女性と少年番外編2

 

「ん〜〜ん、、、」

「だあ〜〜」

夏休みももうすぐ終わりと言う時期。

母の経営する喫茶店にて、友人二人と一緒になにやら悩んでいる少年。

「おい、こんなのはどうだ?」

「ん〜〜、もう少しかな、、、」

「それでは、こういうのはどうだ?」

なにやら雑誌を見て悩んでいるようだ。

「(もしかして、私の誕生日プレゼントかしら?!まあ!お母さん嬉しいわ〜〜〜!!)」

その様子をカウンターの中から見て、嬉しそうに微笑む母。

だが、、、

「おめ〜、やっぱり『同居』の方がいいんじゃねえか?」

「でも、、住む部屋がないし、、、ボクの部屋に二人じゃ狭いし、、、」

「(へっ?な、、、なにを言っているの、あの子達は??)」

聞こえてくる内容に、嫌な予感を感じる母。

「じゃあ、彼女が住んでいる所に、二人で住むってのはどうだ?」

「向こうも狭いんだよ。だからちょっと無理かな、、、

それに結婚式のお金も貯めないといけないし」

「そっか〜〜、大変だな、、、」

「『生活する』と言う事は、簡単には行かないのだな」

頭を書きながら言うイガグリ頭に金髪少年。

「ちょ、、ちょっと、なにを相談しているの?」

そこへ、母が額に汗を浮かべて近づいてくる。

「ああ、こいつの『新居』のことでさ、色々探してんだ」

「し、、、新居って、、、(汗)」

「姉上。子供が生まれるのに、親がバラバラというのはどうかと思いますが?」

「そ、、、それは、、、そうかも知れないけど、、、じゃなくて!」

二人の的確な指摘に、顔を青くする母。

「でも、『同居』だと、あれがあるか!」

「あれって、、、??」

「ああ、あれか」

イガグリ頭の言葉に反応して、窓に近づく金髪少年。

そして窓枠を指でこすると、イガグリ頭の方に向き芝居がかった口調で言う。

「『あ〜ら、こんなに汚れているわよ、まったく最近の嫁は掃除も出来ないのかしら』」

「『ああ、すみません義母様。今掃除しなおします』」

そして、それに合わせるイガグリ頭。

「『ほらほら、食事の準備はどうしたの!早くしなさい!!まったくグズなんだから』」

「『はい、今すぐ!!』、、、てか!」

「良くある話だと聞いている。まあ、姉上がやるとは思えないが」

「そうだよ、母さんがそんな事するわけないよ。ねえ、母さん?」

「、、、、へ?、、、あ、、、ああ、そ、そうよ、、、。わ、私がそんな事するわけないでしょ。ほほほほほ!!

(な、なぜ分かったの!!あの二人侮れないわね)」

少年の言葉に顔を青くしながら、どうにか笑みを浮かべて答える母。

その顔には大量の汗が浮かんでいた。

「やる気だったな、ありゃ、、、」

「そうみたいだな、、」

「、、、」

ジト目で見つめる三人。

ごまかしになっていなかったようだ。

「(い、、、いけないわ。このままでは私が『鬼姑』と、ご近所で噂になってしまう!)

そ、そうだわ、御爺様に頼んでみたらどうかしら!」

どうにか三人の視線から逃れようと、口をつく言葉。

それは墓穴を掘る言葉だった。

「おお!それ良いじゃん!!お前の爺ちゃんなら金持ちだから、

増築費出してくれるんじゃねえか?」

「へっ?」

「うう〜ん、確かにそうだけど、、、」

「それに、そうすれば『家賃』の問題もなくなるから、『結婚費用』も貯められるぞ」

「えっ??」

「そうだね、、、良し!おじいちゃんに電話してみる!!」

そう言うと、電話をしに行く少年。

「ちょ、、、ちょっと、、、」

「オバサン、あきらめな。まあ、初孫いつでも抱けるんだから良いじゃねえか」

「そうですよ姉上、お店の方も手伝ってもらえば、楽が出来ますよ」

「、、、そ、そうね、、、前向きに考えないとね、、、」

彼らの言葉に慰められ、なんとか精神を保つ母。

だが、悲劇はすぐに起こった。

「お爺ちゃん、どうにかしてくれるって!」

「おお、良かったじゃんか」

「しかも結婚式の費用も出してくれるって!」

「それは良かったな」

「それに、すぐにでも、正式に『入籍』できるように法律を変えさせるって」

「「「えええ!!」」」

さすがにその言葉に驚く三人。

「ちょ、、、ちょっと、、、本当なの?」

「うん、お爺ちゃんそう言ってたよ」

「そ、そうだったわ、、、お父様、この子には甘かったんだわ、、、」

「あ、甘いってレベルを超してんじゃねえか、、、」

「た、確かに、、、」

まさに『孫バカ』と言うものだろうか、、、

「あはははは、、、、」

「あ、やべえ、オバサン壊れちまった、、、」

「あは、あははははは、、、、、」

「しょうがないだろ、いきなり本当に『嫁』が来て、『孫』まで生まれるのだから」

「あはは、あはははははは、、、、、、」

「そうだな、、、『誕生日のプレゼント』が、これじゃあな、、、」

「あははは、あははははははは、、、、、、、」

「そう言えば今日だったな、姉上の誕生日は、、、」

「あははははははははははははははははははは、、、」

燃え尽きた上に、崩壊している今日で30才になる母。

彼女には二度目の、忘れられない誕生日になっただろう、、、

一度目は17才の誕生日、、、

二度目は今日、、、

 

「あっ、ボクです。あの、おじいちゃんがね、、、」

『本当!それじゃあ今度お礼に行かないと』

「ええ、一緒に行きましょう」

そんな母親なぞ目にも止めずに、彼女に電話する少年。

しかも、二人で挨拶に行く約束してるし。