禁断のロザリオ ツヴァイ
メイド12
「ふう、、、」
戦いが終わり、学校に復学したエイジ。
自分の席から、青い空をぼんやりと見つめながらため息をつく。
あの、城での別れを思い出して、、、
「あいつら、今どうしてっかな?」
『じゃ、俺は行くからな』
『『エイジ(さん)(さま)』』
『別に会えなくなる訳じゃねえんだから、リィルもセシルも、そんな顔すんなよ。
今後の為にも、一応学校ぐらい卒業しておきたいからよ。そしたら、戻ってくるから、な?』
『『、、、(コクン)』』
『エイジ』
『あんだ、斗牙?』
『また、、、遊べるよね?』
『ああ。俺も遊びに来るし、お前らも、遊びに来ればいいんだからよ』
『うん!』
『『エイジさま、、、』』
『ブリギッタにアーニャも、遊びに来いよ』
『『はい!!』』
「エイジ君、どうしたの?」
「ん?なんでもねえよユミ」
ボンヤリとするエイジを心配し、ユミが声をかける。
「んもう、、、もうそろそろ、先生が来るよ」
「そうだな、、、と来たみたいだぜ?」
「え、いけない!!」
気のない返事をするエイジにあきれるが、教師の影が見えたことにより、自分の席へと向かう。
“ガラッ”
教師が入って来ても、そのまま空を見上げているエイジ。
だから、、、彼は気付かなかった。
その人物に。
「こら!そこの『目つきの悪いひねくれ者』いつまで外を見ているの?」
「!んな?!」
聞き覚えのある声に、教壇の方を向いたエイジが見たのは、、、
「ミ、ミヅキ!」
「『先生』といいなさい、紅エイジ君」
「んな事、良いだろ!どうしてお前がここにいるんだよ?!」
「あら、『お仕事』に決まってるじゃない」
「『お仕事』って、、、あんた本業はどうした!」
「本業がらみの『お仕事』よ。上の方からじきじきに頼まれちゃってさ。んな事より、、、
は〜い、皆。今日から担任になりました『ミヅキ・立花』です。よろしくね♪」
“おぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!”
豊満な胸が揺れるのと同時に、男子生徒からの雄たけびが響く。
その生徒達を手で制しながら、ミヅキが楽しそうな顔をして言う。
「それじゃ、急だけど転入生を紹介するわね。ほ〜ら、入っておいで〜」
「ま、、まさか」
呆然としたまま立ち尽くすエイジ。
脳裏によぎる予感に、冷汗をたらしながら、入り口を見ると、、、
「あっ、エイジ。おんなじクラスだね」
「エイジ様と同じクラスなら、心強いですね斗牙様」
「、、、やっぱり、、、、、、」
「あ、斗牙君だ。やっほ〜」
ほのぼのとした笑顔を浮かべながら入ってくるのは、制服を着た斗牙とエィナ。
予感が的中し、エイジは頭を抱える。
そんなエイジを無視し、嬉しそうに手を振り合うカオリと斗牙。
「、、、『お仕事』って、、、『お守』かよ!」
「そゆことよ。ほ〜ら、あんたたちも入ってきなさい」
抗議の声を上げるエイジを軽く流しながら、入り口のほうへと声をかける。
「んだよ、琉菜もここか?」
だが、今度はエイジの予想は外れた。
「エイジさん、、、」
「エイジさま、、、」
「、、、、、、リィル、、、セシル、、、」
突然の再会に、声が出なくなり見詰め合う三人。
そんな三人を置いておき、事態は進む。
「ほら、あんた達、自己紹介しなさい」
「うん、『天空侍 斗牙』です」
「わたくし、『エィナ・エリクマイヤー』と申します。皆様、よろしくお願いいたします」
「ほら、あんたらも」
「え、はい」
「、、、」
斗牙とエィナの紹介が終わり、リィルとセシルへをせっつくミヅキ。
なぜか、、、顔にはチュシャ猫のような笑みが浮かんでいる。
「えと、、、『紅 リィル』です。よろしくお願いします」
“ガコン”
「『紅 セシル』です、、、」
“ガココン”
「あ、エイジまた転んでる」
「あんた、転ぶの好きね〜」
二人の名前を聞いて、見事にこけるエイジ。
そのままピクピクと、体を振るわせる。
「この4人は、飛び級でこのクラスに編入です。特にリィルとセシルは頭がいいわよ〜
見た目どおりの年齢だからね。だからっていじめたらダメよ?怖〜〜い人がきちゃうから」
そう言いながら、視線を床でヒク付いている物体に向けるミヅキ。
「ああ、あんた達、あの物体の所にいっていいわよ」
「「はい」」
ミヅキの言葉に、喜んでエイジのそばに駆け寄る二人。
「あの、エイジさん、、、」
「エイジさま、、、」
「、、、はぁ、、、、、、『待ってろ』って言ったじゃねえか、、、」
「「でも、、、会いたくて、、、その、、、、、、」」
「別に怒ってねえよ。でも、、、」
「「??」」
「俺も会えて嬉しいぜ、リィル、セシル」
「「エイジ(さん)(さま)」」
笑みを浮かべて言うエイジに、嬉しさのあまり抱きつく二人。
そして、エイジは優しく抱き返すのだった。
自分も、会いたかったのは同じだから。
「そういや、お前ら住むところは?」
「エイジさんの所は、、、ダメ?」
「ダメ、、、ですか?」
「いや、別に構わねえけどよ、、、狭いぜ、家」
「構いません。エイジさまといっしょなら」
「私も、大丈夫」
「んじゃ、よろしくな、二人とも」
「「はい!」」
そして、学校、、、しかも自分のクラスと言う事を、すっかりと忘れていちゃつくのだった。
「あの先生、、、」
「ん、なに?えとユミさんだっけ?」
「はい。その、、、なんでエイジ君とその二人は、同じ苗字なんですか?」
「ああ、それ?ほら二人とも」
ラブラブフィールドを展開する三人をみながら質問するユミ。
待ってましたという顔で、リィルとセシルを促す。
「「はい、妻です」」
そして、嬉しそうに二人そろって答えるのだった。
紅エイジの、『最強鬼畜伝説』が、、、学校でも広まった瞬間であった。
世間の風は冷たいかもしれないが、、、強く生きろよエイジ。
少なくても、その二人はお前の味方なんだから。
「ううう、、、なんであたしだけ学年が違うのよ!」
「しょうがないよ、琉菜さま」
「試験の成績が悪かったんですから、、、」
「じゃあ、リィルにセシルは?!」
「元々セシルは頭、良かったし、、、」
「リィルさまも、勉強できますから。それと、、、」
「「『愛の力』」」
「う゛、、、なんかものすごい説得力、、、で、なんでブリギッタとアーニャが私と同学年なの?」
「ぶ〜〜〜、ひどいですよ琉菜さま」
琉菜さまが淋しがると思って、おんなじ学年にしたんです」
「、、、あ、ありがとう。なんか納得できないけど、、、(つか、あたしより頭がいいって事?)」
、、、お前も強く生きろ、琉菜。