※警告※

本作は果てしなくダーク且つ、壊れです。
一部に残酷描写を含んでいます。

――取り敢えず、私から見て。
しかも、逆行物SSに喧嘩を売っているかの様に見える設定があります。
更に文章・HTML表現の実験をしており、読みづらい部分が多々ある上、
フルスクリーン推奨らしいです。
最後に…アキト至上主義という方は絶対に読まない方が良い、と思われます。
以上の警告をまずはしっかりと、よく考えてみて下さい。
そういうのは肌に合わない、と思う方へは撤退をお勧めします。
それでも読む、という方は覚悟を決めて下さい。
それでは・・・














全てを残さず記憶するかの様に、真剣な目で私達を見詰めた後・・・







 明るく笑いながら・・・







『俺が帰るべき場所は・・・ナデシコだ!!
 皆が揃っているナデシコだ!!
 何処に跳ばされようと、俺は絶対に帰って来る!!
 例え、遥かな距離だろうと、時を超えても―――』 









パシュゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!











 最後の約束の言葉を残しつつ・・・
 ブローディアは・・・アキトさんは消え去りました。






 完全版

著者 脇役好き


 

 

「……ン……ここは…」

 アキトが目覚めた時、まずはじめに巨大なモノリスが目に映った

「遺跡…ッ! ここは何処だ!?」

 やや呆然としながらも、遺跡を見て急速に意識を覚醒させるアキト。
ふとその時、アキトは自分が生身で放り出されている事に気付いた。
ブローディアは…遺跡の横に立ったまま沈黙を保っている。
あのボソンジャンプの後、どうやら遺跡とは分離したようだが……

「ブロス! ディア!」
『ラピス! 聞こえるか、ラピスッ!』

 周囲を探りながら、リンクを通じてラピスにも呼び掛けてみる。
……だが、何度呼び掛けてもディアとブロス(AIズ)とラピスからの返答はなかった。

…来ましたか…あまり…大声を出さないでくれるかな?
 結構…いや、かなり空腹に響くのでね」

 突然背後から聞こえてきた声にアキトが振り向くと、ブローディアと遺跡の間、
丁度陰になっている所に…顔の肉がゲッソリと落ちて、着ている服さえもボロボロの男が座り込んでいた。
だがそれにも関わらず…羽織っているぶかぶかの白衣だけは小綺麗で、アキトは妙な違和感を覚える。

「やぁ、はじめまして。こんな恰好で失礼するよ、漆黒の戦鬼 ・・?
 漆黒の戦神 でしたか? テンカワ・アキト君」
「……貴方は…?」

 そう問いながらも、アキトは男と周囲を警戒し続けている。

「はは…そんなに警戒しなくても良いですよ。私は・・・












 もう一人の貴方なのですから」




「なッ! それは?!」

 流石のアキトも、この一見科学者風の男が『もう一人の自分』というのは驚きを隠せなかったようだ。
それに、肉が落ちて痩せこけているせいもあって元は自分と同じ顔という事に気付かなかったようだ。

「それを…説明したいのは、山々ですが・・・」


ピク…!



 とある単語を聞いて、アキトの体が微かに震える。
が、男はそれに構わずに男は話を続ける。

「なにぶん、時間が押していまして……ふ…ぅ。
 こちらまで、来ていただけませんか?」

 そう言って手を差し出した男の手は、顔からも見て取れる様に…ゴッソリと肉が落ちていた。

(間違いなく…もう、持たない)

 敵意も感じない、死にかけている『もう一人の自分』
この状況では、アキトは近付かざるを得なかった。
それは一つの優しさであると同時に、アキトの甘さでもあったのだろう。
 そして、アキトが男の前に立ったとき、


     カチャ…ン


 そんな金属音を辺りに響かせて、アキトの腕にコミュニケ(?)が填められた。

「これは…コミュニケ?」
「似たような…物です。中身は…AIです けどね…しかし、
 あぁ…お、終わ…る? 私は此処で…終わりですか!?
 死…死ぬ? 死んでしまう!? たった一つの『答え』さえ聞けない?!
 ここ…ここまできて! 後少しだというのに…全く持ってダメダメじゃありませんか!!
 ククッ……あ派歯、刃はハ破母」

突如として、男は壊れたかの様に笑い出す!
唖然とするアキトの前で、男はしばらくの間嗤い続けた。

「クッ区狗久・・・いやいや、こんなに…笑ったのは……本当に。久し振りです…」

「最高だ…最低だ。」

「クダラナイ! 面白い!」


「ツマラない?!」


「本当に笑エますNE!!」



「これこそ喜劇的悲劇か!!!」



「こレ臥『愉快』ト言宇もノ化!!??」





















「ああ…実に……不愉快だ」











男がゆっくりと











崩れ落ちた







「…ッ! オイ! 大丈夫か!?」

 男の狂態に動く事も忘れて立ちつくしていたアキトだったが、
その時になってようやく我に返り、男を抱え起こしてみる。
しかし…男は既に事切れていた。

(もう一人の、俺? これは一体何だって言うんだ!?)

 呪詛と祝福、哄笑と高笑、罵倒と喝采を…
ダレかに、ナニかに向けて…矛盾を叫んで男は死んだ。
最期に遺したのは、アキトの腕にある遺品…そして、「不愉快」という言葉のみ。
あまりにも唐突な展開に混乱していたのだろう、アキトは普段の冷静さを欠いていた。

「何なんだよ、これは。何処なんだよ此処は!
 ・・・何が言いたかったんだよ…オマエは
「フ…ここからは私の出番ですね」
「だ…誰だッ!?」

 その為、コミュニケが声の発生源である事に気付かず、辺りを見回してしまう。

「おや…映像が出ていませんか? それなら・・・これでどうです?」
「お、前…」

 2度目の声と共にアキトの目の前にウィンドウが開く。
そこに映っていたのは、つい先程死んだあの男だった。
死んだ男と比べると遙かに肉付きが良く、血色も良い。

「やぁ……『はじめまして』戦神クン。
 私の名は『センティネル』
 気軽にセンちゃんとでも呼んで下さい」
「だ、だがお前は…!」
「そこで死んでいる『私』とは、一応別物ですよ?
 私は私であって『私』ではありません……ややこしいですがね」
「…一応、解った。解った事にしておく。
 色々言いたい事とか聞きたい事があるが、
 取り敢えず……センティネル」

 顔つきこそ自分の物ではあるが、落ち着いた服に白衣を着ている為か、
或いは単に男である為か、アキトも流石にセンちゃんとは呼べなかったようだ。

「何か?」













「説明には、区切りを付けて欲しい」















「・・あまりメタな事言ってると・・・・」




















作者が消しますよ?


















「さて、まずは私の事から話しましょうか」
「チョットまて! 今の発言は何だ!?
 つか今、オマエもボソッとメタな事言っただろう!!」
「何の事やら? …あぁ、フレサンジュ博士級の説明が欲しい、と。
 そういう事ですか? 無駄に長いのは好みじゃありませんが…解りました。それD「ごめんなさいもういいませんゆるしてくださいマジかんべんしてください!!!」・・・」

何故かアキトのトラウマを突いてきたセンティネルに、アキトは無条件降伏した。

「フッ…他愛もない。さて、それでは気を取り直していきましょうか。
 私は『私』が作り上げたこの世界で最も優秀な超人工頭脳(AI)、センティネルです。
 残念ながら、私を越える物が生み出される事など最早有り得ませんが」
「……どういう『意味』だ?」
「それはもちろん、宇宙最高の頭脳…となった『私』の知性と、フレサンジュ博士の説明能力。
 当然、機械との親和性は『マシンチャイルド』など比較にならない物がありますし、
 その上、ミスマル・コウイチロウ宇宙軍大将の戦略眼と、その娘ミスマル・ユリカの戦術的閃きを持ち、
 ネルガル怪長会長アカツキ・ナガレのひねくれ属性、ネルガル会計秘書『プロスペクター』氏の属性や、
 木連暗殺部隊隊長・北辰のロリ属性。更にマキ・イズミ氏のギャグセンスがあって、
 アマノ・ヒカル、ウリバタケ・セイヤ両名のヲタク魂まで併せ持っている…
 ついでのオマケ的余剰機能でヤマダ・ジロウ、木連人男性の熱血いてますが。
 この問答無用存在(ワ・タ・シ♪)に適うモノが存在する……と言えますか?」
「じょ、冗談…だよな……?(って、北辰…やっぱりロリ属性だったのか?!
 ヌッ殺すの正解? ぜんぜんOK? それが世界の選択だ?!」

 アキトがドでかい汗を頭に張り付けながら言うと、

「何言ってるんです? 当たり前じゃないですか。
 それより、良いんですか? 途中から考えている事がダダ漏れですけど」

 センティネルはしれっとした表情でそう返した。

「グ…こ、こいつは……! ・・・・・ふぅ、まぁいい。
 それで、結局『オマエ』は何なんだ?」
「ふむ・・私ですか。『私は何か』…哲学ですねぇ。ですがまぁ、『私』のコピーもどきというのが妥当でしょうね。
 …戦神クンは『究極の人工知能は人間と変わらない』という話を聞いた事がありますか?」
「あ、あぁ…あった、ような気はするが」
「私の場合、それを逆にしたのです。つまり…」
「人間は…究極の人工知能と、イコール。人間をAIに、だと……出来るのか? そんな事が」
「意外と理解力がありますね。正解です……出来るのか? と問われれば、
 実際に出来たのが私だ、と…そう答えるしかありませんが。私の記録では、
『私』が遺跡の56.7%を解析した頃の副産物――技術――で作る事が出来たと、そうありますが」



「しかし、あの男とオマエとでは性格が変わっている様な気がするが」
「では聞きますが、もし戦神クンがAIを作るとしたら……
 わざわざ忘れたい記憶を組み込みますか?
 既に忘れた過去の記憶を組み込めますか?」
「そうか…そう、だな…解った。それで本題だが」
「何でしょう」
「『この世界の俺』は、遺跡を研究していたんだよな?
 半分以上解析できた事は解ったが、
 その後は、どの位進んだ?


 俺は…還る事が出来るのか?」










「可能です・・・いえ、戦神クンが還る事は確定しています









その答えを聞いたとき、アキトはただ安堵と喜びに包まれた。

(還れるんだ…また、逢える……!)

かつて居た世界へと還る思い故か・・・
センティネルの言葉の『意味』も見えず、
苦難の可能性など、考えもせずに。



無垢なほど…『家族と仲間達』だけを思っていた・・・





「ただし、それはこの世界での役目を終えた後です。戦神クン





「役目? それは・・・?」
「その前に、場所を変えましょう。
 流石の戦神クンも立ち続けるのは疲れるでしょう?」
「あぁ…そうだな。何処か適当な所に案内してくれないか?
 ついでに、その戦神クン(よびかた)もどうにかして欲しいんだが」
「いえいえ、それには及びません。私はあれがイイです。
 呼び方はそう『定義』されているので、例え私が壊れてもイイとは言えませんが」

 そう言って自身のウィンドウの方向を変え、指さした先には――ブローディアがあった。

「ブローディア? どうして…ブロスもディアも反応しなかった。今は動かない筈だが?
 …ところで、どうして俺達は一度に二つの事を喋ってるんだ?」
「いや、アレが動かないのは大した事ではないのですが…
 話し方には触れない方が良いですよ? もう終わりますし。作者の気まぐれだったんでしょう
「ふむ(またメタな事を…)」
「アレは…戦神クンに余所へ行かれても困るので、此方に呼び寄せた時ついでに『強制停止(ストップ)』させました」
「なッ!!!」

 センティネルは軽く言っているが、ブローディアに『強制停止』を掛けると言ったのは、
ブローディアにハッキング…いや、クラッキングしたという事であり、それは
電子戦でブロス&ディアを同時に相手取ってうち勝った…そういう事だ。


――半端なモノに出来る事ではない。


「…私じゃありませんよ? やったのはそこの残骸(ワタシ)と、『遺跡』です……が。まぁ、
 多少ブローディア(アレ)が必要なだけで、強制停止自体(その辺)は割とどうでも良い事ですけどね」
「そ、そうなのか? (まぁ、さすがに超演算装置という遺跡が相手では分が悪かったのか…」
「…戦神クン。またもや思考がダダ漏れですよ・・・と、ここがコクピットですか」

 アキトはセンティネルと話している間に、ブローディアをコックピットハッチまでよじ登り、
それを非常用手動開閉装置で開けて中へと入り込んでいた。

「さて、それではハッキングといきますか。今から多少
 ……
 電波とかを垂れ流しますが、
 まぁ、戦神クンなら大丈夫でしょう」
    ・
    ・
    ・
「待て! マテマテマテッ! 今サラッと不穏当な事言わなかったか!!?
 つーか、電波とかってナニ?! あ、コラッ! ヤメロォ! ジョッカー!」
「何気に余裕ですねぇ。な〜に、ぜぇ〜んぜんおっけ〜♪ オールクリーン、世は全て古都も無し。
 戦神クンは不死身属性ついてますし、『主人公』でしょう?
 さてさて、それでは・・・」




『ブローディア』アクセス開始



省略



『ブローディア』デバッグ起動




「うわ、サクッと飛ばしたな……」
「手は抜いていませんよ? ただ、【OK】とか【発進】とか幾つもウィンドウを出すなんて無駄でしょう?
 何百・何千行のコードをだだ〜っと流した所で、気にする人も読める人も居ませんし…
 だいたい、起動できたら動くし、起動できなければ動かない。
 表示なんてエラーした時だけでイイんですよ」


「センティネル、おまえ・・・ナデシコに喧嘩売ってるのか?」


「いえ別に…さて、それでは戦神クンの役割を果たす為、行きましょうか・・・」

 そう言って、センティネルはブローディアのブースターを噴かした。
センティネルが強制停止に陥ったブローディアにハッキングを仕掛けてシステムを乗っ取っり、
デバッグ起動によって動かされるブローディアは、パイロット(アキト)の意志で動かす事が出来ない。
また、A.Iもデバッグ対象となる為、ブロス&ディアは完全に停止している。
 酸素供給、スラスター角度調整、カメラ操作等々、全てはセンティネルの意のままに・・・




 そしてブローディアは…『ユートピアコロニー』と呼ばれた都市――現在は廃墟――の上空一万キロメートルで静止した。
小さな映像だが、外部カメラに映るかつて暮らした街を見て、アキトが辛そうに顔を歪める中、
『アキトの役目』を話す…センティネルの静かな声がコクピットを包む・・・




「何一つ難しい事はありません。
戦神クンが知り
戦神クンが見て
その後で『私』の質問に答える

ただ、それだけの事ですよ」




「答…え、る?」





「そう、戦神クンの『答え』
 それを聞く為に…
『私』は戦神クンを呼びました






「そんな、そんな事の為に俺は」
「確かに、呼ばれる側にとっては迷惑以外の何物でもないでしょうけどね。
『私』は…いえ、『私達』は…戦神クンがどう答えるのか、どうしても知りたい。
 その為にまずは、戦神クンにって貰わなければなりませんね……では」

 そう言ってセンティネルはウィンドウを拡大し…



センちゃんの科学世界講座

 

「良い子悪い子普通の子、多分どれかに当てはまる。
 そんな戦神クンの為、世界講座の時間がやってまいりました。
 講師はワタクシ『センちゃん』こと、センティネルでお送りします」
「・・・は?」
「それでは最初に、今までのおさらいから行きましょう」
「せんせ〜」

アキトは意外とノリが良かった。
ナデシコクルーは伊達じゃない! という事だろうか…?

「何です?」
「それは必要なんですか?」

 ウィンドウに映るセンティネルは、何故かビシッとしたスーツに例のぶかぶかな白衣を羽織り、
右手にチョーク・左手にポインタを持って、背景――黒板の前に立っていた。
授業参観時の科学教師に見えない事もない。

「フッ…これは」
「?」
「趣味です」

ちゅど〜〜ん!

 何処かでそんな音が聞こえた気がしたアキトだった。

「気を取り直して、まずは戦神クン。『並行世界』…或いは、『並列世界』という言葉を聞いた事がありますか?」
「ああ。その位なら俺でも知ってる。
『自分の世界とは違う可能性を辿った世界』……でいいんだろう?」
「違います。不正解です。ぶぶ〜。ばってんです。戦神クン、減点1」
「ち、違うのか? (何もそこまで言わなくても)」
「戦神クンが言ったのは『確率世界』又は『可能性世界』というものです。
 並行世界は、只単に並行して存在する別々の世界。
 それが自分の世界とは別の道を辿る事もあるというだけの話です。
 並行世界も確率世界も、大した違いはない……と、『私』は思っていたんですけどね、つい最近までは」
「それに、どういう意味が…」
「解らない? 解らないでしょうねぇ……フ…優越か〜ん♪」
「()講師なんだろう! さっさと説明……はッ! シマッタ、(しま)った!」
「(ニヤソ)…ククククッ・・・この時を待っていたのだ! よろしい!

説明しよう!!

 ああ…屈折2×年。とうとうこのオイシイ場面を私が・・・
『私』! フレサンジュ博士! 見てて下さいましたか〜〜!!
 私はやりましたよ〜〜〜〜!!!」

「!! どこかで私の出番が取られたような……」
@ここではないどこか

「チッ…ええい、この、 うっとおしい!! さっさと言え!」
「はぁ、はぁ・・・あ〜…私とした事が、取り乱してしまいましたね。
 では続き…いえ、先にこちらからですね…『歴史改変による時間軸の動き』です。
 戦神クンは、一度時を遡って全てをやり直しました。それではその時、世界が…
 時間がどうなったと思いますか? 上書き? それとも、別の並行世界を創ったのでしょうか?」
「それは……解らない。どうなったか、知っているのか?」
「ええ。『私』は…戦神クンの『あのジャンプ』後も体はそのままでして。
 あの地獄の中…狂科学者ヤマサキに打ち込まれた、
『遺跡からサルベージした』等という詳細不明のナノマシン群を取り除く為…
 そして全ての『元凶』だと思っていた、遺跡の解明に執念を燃やし続け……
 結果的に、世界と…時を垣間見ることに成功しました。
 時間逆行の結果は、並行世界が創られたのでも、時が上書きされたのでもありません。
 時はただ、その後に続いていただけです」
「後に? どういう事だ?」
「戦神クンの場合で言えば、ナデシコ出航前から『あのランダムジャンプ』
 までの時間の後、再びナデシコ出航前に移動しました。
 しかしそれは、『あのランダムジャンプ』の後に時間移動した後の戦神クン達の時が続いているだけで、
 世界は何も変わっていません。ヤマダ・ジロウやサツキミドリの人間は死にましたし、
 木連の火星人虐殺も、戦神クンが受けた人体実験なども過去に起きた事実です。
 そして未来…『あのランダムジャンプ』の時が来ると、本来流れる筈だったその後の時間…
 いえ、戦神クンの『時間移動によって変化したその後の時間』が流れます。


 さて、その時の『並行世界』と『可能性世界』にいきましょうか。
 時間逆行による『時間の継ぎ足し』が行われると、先に挙げた例で言えば…
『時間移動前のナデシコ出航』から『時間移動前のあのランダムジャンプ』までと、
『時間移動後のナデシコ出航』から『時間移動後のあのランダムジャンプ』の時までが、
 歴史の本流、或いは唯一絶対の歴史となり、他の並行世界は全て『時間移動前のナデシコ出航時』
 以前の歴史を破棄されて『時間移動後のナデシコ出航時』を基にした可能性世界へと変化します。
 可能性世界はその名前通り、様々な可能性を模索します。例えば、『影護 北斗が表に出ない可能性』
 例えば、『犠牲者が最も少ない可能性』…それらの模索は、『時間移動後のあのランダムジャンプ』の時が来るまで続き、
 その時……時間移動者の特異性が消えた時…模索した可能性の結果を継いで、再び並行世界としての時が流れ始めます。


 何故そんな事が起こるのか? それは、並行世界の均衡が崩れるからです。
 通常、全ての並行世界の質は完全に等しい。しかし、ある世界に異分子……時間移動者が入り込むと、どうなります?
 当然均衡は崩れ、異分子が入り込んだ世界のみがプラスになる。
 するとプラスになった世界は優性となり、その他の世界は劣性となります。
 これこそが『時間移動を起こした世界』を歴史の本流とする原因……と、考えられます」
「ま、まて! 待ってくれ…整理する時間をくれ。あ〜…え〜と……」

 センティネルの長い説明の後、アキトは少し時間を貰って頭の中を整理しだした。

(時間移動はやり直しではなくて…その後に続く? 2201年の後に2196年という事か…?
 それに絶対の歴史になる、という事は……
 ガイは、サツキミドリの住人は、ジャンパー達は…彼等の死は、
 絶対の歴史となってしまったのか?! あの事故のせいで!
 ……? いや、だが…今は生きているし、普通なら絶対の歴史など見る事はない。今はこれで良い…んじゃ、ないのか…?
 そういえば、前に月へジャンプした事もあったな…あの時は2週間だったが…そうなると)


「それなら二週間遡った…いや、継ぎ足して月へ『ジャンプする前の俺』は……誰だ?
 俺は・・・本当に俺なのか?」

「さぁ? 戦神クンかも知れませんし、他の『テンカワ・アキト』だったかも知れません。しかし、
 それを問うことに意味はありません。そして『絶対の歴史を生きている』戦神クンは、確かな『現実』です。
 …さて、と。取り敢えずここまで説明すれば、戦神クンの世界が『絶対の歴史』であり、
 この世界が『可能性世界の内の一つ』だという事は理解出来ますね?」
「あ、あぁ……ん? それじゃここは、一体どんな可能性なんだ?」

 その言葉に、センティネルは何とも『曰く言い難い』表情を作る。
だがそれも一瞬の事で、すぐにニヤリとした顔をして


「それは、後のお楽しみです」


とだけ言った。




「戦神クンはこれで十分に『知』りました。
 いよいよ後半…『見る』の時間です」

 そう言ってブローディアを動かし、外部カメラの方向を元・都市へと向け、ゆっくり…ゆっくりと、拡大し始める。
と同時に、自身の記録なのだろうか…センティネルが姿を消したウィンドウに、戦場を映し出す。

「何を・・これは北辰、か……? いや、違う…? まさか…北斗!?」
「そう…<真紅の羅刹>たる、彼女…『影護 北斗』です」
「何故だ? 何故彼女が表に出る事がある!?」

 戦場の中心で他を圧倒する一体の紅いマジン。
舞うように…とはいかないものの、まるで先が見えているかのように的確な動きをし、
自機の性能、敵機の性能、戦況を冷静に見定め、常に最適な攻撃、防御、回避、反撃をする……
 その『破壊の名手』ぶりは、まさしく<真紅の羅刹――影護北斗だった。

「彼女は…この『世界の可能性』を実現する重要なファクターでした。
 例え戦神クンが居なくても、表に出て来る事はある…それと、ソレが有効なら
 戦争初期に有人機が出て来ることも。それらも一つの可能性でしょう?
 しかし、この世界の可能性は更にタチが悪い……」

 コクピットに映る外部映像の拡大は都市全景を見渡すくらいの物となったが、
センティネルはそれに構わず、ウィンドウに映像を流し続ける。

「やがて、ジン・タイプによる圧倒的戦技でさえ彼女の実力が出し切れていない事に気付いた木連軍は、
 戦術的勝利の更に上……『戦略拠点の奪取・破壊』等を彼女に行わせる為、
 クリムゾングループからIFS技術の供与を受け、彼女の為の『武器』を模索し始めます」

 次に映された物は、赤の色合いが深い夜天光…に似た機動兵器が戦場を駆け回る、そんなシーンだった。
ある時は地球で、ある時は月で、またある時は宇宙で……その戦いはまるで留まる所を知らないかのように。
また、ソレと相対できる者がいない地球側は次々に敗北を重ねたようだ。

「北斗と…夜天光……なのか?」

 鈍重なジン・タイプでさえ発揮できていた『戦闘技術』…それに加え、夜天光のIFS採用によって
思考通りの操縦や反応性の向上、小型・軽量化による高速戦闘・強襲が可能となった。デメリットとしては、
軽量化の為に相転移エンジンから無人兵器のジェネレーターに切り替えた故の出力低化・打撃力低下だろうが…
 それでも尚、彼女は強かった。まさに『足りない分は腕でカバー』を地でいっている。

「ええ、まぁ…名前こそ夜天光ですが、基本性能は戦神クンの言う『夜天光』の七割弱…程度、ですね。
 しかし、ここに来て戦局は大きく変わります。もともと戦略の失敗・戦術の敗北・技術の格差で押されていた地球側は
 彼女の駆るジン・タイプ、夜天光…そして、彼女をサポートする為に登場した有人戦艦・機動兵器によって
 通商破壊、戦術的勝利、戦略拠点の奪取・破壊を繰り返され、更に追い詰められていき・・・」

 ウィンドウには砲火で辺りを牽制しながら夜天光他数機の無人兵器を収容するシャクヤクの姿があった。
これはシャクヤクが木連に奪取された、という事だろうが…


 シャクヤクは隙を見て機動兵器では荷が重い相手を強力な砲火で撃ち落としている。更に戦況をよく見ながら艦を動かし、
各機動兵器が補給の為に収容する時も、再出撃の時も、必ず出来てしまうを見事にフォローしている。
北斗の後で補給に入った、六連に似た機動兵器の収容・再出撃の時も上手く辺りを牽制し、一機も被弾させていない。
 これ程の『眼』を持つのは、全てに優れると言われる優人部隊レベルか、或いはそれ以上…といった所だろうが、センティネルの言った『彼女のサポート』を考えれば、有人機も併せて恐らくは『東 舞歌』と『優花部隊』の面々であろう。
……『四方天』たる舞歌が此処にいる理由を考えてはいけない。何故なら、彼女はそういう人だから。
今も優花部隊の面々とチョットお出かけ、という気分なんだろう……多分。




 だが…彼女達の勇躍する中、唐突に…破局は訪れた……

「追い詰められた地球側は彼女達に対して・・・」










「核を使用しました」










ウィンドウに映る夜天光はシャクヤクから飛び立った後、幾つもの弾幕をかいくぐり、宇宙(そら)を駆け抜ける。
そして・・・夜天光の正面、とある戦艦から発射された一発のミサイル…
それを夜天光はすれ違うようにかわして、その戦艦へと肉薄――しようとした時、











ウィンドウが圧倒的な光量で埋め尽くされる!














光が薄れたとき後には、何も残されていなかった。




夜天光も…


エステバリスも…


シャクヤクや六連も…




――ミサイルを撃った当の戦艦でさえも。





「馬鹿な! 何故こんな事」
「さ〜て、何故でしょうカ? あの爆発規模からして、おそらく戦略核でしょう。
 こうなると、ムネタケ・サダアキも哀れなモノです。知らなかったのでしょうね、
 自分が撃ったミサイルがどれほどのモノか……」
「ム、ムネタケ!?」
「はい。あの戦闘の一週間前、戦艦の艦長に就任しました」
「! 使い捨てか・・・一体、どうしてこんな……」
「核使用については何一つ情報が残されていませんが……
 まぁ、裏事情まで深く読めるような方なら、或いは知る事が出来るかも知れませんね」

 その後の動きは、まさに惨憺たるモノだった。
かつて木連人達の祖先が受けた『核』は、木連軍…いや、木連全てを地球の敵にした。
『あのランダム・ジャンプ』の時以降、 木連軍の最前線に立って悪の地球人を軽々と倒し続ける・・・
その勇姿から軍・民・政を問わず戦女神と呼ばれ、崇められていた影護北斗の抹殺に対する『怒り』と、
その彼女を殺した方法――まさに味方ごと全てを抹消する――という地球の示した『狂気』…そして、
古い世代は身に染みて分かっていたものの、若い世代には伝わりづらかった『核の恐怖』・・・


 木連議会や軍での弾劾演説、TV・街頭宣伝等…全てが『地球人抹殺』を叫んでいた。
開戦前、地球と歩み寄ろうと動いた穏健派…その彼等でさえ、全員が徹底殲滅を望んだ。
 何故か? 殺さなければ殺されるのである。敵を倒すのに、味方ごと消し去るような破滅的狂気によって……
ムネタケの撃った戦略核は、多くの地球側兵士達――戦艦1、巡洋艦2、空母1、駆逐艦5、機動兵器無数――を巻き添えにしていた………その数は千人どころの話ではない………
この事実を前に狂気を感じない方がどうかしているだろう。木連は『次』を感じて震撼していた。


 本来であれば強硬派首魁でありながら、戦争そのものを冷徹な『眼』で見続けていた、
木連主導者の『草壁 春樹』が政・軍・民を押さえる……筈であった。だが…
前線に立つ兵士達…そして、かつて核を見た古い世代の恐慌は、並みの物ではなかった。
草壁のカリスマ・影響力や、四方天の西こと『西沢 学』の内治能力を持ってしても混乱は長く続く……
 そんな中、木連全体が混乱状態にある隙をついてたった一人…
木連内部でも秘中の秘であった『核』を、盗み出した者がいた。
『紫苑 零夜』…かつて北斗と共に戦場を駆けた、彼女に最も近かった者である。
彼女は偶々風邪を酷くこじらせて、あの時の出撃に参加できなかったのだ。
そして…彼女は北斗と舞歌、優花部隊の仇を討つため、六連もどきでチューリップを潜った・・・核を抱いて


 翌日、木星だけではなく、地球でも恐慌が起こった。零夜の核自爆……
それは、大量の無人兵器、ディストーション・フィールド、グラビティ・ブラスト、そしてチューリップ…
それらに次ぐ驚異が現れた……というだけの話ではもちろんない。放射能は資源・人的資源・被爆者問題等々…
様々な被害・問題を起こす上、零夜の自爆した場所――軍事基地なのだが、市街地が近かった――から、
それまで高見の見物を決め込んでいた一般市民に『自分たちも攻撃してくる』という認識を地球圏の人間に植え付けた。
それによって起こる恐慌は木連の比ではない。地球圏にはまだ百数十億を数える人々が住んでいるのだ。
零夜の自爆で『自分たちは安全』などという幻想から醒めさせられた市民達は議会を突き上げた。


 すなわち・・・「何を躊躇うことがある!」…と。


 地球連合の議員達は、自分や市民達の生命……そして、己の政治生命の為、市民達の突き上げに迎合した。



地球側はついに……核戦争を決定してしまったのだ。




「ここまで見れば解るでしょう? この状況から導き出される答え
 ・・・核による報復合戦・・・木連強硬派ですら誰もが躊躇った『核』でしたが・・・
 紫苑零夜…彼女の暴走は、彼等木連人の、『地球を押さえて現在の苦境を脱する』…
 という政・戦両略を捨てさせました。核戦争を完全に、覚悟してしまったのです。
 早く()らなければ核が来る…そう考えたかどうかは解りませんが、木連はそれまでの艦隊に加えて
 火星から、月から……チューリップによって、核ミサイルを送り、あとは・・・禁忌のない泥沼ですね。
 地球側は更に各国の秘匿していた戦略核・戦術核を掻き集め、更に増産し、
 月に駐留していた艦隊にそれらの核を持たせて、木星へ直接攻撃に出ます……
 その結果、太陽系人類の実に99.8326%が死にました。残りの人間も今年は越えられないでしょうね」
「何故だ、なぜ…ナゼ……」

 アキトには、何故『双方が全滅』するまで戦い続けたのか解らなかった。
それも当然だろう。ここまでの被害が出ながら、停戦や終戦の交渉が無い方がおかしい。
 だが・・・アキトには知る由もないが、それらの交渉団は『何故か攻撃範囲にいた』り、
或いは『シャトル発着事故』『航宙の最中大型デブリと衝突』などといった事態に遭っていた。

「Haっハッは〜♪ なゼ? せん字ンクン! それヲ言いまスカ? はハHA……
 何故なラば! 何故ラらバ!! ナゼなラば!!!




『最悪』ノ可能性だ殻ですYO!




 この世カいは全てガ『最悪』の方向へト向カいまシた!
 さぁ! 目ヲ開きなサい! 見rUべきモノを視るノです!?」

 最終殲滅戦争を映していたウィンドウには、いつの間にか…『この世界のテンカワ・アキト』の最期の姿が映っていた。
落ち窪んだ目に狂気の欠片を宿し、肉の落ちた顔と伸び放題になっている髪…
その姿は何か、途轍もなく恐ろしいナニカに見える。
 そして、話し終わる頃に見えるようにセンティネルが調整していたのだろう、
ブローディアの外部映像拡大は…とうとう地表の人々さえ映るほどになっていた。


促されるまま、アキトが力無く顔を上げるとそこは・・・地獄だった。


被爆者の群れ…『この世界のテンカワ・アキト』同様、もはや骨と皮だけに見える彼等は・・・






共食いしていた






「コレはもはヤ何処2でもアる光景ですよ! 食べル物さEなく、汚染のせイで作る事モ出来ナい!
 それデも生きよウとするナらばBa、自分以外ヲ喰らうしかナイでしょu!?
 ソの自分以外トて…モはやニンゲンしか居mAせん氏ねェ!!」

 もう殆どの力が無いのか、まだ生きている者に口だけで囓り付く者もある。
その囓り付かれた者は…腐敗して蛆の湧いた腕の肉がゴッソリと持っていかれる。しかし、
こちらももう、抵抗する力が残っていないのだろう…されるがままになっている。


 より悽愴なのは、自分の肉を抉って子供に与える母親だろう。
既に乳房は無く、ボロボロになった体は刃物など必要とせず、簡単に抉れる。
禁忌の薄い…或いは、仮想の事として見る者には、『醜中の美』とも見えるだろうが・・・
紛れもなくこれが…この世界での現実であり事実、又は真実なのだ。


 それらの悪夢は、顕現した地獄は・・・圧倒的な現実感(リアル)を持ってアキトに迫る。


「おや?! こレは珍しイ! 見て5覧なサい、線塵君! 子供がイきてmaすヨ!!
 銃ナど持っ手……大人オ狩ろうトしていル様DETHネ!?」

 センティネルがカメラを操作すると、フラフラとしながら銃を構える子供が映った。
身長1メートル半程度の彼(彼女?)が構える銃口の先には…屍肉を貪るのに夢中な老人が居る。

「HOヲ! なかナか様にナってIるじゃA〜りまセんか!
 いッ他イ、DOれだけ撃っテきたのでShowね?!?」
「どうして……こんなものを俺に見せる! 俺に何の関係がある!!」

アキトは力の限りに拳を握り締め……泣いていた。
悪夢の現実に。
無力の絶望に。

「オや、解ってナい! 解ラない!? ソうでスかァ〜♪ アははハはは・・・
 これハ! 戦神クンが望ンだこトだとIUのに??!!」
「そんな…そんな馬鹿な事!」

 センティネルはアキトの顔を少しの間つまらなそうな表情で見やり、今度は無表情になって再び話し始める。

「戦神クンは……『二度目のランダム・ジャンプ』が起きた時、何を想いましたか?



憧憬したでしょう・・・嘗ての生活を

絶望したでしょう・・・現在の自分を


想像したでしょう・・・以前の跳躍を



希望したでしょう・・・過去の改変を!





 ……偶然の時間跳躍など、数千万分の一以下の確率に過ぎない。
 一度はそれで助かりましたが…何故、戦神クンに『二度目』が起きる?
『他のテンカワ・アキト』は『あのランダム・ジャンプ』が起きても時空の狭間に落ちて消えたというのに。
 ……カンタンな事。そう、答えはいつだってシンプル・・・
 戦神クンはソレを望んだ。消えた彼等はソレを望まなかった・・・」
「俺が、望んだ? 望んだから過去へ行ったというのか!?」

パンッ!

グチュ

…ドサッ

ブローディアのコクピットに、銃の反動を受けて…とうとう力尽きたのか、背中から倒れ込む子供と
頭から血を流して屍肉の中に突っ伏す老人の姿が映された。

「そう……それだけのことです。A級ジャンパー…<遺跡の後継者>にはソレが可能でした。では、
 戦神クンと、ランダムジャンプで消えたジャンパーの違いは何か? それは、ただ一つの違い……
 時の流れに従う(逆行を否定した)者達は、現実を受け止める覚悟があった。
 時の流れに逆らった(逆行をのぞんだ)少数の者には、その覚悟がなかった。




―― さぁ・・・そろそろこのクダラナイ物語に、幕を引くとしましょうか ――




 この世界とて戦神クンの世界と同じ! 只の『並行世界』だったのに!
『最悪の可能性』などという『可能性世界』へと変化してしまった!!

 偶々病気で置いて行かれた紫苑零夜が狂気に走った!
 紫苑零夜の六連がチューリップから出た先には偶々市街地の近い軍事基地が見えた!
 戦中、敵陣営と交渉しようとした者達は何故か死んだ!
 撤退しようとした者が偶然味方の誤射を受けた事もあった!
 最後には厳重なセーフティが有る筈の核ミサイルが何故か暴発した!

 それもこれも全て! ここが『最悪の可能性』を押し付けられた世界だから!!
『最善の可能性』ならさぞかしイイ世界でしょう!
 戦神クンの世界が向かう先など『私』達の知った事ではない…しかし!
 この世界はどうなります!? いずれ並行世界に戻ったとしても、もう此処には誰もいない!!
 解っていますか戦神クン!
 戦神クンが過去を望んだ事でこの世界は『最悪の可能性』となった!!
  戦神クンがこの世界を、この世界の太陽系人類を滅ぼしたのですよ!!
 戦神クンにとってはただの可能性世界…ですが!

 ここで生きる『私』達には『確かな現実(全てリアル)』だというのに!!」

「グッ…クグウゥうう、ぁ……ぉぉぉおお・・・!!!」

 アキトはセンティネルの――この世界の住人の弾劾を、ただ聞く事しかできなかった。
例え握りしめた拳から血を流そうと、噛み締めた奥歯にヒビが入ろうと。
ただ、受け入れる事しかできなかった……








「ようやくフィナーレの時間です。さいごに、『私』からの質問を・・・」









かつて、地獄に叩き込まれた『あなた』が













今度は自らの手で地獄を創り出した・・・

















今の気分は如何ですか?

























戦神クン?





















「ぅぅ…ぁぁああ・・・あぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」

















アキトが……否、ブローディアが……蒼き光に包まれる!


アキトとブローディアはここから――この世界から消え、
そして・・・・・センティネルのみが残された・・・・・


「ふむ…逃げますか・・『ここ』を否定し、自らの世界をのみ望む。それもまた、一つの『答え』……ですかね?
 まぁ、私にはどうでもいい事ですか…取り敢えず『私』が言う予定だった事も代弁しましたし。
 ですが、彼の腕にあった私が残されるという事は…『現実の世界』が、私の存在を拒絶したのですか……?
 となると、ここから移行しようとして失敗した…つまりは、時空の狭間き確定(ランダム・ジャンプ)ですか!
 ボソンの光…おぉ…やはり、私が消えていきますね!? これは面白い。この先も興味深いです、ただ・・・
 上空一万キロメートルから落下しつつ消えるなんて……

 私はスペースデブリ(宇宙のゴミ)か何かですか!?

 扱いの改善を要求するぅ〜! なんてね♪」

『この世界のテンカワ・アキト』が死んだ場合の代役…という、己の存在意義(レゾンテートル)を完結したセンティネルは
自分で自分をワライながら……ふと、もう一人の自分を思い出した。

「『私』はあの馬鹿げた質問に対する戦神クンの答えこそ聞けませんでしたが…遺跡によって無理矢理
 戦神クン(現実存在)を呼ぶ事で『自分を現実にする』…という、もう一つの目的は達成されたのでしょうか?
 太陽系人類滅亡というこの可能性世界が――例え『現実世界』とは別にある『何処かの世界』の事になるとはいえ――
『絶対の歴史』になる事も躊躇わない…狂気の(イカレた)計画でしたが・・・
 フ……もう時間もありませんか。では…確認できないのは唯一の心残りですが・・・」














『私』は

























現実ですか?





















完全版 あとがき

 あらどっこいしょっ、と…ふぃ〜……りにゅ〜ある完了♪ 『裏』の完全版投稿です。
 ども、前回色々改訂したにも関わらず『タグのみ改訂』と言われてしまった脇役好きです(苦笑)
まあ、結局タグもあまり直ってなかった……という事で、お古の『フロントページ』で一から書き直しました。
取り敢えず使ってみたら、Pタグとフォントタグが竜虎乱舞してる…ようやく少し使い方を覚えて更に書き直し……(泣)
フロントページはシフトでエンター…ネスケのコンポーサーはタグが長ったらしい…
ビルダーという物も、思うようにいきませんねぇ……
 まぁ、それはともかく…前回の改訂部分を更に詳しくしてみたりとか、文章の修正・追加も色々しています。
・・・・最初書いた時よりかなり増えた…(汗)

追記――裏の裏ほぼ削除しました。誰も読まないだろうという事で。


……すっかり忘れてた(激汗)えと、キャラ・設定の使用を無制限で許可されていたBenさんに感謝します。それでは……

 

 

感想代理人プロフィール

戻る

 

代理人の感想

改めて感想を、とのことですが・・・うーん、タグ以外は大して変わってないなぁ。

文章が読みにくいのは相変わらずだし、論理展開のところも全然手を加えてないし。

いくつかエピソードを追加してボリュームアップしてるのはいいんですけどね。

この程度では、まだまだ。