機動戦士ガンダムSEED AnotherEdition
第4話 『襲撃』
「ミゲル機からエマージェンシーだと?」
ヴェサリウスの格納庫に到着したクルーゼを待っていたのは、艦橋からの意外な報告だった。
『はっ、1機だけ奪取し損ねた敵MSに撃墜された模様です」
艦内通話スクリーン越しのアデスの声に、クルーゼは眉をひそめた。
「最後の1機、ミゲルが機体を失うほどに動いているとなれば、そのままにはしておけんな。アデス、私が出たらMSを一旦、呼び戻しておけ」
『了解しました、隊長』
アデスの敬礼を最後に途切れるモニター。クルーゼは背後に佇む純白の愛機――ZGMF−515<シグー>を振り返る。
シグーは、ジンに代わるザフトの次期主力MSとして開発された機体だ。基本的なデザインはジンと共通だが、よりスマートで鋭角的なシルエットを有しており、機動力・火力ともにジンと比べて格段に向上している。
最も、まだ生産ラインは本格的に稼動しておらず、先行量産された機体がクルーゼのようなエースパイロット用として配備されている程度に留まっているが。
床を蹴り、短い空中遊泳の後にコクピットに乗り込む。ノーマルスーツには着替えておらず、白い指揮官服のままだ。ナチュラルなどに撃墜される事など決して無いという、傲慢なまでの自信の表れだった。
発艦誘導員の指示に従い、機体をカタパルトデッキへと移動させる。ヴェサリウスの船腹が開き、リニアカタパルトが展開。要員が退避する。
「出るぞ!」
次の瞬間、シグーは動力ケーブルを引き摺ったまま虚空へと射出された。強烈なGを軽くやり過ごして漆黒の宇宙、その一画を睨みつける。と、脳裏に蠢く奇妙な感覚。わずかに遅れて、センサーがこちらに向かってくるMAを感知する。メビウス・ゼロ、あの男だ。
「私がお前を感じるように、お前も私を感じるのか?」
憎悪と呼ぶにはあまりに甘く、愉悦と呼ぶにはあまりに暗い――自分自身でも判別しかねる感情が、口元に三日月の笑みを形作る。
「不幸な宿縁だな、ムウ=ラ=フラガ!!」
宇宙空間に光の花が咲く。ザフト艦から発射された信号弾だ。緑、緑、紫、それを見たジンが引き上げていく。ゼロのコクピットで、溜めていた息を吐き出すフラガ。だが、生き延びたという安堵は感じない。
「引き上げる? だが、まだ何か……これは!?」
退却していくジンと入れ替わるように、純白のMSが現れる。今の今まで交戦していたジン達も相当の腕だったが、新手はさらに桁違いの技量のようだった。数え切れない死線を潜り抜けてきたベテランパイロットとしての勘――否、それを越えた『何か』が、フラガの無意識に警告している。
あの動き、間違い無い。月で、軌道直上で、デブリ帯で、幾度と無く死闘を繰り広げて来た宿敵。
「貴様、ラウ=ル=クルーゼか!?」
ズウゥン――ズウゥン――
低く重い音が一定のリズムで響き、その度に大地が震える。激しくは無いが徐々に大きくなっていくその振動に、マリューは意識を取り戻した。
「うう……」
鉛のように重い瞼を開いて呻くマリューに、そっと水差しが差し出される。
「気がつきましたか? まだ動かない方がいいですよ」
栗色の髪をした可愛らしい顔立ちの少女だった。
「ありがとう」
礼を言って少女の手から水差しを受け取り、上体を起こす。そこでようやく、自分が公園らしき場所のベンチに寝かされていた事に気付く。体の節々が痛むが、目立った外傷は肩の銃創のみ、それにも丁寧な応急処置がなされていた。
音源を振り向く。予想通り、こちらに歩いてくるストライクの姿と、MS搬送用の大型トレーラーがあった。ストライクはグレーに戻っている。バッテリーの電力を節約するため、PS装甲を切っているのだろう。
停車した先頭のトレーラーから、1人の男が降りた。無精髭だらけの顔と薄汚れた作業服に包まれたがっしりした体躯、マードックだ。生きていたのだ。
「おっ、大尉。目が覚めましたか」
いつもの低い大声を出しながら、こちらに駆け寄ってくる。
「軍曹、よく無事で」
安堵の声を出すマリューに男臭い笑みで頷くと、マードックは少女に向き直る。
「ありがとうよ、嬢ちゃん。あっちで彼氏達がヘバってるから、行ってきな」
はい、と返事をして駆け出す少女。それを確認してから、マードックが口を開く。
「みんな、ハマナもブライアンもくたばってました。生き残ったのは、先にアークエンジェルに行ってた連中を除けば、俺と大尉だけです」
「そう、現状は?」
感情を押し殺し、マリューは尋ねた。死者を悼むのはいつでも出来る。今はまだ、その時ではない。
「外や港湾部、鉱山区画でも戦闘があったのは確かですが、詳しい事は分かりません。ヘリオポリスの行政府どころか、直通のはずのアークエンジェルとさえ通信が途絶えていますから」
沈黙で答えるマリュー。状況は最悪といって良い。
「ま、1つだけ救いと言えるのは、ストライカーパックが3つとも無事だった事ですかね」
「ストライカーパックが!?」
思わず喜びの声を上げるマリュー。ストライカーパックとは、ストライクの追加武装と予備バッテリーを一まとめにしたものだ。全部で3種類あり、作戦や状況に合わせてこれらのパックを換装する事で、ストライクはXナンバーズ5機の中でも随一の汎用性を発揮する事が出来る。
「ええ、あのガキどもに手伝って貰って、何とか搬出しました。トレーラーに積んでますよ」
親指でストライクの足元を示すマードック。そこには、座り込んで深刻そうに話し込んでいる少年少女の姿があった。
「あの子達は?」
その中に先程、ストライクを操縦してジンを撃破した少年がいる事を確認し、マリューは尋ねた。
「逃げ遅れた工業カレッジの学生です。指導教官がモルゲンレーテにもラボを持ってたらしく、たまたま居合わせたようです。運の無い連中ですな」
「見られたのね、ストライクを」
「それはもうバッチリと、何から何まで」
マリューが何を言わんとしたのか察したマードックが、剣呑な声で答える。
「保護――いえ、言葉を飾っても仕方ないわ――拘束するしかないわね」
「そうですね。気が進みませんが」
溜息をついて立ち上がり、少年達に向かって歩き出すマリュー。マードックもそれに続いた。
クルーゼとフラガの戦いは、一進一退ののまま進んでいた。機体性能は圧倒的にシグーのほうが上、操縦技術はほぼ拮抗となれば、戦いの帰趨は自ずと分かる。いや、ここはナチュラルとMAという二重のハンデを負いながら、かろうじて食い下がっているフラガを誉めるべきだろう。
「お前はいつでも邪魔だなムウ=ラ=フラガ! もっとも、お前にも私が御同様かな!?」
忌々しげに舌打ちすると、クルーゼはシグーを転進させる。目指すのは、ヘリオポリス港湾部。
シグーを追い、コロニー内部に侵入するフラガのゼロ。だが、それこそがクルーゼの狙いだった。再度転進し、ゼロに向かうシグー。ゼロもガンバレルを展開する。しかしこの狭い空間ではガンバレルの変幻自在な動きは大きく制限される。必殺のオールレンジ攻撃も、その真価を発揮する事は出来ない。
シグーのマシンガンが火を噴く。まるで嬲るかのように、本体ではなくガンバレルから1つ1つ破壊していく。必死に回避し、反撃するフラガ。
「この辺りで消えてくれると嬉しいんだがね!」
こみ上げて来る黒い感情のまま、クルーゼは叫ぶ。2機の戦いは、いつしか港湾部から中央シャフト内部の工場区へと移っていった。
近づいてくる足音に、キラ達は顔を上げた。女性技術者がこちらに歩いて来る。まだ顔色はあまり良くないが、足取りはしっかりしていた。後ろには、マードックと名乗った男がついて来ている。
「まず、危ないところを助けて貰った事に感謝します。私はマリュー=ラミアス技術大尉、こちらはコジロー=マードック軍曹。地球連合軍の軍人です」
顔を見合わせるキラ達。薄々予感はしていたが、本人の口から告げられた<軍人>という言葉は大きな重みを持っていた。
「貴方達の名前を」
はっきりと、あるいはぼそぼそと、1人づつ名乗っていく少年達。キラは、胸の中でどんどん不安が膨れていくのを感じた。
「既に予想しているかもしれませんが、その機体は軍の最重要機密です。それを見られた以上、申し訳ないけど貴方達をこのまま解散させる訳にはいかなくなりました」
背後のMSを示しながら、マリューと名乗った女性士官は続けた。少年達の中に、動揺の細波が広がる。
「然るべき所と連絡が取れ、処置が決定するまで、私達と行動を共にして頂かざるをえません」
「冗談じゃねえよ! なんだよそりゃ!」
堪りかねたトールがマリューに噛み付いた。サイもそれに続く。
「僕達はオーブ市民ですよ!? 中立です! 軍とか何とかそんなの、何の関係も無い民間人なんです!」
「そうだよ! 大体、何で地球軍がヘリオポリスにいるんだよ!? そっからしておかしいじゃねえかよ!!」
興奮のあまり、マリューに詰め寄るトール。その時、今まで無言だったマードックが口を開いた。
「じゃあどうするんだい、ガキども。マシンガン撃ちまくってるジンの前にノコノコ出て行って、ボク中立の民間人です、助けて下さい、とでも言うのかい?」
「えっ?」
低く、不吉なまでの迫力を込めたマードックの声に、少年達は凍りついたように動きを止めた。
「ザフトは必ず、また来ます。このストライクを奪取、もしくは破壊するために。私がザフトの指揮官なら必ずそうします。付け加えるならば、先程コロニーの警報レベルは9まで上昇しました。シェルターは完全にロックされています。もう、貴方達に逃げる場所はありません」
「そ、そんな……」
マリューの非情な宣告に、思わずヘタヘタと座り込むカズイ。ほかの面々も、動揺を隠せない。
「汚ねぇ……俺達を騙したのかよ、オッサン!!」
怒りも顕な声でマードックに言うトール。
「そういう事だ、悪かったな。だが俺達はな、戦争をやっているんだよ」
「そんな勝手な理屈――」
その時だった、またもやヘリオポリスに爆音が響き渡ったのは。慌てて頭上を見上げたキラ達の目に映ったのは黒煙を吹き上げる中央シャフトと、そこから現れた2つの巨大な影だった。
それがどちらが撃った弾丸なのかさえ、2人には分からなかった。無意味だった。肝心なのは流れ弾がシャフトの外壁を穿ち、大きな穴を開けたという事実だけだった。戦場は、ついにコロニー内部にまで移動した。
「ほう、あれか」
モニターに映る駐機姿勢のMSを目にし、呟くクルーゼ。どうやら、機体には誰も乗っていないらしい。灰色のMSの足元にいる人影を見て、クルーゼは表情を歪ませる。
「やれやれ、この状況でパイロットを降ろすとは、地球連合の諸君は戦争に対する熱意が足りんと見える。遠慮無く潰させて貰おう!」
マシンガンを構え、シグーは急降下する。MSから降りているパイロットを殺せば、最後の1機を確保するのは簡単だ。
クルーゼは、眼下の人影の大半が民間人、それもまだ子供といっていい年代である事を知らない。もっとも、例えそれを知った所でクルーゼの行動が変わったかどうかは、極めて疑問だが。
「あれは、シグー!!」
現れたMSがザフトの新鋭機だと気付き、マリューは思わず叫びを上げた。シグーという事は、恐らくパイロットはエースパイロット。先程かろうじて撃退したジン以上の難敵だった。
上空から逆落としに突っ込んでくるシグー。その意図に気付いたキラは戦慄した。
「危ない! 伏せて!」
マリューの叫びに、咄嗟にキラは地面に体を投げ出す。ほぼ同時にマリューがサイとカズイを、マードックがトールとミリアリアをそれぞれ押し倒し、その上に覆い被さる。
甲高い機械音が響き、シグーのマシンガンが掃射される。だが、その狙いはキラ達から大きく外れていた。懸命に追いすがったフラガのゼロが妨害した結果だが、伏せているキラ達は当然ながら気付かない。
「ガッ!」
トールは、自分達の上でマードックが漏らした苦鳴を聞いた。少し遅れて、ぬるりとした生暖かい液体が、トールの顔に滴る。
「お、おいオッサン! 血が出てっぞ!!」
「ん、掠り傷だ掠り傷」
ニヤリと笑うマードック。言うなり、飛び起きた。両脇にトールとミリアリアをそれぞれ抱え、トレーラーの影へ駆け込む。跳ね起きたマリュー、サイ、カズイの3人もそれに続く。そしてキラは――全員と反対の方向、ストライクに向けて駆け出した。
「やめろぉぉぉっ!!」
叫びながらストライクに飛びつき、コクピットへ攀じ登る。
手早く機体を起動させ、立ち上がらせる。トレーラーからストライカーパックの1つ(大体の説明はマードックから受けていた)を取り出し、背負うように装着。PS装甲展開。機体がまたも鮮やかなトリコロールに染まる。
「<ランチャーストライク>?」
ストライカーパックのデータを引き出し、確認するキラ。今ストライクが装備したのはランチャーパック。左肩に艦砲並の威力を持つ320ミリ衝撃砲、右肩に120ミリ機関砲と350ミリガンランチャーを装備した砲撃戦用兵装だ。
「くそぉっ!!」
フットペダルを踏み込み、スラスターを押し込むキラ。ストライクの巨体は上昇を開始した。
「動き出したか、厄介だな」
向かってくるMSを目にし、クルーゼは唸った。ミゲルの交戦記録とアスラン達が吸いだしたデータから、目の前のMS――ストライクのスペックの概要は把握している。
「PS装甲、これはどうかな?」
シールドにマウントされた28ミリガトリング砲が駆動音を立てて回転、砲口から伸びた火線がストライクに集中する。だが、高い装甲貫通能力を誇る強化APSV弾でも、ストライクのPS装甲を撃ち抜く事は出来なかった。
「なんともまぁ、大したものだ」
呆れたように呟くクルーゼ。もっとも、その顔にはまだ余裕の笑みが張り付いている。シグーのマシンガンを後腰にマウントし、サーベルを引き抜く。
「さて、装甲は無敵でも中身――軟らかい部品の方はどうかな?」
「は、速い!?」
モニターに映るシグーの機動を目にし、キラは思わず叫んだ。懸命に、構えた衝撃砲の砲門をシグーに向けようとするが、射角が狭い上に砲身が長過ぎて取り回しが悪く、シグーの影さえ捕らえる事が出来ない。
突然、シグーの動きが変わった。ストライクから一定の距離を取るのを止め、一気に突っ込んでくる。横から縦へ、水平から垂直へ、その急激な変化にキラは対応できなかった。
右肩の機関砲とガンランチャーのトリガーを引くものの、あっさり回避された。モニターがシグーの姿で覆い尽くされる。
「う、うわぁぁぁっ!!」
まず斬撃、続いて蹴り、最後にマシンガンの零距離射撃、その全てがコクピット周辺に集中していた。PS装甲を抜く事は出来なかったが、殺し切れなかった衝撃がキラを襲う。機体ごと全身が振り回され、頭がコンソールに叩きつけられる。
飛びそうになる意識を必死につなぎとめ、霞む目で周囲を索敵。と、重い音がコクピットに響く。瞬時にストライクの背後へと回りこんだシグーに組み付かれたのだ。
『少々、キツ目にいくぞ。早めに落ちたまえ、その方が君にとっても楽だ』
接触回線が開かれ、敵パイロットの嘲弄交じりの声が響く。
次の瞬間、ストライクを抱えたまま、爆発的な勢いでシグーは再加速。空中に複雑な軌線を描いてダンスを踊る。
「あッ――ががッ!!」
宙返り。遠心力で全身の血が頭に集められ、視界が真っ赤に染まる。レッドアウト。逆回転。今度は脳から下半身に血液が移動し、視界が闇に落ちる。ブラックアウト。リミットの外れたジェットコースターと化したコクピットの中、キラは強烈なGに翻弄された。
「こ、これは?」
アークエンジェルの艦橋、通信席でレシーバーを耳に押し当てていたトノムラが上げた声に、ナタルは顔を向けた。
「どうした伍長! 通信が回復したのか!?」
「はい、Xナンバーズの1機と繋がりましたが――敵MSと交戦中の模様!」
「何っ!」
小さく舌打ちするナタル。
「主動力コンタクト!」
「エンジン異常無し!」
臨時のオペレーターを勤めるチャンドラとパルの報告に、ナタルは頷いた。
「もはや一刻の猶予も出来ない。曹長、いけるな!」
「は、アークエンジェル全システムオンライン、発進準備完了!」
冷静そのもののノイマンの声。ナタルは頷くと、朗々と声を響かせた。
「気密隔壁閉鎖! 総員、衝撃に備えよ! 艦首陽電子砲発射と同時に最大戦速! アークエンジェル発進!!」
またもや――もう何度目になるのか誰にも分からない――爆発が、ヘリオポリスを揺るがせた。紅蓮の爆炎を割り、白亜の船体が姿を現す。
「連邦の新造艦、仕留め損ねたか!?」
ぐったりとしたストライクを確保したまま、クルーゼのシグーは運動を停止し、敵戦艦へと向き直る。コロニー内に浮かぶ戦艦という非常識極まり無い光景に、さすがのクルーゼも気をとられた。
――だから、気付くのが遅れた。
突如、ピクリとも動かなかったストライクの腕が跳ね上がり、シグーの頭を鷲掴みにする。
『うわぁぁぁぁっ!!』
接触回線越しに響く、ストライクのパイロットの絶叫。そのままストライクは右手1本ででシグーを引き剥がすと、凄まじいパワーで投げ飛ばした。
「ば、馬鹿な!?」
疑問の叫びを上げるクルーゼ。今の機動はコーディネイターであり、なおかつ厳しい対G訓練を受けたクルーゼにとっても限界に近かった。到底、ナチュラルに耐えられるものではない、そのはずだった。
錐揉み状に落下する機体を、クルーゼは必死に立て直す。スラスター出力前回、さらにAMBACを駆使し、かろうじて空中に『踏みとどまる』。直後、背筋を走る悪寒。見上げると、ストライクが背負った化物じみたサイズのランチャーが、こちらをロックしていた。
「くおぉぉぉっ!!」
必死に操縦桿を傾けたのとほぼ同時に、ストライクのランチャーが火を噴いた。極太の光条が彼我の距離を一瞬で征服する。機体を揺るがす衝撃。かわし切れなかった左腕が蒸発していた。大出力のビームはそのまま威力を削がれる事無く、真っ直ぐにコロニーの地表に命中する。
爆発。大地が白熱し、外壁ごと吹き飛ぶ。その後に残ったのは、MSでも悠々とくぐれそうな大穴だった。
「これほどの火力、MSに持たせるとは」
戦慄するクルーゼ。もし反応が一瞬でも遅ければ、間違い無く即死していただろう。そのままシグーを転進させると、出来たばかりの大穴からコロニー外へ退却する。
「く、私とした事がなんと無様な」
屈辱に呻くクルーゼ。それにしても――
(何者なのだ、あのパイロット)
後書き
変態仮面の強さは補正をかけています。一応ラスボス(予定)ですので。
代理人の感想
うむ、ボスはやはり強くなくてはならない!
ただし、主人公がそれを乗り越えるという前提のもとでですが!
本編と違い、ただ撃墜するだけじゃなくてどう乗り越えるのか。
そこを楽しみにさせてもらいますね。
それにしても丁寧な再構成はお見事。
大筋を変えないままでも、これだけ丁寧に補完してあるとそれだけで見られますね。