まぶらほ
管理人サンと一緒17
「そう、、、『目的』だったのに、、、、、、」
天井を見上げ、ため息混じりに私はつぶやく。
こんな気持ちになるなんて、、、
「、、、かなり、気になるようじゃな?」
「え?」
不意にかけられたエリザベートの言葉に驚き、変な返事をしてしまう。
だけど、この子はそんな私をニヤニヤと見ながら、言葉を紡ぐ。
「式森のことじゃ。なんだかんだ言っても、気にしているではないか。
『最高の魔術師の遺伝子』と言うならば、あの仲丸とやらでも良いのに、式森のことを、今思い浮かべておったろ?」
、、、さすがに幽霊として長年いるだけあって、この子は鋭い。
特に、、、こういう時は、、、
「そんなんじゃ、、、ないわよ」
図星だから、、、私の返事にも、力が入らない。
和樹を、ただの『遺伝子提供者』として見れなくなったのは、、、
多分、あのベヒーモスの時から。
そして、、、和樹達と一緒にすごした時間が、、、
その思いを、どんどん変えていった、
どんどん、和樹の存在が私の中で、大きくなり、、、
何時の間にか、私は、、、
和樹の事を、、、
本気で、、、
「素直になったらどうじゃ?」
「、、、そんなの、、、、、、」
確かに、、、素直に言えば、良いだけなのかもしれない。
自分の思いを和樹に、、、
でも、、、
その後が、、、怖い。
もし、、、拒絶されたら、、、
和樹は優しいから、はっきりと言わないかもしれないけど、、、
でも、、、それでも、、、、、、
「ふう、、、全く。別にいきなり『告白』までとは言っておらんじゃろ。
少しだけ、自分の本心をさらせばいいのじゃ」
「『少し』だけ?」
「うむ、少しだけじゃ。少しだけ素直になって、少しだけ本心を言うのじゃ」
「でもそれじゃ、、、」
「『千里の道も一歩から』と言うではないか。初めから焦ってはしょうがないぞ?」
「、、、そうね」
確かに、、、
焦ってもしょうがないわね。あの和樹相手に。
そう思うと、自然と頬が緩むのを感じた。
ふふふ、、、そうよね。あいつ『鈍感』だし、、、
よ〜し!決めた!!まってなさい和樹♪
「ま、ただでさえ玖里子は、こういうことには免疫がないのだからな。少しずつ行かなくては」
「なっ?!」
「式森もそうみたいだがな。意外とお似合いかもな」
「え!そ、そうかしら(テレ)」
「式森さん、元気になったみたいね」
和樹達のいる歩道橋を見つめる尋崎。
「あなたは、どうなっても『あなた』なんですから。焦らないでください」
その顔に浮かぶ笑みは、優しさに溢れた笑み。
心から彼のことを心配する者の、笑み。
「とりあえず、今日はこれで戻ります式森さん。ふふふ、今回は『貸し』ですよ、先生」
そう言うと、眼鏡を光らせながら、虚空を見つめる。
『ははは、、、お手柔らかに頼みますね(汗)』
どこかの保健室で誰かが、冷汗を流しながらそう答えていた。
、、、おっかないぞ尋崎