まぶらほ
管理人サンと一緒12
「式森さん、、、」
箒を握り締め、夕菜に引かれる和樹を見送る尋崎。
「(あなたが、、、いなくなると悲しむ人もいるんですよ。
ですから、、、使わないでもらいたいです。
でも、、、あなたは、、、、、、)」
和樹が葵学園にはいってから、いつも見て来た。
だから、、、彼女には分かる。
彼が、魔法を使うのを、、、
優しすぎる、彼だから。
「、、、『いってらっしゃい』そして、帰って来てくださいね」
そう、、、心から想う。
「ふう、、、」
楓の木のそばで、走り去る和樹を見送る紅尉。
「(これほど、、、自分の無力さを感じることは無いな、、、
彼に任せてしまうなんてな、、、)」
自分の無力さ、情けなさに、嘆く。
「(私が、、、どうにか出来れば、、、くそっ!
式森君。誰も、君を責めることはしない。そんな権利もない。
だから、、、無理は、、、するなよ)」
保健室の方角を、見つめる。
だが、彼にも分かっている。
彼が、、、どんな行動を取るか。
だから、、、楓の木の元で、見守る。
「がんばれ、式森君」
そう、つぶやきながら。
「バカが、、、」
顔をうつむかせ、つぶやく凜。
「(私は、、、夕菜さんに消えてもらいたくない。
そして、、、それと同じほど、、、いや、それ以上にお前にも消えて欲しくない。
だが、、、お前は、、、、、、)」
和樹の決意。
それを聞いて、行かせた自分。彼なら、すると思っていた行動。
彼と知り合ってから、彼の性格は、、、知っている。
自分の為に、魔法を使った和樹。
いつも、、、他人の為に使った和樹。
「(式森、、、いつかお前に、、、伝えたいことがある。だから、、、いなくなるなよ)」
想いを、、、こめる。
「和樹!」
残るすべてをぶつける彼へと叫ぶ玖里子。
「(私は、、、あんたにいて欲しいの。
遺伝子なんて、、、関係無しで。
それなのに、、、それなのに、、、バカよあんた)」
彼がそう出るのは分かっていた事。
そう、玖里子の知る彼なら。
恐怖で震えながらも、自分の前に立ち、力を使ってくれた彼。
あの頃から、自分の心の変化に気付いていた。
人のことを心配する彼に、、、
優しすぎる彼に、、、
「バカ、、、」
涙を浮かべ、そうつぶやく。
『魔法を使いきれば灰になる』
それは、、、この『世界』の法則。
だが、、、『世界』は、、、少しだけ、、、
奇跡を起こす。
優しすぎる、、、偉大なる『世界一の魔術師』に。
「あれ、、、僕、、、、、、」
「和樹!?」
「式森?!」
「ふっ、、、全く、君と言うものは、非常識だな」
「あははは、、、そう、かも。そうだ!夕菜は?!」
「そうよ夕菜は!」
「夕菜さんは、無事なんですか?!」
「安心しなさい、宮間君は大丈夫だ。それよりも君の方が問題だろ」
「いや、、、まあそうですけど、、、」
「ま、いなくなるよりは、、、良いかしら?」
「そうですね、、、中途半端ですが」
「あはは、、、あはははは、、、」
法則は確かに適用された。
そう、、、灰にはなった。肉体は。
そして、、、精神は、、、、、、
「まさか、幽霊になるとは、私も思わなかったよ」
「あはは、あははは、あはははは、、、」
幽霊になることで存在している和樹。
だが、これからも彼の苦悩は続く。
だって、、、彼女がいるのだから。