北海道ツーリングレポート

 

 

 


2002年 7月 24日 水曜日 これが運命・・・?の日

 

その日の天気も曇り空だった。

ただ、私の心の中は豪雨だった。

その原因は、昨日の会話のせいだった・・・

 

「苫小牧に行くつもりで小樽に到着した〜?

 どうやったらそんな事できるん」

 

「どうやったらって・・・バイクで走ってたら」

 

姉サンの呆れた声に、力無く反論する。

そんな私と姉サンの会話を聞いていたTさんが、何かを思いついたらしく会話に参加する。

 

「よし、お前のキャンパーネーム(HNみたいなもの)は『ちくわ』だ!!」

 

 また練り物かい!!

 

その言葉を聞いた瞬間、私の中の時間が止まった。

 

「あの、せめてゴボ天にして下さい・・・」

 

激しく動揺し、混乱した頭で弱々しい反論をする。

(後で考えてみると、ゴボ天も練り物である・・・よほど焦っていたのだろう)

 

「ゴボ天だと中にゴボウが詰まってるやん。

 あんたはどっか抜けてるから、『ちくわ』がピッタリ」

 

「(シクシク・・・)」

 

姉サンに止めを刺され、心の中で涙を流す私だった。

きっと、代理人の手先なんだ・・・皆。

ストーブの前で膝を抱えて、ブツブツと独り言をつぶやく私の姿があった。

 

 

前日のダメージを引きずったまま、午前十時頃に釧路を出発

今日の一番初めの目的地は厚岸(あっけし)

嫌な予感はあったのだが、出発して一時間後には豪雨に襲われた。

一緒に走っていたPさん(羅臼で知り合った方)を先頭に、果敢に峠を攻める。

何度かスリップをしかけ、厚岸の岬に辿り着いたのは午後一時だった。

 

ここでは生牡蠣とカボチャ餅を食べる(これが目的)

今朝揚げたばかりの牡蠣は新鮮で美味しく、カボチャ餅も凄く美味しかった。

それだけでここまで来た疲れが吹き飛ぶ。

 

帰り道の事を考えると、一気に気落ちするけど。

 

その後、雨の中を再び疾走し、帯広に向かう。

冷たい雨が容赦無く体温を奪い、トイレが近くなる。

前を走るPさんに、コンビニに寄ろうと後ろから方向指示器で合図をする。

 

Pさん、気付かない。

 

仕方が無いので、パッシングで合図を送る。

 

やっぱりPさんは気付かない。

 

自棄になる気持ちを押さえ込み、急加速でPさんの隣に並ぼうと試みる。

並んだ瞬間、Pさんは驚いた顔を一瞬した後・・・嬉しそうに笑い急加速をする。

 

別の意味で、『理解』をして下さったらしい。

 

豪雨の中、大型バイクで疾走するPさんに、必死に喰らい付く!!

その上、北海道に信号機は少ない(というより市外には存在しない)!!

トイレに行きたいというプレッシャー、豪雨の中のハイスピードというプレッシャー

何よりPさんとはぐれると、迷子になるというプレッシャーに背を押され・・・私は走った。

そして20分後、ついに私はPさんの前に出る事に成功した。

 

「トイレに行きたいんですよ!!」

 

「もっと早く言えば良かったのに?」

 

 

 

・・・・・・・・・何度も言ったよぉ(涙)

 

 

 

その日は帯広で泊まる事になった。

ライダーハウスで、別行動をしていた姉サンとTさんと合流。

全員でパンチョに行き豚丼を食べるつもりが、午後七時で店は閉まっていた(汗)

普通、午後七時って稼ぎ時じゃないのか?

そんな事を思いつつ、地元の人の聞いた店で豚丼を食べる。

すっごく美味しかった(喜)

 

 

雨の日はゆっくり走りましょう(苦笑)・・・今日の走行距離300km(総走行距離3100km)

いいかげん、明日は晴れて欲しいなぁ


2002年 7月 25日 木曜日 新しいトラブル?発生の日

 

この日は微かに日が射していた。

良い天気になる事を予感しつつ、帯広にある六花亭に向かう。

私は知らなかったのだが、六花亭は有名なお菓子処だったらしい。

携帯で妹に電話をすると、「絶対にレーズンバターサンドを買って来い」との事・・・

ついでに言えば、私が北海道を出発する前にも、レーズンバターサンドを買うように依頼してたそうだ。

 

全然記憶に残ってねぇ・・・

 

とりあえず、親しい友人と家族の為に一通りの商品を購入する。

何でも工場から直接輸送するらしく、賞味期限も短いそうだ。

これは実家に帰った翌日には、友人の家に直接もっていかないとな。

 

その後、ここまで一緒に走っていた姉サンとPさんは、別の目的地に向かい。

私はTさんと一緒に富良野を目指す。

富良野を目指す理由は、昨日の晩のTさんとの会話にあった。

 

「おいチクワ」

 

「へい、何で御座いやしょう?」

 

「お前、富良野の『へそ祭り』にエントリーしておいたから」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」

 

以上、説明終わり。

 

Tさんには色々とお世話になった手前、断るという選択肢は無かった。

読者様にどう思われているか知らないが、私は意外と義理堅い方である。

恩には恩で、仇には仇で返す。

良い例が、対さっちゃん戦である。

 

・・・話が逸れたが、つまりそういう理由があって私達は富良野を目指す。

私の心中とは別に、天気は快晴へと向かう。

昼頃、狩勝峠を越える頃には、昨日までの天気が嘘のように晴れわたる空が見えた。

狩勝峠の山頂で、トウモロコシを齧りながら記念撮影をする。

やはり夏の北海道は最高だ、私の言葉では言い表す事は不可能だ。

 

この日は『へそ祭り』の基地として用意された、ライダーハウス『ゆかり』までの旅程だった。

そのため、比較的早い時間に目的地に到着する。

『ゆかり』はオーナーの手作りのログハウスで、凄く立派なものだった。

バイクから荷物を降ろし、ゆっくりとくつろぐ。

『へそ祭り』なるイベントに多少の不安はあったが、とりあえず忘れる事にする。

 

ま、まあ時がくれば嫌でも分かる事だろう・・・

 

同じライダーハウスに泊まる方とも仲良くなり、お互いの旅の話で盛り上がる。

趣味が同じなだけに、話が尽きる事は無かった。

TVの天気予報が一週間の間、ずっと晴れだと表示していたのも嬉しかった。

もう、雨の中を走るのは懲り懲りである。

 

このライダーハウスには露天風呂があるので、私は楽しみにしていた。

露天風呂に浸かり、晴れ渡った星空を見上げるとそこには雨雲があった。

 

「・・・・・・・・・・・・?」

 

何度見ても、星空は無く、ただただ黒い雲が移動している。

そしてその事を認識した瞬間、集中的な豪雨が私を襲う。

 

 ドザザザザザザザザザザザザザ!!!!

 

「何でやねん!!何で露天風呂に入った瞬間に雨が降るねん!!」

 

私の叫びは、激しい雨音でかき消されていった・・・

 

 

 

雨は一時間ほどで止みました(苦笑)・・・今日の走行距離160km(総走行距離3260km)

『へそ祭り』まで、後3日・・・

 

続く 戻る トップに戻る