The cause of an argument

 

 

 

第1話「すべてのはじまり」

 

 

 

 

 

 

 

それはあるコロニーにある屋敷であった。

その屋敷は多くの軍隊に攻め入られていた。

 

「もはやこれまでですかな。父上。」

 

「ふん、まだ敵を倒した足りないがな。」

 

二人の男が座敷にいた。

まるで、外の喧騒を無視するかのように静かだ。

二人はこの屋敷の主である。 

やや年老いてはいるが眼光鋭い人物は先代のこの家の当主、

草壁能家である。

 

「まあこれくらいが潮時ですな。もう十分時間は稼ぎました。」

 

こう言ったのは、草壁家現当主、草壁孝信である。

 

「そちは、綾芽について行ったほうがよかったのでないか。」

 

「しかたありますまい。新田の目的は私なのですから。」

 

苦笑いをしながらそんなことを言う孝信。

はっきり言ってこれから最後の戦に出る男の顔ではない。

 

「父上こそ落ち延びてもよかったのでは」

 

「すでにこの体には病魔が取り付いておる。

 激巌大権現の力も及ばぬほどにな・・・・・」

 

激巌大権現とは、彼らが聖典と崇める、

アニメ「ゲキガンガー3」のゲキガンガーを神とする神社である。

 

「しかし、新田め。女絡みの嫉妬でこのような暴挙に及ぶとはな」

 

「ハハハ、それほど凄い女性を妻としただけでも私の一生は意味

 があったというところですかな。」

 

笑ったが、一瞬にして孝信は目を本気にした。

 

「本当に厄介なのはこれの黒幕です。」

 

「島村め・・・・」

 

「島村観阿弥。木蓮軍きっての謀略家・・・・」

 

そこへドタドタと足音がやってきた。

 

「御館様、御隠居さま、もはやこれまでございます。」

 

精悍な男がやってきた。

この男の名は、江里口常長。

草壁家にそのひとありとうたわれた、草壁五人衆の筆頭である。

ちなみに草壁五人衆とは、この江里口のほかに、

百武賢兼、成松信勝、円城寺信胤、木下昌直の4人である。

 

「そうか。妻と子供達は?」

 

「御心配なく!。木下と円城寺に付き添われ抜け穴から脱出したもようです。

 またすでに替え玉の死体すでに火に放り込んで置きました。」

 

そして常長は微笑んで言った。

 

「またそれがしや百武と成松の子も上手く奥方様やお子様方について行けたようです。」

 

「そうか・・・・・」

 

「しかし、円城寺と木下を説得するのは骨が折れましたぞ・・・

 二人とも戦うと言ってききませなんだから。」

 

「しかたあるまいあの二人は若い、我々と一緒に死での旅にだすわけにもいくまい。

 あの二人には生きてもらって子達を守ってもらわねばならぬ。」

 

その時、外の喧騒がまじかまで迫って来ているのが解かった。

 

「さてと、最後の戦いにでるか。」

 

能家は気合を込めて言った。

 

「はいはい。」

 

「では参りましょう。」

 

孝信と常長がそれに続く。

 

(綾芽すまん・・・・・春樹と百合のことをたのむ・・・・

 鍋島・・・・後のことはまかせたぞ!)

 

そして、最後の戦いが始まった。

始めから勝敗が解かった戦いが・・・・・・・

 

 

 

 

 

(御館さま〜〜)

 

抜け穴から這い出た落人一行は燃える屋敷を目の当たりにした。

涙を流してそれを見ているのは、生き残ったものたちである。

そこには草壁五人衆の円城寺信胤、木下昌直がいた。

今にも叫びだしそうな昌直。

それを必死に止める信胤。

 

「こらえろ、昌直。今叫んだら奴等に見つかるぞ!」

 

「わかってる・・わかっているんだが!」

 

「ここで御隠居さま、御館さま、それに江里口殿、百武殿、成松殿の尊い犠牲を無駄にするつもりか!」

 

「うゥゥゥゥ〜」

 

「それに・・・御方さまや和子さま達の気持ちを考えろ・・・」

 

「!」

 

そこでハッとなる昌直。

 

「我々もそうだが、奥方さまお気持ちいかばかりか・・・・・」

 

「そうか・・・すまなかった、信胤。」

 

「いや、いいんだ昌直・・・・」

 

 

 

そこに一人の女性がやってきた。

 

「円城寺殿、木下殿。」

 

「「奥方さま!」」

 

それは、草壁孝信の妻、綾芽であった。

木蓮きっての木蓮風美女とうたわれた女性である。

綾芽は何も言わずに炎が見えるところに移動した。

 

綾芽は何も言わなかった。

泣き声をあげなかった。

しかしその目は涙が溢れていた。

 

((奥方さま〜))

 

大の大人の男の二人も綾芽の心を推し量り、心の中で泣いた。

 

 

 

 

「行きましょう・・・」

 

綾芽はそうつぶやいた。

 

「ここで感傷にひたっても失った過去が帰ってくるわけでもありません。

 それに私達は春樹や百合・・・・・それに残された子供達のためにも生きなければなれません。」

 

「わかりました、そろそろ鍋島の者が来るはずです。

 急ぎましょう。」

 

昌直はそう応じた。

 

 

 

 

そのとき信胤と昌直は人の気配を感じた。

 

「何者だ・・・」

 

静かに問う信胤。

 

「お二方、怪しい者ではござりませぬ。」

 

そう言って、忍びの者が出てきた。

 

「それがし、鍋島家に仕える隠密、紫苑と申します。」

 

「鍋島の手の者か・・・」

 

「ハイ、すべては我が主人より伺っています。」

 

「そうですか・・」

 

そう応える綾芽。

 

「ではすべて頼みます。」

 

 

 

「母上・・・」

 

突然子供の声がした。

 

「春樹・・」

 

子供は草壁家嫡子、草壁春樹であった。

顔付きはあまり綾芽に似てなく、父孝信似であった。

 

「父上は・・」

 

「お父上様あの中に・・」

 

そう炎に包まれた屋敷を指差す、綾芽。

そして、その炎を見つめる春樹。

 

「行きましょう春樹、ここで捕まるわけにはまいりません。」

 

そう言って春樹を促す綾芽。

 

そして落人一行は落ち延びていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

木蓮

 

この集団・・・いや国家が成立してから約70年がたった。

この国家の住人の正体は政治的逃亡者ののあつまりである。

事の始まりは月で起きた政治運動のであった。

 

 

2029年人類は初めて、火星の土を踏んだ。

1969年のアポロ11号以来の60年ぶりの快挙であった。

これによって国連は人口問題の根本的な解決のために、

宇宙移民計画を発動した。

この計画すごい所はいままで、各国それぞれやっていた宇宙開発を一括して国連が行うとした。

またそこからでる権益は国連の収入とする。

移民政策は国連が責任をもって行う。

さらにこのプロジェクトは大国の思惑に左右されがちな安全保障理事会にはまったく影響されないものであった。

 

これらは今まで飾り物といってもよかった国連に見事に独自性を持たせることに成功した。

 

 

 

 

このような事がなぜ可能だった言えば、

大企業が国連をバックアップしたからである。

IT革命によって企業に国境が無くなり、企業同士の意思疎通がされ易くなったからである。

 

さらにこれによって、世界的な企業合併がドンドン行われた。

 

(この時期にネルガルやクリムゾンの基礎ができた)

 

こうして出来た新企業が狙ったのは独自の宇宙開発である。

企業が望むのは市場の拡大であった。

しかし、もはや地球上での市場拡大はもはや不可能であった。

さらに無理に競争しようとすると勝者のいない無残な生き残りレ−スになるのは目に見えていた。

 

さらに当時は急激な国際合併を企業同士繰り返しておりそれら企業による談合は恐れられていた。

このことから、更なる利益追求のために一番簡単な問題解決手段である市場拡大を宇宙に求めたのである。

 

このような夢物語を提唱したのは、暁潤一郎とリナ・クリムゾンの二人の若き企業家たちであった。

 

また、にこれは国家の横槍を防ぐために企業独自の力でやるべきであり、

その時の御輿として国連を利用しようしたのである。

 

 

 

 

さらに日本の政治家、加治一明は国連主義者であった、首相も勤めたこともある、

父隆介の影響から、父以上の国連主義者となり、この運動支援を積極的にこれを支援したのである。

 

 

 

最初は国連と企業だけでなにが出来ると思われていたが、

しかしこのグループは火星に人を送り込むことに短期間で成功したのである。

このことに大きな功績を残した暁潤一郎は企業名をネルガルとした。

また、国連は技術独占をせず、プロジェクトに参加した企業に貢献度順に技術独占権を与えた。

 

これによってネルガルやクリムゾンは急成長したのである。

 

さらに国連はの指揮下での技術開発にはどんな企業も受け入れるし、

そんな企業にはいくらでも技術提供もするし、宇宙開発利権を与えるとしたのである。

このことから企業は旨味の大きい国連の宇宙開発に手をだしていったのである。

企業に見捨てられたNASAは落ちぶれていき、さらに優秀な技術者は企業にヘッドハンティングされていった。

またちょうどその時、宇宙移民のために必要な技術が完成し、国連はこの技術を公開し、

宇宙開発がさらに旨味のある事業であると企業に認識させ、宇宙開発事業を促進させた。

 

 

 

更に人口問題は地球規模の問題であり、このことが国連主導のもとでされることは当たり前であり、

そのことに反対する国はなかった。国連をたいしたモノとは思っていなかったからだ。

 

しかし、国連が力を持ってきたとき各国家は後悔したが、あとの祭りであった。

 

このようにして2045年には月に本格的な植民が始まり、

植民地の人々を守るために宇宙軍が成立し、2056年にはついに国際連合は地球連邦となったのである。

 

しかし、年月が経つ植民地と本土との間に問題がおこった。

それはありがちな問題であった。

月にはまず自治権がなく地球連邦の直接統治であった。

それに、資本は地球企業に独占されており、

月独自の企業が育ちにくい環境にあり、更には税制は地球に比べてやや重かった。

 

 

これにはそれぞれ訳がある。

 

自治権がないのは植民を効率よく行う為には仕方が無かった。

月の資本が地球の企業に独占的に支配されているのは、地球連邦支えている地球企業にしてみれば

当然の要求であった。

また税金の問題は月は当時地球連邦にとって数少ない直接税の取立て場所だったからである。

 

 

しかしこれは支配者の論理であって支配される方はたまったもではない。

月で自治獲得運動が起きたのはある意味当然の結果であった。

しかし、地球連邦にとって月からの収入は非常に重要な収入であり、手放す訳にはいかなかった。

そうまさに大英帝国時代のイギリスとインドの関係であったのである。

 

大企業もこれに対しては地球連邦と同じ歩調をとった。

彼らも月での利権を失う訳にはいかなかったからである。

まさに欲で結ばれた同盟である。

これは脆いが強力であった。

このような同盟は利害が対立すればあっという間にくずれるが、

利害が一致している限りにおいてはすさまじい破壊力をもったモノである。

 

 

 

 

地球連邦がこの政治運動に打った手はこの運動に内ゲバを起こさせることであった。

内ゲバを起こした政治運動ほど醜いものは無い。

そうして、運動家は地球の支援者どころか月の人々にまで見捨てられていった。

そして運動家の内、より過激な思想の持ち主は月の住人の手によって追放されたのである。

そうして逃亡者たちは、火星に逃げ込んだ。

 

 

 

 

しかし、それを見逃すほど連邦政府も甘くなかった。

連邦政府はトドメをさすために火星に熱核攻撃をかけたのである。

ここで火星にいる人々は、死滅するはずであった。

しかし、それを救った一人の英雄がいた。

 

それが、木蓮の開祖にして、木蓮式柔の始祖児島高徳である。

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・」

 

春樹は本を読んでいた。

それは木蓮の歴史について書かれた本である。

その本は地球のことをこれでもかと悪く書いていた。

春樹は開祖登場のところまで読み、そこで一休みをした。

 

今春樹が居るのは鍋島家の屋敷である。

非常に静かな森の中にある屋敷であった。

 

 

 

春樹は考えていた。

 

(なぜ父上は負けたのだろうか・・・)

 

子供の春樹の目から見ても父は多少頼りなくは見えても、決して弱い父ではなかった。

だが父は負けた・・・・・

 

(なぜなのだろう・・・・)

 

疑問に思って家臣たちに聞いてみても、

 

「それは島村が卑怯だからです!!」

 

としか返ってこなかった。

 

(ならば、何故正義は卑怯に負けたんだ。ゲキガンガーだったら正義は必ず悪に勝つじゃないか・・・・)

 

正しい意見をいってくれそうな母綾芽はこの屋敷には居なかった。

それはいつ敵に襲われるか解からない。

そんな状態で草壁母子を同じ場所に置いとくのは危険だったからである。

 

それゆえに春樹だけが離れ、母は鍋島本家にいた。

 

幼い妹百合は母のもとにいる。

そこで春樹は答えを求めて歴史書を紐解いて読んでいたのであるが本が悪いのか答えは書いていなかった。

 

「ふ〜〜。」

 

溜息をついて春樹は更に続きを読もうとした。

 

 

 

「!!」

 

 

なんとなく庭の方を見た春樹は何かがものすごい速さで何かが通り過ぎていくのを見た。

なぜか春樹はそれに引かれて気がついた時にはそれを追い求めて走り出していた。

春樹は驚いた何故自分はこんなまねをしているのだろう。

今の時期こんなことして良いわけないのに?

 

 

 

なぜ?なぜ?なぜ?

 

 

 

いくら考えても論理的な理由は思いつけなった。

しかし現に自分は走り出している。

屋敷を抜け出し森を走っている。

危険だと解かっているのに。

 

 

そう理屈ではなかった。

 

単に子供ならではの好奇心だけかもしれない。

単に子供だけに感情のコントロールを知らないだけかもしれない。

 

 

しかし春樹の心には確実にある直感が働いていた。

第六感がアレを見つけろ言っているのである。

 

 

 

 

(僕らしくないな〜、直感だけで動くなんて。

 でも僕の魂の声がアレを見つけろといっているんだ。

 でもこんな気持ち初めてだ。

 それに天空ケンだって俺の勘を信じろってよく言うし)

 

 

 

そんなことを考えながら走っていたら、

 

カーン、コーン

 

と木の音が聞こえてきた。

まるで木の棒を蹴り上げているような。

春樹はそこに向かってみた。

 

 

 

そこには一人の子供がいた。

子供と言ったのはその子供が余りに美しかったので少年か少女なのかとっさに区別がつかなかったからだ。

そうあまりに美しかった。

子供は武術の稽古にありがちな木々に紐を使ってぶら下げられた多数の枝の中にいた。

一つ枝を動かせば四方八方から枝が変則的に自分に枝が向かって来る仕組みである。

それを子供は全て避け、蹴り返したのである。

そしてそれは美しかった。

さらに子供の美しさをさらに引き立てのは長く伸ばしてポニーテールしている髪であった。

その髪は炎のような真紅の髪であった。

春樹は心を奪われその非現実的とも言える、美しい稽古風景に見惚れていた。

 

 

 

 

 

 

 

「だれだ!!!」

 

 

 

 

 

突然子供から鋭い声が飛んだ。

どうやら春樹に気づいたようだ。

またその声の質から子供が少年だと解かった。

春樹は少年の前に姿を見せた。

春樹は思わず聞いた。

 

「君は誰なんだい?」

 

少年は美しい真紅の髪をなびかせながら応えた。

 

「人に名を聞くとき自分から名乗るものだぜ。」

 

春樹は顔を赤くしながら応えた。

 

「僕の名は草壁春樹。君の名は?」

 

少年はへぇという顔した。

その姿も様になっていた。

まるで紅顔の美少年とは彼の為のにある言葉のように。

春樹少し安心した。

自分はまだ死んだことになっている。

この事はまだ敵には知られてないと言う。

ならば自分の名を聞いて驚きやしないのは敵ではないと思ったのである。

僅か10歳でそこまでとっさに頭が廻るとは草壁春樹、並みではない。

 

さっき少年を見つけて走り出した少年とは別人のようだ。

 

「おれか、俺の名は辰雄、鍋島辰雄。」

 

 

 

 

 

草壁春樹 10歳

鍋島辰雄  9歳

 

 

 

まさに運命の出会いであった。

これより長い長い物語の、長い序章が始まる。

 

 

 

 

 

あとがき

 

どうも槍です。

やっと書き上げた、初連載もの第一話。

疲れたな〜

でもまだ二つしかSSを書いたことがないのにもう連載に手をだすなんて

身の程知らずも程ほどしいな。

まあこれからがんばって書いていくつもりです。

あと歴史の部分は春樹の読んでいた歴史の本をまともにしたらというものです。

あと勝手な歴史を作ってすいませんでした。

ではさよ〜なら。

 

 

 

管理人の感想

 

 

槍さんからの連載投稿です!!

う〜ん、見事なまでに政治関係を書かれてますね〜

Benにはこの設定は思いつきませんよ!!

う〜ん、凄いな〜

しかし、春樹と辰雄はこれからどういう関係になるのでしょうか?

続きが気になりますね!!

 

では、槍さん!! 投稿有難うございました!!

 

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