艦首をチューリップに向けている。

「それに、今はそれどころじゃないでしょ?」

『もう……。ナデシコは直ちに本艦の影に入ってください!』

その台詞と同時に送られてきた移動場所のデータをルリが戦況スクリーンに表示する。

「ん〜、このあたりね。いいの?行っちゃうわよ?」

ミナトが肩越しに振り返って確認の声をあげるのに無言で頷くムネタケ。

通信画面の女性の台詞はまだ続いていた。

『これより、本艦は敵チューリップを破壊します!』

ヒリュウ改の艦首のカバーが開き、巨大な砲口が姿を現しているのがナデシコからも見えていた。

 

 

 

 

―――ヒリュウ改 艦橋―――

 

 

 

「ナデシコ、危険域から外れました!」

ユンの報告に軽く頷いてレフィーナは確認の声をあげた。

「発射シークエンス、問題ありませんね?」

「重力ブレーキ、作動準備完了!」

「エネルギーコンデンサー、問題なしですの……」

ユンやアルフィミィの報告を受けてショーンが振り返った。

「最終安全装置、解除。では艦長……、ご命令を」

副長の言葉に頷きを返すと、正面のチューリップを睨みつける。

これが、この一撃こそが、開戦以来常にぎりぎりの状態で耐えに耐えてきた火星の反撃の烽火なのだ。

レフィーナは右手をゆっくりと高く上げ、一気に振り下ろした。

 

 

「艦首超重力衝撃砲、発射!!」

 

 

 

 

―――ナデシコ 艦橋―――

 

 

 

「グラビティブラスト!?」

ヒリュウ改の艦首から放たれたその黒い光の奔流が、前で盾になっていた数隻の戦艦と共にチューリップを飲み込み、引き裂き、すり潰していく。

ナデシコのグラビティブラストの直撃にも耐えた相手のあまりに呆気ない最後にエリナは開いた口が塞がらなかった。

「解析出ました。あの艦のグラビティブラストの総エネルギー量は概算でナデシコのものの2,2倍」

「……そんなに?」

全長だけでもナデシコの倍近い巨艦だ。機関数も多いだろう。同じ相転移エンジン搭載艦なら理屈ではそれくらいのパワーは有ってもおかしくはない。

だが、頭だけでの認識と実際に自分の目に見せ付けられるのとでは、やはり受ける衝撃に天と地ほどの差があった。

目の前ではつい先程までこちらに襲い掛かってきていたバッタやジョロの大群が、大破したナデシコになど全く目もくれずにヒリュウ改に向かって殺到していく。

それに対して、ヒリュウ改は無数ともいえる全身の対空砲火と迎撃ミサイルで対処しながら残った敵艦に向かって主砲を放ち、いともたやすく屠っていく。

ほんの少し前まで最早これまでかとの悲壮感が漂っていたというのに、すでに戦闘の大勢は決していた。

余裕が出てくると疑問も湧いてくるもので、格納庫からウリバタケがコミュニケで通信を入れてくる。

『おいおい、対空兵装の充実振りはたいしたもんだが、ディストーションフィールドはどうなってんだ?』

「あ、そうですね。ディストーションフィールドが邪魔になるんでナデシコは砲座が付けられなかったんでしたよね?」

同調してのユリカの発言によって皆の視線がイネスに集中する。イネスは一つ肩をすくめると話し出した。

「ええ。確かに対空砲火とディストーションフィールドはそのままでは相容れないわ。どうせ技術検証用の実験艦だからと思ってナデシコの設計から砲座を廃したのもそのせい。でも、実際に戦争をしようと思ったら対空防御を艦載機とフィールドに頼りきりなんて現場の人達からしたらとても受け入れられた話じゃなかったのね。そこで、ヒリュウには二重のフィールド展開システムを積んであるの」

『二重だあ?そんな事したらますます対空砲火が役にたたねえだろうが?』

ウリバタケの言葉でさらに顔面の疑問符が大きくなる一堂。

「二重と言っても外側のフィールドはごく薄い、せいぜい巡航時の整流効果が望める程度のものよ。この弱いフィールドで艦全体を覆い、これが破られるほどの攻撃を受けた時にその内側だけに強力なフィールドを集中して展開する。全く運用データが無いわけだしあの子がいなかったらとても実現不可能だったけれど、まあ、ピンポイントフィールドシステムとでも言ったところかしらね」

ナデシコがいる為にヒリュウの死角となる領域の防空に集中的に当たるようにエステ隊に命令を下しながら、ユリカはのんびり考えていた。

(それって処理がものすごく大変じゃないのかな?……あの子って誰だろ?)

 

 

 

 

 

 

 

―――ヒリュウ改 艦橋―――

 

 

 

『ねえ艦長。後ほんの二、三隻だし一気に片付ける気、ある?』

「は?……はい。そのつもりでチャージ中ですけど……?」

戦闘も大方片付き、後は止めを待つばかりという時にブリッジに通信を入れてきたその女性は、我が意を得たりとむふふと笑った。

『それじゃあさ。まだ出すにはちょっと不安が残るけどエンジン回す分には何の問題もないわけだし、『連結モード』、試してみない?』

「あれ、ですか?でもジガンはパイロットがまだ」

戸惑い気味に返答を返すレフィーナに向かって親指を立ててみせる通信相手。

『大丈夫。前からシート狙ってる奴が手近にいたからとりあえずもう放り込んであるんだけど、どう?どうせ何時かはテストしなくちゃならないんだし』

レフィーナは僅かな時間逡巡して、アルフィミィに声をかけた。

「フィーちゃん、連結モードでトラブルが起きたとして艦の戦闘能力にどんな影響がある?」

「……ジガンにトラブルがあってもこちらから切り離せますし、特に影響ないですの」

その答えを聞いて一つ頷くと、レフィーナは通信画面に視線を戻した。

「わかりました、やりましょう。超重力衝撃砲連結モードへ!」

 

 

 

―――ナデシコ 艦橋―――

 

 

「……あれ?相転移反応が……、五つ……?」

「どうしたの?ルリちゃん」

ルリの珍しい訝しげな声にユリカが反応する。首をひねりながらも報告するルリ。

「ヒリュウに五つ目の新たな相転移反応。五基目の相転移エンジンを起動したと思われます」

「五基目?どうして〜、最初から動かさなかったんでしょう〜?」

エルナの当然の疑問に再び視線がイネスに集中した。実に気分の良さそうなイネス。

「残念ながらはずれね。ヒリュウの相転移エンジンはあくまで四基よ。ただちょっと、取り外しのきく『多機能型充電器』を積んでるだけ」

「「「「「「はあ?」」」」」」

またも一同呆気に取られる。今度はプロスが問い返した。

「……充電器ですか?」

「そ。歌って踊るのは無理だけど、巨体が唸って空も飛ぶわよ♪」

 

 

そして、ヒリュウ改から再び放たれた総エネルギー量がナデシコのものの2,7倍に達するグラビティブラストは、敵残存兵力を文字通り消し飛ばしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――ユートピアコロニー郊外―――

 

 

 

目の前にピンクの頭の青い機体が降りて来る。

自分の乗るビルトラプタ―に比べれば三分の一余りでしかないその頭頂高は、乗機を跪かせてもまだ少しこちらのコクピットの方が高い位置にあった。

もどかしげにハッチを開けて外に身を乗り出す。

「アキト!!」

着陸時に巻き起こした風もおさまらないうちに相手もハッチを開いて外に身を乗り出してきた。

一度は死んだと諦めたその姿が涙ににじむ。

「イツキ!無事でよかった……!」

懐かしいその声。もっと傍で聞きたくて、もっと良くその顔を確かめたくて、彼女は衝動的に足元を蹴って相手のコクピットに頭から飛び込んでいた。

 

 

「どわわわわ!」

落ちたらただでは済まない高さの事などお構い無しに飛びついてきた幼馴染の身体を大慌てで受け止める。

アサルトピットのシートに押し倒されるような体勢になって、思わず怒鳴りつけようとしたアキトはイツキの体が小刻みに震えている事に気付いた。

「夢じゃ、ないよね?アキト、ここにいるよね?アキト、アキト、アキト、アキトぉ……………………」

「…………ああ、夢じゃない」

そっと、背中に回そうとした手が触れるか触れないかというところでかなりお約束な邪魔が入った。

『あ〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!何やってるんですかアキトさん!!』

 

 

 

慌てるアキトときょとんとするイツキの周りに無数とも言える通信ウィンドウが乱舞する。

『アキト〜〜〜!!浮気は駄目〜〜〜〜〜〜!!』

『誤解を招く事言わないで下さい艦長!!アキトさんは私の恋人なんですから!!』

『わお!イツキちゃんたら人前で大胆ねえ。ねえキョウスケ、ここは対抗して私たちも』

『……対抗するような事じゃない』

『おお、火星の現地妻の存在発覚!アキト君やる〜〜♪』

『リンドウ科の生薬……。そりゃゲンチアナ……』

『……わかんね〜よ』

『あの、イツキ伍長?そういう事はあまり人前では』

『ブリット、お前も固えなあ。野暮な事言うんじゃねえよ』

『ばかばっか』

『イツキ、おめでとうございます……』

『くっくっくっくっくっくっく…………。てめえ一人幸せにしてなるものか……。月夜ばかりだと思うなよ……』

『『『『『『班長!!整備班一同、どこまでもお供するッス!!』』』』』』

『あ、あの、カザマ伍長?そういう事は、なるべく、人目に付かないように……』

『艦長、指の間から覗き見していては説得力がまるでありませんぞ?』

『い、いえ!あの!これはですね……!』

『ううむ、困りましたなあ。社員ではないお相手との場合服務規程には……』

『ミスター。今は勤務時間中だ』

『おお!冴えてますなゴート君!』

 

そんな、口々に好き放題を言う人々の顔に囲まれて互いの顔を見合わせるアキトとイツキ。

「どうやら、お互いに似たような環境にいたらしいな?」

「ふふふっ。そうみたいね」

騒ぎの真っ只中でほのぼのとした空気に包まれかけた二人に、また邪魔が入る。

『そこの人!!いいかげんアキトから離れなさい!!アキトは私の王子様なんだから〜〜〜!!』

『だいたいその人は何なんですかアキトさん!!』

他を圧する巨大なウインドウで迫るユリカとメグミ。

イツキは軽く息をつくと、気まずそうに頭を掻くアキトの横顔に目をやる。

「アキト……、『また』なの?」

「すまん……」

「もう……、毎度の事とはいえ……」

「だからすまんって言ってるだろ……」

疲れたように溜息をつくイツキ。

「もう、この場ではっきりさせちゃうわよ?」

「……その方がいいかな、やっぱり」

「私だって恥ずかしいんだからね?」

赤面しながらも唇を軽く尖らせて上目遣いに文句を言うと、手を伸ばしてアキトの頭を両手で捕まえてユリカとメグミの方に視線を向ける。

「そんなに知りたいならお教えしますけど、私とアキトは、こういう関係なんです」

そう言うや否やアキトの顔を自分の方に向けて、

『『ああ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!』』

ユリカとメグミの絶叫をBGMに、

「……ん」

ゆっくりと、唇を重ねた。

 

 

すぐに離れたが、周囲はそれこそ蜂の巣をつついたような騒ぎになっていた。

『あの、カザマさん?フィーの教育上そういう事は人前では慎んでいただけないかと……』

『かあさま?どうして目隠しするんですの?』

『ア、アキト……。アキトが…………。はう』

『ユ、ユリカ!?しっかり!!』

『あらあら〜。泡吹いて痙攣おこしてますね〜』

『……メグちゃんは硬直してるし』

『カ、カ、カ、カザマ伍長!?えっちなのはいけないと思います!!』

『艦長、冷静に。目が渦を巻いてますぞ?』

『ふ、ふふふ…………。たかがキスがなんぼのもんよ……!今に見てらっしゃい…………!!』

『あ、復活した』

 

「これやるたんびに大騒ぎになるよなあ……。っ痛!」

赤面したアキトがぼやいて耳まで真っ赤になったイツキに手の甲をつねられる。

「アキトが所構わず女の子ひっかけて回るのがいけないんじゃない。私が昔からどれだけはらはらさせられてきたか解ってるの?」

「いや、そんなこと言われても俺だって別に引っ掛けてるつもりは」

「その台詞は聞き飽きました!!」

膨れっ面でそっぽを向くイツキに苦笑して、背に手を回して抱き寄せるアキト。

「悪い」

「…………もう」

通信を全て着信拒否にすると、静かになったピット内で頬を寄せて互いの体温を感じる二人であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――ヒリュウ改 格納庫―――

 

 

 

振り返って催促してくる弾んだ足取りのイツキ。

「ほらアキト!早く!」

「あ、ああ」

一年四ヶ月ぶりの再会に心が踊る。

懐かしい声が既に耳には届いていた。

「あの〜、俺ジガンの調整に行きたいんすけど……」

「黙らっしゃい!!ジェネレーターとコンデンサー使っただけのジガンより戦闘こなしてきたこっちの方がずっと大変なんだから!!楽しようったってそうは行かないわよ!!」

聞こえてくる相変わらずの怒鳴り声に思わず苦笑いが出てくる。

格納庫の床に横たえられた巨大な大砲に取り付いてあちこちを弄っているその白衣姿の背中。

バンダナを締めた若い整備員を顎でこき使う傍若無人なその態度。

アキトは思わず声を張り上げて作業に集中しているその女性に向かって駆け出していた。

「姉さん!!」

そう呼ばれたその女性は振り返って軽く目を瞠ると、言った。

 

 

「あら愚弟。あんた生きてたの?」

 

 

六つ違いの姉、テンカワ ナツキの久方ぶりに再会した実弟へのあんまりな第一声に、思わず足を滑らせて顔面から床に突っ込むアキトなのであった。

 

 

続く


メカニックfile NO.2

PTX−006 ビルトラプタ―

陸戦型で、対空戦闘能力の低いPTの問題点を補うべく開発された可変型PT。

フライヤーモードという飛行形態に変形する事によって優れた空中戦闘能力を発揮する。

しかし、整備の煩雑さや同時期に小型化の目処がついた重力波推進システムの可能性によりPTを人型のまま飛行させる見込みが出てきた事などの理由で可変PT計画は中断され、本機も試作品の006R、Lの二機が生産されたに留まる。

だが、その基本性能は高く、006Rは予備パーツ用に解体されたが006Lは大戦中も火星戦線において多大な戦果を挙げている。

もしTPT計画がそのまま進んでいれば果たしてどのような機体が誕生していたか、軍事マニアの想像力を刺激してやまない。

武装

各種ミサイル×24あるいは800kgスマート爆弾×8

ハイパービームライフル、ブーステッドライフル他

 


後書き

 

はい、という訳で前回の後書きで述べたアキトの人格が安定している第三の理由。『物心ついた頃から姉のわがままと気まぐれの被害に遭い続けてきたのである程度精神修養ができているから』でした。

「アキトさんのお姉さんですか……」

うむ。幼いユリカに無い事無い事吹き込んだのも、アキトが拳法始めたきっかけも、皆を説得してネルガル火星研の技術提供を決めたのも、零式を完成させてしまったのも、ヒリュウの超重力衝撃砲を設計したのもみ〜んな彼女。

「なるほど。確かに黒幕ですね」

実は裏ではそれどころの騒ぎじゃなかったりするんだが……、まあ今は良かろ(にやり)

「まだ何かあるんですか?……まあいいです。今回『大戦』では添え物程度にしか使えない戦艦の主砲が大活躍でしたね」

ゲームでは主役はあくまでロボット達だからこその処理だろうが、本来そんな筈無いんだよな。戦艦の方がずっとでかくて大出力のエンジン積んでるし砲だってより強力なものが積める筈なんだから。まあ、常に最新技術がつぎ込める機動兵器と違って艦船は作るのに暇がかかるしそうちょくちょく改装するわけにも行かないってのもあるかも知れんが。

「完成するころには技術が旧式化している、ですか」

まあ今回の場合、フィールド抜かれたらたかがエステのディストーションパンチ一発で爆沈するようなハリボテ相手だし。

「フィールドさえ撃ち抜けるならそれで充分ですね」

 

 

代理人の感想

うーむ、DFをビームで撃ち抜けちゃうとナデシコ世界のお約束が崩壊してしまうような気が。

この作品はナデシコとスパロボのコラボレーションな訳ですが、原作の展開をぶっ壊したイツキの存在も含め、

さすがにナデシコ側の扱いが軽すぎるかもしれません。

スパロボ側と、オリジナル側(二次創作のイツキはオリキャラみたいなもんです)の両方から

ナデシコの構造が壊されてるように見えるんですよね。